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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】金網を製造するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B21F 27/10 20060101AFI20220526BHJP
   E04C 5/04 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
B21F27/10 D
E04C5/04
B21F27/10 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019539973
(86)(22)【出願日】2018-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2018051657
(87)【国際公開番号】W WO2018138117
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】102017000007565
(32)【優先日】2017-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】592060639
【氏名又は名称】エム・イー・ピー・マシーネ・エレトロニーチェ・ピエガトリーチ・エス・ピー・エイ
【氏名又は名称原語表記】M.E.P. MACCHINE ELETTRONICHE PIEGATRICI SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デル ファブロ、ジョルジョ
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0130933(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0008065(US,A1)
【文献】特開昭61-033727(JP,A)
【文献】特開平06-218473(JP,A)
【文献】特開平09-300079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21F 27/10
E04C 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金網(11)を製造するための装置であって、
第1の供給平面(P1)にある少なくとも2つの第1の長手ロッド(13)を第1の方向(D1)に供給するように構成された第1供給群(17)と、
前記第1の供給平面(P1)に平行な第2の供給平面(P2)にある交差ロッド(14)を、適時ごとに、前記第1の方向(D1)に交差する第2の方向(D2)に供給するように構成された第2の供給群(18)と、
前記第2の供給群(18)によって供給される前記交差ロッド(14)を、適時ごとに、前記第1の長手ロッド(13)に対して溶接して、網状の半加工品(12)を得るように構成された第1の溶接ユニット(19)と、を備える装置において、
前記第2の供給平面(P2)に平行な第3の供給平面(P3)にある第2の長手ロッド(15)を、適時ごとに供給するとともに、前記第2の長手ロッドを稼働中に前記網状の半加工品(12)の前記第1の長手ロッド(13)に対して平行に配置するように構成された第3の供給群(36)と、
前記第2の長手ロッドを、適時ごとに、前記交差ロッド(14)に対して溶接するための第2の溶接ユニット(37)と、
前記網状の半加工品(12)を、前記第1の溶接ユニット(19)から受け取って、移動軸(M)に沿って前記第2の溶接ユニット(37)に向けて移動させるように構成された受渡ユニット(35)を備え、前記受渡ユニット(35)は、前記第1の供給平面(P1)及び前記第2の供給平面(P2)に対して平行に配置される前記網状の半加工品(12)のための支持平面を規定することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記第2の供給群(18)は、適時ごとに、前記交差ロッド(14)の1つを直線的に移動させるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の溶接ユニット(19)は、前記第2の方向(D2)に沿って配置されて、前記第2の方向(D2)に平行な方向に延びており、
