(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】ガス交換ユニット、並びにガス交換ユニットと加湿及び加熱装置とを有するセット
(51)【国際特許分類】
A61M 1/18 20060101AFI20220526BHJP
【FI】
A61M1/18 525
(21)【出願番号】P 2019517139
(86)(22)【出願日】2017-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2017000685
(87)【国際公開番号】W WO2017211460
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-02-13
(31)【優先権主張番号】102016007105.2
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102016010398.1
(32)【優先日】2016-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518438346
【氏名又は名称】ヘモベント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルセイユ オリバー
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ ベルンハルト
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-213851(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102011052188(DE,A1)
【文献】特開平04-193178(JP,A)
【文献】特開昭61-143075(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0057989(US,A1)
【文献】特表2003-524454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空ファイバモジュールを有するガス交換ユニットにおいて、有効表面積又は有効ファイバ長さの変更により前記中空ファイバモジュールのガス交換器特性が調整可能であ
り、
前記中空ファイバモジュールのファイバ束のガスが流入する側面に取付けられる空気透過性構造のカバーを有し、
前記カバーは、空気抵抗勾配を有すること、
を特徴とする、ガス交換ユニッ
ト。
【請求項2】
請求項
1に記載のガス交換ユニットと、加湿及び加熱装置とを有するセットにおいて、前記加湿及び加熱装置は、ガス流れ内の前記中空ファイバモジュールの上流にあることを特徴とする、セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体外膜型人工肺(ECMO)又は体外心肺補助装置(ECLS)で使用するためのガス交換ユニット、かかるガス交換ユニットを製造する方法、及びガス交換ユニットと加熱装置とを有するセットに関する。
【背景技術】
【0002】
人工心肺は、心臓手術中に、血液送達及びガス交換(血液へのO2投入及びそれからのCO2除去)の生命維持循環機能を代替する。類推すれば、人工心肺は、また、数日間にわたって心臓又は肺の機能不全を患う患者を安定させるために使用されてもよい。これは、体外膜型人工肺(ECMO)又は体外心肺補助装置(ECLS)と呼ばれる。
【0003】
現在使用されているECMO酸素供給装置は、心臓手術において使用されるような酸素供給装置の設計に基づいている。概して、単独開放気孔膜ファイバは、閉鎖拡散膜を有する膜によって代替される。この背景に対して、規格及び設計は、心臓手術の必要条件に基づいている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、先行技術、特にECMO及びECLS適用についての先行技術から公知の酸素供給装置を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、中空ファイバモジュールを有するガス交換ユニットによって達成され、中空ファイバモジュールのガス交換器特性は、調整性が高い。したがって、ガス交換器特性に関する必要条件が変化するとき、これらは、動作の前又はその間に必要に応じて調整させられ得る。特に、調整は、製造中に行われてもよい。中空ファイバモジュールは、具体的にはファイバボードであってもよい。
