(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】資産としての流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/00 20220101AFI20220526BHJP
G01F 25/10 20220101ALI20220526BHJP
【FI】
G01F1/00 T
G01F25/10 Z
(21)【出願番号】P 2021529242
(86)(22)【出願日】2019-08-01
(86)【国際出願番号】 US2019044632
(87)【国際公開番号】W WO2020028644
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-02-01
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521048358
【氏名又は名称】パナメトリックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】特許業務法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルシロフスキー、ミハイル
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-510403(JP,A)
【文献】特許第4153721(JP,B2)
【文献】特許第6463847(JP,B2)
【文献】特許第6404210(JP,B2)
【文献】特許第4624351(JP,B2)
【文献】特許第4854667(JP,B2)
【文献】米国特許第9010196(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2007/0192046(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
データプロセッサによって、工場内で構成された流量計の動作を特徴付ける診断データを受信して、前記工場に関連するパイプ内の流体の流量を監視する
ステップであって、前記データプロセッサは前記流量計内に構成されている、
ステップと、
前記データプロセッサによって、受信した前記診断データに基づいて、前記流量計の状態を特徴付ける資産状態オブジェクトを決定する
ステップと、
前記データプロセッサによって、前記資産状態オブジェクトを提供する
ステップと、を含
み、
前記診断データが、信号ファイルを含み、
前記信号ファイルが、前記流量計から出力された生信号ファイル、
上流トランスデューサデータ及び下流トランスデューサデータの相関を表す相関信号ファイル、及び
前記信号ファイルの構成要素間の類似度の尺度を表す相互相関信号ファイル、のうちの1つ以上を含む、方法。
【請求項2】
前記
信号ファイルが、信号対雑音比
、チャネルごとの音速、チャネルごとのウェッジ音速、チャネルごとのピーク率、温度、及び/又はピーク率を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記資産状態オブジェクトが、予測モデル及び/又は機械学習エンジンを含む資産モデルエンジンを使用して決定される、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記流量計の前記状態が、前記流量計の信頼性の表示を含む、請求項1
から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記流量計の前記状態が、測定精度の低下、故障数、チャネル状況、及び/又は前記流量計に関連する全体的状況の表示を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記資産状態オブジェクトが、前記流量計に連結された1つ以上のセンサに対応する信頼性の表示を含む、請求項1
から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記資産状態オブジェクトが、前記流量計に連結された前記1つ以上のセンサに関連する送信及び/又は受信の劣化の表示を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のセンサがトランスデューサを含む、請求項6
又は7に記載の方法。
【請求項9】
システムであって、
流量計内に構成された少なくとも1つのデータプロセッサと、前記少なくとも1つのデータプロセッサに動作を実行させるように構成された命令を記憶するメモリであって、前記動作は、
前記流量計の動作を特徴付ける診断データを受信することであって、前記流量計は、工場内に、前記工場に関連するパイプ内の流体の流量を監視するように構成されている、ことと、
前記受信した診断データに基づいて、前記流量計の状態を特徴付ける資産状態オブジェクトを決定することと、前記資産状態オブジェクトを提供することと、を含む、メモリと、を備え
、
前記診断データが、信号ファイルを含み、
