(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】収納システム
(51)【国際特許分類】
A47B 77/18 20060101AFI20220527BHJP
B65F 1/16 20060101ALI20220527BHJP
B65F 1/08 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
A47B77/18
B65F1/16
B65F1/08
(21)【出願番号】P 2018147699
(22)【出願日】2018-08-06
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000172787
【氏名又は名称】オークス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000413
【氏名又は名称】永大産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(74)【代理人】
【識別番号】100201237
【氏名又は名称】吉井 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊之
(72)【発明者】
【氏名】岡本 章司
(72)【発明者】
【氏名】奥田 侑希
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 五月
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-355132(JP,A)
【文献】特開2002-346525(JP,A)
【文献】実開平3-109539(JP,U)
【文献】特開平1-285503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 77/18
B65F 1/16
B65F 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開口形のキャビネットを備え、このキャビネット内に引き出し自在に収納されると共に引き出し操作により自動開放動作する上蓋が設けられている収納体を有する収納システムにおいて、前記収納体の前記上蓋が自動開放動作した際に、この上蓋が前記キャビネットに衝突することを防止する上蓋衝突防止機構を備え、この上蓋衝突防止機構は、前記収納体を前記キャビネット内から引き出した際に前方に移動し、前記キャビネットの前面開口部よりも前方に突出状態となるストッパ部を備えることを特徴とする収納システム。
【請求項2】
前記上蓋衝突防止機構は、前記キャビネットに設けられていて、前記収納体の引き出し移動に伴い前進移動する移動部と、この移動部の移動をガイドするガイド部と、前記移動部に設けられる前記ストッパ部とからなることを特徴とする請求項1記載の収納システム。
【請求項3】
前記ガイド部は、前下がり傾斜部を有する構成とされ、前記移動部は、この前下がり傾斜部の傾斜を利用して前進移動する構成とされていることを特徴とする請求項2記載の収納システム。
【請求項4】
前記収納体は、前記キャビネットに引き出し自在に設けられている引出体内若しくはワゴン体内に配設されていて、この引出体若しくはワゴン体の引き出し操作により前記キャビネット内から引き出される構成とされていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の収納システム。
【請求項5】
前記収納体の前記上蓋の閉蓋状態を保持する上蓋押さえ部を備え、この上蓋押さえ部は、前記収納体に対して相対移動自在に設けられていて、前記収納体が引き出し方向に移動することで前記上蓋から離脱する方向に移動して前記上蓋の閉蓋状態を解除するように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の収納システム。
【請求項6】
前記ストッパ部は、前記上蓋押さえ部よりも上方且つ前方に配設され、前記収納体の引き出し移動により前記上蓋押さえ部による前記上蓋の閉蓋状態の保持が解除されて、前記上蓋が自動開放する動作途中でこの上蓋に当接係合するように構成されていることを特徴とする請求項5記載の収納システム。
【請求項7】
前記上蓋は、前記上蓋押さえ部による閉蓋状態の保持が解除され自動開放する動作途中で前記ストッパ部に当接係合し、このストッパ部に当接しながら前記収納体の引き出し移動に伴い徐々に開放してゆくように構成されていることを特徴とする請求項5,6のいずれか1項に記載の収納システム。