【0006】
ガス交換ユニットのガス交換器特性の調整とは、CO2除去及び/又はO2投入の変更、又は2つの値の相互に対する比の変更を意味する。これは、異なる方法で達成されてもよい。
【0007】
ガス交換器特性の調整とは、具体的には、有効表面積又は有効ファイバ長さの変更を意味する。例えば、有効ファイバ長さの変更は、ファイバのインライン又は直列接続によって達成されてもよい。したがって、例えば、対向流充填によって長い有効ファイバ長さを提供することが有利である場合があり、その理由は、この方法で酸素消費量を低減できるからである。
【0008】
ガス交換特性の調整は、また、中空ファイバモジュールのファイバ内でのガスの流速を変更することによって実行されてもよい。このガス流速が、圧力勾配によって外部から調整され得る。ファイバの長さに沿って、CO2についての濃度勾配が減少する、すなわち、CO2の転送が、フィックの第一法則に従って減少する。しかし、流速が増加されるならば、この効果は弱められる、すなわち、CO2転送は、増加される。このことは、しかし、使用されるべき酸素の量に対してマイナスの影響を及ぼす。
【0009】
ここで、中空ファイバモジュールが、完全に又は部分的に、ガス流れに接続されるか又はそれから切断されるならば、有利である。このように、中空ファイバモジュール内部でのガス交換器特性は、有効表面積を変更することによって調整され得る。
【0010】
この場合、ガス交換ユニットが、ガス側にシャッタ、具体的には、滑りバルブ及び/又は回転滑りバルブ及び/又はスロットルを有し、シャッタが、ファイバ領域が貫流態様で接続され得ないように配列されているならば、特に有利である。
【0011】
また、中空ファイバモジュールのファイバ領域が、ガスによって異なるように充填可能であるならば、有利である場合がある。このことは、異なる量及び組成のガスが、血液側ガス転送必要条件(CO2及びO2)の支配下にあるファイバ領域を通って流れることが可能となり、したがって、酸素消費量を低減することも可能である。
【0012】
ガス交換ユニットが溢流経路装置を提供するならば、更に有利である。このことは、異なる圧力勾配によってファイバ領域の異なる充填を可能にする。溢流経路装置は、溢流経路によって接続された複数のチャンバを提供してもよい。そのような装置は、特に、ガスが中空ファイバモジュールの中へと流れ込む両方の側面に取り付けられてもよい。
【0013】
溢流経路装置が、調節可能な溢流経路を有するならば、有利である。このことは、溢流経路装置内の流れパターンが調整され得、それゆえに、ガス交換ユニットの異なる使用状態に調整させられ得ることを意味する。このことは、例えば、調整装置に提供された滑りバルブによって実行されてもよい。
【0014】
また、中空ファイバモジュールがカバーを有するならば、有利である。このことは、ガスが流入する側面において空気抵抗を増加させることを可能にする。1つ又は複数のカバーが取り付けられてもよい。このように、中空ファイバモジュールのファイバ領域の異なる負荷が、また、達成されてもよい。
【0015】
カバーが、空気抵抗勾配、異なる厚さ、又は異なる材料(異なる気孔率)を有することが、更に有利である。このことは、また、充填が連続的に推移することを可能にし、その場合、範囲境界が不鮮明になる。
【0016】
ガス側の加湿及び加熱装置が、中空ファイバモジュールの上流に位置するならば、更に有利で独立した発明性がある。このことは、ガスが、中空ファイバモジュールに入る前に加熱され得ることを意味する。ガスは、それで、水蒸気で飽和され、血液温度を上回る温度を有する。中空ファイバモジュール内で、ガスが熱を放ち、そして、水蒸気の一部分が凝縮して、凝縮エネルギを血液に放出する。凝縮物は、熱交換器の下方で収集されてもよい。
【0017】
中空ファイバモジュールは、ドラム形状であってもよい。このことは、省スペース設計を可能にし、製造における有利さを提供する。
【0018】
ドラム形状配列において、中空ファイバモジュールの長さに対する直径の比が>1.5である(1.5超である)ならば、有利である。このことは、同一の有効表面積に対して、より短いファイバをもたらす。酸素の部分的な圧力損失が、内部において減少させられ、それで、酸素供給装置が、CO2転送速度に関して従来の製品よりもより効果的になる。
【0019】
