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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】光レセプタクル
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/38 20060101AFI20220527BHJP
   G02B 6/36 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
G02B6/38
G02B6/36
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017209556
(22)【出願日】2017-10-30
(65)【公開番号】P2019082557
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2020-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000240477
【氏名又は名称】アダマンド並木精密宝石株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石川 正紀
(72)【発明者】
【氏名】石川 彰
(72)【発明者】
【氏名】岡本 勤
(72)【発明者】
【氏名】山信田 博紀
(72)【発明者】
【氏名】遠田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】野本 学
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-248263(JP,A)
【文献】特開2007-226119(JP,A)
【文献】実開平04-120906(JP,U)
【文献】特開2012-068532(JP,A)
【文献】特開平03-167506(JP,A)
【文献】特開2001-004879(JP,A)
【文献】特開2012-073460(JP,A)
【文献】特開平07-248432(JP,A)
【文献】特開2007-052208(JP,A)
【文献】特開2003-149446(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0321257(US,A1)
【文献】中国実用新案第205844582(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/36-6/40
G02B 6/42-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光レセプタクルは少なくとも、光ファイバと、フェルールと、キャピラリとから構成され、更にホルダが構成部品として組み合わされており、
フェルールの先端側に光ファイバが挿入される孔が形成され、そのフェルールの一端側には、光ファイバが挿入される孔の径よりも大径の段付き穴が形成されており、
ホルダにフェルールが圧入により嵌合固定されており、
更に段付き穴の内部にキャピラリが挿入されており、
ホルダの端面からフェルールの一端側が突出していると共に、フェルールの一端側からキャピラリが突出されており、
キャピラリが孔を有すると共に、キャピラリの孔とフェルールの孔に光ファイバが挿入されており、
段付き穴の内部に接着剤を入れない事でキャピラリとフェルールの間に空隙が設けられ、
フェルールの端部でキャピラリを接着剤で接着する事で、光ファイバとフェルールとキャピラリが、接着剤で接着されている光レセプタクル。
【請求項2】
前記キャピラリが光透過材料から成ると共に、前記接着剤が光硬化性樹脂から成る請求項1に記載の光レセプタクル。
【請求項3】
前記キャピラリの一端が、表面粗さRa<100nmで形成されている請求項1又は2に記載の光レセプタクル。
【請求項4】
PLCの少なくとも一部と前記光ファイバが対向して光学的に接続されている請求項1~3の何れかに記載の光レセプタクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光レセプタクルに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信部品の1つに光トランシーバがある。この光トランシーバには、発光素子及び受光素子が組み込まれており、電気信号と光信号の変換を行うものである。光信号の入出力部分は、主に光コネクタプラグと嵌合するアダプタ形状を取る。更に、光信号の入出力部分は受発光素子と光学的な接続を図り、安定して光コネクタプラグとの接続を行う為、光レセプタクル形状が用いられる。その光レセプタクルの一例が出願されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の図6には、光レセプタクルの構造を示す縦断面図が示されている。この光レセプタクルの概要を、本明細書の図6に示して説明する。光レセプタクル100は、フェルール(スタブフェルール)101、スリーブ102、ホルダ103、及びシェル104から構成される。