【請求項8】
前記キャビネットの前面開口部よりも前方に突出している前記ストッパ部を前記キャビネット内に戻し移動させるストッパ復帰動作機構を備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の収納システム。
【請求項9】
前記ストッパ復帰動作機構は、前記収納体の押し入れ操作に伴い移動し前記ストッパ部若しくはこのストッパ部と連設される移動部に当接し、前記押し入れ操作により前記ストッパ部若しくは前記移動部を押動するストッパ押動部を備えることを特徴とする請求項8記載の収納システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネット内に引き出し自在に収納されると共に、このキャビネット内に収納されている収納状態から引き出す引き出し操作により上蓋が自動開放動作するように構成されている収納体(例えばゴミ箱)を備える収納システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、システムキッチンのなかには、例えば特許文献1に示すような収納式ごみ箱が備えられているものがある。
【0003】
この収納式ごみ箱は、キャビネット内に出し入れ自在に設けられているスライドユニット内に配置され、このスライドユニットをキャビネットから引き出すと、この引き出し動作に連動する開閉駆動手段により蓋が水平軸を中心に回動して自動的に開き、また、スライドユニットをキャビネット内に収納すると自動的に蓋が閉じるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のシステムキッチン等の収納システムに備えられる収納式ごみ箱は、この特許文献1の
図3及び
図4に示されるような、蓋(ごみ箱側)にこの蓋を開放付勢する開放付勢手段(開放付勢部材)が設けられ、また、キャビネット側にこの開放付勢される蓋の上面に当接するローラーが設けられていて、スライドユニットをキャビネットから引き出すと、ローラーによる蓋の開放動作(上方回動動作)の阻止状態が解除されて、開放付勢手段により蓋が自動開放し、この引き出し状態のスライドユニットをキャビネット内に押し戻すと、ローラーが開放する蓋の上面に当接して蓋を閉蓋するように構成されているものが多い。
【0006】
しかしながら、このように一つのローラーで開放付勢されるごみ箱の蓋の開閉動作の制御を行う場合、ローラーによる蓋の開放動作(上方回動動作)の阻止状態が解除されると、開放付勢手段により勢い良く蓋が開放してキャビネットの開口縁や前面パネルに当たってしまい、キャビネットや蓋を傷めてしまうおそれがある。また、閉蓋時も蓋がローラーに当接する前にキャビネットの開口縁や前面パネルに当たってしまい、この当接状態で押し戻すため、キャビネットとごみ箱の蓋とに擦れが生じ、傷がついてしまうおそれもある。
【0007】
このように、従来の収納システムは、キャビネットに出し入れ自在に収納される収納式ごみ箱を出し入れ操作することで、ごみ箱の蓋がキャビネットの前面部(開口縁や前面の化粧パネル等)に当たってしまうことにより、キャビネットや蓋が破損するおそれがあるものであった。
【0008】
本発明は、このような従来の収納システムが有する問題を解決するものであり、ごみ箱等のキャビネット内に収納される収納体の出し入れ操作の際に、自動開閉する収納体の上蓋がキャビネットと干渉せず、キャビネット、収納体の上蓋の何れも破損するおそれがない収納システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
前面開口形のキャビネット1を備え、このキャビネット1内に引き出し自在に収納されると共に引き出し操作により自動開放動作する上蓋3が設けられている収納体2を有する収納システムにおいて、前記収納体2の前記上蓋3が自動開放動作した際に、この上蓋3が前記キャビネット1に衝突することを防止する上蓋衝突防止機構を備え、この上蓋衝突防止機構は、前記収納体2を前記キャビネット1内から引き出した際に前方に移動し、前記キャビネット1の前面開口部1Aよりも前方に突出状態となるストッパ部4を備えることを特徴とする収納システムに係るものである。
【0011】
また、前記上蓋衝突防止機構は、前記キャビネット1に設けられていて、前記収納体2の引き出し移動に伴い前進移動する移動部5と、この移動部5の移動をガイドするガイド部6と、前記移動部5に設けられる前記ストッパ部4とからなることを特徴とする請求項1記載の収納システムに係るものである。