前記信号ファイルが、前記流量計から出力された生信号ファイル、
上流トランスデューサデータ及び下流トランスデューサデータの相関を表す相関信号ファイル、及び
前記信号ファイルの構成要素間の類似度の尺度を表す相互相関信号ファイル、のうちの1つ以上を含む、システム。
【請求項10】
前記
信号ファイルが、信号対雑音比
、チャネルごとの音速、チャネルごとのウェッジ音速、チャネルごとのピーク率、温度、及び/又はピーク率を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記資産状態オブジェクトが、予測モデル及び/又は機械学習エンジンを含む資産モデルエンジンを使用して決定される、請求項9
又は10に記載のシステム。
【請求項12】
前記流量計の前記状態が、前記流量計の信頼性の表示を含む、請求項9
から11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記流量計の前記状態が、測定精度の低下、故障数、チャネル状況、及び/又は前記流量計に関連する全体的状況の表示を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記資産状態オブジェクトが、前記流量計に連結された1つ以上のセンサに対応する信頼性の表示を含む、請求項9
から13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記資産状態オブジェクトが、前記流量計に連結された前記1つ以上のセンサに関連する送信及び/又は受信の劣化の表示を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ以上のセンサがトランスデューサを含む、請求項14
又は15に記載のシステム。
【請求項17】
命令を記憶する非一時的コンピュータプログラム製品であって、前記命令は、少なくとも1つのコンピューティングシステムの一部を形成する少なくとも1つのデータプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのデータプロセッサに動作を実施させ、前記動作は、
工場内で構成された流量計の動作を特徴付ける診断データを受信して、前記工場に関連するパイプ内の流体の流量を監視することであって、前記診断データは、前記流量計内に構成されたデータプロセッサによって受信される、ことと、
前記受信した診断データに基づいて、前記流量計内に構成された前記データプロセッサによって、前記流量計の状態を特徴付ける資産状態オブジェクトを決定することと、
前記流量計内に構成された前記データプロセッサによって、前記資産状態オブジェクトを提供することと、を含
み、
前記診断データが、信号ファイルを含み、
前記信号ファイルが、前記流量計から出力された生信号ファイル、
上流トランスデューサデータ及び下流トランスデューサデータの相関を表す相関信号ファイル、及び
前記信号ファイルの構成要素間の類似度の尺度を表す相互相関信号ファイル、のうちの1つ以上を含む、非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項18】
前記
信号ファイルが、信号対雑音比
、チャネルごとの音速、チャネルごとのウェッジ音速、チャネルごとのピーク率、温度、及び/又はピーク率を含む、請求項17に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項19】
前記資産状態オブジェクトが、予測モデル及び/又は機械学習エンジンを含む資産モデルエンジンを使用して決定される、請求項17
又は18に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記流量計の前記状態が、前記流量計の信頼性の表示を含む、請求項17
から19のいずれか1項に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項21】
前記流量計の前記状態が、測定精度の低下、故障数、チャネル状況、及び/又は前記流量計に関連する全体的状況の表示を含む、請求項20に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項22】
前記資産状態オブジェクトが、前記流量計に連結された1つ以上のセンサに対応する信頼性の表示を含む、請求項17
から21のいずれか1項に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項23】
前記資産状態オブジェクトが、前記流量計に連結された前記1つ以上のセンサに関連する送信及び/又は受信の劣化の表示を含む、請求項22に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【請求項24】
前記1つ以上のセンサがトランスデューサを含む、請求項
