(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】内視鏡対物光学系及び内視鏡
(51)【国際特許分類】
G02B 13/04 20060101AFI20220526BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
G02B13/04 D
G02B23/26 C
(21)【出願番号】P 2021515679
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(86)【国際出願番号】 JP2019017866
(87)【国際公開番号】W WO2020217443
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123962
【氏名又は名称】斎藤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】高頭 英泰
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-49734(JP,A)
【文献】国際公開第2015/064614(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/116865(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 23/24 - 23/26
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、負の第1群と、正の第2群と、正の第3群と、からなり、
前記第2群が物体側から像側へ移動することで、遠距離物点から近距離物点へのフォーカシングを行い、
前記第1群は、負のレンズからなり、
前記第2群は、像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズからなり、
前記第3群は、物体側から順に、正のレンズと、正のレンズと負のレンズとの接合レンズと、を有
し、以下の条件式(1´´)、(2)、(3)を満足することを特徴とする内視鏡対物光学系。
8<G2f/FL≦17.041 (1´´)、
-0.16<G1f/G2f<-0.04 (2)
0≦(R3-R4)/(R3+R4)<0.2 (3)
ここで、
FLは、遠点観察時の前記内視鏡対物光学系全系の焦点距離、
G1fは、前記第1群の焦点距離、
G2fは、前記第2群の焦点距離、
R3は、前記メニスカスレンズの物体側面の曲率半径、
R4は、前記メニスカスレンズの像側面の曲率半径、
である。
【請求項2】
以下の条件
式(4)を満足することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡対物光学系
。
0.1<V2/FL<0.4 (4)
ここで
、
V2は、遠距離物点から近距離物点へのフォーカシング時の前記第2群の移動量、
である。
【請求項3】
請求項1に記載の前記内視鏡対物光学系を有する内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合焦機能を有する光学系に関し、特に、近接観察可能な内視鏡対物光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医療用内視鏡の分野で市場が拡大している経鼻内視鏡は、スコープとして細径であることが望まれている。このため、経鼻内視鏡に搭載される対物光学系も小型であることが望ましい。さらに昨今では、細径を要求される経鼻内視鏡においても、高画質は勿論のこと、フォーカス機能を搭載し、より観察性能を向上させたいという市場ニーズが高くなっている。このようなフォーカス機能を有する内視鏡対物光学系は、例えば、特許文献1、2、3、4に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4819969号公報
【文献】特許第5930257号公報
【文献】特許第6001229号公報
【文献】特開2017-219783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1から4には、負・正・正の3群構成を有し、第2群を移動させてフォーカシングを行う内視鏡対物光学系が開示されている。
【0005】
特許文献1、2、3に提案されている内視鏡対物光学系は、フォーカスシングを行う構成を有している。しかしながら、これらの内視鏡対物光学系の構成は、光学系の全長を短縮することや外径を小さくすることに関しては十分ではない。
【0006】
特許文献4に提案されている内視鏡対物光学系は、光学系の小型化を達成している。しかしながら、この内視鏡対物光学系は、特に、絞りよりも後群のレンズ枚数が多い。このため、レンズ枚数の削減による小型化の可能性がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、短縮された全長、小さな外径、及び良好な光学性能を有し、かつ、フォーカシング機構(レンズ可動機構)を搭載可能な内視鏡対物光学系及び内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る内視鏡対物光学系は、物体側から順に、負の第1群と、正の第2群と、正の第3群と、からなり、第2群が物体側から像側へ移動することで、遠距離物点から近距離物点へのフォーカシングを行い、第1群は、負のレンズからなり、第2群は、像側に凸面を向けた正のメニスカスレンズからなり、第3群は、物体側から順に、正のレンズと、正のレンズと負のレンズとの接合レンズと、を有し、以下の条件式(1´´)、(2)、(3)を満足する。
