(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】高放熱ドライヤ
(51)【国際特許分類】
A45D 20/12 20060101AFI20220526BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220526BHJP
A45D 20/10 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
A45D20/12 C
H05K7/20 G
A45D20/10 102
A45D20/12 Z
(21)【出願番号】P 2020565751
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 CN2019126727
(87)【国際公開番号】W WO2020186853
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】201910199496.2
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517384844
【氏名又は名称】キングクリーン エレクトリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニ ズゥゲン
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-204321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/12
H05K 7/20
A45D 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(1)と
、前記ハウジング(1)内に配置されたモータ(3)、電熱線(5)、および発熱部材(2)とを備える高放熱ドライヤであって、
前記発熱部材(2)は前記モータ(3)の周囲に円周方向に配置され、前記ハウジング(1)内に給気バリアが設けられ、前記給気バリアの少なく一部が前記ドライヤのエアダクト(11)内に配置され、給気の少なくとも一部は前記給気バリアを通過する際に方向が変更されてから前記発熱部材(2)を
通過した後、前記電熱線(5)を通過する、
ことを特徴とする高放熱ドライヤ。
【請求項2】
前記エアダクト(11)は、吸込口に近いエアダクト前段(111)と、吹出口に近いエアダクト後段(112)とを備え、前記エアダクト前段(111)は、前記発熱部材(2)とモータ(3)との間の環状空間であり、前記エアダクト後段(112)は、吹出口に近い内筒(4)の外側の環状空間であり、前記給気バリアは、前記エアダクト前段(111)と前記エアダクト後段(112)との境界に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の高放熱ドライヤ。
【請求項3】
前記給気バリアは、前記内筒(4)の前記吸込口に近い端面である、
ことを特徴とする請求項2に記載の高放熱ドライヤ。
【請求項4】
前記給気バリアには、気流の一部が前記内筒(4)に入るための通風口(6)が設けられ、前記内筒(4)内には、機能素子ラジエータ(41)と機能風吹出口(42)が設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の高放熱ドライヤ。
【請求項5】
前記内筒(4)の内径Hに対する前記モータ(3)の外径Lの比は、0.65乃至1である、
ことを特徴とする請求項4に記載の高放熱ドライヤ。
【請求項6】
前記通風口(6)は、給気方向に向けられた通風入口と、前記発熱部材(2)に向けられた通風出口とを備え、前記通風入口と前記通風出口とは互いに離れている、
ことを特徴とする請求項4に記載の高放熱ドライヤ。
【請求項7】
前記通風出口は前記発熱部材(2)の基部に向けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載の高放熱ドライヤ。
【請求項8】
前記給気バリアは、前記エアダクト(11)内に設けられた風ガイド面であり、前記風ガイド面は、垂直面又は斜面であり、前記風ガイド面は、前記発熱部材(2)
における吸込口から離れる側に
近接する、
ことを特徴とする請求項1に記載の高放熱ドライヤ。
【請求項9】
前記風ガイド面と前記発熱部材(2)は、
前記エアダクト(11)
を挟んで対向する、
ことを特徴とする請求項8に記載の高放熱ドライヤ。
【請求項10】