前記第2の供給群(18)は、前記第1の溶接ユニット(19)の一端に配置されており、適時ごとに、交差ロッド(14)を前記第1の溶接ユニット(19)に挿入するように構成されることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第3の供給群(36)は、適時ごとに、前記第2の長手ロッド(15)の1つを供給軸(A)に沿って前記第2の溶接ユニット(37)まで直線的に移動させるように構成されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の溶接ユニット(37)は、前記供給軸(A)に沿って配置されて、前記供給軸(A)に平行な方向に延びており、
前記第3の供給群(36)は、前記第2の溶接ユニット(37)の一端に配置されており、適時ごとに、第2の長手ロッド(15)を前記供給軸(A)に沿って前記第2の溶接ユニット(37)に挿入するように構成されることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記供給軸(A)は、前記移動軸(M)に直交していることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記移動軸(M)は、前記第2の方向(D2)に平行であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の方向(D1)は、前記移動軸(M)に平行であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の溶接ユニット(19)と前記受渡ユニット(35)との間に、前記網状の半加工品(12)を回転させるように構成された回転位置決め部材(43)が介在していることを特徴とする、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1、第2の長手ロッド(13,15)又は前記交差ロッド(14)のいずれか少なくとも1つは、予め直線矯正されるとともに予めサイズに合わせた大きさに切断されたロッドの貯蔵庫(26)から供給されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1、第2の長手ロッド(13,15)又は前記交差ロッド(14)のいずれか少なくとも1つは、コイル(22)からのロッドで供給されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
金網(11)を製造する方法であって、
第1の供給平面(P1)にある少なくとも2つの第1の長手ロッド(13)を、第1の供給群(17)によって、第1の方向(D1)に供給することと、
前記第1の供給平面(P1)に平行な第2の供給平面(P2)にある交差ロッド(14)を、第2の供給群(18)によって、適時ごとに、前記第1の方向(D1)に交差する第2の方向(D2)に供給することと、
網状の半加工品(12)を得るために、第1の溶接ユニット(19)によって、前記交差ロッド(14)を前記第1の長手ロッド(13)に溶接することと、を含む方法において、
前記第2の供給平面(P2)に平行な第3の供給平面(P3)にある第2の長手ロッド(15)を、第3の供給群(36)によって、適時ごとに供給するとともに、前記第2の長手ロッドを稼働中に前記網状の半加工品(12)の前記第1の長手ロッド(13)に対して平行に配置することと、
第2の溶接ユニット(37)によって、適時ごとに、前記第2の長手ロッドを前記交差ロッド(14)に溶接することと、
前記網状の半加工品(12)を、前記第1の溶接ユニット(19)から受け取って、移動軸(M)に沿って前記第2の溶接ユニット(37)に向けて移動させるように構成された受渡ユニット(35)によって、前記第1の供給平面(P1)及び前記第2の供給平面(P2)に対して平行に配置される前記網状の半加工品(12)のための支持平面を規定すること、を備えることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば鉄筋コンクリート構造の補強材として使用可能な金網、又は補強材に関連して使用可能な金網を製造するための装置に関する。
本発明による金網は、互いにそれぞれが溶接された「鉄筋」又は「補強用鉄筋」としても知られる複数のロッドによって形成される。
【0002】
それらのロッドは、単なる一例として、3mm~30mmの間の、好ましくは4mm~26mmの間の、断面サイズを有することができる。
本発明によるロッドは、リブ付きタイプとすることもでき、すなわち、それらの外面に、例えばコンクリートとの密着性を高めるのに適した複数の表面凹凸又はリブを設けることができる。
【0003】
本発明は、所望の均一な網目サイズ又は異なる網目サイズを有する金網を得るために用いることができる。
本発明の1つの応用は、打設コンクリートに組み込まれる金属構造を製造するために建築業で使用可能な、補強目的の金網を製造することである。
【0004】