8<G2f/FL≦17.041 (1´´)
-0.16<G1f/G2f<-0.04 (2)
0≦(R3-R4)/(R3+R4)<0.2 (3)
ここで、
FLは、遠点観察時の内視鏡対物光学系全系の焦点距離、
G1fは、第1群の焦点距離、
G2fは、第2群の焦点距離、
R3は、メニスカスレンズの物体側面の曲率半径、
R4は、メニスカスレンズの像側面の曲率半径、
である。
また、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る内視鏡は、上述の内視鏡対物光学系を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、短縮された全長、小さい外径、及び良好な光学性能を有し、かつ、フォーカシング機構(レンズ可動機構)を搭載可能な内視鏡対物光学系及び内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)は実施形態に係る内視鏡対物光学系の通常観察状態におけるレンズ断面構成図である。(b)は実施形態に係る内視鏡対物光学系の近接観察状態におけるレンズ断面構成図である。
【
図2】(a)は実施例1に係る内視鏡対物光学系の通常観察状態におけるレンズ断面構成図である。(b)は実施例1に係る内視鏡対物光学系の近接観察状態におけるレンズ断面構成図である。
【
図3】実施例1に係る内視鏡対物光学系の、(a)は通常観察状態における球面収差(SA)、(b)は通常観察状態における非点収差(AS)、(c)は通常観察状態における歪曲収差(DT)、(d)は通常観察状態における倍率色収差(CC)を示している。また、実施例1に係る内視鏡対物光学系の、(e)は近接観察状態における球面収差(SA)、(f)は近接観察状態における非点収差(AS)、(g)は近接観察状態における歪曲収差(DT)、(h)は近接観察状態における倍率色収差(CC)を示している。
【
図4】(a)は実施例2に係る内視鏡対物光学系の通常観察状態におけるレンズ断面構成図である。(b)は実施例2に係る内視鏡対物光学系の近接観察状態におけるレンズ断面構成図である。
【
図5】実施例2に係る内視鏡対物光学系の、(a)は通常観察状態における球面収差(SA)、(b)は通常観察状態における非点収差(AS)、(c)は通常観察状態における歪曲収差(DT)、(d)は通常観察状態における倍率色収差(CC)を示している。また、実施例2に係る内視鏡対物光学系の、(e)は近接観察状態における球面収差(SA)、(f)は近接観察状態における非点収差(AS)、(g)は近接観察状態における歪曲収差(DT)、(h)は近接観察状態における倍率色収差(CC)を示している。
【
図6】(a)は実施例3に係る内視鏡対物光学系の通常観察状態におけるレンズ断面構成図である。(b)は実施例3に係る内視鏡対物光学系の近接観察状態におけるレンズ断面構成図である。
【
図7】実施例3に係る内視鏡対物光学系の、(a)は通常観察状態における球面収差(SA)、(b)は通常観察状態における非点収差(AS)、(c)は通常観察状態における歪曲収差(DT)、(d)は通常観察状態における倍率色収差(CC)を示している。また、実施例3に係る内視鏡対物光学系の、(e)は近接観察状態における球面収差(SA)、(f)は近接観察状態における非点収差(AS)、(g)は近接観察状態における歪曲収差(DT)、(h)は近接観察状態における倍率色収差(CC)を示している。
【
図8】(a)は実施例4に係る内視鏡対物光学系の通常観察状態におけるレンズ断面構成図である。(b)は実施例4に係る内視鏡対物光学系の近接観察状態におけるレンズ断面構成図である。
【
図9】実施例4に係る内視鏡対物光学系の、(a)は通常観察状態における球面収差(SA)、(b)は通常観察状態における非点収差(AS)、(c)は通常観察状態における歪曲収差(DT)、(d)は通常観察状態における倍率色収差(CC)を示している。また、実施例4に係る内視鏡対物光学系の、(e)は近接観察状態における球面収差(SA)、(f)は近接観察状態における非点収差(AS)、(g)は近接観察状態における歪曲収差(DT)、(h)は近接観察状態における倍率色収差(CC)を示している。
【
図10】(a)は実施例5に係る内視鏡対物光学系の通常観察状態におけるレンズ断面構成図である。(b)は実施例5に係る内視鏡対物光学系の近接観察状態におけるレンズ断面構成図である。
【
図11】実施例5に係る内視鏡対物光学系の、(a)は通常観察状態における球面収差(SA)、(b)は通常観察状態における非点収差(AS)、(c)は通常観察状態における歪曲収差(DT)、(d)は通常観察状態における倍率色収差(CC)を示している。また、実施例5に係る内視鏡対物光学系の、(e)は近接観察状態における球面収差(SA)、(f)は近接観察状態における非点収差(AS)、(g)は近接観察状態における歪曲収差(DT)、(h)は近接観察状態における倍率色収差(CC)を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