また、中空ファイバモジュール内において、血液不透過性層が、その内部から外部まで螺旋状に配列されているならば、有利である。血液流れが、それで特定の方向に案内されて、流れの道筋が制御されることを可能にする。流れの道筋は、特に、この方法で拡大されてもよい。この場合、血液流れは、内部から外部に向かって、外部から内部に向かって、又は、対角線的に外部に向かって若しく内部に向かって案内されてもよい。このことは、様々な形状配列を可能にするという有利さがある。
【0020】
ガス交換ユニットが2つ以上の中空ファイバモジュールを有することが有利であることがある。この手段によって、ガス交換器特性が、個々の中空ファイバモジュール内の有効表面積を変更することによって、ガス交換ユニットの動作の前に又はその間に調整されてもよい。いくつかの中空ファイバモジュールが存在する場合、このことは、中空ファイバモジュールの異なる配列によって特に可能である。長期安定性、血液適合性及び性能が、このように、ECMO及びECLSでの発散徴候という背景に対して改善されてもよい。
【0021】
中空ファイバモジュールが、ガスによって異なるように充填され得るならば、更に有利である場合がある。この手段によって、異なる量及び組成のガスが、血液側ガス転送必要条件(CO2及びO2)の支配下にある異なる中空ファイバモジュールを通って流れてもよく、それで、酸素消費量が、また低減されてもよい。
【0022】
ガス交換ユニットが、溢流経路装置を有するならば、更に有利である。このことは、中空ファイバモジュールの異なる充填が、異なる圧力勾配によって実行され得ることを意味する。溢流経路装置は、溢流経路によって接続された複数のチャンバを有してもよい。そのようなデバイスは、特に、ガスが中空ファイバモジュールの中に流れ込む両方の側面に取り付けられてもよい。
【0023】
中空のファイバモジュールが、1つ又は複数のバルブに接続されるならば、特に有利である。これによって、個々の中空ファイバモジュールの流れ方向が、バルブによって制御されてもよい。ガス転送速度が、それで臨床的適応に対して調整されてもよく、その結果、モジュールを相互接続するか、又はそれらを並列に接続することによってCO2排出速度及びO2投入量が別々に設定されることを可能にする。
【0024】
有効ガス交換器表面積が、また、治療中に必要に応じて低減又は拡大されてもよい。
【0025】
このように、それらによって個々の中空ファイバモジュールを充填することによって、別の治療上有効なガスを導入することもまた可能である。
【0026】
ガス流れ内の中空ファイバモジュールが並列又は直列に接続されてもよいならば、特に有利である。ガス交換器特性は、したがって異なる接続だけによって変更されてもよい。新たな未使用ガス、又はガス交換を既に通過したガスが、別の中空ファイバモジュールのために使用されるか否かを管理することが可能である。中空ファイバモジュールを特に異なるガス組成(O2、CO2及びO2、O2及びNO等)によって充填することが、また、可能である。特に、異なる中空ファイバモジュールを異なるガス組成によって充填することが可能である。
【0027】
中空ファイバモジュールは、また、ドラム形状であってもよく、そして相互に同心状に内部に配列されてもよい。この場合、血液は、内部から外部に向かって、外部から内部に向かって、又は対角線的に外部に向かって案内されてもよい。この設計において、また、血液不透過性層が中空ファイバモジュール内で内部から外部まで螺旋状に配列されることが、可能である。このことは、血液を内部から外部まで、又は外部から内部まで螺旋状に導くことを可能にする。1つ、又は2つ以上の経路が、この場合、可能である。
【0028】
別の有利事項は、中空ファイバモジュールがファイバマットとして形成され、血液流れ内で一方が他方の背後に配列されることである。複数の中空ファイバモジュールが、そのために、ガス交換ユニットに積層配列で接続されてもよい。このように接続された中空ファイバモジュールは、適切に異なるように相互接続され、それで相互に組合わされ、ガスによって充填されてもよい。
【0029】
ファイバマットのファイバ方向が、第2のファイバマットのファイバ方向に対してある角度で配列されるならば、有利である。これは、角度が10°と170°との間にある、特に120°であるならば、特に有利である。交差することが、また、ガス交換器特性及び血液案内を改善する場合がある。
【0030】
中空ファイバモジュールの長さに対する直径の比が1未満であるならば、更に有利である。このことも、また、同一の有効表面積に対して前述の有利さを有するより短いファイバをもたらす。
【0031】
