(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】酵素処理甘草抽出物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C12P 7/22 20060101AFI20220527BHJP
C12P 1/00 20060101ALI20220527BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20220527BHJP
【FI】
C12P7/22
C12P1/00 A
A23L33/105
(21)【出願番号】P 2017185450
(22)【出願日】2017-09-07
【審査請求日】2020-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000210067
【氏名又は名称】池田食研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】本間 亮介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 みづき
【審査官】中山 基志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-062261(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0039036(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0092808(KR,A)
【文献】特開2009-269890(JP,A)
【文献】Soy Isoflavone Aglycones Are Absorbed Faster and in Higher Amounts than Their Glucosides in Humans,THE JOURNAL OF NUTRITION,2000年,Volume 130, Issue 7,pp. 1695-1699
【文献】白麹菌のβ-グルコシダーゼと菌体外可溶性多糖,日本醸造協会誌,2001年10月15日,96巻、10号,669-678
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P7/00-7/66
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
酵素処理物1重量部に対し、0.05~50重量部の有機溶媒で抽出することを特徴とする、請求項1記載の酵素処理甘草抽出物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素処理甘草抽出物及びその製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
甘草は、マメ科Glycyrrhiza属の多年草で、その根及びストロン(茎の一型)が生薬や甘味料として利用されている。甘草に含まれる有効成分としては、リクイリチンやリクイリチゲニン等のフラボン類、イソリクイリチンやイソリクイリチゲニン等のカルコン類、グリチルリチン酸やグリチルレチン酸等のテルペン類が知られており、リクイリチゲニンが抗ウイルス作用や抗腫瘍作用等を有すること、イソリクイリチゲニンが抗アレルギー作用や抗菌作用を有すること等、各種有効性が報告されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、リクイリチン、リクイリチゲニン、イソリクイリチン及びイソリクイリチゲニンを含有し、グリチルリチン酸含有率が1.0質量%以下である甘草抽出物を有効成分として含有することを特徴とするグルタチオン産生促進剤が開示されているが、吸着樹脂を用いたカラム精製工程が必要であることが記載されており、製造方法が煩雑で効率が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、煩雑なカラム工程無しに、リクイリチゲニン含有量を高めた甘草抽出物を簡便に効率よく製造できる製造方法を提供する。甘草原料中では、配糖体であるリクイリチン含有量の方が高いが、アグリコンであるリクイリチゲニンの方が体内に吸収され易いため、該アグリコン含有量を高め、機能性を高めた甘草抽出物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、甘草又は甘草抽出物の少なくとも一つをβ-グルコシダーゼ活性を有する酵素で酵素処理した後、有機溶媒中で抽出することで、リクイリチゲニンを含有する酵素処理甘草抽出物を効率よく製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[6]の態様に関する。
[1]甘草又は甘草抽出物の少なくとも一つを、水存在下でβ-グルコシダーゼ活性を有する酵素で酵素処理した酵素処理物を、有機溶媒抽出することを特徴とする、リクイリチゲニンを含有する酵素処理甘草抽出物の製造方法。