以下に、実施形態に係る内視鏡対物光学系について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。通常観察状態とは、遠距離物点観察状態、遠点観察時をいう。また、近接観察状態とは、近距離物点観察状態、近点観察時をいう。
【0012】
図1(a)は実施形態に係る内視鏡対物光学系の通常観察状態におけるレンズ断面構成図である。
図1(b)は実施形態に係る内視鏡対物光学系の近接観察状態におけるレンズ断面構成図である。
【0013】
内視鏡対物光学系は、物体側から順に、負の屈折力(パワー)を有する第1群G1と、正の屈折力を有する第2群G2と、明るさ絞りSと、正の屈折力を有する第3群G3と、を有する。
【0014】
実施形態に係る内視鏡対物光学系は、負の第1群G1は、負の第1レンズL1を有する。正の第2群G2は、像側に凸面を向けた負の第2メニスカスレンズL2を有する。正の第3群G3は、物体側から順に、正の第3レンズL3と、正の第4レンズL4と、負の第5レンズL5と、正の第6レンズL6と、を有する。正の第4レンズと負の第5レンズは接合され接合レンズCL1を構成する。正の第6レンズL6は、撮像面(像面I)のカバーガラスCGと接合され接合レンズCL2を構成する。
【0015】
第2群G2を、光軸AXに沿って像側に移動することでフォーカシングを行う。
【0016】
明るさ絞りSは、第2群G2と第3群G3との間に配置されている。明るさ絞りSは、フォーカシングの際、第3群G3に固定されている。
【0017】
また、第1群G1内の負の第1レンズL1の像側(後方)に、第1の平行平板F1が配置されている。第1の平行平板F1は、赤外カットフィルター、またはレーザー光をカットするためのフィルターである。平行平板F1は、内視鏡対物光学系中の任意の位置に配置することができる。また、内視鏡対物光学系の像面I近傍には、図示しない撮像素子が配置されている。
【0018】
以下、本実施形態において、このような構成をとった理由と作用を説明する。
内視鏡対物光学系を小型にし、かつ、レンズ可動群を構成するためには、内視鏡対物光学系は、物体側から順に、負の第1群G1と、正の第2群G2と、正の第3群G3と、を有する構成が望ましい。
【0019】
また、内視鏡対物光学系を小型化しつつ、レンズの可動スペースを確保するためには、可動群の像側(後方)に大きい間隔が必要となる。さらに、第3群G3を配置する空間と焦点位置調整のためのバックフォーカスを確保する必要がある。
【0020】
そのため、第2メニスカスレンズL2は像側に凸面を向けた正メニスカスレンズの形状とすることが望ましい。このような形状にすることでレンズの主点位置を第2群G2の像側(後方)にすることができる。これにより、第2メニスカスレンズL2の可動域と、その像側(後方)のスペースを確保できる。
【0021】
また、内視鏡対物光学系のレンズ全長を短くするためには、レンズ枚数はできるだけ少なくしなければならない。そのために、本実施形態では、第1群G1と第2群G2はそれぞれレンズ1枚の構成である。ここで、「レンズ」とは、平行平板は除く趣旨である。そして、第2群G2を可動群として、その後方に大きめの面間隔(空気間隔)を構成した。しかしながら、この構成にしてしまうと、第1群G1、第2群G2で発生した収差がそのまま残ってしまう。そこで、第3群G3を少なくとも正の単レンズと接合レンズを用いる構成とする。この構成により、径の制約や全長の制約が大きい中でも、特に球面収差補正と、色収差補正を良好に保つことができる。このため、諸収差性能の良好な内視鏡対物光学系を達成できる。
【0022】
さらに、接合レンズの像側後方に、空気間隔を隔てて正の第6レンズL6を配置しても良い。正の第6レンズL6は、撮像面Iに貼り付けられたカバーガラスCGの役割も担っている。そのため、像面の位置合わせは、接合レンズCL1と正の第6レンズL6の空気間隔を調整することで行うことになる。撮像側にも屈折力(パワー)を持たせられるため、像面の位置合わせの誤差感度が小さくなるという利点がある。像面の位置合わせ調整の際、像面位置のずれを小さくできる。
【0023】
明るさ絞りSは、第3群G3の物体側(前側)に配置している。ただし、第2群G2と第3群G3の間の光路中であれば、いずれの位置に明るさ絞りSを配置しても、明るさや光学性能に大きな差は無い。明るさ絞りSをいずれの位置に配置するかは、内視鏡対物光学系を把持するための鏡筒の構成などに起因して決まる。このとき、明るさ絞りSは、第2群G2の像側(後方)に配置して、フォーカシング時に第2メニスカスレンズL2と一体的に可動する構成としてもよい。
【0024】
本実施形態に係る内視鏡対物光学系は、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
8<G2f/FL<35 (1)
ここで、
G2fは、第2群G2の焦点距離、
FLは、遠点観察時の内視鏡対物光学系全系の焦点距離、
である。
【0025】
条件式(1)は、第2群G2の焦点距離に関する。第2群G2は、物点距離の変化に応じて光軸AXに沿って移動し、像面の位置を調整するためのフォーカシングの機能を担っている。第2群G2は、このような可動レンズ群を構成している枠構造上、移動枠と固定枠のクリアランスがある。このため、第2群G2は、固定のレンズ群に比べてレンズの偏心量が大きくなる。
【0026】