【0012】
また、前記ガイド部6は、前下がり傾斜部6Aを有する構成とされ、前記移動部5は、この前下がり傾斜部6Aの傾斜を利用して前進移動する構成とされていることを特徴とする請求項2記載の収納システムに係るものである。
【0013】
また、前記収納体2は、前記キャビネット1に引き出し自在に設けられている引出体7内若しくはワゴン体7A内に配設されていて、この引出体7若しくはワゴン体7Aの引き出し操作により前記キャビネット1内から引き出される構成とされていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の収納システムに係るものである。
【0014】
また、前記収納体2の前記上蓋3の閉蓋状態を保持する上蓋押さえ部8を備え、この上蓋押さえ部8は、前記収納体2に対して相対移動自在に設けられていて、前記収納体2が引き出し方向に移動することで前記上蓋3から離脱する方向に移動して前記上蓋3の閉蓋状態を解除するように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の収納システムに係るものである。
【0015】
また、前記ストッパ部4は、前記上蓋押さえ部8よりも上方且つ前方に配設され、前記収納体2の引き出し移動により前記上蓋押さえ部8による前記上蓋3の閉蓋状態の保持が解除されて、前記上蓋3が自動開放する動作途中でこの上蓋3に当接係合するように構成されていることを特徴とする請求項5記載の収納システムに係るものである。
【0016】
また、前記上蓋3は、前記上蓋押さえ部8による閉蓋状態の保持が解除され自動開放する動作途中で前記ストッパ部4に当接係合し、このストッパ部4に当接しながら前記収納体2の引き出し移動に伴い徐々に開放してゆくように構成されていることを特徴とする請求項5,6のいずれか1項に記載の収納システムに係るものである。
【0017】
また、前記キャビネット1の前面開口部1Aよりも前方に突出している前記ストッパ部4を前記キャビネット1内に戻し移動させるストッパ復帰動作機構を備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の収納システムに係るものである。
【0018】
また、前記ストッパ復帰動作機構は、前記収納体2の押し入れ操作に伴い移動し前記ストッパ部4若しくはこのストッパ部4と連設される移動部5に当接し、前記押し入れ操作により前記ストッパ部4若しくは前記移動部5を押動するストッパ押動部9を備えることを特徴とする請求項8記載の収納システムに係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上述のように構成したから、キャビネット内に収納される収納体の出し入れ操作の際に自動開閉する収納体の上蓋がキャビネットと干渉せず、収納体の上蓋がキャビネットに勢い良く衝突したり擦れたりすることによって破損してしまうおそれがない収納システムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施例のキャビネットを示す説明斜視図である。
【
図2】本実施例の上蓋自動開閉装置の要部を示す説明斜視図である。
【
図3】本実施例の使用状態(ダストボックス収納状態)説明図である。
【
図4】本実施例の使用状態(ダストボックス引き出し操作開始)説明図である。
【
図5】本実施例の使用状態(ダストボックス引き出し操作途中)説明図である。
【
図6】本実施例の使用状態(ダストボックス引き出し操作途中)説明図である。
【
図7】本実施例の使用状態(ダストボックス引き出し操作完了)説明図である。
【
図8】本実施例の使用状態(ダストボックス押し入れ操作開始)説明図である。
【
図9】本実施例の使用状態(ダストボックス押し入れ操作途中)説明図である。
【
図10】本実施例の使用状態(ダストボックス押し入れ操作途中)説明図である。
【
図11】本実施例の使用状態(ダストボックス押し入れ操作完了)説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0022】
キャビネット1内に収納されている収納体2を引き出し操作により手前側に引き出し移動させると、この収納体2の引き出し移動に伴って上蓋衝突防止機構のストッパ部4が前方(前記収納体2の引き出し方向)に移動し、このストッパ部4がキャビネット1の前面開口部1Aよりも前方に突出した状態になる。
【0023】
