(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】キャブレターアセンブリの始動設定検出機構
(51)【国際特許分類】
F02M 1/02 20060101AFI20220526BHJP
F02D 41/06 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
F02M1/02 E
F02M1/02 G
F02M1/02 B
F02D41/06
(21)【出願番号】P 2019566240
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(86)【国際出願番号】 SE2018050545
(87)【国際公開番号】W WO2018231120
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-03-26
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】511268591
【氏名又は名称】ハスクバーナ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウィクマン、トマス
(72)【発明者】
【氏名】エクルンド、ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】ラーション、ミカエル
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0013965(US,A1)
【文献】特開昭59-039955(JP,A)
【文献】特開昭62-013764(JP,A)
【文献】特開昭58-178854(JP,A)
【文献】実開昭61-043958(JP,U)
【文献】国際公開第2013/022390(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 1/02
F02M 7/22
F02D 9/10
F02D 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ユニット(17)、空気チャネル(8)、スロットルバルブ(9)、チョークバルブ(10)、パルス燃料バルブ(11)、および、前記空気チャネル(8)内を進む空気(A)に燃料を供給するように構成されている、前記燃料バルブ(11)と燃料出口(13)との間に延在する燃料供給ライン(12)を備え、前記制御ユニット(17)は、特定の始動設定に従って燃料を供給するように前記燃料バルブ(11)を制御するよう適合されているキャブレターアセンブリにおいて、
前記チョークバルブ(10)は、前記特定の始動設定において開くかまたは閉じることができ、
前記キャブレターアセンブリ(7)は、回転角度検出アセンブリ(20)を備え、前記回転角度検出アセンブリ(20)はさらに、前記チョークバルブ(10)に接続されているチョークシャフト(30)に少なくとも間接的に取り付けられているチョーク検出パーツ(29)を備え、それによって、前記チョーク検出パーツ(29)は、前記チョークバルブ(10)とともに回転するように構成されており、
前記回転角度検出アセンブリ(20)は、前記制御ユニット(17)に接続されるとともに、前記チョーク検出パーツ(29)によって影響を受けるように適合されているチョークセンサデバイス(23、33)をさらに備え、それによって、前記チョークセンサデバイス(23、33)は、前記チョークバルブ(10)が開いているかまたは閉じているかに応じて、前記制御ユニット(17)に異なる出力信号を提供
し、
前記回転角度検出アセンブリ(20)は、前記スロットルバルブ(9)に接続されているスロットルシャフト(22)に少なくとも間接的に取り付けられている少なくとも1つのスロットル検出パーツ(24、25)を備え、それによって、前記スロットル検出パーツ(24、25)は、前記スロットルバルブ(9)とともに回転するように構成されており、
前記回転角度検出アセンブリ(20)は、前記制御ユニット(17)に接続されるとともに、前記スロットル検出パーツ(24、25)によって影響を受けるように適合されているスロットルセンサデバイス(23)をさらに備え、それによって、前記スロットルセンサデバイス(23)は、前記スロットルバルブ(9)の開口の程度に応じて、前記制御ユニット(17)に異なる出力信号を提供し、前記制御ユニット(17)が、前記スロットルバルブ(9)の開口の程度を判断することを可能にし、
それぞれのスロットル検出パーツは、対応するスロットル磁石(24、25)によって構成され、
前記スロットルセンサデバイスは、前記スロットル磁石(24、25)の磁場によって影響を受けるように適合されているスロットル磁場センサ(23)によって構成され、