本発明の第2の独立した発明的側面は、ガス交換ユニットが加熱要素を有することである。この加熱要素は、電気的であってもよい。これは、ガス交換ユニット内でガス側に提供されるならば、更に有利である。それが、ハウジング内に提供されてもよい。熱が、このように血液に導入されてもよく、そして水分凝縮が防止されてもよい。
【0032】
加熱要素がガス注入口側に配列されることにより、血液との交換手順の前にガスを加熱するならば、有利である。
【0033】
加熱要素は、ロッド形式又は平板形式の設計のものでもよい。加熱要素は、また、支持構造の上に巻かれたワイヤ、又は蛇行した態様で屈曲したワイヤによって実装されることも可能である。
【0034】
加熱要素が、加熱要素とガスとの間の交換面積を増加させるための構造を提供するならば、有利である。これらが、ガスがその周りに案内されるリブ又は平板を備えてもよい。平板は、ガスがそれを通って流れるドリル孔を有してもよい。ガスが、また、外部加熱される経路を通して案内されることも考えられる。
【0035】
2つ以上の加熱要素が、ガス側に、一方が他方の背後に又は並列して配列されることも、また有利である。
【0036】
ロッド形式又は平板形式の加熱要素が、外部からガス交換ユニットの中に挿入され、そして、使用後に別のガス交換ユニットで再利用されることも、また有利である。
【0037】
本発明の第3の独立した発明的側面は、埋封材が血液側に向かって円筒形閉鎖部を形成してもよいことである。このことは、低いせん断応力及び良好な流出を有し、そのため、特に血液に都合のよい均質な流れ分布をもたらす。
【0038】
本発明の第4の独立した側面は、ガス交換ユニットを製造する方法に関し、この方法において、ファイバの埋込みが遠心分離機内での単一の製造ステップで実行されてもよい。
【0039】
第1のステップにおいて、中空ファイバモジュールの自動化製造が、1つ又は複数のファイバマットから実行されてもよいならば、有利である。モジュール製造が、次いで、異なる有効表面積及び有効ファイバ長さを有するガス交換ユニットを組み合わせること及び入手することによって、第2のステップにおいていくつかの中空ファイバモジュールから実行されてもよい。これらは、次いで追加的に、使用前、立上げ時、若しくは動作中に、完全に若しくは部分的に作動されてもよく、又は、異なる接続を使用することによってガスによって充填されてもよい。
【0040】
本発明の第5の独立した側面は、本発明に従うガス交換ユニットと、加湿及び加熱装置と、を有するセットに関し、ガス交換ユニットの加湿及び加熱装置は、ガス流れ内の上流に接続される。
【0041】
本発明は、次の図面を用いてより詳細に以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】直列に接続された2つの中空ファイバモジュールを有するガス交換ユニットの略図である。
【
図2】並列に接続された2つの中空ファイバモジュールを有するガス交換ユニットの略図である。
【
図3】2つの中空ファイバモジュールを有するガス交換ユニットの略図であって、それらのうちの一方は、オン又はオフに切り換え可能である。
【
図4】ガス側の上流に接続された加湿及び加熱装置を有する中空ファイバモジュール内での熱交換の作動原理についての略図である。
【
図5a】ドラム形状であって、一方が他方の内部に同心状に配列されている2つの中空ファイバモジュールを有するガス交換ユニットの略図である。
【
図5c】
図5のガス交換装置の更なる断面を示し、空気流れ方向及び血液流れ方向の両方が概略的に示されている。
【
図6】ガス交換ユニットの略図であって、中空ファイバモジュールがファイバマットとして設計されている。
【
図7a】
図6のガス交換ユニットの略図であって、埋封材が血液側に向かって円筒形閉鎖部を形成している。
【
図7b】
図6のファイバ配列の略図であって、ファイバマットが120°の角度で交差して交互に配列されており、埋封材が血液側に向かって円筒形に設計されたものである。
【
図8a】ガス交換ユニットの平面図の略図であり、中空ファイバモジュールが、ドラム形状であって、一方が他方の内部に同心状に配列され、不透過性層が血液を案内するために使用されている。
【
図8b】同じくドラム形状の中空ファイバモジュール配列の略図であって、複数の経路が不透過性層によって形成されている。
【
図9a】ガス交換ユニットの略図であって、ガス交換器ファイバのうちのいくつかが、連続的にオン又はオフに切り換え可能である。
【
図9b】接続及び切断のためのバルブの略図である。
【