本発明は、さらに、金網を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
電気溶接によって長手方向及び交差方向に互いに結び付けられた複数の金属ロッドで構成された金網を得るための装置は、限定するものではないが、例えば建築業で知られている。
【0006】
例えば特許文献1に記載されている周知の装置は、一般的に、互いに離間した複数の長手ロッドを略同時に供給するように構成された第1の供給群と、それらの複数の長手ロッドに交差するロッドを適時ごとに所望の位置に供給するための第2の供給群と、を有する。
【0007】
これらの装置は、さらに、適時ごとに交差ロッドと複数の長手ロッドとが互いに重なり合う領域を溶接するための少なくとも1つの溶接ユニットを備える。
長手ロッド間の相隔たる距離は、適時ごとに、第1の供給群の個々のフィーダユニットの位置決めによって確定され、この配置は装置の初期設定ステップにおいて規定される。
【0008】
しかしながら、これらの周知のソリューションは、特に、非常に密な金網及び/又は様々に異なる直径のロッドを用いた金網を製造することが要求される場合に、多くの欠点があり、このような供給を可能とするためには、典型的には、少なくともフィーダユニットを適応させることが必要となる。
【0009】
実際に、個々のロッドは、安定していないことに加えて、それらの長さ、相隔たる距離、直径などに応じて多様な再位置決めが必要であるため、ロッドを位置決めすることも非常に困難であり得ることが知られている。
【0010】
場合によっては、簡単にするために、長手ロッド及び/又は交差ロッドは、それらが予め直線矯正されるとともにサイズに合わせて切断された状態で存在している倉庫から取り出される。
【0011】
このソリューションは、同一の特性を有する金網を極めて大量に生産する場合にのみ適用される。
さらに、金網の生産バッチに内在する変数に対処するために、金網に設けられる個々の長手ロッドのそれぞれは、少なくとも1つのコイルと直線矯正部材と剪断機と長さ制御手段とを備える自律フィーダで供給される。
【0012】
これは、建築に関しては、保守、保管の問題、並びにかなりの嵩張り、ひいては費用の問題を伴う。さらに、これらの周知のソリューションは、複雑な装置を必要とし、得るべき金網の仕様変更の場合にかなりの装置ダウンタイムを伴う。
【0013】
また、2つの長手ロッド間の最小ピッチは、個々のフィーダユニットがひとまとまりであることによって条件が課されることも知られている。
さらに、製造すべき金網の仕様変更が要求されると、第1の供給群の個々のフィーダユニットの相隔たる間隔の再位置決めの複雑かつ費用のかかる作業が必要となる。
【0014】
この作業は、一日の就業時間中に何度も繰り返される可能性があり、再位置決めで必要となる生産中断によって、時間とエネルギーの浪費を伴う。
また、電気溶接金網のロッドは、予め直線矯正されて溶接ユニットに供給されなければならず、溶接作業時に、それらの形状を損なうような屈曲又は湾曲を受けてはならないことも知られている。実際に、処理時にロッドに何らかの曲がりがあると、正確な規定サイズの金網を得ることができなくなる。
【0015】
電気溶接金網の生産用として、特許文献2に記載された機械も知られている。
この周知の機械で得ることが可能な電気溶接金網は、例えば約1mmの、いずれにしても2mm未満の、限られた直径の金属ワイヤによって形成され、それらのワイヤは、やはり、機械の特定の構造又は作動部品の配置によって要求される所望の曲線経路に沿うように移動及び屈曲させられる可能性がある。
【0016】
この機械は、複数の第1の長手ワイヤを第1のローラ型溶接ユニットに連続的に供給する第1のフィーダで構成される。第1の溶接ユニットに対応して、交差ワイヤを供給するためのフィーダユニットが設置されており、これは、交差ワイヤを収容するのに適した複数の長手シートが設けられた回転ドラムを備え、第1の溶接ユニットに対応して、適時ごとに、ドラムの回転により交差ワイヤを供給する。
【0017】
長手シートは、稼働中における第1の長手ワイヤの長手方向の繰り出しに対して交差する方向に配置されている。
第1の長手ワイヤと交差ワイヤとの正確な溶接を可能とするために、第1の長手ワイヤは、少なくとも部分的に回転ドラムに巻き付けられなくてはならず、第1の長手ワイヤと交差ワイヤとが接線接触した状態で、溶接は行われる。
【0018】
第1の溶接ユニットの下流には、それらの交差ワイヤに対して複数の第2の長手ワイヤを同じく略連続的に供給する第2のフィーダが設けられる。
第2の長手ワイヤは、第1の長手ワイヤに平行であり、かつ、第1の長手ワイヤの間に介在するものである。第2の長手ワイヤは、第1の長手ワイヤと溶接済みの交差ワイヤとがある平面に交差し、かつ、同平面に入る方向に向けて供給される。
【0019】
