(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】案内表示装置
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20220526BHJP
【FI】
B61L25/02 A
(21)【出願番号】P 2020020576
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】原田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】武田 浩二
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-206906(JP,A)
【文献】特表2011-521302(JP,A)
【文献】特開平07-149237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種案内情報を側面の表示パネル部に表示して提供する本体部と、該本体部を吊り下げる吊下げ部とを備える案内表示装置であって、
前記本体部は、側面に開口部を備える箱状の筐体部と、該開口部を密閉すると共に前記表示パネル部を備える情報提供板部とから構成され、
前記筐体部の底面部の両端には開口孔が設けられ、該開口孔上には各々第1、第2のファン部が取り付けられており、
前記第1のファン部は、前記開口孔を介して前記筐体部の外側から内側の方向に気流が発生するように配置され、
前記第2のファン部は、前記開口孔を介して前記筐体部の内側から外側の方向に気流が発生するように配置されて
おり、
前記筐体部には、前記底面部及び頂面部間に垂直に、少なくとも1つ以上の縦板部が立設され、
前記本体部内の空間を、複数の部分空間に仕切る前記縦板部の上方には、前記頂面部の長手方向と平行する方向に気流を発生するファン部が取り付けられていることを特徴とする案内表示装置。
【請求項2】
各種案内情報を側面の表示パネル部に表示して提供する本体部と、該本体部を吊り下げる吊下げ部とを備える案内表示装置であって、
前記本体部は、側面に開口部を備える箱状の筐体部と、該開口部を密閉すると共に前記表示パネル部を備える情報提供板部とから構成され、
前記筐体部の底面部の両端には開口孔が設けられ、該開口孔上には各々第1、第2のファン部が取り付けられており、
前記第1のファン部は、前記開口孔を介して前記筐体部の外側から内側の方向に気流が発生するように配置され、
前記第2のファン部は、前記開口孔を介して前記筐体部の内側から外側の方向に気流が発生するように配置されており、
前記筐体部は、前記底面部及び頂面部間に垂直に立設した一対の縦板部を有し、
前記本体部内の空間を、3つの部分空間に仕切る前記一対の縦板部の上方には、各々第3、第4のファン部が取り付けられ、
前記第3、第4のファン部の気流が発生する方向は、前記頂面部の長手方向と平行であって同方向であることを特徴とする案内表示装置。
【請求項3】
前記本体部内は、前記一対の縦板部によって上流室、中流室、下流室に区分けされ、前記第3のファン部の気流方向は前記上流室から前記中流室へと、前記第4のファン部は前記中流室から前記下流室へと気流を発生させることを特徴とする請求項
2に記載の案内表示装置。
【請求項4】
前記一対の縦板部間を渡す横板部は、前記中流室に配置され、該横板部に前記表示パネル部を制御する制御部が配置されていることを特徴とする請求項
3に記載の案内表示装置。
【請求項5】
前記一対の縦板部及び前記横板部は、高熱伝導性の材質から成ることを特徴とする請求項
4に記載の案内表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば駅のホーム等に吊り下げられる案内表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の従来技術で示すように、箱体内に表示器本体と駆動制御回路とが収納された案内表示装置が、駅のホーム等に吊り下げられている。箱体の天井板に形成した開口孔の上面には、ベンチレータが取付けられており、開口部の下面には排気ファンが取り付けられている。表示器本体や駆動制御回路の発熱で温度上昇した箱体内部の空気は、排気ファンで上方に排出され、内部の電子機器が冷却される。
【0003】
また、特許文献1には、箱体の天井板に開口孔が形成され、箱体の底板の開口孔と対向する位置に長穴が形成され、開口孔と長穴の内面に自然対流式の冷却手段、例えばアルミニウムの角筒部材が配置され、開口孔を覆うようにベンチレータが配設された案内表示装置が開示されている。箱体内部と外気に温度差があると、角筒部材の連通穴内を外気が煙突効果で上昇して、箱体内部の温度上昇した空気から熱を奪い、自然に外部へ排出されていくので、箱体内部を冷却できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
