(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】建築用定規
(51)【国際特許分類】
E04F 21/00 20060101AFI20220527BHJP
【FI】
E04F21/00 A
(21)【出願番号】P 2018217732
(22)【出願日】2018-11-20
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2017226030
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】317011436
【氏名又は名称】馬淵 和仁
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】馬淵 和仁
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3053972(JP,U)
【文献】実開昭61-27522(JP,U)
【文献】実開昭53-74794(JP,U)
【文献】特開2004-358852(JP,A)
【文献】特開2014-8648(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0178339(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 21/00
E04G 21/16-21/18
B25H 7/02
B27B 9/04
B27C 1/10
B43L 7/00
G01B 3/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略矩形形状の略板状の基板であって、2つの長辺を第1長辺及び第2長辺とし、2つの短辺を第1短辺及び第2短辺とし、厚さ方向と略直交する2つの面のうちの1つを支持面とする基板と、
前記支持面の前記第1短辺の近傍に設けられた略棒状のガイド部であって、前記第1長辺及び前記支持面と略直交するガイド面を有し、前記ガイド面が前記第2短辺側に配置されたガイド部と、
略棒状の軸部と、前記軸部の端部に設けられた略板状の保持部と、を有する第1のストッパーと、
前記軸部が挿入される円柱状空間部であって、前記基板に、前記支持面に対して略垂直に設けられ、周縁が前記ガイド面と略一致する第1円柱状空間部、及び、前記ガイド部に、前記ガイド面に対して略垂直に設けられた第2円柱状空間部の少なくとも1つである円柱状空間部と、
を備えたことを特徴とする建築用定規。
【請求項2】
前記第1円柱状空間部は、前記ガイド面に沿って複数設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の建築用定規。
【請求項3】
前記第2円柱状空間部は、前記ガイド部の長手方向に沿って複数設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の建築用定規。
【請求項4】
前記軸部と、前記軸部の端部に設けられ、前記第2円柱状空間部の直径より大きい直径を有し、かつ前記保持部と板厚が異なる略板状の第2保持部と、を有する第2のストッパーを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の建築用定規。
【請求項5】
前記基板に、前記支持面に対して垂直に設けられており、前記軸部が挿入される第3円柱状空間部を備え、
前記第3円柱状空間部は、前記第2長辺の近傍に設けられている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の建築用定規。
【請求項6】
前記第3円柱状空間部が、前記第2長辺に沿って複数設けられる
ことを特徴とする請求項5に記載の建築用定規。
【請求項7】
平面視略矩形形状の略板状の基板であって、2つの長辺を第1長辺及び第2長辺とし、2つの短辺を第1短辺及び第2短辺とし、厚さ方向と略直交する2つの面のうちの1つを支持面とする基板と、
前記支持面の前記第1短辺の近傍に設けられた略棒状のガイド部であって、前記第1長辺及び前記支持面と略直交するガイド面を有し、前記ガイド面が前記第2短辺側に配置されたガイド部と、
前記支持面に回転可能に設けられた略円板形状の回転部材と、
を備え、
前記回転部材は、外周面から径方向に突出する突起部を有し、
前記ガイド部は、前記回転部材が内部に設けられる切り欠きと、前記切り欠きに沿って形成された前記突起部が通過可能な溝部と、を有し、
前記突起部が前記ガイド部よりも前記第1短辺側に位置するときは、前記回転部材の外周面が前記ガイド面から突出せず、
