(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】ミシンの早見パネル装置
(51)【国際特許分類】
D05B 3/02 20060101AFI20220527BHJP
【FI】
D05B3/02 M
(21)【出願番号】P 2017162810
(22)【出願日】2017-08-25
【審査請求日】2020-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002244
【氏名又は名称】株式会社ジャノメ
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】番場 善孝
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-143634(JP,A)
【文献】登録実用新案第3025116(JP,U)
【文献】実開昭56-088477(JP,U)
【文献】特開昭56-091789(JP,A)
【文献】特開2002-104078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B1/00-97/12
B42F1/00-23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫い模様が記載されたパネルと、該パネルが複数重ね状態で収納されると共に該パネルをX方向に出入可能
で、ミシン内に装着されるパネル収納ケースとを備え、前記パネルの面方向
で且つ前記X方向に直交する方向をY方向とし、複数の前記パネルの重ね方向
で且つ前記X方向及び前記Y方向に直交する方向をZ方向とし、前記X方向のパネル出入終端部には、前記パネルと同数の係止部がY方向に沿って形成され、各前記パネルには、各前記係止部と対応する位置に被係止部が形成され、それぞれの前記係止部と前記被係止部との係止位置は前記Y方向及び前記Z方向で位置が異な
り、複数の前記パネルは、前記被係止部と対応する前記係止部とは個別に係止固定され、所望の前記パネルのみを引き出すときには、引き出される前記所望の前記パネルに対応した前記係止部と前記被係止部との係止状態が解除されてなることを特徴とするミシンの早見パネル装置。
【請求項2】
前記パネル収納ケースの前記係止部の前記Z方向における位置は、前記パネル収納ケースに複数重ね状態で収納された前記パネルにおけるそれぞれの前記被係止部の位置と対応することを特徴とする請求項1に記載のミシンの早見パネル装置。
【請求項3】
前記パネル収納ケースの複数の前記係止部にはそれぞれに係止する前記パネルの前記被係止部を裏面側より支持すると共に、前記パネルの板厚と同等の段差を有する支持面を有する支持段部が形成されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のミシンの早見パネル装置。
【請求項4】
前記支持段部は、前記Y方向に沿って階段状に形成されてなることを特徴とする
請求項3に記載のミシンの早見パネル装置。
【請求項5】
前記パネル収納ケースのX方向終端部には複数の前記係止部が配置される係止室が形成され、複数の前記パネルの前記被係止部は、前記係止室へ挿入して係止する構成としてなることを特徴とする請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載のミシンの早見パネル装置。
【請求項6】
前記係止部は係止腕片と係止突起とからなり、前記被係止部は前記パネルの前記X方向終端部に被係止孔が形成された被係止突出板とからなることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載のミシンの早見パネル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンの縫い模様を表示する複数のパネルを簡単に出入自在としたミシンの早見パネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミシンには、種々の模様縫い,刺しゅう縫い等の模様や模様に関する記号が記載された表示部を備えたものが多く存在している。そして、コンピュータ化されたミシンによって、所望の縫い模様を縫製することができる。この種のミシンで最も簡単なものでは、前記縫い模様が記載されたパネル又はカードを複数枚備え、手めくり等の方法で所望の縫い模様を探し、これに対応する操作を行うことで所望の縫い模様を縫製することができる。
【0003】