これにより、引き出し操作により収納体2の上蓋3の閉蓋保持状態が解除され、上蓋3が自動開放動作した際に、上蓋3はキャビネット1の前面開口部1Aよりも前方に位置するストッパ部4に当接することとなり、自動開放動作時の上蓋3のキャビネット1への衝突が防止される。
【0024】
また、この前方に引き出された収納体2をキャビネット1内に収納するため、この収納体2を押し入れ(押し戻し)操作により押し入れ移動させると、この開放状態の上蓋3の上面が、キャビネット1の前面開口部1Aよりも前方に位置するストッパ部4に当接し、このストッパ部4により自動閉蓋動作することとなり、自動閉蓋動作時のキャビネット1への当接及び擦れの発生が防止される。
【0025】
このように、本発明は、キャビネット1内に収納される収納体2の出し入れ操作の際に、自動開閉する収納体2の上蓋3がキャビネット1と干渉せず、キャビネット1、収納体2の上蓋3の何れも衝突や擦れによって破損するおそれがない収納システムとなる。
【実施例】
【0026】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0027】
本実施例は、前面開口形のキャビネット1を備え、このキャビネット1内に引き出し自在に収納されると共に引き出し操作により自動開放動作する上蓋3が設けられている収納体2を有する収納システムである。
【0028】
具体的には、本実施例は、前方に引き出し自在に設けられる引出体7を有するキャビネット1を備え、この引出体7に、この引出体7の引き出し操作によりキャビネット1内から引き出されることで上蓋3が自動開放するように構成されている収納体2が収納されている収納システムである。
【0029】
より具体的には、本実施例は、キャビネット1内に収納体2の引き出し押し入れ操作に伴って作動する上蓋自動開閉装置が設けられていて、この上蓋自動開閉装置により収納体2の上蓋3がこの収納体2(引出体7)の引き出し押し入れ操作に伴って自動開閉するように構成されている。尚、本実施例は、収納システムとしてシステムキッチンを採用すると共に、キャビネット1内に引き出し自在に収納される収納体2としてダストボックス2を採用した場合である。また、本実施例は、前述の通り引出体7を採用した場合であるが、
図12に示すように、引出体7の代わりにワゴン体7Aを採用しても良い。
【0030】
以下、本実施例に係る構成各部について詳述する。
【0031】
キャビネット1内に引き出し自在に収納されるダストボックス2は、上部が開口する収容部10と、この収容部10の上部開口部を開閉自在に閉蓋する上蓋3とからなり、この上蓋3は、後端部が収容部10の上部開口縁部の後縁部に枢着されて起伏回動自在に設けられていると共に、この枢着部に設けられた付勢部材(図示省略)により開放付勢されている構成となっている。
【0032】
尚、本実施例のダストボックス2は、前端部にこの開放付勢に抗して上蓋3の閉蓋状態を保持する上蓋ロック機構を有する構成とされているが、本実施例では、この上蓋ロック機構を無効にする上蓋ロック機構無効部材11を用いて、上蓋ロック機構を無効にした状態でキャビネット1内に収納配設されている。
【0033】
具体的には、上蓋ロック機構無効部材11は、上蓋ロック機構のロック解除操作部12のロック解除姿勢を保持させるもので、本実施例では、この上蓋ロック機構無効部材11を板状に形成し、ロック解除操作部12がロック解除姿勢になった際に生じる隙間にこの板状に形成される上蓋ロック機構無効部材11を挿入配設し、上蓋ロック機構無効部材11の戻り動作を抑制することで、この上蓋ロック機構無効部材11のロック解除姿勢が保持される構成となっている。尚、本実施例の上蓋ロック機構無効部材11は、前記隙間に挿脱自在に配設されていて、ロック解除操作部12がロック解除姿勢になった際に生じる隙間から容易に取り外すことができ、上蓋ロック機構を有効にすることができるように構成されている。
【0034】
また、このダストボックス2の上蓋3の自動開閉動作を制御する上蓋自動開閉装置は、ダストボックス2の上蓋3の閉蓋状態を保持する上蓋押さえ部8と、ダストボックス2の上蓋3が自動開放動作した際に、この上蓋3がキャビネット1(キャビネット1の前面開口部1Aの開口縁部若しくはキャビネット1の前面パネル)に衝突することを防止する上蓋衝突防止機構とからなる構成とされている。
【0035】
具体的には、上蓋押さえ部8は、キャビネット1内に収納された状態のダストボックス2の閉蓋状態の上蓋3の上面に当接する位置に配設されていると共に、ダストボックス2に対して相対移動自在に設けられていて、ダストボックス2が引き出し方向に移動することで上蓋3から離脱する方向に移動して、上蓋3の閉蓋状態を解除するように構成されている。