前記発熱部材(2)は、配線基板を含む、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の高放熱ドライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用電器という技術分野に関し、特に高放熱ドライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライヤは、湿った物体に熱風を当てて乾燥させる家庭用電器であり、排気を発生させる構造体はファンであり、排気を加熱する構造体は電熱線である。ファンを回転するように駆動する構造体はモータである。
【0003】
ブラシレスモータは、動作状態が比較的安定しているモータであるが、ブラシレスモータの配線基板(特に、その上のMOSトランジスタ及びサイリスタ)は、大量の熱を発生する。また、騒音を低減するため、配線基板をエアダクトに直接に取り付けることはよくないので、ドライヤに取り付けられたブラシレスモータの放熱効果が低く、動作状態が不安定であり、ドライヤにブラシレスモータを適用することが制限される。ドライヤは、配線基板を環状に形成してエアダクトの外周面に配置され、給気による温度低下を図るものもあるが、この構成では給気と配線基板との接触面積が限られ、特に配線基板の風下側の位置が給気に全く当たらず放熱能力が不足する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、配線基板の放熱効率を向上させることができるドライヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明は以下の技術案を採用する。
【0006】
ハウジングと発熱部材とを備える高放熱ドライヤであって、前記ハウジング内に給気バリアが設けられ、前記給気バリアの少なく一部は前記ドライヤのエアダクト内に配置され、給気の少なくとも一部は前記給気バリアを通過する際に方向が変更されてから前記発熱部材を通過する、高放熱ドライヤ。
【0007】
好ましくは、前記エアダクトは、吸込口に近いエアダクト前段と、吹出口に近いエアダクト後段とを備え、前記エアダクト前段は、前記発熱部材とモータとの間の環状空間であり、前記エアダクト後段は、吹出口に近い内筒の外側の環状空間であり、前記給気バリアは、前記エアダクト前段と前記エアダクト後段との境界に位置する。
【0008】
好ましくは、前記給気バリアは、前記内筒の前記吸込口に近い端面である。
【0009】
好ましくは、前記給気バリアには、気流の一部が前記内筒に入るための通風口が設けられ、前記内筒内には、機能素子ラジエータと機能風吹出口が設けられている。
【0010】
好ましくは、前記内筒の内径Hに対する前記モータの外径Lの比は、0.65乃至1である。
【0011】
好ましくは、前記通風口は、給気方向に向けられた通風入口と、前記発熱部材に向けられた通風出口とを備え、前記通風入口と前記通風出口とは互いに離れている。
【0012】
好ましくは、前記通風出口は前記発熱部材の基部に向けられる。
【0013】
好ましくは、前記給気バリアは、前記エアダクト内に設けられた風ガイド面であり、前記風ガイド面は、垂直面又は斜面であり、前記風ガイド面は、前記発熱部材の吸込口から離れる側に位置する。
【0014】
好ましくは、前記風ガイド面と前記発熱部材は、それぞれに前記エアダクトの対向する両側に配置される。
【0015】
好ましくは、前記発熱部材は、配線基板を含む。
【0016】
本発明の高放熱ドライヤは、気流の一部が方向が変更されてから発熱部材の熱を奪うことで、従来の装置の配線基板の放熱効果が悪いという問題を解決し、ドライヤの動作の安定性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の具体的な実施形態に係るドライヤの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、具体的な実施形態に基づいて本発明の技術案を詳細に説明する。
【0019】
本実施形態は、高放熱ドライヤを開示する。
図1及び
図2に示すように、このドライヤは、ハウジング1と、ハウジング1内に配置された発熱部材2とを備え、発熱部材2は、モータの配線基板であってもよいが、これに限定されない。ただし、従来のドライヤで気流を加熱するために使用される電熱線ではない。ハウジング1内には、少なくとも一部がドライヤのエアダクト11内に配置される給気バリアが設けられる。エアダクト11に流入した気流は、給気バリアによって少なくとも一部がブロックされ、流れの方向が変えられて発熱部材2に吹き付けられ、発熱部材2の表面から熱を奪う。ブラシレスモータの配線基板の発熱が多く、放熱が困難であるという問題を解決する。
【0020】