【0004】
フェルール101は、中心軸上に貫通孔が設けられた円筒部品であり、その貫通孔に光ファイバが挿通されている。スリーブ102は、フェルール101の先端側を挿入する円筒部品である。ホルダ103は、フェルール101の外周面を保持する円筒状中空部品であり、スリーブ102の一端側も収納している。また、周縁に設けたフランジ105により、光レセプタクル100は図示しない外部のハウジングに結合される。
【0005】
一方、受発光素子を形成するに当たり、受光素子及び発光素子を使用するだけで無く、平面光回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)を用いることがある。前記光レセプタクル100は、光ファイバ又はピグテール型光ファイバアレイを介してPLCと光学的に接続されるか、又は光レセプタクルの端部から光ファイバを延長してPLCと光学的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-133225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、光による情報通信の普及に伴い、必要とされるチャネルも劇的に増加し、送受信装置の設置密度も増加してきた。一方、CFP2と呼ばれる各社共通規格に対しその後策定されたQSFPは、CFP2と比較して内部の実装体積が20%以下に減少している。従って、新たな規格の筐体内に長大な光ファイバや光ファイバアレイを有する素子を収納する為には、光ファイバや光ファイバアレイ自体の収納に必要な空間や、取り回しに必要な空間、及びPLCを接続するために必要な空間等を設ける必要が有る。
【0008】
その様な空間が充分に設けられない場合、光ファイバ又はピグテール型光ファイバアレイで急激な曲げが形成される可能性が生じてしまう。しかしながら、光ファイバ又は光ファイバアレイでの曲げを防止する為には、光ファイバ又は光ファイバアレイの余長分を収納する空間がPLCと光レセプタクルの間で必要となり、実装長さが長大化して実装が困難になってしまう。
【0009】
一方で、光ファイバ又は光ファイバアレイの実装長さを短縮化しようとすると、光ファイバ又は光ファイバアレイに急激な曲げが生じて、光伝搬損失が発生してしまう。
【0010】
更に、光ファイバアレイと云う別部品を、PLCと光レセプタクルの間に介在させると、光学的な調芯作業の煩雑化を招いてしまう。
【0011】
また、光レセプタクルの端部から光ファイバを延長する構成では、光レセプタクルの重量を支える強度が光ファイバ自体の強度に制限されてしまい、脆弱で取り扱いが困難となり、何らかの支持構造無く取り扱う事が困難であった。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、PLCと直接に光学的な接続が可能であり、接続箇所における光伝搬損失の防止と、強度の確保による信頼性向上、及び実装長さの短縮と調芯作業の簡略化も図れる光レセプタクルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、以下の本発明により解決される。即ち本発明の光レセプタクルは少なくとも、光ファイバと、フェルールと、キャピラリとから構成され、更にホルダが構成部品として組み合わされており、フェルールの先端側に光ファイバが挿入される孔が形成され、そのフェルールの一端側には、光ファイバが挿入される孔の径よりも大径の段付き穴が形成されており、ホルダにフェルールが圧入により嵌合固定されており、更に段付き穴の内部にキャピラリが挿入されており、ホルダの端面からフェルールの一端側が突出していると共に、フェルールの一端側からキャピラリが突出されており、キャピラリが孔を有すると共に、キャピラリの孔とフェルールの孔に光ファイバが挿入されており、段付き穴の内部に接着剤を入れない事でキャピラリとフェルールの間に空隙が設けられ、フェルールの端部でキャピラリを接着剤で接着する事で、光ファイバとフェルールとキャピラリが、接着剤で接着されている事を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光レセプタクルに依れば、光ファイバの一端がキャピラリで包囲されるので、外力が加わった時の光ファイバの耐衝撃性を向上させる事が出来る。従って、光レセプタクルの端部から光ファイバを延長させても、その延長部分の光ファイバがキャピラリで包囲され、光レセプタクルの重量を支える強度が確保可能となる。よって、光レセプタクルの信頼性を向上させる事が出来る。