前記突起部が前記第2短辺に向けて突出しているときは、前記突起部が前記ガイド面から突出する
ことを特徴とする建築用定規。
【請求項8】
前記回転部材は、前記突起部として、高さが異なる第1突起部及び第2突起部を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の建築用定規。
【請求項9】
平面視略矩形形状の略板状の基板であって、2つの長辺を第1長辺及び第2長辺とし、2つの短辺を第1短辺及び第2短辺とし、厚さ方向と略直交する2つの面のうちの1つを支持面とする基板と、
前記支持面の前記第1短辺の近傍に設けられた略棒状のガイド部であって、前記第1長辺及び前記支持面と略直交するガイド面を有し、前記ガイド面が前記第2短辺側に配置されたガイド部と、
前記基板に設けられており、突起部を有する移動部材と、
を備え、
前記基板には、内部に前記移動部材又は前記突起部が設けられる孔が設けられ、
前記移動部材は、前記突起部が前記支持面から突出する位置と、前記突起部が前記支持面から突出しない位置との間で移動可能に設けられている
ことを特徴とする建築用定規。
【請求項10】
前記移動部材は、前記孔の内部で回転可能な回転部材であり、
前記突起部は、前記回転部材の外周面から径方向に突出し、
前記基板は、前記孔に沿って形成された前記突起部が通過可能な溝部を有し、
前記突起部が前記支持面側に位置するときは、前記突起部が前記支持面から突出し、
前記突起部が前記支持面側に位置しないときは、前記回転部材の外周面が前記支持面から突出しない
ことを特徴とする請求項9に記載の建築用定規。
【請求項11】
前記移動部材は、前記基板の前記支持面と反対側の裏面に隣接して設けられた揺動部材であり、
前記揺動部材は、板状部材を略くの字形状に折り曲げて形成した部材であり、当該くの字の屈曲部の凸部が前記裏面側に位置し、
前記揺動部材は、前記凸部を挟んで隣接する第1面及び第2面を有し、
前記突起部は、略棒状又は略板状であり、前記第1面に揺動可能に設けられ、
前記揺動部材は、前記第1面が前記裏面と略平行になる第1位置と、前記第2面が前記裏面と略平行になる第2位置との間で揺動可能に設けられ、
前記突起部は、前記揺動部材が前記第1位置と前記第2位置との間で揺動すると、前記孔の内部を移動し、
前記揺動部材が前記第1位置に位置するときは、前記突起部が前記支持面から突出し、
前記揺動部材が前記第2位置に位置するときは、前記突起部が前記支持面から突出しない
ことを特徴とする請求項9に記載の建築用定規。
【請求項12】
前記基板には、テンプレート用空間部が前記支持面に対して垂直に設けられた
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の建築用定規。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用定規に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築用定規で直角以外の任意の角度で建築材料を切断する、あるいは線を引くなどの際に用いられるものとして、板状の定規板と、定規板上の一点を回転中心として回転自在に取り付けた宛て部材を設け、宛て部材の角度を定規板に対して任意の角度に位置決めするものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-358852号公報
【文献】特開2014-8648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載の発明では、目盛りを頼りに任意の角度を決定する。しかしながら、目盛りの細かさには限界があり、細かな角度設定を行うことが難しいという問題があった。特に、建築現場において、直角よりもわずか(例えば1度~5度程度)に傾けた角度設定を行うことは困難であった。
【0005】