22又は23に記載の非一時的コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年8月2日に出願された米国特許仮出願第62/714,064号に対する優先権の利益を主張するものであり、これらのそれぞれの内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
一部の資産管理ソフトウェア(AMS)製品は、流量計の診断情報を取得及び/又は処理する能力を欠いている。現在、一部のAMS製品は、流量計から診断パラメータを収集し得るが、動作パラメータが動作マージン内にあるかどうかを定義する機能を欠いている。十分な流量計動作の健全性情報がない状態で、流量計が正しく動作しているかどうかを評価することは困難であり得る。流量計によって生成されたデータが不正確である場合、流量計によって生成されたデータに依存するプロセスモデリング及び最適化の正確性が妨げられ得る。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、改善された流量計を使用して流量計を監視する方法が提供される。一実施形態では、本方法は、データプロセッサによって、工場内で構成された流量計の動作を特徴付ける診断データを受信して、工場に関連するパイプ内の流体の流量を監視することを含み得る。データプロセッサは流量計内に構成されている。本方法は、データプロセッサによって、受信した診断データに基づき、流量計の状態を特徴付ける資産状態オブジェクトを決定することを更に含み得る。本方法はまた、データプロセッサによって、資産状態オブジェクトを提供することを含み得る。
【0004】
別の態様では、改善された流量計を使用して流量計を監視するシステムが提供される。本システムは、流量計内に構成された少なくとも1つのデータプロセッサと、少なくとも1つのデータプロセッサに動作を実行させるように構成された命令を記憶するメモリと、を含み得る。本命令は、実行されると、少なくとも1つのデータプロセッサに流量計の動作を特徴付ける診断データを受信させることができる。流量計は、工場内で、工場に関連するパイプ内の流体の流量を監視するように構成され得る。本命令は、実行されると、受信した診断データに基づいて、少なくとも1つのデータプロセッサに流量計の状態を特徴付ける資産状態オブジェクトを決定させることが更に可能である。本命令は、実行されると、少なくとも1つのデータプロセッサに資産状態オブジェクトを提供させることが更に可能である。
【0005】
命令を記憶する非一時的コンピュータプログラム製品(すなわち、物理的に具現化されたコンピュータプログラム製品)も記載されており、命令は、1つ以上のコンピューティングシステムの1つ以上のデータプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのデータプロセッサに本明細書に記載の動作を実行させる。同様に、1つ以上のデータプロセッサ及び1つ以上のデータプロセッサに連結されたメモリを含み得るコンピュータシステムも記載されている。メモリは、少なくとも1つのプロセッサに、本明細書に記載される動作のうちの1つ以上を実行させる命令を一時的又は永続的に記憶し得る。加えて、方法は、1つ以上のデータプロセッサによって、単一のコンピューティングシステム内か又は2つ以上のコンピューティングシステム間に分散されるかのいずれかで実装され得る。このようなコンピューティングシステムは、接続可能であり、ネットワーク(例えば、インターネット、無線広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、有線ネットワークなど)を介した接続を含む1つ以上の接続、複数のコンピューティングシステムのうちの1つ以上の間の直接接続などを経由して、データ及び/若しくはコマンド又は他の命令などを交換し得る。
【0006】
本明細書に記載される主題の1つ以上の変形の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。本明細書に記載される主題の他の特徴及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】流量計として資産を提供し得る、現在の主題のいくつかの実施態様の例示的なプロセスを示すプロセスフロー図である。
【0008】
【
図2】改善された流量計の監視を提供し得る、現在の主題のいくつかの実施態様の例示的な流量計資産を示す例示的なプロセスフロー図である。
【0009】
【
図3】一実施形態による、流量計から出力された代表的な生信号ファイルの内容を表示するプロットである。
【0010】
【
図4】一実施形態による、流量計に設定されたピーク率を示す水平線に上流及び下流を相関させた、代表的な信号ファイルの内容を表示するプロットである。
【0011】
【
図5】代表的な健全性相互相関信号ファイルの内容を表示するプロットである。
【0012】