[2]リクイリチゲニン含有量がグリチルリチン酸含有量よりも多いことを特徴とする、[1]記載の酵素処理甘草抽出物の製造方法。
[3]酵素処理物1重量部に対し、0.05~50重量部の有機溶媒で抽出することを特徴とする、[1]又は[2]に記載の酵素処理甘草抽出物の製造方法。
[4]pH4.0~6.5で有機溶媒抽出することを特徴とする、[1]~[3]の何れかに記載の酵素処理甘草抽出物の製造方法。
[5][1]~[4]の何れかに記載の製造方法により得られる酵素処理甘草抽出物であって、固形分あたり0.2重量%以上のリクイリチゲニンを含む酵素処理甘草抽出物。
[6][5]記載の酵素処理甘草抽出物を含む飲食品。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、体内に吸収され易いリクイリチゲニンの含有量を高めた酵素処理甘草抽出物を提供できる。また、カラムを使用する等煩雑な製造方法を必要とせず、簡便かつ効率的に該酵素処理甘草抽出物を製造できる製造方法を提供できる。さらに、該酵素処理甘草抽出物を添加することで、付加価値の高い飲食品を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に記載の酵素処理甘草抽出物は、甘草又は甘草抽出物の少なくとも一つを、水存在下でβ-グルコシダーゼ活性を有する酵素で酵素処理した後、有機溶媒で抽出して得られる酵素処理甘草抽出物であれば特に限定されず、例えば甘草と水とを含む混合物にβ-グルコシダーゼ活性を有する酵素を添加し、酵素処理した後、アルコールを添加して抽出することで酵素処理甘草抽出物を得られる。
【0010】
甘草の品種としては、Glycyrrhiza uralensis、G.glabra、G.inflata等が挙げられ、これらの根や根茎等を用いることができる。酵素処理に用いる甘草は、甘草原料の粗砕物、粉末等若しくは抽出残渣を使用でき、又は甘草原料から水、有機溶媒若しくはそれらの混合物を用いて抽出した甘草抽出物でもよく、甘草及び甘草抽出物の混合物でもよく、前記各種の乾燥品を用いてもよい。
【0011】
酵素処理に用いる酵素は、β-グルコシダーゼ活性を有する酵素であれば特に限定されず、ペニシリウム属、アスペルギルス属、シュードモナス属、リゾムコル属、クリプトコッカス属、ミクロバクテリウム属等の微生物由来の酵素やアーモンド等の植物由来の酵素が例示できる。酵素製剤としては、アロマーゼ(登録商標)(天野エンザイム株式会社製)、スミチーム(登録商標)BGA(新日本化学工業株式会社製)等が使用できる。さらに、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、ナリンギナーゼ、ヘスペリジナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等の他の酵素を併用してもよい。
【0012】
酵素処理は水存在下で実施すればよく、酵素処理時の水分は、本発明の酵素処理物が得られれば特に限定されないが、40~99重量%が好ましく、50~98重量%がより好ましい。
【0013】
酵素処理条件は、酵素反応が行える条件であれば特に限定されないが、例えば酵素添加量は、酵素製剤として、甘草原料由来固形分を100重量部とした場合に、好ましくは0.1~30重量部、より好ましくは0.2~20重量部である。また、処理条件は酵素の最適pH及び温度、並びにpH及び温度安定性を考慮して適宜設定できるが、例えば、pH2~8、10~70℃での処理が例示でき、pH3~7、20~60℃が好ましい。処理時間は処理条件に応じて適宜調整できるが、例えば、5分間~30時間が例示でき、10分間~24時間が好ましい。
【0014】
有機溶媒抽出は、酵素処理後に酵素処理物を有機溶媒で抽出すればよく、有機溶媒としては、リクイリチゲニンを抽出できる有機溶媒であれば特に限定されないが、エタノール、ブタンジオール、グリセロール等のアルコール類が好ましく、含水アルコールでも良く、例えば60~99容量%エタノールを使用することができる。また、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、トリアシルグリセロール等のグリセリン脂肪酸エステル等も使用することができる。酵素処理物と有機溶媒との比率は特に限定されないが、酵素処理物1重量部に対して有機溶媒が0.05~50重量部が好ましく、0.1~20重量部がより好ましい。親水性の有機溶媒を使用する場合は、酵素処理物を予め減圧濃縮、膜濃縮、ドラムドライ、エアードライ、噴霧乾燥、真空乾燥若しくは凍結乾燥、又はそれらの組み合わせ等により、濃縮品や乾燥品として、有機溶媒抽出するのが好ましい。
【0015】