また、特許文献1、2に記載の発明では、任意の角度を決めた後で角度を固定するためにねじが用いられているが、ねじを締め込む際に摩擦により当初設定した角度設定がずれてしまうことがあった。特に、微小な角度設定を行う場合には、固定の際に角度設定がずれてしまうことは致命的である。さらに、建築用定規を建築材料に当てるときに建築用定規に振動が加わると、ねじで固定されている部分がわずかにずれることがあり、これに関しても微小な角度設定の場合は致命的になるなどの問題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、構造が簡素でありながら、任意の角度で建築材料を切断したり線を引いたりすることを効率的に行うことができる建築用定規を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る建築用定規は、平面視略矩形形状の略板状の基板であって、2つの長辺を第1長辺及び第2長辺とし、2つの短辺を第1短辺及び第2短辺とし、厚さ方向と略直交する2つの面のうちの1つを支持面とする基板と、前記支持面の前記第1短辺の近傍に設けられた略棒状のガイド部であって、前記第1長辺及び前記支持面と略直交するガイド面を有し、前記ガイド面が前記第2短辺側に配置されたガイド部と、略棒状の軸部と、前記軸部の端部に設けられた略板状の保持部と、を有する第1のストッパーと、前記軸部が挿入される円柱状空間部であって、前記基板に、前記支持面に対して略垂直に設けられ、周縁が前記ガイド面と略一致する第1円柱状空間部、及び、前記ガイド部に、前記ガイド面に対して略垂直に設けられた第2円柱状空間部の少なくとも1つである円柱状空間部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る建築用定規によれば、平面視略矩形形状の略板状の基板には、略棒状のガイド部が設けられる。また、円柱状空間部は、第1のストッパーの軸部が挿入される第1円柱状空間部及び第2円柱状空間部の少なくとも1つを有する。第1円柱状空間部は、基板に、支持面に対して略垂直に設けられ、周縁がガイド面と略一致する。また、第2円柱状空間部は、ガイド部に、ガイド面に対して略垂直に設けられている。使用時には、第1円柱状空間部又は第2円柱状空間部に軸部を挿入し、ガイド部端(ガイド面の第1長辺側の端)及び第1のストッパーと、建築材料とを当接させる。これにより、構造が簡素でありながら、任意の角度で建築材料を切断したり線を引いたりすることを効率的に行うことができる。
【0009】
ここで、前記第1円柱状空間部は、前記ガイド面に沿って複数設けられてもよい。これにより、より多種類の角度に対応することもできる。
【0010】
ここで、前記第2円柱状空間部は、前記ガイド部の長手方向に沿って複数設けられてもよい。これにより、より多種類の角度に対応することもできる。
【0011】
ここで、前記軸部と、前記軸部の端部に設けられ、前記第2円柱状空間部の直径より大きい直径を有し、かつ前記保持部と板厚が異なる略板状の第2保持部と、を有する第2のストッパーを備えてもよい。使用時には、前記ガイド面に前記第2保持部が当接するように前記第2円柱状空間部に前記第2軸部が挿入され、前記ガイド部端及び前記第2保持部に前記建築材料が当接する。これにより、より多種類の角度に対応することもできる。
【0012】
ここで、前記基板に、前記支持面に対して垂直に設けられた第3円柱状空間部を備え、前記第3円柱状空間部は、前記第2長辺の近傍に設けられてもよい。使用時には、前記第3円柱状空間部に軸部を挿入し、前記ガイド部端及び前記軸部と、前記建築材料とが当接する。これにより、直角からずらす角度を大きくすることができる。
【0013】
ここで、前記第3円柱状空間部が、前記第2長辺に沿って複数設けられてもよい。これにより、より多種類の角度に対応することもできる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係る建築用定規は、平面視略矩形形状の略板状の基板であって、2つの長辺を第1長辺及び第2長辺とし、2つの短辺を第1短辺及び第2短辺とし、厚さ方向と略直交する2つの面のうちの1つを支持面とする基板と、前記支持面の前記第1短辺の近傍に設けられた略棒状のガイド部であって、前記第1長辺及び前記支持面と略直交するガイド面を有し、前記ガイド面が前記第2短辺側に配置されたガイド部と、前記支持面に回転可能に設けられた略円板形状の回転部材と、を備え、前記回転部材は、外周面から径方向に突出する突起部を有し、前記ガイド部は、前記回転部材が内部に設けられる切り欠きと、前記切り欠きに沿って形成された前記突起部が通過可能な溝部と、を有し、前記突起部が前記ガイド部よりも前記第1短辺側に位置するときは、前記回転部材の外周面が前記ガイド面から突出せず、前記突起部が前記第2短辺に向けて突出しているときは、前記突起部が前記ガイド面から突出することを特徴とする。これにより、構造が簡素でありながら、任意の角度で建築材料を切断したり線を引いたりすることを効率的に行うことができる。また、第1のストッパーや第2のストッパーを用いなくてもよいため、第1のストッパーや第2のストッパーの保管や紛失を気にする必要がなく、使い勝手がよい。
【0015】