様々な図面における同様の参照記号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ポンプ場などの油及びガス機器に関する健全性状況の情報は、例えば、資産管理ソフトウェア(AMS)を使用して得ることができる。いくつかのAMS製品は、流量の、時にはパイプ内の流体の流量の1つ以上の特性(例えば、速度又は圧力)を測定するための器具である流量計の診断情報を取得及び/又は処理する能力を欠いている。流量計は、油及びガス産業で使用され得るが、他の産業でも使用され得る。流量計の総合的な健全性状態を知らずに、流量計が流量を正確に測定しているかどうか、また、精度がマージン内にあるかどうかを評価することは困難な場合がある。流量計によって生成されたデータが不正確である場合、資産性能マネージャソフトウェア(例えば、改善された動作の信頼性及び効率を実現するためのソフトウェアプログラムであって、流量計によって生成された測定データに依存し得る)によるプロセスモデリング及び最適化を正確に行うことが妨げられ得る。この問題に対処するために、流量計の動作健全性に関する情報を提供することによって、流量計の診断を改善し得るデジタルアプリケーションが提供される。
【0014】
デジタルアプリケーションは、流量計からの診断データに基づいて、流量計健全性オブジェクトを作成し得るデジタルモデルを含み得る。デジタルアプリケーションは、資産管理及び最適化ソフトウェアで使用するための計測器の包括的な健全性状態を提供し得る。いくつかの実施態様では、デジタルアプリケーションは、流量計自体、又はデジタル産業ソリューションプラットフォーム、又はその両方に実装され得る。
【0015】
デジタル産業ソリューションプラットフォームとしては、産業マシンからデータを収集し、分析するために使用され得るクラウドベースのPaaS(Platform-as-a-Service)ソフトウェアプラットフォームが挙げられ得る。デジタル産業ソリューションプラットフォームは、機械、データ、及び人々を導くための標準的な手段を提供することによって、資産性能管理及び動作の最適化のための産業規模の分析を可能にし得る。
【0016】
図1は、改善された流量計の監視を提供し得る、現在の主題のいくつかの実施態様の例示的なプロセス100を示すプロセスフロー図である。
【0017】
105において、油などの流体の流量を監視する工場内の流量計の動作を特徴付ける診断データが受信され得る。流量計は、プロセスの一環としてパイプを通る流れを測定して効率を改善し、問題を識別し、精度を向上するために、音の速度を分析し得る。特定のガス、液体、流体、又は他の媒体の音の速度は、どのくらいの速さで音波がガス、液体、流体、又は他の媒体を通過し得るかを説明し得る。流量計は、クランプオン式流量計又は湿潤式流量計を含み得る。それぞれのタイプの流量計は、動作温度、流量計を貫流する液体若しくはガスの液体温度若しくはガス温度、ソフトウェアエラー、及び/又はハードウェアエラーを含む診断データを生成するように構成され得る。いくつかの実施態様では、診断データは、診断パラメータ及び構成データを含み得る。いくつかの実施態様では、診断パラメータ及び構成データは、1つ以上のパラメータを含み得る。例えば、診断データは、パラメータデータのセットを含み得る。いくつかの実施形態では、診断データは、1~10、15~30、25~50、40~75、又は70~100個のパラメータを含み得る。
【0018】
診断データは、クランプオン式流量計及び湿潤式流量計の両方について、温度、音速、及び振幅などのチャネルごとのパラメータを含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、クランプオン式流量計の場合、診断データは、ウェッジ音速などのチャネルごとのパラメータを含み得る。例えば、チャネルごとのウェッジ音速は、流量計の温度センサが正しく動作しているかどうかを示し得る。いくつかの実施形態では、例えば、湿潤式流量計の場合、診断データは、ウェッジ温度、ウェッジ温度変化、ウェッジ間隔、及び/又はウェッジ内の時間に関するチャネルごとのパラメータを含み得る。
【0019】
診断データは、上向き又は下向きの信号方向など、信号方向に関連するチャネルごとのパラメータを更に含み得る。診断データは、信号品質、信号対雑音比、ゲインピーク、及び/又は振幅などの、クランプオン式流量計及び湿潤式流量計の両方の所与の信号方向に関するチャネルごとのパラメータを含み得る。例えば、いくつかの実施態様では、信号対雑音比は、トランスデューサから受信した信号振幅とそのノイズフロアとの比を含み得る。いくつかの実施態様では、例えば、クランプオン式流量計及び湿潤式流量計では、診断データは、所与の信号方向に関するチャネルごとのパラメータを提供する信号ファイルを含み得る。信号ファイルは、チャネルごとに少なくとも1つのファイルを含み得る。他の実施態様では、信号ファイルは、チャネルごとに5~7つのファイルを含み得る。信号ファイルは、受信トランスデューサによって受信され得る測定点又はデータ値の集合を含み得る。いくつかの実施態様では、信号ファイルに含まれる点の集合は、約1000~2000個の点を含み得る。信号ファイル内に保存される情報は、例えば、超音波通過時間を決定するために使用され得る。
【0020】