それらの平面への入射領域において、交差ワイヤは、第2の溶接ユニットによって第2の長手ワイヤに対して溶接される。
しかしながら、この溶接機械は、本発明とは全く異なる応用分野に属するものである。この周知の機械によれば、非常に細いワイヤで形成される金網が得られるのに対し、本発明が関連する機械は、非常に大きい直径の金属ロッドを加工するものである。この周知の機械では、機械部品の配置の自由度が高く、所定の曲線経路に沿うことにより余儀なくされる金属ワイヤの屈曲又は成形によって、金網の正確な生産が犠牲となることはない。
【0020】
この種の周知の機械は、実際に、補強用金属ロッドの加工に用いられることは、金網を製造するための金属ロッドの屈曲及び/又は湾曲は不可逆的であって不正確な金網の生産につながるので、あり得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【文献】米国特許出願公開第2012/0103460号明細書
【文献】米国特許第2712837号明細書
【発明の概要】
【0022】
従って、金網を製造するための装置及び方法を完全なものとして利用できるようにすることで、先行技術の欠点の少なくとも1つを克服することが求められている。
本発明は、さらに、少なくとも長手ロッドの位置決めに制限又は条件が課されない、金網を製造するための装置を提供することを目的とする。
【0023】
本発明の他の目的は、少なくとも長手ロッド間の距離が等しい値及び/又は異なる値を有するとともに、それらの距離が適時ごとに予め決定される、金網を製造することが可能な装置を提供することである。
【0024】
本発明の他の目的は、金網の仕様変更時にも、装置の設定時間及び停止時間の短縮、場合によっては解消が可能となる効率的な装置を構成することである。
他の目的は、どのような網目サイズの金網でも得られる、限られた数の構成部品を有する装置を提供することであり、これにより保守及び予備部品の補給の問題を軽減する。
【0025】
本発明は、さらに、限られた生産数の金網について変更することも可能な網目サイズであって、適時ごとに規定される網目サイズを有する金網を迅速に製造するための方法を提供することを目的とする。
【0026】
本出願人は、現状技術の欠点を克服するため、さらには、これら及び他の目的並びに効果を得るために、本発明を考案し、検証し、具現化した。
本発明は、独立請求項において記載されるとともに特徴付けられる一方、従属請求項は、発明の他の特徴、又は発明の主旨に対する変形例について記載している。
【0027】
本明細書に記載の実施形態は、要求に応じて適時ごとに規定される直径及び相隔たるピッチを有する複数の長手ロッド及び複数の交差ロッドによって形成される金網を製造するための装置に関するものである。いくつかの実施形態では、この装置は、順に並べて機能的にコーディネートされて配置された2つの作動群を備え、第1の作動群は、全複数の交差ロッドに対して所望のピッチで溶接された少なくとも2つの第1の長手ロッドを含む網状の半加工品を得るように構成されており、第2の作動群は、網状の半加工品を完成させて金網を得るために、網状の半加工品に対して所望のピッチで第2の長手ロッドを溶接するように構成される。
【0028】
本発明の可能な実施形態によれば、金網を製造するための装置は、
- 第1の供給平面にある少なくとも2つの第1の長手ロッドを第1の方向に供給するように構成された第1供給群と、
- 第1の供給平面に平行な第2の供給平面にある交差ロッドを、適時ごとに、第1の方向に交差する第2の方向に供給するように構成された第2の供給群と、
- 第2の供給群によって供給される交差ロッドを、適時ごとに、第1の長手ロッドに対して溶接して、網状の半加工品を得るように構成された第1の溶接ユニットと、を備える。
【0029】
本発明の一態様によれば、この装置は、
- 第2の供給平面に平行な第3の供給平面にある第2の長手ロッドを、適時ごとに供給するとともに、第2の長手ロッドを稼働中に網状の半加工品の第1の長手ロッドに対して平行に配置するように構成された第3の供給群と、
- 第2の長手ロッドを、適時ごとに、網状の半加工品の交差ロッドに対して溶接するための第2の溶接ユニットと、を備える。
【0030】
可能な実施形態によれば、第1と第2の作動群は、それらの個々の進行軸を有して配置されており、それらの進行軸は、効果的には直交である角度をなしているか、又はいずれにしても交差ロッドに対する長手ロッドの長手軸に従って配置されている。
【0031】
他の変形例によれば、第1と第2の作動群は、略同じ軸上に順に並べて配置されるか、又は角度をなす軸上に配置されて、網状の半加工品のための回転位置決め部材が2つの作動群の間に設けられる。
【0032】