駅のホーム等で案内表示装置を運用する場合には、屋外に設けられた屋根の内側から吊り下げられることが多い。従って、強風を伴う雨、雪等が発生した際には、特許文献1の従来技術の案内表示装置では、たとえベンチレータを設けていたとしても箱体の天井板に形成された開口部から、箱体内に雨水、雪氷等が侵入してしまうことがある。
【0006】
そして、箱体内に侵入した雨水や雪氷が原因で、表示器本体のLED等の表示素子、駆動制御回路のICやLSI等の回路素子がショートし、破損するという問題も生じる。
【0007】
また、特許文献1の案内表示装置では、密閉構造の箱体内部に外気が侵入することはないため、内蔵用品の電源ユニットやLEDモジュールの素子等は、侵入物が原因となってショートし、破損することはないが、角筒部材の連通穴内には塵埃、雨水、雪氷等が侵入するので、連通穴内の外気の流れが妨げられ、従来の案内表示装置と同様に排熱が不十分となり、高温による故障や寿命の低下を招く。
【0008】
近年は夏期の気温上昇が著しく、筐体内が70~80℃に達することも多い。このような状況では特許文献1の案内表示装置の自然対流による排熱機構では、たとえ連通穴内に全く侵入物がなくても、十分に箱体内部を冷却することができず、箱体内に蓄積した熱により、電源ユニットやLEDモジュールの素子に破壊等が発生するという問題もある。
【0009】
本発明は、筐体内に上部から塵埃、雨水、雪氷等が侵入することなく、ファンにより筐体内から効率的に排熱する案内表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る案内表示装置は、各種案内情報を側面の表示パネル部に表示して提供する本体部と、該本体部を吊り下げる吊下げ部とを備える案内表示装置であって、前記本体部は、側面に開口部を備える箱状の筐体部と、該開口部を密閉すると共に前記表示パネル部を備える情報提供板部とから構成され、前記筐体部の底面部の両端には開口孔が設けられ、該開口孔上には各々第1、第2のファン部が取り付けられており、前記第1のファン部は、前記開口孔を介して前記筐体部の外側から内側の方向に気流が発生するように配置され、前記第2のファン部は、前記開口孔を介して前記筐体部の内側から外側の方向に気流が発生するように配置されており、前記筐体部には、前記底面部及び頂面部間に垂直に、少なくとも1つ以上の縦板部が立設され、前記本体部内の空間を、複数の部分空間に仕切る前記縦板部の上方には、前記頂面部の長手方向と平行する方向に気流を発生するファン部が取り付けられていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明に係る案内表示装置は、各種案内情報を側面の表示パネル部に表示して提供する本体部と、該本体部を吊り下げる吊下げ部とを備える案内表示装置であって、前記本体部は、側面に開口部を備える箱状の筐体部と、該開口部を密閉すると共に前記表示パネル部を備える情報提供板部とから構成され、前記筐体部の底面部の両端には開口孔が設けられ、該開口孔上には各々第1、第2のファン部が取り付けられており、前記第1のファン部は、前記開口孔を介して前記筐体部の外側から内側の方向に気流が発生するように配置され、前記第2のファン部は、前記開口孔を介して前記筐体部の内側から外側の方向に気流が発生するように配置されており、前記筐体部は、前記底面部及び頂面部間に垂直に立設した一対の縦板部を有し、前記本体部内の空間を、3つの部分空間に仕切る前記一対の縦板部の上方には、各々第3、第4のファン部が取り付けられ、前記第3、第4のファン部の気流が発生する方向は、前記頂面部の長手方向と平行であって同方向であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る案内表示装置によれば、上方からの塵埃、雨水、雪氷等が筐体の内部に侵入することはなく、筐体内部への侵入物が原因となって、筐体内部で短絡や故障が発生し難くなる。また、一方のファンから外気を筐体内に取り込み、筐体内での発熱を気流で冷却し、その結果高温となった気流を他方のファンで筐体外に排出することができ、効率的な排熱も同時に実現している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】案内表示装置の上方から見た際の斜視図である。
【
図2】案内表示装置の下方から見た際の斜視図である。
【
図3】情報提供板部を取り外した状態の本体部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を
図1~
図3に図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は実施例の案内表示装置の上方から見た際の斜視図、