前記チョーク検出パーツはチョーク磁石(29)によって構成され、
前記チョークセンサデバイスは、前記チョーク磁石(29)の磁場によって影響を受けるように適合されているチョーク磁場センサ(23、33)によって構成され、
前記チョーク磁場センサは前記スロットル磁場センサ(23)と同じであることを特徴とする、キャブレターアセンブリ。
【請求項2】
前記制御ユニット(17)は、前記チョークバルブ(10)が開いているかまたは閉じているかを判断するように適合されていることを特徴とする、請求項1に記載のキャブレターアセンブリ。
【請求項3】
前記回転角度検出アセンブリ(20)は、少なくとも1つのチョーク位置において、前記チョーク磁石(29)と前記スロットル磁場センサ(23)との間に位置決めされるように構成されている磁気的に伝導する金属パーツ(32)を備えることを特徴とする、請求項
1または2に記載のキャブレターアセンブリ。
【請求項4】
前記チョークバルブ(10)が閉位置にあるときに、前記スロットル磁場センサ(23)は、その時点の稼働状態に固有である前記スロットルバルブ(9)の判断された開口の程度を示す信号を前記制御ユニット(17)に出力するように構成されており、前記制御ユニット(17)が、前記チョークバルブ(10)が閉じていると判断すること、および、それに従って前記燃料の供給を制御することを可能にすることを特徴とする、請求項
1~3のいずれか一項に記載のキャブレターアセンブリ。
【請求項5】
前記スロットル磁場センサ(23’)は少なくとも2つの磁場センサ素子(23a、23b、23c)を備え、これらの磁場センサ素子(23a、23b、23c)のうちの少なくとも2つは、相互に垂直な磁場を検出するように構成されていることを特徴とする、請求項
1~3のいずれか一項に記載のキャブレターアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御ユニット、空気チャネル、スロットルバルブ、チョークバルブ、パルス燃料バルブおよび燃料供給ラインを備えるキャブレターアセンブリに関する。制御ユニットは、特定の始動設定に従って燃料を供給するように燃料バルブを制御するよう適合されている。
【背景技術】
【0002】
2ストロークまたは4ストローク型の内燃エンジンには、通常、キャブレター式またはインジェクション式の燃料供給システムが備え付けられている。キャブレターにおいては、キャブレターのスロットルが、操作者の要求によって影響を受けることで、大きく開口したスロットルが、キャブレターのバレルにおいて最小の絞りを生成する。キャブレターのベンチュリにおける通過する空気によって生じる低気圧によって、燃料をエンジン内に引き込む。
【0003】
従来のキャブレターを有するクランク室掃気型エンジンを始動させるとき、チョークバルブは、操作者によってチョーク制御部を使用して閉じられ、スロットルバルブは、始動ガス位置に設定される。引っ張りコードを引っ張ってエンジンを始動させるとき、空気および燃焼の混合物が、エンジンのクランク室に送達される。操作者が最初の点火を聞くと、多すぎる燃料でエンジンが溢れることを回避するためにチョークバルブが開かれる。しかし、操作者は時々、最初の点火の認識に失敗し、エンジンを溢れさせ、結果として、その製品を所望通りに始動させることができない。
【0004】
特許文献1は、チョークバルブが閉じており、スロットルバルブが始動またはアイドリングスロットル位置において僅かに開いている始動設定を記載している。空気の通路が、空気がチョークバルブを越えて漏出することを可能にし、それによって、始動燃料出口で終端する始動燃料ラインから供給される燃料濃度を下げる。始動中の内燃エンジンへの燃料の供給を制御するために、制御ユニットは異なるセンサ入力を使用する。
【0005】
他のタイプの始動設定機構が考えられるが、すべての始動設定機構に共通であるのは、特定の始動設定が存在することを制御するのが重要であることである。
1つまたは複数の起動設定を確実かつ効率的に取り扱うことが可能な検出機構を有することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、選択された所望の始動設定に関連する入力を提供する検出機構を提供し、効率的な始動手順を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、制御ユニット、空気チャネル、スロットルバルブ、チョークバルブ、パルス燃料バルブ、および、空気チャネル内を進む空気に燃料を供給するように構成されている、燃料バルブと燃料出口との間に延在する燃料供給ラインを備える、キャブレターアセンブリによって達成される。制御ユニットは、特定の始動設定に従って燃料を供給するように燃料バルブを制御するよう適合されており、チョークバルブは、前記特定の始動設定において開くかまたは閉じることができる。キャブレターアセンブリは、回転角度検出アセンブリを備え、回転角度検出アセンブリはさらに、チョークバルブに接続されているチョークシャフトに少なくとも間接的に取り付けられているチョーク検出パーツを備え、それによって、チョーク検出パーツは、チョークバルブとともに回転するように構成されている。回転角度検出アセンブリは、制御ユニットに接続されるとともに、チョーク検出パーツによって影響を受けるように適合されているチョークセンサデバイスをさらに備え、それによって、チョークセンサデバイスは、チョークバルブが開いているかまたは閉じているかに応じて、制御ユニットに異なる出力信号を提供する。