湿潤式流量計の場合、いくつかの実施態様では、診断データは、ウェッジ信号品質、ウェッジ信号対雑音比、ウェッジゲイン、ウェッジピーク、及びウェッジ振幅などの所与の信号方向に関するチャネルごとのパラメータを含み得る。
【0021】
いくつかの実施態様では、他の種類の診断データが受信され得る。診断データは、流量計の内部設計、及び診断、構成、流量パラメータなどを計算するために内部に組み込まれる任意のアルゴリズムに基づいて変化し得る。いくつかの実施態様では、1つ以上の診断及び構成パラメータは、流量計に通信可能に連結された1つ以上のデバイスによって取得され得る。
【0022】
110において、資産状態オブジェクトが決定され得る。資産状態オブジェクトを決定することは、資産モデルエンジンによって実行され得る。資産状態オブジェクトは、流量計の信頼性を示す流量計の状態を特徴付け得る。資産状態オブジェクトは、オブジェクト指向プログラミングで使用されるオブジェクトなど、クラスのインスタンスとして実装され得る。資産状態オブジェクトは、流量計診断データをAMSソフトウェア製品によってより容易に受信し、処理することを可能にする、柔軟な形式化オブジェクトであり得る。資産状態オブジェクトは、流量計診断パラメータの初期処理を行い、その後、診断パラメータをオブジェクト形式に組み合わせることによって生成され得る。既存のAMSシステムは、典型的には、流量計の個々の診断パラメータの全てではなく一部を受信又は取得するように構成される。診断パラメータの処理は、時間がかかり、エラーを起こしやすいが、流量計の動作健全性を決定するために重要である。多くの場合、診断パラメータの処理は、流量計動作又は診断データとして特定の経験を有する当業者を必要とした。AMSソフトウェアシステムは、適切に形式化された後に診断データを処理するように構成され得る。診断パラメータの初期処理は、例えば、資産状態オブジェクトに含まれ得る1つ以上の信号ファイルを生成するために、流量計内で実行され得る。しかしながら、生信号ファイルは、データの複雑性を隠す可能性があり、流量計(the flow the meter)の動作健全性に対する最良の洞察を提供しない場合がある。資産状態オブジェクトの形式で流量計の健全性状況を提示することによって、AMSソフトウェアは、流量計の健全性の状態を決定することを単純化することができ、AMSソフトウェアパッケージによってこの状態をより容易に読み取り、処理させ得る。
【0023】
流量計は、資産状態オブジェクトを生成するために必要な1つ以上の診断処理アルゴリズムで構成され得る。資産モデルエンジンは、流量計の診断パラメータの初期処理を実行し、診断パラメータを診断データが関連する特定の流量計に対応する資産状態オブジェクトに組み合わせるように流量計内に構成され得る、1つ以上の診断処理アルゴリズムを含み得る。いくつかの実施形態では、資産モデルエンジンは、機械学習プロセス、又は診断データに基づいて資産状態オブジェクトを生成するように機械学習プロセスで訓練された1つ以上の予測モデルを実装するか、ないしは別の方法で含み得る。このようにして、資産状態オブジェクトは、流量計の動作状況又は健全性の正確な表現を含むように生成され得る。いくつかの実施態様では、資産状態オブジェクトは、それぞれのチャネル、ケーブル、電子機器などのために構成され得る1組のトランスデューサなど、1つ以上の流量計部品に関連する状態を含み得る。
【0024】
115において、資産状態オブジェクトが提供され得る。いくつかの実施態様では、資産状態オブジェクトは、更なる処理のために、AMS及び/又は最適化ソフトウェアに提供され得る。いくつかの実施態様では、資産状態オブジェクトは、流量計に連結されたコンピューティングデバイスのディスプレイに出力され得る。いくつかの実施形態では、資産状態オブジェクトは、流量計の動作健全性に関する指示をオペレータに提供し得る。いくつかの実施形態では、資産状態オブジェクトに示される動作健全性は、流量計を動作状態に維持するために必要とされる保守又はサービス活動を決定するために使用され得る。いくつかの実施態様では、資産状態オブジェクトは、工場の運用効率を改善するために、AMS及び/又は最適化ソフトウェアによって使用され得る。
【0025】
図2は、本明細書に記載されるように、改善された流量計の監視を提供するように構成された、流量計202を含む例示的なシステム200を示す例示的なシステムブロック図である。
【0026】
いくつかの実施態様では、システム200は、流量測定サブシステム205を含むように構成された流量計202を含み得る。流量測定サブシステム205は、資産モデルサブシステム210と動作可能に通信し得る。診断パラメータ及び構成データは、流量測定サブシステム205によって取得され得る。資産モデルサブシステム210は、流量測定サブシステム205から診断データを受信し得る診断データリポジトリ210Aを含み得る。いくつかの実施態様では、診断データは、診断データの約1つ以上の測定点又はデータ点を含み得る。例えば、診断データは、(流量計202内に構成され得る3つのチャネルのそれぞれにわたって)100項目を含み得る。いくつかの実施態様では、診断データは、多数の信号ファイルを含み得る。いくつかの実施態様では、診断データリポジトリ210Aは、データベースなどのメモリを含み得る。