【0015】
更に、光レセプタクルの端部から光ファイバを延長させて、PLCと光ファイバの端部を直接光学的に接続する事が可能となる。従って、光ファイバアレイ等の別部品をPLCと光レセプタクルの間に介在させる必要が無くなり、PLCとの光学的な接続時の実装の際に、実装長さを短縮する事が出来る。
【0016】
また、PLCと光レセプタクルを直接光学的に接続する事により、最小の距離と体積で光学的な接続を実現すると同時に、接続箇所における光伝搬損失の防止と、光学的な調芯及び固定作業の簡略化が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)本発明の実施例に係る光レセプタクルを模式的に示す側断面図である。(b)図1(a)内の円A部分内の部分拡大図である。
図2図1(a)内の円B部分内の部分拡大図である。
図3図1の光レセプタクルのフェルールの側断面図である。
図4】(a)本発明の他の実施例に係る光レセプタクルを模式的に示す側断面図である。(b)図4(a)内の円A部分内の部分拡大図である。
図5図1(a)に示す光レセプタクルとPLCとの光学的な接続状態を模式的に示す部分側断面図である。
図6】従来の光レセプタクルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施の形態の第一の特徴は、光レセプタクルが少なくとも、光ファイバと、フェルールと、キャピラリとから構成され、更にホルダが構成部品として組み合わされており、フェルールの先端側に光ファイバが挿入される孔が形成され、そのフェルールの一端側には、光ファイバが挿入される孔の径よりも大径の段付き穴が形成されており、ホルダにフェルールが圧入により嵌合固定されており、更に段付き穴の内部にキャピラリが挿入されており、ホルダの端面からフェルールの一端側が突出していると共に、フェルールの一端側からキャピラリが突出されており、キャピラリが孔を有すると共に、キャピラリの孔とフェルールの孔に光ファイバが挿入されており、段付き穴の内部に接着剤を入れない事でキャピラリとフェルールの間に空隙が設けられ、フェルールの端部でキャピラリを接着剤で接着する事で、光ファイバとフェルールとキャピラリが、接着剤で接着されている点である。
【0019】
また本実施の形態の第二の特徴は、光レセプタクルの光ファイバがPLCの少なくとも一部と対向して光学的に接続されている点である。
【0020】
これらの構成に依れば、光レセプタクルの重量を支える強度が確保可能となり、光レセプタクルの信頼性を向上させる事が出来る。更に、PLCとの光学的な接続時の実装の際に、実装長さを短縮する事が出来る。また、最小の距離と体積で光学的な接続を実現すると同時に、接続箇所における光伝搬損失の防止と、光学的な調芯及び固定作業の簡略化が実現可能となる。
【0022】
更に前記各効果に加えて、光レセプタクルの構成部品間の固定強度を、容易に向上させる事が出来る。
【0023】
本実施の形態の第の特徴は、キャピラリが光透過材料から成ると共に、接着剤が光硬化性樹脂から成る点である。
【0024】
この構成に依れば、前記各効果に加えて、キャピラリ外部からの光の照射により光ファイバを調芯しながら固定する事が可能となる。従って、光ファイバの光学的な調芯作業が簡略化可能であり、より短時間で作業を完了させる事が出来る。
【0025】
なお光透過材料で透過可能な光、及び光硬化性樹脂が硬化する光とは、波長範囲が200nm以上1400nm以下の範囲内である光を指すものとする。
【0026】
本実施の形態の第の特徴は、キャピラリの一端が、表面粗さRa<100nmで形成されている点である。
【0027】
この構成に依れば、前記各効果に加えて、キャピラリ一端の切断と研磨を、一工程で完了させる事ができ、光レセプタクルの作製の容易化と作製時間の短縮化を図る事が出来る。
【0028】
以下に本発明に係る各実施例を説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【実施例
【0029】
以下、図1図4を参照して本発明の実施例に係る光レセプタクル1を説明する。各図において共通部品には共通の引き出し番号を付記している。なお本発明において、キャピラリ4の一端とは図1又は図4の円A内の端部を指すものとする。更にフェルール3の一端側とは、段付き穴3aの開口側が設けられている側であり、図1又は図4における右側を指すものとする。