第1の作動群若しくは第2の作動群のいずれか少なくとも一方、又はそれらの部品に対して指令するように構成された少なくとも1つの制御指令ユニットを設けることは、本発明の趣旨の範囲内にある。
【0033】
一変形例によれば、制御指令ユニットは、適時ごとに、所望のサイズのリンク並びに/又は所望の長さ及び/若しくは直径のロッドを用いて金網を製造するために、2つの作動群を協調的に操作する。
【0034】
本発明によれば、制御指令ユニットはプログラム可能である。
可能な実施形態によれば、長手ロッド又は交差ロッドのいずれか少なくとも1つは、予めサイズに合わせた大きさにされたロッド又は所定の長さのセグメントで規定されたロッドで供給することができる。
【0035】
他の変形例によれば、長手ロッド又は交差ロッドのいずれか少なくとも1つは、コイルからのロッドで供給することができる。
可能な定式化によれば、本発明は、さらに、金網を製造する方法に関する。
【0036】
本発明のこれら及び他の特徴は、添付の図面を参照して非限定的な例として提示される、いくつかの実施形態についての以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の可能な実施形態による、金網を製造するための装置の概略図。
図2】金網を製造するための他の装置の概略図。
図3図1の切断線III-IIIに沿った断面図。
図4図1の切断線IV-IVに沿った断面図。
図5】本発明の可能な実施形態による装置を用いて製造できる可能性のある金網の概略図。
図6図1の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
理解を助けるため、それらの図面において同一の共通要素を示すために、可能な限り同じ参照番号を用いている。一実施形態の要素及び特徴は、さらに明確にすることなく、他の実施形態に簡便に組み込むことができるものと理解される。
【0039】
本明細書において図面を参照して記載される実施形態は、金網11を製造するための装置10に関するものである。
金網11は、長手ロッド13、15及び交差ロッド14によって形成される。ロッド13、14、15は、直径D及び相隔たるピッチPを有することができ、これらは一定であるか、又は様々に異なることが可能であり、それらの特性は、金網11の性能要件に応じて規定される。
【0040】
それらのロッドは、長手ロッド13、15であるか交差ロッド14であるかに関わりなく、円形断面を有するか、又は方形、矩形、若しくは楕円形などの断面を有することができる。
【0041】
可能な実施形態によれば、ロッド13、14、15は、それらの表面に、コンクリートとのより良好なグリップを得るための固着リブを備えることができる。
複数の交差ロッド14は、第1の長手ロッド13及び第2の長手ロッド15に溶接されており、例えば、複数の交差ロッド14は、第1の長手ロッド13及び第2の長手ロッド15が重なり合う領域に対応して電気溶接されている。
【0042】
可能な実施形態によれば、装置10は、第1の作動群16と第2の作動群34とを備え、これらは、順にすなわち直列に、かつ互いに機能的にコーディネートされて配置されている。
【0043】
順に配置されていることは、第1の作動群16が、適時ごとに、網状の半加工品12を、これを完成して金網11を形成するための第2の作動群34に供給することを意味する。
【0044】
網状の半加工品12は、ベースフレームとして機能し、所望の位置に配置された少なくとも2つの第1の長手ロッド13に交差ロッド14が溶接されることによって形成されている。このようにして得られた網状の半加工品12は、次に、第2の長手ロッド15を用いて完成されることで、金網11を形成する。
【0045】
第2の長手ロッド15は、第1の長手ロッド13に略平行に配置するとともに、第1の長手ロッド13の間に介在させることができる。
網状の半加工品12の中の交差ロッド14は、次に第2の長手ロッド15を適用するための、網状の半加工品12自体のスタビライザとして機能する。
【0046】
可能な実施形態によれば、第1の作動群16は、少なくとも2つの第1の長手ロッド13を、互いに平行な個々の第1の方向D1に、所定の長さで供給するように構成された第1の供給群17を含むことができる。
【0047】
可能な実施形態によれば、第1の供給群17は、第1の横臥平面P1において、少なくとも2つの第1の長手ロッド13を供給するように構成される。
本発明の一実施形態によれば、第1の供給群17は、さらに、第1の長手ロッド13を所望の制御されたピッチで、第1の方向D1に移動させるように構成される。
【0048】
第1の方向D1に実行される、この段階的な供給では、さらに、第1の作動群16において形成される網状の半加工品12の進行軸も規定される。