【0027】
いくつかの実施態様では、診断データは、資産モデルエンジン210Bに送信され得る。資産モデルエンジン210Bは、資産モデル210Cと動作可能に通信し得る。いくつかの実施態様では、資産モデルエンジン210Bは、動作を実行するように構成されたプロセッサを含み得る。資産モデル210Cは、診断データの処理のために、資産モデルエンジン210Bに命令を提供し得る。資産モデル210Bは、アルゴリズム又は予測モデルを実行して、受信した診断データ及び資産モデルエンジン210Cからの命令を使用して資産状態を決定し得る。いくつかの実施態様では、資産モデル210Cは、診断データ及び信号ファイルを分析するために使用され得るコンピュータ可読及び実行可能命令のXMLスクリプト又は同様の形式であり得る。いくつかの実施態様では、資産モデル210Cは、動作を実行するように構成されたプロセッサを含み得る。
【0028】
次いで、資産モデルエンジン210Bは、更なる処理のために第1の通信サブシステム215に提供され得る資産状態を含む流量資産オブジェクト210Dを出力し得る。通信サブシステム215は、いくつかの実施態様では、ディスプレイ、キーボード、マウス、端子などのハードウェア入出力デバイスを含み得る。流量資産オブジェクト210Dは、いくつかの実施態様では、流量計202の動作健全性又は流量計202の健全性状況に関する情報を含み得る。いくつかの実施態様では、健全性状況はリモートで生成され得る。いくつかの実施態様では、健全性状況は、AMSソフトウェアで生成され得る。いくつかの実施態様では、流量測定サブシステム205及び資産モデルサブシステム210が別個のデジタルコンテナ内で動作することは、記載される主題の利点であり、それにより、流量測定サブシステム205で行われる流量測定及び流量計算プロセスは、中断せずに継続することができ、コンピューティングリソースを効率的に利用することができる。そのような構成はまた、流量計内で実行される新しいタスクを含み得る、資産モデルサブシステム210のファームウェアの独立したアップグレード又は修正を可能にし得る。
【0029】
いくつかの実施態様では、診断データは、1つ以上のトランスデューサ220A及び/又は1つ以上のゲート220Bから発信され得、計測器インターフェース220Cを介して流量計202に送信され得る。計測器インターフェース220Cは、いくつかの実施態様では、ハードウェア入出力デバイスを含み得る。いくつかの実施態様では、流量資産オブジェクト210Dは、クラウド内に位置するAMSソフトウェアパッケージを実行し得るリモートサーバー225Aに配布するために、第1の通信サブシステム215に提供され得る。いくつかの実施態様では、リモートサーバー225Aはリモートデバイス225Bによってアクセスされ得る。第1の通信サブシステム215は、いくつかの実施態様では、ディスプレイ、キーボード、マウス、端子などのハードウェア入出力デバイスを含み得る。
【0030】
いくつかの実施態様では、リモートサーバー225Aは、動作を実行するように構成され得る1つ以上のプロセッサ225Cと、プロセッサ225Cによってアクセスされ得る記憶装置225D(例えば、データベース又はメモリ)と、を含み得る。いくつかの実施態様では、リモートサーバー225Aへのデータの提供は、サービスインターフェース225Eを介し、かつメディア227を介して行われ得る。いくつかの実施態様では、メディアは有線又は無線通信インターフェースを含み得る。サービスインターフェース225Eは、いくつかの実施態様では、ディスプレイ、キーボード、マウス、端子などのハードウェア入出力デバイスを含み得る。いくつかの実施態様では、資産モデルサブシステム210は、プロセスインターフェース235と更に通信し得る第2の通信サブシステム230と動作可能に通信し得る。いくつかの実施態様では、プロセスインターフェース235は、工業用バス又はプロセスインターフェースを含み得る。いくつかの実施態様では、健全性状況はリモートで生成され得る。いくつかの実施態様では、健全性状況は、AMSソフトウェアで生成され得る。
【0031】
図3は、
図2の流量計202など、一実施形態による通過時間を測定するように構成された流量計から出力され得る生信号ファイルの例示的な表現を表示するプロット300である。生信号ファイルは、インデックス(x軸)上の値(y軸)として、関連するパラメータ(例えば、信号対雑音比、チャネルごとのウェッジ音速、チャネルごとのピーク率、パイプ音速、活性インターバル、活性温度変化、及び/又はピーク率)を特徴付け得る。信号ファイルが生であるため、x軸及びy軸は、パラメータの値及びインデックスに対応する相対寸法で示される。
【0032】
図4は、上流及び下流トランスデューサデータを相関させるように処理された信号ファイルの例示的な表現を表示するプロット400である。例えば、