図2は下方から見た際の斜視図、
図3は、案内表示装置から情報提供板部を取り外した状態の本体部の斜視図である。
【0014】
案内表示装置の大きさは、横1200mm、縦415mm、高さ280mm程度であり、表示パネルの大きさに応じて、適宜の大きさのものを選択可能であり、駅のプラットホーム等の屋根から吊り下げるようにして設置する。
【0015】
案内表示装置は、各種案内情報を側面の表示パネル及び音声を出力するスピーカを介して利用客に情報提供を行う略直方体状の本体部1と、この本体部1を吊り下げ可能とする一対の吊下げ部2と、本体部1に接続する電力供給線、電気信号線、光ファイバ等を内部に配線した柱部3とから構成されている。
【0016】
また、吊下げ部2としては円環状の金具以外に、適宜の形状の吊下げ具を採用してもよく、更には柱部3を一対の金属製や樹脂製のパイプ等で形成し、吊下げ部として兼用することもできる。
【0017】
本体部1は、長側面に対して一対の開口部1aを備える箱状の筐体部1bと、この筐体部1bの内部に設置された各種の内設機器1cと、筐体部1bの頂面部1dに蝶番等の図示しない取付部を介して開閉自在に取付けられた一対の情報提供板部1eとから構成されている。
【0018】
筐体部1bの各開口部1aは各情報提供板部1eによって閉止され、情報提供板部1eの下端に取り付けられた取付具1fによって、情報提供板部1eを筐体部1bの底面部1gに対して固定する。取付具1fにより固定することで、筐体部1bは密閉される。
【0019】
情報提供板部1eの裏面周縁部には、防水用パッキンが設けられており、情報提供板部1eによって筐体部1bが密閉された際には、筐体部1bと情報提供板部1eとの隙間から雨水等が本体部1内に浸入することはない。
【0020】
また、情報提供板部1eは筐体部1bの両側面に配置されているが、一方の側面だけに配置されるようにしてもよい。このような場合には、筐体部1bは一方の側面だけに開口部1aを有し、他方の側面は板材等で閉止されている。
【0021】
筐体部1bの頂面部1dと底面部1gとは平行しており、底面部1gの短辺は、頂面部1dの短辺よりも若干短くなっている。従って、開口部1aを情報提供板部1eにより閉止すると図示するように情報提供板部1eの表示パネル部1hは下方に傾いた状態となる。このように下方に傾かせることで、利用客は表示パネル部1hが見易くなる。情報提供板部1eは必ずしも傾かせる必要はなく、垂直であってもよい。
【0022】
筐体部1bの底面部1gの左右両端には、網目状の開口孔1iが設けられており、これらの開口孔1iの上面には集塵を行うフィルタ部1jが設置されている。これらのフィルタ部1jは不織布等から成り、筐体部1b内への塵埃の侵入を防止し、空気のみが筐体部1b内に供給され、筐体部1b外に排出される。従って、情報提供板部1eが閉止された状態の筐体部1bは、底面部1gに設けた開口孔1iのみにより、外気と通気可能となる。
【0023】
2組の開口孔1i及びフィルタ部1jには、それぞれ第1のファン部4及び第2のファン部5が取り付けられている。第1のファン部4及び第2のファン部5には、後述する電源部から例えばDC24V、4.5Aの電力が供給され、100Wの冷却能力を有するプロペラ等の回転ファンが内蔵されている。なお、第1のファン部4及び第2のファン部5の冷却能力、つまり送風能力は、設置個所の環境や本体部1の大きさに応じて、適宜のものが採用される。
【0024】
第1のファン部4は案内表示装置の吊り上げ方向である矢印で図示するように、発生する気流方向が本体部1の外側から内側になるように回転ファンが配置されている。第2のファン部5は、案内表示装置の吊り下げ方向である矢印で図示するように、発生する気流方向が本体部1の内側から外側になるように回転ファンが配置されている。
【0025】
本体部1内には気流を円滑に流すと共に、各種の内設機器1cを設置するために、底面部1gと頂面部1dとの間に垂直に立設した一対の縦板部1kと、これらの縦板部1k間を渡す横板部1lとが設けられている。また、一対の縦板部1kは本体部1内の空間を、長側面に沿う方向に3つの部分空間である上流室1m、中流室1n、下流室1oに分割する仕切板の役割も担っている。なお、縦板部1kにより、各室1m~1oを完全に仕切る必要はない。
【0026】
上流室1mは底面部1g上に第1のファン部4を含むように縦板部1kで仕切られ、中流室1nは本体部1外と通気するファンを設置せず、両側面を縦板部1kで仕切られた内部に横板部1lを配置する。そして、下流室1oは底面部1g上に第2のファン部5を含むように縦板部1kで仕切られている。
【0027】
縦板部1k、横板部1lは、設置される内設機器1cからの放熱性を高めるために、通常は高熱伝導性の軽量な材質、例えばアルミニウム等から成る。放熱性が不要な内設機器1cを設置する場合には、縦板部1k、横板部1lは軽量な樹脂製であってもよい。