第1の作動群16は、さらに、第1の供給平面P1に平行な第2の供給平面P2にある交差ロッド14を、第1の方向D1に交差する第2の方向D2に、適時ごとに供給するように構成された第2の供給群18を含む。
【0049】
第1の供給平面P1と第2の供給平面P2とは、交差ロッド14の上方に第1の長手ロッド13を位置決めすることを可能とするのに十分な距離で、互いに離間させることができる。
【0050】
本発明の可能なソリューションによれば、第2の供給群18は、適時ごとに、交差ロッド14の1つを、第1の長手ロッド13の上方又は下方に位置決めするために、直線的に移動させるように構成される。特に、第2の供給群18は、交差ロッド14を、それらの横長展開に平行な方向に直線的に移動させるものと規定される。
【0051】
第2の供給群18は、第1のフィーダユニット17に対して直交して、又は他の所望の角度で動作することができ、適時ごと、及び第1の長手ロッド13の供給ステップごとに、個々の交差ロッド14を所定の長さで供給するように構成される。
【0052】
効果的なソリューションによれば、方向D1とD2は、互いに対して90°に配置される。
第1の作動群16は、さらに、第2の供給群18によって供給される交差ロッド14を、適時ごとに、第1の長手ロッド13に対して溶接して、網状の半加工品12を得るように構成された第1の溶接ユニット19を含む。
【0053】
可能なソリューションによれば、第1の溶接ユニット19は、第2の方向D2に平行な方向に配置されており、すなわち、その方向に延びており、これにより、ステップごと、及び個々の交差ロッド14の供給ごとに、第1の長手ロッド13を交差ロッド14に溶接することで、網状の半加工品12を得る。
【0054】
本発明の他の実施形態によれば、第2の供給群18は、第1の溶接ユニット19の一端に配置されており、適時ごとに、交差ロッド14を第2の方向D2に第1の溶接ユニット19に挿入するように構成される。
【0055】
本発明の可能な実施形態によれば、第2の作動群34は、網状の半加工品12を受け取って、それを、稼働中に交差ロッド14の長手軸に略平行に配置される移動軸Mに沿って、所望の制御されたピッチで供給するように構成された受渡ユニット35を備える。
【0056】
特に、受渡ユニット35は、第1の溶接ユニット19から網状の半加工品12を受け取って、それを第2の溶接ユニット37に向けて移動させるように構成されるものと規定することができる。
【0057】
本発明の可能なソリューションによれば、受渡ユニット35は、第1の供給平面P1及び第2の供給平面P2に対して略平行に配置することができる網状の半加工品12のための支持平面を規定する。これにより、移動時に、網状の半加工品12が、得るべき最終的な金網の品質を損なう可能性がある望ましくない湾曲又は屈曲を受けることを防いでいる。
【0058】
第2の作動群34は、さらに、第2の供給平面P2に平行な第3の供給平面P3にある第2の長手ロッド15を、適時ごとに供給するとともに、それを、稼働中に網状の半加工品12の第1の長手ロッド13に対して平行に配置するように構成された、第3の供給群36を含む。
【0059】
可能なソリューションによれば、第3の供給群36は、適時ごとに、第2の長手ロッド15の1つを供給軸Aに沿って第2の溶接ユニット37まで直線的に移動させるように構成される。第3の供給群36は、第2の長手ロッド15を、それらの長手方向の展開に平行な方向に、直線的に移動させることができる。
【0060】
本発明の可能なソリューションによれば、第2の長手ロッド15は、交差ロッド14に関して、(図5に示すように)第1の長手ロッド15があるのと同じ側又は同じ平面に、あるいは反対側に、供給されることができる。
【0061】
いくつかのソリューションによれば、第3の供給群36は、網状の半加工品12の移動ステップごとに、1つの第2の長手ロッド15を、所定の長さで供給するように構成される。
【0062】
この供給は、移動軸Mに対して、限定するものではないが効果的には90°である所望の角度をなす供給軸A又は直交する供給軸Aに沿って行われる。
第2の作動群34は、さらに、適時ごとに、第2の長手ロッド15の1つを、少なくとも2つの第1の長手ロッド13に溶接済みの交差ロッド14に対して溶接するように構成された第2の溶接ユニット37を含む。
【0063】
第2の溶接ユニット37は、第3の供給群36と協調的に動作して、所望の金網11を得るために、網状の半加工品12の移動ステップごとに、第2の長手ロッド15の溶接を実行する。
【0064】
可能なソリューションによれば、第2の溶接ユニット37は、供給軸Aに沿って配置されており、すなわち、供給軸Aに平行な方向に延びており、これにより、網状の半加工品12の移動ステップごと、及び1つの第2の長手ロッド15の供給ごとに、第2の長手ロッド15を交差ロッド14に溶接することで、金網11を得る。