図4に示すように、プロット400は、一実施形態による流量計の下流線に設定された現在ピーク率を示す水平線410を含む。動作中、オペレータは、流量計が動作的に健全な状態で実行されているかどうか、及び流量が流量計によって正確に測定されているかどうかを確認するために、相関信号ファイル内の情報を使用して動作分析を実行し得る。上流線405と下流線410とが交差する位置は(
図4に示される基準415によって示されるように)、流量計が不正確な測定値を提供している可能性があるか、又は測定のサイクルをスキップしている可能性があることを示し得る。いくつかの既存のシステムでは、動作分析は信号ファイルのみで行われ得る。いくつかの既存のシステムでは、動作分析は、サービスエンジニアによって手動でのみ実行され得る。
【0033】
図5は、動作的に健全な流量計の相互相関信号ファイルの例示的な表現を表示する例示的なプロット500を示す。相互相関信号ファイルは、信号ファイルの構成要素間の類似度の尺度又は表示を提供し得る。相互相関信号ファイルは、インデックス(例えば、x軸上に表示されたインデックス値)上の値(例えば、y軸上に表示されたパラメータ値)として、関連するパラメータ(例えば、信号対雑音比、チャネルごとのウェッジ音速、チャネルごとのピーク率、パイプ音速、活性インターバル、活性温度変化、及び/又はピーク率)を特徴付け得る。
【0034】
本明細書に記載される改善されたシステムは、流量計の動作状況を監視する技術的問題に対処する。本明細書に記載される方法、システム、デバイス、及びコンピュータ可読媒体の例示的な技術的効果としては、流量計の改善された動作が挙げられ得る。本明細書に記載されるプロセス及びシステムのうちのいくつかの出力として提供される健全性状況情報は、流量計の使用を必要とするプロセス及び動作の改善された最適化を可能にし得る。加えて、流量計と相互作用するための改善されたインターフェースは、本明細書に記載される主題に起因し得る。リモート分析は、本明細書に記載される主題によって提供され得、これは、診断データを分析するためにリモートコンピュータにアクセスする必要性を取り除き得る。加えて、本明細書に記載される主題は、流量計と、資産管理ソフトウェアのいくつかの実施態様との間の改善された通信を提供し得る。例えば、本明細書に記載される主題は、流量計の健全性状況を提供する目的で、診断パラメータ及び信号ファイルなどの、資産管理ソフトウェアの一部の実装では処理することのできない流量計をオンボードで処理し得る。したがって、本明細書に記載される主題によって生成された健全性状態情報は、健全性状態情報の生成機能をAMSプラットフォームに組み込む必要なく、任意のAMSプラットフォームに渡され得る。
【0035】
このように、本システムは、流量計に関連する診断データを処理し、流量計タイプに対応する、又は流量計に関連して構成され得る(many be)トランスデューサなどのセンサに対応する状態データを生成するコンピュータ機能の改善を表す。加えて、リモートデバイス225Bは、流量計又は流量計に関連して構成され得るセンサに関連する1つ以上のパラメータを可視化するときなど、診断及び状態データのより効率的な可視化及び実行を提供する、改善されたディスプレイ又はグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を含み得る。改善されたGUIはまた、異常な動作状態の警告若しくは通知、診断若しくは状態データに基づく流量計の保守若しくは修理手順の計画、又は所望の範囲内の工場の生産速度の管理のための向上した可視化を提供し得る。
【0036】
本明細書に記載される主題の1つ以上の態様又は特徴は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実現され得る。これらの様々な態様又は特徴は、記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力デバイスからデータ及び命令を受信し、かつそこにデータ及び命令を送信するために連結された、専用又は汎用であり得る少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを含む、プログラム可能なシステム上で実行可能及び/又は解釈可能な1つ以上のコンピュータプログラムへの実装を含み得る。プログラム可能なシステム又はコンピューティングシステムは、クライアント及びサーバーを含んでもよい。クライアント及びサーバーは、互いに概ねリモートであり、典型的に通信ネットワークを介して相互作用する。クライアントとサーバーとの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアント-サーバー関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0037】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、構成要素、又はコードとも称され得るこれらのコンピュータプログラムは、プログラム可能なプロセッサのための機械命令を含み、高水準手続き言語、オブジェクト指向プログラミング言語、機能プログラミング言語、論理プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械言語で実装され得る。