給気バリアの具体的な設置位置は限定されない。好ましくは、エアダクト11は、吸込口に近いエアダクト前段111と吹出口に近いエアダクト後段112とを備え、エアダクト前段111は、発熱部材2とモータ3との間の環状空間であり、エアダクト後段112は吹出口に近い内筒4の外側の環状空間(内筒4の外側の壁に複数の電熱線ホルダ5が取り付けられ、電熱線ホルダ5が吸込方向に延び、気流が電熱線ホルダ5の間を通過する)であり、給気バリアは、エアダクト前段111とエアダクト後段112との境界に位置する。この位置は発熱部材2との距離が短く、吹きつけ方向が変えられた気流が発熱部材2に当たりやすくなり、より多くの熱を奪うことができる。
【0021】
給気バリアは、内筒4の吸込口に近い端面であることが好ましく、内筒4の直径はモータ3の直径よりも大きいので、
図1及び
図2に実線の矢印で示すように給気の一部が内筒4の端面に当たり、そこから進路を変えて発熱部材2の風下側と基部とに直接当たるように方向が変更され、発熱部材2の熱が付いた気流は再び発熱部材2に当たって方向が変更されて通常の気流(図における一点鎖線に示す)と共にドライヤの吹出口から吹き出される。
【0022】
この過程において、この方向が変更された気流は、発熱部材2の風下側や基部に衝突した後、再び方向が変更されて吹出口の方向に流れ、発熱部材2の基部にある程度の負圧を発生させ、そこを更により多くの空気が流れるようにして、発熱部材2の熱を奪い、発熱部材2の温度を低下させる。
【0023】
内筒4の端面(すなわち、給気バリア)には、空気の一部が内筒4に流入するための通風口6が設けられており、内筒4内には、機能素子ラジエータ41と、機能風吹出口42と機能素子(図示しない)が設けられている。該機能素子は、水イオナイザーとマイナスイオン発生器であってもよいが、これらに限られない。ドライヤの給気の一部は通風口6から内筒4に入り、
図1及び
図2に矢印で示すように、この気流の一部は内筒4内で一定の距離だけ進み続け、機能素子を通過した後に機能風吹出口42から吹き出される。吹き出される気流は、水イオン及び/又はマイナスイオンが付いているので、ドライヤの機能を多様にする。
【0024】
通風口6の幅や内筒4の端面の幅には制限がなく、スムーズに給気すること、及び給気に衝撃を与えて方向を変えることができるものであればよい。モータ3の外径Lと内筒4の内径Hとの比は0.65乃至1であることが好ましく、全部の最初の気流のうち、適度な割合の気流は内筒4に流入し、水イオン及び/又はマイナスイオンが付いている機能風を十分な量で発生させることができる。また、もう一部の気流は衝突して方向が発熱部材2の方向に変更されるので、ドライヤの通常の使用に支障を来たさない。
【0025】
また、上記通風口6は、給気方向に向けられた通風入口と、発熱部材2に向けられた通風出口とを備え、通風入口と通風出口とが互いに離れていることが好ましい。最初の気流の一部は、通風入口から内筒4に入り、機能素子ラジエータ41に衝突して通風出口から吹き出され、給気と排気が通風口6で衝突することがないので、機能素子ラジエータ41に衝突して内筒4内に長時間に停滞して後を続く給気に支障を来たすことが避けられる。
【0026】
通風出口は、発熱部材2の基部に向けられることが好ましい。発熱部材2の基部はエアダクト11の中心から離れた位置にあり、従来の装置で最も温度が下がりにくい構造である。通風口から吹き出される気流や、給気バリアにブロックされて方向が変更される気流が直接に発熱部材2の基部に向けて流れるので、そこの熱を最大限で奪い、温度低減の効果が著しい。
【0027】
勿論、給気バリアの構成も上記形態に限定されるものではなく、エアダクト11内に設けられた風ガイド面であってもよい。風ガイド面は、垂直面または斜面であり、発熱部材2の吸込口から離れる側に位置し、気流の一部は、風ガイド面に衝突してから向きが変えられて発熱部材2の表面を通過して吹出口から吹き出される。より多くの気流が発熱部材2の風下側と基部に直接に当たるためには、風ガイド面と発熱部材2がそれぞれにエアダクト11の対向する両側に位置することが好ましい。
【0028】
なお、上述したものは、本発明の好適な実施形態及び適用される技術原理に過ぎない。当業者は、本発明がここで記載された特定の実施形態に限定されず、本発明の保護範囲から逸脱することなく、様々な明らかな変更、修正、および置換が可能であることを理解するであろう。したがって、本発明について、上述した実施形態を通じて詳細に説明されたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱することがない、他の均等な実施形態も含むことができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決められる。
【符号の説明】
【0029】
1 ハウジング、2 発熱部材、3 モータ、4 内筒、5 電熱線、6 通風口、11 エアダクト、41 機能素子ラジエータ、42 機能風吹出口、111 エアダクト前段、112 エアダクト後段。