特許文献1では、模様早見板がミシン機枠に装着されていることが開示されている。ここで、使用されている模様早見板は、軸受部に軸支された回転軸によって、回動自在となり、表示部が作業者に視認することができるようになっている。そして、この表示部に記載されている多数の模様と、該模様に記載されている模様番号に従い、該当する操作キーを押すなど操作を行い所望の模様の縫い作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭63-202272号公報
【文献】実開平3-68486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、早見板の枚数が1枚か多くても2枚であり、縫い模様のデータ量が少なく限られてしまう。また、操作も手めくりで、面倒である。さらに、ミシンの機枠の外面に装着するので、そのためのスペースが必要であり、種々の操作ボタン或いはキーが配置されている操作部の面積が制限されるおそれがある。
【0006】
そこで、特許文献2に開示されているような複数枚の所定事項が記載されたカードから必要とするカードを引き出すタイプの早見表が存在する。この種のものをミシンの縫い模様集に利用することが考えられる。つまり、複数の模様が記載された早見パネルを複数枚備え、これをミシン機枠内に装着しようとするものである。
【0007】
しかし、複数の早見パネルが重ねられてケース内に収納された構成としたものにおいて、所望の縫い模様を探そうとして、それぞれの早見パネルを1枚引き出そうとすると、引出時の摩擦や静電気により同時に他の早見パネルも引きずられて、一緒に出てしまうことがある。これでは、所望の早見パネルを引き出した時に、引きずられて一緒に出てきた早見パネルが邪魔になって、所望のパネルの視認することができないことがある。
【0008】
そのために、摩擦や静電気により引きずり出された余分のパネルは収納しなくてはならず、所望の早見パネルを引き出す操作が煩わしくなってしまうという欠点がある。そこで、本発明が解決しようとする技術的課題は、複数の早見パネルが重ねられた状態で、ケース内に収納されたものにおいて、所望の早見パネルを引き出すときに、他の早見パネルが摩擦や静電気により一緒に引きずり出されることがなく、早見パネルをより一層利用しやすいものにできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意、研究を重ねた結果、請求項1の発明を、縫い模様が記載されたパネルと、該パネルが複数重ね状態で収納されると共に該パネルをX方向に出入可能で、ミシン内に装着されるパネル収納ケースとを備え、前記パネルの面方向で且つ前記X方向に直交する方向をY方向とし、複数の前記パネルの重ね方向で且つ前記X方向及び前記Y方向に直交する方向をZ方向とし、前記X方向のパネル出入終端部には、前記パネルと同数の係止部がY方向に沿って形成され、各前記パネルには、各前記係止部と対応する位置に被係止部が形成され、それぞれの前記係止部と前記被係止部との係止位置は前記Y方向及び前記Z方向で位置が異なり、複数の前記パネルは、前記被係止部と対応する前記係止部とは個別に係止固定され、所望の前記パネルのみを引き出すときには、引き出される前記所望の前記パネルに対応した前記係止部と前記被係止部との係止状態が解除されてなるミシンの早見パネル装置としたことにより、上記課題を解決した。
【0010】
請求項2の発明を、前記パネル収納ケースの前記係止部の前記Z方向における位置は、前記パネル収納ケースに複数重ね状態で収納された前記パネルにおけるそれぞれの前記被係止部の位置と対応する請求項1に記載のミシンの早見パネル装置としたことにより、上記課題を解決した。
【0011】
請求項3の発明を、前記パネル収納ケースの複数の前記係止部にはそれぞれに係止する前記パネルの前記被係止部を裏面側より支持すると共に、前記パネルの板厚と同等の段差を有する支持面を有する支持段部が形成されてなる請求項1又は2に記載のミシンの早見パネル装置としたことにより、上記課題を解決した。請求項4の発明を、前記支持段部は、前記Y方向に沿って階段状に形成されてなる請求項3に記載のミシンの早見パネル装置としたことにより、上記課題を解決した。
【0012】
請求項5の発明を、前記パネル収納ケースのX方向終端部には複数の前記係止部が配置される係止室が形成され、複数の前記パネルの前記被係止部は、前記係止室へ挿入して係止する構成としてなる請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載のミシンの早見パネル装置としたことにより、上記課題を解決した。請求項6の発明を、前記係止部は係止腕片と係止突起とからなり、前記被係止部は前記パネルの前記X方向終端部に被係止孔が形成された被係止突出板とからなる請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載のミシンの早見パネル装置としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、パネル収納ケースに重ね状態で収納された複数の各パネルは、X方向に沿って出入可能なものであり、各係止部と対応する位置に被係止部が形成され、それぞれの係止部と被係止部との係止位置は前記Y方向及び前記Z方向で位置が異なる構成としたことにより、複数のパネルは、それぞれが個別に係止固定される。