本明細書で使用するとき、用語「機械可読媒体」は、機械命令を機械可読信号として受信する機械可読媒体を含む、プログラム可能なプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するために使用される、例えば磁気ディスク、光ディスク、メモリ、及びプログラム可能論理デバイス(PLD)などの任意のコンピュータプログラム製品、装置、及び/又はデバイスを指す。用語「機械可読信号」は、プログラム可能なプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するために使用される任意の信号を指す。機械可読媒体は、例えば、非一時的ソリッドステートメモリ、又は磁気ハードドライブ、又は任意の同等の記憶媒体などの、かかる機械命令を非一時的に記憶し得る。機械可読媒体は、例えば、プロセッサキャッシュ、又は1つ以上の物理的プロセッサコアに関連する他のランダムアクセスメモリなどの一時的な方法で、かかる機械命令を代替的に又は追加的に記憶し得る。
【0038】
ユーザとの相互作用を提供するために、本明細書に記載される主題の1つ以上の態様又は特徴は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス、例えば、陰極線管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)又は発光ダイオード(LED)モニタ、並びにユーザがコンピュータに入力を提供するのに利用し得るキーボード及びポインティングデバイス、例えば、マウス又はトラックボールを有するコンピュータ上に実装され得る。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの相互作用を提供することもできる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックであり得、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚入力を含む任意の形態で受信され得る。他の可能な入力デバイスとしては、タッチスクリーン、又はシングルポイント若しくはマルチポイント抵抗性若しくは容量性トラックパッド、音声認識ハードウェア及びソフトウェア、光学スキャナ、光学ポインタ、デジタル画像キャプチャデバイス及び関連する解釈ソフトウェアなどの他のタッチ感知デバイスが挙げられる。
【0039】
上の説明及び特許請求の範囲において、「~のうちの少なくとも1つ」又は「~のうちの1つ以上」などの語句が、要素又は特徴の接続的なリストに続いて現れる場合がある。用語「及び/又は」も、2つ以上の要素又は特徴のリスト内に現れる場合がある。それが使用される文脈によって暗黙的又は明示的に否定されない限り、そのような語句は、列記された個々の要素若しくは特徴のいずれか、又は列挙された要素若しくは特徴のいずれかと他の列挙された要素若しくは特徴のいずれかとの組み合わせを意味することが意図される。例えば、語句「A及びBのうちの少なくとも1つ」、「A及びBのうちの1つ以上」、及び「A及び/又はB」はそれぞれ、「Aのみ、Bのみ、又はA及びBを一緒に」を意味することが意図される。3つ以上の項目を含むリストにも、同様の解釈が意図される。例えば、語句「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの1つ以上」、及び「A、B、及び/又はC」はそれぞれ、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、又はA及びB及びCを一緒に」を意味することが意図される。加えて、上記及び特許請求の範囲での「~に基づいて」という用語の使用は、列挙されていない特徴又は要素も許容可能であるように、「~に少なくとも部分的に基づいて」を意味することが意図される。
【0040】
本明細書に記載される主題は、所望の構成に応じて、システム、装置、方法、及び/又は物品において具現化され得る。前述の説明に記載された実施態様は、本明細書に記載される主題と一致する全ての実施態様を表すものではない。その代わりに、これらは、記載された主題に関連する態様と一致するいくつかの実施例に過ぎない。いくつかの変形が上で詳細に説明されてきたが、他の修正又は追加が可能である。具体的には、本明細書に記載されるものに加えて、更なる特徴及び/又は変形が提供され得る。例えば、上記の実施態様は、開示された特徴の様々な組み合わせ及び部分的組み合わせ、並びに/又は上に開示されたいくつかの更なる特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせを対象とし得る。加えて、添付の図に示され、かつ/又は本明細書に記載される論理の流れは、所望の結果を達成するために、図示される特定の順序、又は連続的な順序を必ずしも必要としない。他の実施態様は、以下の特許請求の範囲内であり得る。