可動レンズ群の屈折力(パワー)が強い場合、枠同士のクリアランスを小さくして、レンズを駆動する時の偏心量を極力小さく抑える必要がある。そのため、駆動レンズである第2群G2の屈折力(パワー)は、条件式(1)を満足することが望ましい。
【0027】
条件式(1)の下限を下回ると、屈折力は弱くなり偏心による誤差感度は低減できるものの、移動量が大きくなり過ぎるため好ましくない。
【0028】
条件式(1)の上限を上回ると、第2群G2の屈折力が強くなり過ぎるため、枠同士の偏心に対しての性能劣化が著しくなる。
【0029】
また、条件式(1)に代えて、条件式(1´)を満足することが好ましい。
8<G2f/FL<28 (1´)
【0030】
条件式(1´)を満足すると、枠の偏心に対する性能劣化を極力小さくすることが可能となる。
【0031】
また、本実施形態に係る内視鏡対物光学系は、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
-0.16<G1f/G2f<-0.04 (2)
ここで、
G1fは、第1群G1の焦点距離、
G2fは、第2群G2の焦点距離、
である。
【0032】
条件式(2)は、第1群G1の屈折力と、第2群G2の屈折力との適切な比に関する。条件式(2)は、諸収差を良好に補正しつつ、内視鏡対物光学系全系の小型化に寄与できる。
【0033】
条件式(2)の下限を下回ると、第1群G1の屈折力が弱くなり過ぎ、第1レンズL1へ入射する光線高が大きくなる。このため、第1レンズL1の径の大型化を招く。
【0034】
条件式(2)の上限を上回ると、第1群G1の屈折力が強くなり過ぎる。このため、第1群G1による焦点位置が像面側に移動する。結果として、内視鏡対物光学系の全長が長くなり、内視鏡対物光学系全体が大型化してしまう。さらには、ペッツバール和が大きくなる。これにより、像面湾曲が補正過剰になるため好ましくない。
【0035】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
0≦(R3-R4)/(R3+R4)<0.2 (3)
R3は、第2メニスカスレンズL2の物体側面の曲率半径、
R4は、第2メニスカスレンズL2の像側面の曲率半径、
である。
【0036】
条件式(3)は、第2メニスカスレンズL2の形状(シェイプファクター)に関する。
【0037】
条件式(3)の下限を下回ると、軸上色収差が大きくなり、好ましくない。
【0038】
条件式(3)の上限を上回ると、第2メニスカスレンズL2の正(凸)の屈折力が強くなる。このため、像面がアンダーに倒れるため好ましくない。
【0039】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
0.1<V2/FL<0.4 (4)
ここで、
V2は、遠距離物点から近距離物点へのフォーカシング時の第2群G2の移動量、
FLは、遠点観察時の内視鏡対物光学系全系の焦点距離、
である。
【0040】
条件式(4)は第2群G2のレンズの移動量に関するものである。本時実施形態のように可動群を有する内視鏡対物光学系は、小型化、かつ高性能化のために、可動群の移動量が重要となる。そのため、本実施形態に係る内視鏡対物光学系は、条件式(4)を満足することが望ましい。
【0041】
条件式(4)の下限を下回ると、第2群G2の移動量の確保が困難となり、レンズ移動量に対する像面位置の誤差感度が高くなるため好ましくない。
【0042】
条件式(4)の上限を上回ると、第1群G1と第2群G2の間隔が大きくなり、第2群G2の移動量を確保することはできる。しかし、内視鏡対物光学系全長が長くなり過ぎるため光学系の大型化を招くおそれがある。
【0043】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
-1.2<f31/f32<-0.7 (5)
ここで、
f31は、第3群G3の接合レンズCL1を構成する正の第4レンズL4の焦点距離、
f32は、第3群G3の接合レンズCL1を構成する負の第5レンズL5の焦点距離、
である。
【0044】
条件式(5)は、f31とf32との適切な比に関する。
【0045】
条件式(5)の下限を下回ると軸上色収差、倍率色収差ともにCライン(656.27nm)がアンダーに、Fライン(486.13nm)が補正過剰になる。このため、色収差を補正することが難しくなる。
【0046】
条件式(5)の上限を上回ると、軸上色収差、倍率色収差ともにCラインがオーバーに、Fラインが補正不足になる。このため、色収差を補正することが難しくなる。
【0047】
また、条件式(5)に代えて、条件式(5´)を満足することが好ましい。
-1.05<f31/f32<-0.85 (5´)
【0048】
条件式(5´)の範囲内であれば、色収差をより良好に補正することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
2.5<G3f/FL<4.5 (6)
ここで、
G3fは、第3群G3の焦点距離、
FLは、遠点観察時の内視鏡対物光学系全系の焦点距離、
である。
【0050】
条件式(6)は、像面湾曲補正に関する。
【0051】
条件式(6)の下限を下回ると、像面がアンダーに倒れてしまう。
【0052】
条件式(6)の上限を上回ると、像面がオーバーに傾く。このため、画面の中心部分と周辺部でピントの合わない画像となってしまい好ましくない。
【0053】