【0009】
いくつかの態様によると、制御ユニットは、チョークバルブが開いているかまたは閉じているかを判断するように適合されている。
いくつかの態様によると、回転角度検出アセンブリは、スロットルバルブに接続されているスロットルシャフトに少なくとも間接的に取り付けられている少なくとも1つのスロットル検出パーツを備え、それによって、前記スロットル検出パーツは、スロットルバルブとともに回転するように構成されている。回転角度検出アセンブリは、制御ユニットに接続されるとともに、前記スロットル検出パーツによって影響を受けるように適合されているスロットルセンサデバイスをさらに備え、それによって、スロットルセンサデバイスは、スロットルバルブの開口の程度に応じて、制御ユニットに異なる出力信号を提供し、制御ユニットが、スロットルバルブの開口の程度を判断することを可能にする。
【0010】
いくつかの態様によると、それぞれのスロットル検出パーツは、対応するスロットル磁石によって構成され、スロットルセンサデバイスは、前記スロットル磁石の磁場によって影響を受けるように適合されているスロットル磁場センサによって構成される。
【0011】
いくつかの態様によると、チョーク検出パーツはチョーク磁石によって構成され、チョークセンサデバイスは、チョーク磁石の磁場によって影響を受けるように適合されているチョーク磁場センサによって構成される。
【0012】
いくつかの態様によると、チョーク磁場センサはスロットル磁場センサと同じである。
いくつかの態様によると、回転角度検出アセンブリは、少なくとも1つのチョーク位置において、チョーク磁石とスロットル磁場センサとの間に位置決めされるように構成されている磁気的に伝導する金属パーツを備える。
【0013】
他の例が従属項において開示されている。
多くの利点が、本開示によって得られる。主に、選択された所望の始動設定に関連する入力を与えるように構成されており、効率的な始動手順を可能にする検出機構が提供される。
ここで、添付の図面を参照して、本開示をより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】チョークバルブが閉じている状態のキャブレターアセンブリの斜視図。
【
図3】第1の例による、チョークバルブが閉じている状態のキャブレターアセンブリの斜視図。
【
図4】第1の例による、チョークバルブが開いている状態のキャブレターアセンブリの斜視図。
【
図5】第1の例によるキャブレターアセンブリの概略図。
【
図6】第2の例によるキャブレターアセンブリの概略図。
【
図7】第3の例による、チョークバルブが閉じている状態のキャブレターアセンブリの斜視図。
【
図8】第3の例による、チョークバルブが開いている状態のキャブレターアセンブリの斜視図。
【
図9】第3の例によるキャブレターアセンブリの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照すると、燃焼エンジン2、スロットルレバー4を有するハンドル3、ソーチェーン6を有するガイドバー5を備えるチェーンソー1がある。ハンドルは、稼働モードスイッチ16も備える。燃焼エンジン2は、以前から周知である種類の、クランク室掃気型のスパーク点火型2ストロークエンジンである。
【0016】
以下では、
図2、
図3、
図4および
図5も参照するが、
図2は、チョークバルブが閉じている状態のキャブレターアセンブリの斜視図を示しており、
図3は、チョークバルブ10が閉じている状態のキャブレターアセンブリの部分的に切り開かれた斜視図を示しており、
図4は、チョークバルブ10が開いている状態のキャブレターアセンブリの部分的に切り開かれた斜視図を示しており、
図5は、キャブレターアセンブリの主要な概略図を示している。
図5においては、すべての構成要素が示されており、参照符号が付されているが、
図2、
図3および
図4においては、対応する図において見える部分のみに参照符号が付されている。
【0017】