【0028】
横板部1lに設置される内設機器1cは、柱部3から延在する電気信号線や光ファイバから成る情報通信ケーブル3aが接続される受信部1pと、この受信部1pが受信した情報信号から表示信号を生成して情報提供板部1eの表示パネル部1hに出力する制御部1qとを備える。
【0029】
制御部1qはCPUやメモリ等を搭載した演算制御基板であり、図示しない接続ケーブルを介して、情報提供板部1eの裏面側から表示パネル部1hに接続されている。制御部1qから接続ケーブルを介して各種案内情報を出力し、表示パネル部1hに表示させる。制御部1qは、本体部1の中流室1nの略中央に設置されているが、頂面部1dと底面部1gの間であれば、適宜の箇所に設置することが可能である。
【0030】
なお、表示する各種案内情報は、柱部3の情報通信ケーブル3aを介して案内表示装置と接続された図示しない中央装置により管理されている。駅の管理室等に設置された中央装置から出力される現在時刻に対応した出力指令に基づいて、表示パネル部1h及び図示しない音声を出力するスピーカを介して、利用客に情報提供を行う。
【0031】
一対の縦板部1kの上方には、それぞれ通気孔1rが設けられており、これら通気孔1rにはそれぞれ第3のファン部6及び第4のファン部7が取り付けられている。第3のファン部6及び第4のファン部7は、第1のファン部4及び第2のファン部5の送風能力と同等か、又は送風能力の若干低いものを使用するのが好ましい。第3のファン部6及び第4のファン部7の回転ファンにより発生する気流方向は、矢印で図示するように頂面部1dの長手方向と略平行であって、第3のファン部6は本体部1の上流室1mから中流室1nへの、第4のファン部7は中流室1nから下流室1oへの水平方向である。
【0032】
このようにして本体部1内に取り付けられた第1~第4のファン部4~7は、制御部1qと図示しない制御信号ケーブルで接続されており、制御部1qからの制御指令信号によってオンオフ又は出力の制御が行われる。
【0033】
なお、出力制御を行う場合には、本体部1内に温度センサを設置し、温度センサからの温度出力信号を制御部1qで監視する。例えば、本体部1内の温度が設定値を超える場合には、第1~第4のファン部4~7の出力を最大とし、更にLED素子の輝度、又は液晶のバックライトを半減させる等の出力制御を行う。
【0034】
また、下流側の縦板部1kの下流室1o側の面には、電源部1sが取り付けられており、電源部1sの底面は筐体部1bの底面部1gに載置されている。電源部1sには柱部3から延在する電力供給線や電気信号線から成る電力ケーブル3bが接続されており、電源部1sから図示しない電気ケーブルにより、第1~第4のファン部4~7、制御部1qに電力が供給されている。
【0035】
なお、第1~第4のファン部4~7を制御部1qと制御線を介して接続せずに、電源部1sのみと接続し、電源部1sから電気ケーブルを介して電力が供給されると、直ちに回転ファンが回転を開始するようにしてもよい。
【0036】
このように構成された案内表示装置の電源部1sに、電力ケーブル3bを介して電力を供給すると共に、動作開始を指示するオン信号を送信すると、電源部1sは第1~第4のファン部4~7、制御部1qに駆動電力の供給を始める。電力の供給を受けた制御部1qは動作を開始し、第1~第4のファン部4~7にファンの回転を指示するオン信号を送信する。第1~第4のファン部4~7は、制御部1qから受信したオン信号に従ってファンの回転を開始し、
図3に示す矢印に示すように、本体部1内を循環する気流が発生する。
【0037】
次に、中央装置から情報通信ケーブル3aを介して受信部1pに、表示すべき各種案内情報を含む出力指令信号を送信する。受信部1pは受信した出力指令信号を演算し易い形式に変換して制御部1qに出力する。なお、制御部1qは第1~第4のファン部4~7の動作をチェックし、本体部1から外部への排熱ができる状態であることを確認してから、入力した出力指令信号から表示信号を生成する演算を実行するようにしてもよい。
【0038】
生成した表示信号を情報提供板部1eの表示パネル部1hに出力することによって、表示パネル部1hに各種案内情報を表示する。同時に図示しないスピーカ等に音声信号を出力し、各種案内情報の音声放送も行う。
【0039】
これらの電源部1sや制御部1qの動作、表示パネル部1hの情報表示、更には図示しないスピーカの音声放送等によって、本体部1内ではそれぞれの消費電力に対応した発熱が各所で発生する。特に、制御部1qには局所的に発熱密度の高い部分があるため、一部が異常な高温に達し、制御部1qを構成する回路素子の一部には耐熱性の低いものがあるため、素子の使用上限温度に達するような事態が起こり得る。また、表示パネル部1hは全面にLED素子、又は液晶のバックライト等があるため、ほぼ面内で一様に発熱し、全体が高温となり得る。