ここで、前記回転部材は、前記突起部として、高さが異なる第1突起部及び第2突起部を有してもよい。これにより、回転部材を回転させるだけで、直角に対してずらす角度を容易に変えることができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明に係る建築用定規は、平面視略矩形形状の略板状の基板であって、2つの長辺を第1長辺及び第2長辺とし、2つの短辺を第1短辺及び第2短辺とし、厚さ方向と略直交する2つの面のうちの1つを支持面とする基板と、前記支持面の前記第1短辺の近傍に設けられた略棒状のガイド部であって、前記第1長辺及び前記支持面と略直交するガイド面を有し、前記ガイド面が前記第2短辺側に配置されたガイド部と、前記基板に設けられており、突起部を有する移動部材と、を備え、前記基板には、内部に前記移動部材又は前記突起部が設けられる孔が設けられ、前記移動部材は、前記突起部が前記支持面から突出する位置と、前記突起部が前記支持面から突出しない位置との間で移動可能に設けられていることを特徴とする。これにより、構造が簡素でありながら、任意の角度で建築材料を切断したり線を引いたりすることを効率的に行うことができる。また、第1のストッパーや第2のストッパーを用いなくてもよいため、第1のストッパーや第2のストッパーの保管や紛失を気にする必要がなく、使い勝手がよい。
【0017】
ここで、前記移動部材は、前記孔の内部で回転可能な回転部材であり、前記突起部は、前記回転部材の外周面から径方向に突出し、前記基板は、前記孔に沿って形成された前記突起部が通過可能な溝部を有し、前記突起部が前記支持面側に位置するときは、前記突起部が前記支持面から突出し、前記突起部が前記支持面側に位置しないときは、前記回転部材の外周面が前記支持面から突出しない。この形態では、突起部等が基板から突出しているため、使用者が回転部材を回転させやすく、使い勝手がよい。
【0018】
ここで、前記移動部材は、前記基板の前記支持面と反対側の裏面に隣接して設けられた揺動部材であり、前記揺動部材は、板状部材を略くの字形状に折り曲げて形成した部材であり、当該くの字の屈曲部の凸部が前記裏面側に位置し、前記揺動部材は、前記凸部を挟んで隣接する第1面及び第2面を有し、前記突起部は、略棒状又は略板状であり、前記第1面に揺動可能に設けられ、前記揺動部材は、前記第1面が前記裏面と略平行になる第1位置と、前記第2面が前記裏面と略平行になる第2位置との間で揺動可能に設けられ、前記突起部は、前記揺動部材が前記第1位置と前記第2位置との間で揺動すると、前記孔の内部を移動し、前記揺動部材が前記第1位置に位置するときは、前記突起部が前記支持面から突出し、前記揺動部材が前記第2位置に位置するときは、前記突起部が前記支持面から突出しない。この形態では、使用者が揺動部材をみることで、揺動部材が第1位置にあるか第2位置にあるかを容易に判断可能である。
【0019】
ここで、前記基板には、テンプレート用空間部が前記支持面に対して垂直に設けられてもよい。これにより、建築材料に配管用などの穴を開けるためのガイド線を引くために用いることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、構造が簡素でありながら、任意の角度で建築材料を切断したり線を引いたりすることを効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態である建築用定規1を示す斜視図である。
【
図3】建築用定規1の一部を下方向から見た図である。
【
図4】(A)は、
図3のA-A’断面図であり、(B)は
図3のB-B’断面図である。
【
図5】第1円柱状空間部に第1のストッパーを挿入した状態を上から見た平面図である
【
図7】第2円柱状空間部に第2のストッパーを挿入した状態を上方向から見た図である。
【
図8】第3円柱状空間部のひとつに第3のストッパーを挿入した状態を第2のストッパーを挿入した状態を上方向から見た図方向から見た図である。
【
図10】本発明の一実施形態である建築用定規3の斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態である建築用定規4の斜視図である。
【
図14】建築用定規4の一部を下方向から見た図である。
【
図15】建築用定規4の一部を下方向から見た図である。
【
図16】本発明の一実施形態である建築用定規5の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の建築用定規を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の建築用定規は、電動丸鋸などの電動切断工具を用いて、板材や柱材などの建築材料を切断したり、建築材料に切断用ガイド線を引いたりする際に用いられるものである。