【0030】
光レセプタクル1は少なくとも、光ファイバ2と、フェルール3と、キャピラリ4とから構成される。更に図1又は図4の形態では、スリーブ5、ホルダ6、及びシェル7が構成部品として組み合わされている。
【0031】
フェルール3は、中心軸上に貫通孔3cが設けられた円筒部品であり、ジルコニアやアルミナを主成分とするセラミックス、ステンレス(SUS)等の金属、石英、又はエポキシ系樹脂等のプラスチックなどから成る。その貫通孔3cに光ファイバ2が挿通されている。即ち、フェルール3の先端側には、光ファイバ2が挿入される孔(貫通孔)3cが形成されている。
【0032】
キャピラリ4は、中心軸上に貫通孔が設けられた円筒部品であり、ジルコニアやアルミナを主成分とするセラミックス、ガラスや石英、又はエポキシ系樹脂等のプラスチックなどから成る。その貫通孔に光ファイバが挿通されている。
【0033】
光ファイバ2は、直径0.125mm(125μm)のシングルモード光ファイバであり、キャピラリ4及びフェルール3の各孔(各貫通孔)に挿入され、接着剤により接着固定されている。図1又は図4の引き出し番号8は、接着剤による接着部を示している。接着剤で光ファイバ2とキャピラリ4及びフェルール3を接着固定する事により、光レセプタクル1の構成部品間の固定強度を、容易に向上させる事が出来る。
【0034】
特に、キャピラリ4とフェルール3を石英と云った光透過材料で形成すると共に、キャピラリ4及びフェルール3の貫通孔内部で光ファイバ2の固定用に使用する接着剤として、光硬化性樹脂から成る接着剤を使用する事が好ましい。光硬化性樹脂としては、紫外線や赤外線と云った光を照射することにより、その場で重合硬化する樹脂を指す。その理由として光硬化性樹脂から成る接着剤を使用する事により、貫通孔内部で光ファイバ2の位置を調芯しながら、キャピラリ4及びフェルール3の外部から光を照射して、光ファイバ2を固定する事が可能となる為である。従って、光ファイバ2の光学的な調芯作業が簡略化可能であり、より短時間で作業を完了させる事が出来る。なお光透過材料で透過可能な光、及び光硬化性樹脂が硬化する光とは、波長範囲が200nm以上1400nm以下の範囲内である光を指すものとする。
【0035】
キャピラリの材料として、ガラスだけで無く石英を使用することにより、光ファイバ2とキャピラリ4との熱膨張係数を同一とする事が出来る。従って、レーザ加工でキャピラリ4の端部をカットした時にキャピラリ4が光ファイバ2ごと切断可能となり、光ファイバ2及びキャピラリ4の端部を一続きの面で切断する事が出来る。光ファイバ2の端部とは、図1又は図4の円A内の端部を指すものとする。
【0036】
なお、キャピラリ4の一端は、表面粗さRa<100nmの光学的に滑らかな面で形成される事が好ましい。その理由として、Ra<100nmに設定してキャピラリ4の一端を形成する事により、キャピラリ4の一端の切断と研磨を一工程で完了させる事ができ、光レセプタクル1の作製の容易化と作製時間の短縮化を図る事が出来る為である。
【0037】
フェルール3の外径は、約1.25mm程度である。更にフェルール3の一端側には、光ファイバ2が挿入されている孔(貫通孔)3cの径よりも大径の段付き穴3aが形成されている。図3の断面図においてテーパ部分3bが段として形成されており、このテーパ部分3bを介して段付き穴3aと孔3cが一続きにフェルール3の中心軸上に形成されている。更に段付き穴3aの内部に図1、2、4に示すようにキャピラリ4が挿入されている。キャピラリ4の外径は、約0.25mm程である。
【0038】
更に、キャピラリ4とフェルール3の間に、図2に示すように空隙9を設けることが望ましい。その理由として、接着剤を光ファイバ2の固定に用いた時に、その接着剤が空隙9に達しても、接着剤の膨張による応力発生の緩衝空間として空隙9が機能して、光レセプタクル1の構成部品への応力発生が防止される為である。
【0039】
光ファイバ2と、フェルール3及びキャピラリ4との接着固定に、光硬化性樹脂から成る接着剤を使用する場合、フェルール3及びキャピラリ4の各孔に接着剤を流し入れ、その後光ファイバ2を挿入し、光照射により接着剤を硬化させれば良い。なお、フェルール3やキャピラリ4から突き出した光ファイバ2部分はカットすれば良い。
【0040】
また、光硬化性樹脂以外の接着剤(例えばエポキシ系接着剤)を使用する場合、光ファイバ2の挿入端に接着剤を塗布した上でフェルール3及びキャピラリ4の各孔に光ファイバ2を挿入し、その後固定すれば良い。なお、フェルール3やキャピラリ4から突き出した光ファイバ2部分はカットすれば良い。