図10】ガス交換ユニットの略図であって、中空ファイバの直径対長さ比が>1である(1超である)。
【
図11】2つの中空ファイバモジュールを有するガス交換ユニットの略図であって、これらのファイバモジュールは、ファイバマットとして形成され、一方が他方の背後に配列されている。
【
図12】並べて配列されたファイバ領域を有する、ファイバマットとして形成されたガス交換ユニットの略図である。
【
図13】溢流経路装置を有するガス交換ユニットの略図である。
【
図14】
図12に従う配列の溢流経路装置への入口の配列についての略図であって、
図14a)に側面図、
図14b)に断面の部分を示す。
【
図15】
図11に従う配列の溢流経路装置への入口の配列についての略図であって、
図15a)に側面図、
図15b)に断面の部分を示す。
【
図16】空気抵抗を増加させるための様々なオーバレイを有するガス交換ユニットの略図である。
【
図17】
図17a)に示す空気抵抗を増加させるための異なる厚さのオーバレイを有するガス交換ユニットの略図であって、
図17b)にオーバレイの側面図、
図17c)にオーバレイの平面図を示す。
【
図18】調整可能な溢流経路を有するガス交換ユニットの略図である。
【
図19】電気発熱要素を有するガス交換ユニットの略図である。
【
図20】形状定義に関する情報を有する中空ファイバの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
ガス交換ユニット1において、血液は酸素を与えられ、CO2が血液から奪われる。この目的のために、血液は、中空ファイバモジュールを通って流れる。ガスは、中空ファイバ(図示せず)の内部を通って流れる。
図1において、血液は、2つのそのような中空ファイバモジュール2、3を順に又は直列的に通って流れる。ここでは、矢印4によって概略的に表された血液は、最初にガス交換ユニット2の中へ流れ込み、これを通って、次いでガス交換ユニット3を通り、最終的にガス交換ユニット1から離れることが矢印5によって概略的に表されている。ガスは、その流れが矢印6、7、8及び9によって概略的に表されており、一旦第1のガス交換器から離れると、第2のガス交換器に渡される。選択的に、
図2に示すように、ガスは、また、並列の両方のガス交換器を通って流れてもよい。このように、ガス交換特性を必要条件に合致するように適応させることが可能である。このことは、組立て前の製造において、使用前に、又は使用中に行われてもよい。ここでは、ガス流れは、矢印16、17、及び18によって概略的に示されている。
【0044】
図1に示すように、血液とガスの対向流方向が可能であり、血液は、最初に中空ファイバモジュール2を通って、次いで中空ファイバモジュール3を通って流れ、そして、ガスは、最初に中空ファイバモジュール3を通って、次いで中空ファイバモジュール2を通って流れる(いわゆる対向流原理)。逆の順序も、また、可能であって、この場合、血液は、最初に中空ファイバモジュール2を通って、次いで中空ファイバモジュール3を通って流れ、そして、ガスは、同じく最初に中空ファイバモジュール2を通って、次いで中空ファイバモジュール3を通って流れる(いわゆる直流原理)。特に、必要に応じて、2つの回路の間で-直列又は並列に-切り換えることが可能である。
図3に示すように、2つの中空ファイバモジュールのうちの1つを接続又は切断することも、また、可能である。この目的のために、モジュールのうちの1つがバルブ10と接続される。
【0045】
ガス側の上流に接続された加湿及び加熱装置の動作モードが、
図4に示すように、中空ファイバモジュール21の断面を用いて以下で説明される。この配列において、加熱されたガス及び水蒸気は、中空ファイバモジュール21を通って流れる。ガス流れは、矢印22及び23によって象徴的に表されている。血液流れは、矢印24及び25によって象徴的に表されている。中空ファイバ27、28、29、及び30は、埋封材の2つの層31及び32内に固定されている。ガスは、水蒸気で飽和され、血液温度を上回る温度を有する。中空ファイバモジュール21において、ガスは熱を血液に放ち、水蒸気の一部分は凝縮し、また、結露エネルギを血液に放出する。凝縮物26は、中空ファイバモジュール21の下方に収集される。後の方は、それゆえに、ガス交換器及び熱交換器の両方として機能する。
【0046】