【0036】
より具体的には、本実施例の上蓋押さえ部8は、下部側に上蓋3に当接するローラー状に形成される当接部8Aが設けられ、この当接部8Aがダストボックス2の上蓋3に当接するようにキャビネット1の左右側板部間に架設される上蓋押さえ部取付板部13に垂下状態に設けられていて、ダストボックス2が引き出し方向に移動することでこのローラー状の当接部8Aが上蓋3の上面を転動してこの上蓋3から離脱するように構成されている。
【0037】
また、上蓋衝突防止機構は、ダストボックス2をキャビネット1内から引き出した際に前方に移動し、キャビネット1の前面開口部1Aよりも前方に突出状態となるストッパ部4を備える構成とされている。
【0038】
具体的には、本実施例の上蓋衝突防止機構は、キャビネット1に設けられていて、前述したストッパ部4に加え、更にダストボックス2(引出体7)の引き出し移動に伴い前進移動する移動部5と、この移動部5の移動をガイドするガイド部6とを備え、このガイド部6にガイドさて移動する移動部5にストッパ部4が設けられている構成とされている。
【0039】
より具体的には、移動部5は、先端部に後述するストッパ押動部9に当接する当接部5A(本実施例では当接ローラー5A)と、凹状溝に形成されるガイド部6に嵌合する移動用ローラー5Bとを備える構成とされている。
【0040】
また、ガイド部6は、前述の通り凹状溝に形成されていて、前方に向かって下り傾斜する前下がり傾斜部6Aを有すると共に、この前下がり傾斜部6Aの先端部に移動部5の移動用ローラー5Aが落ち込み係合するローラー落ち込み凹部6Bが設けられている構成とされている。
【0041】
即ち、本実施例の移動部5は、移動用ローラー5Bがこのガイド部6の前下がり傾斜部6Aに配置され、この前下がり傾斜部6Aの傾斜と自重を利用して前方に自動移動し、この前下がり傾斜部6Aの先に設けられたローラー落ち込み凹部6Bに移動用ローラー5Bが落ち込み係合して移動が停止し、位置決めされるように構成されている。
【0042】
また、ストッパ部4は、前述した上蓋押さえ部8よりも上方且つ前方に配設され、ダストボックス2(引出体7)の引き出し移動により上蓋押さえ部8による上蓋3の閉蓋状態の保持が解除されて上蓋3が自動開放する動作途中でこの上蓋3に当接係合するように構成されている。
【0043】
具体的には、本実施例のストッパ部4は、ダストボックス2の上蓋3が当接する際の衝撃を緩和するようゴムやスポンジ等の弾性素材で形成されていて、キャビネット1の左右側板部に設けられる一対の移動部5間に架設されるストッパ取付杆14に設けられ、移動部5の前後移動に連動して移動するように構成されている。
【0044】
即ち、本実施例は、キャビネット1内に収納されるダストボックス2の上蓋3が、上蓋押さえ部8による閉蓋状態の保持が解除され自動開放する動作途中でこのストッパ部4に当接係合し、このストッパ部4に当接しながらダストボックス2(引出体7)の引き出し移動に伴い徐々に開放してゆくように構成されている。
【0045】
また、本実施例は、キャビネット1の前面開口部1Aよりも前方に突出しているストッパ部4をキャビネット1内に戻し移動させるストッパ復帰動作機構を備える構成とされている。
【0046】
具体的には、ストッパ復帰動作機構は、ダストボックス2(引出体7)の押し入れ操作に伴い移動し、キャビネット1の前面開口部1Aより突出しているストッパ部4に当接し、前記押し入れ操作によりこのストッパ部4を押動するストッパ押動部9を備える構成とされている。
【0047】
より具体的には、ストッパ押動部9は、キャビネット1の引出体7の前板部の裏面に設けられていて、引出体7(ダストボックス2)がキャビネット1内に収納されている状態においては、移動部5の当接ローラー5Aに当接して移動部5の前進移動を抑制し、引出体7(ダストボックス2)がキャビネット1から引き出されている状態においては、この引出体7(ダストボックス2)を収納方向に押し入れ操作することでキャビネット1の前面開口部1Aから突出している当接ローラー5Aに接近当接した後、この当接ローラー5Aを押動してこの当接ローラー5Aが設けられる移動部5を元の位置に戻し移動させ、この移動部5を戻し移動させることでストッパ部4をキャビネット1内の元の位置に戻し移動させるように構成されている。
【0048】