また、条件式(6)に代えて、条件式(6´)を満足することが好ましい。
3<G3f/FL<4 (6´)
【0054】
条件式(6´)の範囲では、像面湾曲補正がより良好となる。
【0055】
(実施例1)
実施例1に係る内視鏡対物光学系について説明する。
【0056】
図2(a)は本実施例に係る内視鏡対物光学系の通常観察状態におけるレンズ断面構成図である。
図2(b)は本実施例に係る内視鏡対物光学系の近接観察状態におけるレンズ断面構成図である。
【0057】
内視鏡対物光学系は、物体側から順に、負の第1群G1と、正の第2群G2と、明るさ絞りSと、正の第3群G3と、を有する。
【0058】
負の第1群G1は、平面を物体側に向けた平凹の負の第1レンズL1と、平行平板F1とを有する。平行平板F1は、第1群G1内の第1レンズL1の像面側に配置されている。正の第2群G2は、像側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズL2を有する。
【0059】
正の第2メニスカスレンズL2は、通常観察状態(
図2(a))から近接観察状態(
図2(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I)に移動する。
【0060】
正の第3群G3は、両凸の正の第3レンズL3と、両凸の正の第4レンズL4と、像側に凸面を向けた負の第5メニスカスレンズL5と、物体側に凸面を向けた平凸の正の第6レンズL6と、を有する。正の第4レンズL4と負の第5メニスカスレンズL5とは接合され接合レンズCL1を構成する。
【0061】
第3群G3の前方(物体側)には、明るさ絞りSが配置されている。明るさ絞りSは、フォーカシングの際、第3群G3に固定されている。
【0062】
図示しない撮像素子の前面には、平行平板F2のカバーガラスCGが貼り付けられている。本実施例では、カバーガラスCGの前面(物体側面)に、第6レンズL6が接合され接合レンズCL2を構成する。第6レンズL6は、フィールドレンズの役割を有している。
【0063】
平行平板F1は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのフィルターである。
【0064】
図3(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
図3(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0065】
これらの収差図は、656.3nm(C線)、486.1nm(F線)及び546.1nm(e線)の各波長について示している。また、各図中、”ω”は半画角を示す。以下、収差図に関しては、同様の符号を用いる。
【0066】
(実施例2)
実施例2に係る内視鏡対物光学系について説明する。
【0067】
図4(a)は本実施例に係る内視鏡対物光学系の通常観察状態におけるレンズ断面構成図である。
図4(b)は本実施例に係る内視鏡対物光学系の近接観察状態におけるレンズ断面構成図である。
【0068】
内視鏡対物光学系は、物体側から順に、負の第1群G1と、正の第2群G2と、明るさ絞りSと、正の第3群G3と、を有する。
【0069】
負の第1群G1は、平面を物体側に向けた平凹の負の第1レンズL1を有する。正の第2群G2は、像側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズL2を有する。
【0070】
正の第2メニスカスレンズL2は、通常観察状態(
図4(a))から近接観察状態(
図4(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I)に移動する。
【0071】
正の第3群G3は、両凸の正の第3レンズL3と、両凸の正の第4レンズL4と、像側に凸面を向けた負の第5メニスカスレンズL5と、物体側に凸面を向けた平凸の正の第6レンズL6と、を有する。正の第4レンズL4と負の第5メニスカスレンズL5とは接合され接合CL1を構成する。
【0072】
第3群G3の前方(物体側)には、明るさ絞りSが配置されている。明るさ絞りSは、フォーカシングの際、第3群G3に固定されている。
【0073】
第3群G3は、接合レンズCL1と第6レンズL6の間に、平行平板F1を有する。図示しない撮像素子の前面(像面I)にはカバーガラスCGとして平行平板F2が貼り付けられている。本実施例では、カバーガラスCGの前面(物体側面)に第6レンズL6が接合され接合レンズCL2を構成する。第6正レンズL6は、フィールドレンズの役割を有している。
【0074】
平行平板F1は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのフィルターである。
【0075】
図5(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
図5(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0076】
(実施例3)
実施例3に係る内視鏡対物光学系について説明する。
【0077】
図6(a)は本実施例に係る内視鏡対物光学系の通常観察状態におけるレンズ断面構成図である。
図6(b)は本実施例に係る内視鏡対物光学系の近接観察状態におけるレンズ断面構成図である。
【0078】