燃焼エンジン2はキャブレターアセンブリ7を備え、キャブレターアセンブリ7はさらに、空気チャネル8、スロットルバルブ9、チョークバルブ10、パルス燃料バルブ11、空気チャネル8内を進む空気に燃料を供給するように構成されている、燃料バルブ11と燃料出口13との間に延在する燃料供給ライン12を備える。空気が、空気入口14から空気出口15まで進むように構成されており、この場合、スロットルバルブ9は、空気出口15の比較的近くに配置されており、チョークバルブ10は、空気入口14の比較的近くに配置されている。パルス燃料バルブ11はさらに、燃料を、燃料タンク19から燃料給送ライン31を介してパルス燃料バルブ11に給送するように適合されている燃料ポンプ機構18に接続されている。いくつかの態様によると、燃料ポンプ機構18は、クランク室の圧力変化によって推進される。空気入口14は、以前から周知の方法で、空気フィルターを介して吸気口に接続されており、空気出口15は、以前から周知の方法で、燃焼エンジン2に含まれているクランク室に接続されている。
【0018】
稼働モードスイッチ16は、3つの設定であるオフ設定、通常の稼働設定および始動設定に合わせて構成されている。始動設定に設定されているとき、稼働モードスイッチ16は、チョークバルブ10を閉位置に、および、スロットルバルブ9をいわゆるファストアイドル位置に設定するように構成されており、これは、スロットルバルブ9がわずかに開くことを意味する。いくつかの態様によると、これは、約15°の開口角度に対応する。スロットルバルブ9がいわゆるアイドル位置に設定されているとき、スロットルバルブ9は閉じており、この場合、燃焼エンジン2のアイドリング状態を可能にするために、小さいスリットまたは孔のみが、少量の燃料/空気混合物が通過することを可能にする。オフ設定においては、点火は停止され、いくつかの態様によると、点火は不可能にされる。
【0019】
キャブレターアセンブリ7は、1つまたは複数の異なるセンサ入力に応じて燃料バルブ11を制御するように構成されている制御ユニット17をさらに備える。
始動設定が選択されると、
図3および
図5において示されているように、チョークバルブは閉じ、スロットルバルブ9はファストアイドル位置に設定される。燃焼エンジン2を始動させるとき、制御ユニット17は、燃料を好適な量まで供給するように燃料バルブ11を制御するよう構成されている。いくつかの態様によると、燃料バルブ11は双安定性であり、停止されると、燃料バルブ11は開くかまたは閉じることができる。ユーザが始動コードを引っ張ることによってチェーンソー1が作動されると、制御ユニット17は、燃焼エンジン2が始動したと判断されるまで、燃料バルブ11を一定の開位置に設定するように構成されている。
【0020】
燃焼エンジン2が始動したと制御ユニット17が判断すると、制御ユニット17は、燃料を、比較的希薄な燃料混合物が空気出口15から出力されるような量まで供給するように燃料バルブ11を比較的迅速に制御するよう構成されている。いくつかの態様によると、制御ユニット17は、特定のエンジン速度に達するまで、いくつかのさらなる態様によると、エンジンの速度が1秒あたり50回のフライホイールの回転を超えると、燃料バルブ11を閉じるように構成されている。次に、燃料バルブ11の通常の稼働調節が開始する。
【0021】
このように、燃焼エンジン2は、チョークバルブ10が閉じている場合であっても、始動した後で始動設定において特定の時間にわたって稼働することが可能となる。いくつかの態様によると、前記特定の時間は、周囲温度などの特定の条件に応じて、比較的長いものとすることができ、いずれの場合においても、ユーザが、エンジンを停止させることなく、通常の稼働のためにスロットルを使用して始動することを可能にする。燃焼エンジン2が停止することを防止するために、燃焼エンジン2が始動したと制御ユニット17が判断した瞬間から非常に迅速に、希薄な燃料混合物が空気出口15から出力されることが重要であることに留意されたい。
【0022】
いくつかの態様によると、制御ユニット17は、エンジン速度センサからのセンサ入力を分析することによって燃焼エンジン2が始動していると判断している。いくつかの態様によると、検出される速度もしくは加速の形態の検出される速度変化のいずれかまたは両方が、制御ユニット17へのそのようなセンサ入力を形成する。
【0023】
いくつかの態様によると、制御ユニット17は、エンジン速度の平均値が、1秒あたり8回のフライホイールの回転を超える場合に、燃焼エンジン2が始動していると判断するように構成されている。
【0024】
いくつかの態様によると、制御ユニット17は、最初の3回のフライホイール回転後に、フライホイールの加速が、その後の2回のフライホイール回転4~5に関してフライホイールの16回転毎秒毎秒を超えると、および/または、フライホイールの加速が、最初の5回のフライホイール回転後にフライホイールの8回転毎秒毎秒を超えると、燃焼エンジン2が始動していると判断するように構成されている。