ガス交換ユニット41の場合、2つの中空ファイバモジュール42、43は、ドラム形状であり、一方が他方の内部に同心状に配列されている。それらは、分離層44によって相互に分離されており、分離層は、また、グリッド又はメッシュとして構成されてもよい。血液は、矢印45及び46によって象徴的に表されているように、内部から外部に向かって流れる。また、血液を外部から内部に向かって、又は対角線的に外部に向かって案内することも可能である。ここでも、可能なガス流れ経路は、矢印48、49及び50によって象徴的に表されている。この場合、最初に、外側中空ファイバモジュール43がガスによって充填され、次に、直列接続状態で、内側中空ファイバモジュール42が充填される。この場合、並列接続も、また可能である。全体的に、
図5a、b及びcのように形成されたガス交換ユニットは、ドラム形状本体として表されている。
【0047】
図6に示すように、ガス交換ユニット61において、中空ファイバモジュール62及び63の積層配列が、また選択されてもよい。このとき、中空ファイバモジュール62、63は、ファイバマットとして形成される。これらのモジュールは、それぞれ相互に交差して交互に配列されてもよい。ガスは、矢印66、67及び68によって象徴的に表されており、それぞれ2つの側面から中空ファイバを通して渡される。血液は、矢印64、65によって象徴的に表わされるように、ガス交換ユニット61を通って流れる。これらのユニットのうちの2つ以上が、
図1~3に示すように、組合わされてガスによって充填されてもよい。
【0048】
図7aにおいて、
図6のファイバ配列は、ファイバマット、例えば78の周りの埋封材79が、血液側に向かって円筒形閉鎖物80を形成するように設計されている。
図7bのガス交換ユニット81において、ファイバマット82と83とは、120°の角度で交差するように配列されている。この場合、血液側に向かう埋封材は、また、円筒形閉鎖物89によって仕上げられる。しかし、外側は、
図7aと比較すれば、設計が四角形ではなく、六角形である。血液流れは、矢印84及び85によって象徴的に表され、ガス流入は、矢印86、86’及び86”によって、そして、ガス流出は、矢印87、87’及び87”によって象徴的に表されている。個々の中空ファイバ88が見えている。
【0049】
図8a及びbに示すようなドラム形状ファイバ配列91、101において、血液は、血液不透過性層92、102、103、104によって内部から外部まで螺旋状に通される。この場合、配列91におけるように、1つの経路が、ガス交換ユニット101内に可能であり、又は、2つ以上の経路さえ可能であって、この例におけるように、3つの経路が可能である。この場合、血液流出は、矢印94、108、109、110によって、血液流入は、矢印93、105、106、107によって象徴的に表される。
【0050】
図9aのガス交換ユニット121において、122等のガス交換ファイバのうちのいくつかは、適切なバルブ配列123によって、必要に応じて連続的にオン又はオフに切り換えられ、それで、必要を満足するように
調整させられてもよい。相互に対して可動である2つの有孔平板132及び133が、例えば、
図9bに示すように、
滑りバルブ131として使用されてもよい。血液流れは、矢印124及び125によって、ガス流れは、矢印126、127及び128によって象徴的に表されている。
バルブ配列123は、ファイバ領域が貫流態様で接続され得ないように配列されていればよく、例えば、シャッタ、回転滑りバルブ及び/又はスロットルを用いてもよい。
【0051】
図10に示すように、ガス交換ユニット、及びガス交換器ファイバの配列が、血液運搬領域の内径がその長さよりも大きいように選択されるならば、特に有利である。ここでも、血液流れは矢印144によって、ガス流れは矢印145によって象徴的に表されている。
【0052】
図11のガス交換ユニット150は、2つの中空ファイバモジュール、すなわちモジュールA151及びモジュールB152を有し、これらは、ファイバマットとして形成され、一方が他方の背後に配列されている。ガス交換ユニット150の長手方向配置は、このように達成される。
【0053】
ガス交換ユニット160は、ファイバマットとして形成されており、また、
図12に示すような2つの中空ファイバ領域、すなわち領域A161及び領域B162を有するけれども、それらは並べて配列されている。ガス交換ユニット160の横方向配置は、このように達成される。
【0054】