内視鏡対物光学系は、物体側から順に、負の第1群G1と、正の第2群G2と、明るさ絞りSと、正の第3群G3と、を有する。
【0079】
負の第1群G1は、物体側に平面を向けた平凹の負の第1レンズL1を有する。正の第2群G2は、像側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズL2を有する。
【0080】
正の第2メニスカスレンズL2は、通常観察状態(
図6(a))から近接観察状態(
図6(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I)に移動する。
【0081】
正の第3群G3は、両凸の正の第3レンズL3と、両凸の正の第4レンズL4と、像側に凸面を向けた負の第5メニスカスレンズL5と、物体側に凸面を向けた平凸の正の第6レンズL6と、を有する。正の第4レンズL4と負の第5メニスカスレンズL5とは接合され接合レンズCL1を構成する。
【0082】
第3群G3の前方(物体側)には、明るさ絞りSが配置されている。明るさ絞りSは、フォーカシングの際、第3群G3に固定されている。
【0083】
第3群G3は、接合レンズCL1と第6レンズL6の間に、平行平板F1を有する。図示しない撮像素子の前面にはカバーガラスCGとして平行平板F2が貼り付けられている。本実施例では、カバーガラスCGの前面(物体側面)に第6レンズL6が接合され接合レンズCL2を形成する。第6正レンズL6は、フィールドレンズの役割を有している。
【0084】
平行平板F1は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのフィルターである。
【0085】
図7(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
図7(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0086】
(実施例4)
実施例4に係る内視鏡対物光学系について説明する。
【0087】
図8(a)は本実施例に係る内視鏡対物光学系の通常観察状態におけるレンズ断面構成図である。
図8(b)は本実施例に係る内視鏡対物光学系の近接観察状態におけるレンズ断面構成図である。
【0088】
内視鏡対物光学系は、物体側から順に、負の第1群G1と、正の第2群G2と、明るさ絞りSと、正の第3群G3と、を有する。
【0089】
負の第1群G1は、物体側に平面を向けた平凹の負の第1レンズL1と、平行平板F1と、を有する。平行平板F1は、第1群G1内の第1レンズL1の像面側に配置されている。正の第2群G2は、像側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズL2を有する。
【0090】
正の第2メニスカスレンズL2は、通常観察状態(
図8(a))から近接観察状態(
図8(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I)に移動する。
【0091】
正の第3群G3は、両凸の正の第3レンズL3と、両凸の正の第4レンズL4と、像側に凸面を向けた負の第5メニスカスレンズL5と、を有する。正の第4レンズL4と負の第5メニスカスレンズL5とは接合され接合レンズCL1を構成する。
【0092】
第3群G3の前方(物体側)には、明るさ絞りSが配置されている。明るさ絞りSは、フォーカシングの際、第3群G3に固定されている。また、図示しない撮像素子の前面には、平行平板F2と、カバーガラスCGとして平行平板F3と、を有する。平行平板F2と平行平板F3とは接合され接合素子CL2を構成する。
【0093】
平行平板F1は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのフィルターである。
【0094】
図9(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
図9(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0095】
(実施例5)
実施例5に係る内視鏡対物光学系について説明する。
【0096】
図10(a)は本実施例に係る内視鏡対物光学系の通常観察状態におけるレンズ断面構成図である。
図10(b)は本実施例に係る内視鏡対物光学系の近接観察状態におけるレンズ断面構成図である。
【0097】
内視鏡対物光学系は、物体側から順に、負の第1群G1と、正の第2群G2と、明るさ絞りSと、正の第3群G3と、を有する。
【0098】
負の第1群G1は、物体側に平面を向けた平凹の負の第1レンズL1を有する。正の第2群G2は、像側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズL2を有する。
【0099】
正の第2メニスカスレンズL2は、通常観察状態(
図10(a))から近接観察状態(
図10(b))へフォーカシングする際、像側(像面I)に移動する。
【0100】
第2群G2の像側(後方)には、明るさ絞りSが配置されている。明るさ絞りSは、第2メニスカスレンズL2と一体に像側(像面I)に移動する。
【0101】
正の第3群G3は、両凸の正の第3レンズL3と、両凸の正の第4レンズL4と、像側に凸面を向けた負の第5メニスカスレンズL5と、物体側に凸面を向けた平凸の正の第6レンズL6と、を有する。正の第4レンズL4と負の第5メニスカスレンズL5とは接合され接合CL1を構成する。