【0025】
動力スロットルレバー4が押されると、稼働モードスイッチ16は、通常の稼働設定に自動的に切り替わり、この場合、チョークバルブ10は開位置に位置決めされ、スロットルバルブ9は動力スロットルレバー4によって制御される。
【0026】
通常の稼働設定にあるスロットルバルブ9の位置を検出することによって、制御ユニット17は、燃料を、その時点のスロットルバルブ9の位置に適した量まで供給するように燃料バルブ11を制御するよう構成されている。スロットルバルブ9の位置の検出は、2つのスロットル磁石24、25を備えるとともに、スロットルシャフト22に接続されている第1の磁気ディスク21を備える回転角度検出アセンブリ20によって行われる。スロットルシャフト22はスロットルバルブ9に接続されており、それによって、第1の磁気ディスク21およびスロットル磁石24、25はスロットルバルブ9とともに回転する。
【0027】
回転角度検出アセンブリ20は、固定して配置されているスロットルホールセンサ23をさらに備え、この場合、スロットルホールセンサ23は、
図3および
図4の部分的に切り開かれた図ならびに
図5において示されている。
【0028】
磁気ディスク21の回転位置に応じて、磁場の強度はスロットルホールセンサ23の位置において変わり、スロットルホールセンサ23の出力電圧は、磁場の強度に従って、したがって、スロットルバルブ9の開口の程度にも従って連続的に変化する。
【0029】
スロットルホールセンサ23は、ホールセンサ出力信号を角度に変換するように構成されている制御ユニット17に接続されている。スロットルホールセンサ23はしたがって、スロットルバルブ9の開口の程度に応じて制御ユニット17に異なる出力信号を提供し、制御ユニット17が、スロットルバルブ9の開口の程度を判断することを可能にする。ホールセンサの特徴は、例えば、温度とともに変わり、したがって、いくつかの態様によると、スロットルホールセンサ23の温度を測定するために温度センサを設けることができ、ホールセンサの異なる温度に対して正確な補償が適用されることを可能にする。
【0030】
高温のエンジンは、チョークバルブ10が閉じた状態にはないが、スロットルバルブ9がファストアイドル位置にある状態で、好適に再始動される。これを可能にするために、稼働モードスイッチ16はチョークスイッチノブ26を備え、それによって、始動設定が選択されるとき、すなわち、チョークバルブ10が閉じており、スロットルバルブ9がファストアイドル位置にあるときに、スロットルバルブ9をファストアイドル位置に維持したままで、チョークバルブをチョークスイッチノブ26によって開くことができる。稼働モードスイッチ16およびチョークスイッチノブ26は、
図5において破線によって概略的にのみ示されている連結機構27を介して、チョークバルブ10およびスロットルバルブ9に接続されている。
【0031】
チョークバルブ10が開いており、スロットルバルブ9がファストアイドル位置にある状態で高温のエンジンが再始動される場合、制御ユニット17は、チョークバルブ10が閉じている通常の始動設定に従って燃料を供給するように燃料バルブ11を制御しないことが重要である。
【0032】
いくつかの態様によると、高温のエンジンは、チョークバルブ10が閉じており、スロットルバルブ9がファストアイドル位置にある状態で、換言すると通常の始動設定に従って再始動することもできる。この場合、制御ユニット17が、それに従って燃料を供給するように燃料バルブ11を制御することが重要である。
【0033】
いくつかの態様によると、高温のエンジンは、通常の稼働設定に対応する、チョークバルブ10が開いており、スロットルバルブ9がアイドル位置にある状態で再始動することもできる。この場合、制御ユニット17が、それに従って燃料を供給するように燃料バルブ11を制御することが同様に重要である。
【0034】
概して、ユーザが始動コードを引っ張ることによってチェーンソー1が十分に作動されるとすぐに、または、燃焼エンジン2が始動すると、制御ユニット17は、チョークバルブ10が開いているかまたは閉じていることができ、いくつかの態様によると、エンジンが高温または低温とすることができる特定の始動設定に従って燃料を供給するように燃料バルブ11を制御するよう適合されている。いくつかの態様によると、制御ユニット17はしたがって、いくつかの態様によると温度およびエンジン稼働速度であるさらなるセンサ入力に応じて燃料を供給するように燃料バルブ11を制御するよう構成されている。そのようなセンサ入力は、上記で説明したように燃焼エンジン2が始動しているか否かを判断するのにも使用される。
【0035】