【0040】
このような想定される発熱状態に対応して、第1~第4のファン部4~7は、本体部1内の3つに区分けされた上流室1m、中流室1n、下流室1oに対してそれぞれに適切な気流を発生させる。
【0041】
第1のファン部4は、外気を開口孔1i及びフィルタ部1jを介して本体部1内の上流室1m内に取り込み、上流室1mの前後の側面である情報提供板部1eの表示パネル部1hが設けられている部分に一様に気流を発生させ、表示パネル部1hの裏面側から発熱を冷却する。気流は対向する前後側面である表示パネル部1hの間を右上方に向かって流れ、第3のファン部6の入口に達する。
【0042】
制御部1qは、第1のファン部4が外気を取り込む流量とほぼ同量の気流を上流室1mから中流室1nへと送り込めるように、第3のファン部6のファンの回転数を制御する。第3のファン部6によって中流室1nに送り込まれた気流は、対向する第4のファン部7に向かって、ほぼ直線的に流れる。
【0043】
制御部1qには局所的に発熱密度の高い部分や、耐熱性の低い素子が実装されている部分があるが、高熱伝導性の材質から成る横板部1lに設置されているので、制御部1qの動作によって発生した熱は、横板部1lによって上下左右に拡散する。その結果、制御部1q及び横板部1lには、左右方向には若干下流側が高温となるもののほぼ一様な温度分布となり、上下方向にはほぼ一様な温度分布が形成される。
【0044】
第3のファン部6から第4のファン部7に向う気流は、制御部1q及び横板部1lのほぼ一様な温度となっている上部側を通過する。従って、制御部1q及び表示パネル部1hにより熱せられて上昇した空気は、第3のファン部6から第4のファン部7に向う気流によって効果的に冷却を行うことができる。
【0045】
なお、制御部1qに局所的な発熱密度の偏りが極端に大きい部分や、極端に耐熱性の劣る素子が実装された部分がある場合には、必ずしも横板部1lによる熱拡散効果のみによって、制御部1qの温度分布を一様にしなくてもよい。このような場合には、制御部1qの局所的な発熱密度の偏りが極端に大きい部分や、極端に耐熱性の劣る素子が実装された部分を、気流が十分に通過するように、適宜に制御部1qを横板部1lに設置する位置を上下方向に変更することによって、適切な冷却を行うこともできる。
【0046】
制御部1qは、第3のファン部6が中流室1nへと送り込む流量とほぼ同量の気流を下流室1oへと送り込めるように、第4のファン部7のファンの回転数を制御する。第4のファン部7によって下流室1oに送り込まれた気流は、電源部1sの右側面と、対向する前後側面である情報提供板部1eの表示パネル部1hが設けられている部分を右下方に向かって流れ、第2のファン部5に達する。発熱する電源部1s、表示パネル部1hに一様な気流が流れ、十分な冷却を行うことができる。
【0047】
制御部1qは、第1のファン部4が本体部1内に取り込んだ外気とほぼ同量の気流を、フィルタ部1j及び開口孔1iを介して本体部1外に排出するように、第2のファン部5のファンの回転数を制御する。表示パネル部1h、制御部1q、電源部1s等の発熱によって温度上昇した空気が、第2のファン部5によって本体部1内の下流室1oから本体部1外に排出される。すなわち、本体部1内で発生した熱は、空気と共に本体部1外に排出されて、本体部1は動作可能な温度状態を維持し続ける。
【0048】
以上に述べたように、本体部1内を一対の縦板部1kによって3室に分割することで、外気から取り込んだ気流が、第1のファン部4から第2のファン部5に直接に流れることを防止し、第3のファン部6及び第4のファン部7によって制御部1q等により熱せられた空気に対して、本体部1内の内周面に沿う気流を発生させることができる。その結果、本体部1内の主要な発熱源である表示パネル部1h、制御部1q、電源部1sを気流によって効果的に冷却することができ、高温となった気流と共に本体部1外に排熱することができる。
【0049】
また、本実施例では、本体部1内を一対の縦板部1kによって3室に分割しているが、1つ又は3つ以上の縦板部1kを配置して、本体部1内を複数室に分割するようにしてもよい。本体部1の頂面部1dの長手方向である水平方向に気流を発生させるファンを配置した縦板部1kを、少なくとも1つ本体部1内に設置することで、本実施例同様に本体部1内の内周面に沿う気流を本体部1内に発生させることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 本体部
1a 開口部
1b 筐体部
1d 頂面部
1e 情報提供板部
1g 底面部
1h 表示パネル部
1i 開口孔
1k 縦板部
1l 横板部
1m 上流室
1n 中流室
1o 下流室
1p 受信部
1q 制御部
1s 電源部
2 吊下げ部
4 第1のファン部
5 第2のファン部
6 第3のファン部
7 第4のファン部