【0102】
第3群G3は、接合レンズCL1と第6レンズL6の間に、平行平板F1を有する。図示しない撮像素子の前面(像面I)にはカバーガラスCGとして平行平板F2が貼り付けられている。本実施例では、カバーガラスCGの前面(物体側面)に第6レンズL6が接合され接合レンズCL2を構成する。第6レンズL6は、フィールドレンズの役割を有している。
【0103】
平行平板F1は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのフィルターである。
【0104】
図11(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
図11(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0105】
以下に、上記各実施例の数値データを示す。記号は、rは各レンズ面の曲率半径、dは各レンズ面間の間隔、neは各レンズのe線の屈折率、νdは各レンズのアッベ数、Fnoは有効Fナンバー、2ωは全画角、IHは像高である。絞りは明るさ絞りである。
【0106】
数値実施例1
単位 mm
面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.167 1.88815 40.76
2 0.6092 0.4
3 ∞ 0.445 1.49557 75.00
4 ∞ 可変
5 -0.8679 0.378 1.51825 64.14
6 -0.85 可変
7(絞り) ∞ 0.01
8 1.9327 0.958 1.58482 40.75
9 -3.9801 0.274
10 1.612 0.953 1.49846 81.54
11 -1.1339 0.223 1.97189 17.47
12 -4.3605 0.802
13 1.2968 0.7 1.51825 64.14
14 ∞ 0.4 1.507 63.26
15撮像面 ∞
各種データ
通常観察状態 近接観察状態
焦点距離 0.569 0.551
FNO. 3.12 3.11
物点距離 20 3.15
2ω 122° 129.8°
IH 0.5mm
d4 0.26 0.4395
d6 0.595 0.4155
【0107】
数値実施例2
単位 mm
面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.167 1.88815 40.78
2 0.5945 可変
3 -1.361 0.4 1.48915 70.23
4 -0.9493 可変
5(絞り) ∞ 0.02
6 1.7698 0.89 1.59911 39.24
7 -9.1185 0.133
8 1.781 0.935 1.53947 74.70
9 -1.07 0.222 1.97189 17.47
10 -4.6626 0.05
11 ∞ 0.4 1.49557 75.00
12 ∞ 0.321
13 2 0.67 1.51825 64.14
14 ∞ 0.38 1.507 63.26
15撮像面 ∞
各種データ
通常観察状態 近接観察状態
焦点距離 0.552 0.542
FNO. 3.02 3.02
物点距離 11.7 4.75
2ω 129.2° 132.6°
IH 0.5mm
d2 1.317 1.3745
d4 0.4615 0.404
【0108】
数値実施例3
単位 mm
面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.16 1.88815 40.78
2 0.6283 可変
3 -0.9625 0.356 1.48915 70.23
4 -0.9532 可変
5(絞り) ∞ 0.02
6 2.1367 0.89 1.58482 40.75
7 -2.1367 0.18
8 1.6271 0.935 1.49846 81.54
9 -1.0356 0.223 1.97189 17.47
10 -4.1943 0.132
11 ∞ 0.3 1.523 65.13
12 ∞ 0.33
13 1.38 0.67 1.51825 64.14
14 ∞ 0.3898 1.507 63.26
15撮像面 ∞
各種データ
通常観察状態 近接観察状態
焦点距離 0.552 0.533
Fno 4.07 4.07
物点距離 11.75 3.11
2ω 127.6° 135.9°
IH 0.5mm
d2 1.013 1.222
d4 0.347 0.138
【0109】
数値実施例4
単位 mm
面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.17 1.88815 40.78
2 0.6692 0.4
3 ∞ 0.33 1.49557 75.00
4 ∞ 可変
5 -0.9478 0.4 1.51825 64.14
6 -0.9478 可変
7(絞り) ∞ 0.02
8 1.6435 0.88 1.58482 40.75
9 -31.7941 0.285
10 1.2698 0.935 1.48915 70.23
11 -0.8328 0.223 1.93429 18.90
12 -2.1041 0.61
13 ∞ 0.65 1.51825 64.14
14 ∞ 0.38 1.507 63.26
15撮像面 ∞
各種データ
通常観察状態 近接観察状態