図13に示すように、中空ファイバモジュール170の異なる充填は、次いで、溢流経路装置171及び172によって実行されてもよい。ガスの流入が、注入口173、174を通って行われ、それらのそれぞれは、中央チャンバ175、178、並びに2つの横チャンバ176、177及び179、180を有する。ガスは、中央チャンバ175、178から2つの横チャンバ176、177及び179、180の中に流れ込む。このことは、中央チャンバ175、178の領域内のガス交換ユニット170の側面181及び182の充填の増加、並びに2つの横チャンバ176、177及び179、180の領域の充填の低下をもたらす。
図12に示すような領域A及びBを通る異なる流れは、それによって達成される。ガスは、側面183及び184において再びファイバ束187を離れ、排出口186を通って外部に誘導される。
【0055】
配列内に横チャンバ176、177を有する中央チャンバ175への注入口173の
図12に従うこの配列は、また、
図14a)の側面図及び
図14b)の断面の部分に見ることができる。これで、中央チャンバ175が、188又は189等の溢流経路によって横チャンバ176、177に接続されている態様が明瞭になる。
【0056】
また、
図11に従う配列において、溢流経路装置201による中空ファイバモジュール206、207の充填によって、中空ファイバモジュールA206及びB207の異なる充填が可能になる。このことは、
図15において、
図15a)の側面図の配列、及び
図15b)の断面の部分に明瞭に見られる。溢流経路装置201は、ガスを第1のチャンバ203の中へと誘導する注入口202を有し、ガスは、205等の溢流経路を通して第2のチャンバ204の中へと渡される。このことは、異なる中空ファイバモジュールA206及びB207の領域における2つのチャンバ203、204の領域のガス交換ユニットの異なる充填をもたらす。
【0057】
図12に従うアセンブリの中空ファイバ領域A及びBの異なる充填のための別の可能なことは、
図16に示すように、ファイバ束211にオーバレイを適用することである。この場合、異なるオーバレイ、すなわちオーバレイA212、オーバレイB213が、側面215に適用され、それによって、空気抵抗を増加させる。中央領域214は、フォイルのない状態のままである。このことは、また、ここでの3つの領域(オーバレイA212の領域のファイバ領域A、オーバレイB213の領域のファイバ領域B、及びフォイルのない中央領域214の(この場合、
図12のアセンブリに追加して)ファイバ領域C)の異なる充填をもたらす。
【0058】
図12に従うアセンブリでのファイバ領域A及びBの異なる充填についての更なる可能なことは、
図16に示すように、空気抵抗を増加させるための異なる厚さのオーバレイ222、223を適用することである。
図17b)にオーバレイ222の側面図、及び
図17c)にオーバレイの平面図が示されている
図17a)において、異なる厚さの領域のそれぞれは、厚さD1を有する225、226、及び厚さD2を有する224であることが見て取れる。オーバレイ222は、フリース等の空気透過性構造である。異なるガス透過性は、異なる厚さによって達成されて、異なる流れ抵抗をもたらす。異なるガス透過性は、また、モジュールを通る流れにおける異なる充填によって達成される。連続した充填勾配は、連続した構成によって達成されてもよい。
【0059】
ファイバ束231の可変充填のために構造について可能なことは、
図18に示すように、調整可能な溢流経路232、233、234、235によって実装される。この場合、滑りバルブ238、239が、溢流経路装置236、237に取り付けられ、それによって溢流経路236、237の開口部240、241、242、243、244、245は、完全に又は部分的に覆われてもよい。この目的のために、滑りバルブ236、238の開口部246、247、248、249、250、251は、調整装置252によって溢流経路240、241、242、243、244、245の開口部と完全に又は部分的に合致させられる。このように、ガスは、溢流経路のチャンバの中に完全に若しくは部分的に直接入ってもよく、又は溢流経路232、233、234、235を経由してチャンバの中へと流れ込み続けてもよい。
【0060】
ファイバ束262を有するガス交換ユニット261において、電気発熱要素264が、ハウジング263内に配列されることにより結露を防止してもよい。
【0061】
個々の中空のファイバについて、
図20に概略的に示すように、ファイバ内径(Di)に対するファイバ長さ(L1)が500未満であれば、有利である。特に、長さ(L1)は、80mm未満でもよく、ファイバ内径(Di)は、約160~200μmであってもよい。