【0014】
そして、パネルをX方向にスライドさせる時のみ、係止又は係止解除されるものである。したがって、重ね状態とした複数のパネルから所望のパネルを引き出すときに、所望のパネルに隣接するパネルとの間の摩擦や静電気により引きずり出す力が作用しても、他のパネルが係止固定されているので、引きずり出されることを防止できる。
【0015】
請求項2の発明では、複数の前記パネルは、各前記係止部の前記Z方向における位置は、各前記係止部に対応する前記パネルの重ねられた位置に応じて設定されたことにより、パネル収納ケース側の係止部と、パネルの被係止部との係止状態をより一層確実にすることができる。また、全てパネルにおいてそれぞれの板厚が等しく形成され場合では、係止部と被係止部との係止状態はさらに確実なものにできる。
【0016】
請求項3の発明では、パネル収納ケースの複数の前記係止部の位置にはそれぞれに係止するパネルの被係止部を裏面側より支持すると共に、パネルの板厚と同等の段差を有する支持面を有する支持段部が形成されたことで、パネル収納ケース側の係止部と、パネルの被係止部との係止状態をより一層強固にすることができる。請求項4の発明では、支持段部は、Y方向に沿って次第に低くなる階段状に形成されたことにより、本発明の組立を簡単且つ効率的にできる。
【0017】
請求項5の発明では、パネル収納ケースのX方向終端部には複数の係止部が配置される係止室が形成され、複数のパネルの被係止部は、係止室へ挿入して係止する構成としたことにより、パネル収納ケースの小型化を実現でき、ミシン機枠に装着または、内蔵し易いものにできる。請求項6の発明では、係止部は係止腕片と係止突起とからなり、被係止部は前記パネルのX方向終端部に被係止孔が形成された被係止突出板とからなる構成により、パネル収納ケースの一体化が行い易いものにできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(A)は本発明においてパネルが複数重ね状態でパネル収納ケースに収納された状態のミシンの斜視図、(B)は(A)の(α)部における本発明の早見パネル装置の正面図である。
【
図2】(A)はパネル収納ケースの斜視図、(B)は(A)の(β)部拡大図、(C)はパネルの全体の斜視図である。
【
図3】(A)はパネル収納ケースの正面図、(B)は(A)のY1-Y1矢視図、(C)は(A)の(γ)部拡大図、(D)は(C)のY2-Y2矢視断面図、(E)は(C)のX1-X1矢視断面図である。
【
図4】(A)乃至(D)は被係止部及び摘みの位置がY方向に異なる各パネルの正面図、(E)はパネル収納ケースが装着されたミシンの一部を示す略示図である。
【
図5】(A)乃至(C)はパネルを引き出す行程を示す要部の正面斜視図、(D)は(A)のX2-X2矢視断面図、(E)は(B)のX3-X3矢視断面図、(F)は(C)のX4-X4矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。本発明のミシンの早見パネル装置は、
図1に示すように、おおきくパネル収納ケースAと、係止部Afと、パネルBと、被係止部Bfとから構成される。パネル収納ケースAは、収納室1と前記係止部Afが複数備わっている係止室16とから構成される〔
図2(A),
図3参照〕。前記収納室1は、略方形状の底面11の周囲に立上り状の囲い部12が形成されている〔
図2(A),
図3(A)参照〕。底面11と方形状の囲い部12によって、扁平直方体状の収納スペースSが構成される。前記パネル収納ケースAは、ミシンの機枠6内に装着される。
【0020】
該収納スペースSには、複数のパネルBが重ね状態となって収納される〔
図1(A),
図5参照〕。そして、パネルBはスライド動作により、パネル収納ケースAから出入される〔
図1(A)参照〕。本発明の説明において、パネルBがパネル収納ケースAから出入するスライド方向をパネル収納ケースA及びパネルBのX方向とする。
【0021】
また、パネル収納ケースAに重ね状態で収納された複数のパネルBの面方向で、且つ前記X方向に直交する方向をY方向とする。さらに、パネル収納ケースAに重ね状態で収納されたパネルB,B,…の厚さ重ね方向をZ方向とする。つまり、Z方向は、前記X方向及び前記Y方向に直交する方向である(
図2参照)。
【0022】