有機溶媒抽出条件は、リクイリチゲニンを抽出できれば特に限定されず、温度、時間、pH等、抽出条件は適宜設定できるが、抽出温度は、10~120℃が例示でき、20~100℃が好ましく、25~90℃がより好ましい。抽出時間は、例えば1分間~24時間が例示でき、2分間~12時間が好ましく、5分間~6時間がより好ましい。また、抽出時のpHは、リクイリチゲニン抽出率を上げるためには、pH4.0~6.5が好ましく、6.0以下がより好ましく、グリチルリチン酸抽出率を抑えるためにはpH4.5以上が好ましいため、pH4.5~6.0がさらに好ましい。該pHの調整は、有機溶媒抽出時又は抽出前に、塩酸等の酸溶液や水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液を用いて行うことができる。抽出は、常圧条件下、加圧条件下、減圧条件下の何れでもよく、還流抽出でもよい。抽出後に固液分離するのが好ましく、不織布によるろ過、遠心分離等により、有機溶媒を含む液部を回収できる。回収した酵素処理甘草抽出物は、減圧濃縮、膜濃縮、ドラムドライ、エアードライ、噴霧乾燥、真空乾燥若しくは凍結乾燥、又はそれらの組み合わせ等により、濃縮品や乾燥品としてもよい。
【0016】
上記に記載の方法により本発明の酵素処理甘草抽出物を製造することができる。本発明の製造方法は、リクイリチゲニン収量が高く、好ましくは甘草原料1gあたり0.2mg以上、より好ましくは0.3mg以上、さらに好ましくは0.5mg以上、特に好ましくは1mg以上のリクイリチゲニンが得られる。
【0017】
本発明の酵素処理甘草抽出物は、固形分あたりのリクイリチゲニン含有量が0.2重量%以上であるのが好ましく、0.3重量%以上であるのがより好ましく、0.5重量%以上であるのがさらに好ましく、1.0重量%以上であるのが特に好ましい。また、酵素処理甘草抽出物中のリクイリチゲニン含有量は、グリチルリチン酸含有量より多いことが好ましく、グリチルリチン酸を1重量部とした場合に、リクイリチゲニンは1重量部以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、グリチルリチン酸含有量を抑えることで、強過ぎる甘味を抑えることができる。また、イソリクイリチゲニン含有量が0.2重量%以上であるのが好ましく、0.3重量%以上であるのがより好ましく、0.5重量%以上であるのがさらに好ましく、1.0重量%以上であるのが特に好ましい。
【0018】
本発明の酵素処理甘草抽出物は、各飲食品に添加して使用することができる。各飲食品に添加することにより、含有するリクイリチゲニンを簡便に体内に取り込むことができる。酵素処理甘草抽出物の添加量は特に限定されないが、各飲食品中にリクイリチゲニンとして好ましくは0.1~200mg、より好ましくは0.2~100mg含むことができればよい。
【実施例】
【0019】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。尚、本発明において、%は別記がない限り全て重量%である。
【0020】
[試験例1]
甘草(G.uralensis)根茎の粉末40gに、水道水160gを加え、β-グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼ(登録商標)(天野エンザイム株式会社製)及びスミチーム(登録商標)BGA(新日本化学工業株式会社製)をそれぞれ2gずつ添加して60℃で2時間酵素処理を行い、得られた甘草酵素処理物200gを噴霧乾燥することで、甘草酵素処理粉末35gを得た。次に、得られた甘草酵素処理粉末のうち10gに、抽出溶媒として95容量%エタノール100g(実施例1)又は水(比較例1-1)100gを加えて60℃で30分間抽出した後、ろ紙を用いて固液分離することで、実施品1の酵素処理甘草抽出物80g(固形分:2.13%)又は比較品1-1の酵素処理甘草抽出物60g(固形分:3.95%)を得た。
【0021】
(比較例1-2)
β-グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼ及びスミチームBGAを添加しないこと以外は実施例1と同様に処理して、比較品1-2の甘草抽出物80g(固形分:1.47%)を得た。
【0022】
[試験例2]
【実施例2】
甘草(G.glabra)根茎の粗砕物50gに、水道水450gを加えて90℃で10分間抽出した後、不織布を用いて搾汁し、得られた甘草水抽出物300gを減圧濃縮することで、濃縮液(水分:81%)80gを得た。得られた濃縮液80gに、β-グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼ及びスミチームBGAをそれぞれ1gずつ添加して60℃で1時間酵素処理を行うことで、甘草酵素処理物を得た。次に、得られた甘草酵素処理物に、抽出溶媒として中鎖脂肪酸トリグリセリド(サンクリスタル(登録商標)、日清オイリオグループ株式会社製)10gを加えて80℃で10分間抽出した後、遠心分離(2000×G、5分間)して有機溶媒層を回収することで、実施品2の酵素処理甘草抽出物8g(固形分:98.1%)を得た。
【0023】
(比較例2)
β-グルコシダーゼ製剤であるアロマーゼ及びスミチームBGAを添加しないこと以外は実施例2と同様に処理して、比較品2の甘草抽出物8g(固形分:97.8%)を得た。