【0041】
エポキシ系接着剤を使用する場合は、光レセプタクル1の耐熱性を考慮して熱硬化により接着固定する。
【0042】
スリーブ5は、フェルール3の先端側(図1又は図4のフェルール3の左側)を挿入する円筒部品であり、ジルコニアやアルミナを主成分とするセラミックスやステンレス(SUS)等の金属などから成る。スリーブ5は円筒形状の精密(ソリッド)スリーブだけで無く、側面の円周部分の一部が、スリット状に切り欠きされて弾性を有する割スリーブとしても良い。
【0043】
ホルダ6は、フェルール3の外周面を保持する円筒状又はリング状の中空部品であり、ステンレス(SUS)等の金属から成る。更にスリーブ5の一端側(図1又は図4のスリーブ5の右側)も収納している。また、周縁に設けたフランジ6aにより、光レセプタクル100は図示しない外部のハウジングに結合される。
【0044】
シェル7は、スリーブ5を収納する段付き穴を有する円筒部品であり、ステンレス(SUS)等の金属から成る。
【0045】
フェルール3とホルダ6、及びホルダ6とシェル7はそれぞれ圧入により嵌合固定されている。
【0046】
後述するPLCの少なくとも一部と対向する光ファイバ2の端部は、図4(b)に示すようにキャピラリ4と共に、光信号の伝搬軸に垂直な平坦面に対して、所定角度θ=4度~15度の範囲(特に6度から8度が望ましい)で形成される事が、より好ましい。その理由として、光ファイバ2の端部における導波路端面と光ファイバのコアとの角度整合が為されるためである。更に、光ファイバ2の端部には、鏡面を持つ斜め研磨が施される事がより好ましい。なお、光信号の伝搬軸に垂直な平坦面とは、キャピラリ4の孔の貫通方向に垂直な平坦面である。また、他方の光ファイバ2の端面(図1又は図4の光ファイバ2の左側)は、光ファイバ2のコアを中心としたPC(物理的接触)接続用に凸球面に研磨されている。
【0047】
以上の様にして構成された光レセプタクル1は、図5に示すようにPLC10の少なくとも一部(PLC10内の光導波路の光出射端面又は光出射ポート)と光ファイバ2の端部とが対向される事で、PLC10と光学的に直接接続される。なお図5では、光レセプタクル1のみ側断面図とし、PLC10は側面図として示している。
【0048】
なお図5では図示を省略しているが、光ファイバ2の端部と、PLC10の光出射端面又は光出射ポートは、光ファイバ2のコア並びにPLC10の光導波路のコアの屈折率に整合した接着剤(例えば光硬化性接着剤)によって接着される。PLC10の光出射端面又は光出射ポートに対向して光学的に直接接続される光ファイバ2の端部とは、図5においてはPLC10に対向して配置されている光ファイバ2の端部を指すものである。
【0049】
以上、光レセプタクル1に依れば、光ファイバ2の一端がキャピラリ4で包囲されるので、外力が加わった時の光ファイバ2の耐衝撃性を向上させる事が出来る。従って、光レセプタクル1の端部から光ファイバ2を延長させても、その延長部分の光ファイバ2がキャピラリ4で包囲され、PLC10との光学的な接続箇所の強度及び光レセプタクル1の重量を支える強度が確保可能となる。よって、光レセプタクル1の信頼性を向上させる事が出来る。
【0050】
更に、光レセプタクル1の端部から光ファイバ2を延長させて、PLC10と光ファイバ2の端部を直接光学的に接続する事が可能となる。従って、光ファイバアレイ等の別部品をPLC10と光レセプタクル1の間に介在させる必要が無くなり、PLC10との光学的な接続時の実装の際に、実装長さを短縮する事が出来る。
【0051】
また、PLC10と光レセプタクル1を直接光学的に接続する事により、最小の距離と体積で光学的な接続を実現すると同時に、接続箇所における光伝搬損失の防止と、光学的な調芯及び固定作業の簡略化が実現可能となる。
【0052】
キャピラリ4及び光ファイバ2が、図1又は図4に示すようにフェルール3の一端から突出している場合、その突出部分の光ファイバ2の長さ(突出長)は、PLC10とキャピラリ4及び光ファイバ2の光学的な接続時の強度確保の点から、約0.65mm程度に設定される。また前記突出長の上限値としては、突出部分の光ファイバ2の取り回しや曲率半径の限界等を考慮して、10cm以下が望ましい。
【符号の説明】
【0053】
1 光レセプタクル
2 光ファイバ
3 フェルール
3a 段付き穴
3b テーパ部分
3c 光ファイバが挿入されている孔
4 キャピラリ
5 スリーブ
6 ホルダ
6a フランジ
7 シェル
8 接着部
9 空隙
10 PLC
図1
図2
図3
図4
図5
図6