収納室1のX方向において、パネルBが出入するときに外部に引き出される開口をパネル出入開口部1aと称する。また、パネル出入開口部1aからX方向に対向する位置の奥側端部をパネル出入終端部1bと称する。そして、前記囲い部12のY方向両側に押え突部13,13が形成されている。該押え突部13,13は、Y方向において収納スペースS側に突出する突起として形成される。押え突部13,13は、収納スペースSに重ね状態で収納された複数のパネルBを閉じ込めておく役目をなす。
【0023】
該押え突部13,13は、収納スペースSに重ね状に収納されたパネルBの最前面に位置するパネルBのY方向両端が押さえられる〔
図1(A),
図3(A)参照〕。収納室1の底面11と、前記押え突部13,13のZ方向における間隔は、重ね状態のパネルBの枚数分に等しく設定されており、予めパネルBの収納枚数が決定される。
【0024】
囲い部12のY方向両側には、パネル出入開口部1a側において引出固定部14,14が形成され、パネル出入終端部1b側には、終端固定部15,15が形成されている〔
図1(A),
図3(A)参照〕。引出固定部14,14は、パネル収納ケースAからパネルBを引き出した状態を維持する役目をなす。また、終端固定部15,15は、パネル収納ケースAにパネルBを収納した状態で維持する役目をなす。
【0025】
係止部Afは、パネル収納ケースAのX方向におけるパネル出入終端部1b側に設けられている(
図2,
図3参照)。係止部Afは、パネルBと同数が設けられる〔
図1(A),
図5参照〕。係止部Afは、係止腕片21と係止突起22とから構成される。係止部Afは、パネル収納ケースAを構成する合成樹脂で形成される。
【0026】
パネル収納ケースAには、X方向におけるパネル出入終端部1b側で且つ前記囲い部12の一部が外方に略長方形状に突出するように形成された係止室16が設けられる。そして、係止部Afは、係止室16の囲い部12から一体形成される。また、係止部Afは、パネル収納ケースAとは別部材として、板バネ状の金属材から形成されることもある。
【0027】
係止部Afは、パネル収納ケースAに収納されている重ね状態の複数のパネルBを個別に係止固定する役目をなす。係止部Afは、前述したように、パネル収納ケースAに収納されるパネルBの枚数と同数設けられる。ここで、パネルBの枚数をn枚とすると、係止部Afはn個設けられる。
【0028】
本発明の実施形態では、パネルBを4枚として説明する。そこで、係止部Afは、係止部Af1,係止部Af2,係止部Af3及び係止部Af4とする〔
図2(A),
図3(A),(B),
図4参照〕。係止部Af1,係止部Af2,係止部Af3及び係止部Af4は、X方向において同一位置に存在し、Y方向及びZ方向において位置が異なる。
【0029】
パネル収納ケースAは、Z方向において開口する側を前面側とし、底面11側を後面側とする。そして、Y方向において、上方から下方に向かって係止部Af1,係止部Af2,係止部Af3,係止部Af4の配置とする。さらに、Z方向から見ると前面側から後面側に向かって係止部Af1,係止部Af2,係止部Af3,係止部Af4の順番で配置する〔
図2(A),
図3(A),(B)参照〕。Z方向における係止部Af1,係止部Af2,係止部Af3,係止部Af4のそれぞれ隣接する箇所の段差は、それぞれのパネルBの板厚に略等しい。
【0030】
パネル収納ケースAの複数の前記係止部Afの位置には、それぞれに対応するパネルBの被係止部を裏面側より支持すると共に、パネルBの板厚と同等の段差を有する支持面17aを有する支持段部17が形成されることもある〔
図3(D)参照〕。該支持段部17の複数の支持面17aは、Y方向に沿って階段状に形成される〔
図2(B),
図3(D)参照〕。
【0031】
パネルBは、略方形状の板であり、複数備えられる。パネルBには、主板部5と摘み51と被係止部Bfを有する〔
図4(A)乃至(D)参照〕。主板部5には多数の縫い模様が記載され、各縫い模様には番号が付されている。縫い模様に付された番号に基づいて、ミシン操作部の操作ボタン又はキーを操作することで、模様を縫製することができる。
【0032】
被係止部Bfは、被係止突出板52に被係止孔53が形成されたものである。被係止部Bfは、パネル収納ケースAに設けられた係止部Afと係止する。つまりパネル収納ケースAに収納された複数の重ね状態としたパネルB,B,…がそれぞれの係止部Afと被係止部Bf同士が係止することで、各パネルBが個別にパネル収納ケースAに係止される。
【0033】
パネルBは、前述したように、複数枚備えられ、パネル収納ケースAの係止部Afと同数となる(
図5参照)。パネルBの枚数nは、適宜設定することができ、本発明の実施形態では4枚とする。したがって、4枚のパネルBは、それぞれパネルB1,パネルB2,パネルB3及びパネルB4と称する(
図4参照)。これら複数のパネルB(B1,B2,B3,