【0065】
本発明の他の実施形態によれば、第3の供給群36は、第2の溶接ユニット37の一端に配置されており、適時ごとに、第2の長手ロッド15を供給軸Aに沿って第2の溶接ユニット37に挿入するように構成される。
【0066】
可能な実施形態によれば、第1の供給群17は、第1の方向D1に平行な、網状の半加工品12の進行軸を規定している。
図1に示す実施形態によれば、第1の作動群16と第2の作動群34の進行軸は、この場合は90°であり、例えば60°~120°の間の角度を互いになしている。
【0067】
図1では、第2の作動群34の移動軸Mは、交差ロッド14の第2の供給方向D2に略平行である。
効果的な変形例によれば、第1の方向D1及び移動軸Mは、それぞれ第1の長手ロッド13の長手軸及び交差ロッド14の長手軸と同様に配置される。
【0068】
可能な変形例(図2を参照)によれば、第1と第2の作動群16、34は、同じ進行軸上に略整列して、順に並べて配置される。この変形実施形態によれば、第1の方向D1は、移動軸Mに平行である。
【0069】
この変形実施形態によれば、第1の溶接ユニットと受渡ユニット35との間に、網状の半加工品12を回転させるように構成された回転位置決め部材43が介在する。回転位置決め部材43は、網状の半加工品12を、第1の供給平面P1に対して平行に維持しつつ、回転させるように構成される。
【0070】
可能なソリューションによれば、回転位置決め部材43は、第1の長手ロッド13を第2の方向D2に対して略平行に配置するように、網状の半加工品12を回転させるように構成される。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、第1の供給群17は、第1の長手ロッド13を供給するための複数のフィーダユニット20を備える。
本発明の他の実施形態によれば、第2の供給群18は、交差ロッド14を供給するためのフィーダユニット20を備える。
【0072】
第2の作動群34において、第3の供給群36は、第2の長手ロッド15を供給するフィーダユニット20を備える。
フィーダユニット20は、所望の直径を有する1つのロッドを、適時ごとに供給するように構成された送り部材21を備えることができる。
【0073】
送り部材21は、金属ロッドを供給するためのコイル22、それらのロッドのための直線矯正部材23、延伸部材25、ガイド部材27、剪断部材28、及び送られるロッドの長さを測定するための測定手段24、のうちの少なくとも1つ、又はそれらの組み合わせを備えることができる。
【0074】
可能な実施形態(図2を参照)によれば、長手ロッド13、15又は交差ロッド14のいずれか少なくとも1つは、予め直線矯正されるとともに予め必要なサイズに合わせた大きさにされたロッドの貯蔵庫26から供給することができ、又は所定の長さのセグメントの形で供給することができる。
【0075】
可能な実施形態によれば、網状の半加工品12を生産するのに必要なフィーダユニット20の最小数は2つであるため、第1の供給群17は、効果的には2つのみのフィーダユニット20を備えることができる。
【0076】
この構成は、周知のソリューションで通常使用されるフィーダユニット20の数よりもかなり少ないという利点がある。
可能な実施形態によれば、供給された個々のロッドを支持することが可能な支持部材29を、個々のフィーダユニット20の下流に設けることができる。
【0077】
支持部材29は、第1の作動群16において形成される網状の半加工品12のための支持・移動平面を規定する。この支持・移動平面は、第1の供給平面P1及び第2の供給平面P2に対して略平行とすることができる。
【0078】
第1の方向D1における第1の長手ロッド13の送りピッチ、及び交差ロッド14が供給される頻度に応じて、適時ごとに、交差ロッド14間の軸間距離が規定される。
第1の作動群16において、溶接ユニット19は、適時ごとに例えば電気溶接によって第1の長手ロッド13を交差ロッド14に溶接するように構成された少なくとも2つの溶接部材30を有する。
【0079】
第2の作動群34において、溶接装置37は、適時ごとに例えば電気溶接によって第2の長手ロッド15を網状の半加工品12に溶接するための複数の溶接部材30を有する。
それぞれの溶接部材30は、個々のロッドが重なり合う領域の1つに対応して位置決めすることができる。例えば、溶接部材30は、適切なアクチュエータによって、第1の溶接ユニット19の溶接部材の場合は第2の方向D2に平行に、又は第2の溶接ユニット37の溶接部材の場合は供給軸Aに平行に、位置決めガイド31に沿って移動させることができる。アクチュエータは、適時ごとに、所望の網目サイズに応じて、溶接部材を、位置決めガイド31に沿って所望の位置に位置決めするように構成される。
【0080】