【0023】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の一実施形態である建築用定規1の概略を示す図である。
図1は、建築材料に接する側(以下、支持面101と呼ぶ)から建築用定規1を俯瞰して見た外観図となっている。
【0024】
建築用定規1は、主として、基板100と、基板100の手前側短辺端付近の支持面101側に設けられているガイド部110と、を有する。基板100は、平面視略矩形形状であり、2つの長辺103、104と、2つの短辺102、105と、を有する。また、基板100は、略板状であり、厚さ方向と略直交する2つの面のうちの1つを支持面101とする。
【0025】
図1における奥側の短辺102には略台形形状の切欠き部102aが設けられている。これは建築材料に対し建築用定規1を固定しやすくするための切欠きである。基板100は、2つの長辺103、104のうちの一辺(ここでは、長辺103)を基準辺として用いる。したがって、基板100には一定の硬度と耐久性が必要であり、長辺103には平面度が必要である。
【0026】
ガイド部110は、略棒状であり、
図1における手前側の短辺105の近傍に短辺105に略沿って設けられる。また、ガイド部110は、支持面101に設けられる。ガイド部110は、接着又はねじ止めなどの固定手段によって基板100に対して固定されている。なお
図1では、ガイド部110は基板100の短辺105より距離を置いて設けられているが、ガイド部110を短辺105に隣接して設けてもよい。
【0027】
ガイド部110は、長辺103及び支持面101と略直交するガイド面111を有する。ガイド面111は、短辺102側に(
図1におけるガイド部110の奥側)に配置される。
【0028】
建築用定規1はこのままで直角定規として用いることができる。直角定規として用いるときは、建築用定規1の支持面101を建築材料の一面に密着させると共に、建築材料の一辺にガイド面111を押し当てる。ガイド面111は、長辺103及び支持面101と略直交する。したがって、ガイド面111を建築材料の一辺に押し当てたときにこの一辺に対して長辺103が直角をなすため、この状態で建築材料の一辺に対し直角をなす線を引くことができるほか、建築用定規1を建築材料の直角切断用のガイドとして用いることもできる。
【0029】
基板100がアクリル板等の透明な素材であれば、実際に建築材料にガイド面111がきちんと押し当たっているかどうか直接視認できるので便利である。また、建築用定規1を建築材料に押し当てたときに建築用定規1がずれないように、支持面101の例えば長辺103の近傍に弾性シートなどを貼付してもよい。
【0030】
また、建築材料に押し当てるガイド面111が建築材料によって傷付かないように、ガイド部110は、金属製であることが望ましい。また、例えば樹脂製のガイド部110に金属製の板材を取り付け、それをガイド面111としてもよい。
【0031】
基板100またはガイド部110には、第1円柱状空間部121a及び第2円柱状空間部122a(
図1では図示省略、後に詳述)が設けられる。また、基板100には、ガイド部110が設けられていない部分に、比較的大きめのテンプレート用空間部150(150a~150f)が支持面101に対して垂直に設けられている。これは配管用の定規として用いるためのテンプレート部であり、建築材料に配管用などの穴を開けるためのガイド線を引くために用いることができる。
図1では、テンプレート用空間部150は平面視略円形状の円柱状空間部であるが、テンプレート用空間部の形状はこれに限られず、例えば四角柱状空間部であってもよい。
【0032】
図2は、建築用定規1の本発明の機能を説明するための斜視図である。
図2では、説明の便宜のため、ガイド部110を右上にした状態を図示している。以下、
図2における上から下に向かう方向を+z方向とし、
図2における左奥から右手前に向かう方向を+x方向とし、
図2における右奥から左手前に向かう方向を+y方向とし、以後の説明ではこれを基準とする。また、
図2以降、切欠き部102aの図示を省略する。
【0033】
建築用定規1は、建築材料の一辺に対し直角からわずかに傾いて線を引いたり、該線にそって切断したりするのに用いられる。基板100には、支持面101に略直交する第1円柱状空間部121aが設けられる。また、ガイド部110には、ガイド面111に略直交する第2円柱状空間部122aが設けられている。以下、第1円柱状空間部121a及び第2円柱状空間部122aについて説明する。