B4)の板厚は、全て等しい。
【0034】
そして、これらのパネルB1,パネルB2,パネルB3及びパネルB4が重ね状態とされ、パネル収納ケースAの収納スペースSに収納される。このとき、パネル収納ケースAのZ方向において前面側から後面側に向かってパネルB1,パネルB2,パネルB3及びパネル
B4の順番とする〔
図2(C)参照〕。つまり、パネルB4は、底面11に設置されるこ
とになる。
【0035】
パネルB1,パネルB2,パネルB3及びパネルB4が順番通り重ねられると、Y方向において、被係止部Bf1,被係止部Bf2,被係止部Bf3,被係止部Bf4の位置が異なり、Z方向における上方から下方に向かって被係止部Bf1,被係止部Bf2,被係止部Bf3
,被係止部Bf4の順番となる。
【0036】
この順番は、パネル収納ケースAに設けられたZ方向における係止部Af1,係止部A
f2,係止部Af3,係止部Af4の順番と等しくなる。つまり、パネルB1の被係止部Bf1が係止部Af1に対応し、パネルB2の被係止部Bf2が係止部Af2に対応し、パネルB3の被係止部Bf3が係止部Af3に対応し、パネルB4の被係止部Bf4が係止部Af4に対
応する。
【0037】
そして、パネルB1の被係止部Bf1と係止部Af1とが係止し、パネルB2の被係止部Bf2が係止部Af2に係止し、パネルB3の被係止部Bf3が係止部Af3に係止し、パネル
B4の被係止部Bf4が係止部Af4に係止する〔
図1(B),
図5(A)参照〕。ここで
、パネルB1乃至パネルB4のそれぞれの板厚が等しいことにより、それぞれの係止部Afと被係止部Bfとは正確に係止することができる〔
図5(A)参照〕。
【0038】
そして、複数のパネルB(B1,B2,B3,B4)は、パネル収納ケースAの収納室1にそれぞれ個別に係止固定される。また、前記支持段部17が形成された場合では、支持段部17の各支持面17aが各被係止部Bfの裏面側に当接又は近接した状態となり、係止部Afと係止状態にある被係止部Bfの係止状態をより一層確実にできる〔
図5(D)参照〕。
【0039】
本発明の早見パネル装置は、ミシン機枠6内に収納される。そしてパネル収納ケースAのパネル出入開口部1aに対応する位置に機枠開口部61が形成され、パネル収納ケースAに重ね状態で収納されたパネルBの摘み51が外方に突出するようになっている。そして、所望のパネルBの摘み51を引くことで所望のパネルBを引き出すことができる。
【0040】
次に、本発明の動作を説明する。
図5は、パネル収納ケースAの係止部Af(係止部Af1乃至係止部Af4)とパネルB(パネルB1乃至パネルB4)の摘み51の部分を拡大した平面斜視図である。まず、係止部Af1と被係止部Bf1と、係止部Af2と被係止部B
f2、係止部Af3と被係止部Bf3及び係止部Af4と被係止部Bf4とがそれぞれ係止状
態にある〔
図1(A),
図5(A),(D)参照〕。ここで、係止部Afと被係止部Bfの係止状態とは、係止部Afの係止突起22が、被係止部Bfの被係止孔53に入り込んでいる状態のことをいう〔
図5(D)参照〕。
【0041】
次に、パネル収納ケースAからパネルB2のみを引き出す。パネルB2を引き出すときには、パネルB2の摘み51を指でつまみX方向へスライドさせ引き出す。それぞれのパネ
ルBは、その被係止部Bfと、対応する係止部Afとは個別に係止固定されている。そして、パネルB2を引き出し始めると、係止部Af2の係止腕片21が弾性的に撓み、係止突起22が被係止部Bf2の被係止孔53から外れる〔
図5(B),(E)参照〕。そして
、さらにパネルB2を引き出し続けると、係止部Af2と被係止部Bf2との係止状態が解
除される〔
図5(C),(F)参照〕。これによって、パネルB2をミシン機枠6から突
出させ、パネルB2の縫い模様を視認することができる。
【0042】
前述したように、係止部Af1乃至係止部Af4とパネルB1乃至パネルB4とは、それぞれが個別に係止されたものであり、パネルB2を引き出した時に、他のパネルB1,パネルB3,パネルB4は、対応する係止部Af1,係止部Af3,係止部Af4との係止により引
きずり出されることはない。
【0043】
以上の説明では、係止部Af及びパネルBの個数を示すnとし、本発明の実施形態としてそれぞれの個数nを4として説明した。しかし、係止部Af及びパネルBはこの個数に限定されるものではなく、係止部Af及びパネルBの個数のnをミシンの性能に合わせて係止部Af及びパネルBのそれぞれの個数nを3以下としてもよいし、或いは5以上としても構わない。
【符号の説明】
【0044】
A…パネル収納ケース、Af…係止部、1b…パネル出入終端部、16…係止部、
17…支持段部、17a…支持面、21…係止腕片、22…係止突起、B…パネル、
Bf…被係止部、52…被係止突出板、53…被係止孔。