焦点距離 0.557 0.543
Fno 3.53 3.52
物点距離 12 4.67
2ω 127.1° 131.3°
IH 0.5mm
d4 0.842 0.952
d6 0.4636 0.3535
【0110】
数値実施例5
単位 mm
面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.17 1.88815 40.78
2 0.6126 可変
3 -1.104 0.4 1.51825 64.14
4 -0.9344 0.2633
5(絞り) ∞ 可変
6 2.0151 0.88 1.58482 40.75
7 -5.2097 0.282
8 1.7505 0.935 1.53947 74.70
9 -1.1756 0.22 1.97189 17.47
10 -4.733 0.12
11 ∞ 0.3 1.523 65.13
12 ∞ 0.416
13 2 0.66 1.51825 64.14
14 ∞ 0.4 1.507 63.26
15撮像面 ∞
各種データ
通常観察状態 近接観察状態
焦点距離 0.553 0.543
Fno 3.35 3.39
物点距離 11.8 4.67
2ω 129° 132.9°
IH 0.5mm
d2 1.31 1.381
d5 0.22 0.149
【0111】
以下の表1に、各実施例の構成における条件式(1)から(6)の条件式対応値を示す。
条件式(1) G2f/FL
条件式(2) G1f/G2f
条件式(3) (R3-R4)/(R3+R4)
条件式(4) V2/FL
条件式(5) f31/f32
条件式(6) G3f/FL
(表1)
条件式 実施例1 実施例2 実施例3
(1) 17.041 8.812 26.924
(2) -0.071 -0.138 -0.048
(3) 0.010 0.178 0.005
(4) 0.316 0.104 0.379
(5) -0.925 -0.950 -0.981
(6) 3.656 3.395 3.136
条件式 実施例4 実施例5
(1) 22.796 11.755
(2) -0.059 -0.106
(3) 0.000 0.083
(4) 0.198 0.128
(5) -0.747 -0.884
(6) 3.056 3.497
【0112】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態のみに限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、これら実施形態の構成を適宜組合せて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【0113】
なお、上述の内視鏡対物光学系は、複数の構成を同時に満足してもよい。このようにすることが、良好な内視鏡対物光学系を得る上で好ましい。また、好ましい構成の組み合わせは任意である。また、各条件式について、より限定した条件式の数値範囲の上限値あるいは下限値のみを限定しても構わない。
【0114】
(付記)
なお、これらの実施例から以下の構成の発明が導かれる。
(付記項1)
物体側から順に、負の第1群と、正の第2群と、正の第3群と、を有し、第2群が物体側から像側へ移動することで,
遠距離物点から近距離物点へのフォーカシングを行い、
第1群は、負の第1レンズを有し、
第2群は、像側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズを有し、
第3群は、物体側から順に、正の第3レンズと、正の第4レンズと負の第5レンズとを貼り合わせた接合レンズと、を有していることを特徴とする内視鏡対物光学系。
(付記項2)
下記の条件式(1)、(2)、(3)、(4)の少なくともいずれか一つを満足することを特徴とする付記項1に記載の内視鏡対物光学系。
8<G2f/FL<35 (1)
-0.16<G1f/G2f<-0.04 (2)
0≦(R3-R4)/(R3+R4)<0.2 (3)
0.1<V2/FL<0.4 (4)
ここで、
FLは、遠点観察時の内視鏡対物光学系全系の焦点距離、
G1fは、第1群の焦点距離、
G2fは、第2群の焦点距離、
R3は、第2群のレンズの物体側面の曲率半径、
R4は、第2群のレンズの像側面の曲率半径、
V2は、第2群の移動量(遠距離物点から近距離物点へのフォーカシング時)、
である。
(付記項3)
下記の条件式(5)、(6)の少なくともいずれか一つを満足することを特徴とする付記項1または2に記載の内視鏡対物光学系。
-1.2<f31/f32<-0.7 (5)
2.5<G3f/FL<4.5 (6)
ここで、
f31は、第3群の接合レンズを構成する正のレンズの焦点距離、
f32は、第3群の接合レンズを構成する負のレンズの焦点距離、
G3fは、第3群の焦点距離、
FLは、遠点観察時の内視鏡対物光学系全系の焦点距離、
である。
【産業上の利用可能性】
【0115】
以上のように、本発明は、短縮された全長、小さい外径、及び良好な光学性能を有し、かつ、フォーカシング機構(レンズ可動機構)を搭載可能な内視鏡対物光学系及び内視鏡に適している。
【符号の説明】
【0116】
G1 第1群
G2 第2群
G3 第3群
S 明るさ絞り
L1-L6 レンズ
F1、F2、F3 フィルター(平行平板)
CG カバーガラス
CL1、CL2 接合レンズ
AX 光軸
I 像面(撮像面)