本開示によると、チョークバルブ10の位置は、回転角度検出アセンブリ20によって検出され、回転角度検出アセンブリ20は、1つのチョーク磁石29を備えるとともにチョークシャフト30に接続されている第2の磁気ディスク28をさらに備える。チョークシャフト30はチョークバルブ10に接続されており、それによって、第2の磁気ディスク28およびチョーク磁石29は、チョークバルブ10とともに回転する。回転角度検出アセンブリ20は、制御ユニット17に接続されているチョークホールセンサを備え、この場合、チョークホールセンサは、チョークバルブ10が開いているかまたは閉じているかに応じて制御ユニット17に異なる出力信号を提供するように、チョーク磁石29によって影響を受けるように構成されている。
【0036】
第1の例においては、チョークホールセンサはスロットルホールセンサ23と同じである。チョークバルブが閉じている
図3において示されているように、チョーク磁石29の最も近い位置であっても、スロットルホールセンサ23から比較的離れているため、回転角度検出アセンブリ20は、チョーク磁石29とスロットルホールセンサ23との間に位置決めされるように構成されている金属プレート32を備える。このように、チョーク磁石29の磁場は、スロットルホールセンサ23に向かって増幅される。金属プレートは、鉄などの磁気的に伝導する金属を含む。錆などの腐食を防止するために、金属をプラスチックカバー内に成形するか、または、保護コーティングで覆うことができる。代替的には、金属プレートは、腐食に抵抗する材料で作ることができる。金属プレートはプレートの形態である必要はなく、球状などの任意の好適な形状を有することができ、磁気的に伝導する金属パーツによって全体的に構成される。
【0037】
チョークバルブ10が閉位置にあるとき、スロットルホールセンサ23はしたがってチョーク磁石29の磁場によって影響を受け、それによって、異常な稼働状態に対応する、スロットルバルブ9の判断された開口の程度、いくつかの態様によると、その時点のエンジン稼働速度に対応しない開口の程度を示す信号を制御ユニット17に出力し、いくつかのさらなる態様によると、そのような開口の程度は約30°~50°である。制御ユニット17はしたがって、チョークが閉位置にあると検出すること、および、チョークバルブ10が閉位置にあり、燃焼エンジン2が始動していると判断されている場合に従って燃料を供給するように燃料バルブ11を制御することが可能となる。
【0038】
より詳細には、
図4において示されているように、チョークバルブ10は開位置にあり、スロットルホールセンサ23は、2つのスロットル磁石24、25の磁場によってのみ実際に影響を受けるが、この理由は、チョーク磁石29が向きを変えているためであり、一例として、スロットルバルブのこの位置はファストアイドルである。スロットルホールセンサ23は次に、ファストアイドルに対応するスロットルバルブ9の判断された開口の程度を示す信号を制御ユニット17に出力し、それに従って燃料の供給を適合させる。
【0039】
図3および
図5において示されているように、チョークバルブ10が閉じている場合、チョーク磁石29は金属プレート32に引き寄せられ、それによって、その磁場がスロットルホールセンサ23に影響を与える。この場合にスロットルホールセンサ23によって検出される全体的な磁場は、ファストアイドルには対応しないが、その時点の稼働状態に固有である別の開口の程度に対応するスロットルバルブ9の開口の程度を示す出力信号を制御ユニット17に与え、制御ユニット17が、チョークバルブ10が閉じていると判断すること、および、それに従って燃料の供給を制御することを可能にする。
【0040】
このように、1つのみのホールセンサが必要であり、そのホールセンサは、チョーク磁石29の磁場を別個に検出するように適合されていないが、チョークバルブ10が閉じているときにチョーク磁石29の磁場によって影響を受ける2つのスロットル磁石24、25の磁場のみを検出するように適合されており、それによって、スロットルバルブ9の特定の検出される開口の程度をシミュレートする、結果として生じる磁場が得られる。
【0041】
いくつかの態様によると、スロットルホールセンサ23は、チョーク磁石29の磁場、および、2つのスロットル磁石24、25の磁場を別個に検出するように構成されており、それによって、制御ユニット17には、スロットルバルブ9およびチョークバルブ10の正確な位置を互いに独立して判断することを可能にするセンサ信号が供給される。以下の第2の例および第3の例は、これを達成することができる方法を開示する。
【0042】
図6は、第2の例によるキャブレターアセンブリ7’の主要な概略図を示している。ここで、スロットルホールセンサ23’は、3つの別個のホールセンサ素子23a、23b、23cを備え、この場合、それぞれのホールセンサ素子23a、23b、23cは、特定の方向に沿って延在する磁場を検出するように構成されており、この場合、対応する検出可能な方向は、互いに対して垂直である。このように、異なる磁石からの磁場を区別することが可能である。これを達成するために、チョーク磁石29の対応する磁場、および、2つのスロットル磁石24、25の磁場は相互に垂直である。