更に具体的に説明すると、本実施例のストッパ押動部9は、当接ローラー5Aとの当接面が傾斜面に形成されていて、押し入れ操作によりこのストッパ押動部9に当接する当接ローラー5Aがこの傾斜面に沿って上り移動するように構成されていて、この移動用ローラー5Bが傾斜面を上り移動することで移動部5が上昇移動し、ローラー落ち込み凹部6Bに落ち込み係合している移動用ローラー5Bがローラー落ち込み凹部6Bから離脱して、移動用ローラー5Bが戻り移動するように構成されている。
【0049】
以上のように構成される本実施例の作用効果について以下に説明する。
【0050】
図3は、本実施例のダストボックス2がキャビネット1内に収納されている状態を示す図である。
【0051】
この収納状態においては、ダストボックス2の上蓋3は、上面に上蓋押さえ部8が当接している状態にあり、これにより自動開放動作が阻止され閉蓋状態が保持されている。
【0052】
また、上蓋衝突防止機構は、移動部5の当接ローラー5Aがストッパ復帰動作機構のストッパ押動部9に当接している状態にあり、これにより移動部5は前進移動を阻止され所定位置(収納位置)に位置決めされた状態になっている。
【0053】
この収納状態からダストボックス2をキャビネット1内から引き出すために引出体7を引き出し操作すると、
図4に示すように、上蓋押さえ部8がダストボックス2の上蓋3の上面を奥側(上蓋3の枢着部側)に向かって相対移動すると共に、引出体7の引き出し操作に伴って移動部5が前方に移動し、引出体7が所定量引き出され移動部5に連設されるストッパ部4がキャビネット1の前面開口部1Aから突出した状態となる位置になったところで移動用ローラー5Bがガイド部6のローラー落ち込み凹部6Bに落ち込み係合して移動部5の移動が停止しストッパ部4が位置決めされる。
【0054】
そして、更に引出体7を引き出し操作すると、
図5に示すように上蓋押さえ部8による閉蓋状態の保持が解除され上蓋3が自動開放動作して上方に位置するストッパ部4に当接し、その後、引出体7の引き出し操作に伴い、
図6に示すように、上蓋3がストッパ部4に当接しながら徐々に開放動作し、引出体7の引き出し操作が完了しダストボックス2を引き出し状態にした際、
図7に示すように、ダストボックス2の上蓋3は、キャビネット1の前面開口部1Aから突出するストッパ部4に当接することでキャビネット1の前面部、例えばキャビネット1の前面パネルや前面開口部1Aの開口縁部への接触が回避され、これによりダストボックス2の上蓋3の接触によるキャビネット1やダストボックス2の上蓋3の破損や傷つきが防止される。
【0055】
また、このキャビネット1から引き出したダストボックス2をキャビネット1内に収納するため、引出体7を押し入れ操作すると、
図8に示すように、先ず、開放状態のダストボックス2の上蓋3がキャビネット1の前面開口部1Aから突出するストッパ部4に当接、このストッパ部4に当接した状態で引出体7の押し入れ操作が行われることで、ダストボックス2の上蓋3が閉蓋動作し始める。
【0056】
そして、引出体7の押し入れ操作が更に進むと、
図9に示すように上蓋押さえ部8がダストボックス2の上蓋3に係合し、この上蓋押さえ部8によりダストボックス2の上蓋3が閉蓋状態となる。
【0057】
更に引出体7の押し入れ操作が進むと、
図10に示すようにストッパ復帰動作機構のストッパ押動部9が上蓋衝突防止機構の移動部5の当接ローラー5Aに当接し、この当接ローラー5Aがストッパ押動部9に当接した状態で引出体7の押し入れ操作が進むことで、当接ローラー5Aがストッパ押動部9の傾斜面を上り移動し、この上り移動作用によりローラー落ち込み凹部6Bに落ち込み係合していた移動用ローラー5Bがローラー落ち込み凹部6Bから離脱し前下がり傾斜部6Aを戻り移動し、引出体7の押し入れ操作が完了すると、
図11に示すように、引き出し前と同様、ダストボックス2が、上蓋押さえ部8により上蓋3の閉蓋状態が保持された状態でキャビネット1内に収納される。
【0058】
このように、本実施例は、キャビネット1内に収納されるダストボックス2の出し入れ操作の際に、このダストボックス2の上蓋3がストッパ部4に当接しキャビネット1への接触(干渉)が防止されるから、ダストボックス2の出し入れ操作において、ダストボックス2の上蓋3の接触(例えば衝突や擦れ)によってキャビネット1やダストボックス2の上蓋3の破損や傷つきが生じない画期的な収納システムとなる。
【0059】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0060】
1 キャビネット
1A 前面開口部
2 収納体
3 上蓋
4 ストッパ部
5 移動部
6 ガイド部
6A 前下がり傾斜部
7 引出体
7A ワゴン体
8 上蓋押さえ部
9 ストッパ押動部