可能な実施形態によれば、各々の溶接部材30は、第1の長手ロッド13と交差ロッド14とが重なり合う領域に関して互いに対向する第1の電極32と第2の電極33とを有することができる。
【0081】
第1の電極32と第2の電極33には、第1の長手ロッド13と交差ロッド14の溶接に必要なエネルギーを印加するために、図示していない発電機によって通電することができる。
【0082】
第1の電極32又は第2の電極33のいずれか少なくとも一方は、2つの電極32と33が互いに離間することで溶接対象のロッドを配置することが可能な間隙を形成している第1の位置と、2つの電極32と33でロッドをクランプして溶接する第2の溶接位置と、の間で選択的に可動とすることができる。
【0083】
可能な実施形態によれば、第2の作動群34の受渡ユニット35は、第1の方向D1に対して角度をなして、又は効果的には直交して配置されたガイド装置38を備えることができる。
【0084】
他の記載の実施形態と組み合わせることが可能であり得る実施形態によれば、ガイド装置38は、第1の方向D1に対して略平行に、又は第1の方向D1に揃えて、配置される。
【0085】
ガイド装置38は、第2の作動群34の移動軸Mを規定する。
可能な実施形態によれば、ガイド装置38は、移動軸Mに平行な方向に揃えて配置された1つ以上のガイド要素39を有することができる。
【0086】
可能な実施形態(図1)によれば、受渡ユニット35は、網状の半加工品12を、第1の作動群16から受け取って、ガイド装置38が規定する移動軸Mに沿って移動させることが可能な、スライダ又は他の類似の部材のような移動部材40を有することができる。
【0087】
可能な実施形態によれば、移動部材40は、さらに、網状の半加工品12を、所望の方向に向くように回転させてから、ガイド装置38が規定する移動軸Mに沿って移動させるように構成することもできる。
【0088】
可能な実施形態によれば、受渡ユニット35は、適時ごとに、移動部材40を移動軸Mに沿って所望のピッチで制御駆動するように構成された制御装置41を有することができる。
【0089】
移動部材40の制御移動は、第2の長手ロッド15の間に確保されるべき軸間距離に応じた所望のピッチで行われる。
可能な実施形態によれば、装置10は、第1の作動群16若しくは第2の作動群34のいずれか少なくとも一方、又はそれらの部品に対して指令するように構成された制御指令ユニット42を備えることができる。
【0090】
可能な実施形態によれば、制御指令ユニット42は、適時ごとに所望の網目サイズの金網11を製造するために、協調的にフィーダユニット20と受渡ユニット35に対して制御及び指令するように構成することができる。
【0091】
特に、制御指令ユニット42は、装置10の構成要素の機能管理を可能とする、例えば、マイクロコントローラ、プログラマブル電子回路、又は何らかの類似のユニットを備えることができる。
【0092】
可能な定式化によれば、本発明は、さらに、金網11を製造する方法に関し、この方法は、
- 第1の供給平面P1にある少なくとも2つの第1の長手ロッド13を、第1の供給群17によって、第1の方向D1に供給することと、
- 第1の供給平面P1に平行な第2の供給平面P2にある交差ロッド14を、第2の供給群18によって、適時ごとに、第1の方向D1に交差する第2の方向D2に供給することと、
- 網状の半加工品12を得るために、第1の溶接ユニット19によって、交差ロッド14を第1の長手ロッド13に溶接することと、
- 第2の供給平面P2に平行な第3の供給平面P3にある第2の長手ロッド15を、第3の供給群36によって、適時ごとに供給するとともに、それを、稼働中に網状の半加工品12の第1の長手ロッド13に対して平行に配置することと、
- 第2の溶接ユニット37によって、適時ごとに、第2の長手ロッド15を交差ロッド14に溶接することと、を提供する。
【0093】
本発明の可能な実施形態によれば、同じ直径Dのロッドを使用する場合に、処理中であっても、中断することなく進行するように、ロッドの長さ及び/又は配置を変更することが可能である。
【0094】
上述のような、金網11を製造するための装置10に対して、本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、変更及び/又は部品の追加が可能であることは明らかである。
また、本発明について、いくつかの具体例を参照して説明したが、当業者であれば、装置10の他の多くの均等形態を確実に実現可能であることも明らかであり、それらは、請求項に記載の特徴を有するものであり、よって、それらはいずれも、請求項で規定される保護分野の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6