【0024】
[評価試験]
実施品1、実施品2、比較品1-1、比較品1-2及び比較品2について、HPLCを用いて以下の条件でリクイリチゲニン、イソリクイリチゲニン、グリチルリチン酸及びグリチルレチン酸の含有量を測定し、各実施品及び比較品中の固形分あたりの含有量(%)を算出して、各実施品及び比較品中の固形分と共に表1に示した。また、グリチルリチン酸1に対するリクイリチゲニンの量も表1に示した。さらに、甘草原料1gあたりの収量(mg)を算出して、表2に示した。
<HPTC測定条件>
検出器:UV検出器(254nm)
カラム:InertSustain C18
(内径4.6mm、長さ250mm、ジーエルサイエンス(株)製)
移動相A:15容量%アセトニトリル水溶液(0.1容量%リン酸含有)
移動相B:80容量%アセトニトリル水溶液(0.1容量%リン酸含有)
グラジエント:移動相Aから移動相Bへのグラジエント(50分間)
流速:0.8ml/分
カラム温度:40℃
標品:リクイリチゲニン(生薬試験用、和光純薬工業株式会社製)、イソリクイリチゲニン(純度97.0%以上、東京化成工業株式会社製)、グリチルリチン酸(生薬試験用、和光純薬工業株式会社製)及びグリチルレチン酸(食品添加物試験用、和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ50容量%アセトニトリル水溶液で適宜希釈し、それぞれの検量線を作成した。
検体:各試料を50容量%アセトニトリル水溶液で、適宜希釈したもの。
【0025】
【0026】
【0027】
表1に示すとおり、実施品1及び2の酵素処理甘草抽出物は、何れもリクイリチゲニンの方がグリチルリチン酸より多く含まれており、グリチルリチン酸1に対してリクイリチゲニンは2以上だった。一方、比較品1-1、1-2及び2は、何れもグリチルリチン酸の方がリクイリチゲニンより多く、グリチルリチン酸1に対してリクイリチゲニンは1未満だった。また、グリチルレチン酸は実施品でも比較品でも不検出だった。
【0028】
抽出溶媒として水を使用した場合(比較品1-1)、甘草原料1gあたりのグリチルリチン酸収量が、有機溶媒を使用した場合(実施品1)より9倍以上多く、またリクイリチゲニン収量は3分の1以下だったことから、有機溶媒抽出することでグリチルリチン酸の抽出を抑え、かつリクイリチゲニンの収量を高めることができることが分かった。また、有機溶媒抽出する場合であっても、β-グルコシダーゼ製剤による酵素処理を行わなかった場合(比較品1-2又は2)、甘草原料1gあたりのリクイリチゲニン収量が、酵素処理を行った場合(実施品1又は2)の5分の1以下又は4分の1以下だったことから、酵素処理することでリクイリチゲニンの収量を高めることができることが分かった。
【0029】
[試験例3]
甘草(G.glabra)根茎の粗砕物1kgに、水道水9kgを加えて90℃で10分間抽出した後、不織布を用いて搾汁し、得られた甘草水抽出物6kgを減圧濃縮することで、濃縮液(水分:80%)1.6kgを得た。得られた濃縮液1.6kgに、β-グルコシダーゼ製剤であるスミチームBGAを10g添加して60℃で1時間酵素処理を行うことで、甘草酵素処理物を得た。pH調整剤として塩酸又は水酸化ナトリウムを用いて、得られた甘草酵素処理物のうち各120gを、pH4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、7.0、8.0又は9.0にそれぞれ調整した後、噴霧乾燥することで、甘草酵素処理粉末各10gを得た。次に、抽出溶媒としてとして95容量%エタノール80gを加えて27℃で10分間抽出した後、ろ紙を用いて固液分離することで、酵素処理甘草抽出物各70gを得た。
【0030】
前記評価試験方法で、リクイリチゲニン、イソリクイリチゲニン、グリチルリチン酸及びグリチルレチン酸の含有量を測定し、酵素処理甘草抽出物中の固形分あたりの含有量(%)を算出して、酵素処理甘草抽出物中の固形分と共に表3に示した。また、グリチルリチン酸1に対するリクイリチゲニンの量も表3に示した。さらに、甘草原料1gあたりの収量(mg)を算出して、表4に示した。
【0031】
【0032】
【0033】
表3に示すとおり、pH4.5~9.0の酵素処理甘草抽出物は、何れもリクイリチゲニンの方がグリチルリチン酸より多く含まれており、グリチルリチン酸1に対してリクイリチゲニンは1以上だった。一方、pH4.0の甘草抽出物は、グリチルリチン酸の方がリクイリチゲニンより多く、グリチルリチン酸1に対してリクイリチゲニンは1未満だった。また、グリチルレチン酸は実施した全pH範囲で不検出だった。また、甘草原料1gあたりのリクイリチゲニン収量は、pH4.0~6.0では1mg以上だったが、pH7.0以上では1mg未満だった。
【0034】
以上より、リクイリチゲニン含有量がグリチルリチン酸含有量より多く、かつ、甘草原料1gあたりのリクイリチゲニン収量を高めるためには、pH4.5以上、pH7.0未満で有機溶媒抽出することが好適である。