【0034】
図3は、建築用定規1の一部(ガイド部110側付近の領域)を下方向から見た図である。基板100には、第1円柱状空間部121aが支持面101に対して略垂直に設けられる。第1円柱状空間部121aは、基板100の中心cよりも長辺104側に設けられる。第1円柱状空間部121aはガイド部110に隣接しており、第1円柱状空間部121aの周縁はガイド面111と略一致する。
【0035】
図4(A)は、
図3のA-A’断面図である。第1円柱状空間部121aは、基板100に設けられ、支持面101に略直交している。第1円柱状空間部121aは、その端がガイド面111の延長線上に位置している。ガイド面111は支持面101と直交しているため、第1円柱状空間部121aの内側壁面とガイド面111は
図4(A)において連続する。
【0036】
図3の説明に戻る。ガイド部110には、第2円柱状空間部122aはガイド面111に対して略垂直に設けられる。第2円柱状空間部122aは、基板100の中心cよりも長辺104側に設けられる。第2円柱状空間部122aは、ガイド面111に対して略垂直であるため、
図3では長方形形状の破線として表されている。
【0037】
図4(B)は
図3のB-B’断面図である。第2円柱状空間部122aは、ガイド部110に設けられ、ガイド面111に略直交している。ガイド面111は支持面101と略直交しているため、第2円柱状空間部122aの壁面(内周面)と支持面101は
図4(B)において略平行である。
【0038】
次に、第1円柱状空間部121aと第1のストッパー201を用いて、前述した直角からわずかにずれた角度で線を引く使用状況を説明する。
図5は、第1円柱状空間部121aに第1のストッパー201を挿入した状態を上から(+z方向から)見た平面図である。
図5では、説明を容易にするため、第2円柱状空間部122aの図示を省略している。
【0039】
基板100上に設けられた第1円柱状空間部121aに対し、上方向から第1のストッパー201が挿入されている。建築用定規1を直角定規として用いるときは、ガイド面111を建築材料の一辺に押し当てることで、該一辺に対して長辺103が直角をなしていた。それに対し、第1円柱状空間部121aに第1のストッパー201が挿入された状態で、建築材料の一辺に建築用定規1のガイド面111を押し当てようとすると、建築材料の一辺(
図5では一点鎖線10で示す)は、第1のストッパー201の端部と、ガイド面111のガイド部端111aに接することとなる。ここでガイド部端111aとは、ガイド面111の長辺103側の端である。
【0040】
図6は、
図5のC-C’断面図である。
図6では、建築材料90を図示している。第1のストッパー201は、第1円柱状空間部121aに挿入可能な略棒状の軸部201aと、軸部201aの端部に設けられ、第1円柱状空間部121aの直径より大きい直径を有する略板状の抜止め防止部201bと、を有する。軸部201aは、直径が第1円柱状空間部121aの直径より細く、第1円柱状空間部121aの内部に挿入される。
【0041】
図6に示すように、第1円柱状空間部121aに第1のストッパー201が挿入された状態では、建築材料90の一辺91に軸部201aの端部が接している。第1のストッパー201は、軸部201aが略円柱形状であれば機能を発揮するが、重力により下方向に落下することを防止するため、抜止め防止部201bがあるとよい。
【0042】
図5の説明に戻る。直角からわずかにずれた角度で線を引く状況で建築用定規1を使用するときには、第1円柱状空間部121aに軸部201aを挿入する。第1円柱状空間部121aに軸部201aが挿入されると、ガイド部端111a及び軸部201aと、建築材料とが当接する。例えば、第1円柱状空間部121aの中心とガイド部端111aとの距離L1を200mm、軸部201aの直径dを3.5mmとすると、ガイド面111と建築材料の一辺10とのなす角度θ1は約1°(=tan
-13.5/200)となる。したがって、長辺103は、建築材料の一辺10に対して89°の角度をなす。また例えば、距離L1を200mmとし、軸部201aの直径dを7.0mmとすると、角度θ1は約2°(=tan
-17/200)となり、長辺103は、建築材料の一辺10に対して88°の角度をなす。したがって、建築用定規1を用いることで、建築材料に対し、建築材料の一辺10に対して直角より微小角度だけ小さい角度の線を引く等の作業をすることができる。