【0043】
概して、スロットル磁場センサ23’は、少なくとも2つの磁場センサ素子23a、23b、23cを備え、この場合、これらの磁場センサ素子23a、23b、23cのうちの少なくとも2つは、相互に垂直な磁場を検出するように構成されている。
【0044】
図3、
図4および
図5にそれぞれ対応する
図7、
図8および
図9を参照すると、キャブレターアセンブリ7’’の第3の例が記載される。ここで、回転角度検出アセンブリ20’’は、別個のチョークホールセンサ33を備える。スロットルホールセンサ23は、2つのスロットル磁石24、25の磁場のみを検出するように構成されており、別個のチョークホールセンサ33は、チョーク磁石29の磁場のみを検出するように構成されている。
【0045】
本開示による回転角度検出アセンブリ20によって、起動時の燃料の供給を制御する改善された方法を可能にするために、センサ入力が利用可能である。
図10を参照すると、方法は、
34:燃焼エンジン2が始動していると判断されるまで、燃焼エンジン2が始動したか否かを判断すること、
35:燃焼エンジン2が始動していると判断される場合、チョークバルブ10が開いているかまたは閉じているかを判断すること
を含む。
【0046】
チョークバルブ10が閉じている場合、スロットルバルブ9はファストアイドル位置にあり、方法は、
36:燃料バルブ11を閉じること、
37:燃焼エンジン2が特定の所定のエンジン速度に達しているか否かを判断することであって、いくつかのさらなる態様によると、上記で記載したように、エンジン速度が1秒あたり50回のフライホイール回転を超えるときを判断すること
を含む。
【0047】
燃焼エンジン2が所定のエンジン速度に達していないと判断されている間、方法は、
36:燃料バルブ11を閉位置に維持すること
を含む。
【0048】
燃焼エンジン2が所定のエンジン速度に達したと判断されるとき、方法は、
38:燃焼エンジン2が稼働したまま維持されるように、燃料の供給を調整すること
を含む。
【0049】
チョークバルブが開いている場合、方法は、
39:スロットルバルブ9の位置を検出すること、および
38:それに従って燃料の供給を調整すること
を含む。
【0050】
当然ながら、方法は、チョークバルブ10が閉じているか否かに関係なく、スロットルバルブ9の位置を検出することを含むことができるが、いくつかの態様によると、チョークバルブ10が閉じている場合、スロットルバルブ9は常にファストアイドル位置にあり、すなわち、チョークバルブ10は、スロットルバルブ9が何らかの他の位置にある状態では閉じることができない。
【0051】
本開示は、上記の例に限定されないが、添付の特許請求の範囲の範囲内で自由に変えることができる。例えば、第1の磁気ディスク21は、1つのみのまたは3つ以上のスロットル磁石を備えることができる。同様に、第2の磁気ディスク28は2つ以上のチョーク磁石を備えることができる。キャブレターの斜視図において示されているように、磁気ディスク21、28は、ディスク形状である必要はなく、磁気保持パーツによって全体的に構成される。
【0052】
垂直、平行などの用語が使用される場合、これらの用語は、数学的に正確に解釈されるべきではなく、実際に得られるものの範囲内で解釈される。
上記において、チェーンソーは、キャブレターアセンブリ7を備えるのに好適であるものとして記載されている。概して、本開示によるキャブレターアセンブリ7は、燃焼エンジンを有する任意の好適な動力工具、例えば、動力カッターまたはクリアリングソーにおいて使用することができる。本開示によるキャブレターアセンブリ7を備える燃焼エンジンは、任意のタイプの2または4ストロークエンジンとすることができるが、非クランク室掃気型エンジンも可能である。
【0053】
金属プレート32は、金属プレート32を有することなく所望の効果を達成することができるのであれば、省くことができる。
それぞれのホールセンサは、概して、任意のタイプの好適な対応する磁場センサによって構成され、それによって、チョークホールセンサは概して、チョーク磁場センサ23、33によって構成され、スロットルホールセンサは概して、スロットル磁場センサ23によって構成される。
【0054】
いくつかの態様によると、回転角度検出アセンブリ20は、磁気特性ではなく他の特性を使用する他のパーツを備える。いくつかの態様によると、磁石の代わりに、スロット、孔、窪みまたはマーキングがあり、この場合、これらは光学センサによって検出される。
【0055】