【0043】
また、長辺103と対向する長辺104が長辺103と並行であれば、長辺104を用いることで、建築材料に対し、建築材料の一辺10に対して直角より微小角度だけ大きい角度の線を引く等の作業をすることができる。
【0044】
なお、第1のストッパー201を、必要に応じた種類を用意する(軸部201aの直径は第1円柱状空間部121aの直径以下であるとする)ことで、複数種類の角度に対応した作業をすることができる。
【0045】
また、第1円柱状空間部121aは、ガイド面111に沿って複数設けられていてもよい。つまり、第1円柱状空間部121aを複数設ける場合には、第1円柱状空間部121a毎に長辺103との距離が異なる。すなわち、第1円柱状空間部121aによって距離L1が変わり、所望の第1円柱状空間部121aに第1のストッパー201を挿入することで、より多種類の角度に対応することもできる。
【0046】
次に、第2円柱状空間部122aと第2のストッパー202を用いて、前述した直角からわずかにずれた角度で線を引く使用状況を説明する。
図7は、第2円柱状空間部122aに第2のストッパー202を挿入した状態を上から見た平面図である。
図7では、説明を容易にするため、第1円柱状空間部121aの図示を省略している。
【0047】
ガイド部110に設けられた第2円柱状空間部122aに対し、+y方向から第2のストッパー202が挿入されている。第2のストッパー202は、略棒状の軸部202aと、軸部202aの端部に設けられ、前記第2円柱状空間部の直径より大きい直径を有する略板状の抜け止め防止部202bと、を有する。軸部202aは、直径が第2円柱状空間部122aの直径より細く、第2円柱状空間部122aの内部に挿入可能である。
【0048】
第2円柱状空間部122aに第2のストッパー202が挿入された状態で、建築材料の一辺に建築用定規1のガイド面111を押し当てようとすると、建築材料の一辺(
図5では一点鎖線11で示す)は、ガイド部端111aと抜け止め防止部202bとに当接する。
【0049】
例えば、第2円柱状空間部122aと長辺103の距離L2を229mm、抜け止め防止部202bの軸方向の厚み(板厚)tを1.0mmとすると、ガイド面111と建築材料の一辺11とのなす角度θ2は約0.25°(=tan-11.0/229)となる。したがって、長辺103は、建築材料の一辺11に対して約89.75°の角度をなす。また例えば、距離L2を229mmとし、抜け止め防止部202bの板厚tを1.6mmとすると、角度θ2は約0.4°(=tan-11.6/229)となり、長辺103は、建築材料の一辺10に対して約89.6°の角度をなす。したがって、建築用定規1を用いることで、建築材料に対し、建築材料の一辺11に対して直角より微小角度(ここでは、例えば1度以下)だけ小さい角度の線を引く等の作業をすることができる。また、長辺103と対向する長辺104が長辺103と並行であれば、長辺104を用いることで、建築材料に対し、建築材料の一辺11に対して直角より微小角度だけ大きい角度の線を引く等の作業をすることができる。
【0050】
抜け止め防止部202bの板厚tは軸部201aの直径より小さいため、角度θ2は、角度θ1より小さくすることが可能である。このように、第2円柱状空間部122aと第2のストッパー202を用いることで、建築材料に対し、直角に対してより微小な角度だけ傾いた線を引く等の作業をすることができる。
【0051】
なお、建築用定規1が抜け止め防止部202bと板厚が異なる略板状の抜け止め防止部を有する第3のストッパーを備えてもよい。第3のストッパーは第2のストッパー202と同様に用いることができる。つまり、第2円柱状空間部122aに第3のストッパーが挿入されると、建築材料の一辺は、ガイド部端111aと第3のストッパーの抜け止め防止部とに当接する。これにより、より多種類の角度に対応することもできる。
【0052】
また、第2円柱状空間部122aは、ガイド部110の長手方向に沿って複数設けられていてもよい。つまり、第2円柱状空間部122aを複数設ける場合には、第2円柱状空間部122a毎に長辺103との距離が異なる。これにより、第2円柱状空間部122aによって距離L2が変わり、所望の第2円柱状空間部122aに第2のストッパー202を挿入することで、より多種類の角度に対応することもできる。
【0053】
本実施の形態によれば、第1円柱状空間部121aや第2円柱状空間部122aに第1のストッパー201や第2のストッパー202を挿入するだけで、ガイド面111が当接する建築材料の一辺に対して直角より微小角度だけ異なる角度の線を引く等の作業をすることができる。このように、建築用定規1は、構造が簡素でありながら、任意の角度で建築材料を切断したり線を引いたりすることを効率的に行うことができる。