いくつかの態様によると、磁石の代わりに、チョークシャフト30およびスロットルシャフト22またはチョークシャフト30もしくはスロットルシャフト22に少なくとも間接的に取り付けられる様々な手段を有するパーツがあり、この場合、これらは容量センサまたは誘導センサによって検出される。
【0056】
概して、磁石または他の対応するパーツは、対応するチョーク検出パーツ29および対応する少なくとも1つのスロットル検出パーツ24、25によって構成される。磁場センサまたは他の対応するパーツは、対応するチョークセンサデバイス23、33および対応するスロットルセンサデバイス23によって構成される。
【0057】
制御ユニット17は、1つのユニットまたは2つ以上の別個のユニットのいずれかによって構成される。
概して、本開示は、制御ユニット17、空気チャネル8、スロットルバルブ9、チョークバルブ10、パルス燃料バルブ11、および、空気チャネル8内を進む空気Aに燃料を供給するように構成されている、燃料バルブ11と燃料出口13との間に延在する燃料供給ライン12を備える、キャブレターアセンブリ7に関し、制御ユニット17は、特定の始動設定に従って燃料を供給するように燃料バルブ11を制御するよう適合されている。チョークバルブ10は、前記特定の始動設定において開くかまたは閉じることができ、キャブレターアセンブリ7は、回転角度検出アセンブリ20を備え、回転角度検出アセンブリ20はさらに、チョークバルブ10に接続されているチョークシャフト30に少なくとも間接的に取り付けられているチョーク検出パーツ29を備え、それによって、チョーク検出パーツ29は、チョークバルブ10とともに回転するように構成されており、回転角度検出アセンブリ20は、制御ユニット17に接続されるとともに、チョーク検出パーツ29によって影響を受けるように適合されているチョークセンサデバイス23、33をさらに備え、それによって、チョークセンサデバイス23、33は、チョークバルブ10が開いているかまたは閉じているかに応じて、制御ユニット17に異なる出力信号を提供する。
【0058】
いくつかの態様によると、制御ユニット17は、チョークバルブ10が開いているかまたは閉じているかを判断するように適合されている。
いくつかの態様によると、回転角度検出アセンブリ20は、スロットルバルブ9に接続されているスロットルシャフト22に少なくとも間接的に取り付けられている少なくとも1つのスロットル検出パーツ24、25を備え、それによって、前記スロットル検出パーツ24、25は、スロットルバルブ9とともに回転するように構成されており、回転角度検出アセンブリ20は、制御ユニット17に接続されるとともに、前記スロットル検出パーツ24、25によって影響を受けるように適合されているスロットルセンサデバイス23をさらに備え、それによって、スロットルセンサデバイス23は、スロットルバルブ9の開口の程度に応じて、制御ユニット17に異なる出力信号を提供し、制御ユニット17が、スロットルバルブ9の開口の程度を判断することを可能にする。
【0059】
いくつかの態様によると、それぞれのスロットル検出パーツは、対応するスロットル磁石24、25によって構成され、スロットルセンサデバイスは、前記スロットル磁石24、25の磁場によって影響を受けるように適合されているスロットル磁場センサ23によって構成される。
【0060】
いくつかの態様によると、チョーク検出パーツはチョーク磁石29によって構成され、チョークセンサデバイスは、チョーク磁石29の磁場によって影響を受けるように適合されているチョーク磁場センサ23、33によって構成される。
【0061】
いくつかの態様によると、チョーク磁場センサはスロットル磁場センサ23と同じである。
いくつかの態様によると、回転角度検出アセンブリ20は、少なくとも1つのチョーク位置において、チョーク磁石29とスロットル磁場センサ23との間に位置決めされるように構成されている磁気的に伝導する金属パーツ32を備える。
【0062】
いくつかの態様によると、チョークバルブ10が閉位置にあるときに、スロットル磁場センサ23は、その時点の稼働状態に固有であるスロットルバルブ9の判断された開口の程度を示す信号を制御ユニット17に出力するように構成されており、制御ユニット17が、チョークバルブ10が閉じていると判断すること、および、それに従って燃料の供給を制御することを可能にする。
【0063】
いくつかの態様によると、スロットル磁場センサ23’は少なくとも2つの磁場センサ素子23a、23b、23cを備え、これらの磁場センサ素子23a、23b、23cのうちの少なくとも2つは、相互に垂直な磁場を検出するように構成されている。
【0064】
いくつかの態様によると、回転角度検出アセンブリ20’’は、チョーク磁石29の磁場のみを検出するように構成されている別個のチョーク磁場センサ33を備える。