【0054】
なお、建築用定規1が有する円柱状空間部は図示した形態に限られない。建築用定規1が第1円柱状空間部121aのみを備えていてもよいのは言うまでもないし、建築用定規1が第2円柱状空間部122aのみを備えてもよいのも言うまでもない。また、建築用定規1が少なくとも1つの第1円柱状空間部121aと少なくとも1つの第2円柱状空間部122aとを同時に備えてもよいのも言うまでもない。第1円柱状空間部121aと第1のストッパー201とを用いて設定できる設定角度(長辺103と被絶段材料の一辺である一点鎖線10とのなす角度)を、第2円柱状空間部122aと第2のストッパー202とを用いて設定できる設定角度と異ならせることで、より多くの種類の角度の設定が可能になる。
【0055】
また、本実施の形態では長辺103と対向する長辺104の近傍に第1円柱状空間部121a及び第2円柱状空間部122aを設けているが、長辺103の近傍に、図示しない第1円柱状空間部121a及び第2円柱状空間部122aをさらに設けることも可能である。この場合、ここまでの説明はy軸に対して対称となるように考えればよく、基準となる辺は長辺104となる。例えば利き腕が左の作業者には便利である。
【0056】
また、本実施の形態では、第1円柱状空間部121aに第1のストッパー201を挿入し、第2円柱状空間部122aに第2のストッパー202を挿入しているが、第1のストッパー201と第2のストッパー202とは共用することができる。
【0057】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、直角から比較的小さい角度ずれた切断線を引くなどの作業の例を示したが、第2の実施の形態は、直角からより大きな角度(例えば、5度、10度、15度等)だけずれた切断線を引く作業を行うことができる形態である。
【0058】
図8は、第2の実施の形態にかかる建築用定規2の一部(ガイド部110側付近の領域)を上方向から見た図である。第1の実施の形態にかかる建築用定規1と第2の実施の形態にかかる建築用定規2との差異は、有する円柱状空間部の差異のみである。
【0059】
建築用定規2は、支持面101に対して垂直に設けられた第3円柱状空間部130を有する。第3円柱状空間部130は、長辺104の近傍に設けられ、長辺104に沿って設けられた複数の第3円柱状空間部131a、131bを有する。第3円柱状空間部130は、ガイド部110に隣接しておらず、ガイド部110から離れている。
【0060】
図8では、第3円柱状空間部131aに第1のストッパー201を上方向から挿入した場合を例示している。
図8に示す形態では、建築用定規2の使用時には、第3円柱状空間部131aに軸部201aを挿入し、ガイド部端111a及び軸部201aと、建築材料とを当接させる。その結果、建築材料の一辺(
図8では一点鎖線12で表す)は、軸部201aの端部と、ガイド面111のガイド部端111aに接することとなる。
【0061】
図9は、
図8のD-D’断面図である。点mは、ガイド面111の一点であり、点m’は、点mと第3円柱状空間部131aの中心を通る線上において第3円柱状空間部131aのガイド面111から最も離れた点である。軸部201aの端部は、
図9において点m’を通る線であり、ここに建築材料の一辺が当接する。
【0062】
第3円柱状空間部131aの直径は軸部201aの直径以上であればよい。ただし、第3円柱状空間部131aの直径が大きくなると点m’と軸部201aの端とがずれてしまうため、第3円柱状空間部131aの直径は、軸部201aの直径と略一致させることが望ましい。
【0063】
図8の説明に戻る。ここで、点mから点m’まで垂線を引き、その線を破線である補助線13とする。ガイド部端111aから補助線13(点m)までの距離L3を206mm、点mと点m’との距離Dを18mmとすると、ガイド面111と建築材料の一辺12とのなす角度θ3は約5°(=tan
-118/206)となる。したがって、長辺103は、建築材料の一辺12に対して85°の角度をなす。また例えば、距離L3を209mm、距離Dを29.5mmとすると、角度θ3は約8°(=tan
-129.5/209)となる。したがって、長辺103は、建築材料の一辺12に対して82°の角度をなす。
【0064】
したがって、建築用定規2を用いることで、建築材料に対し、建築材料の一辺12に対して直角より任意の角度だけ小さい角度の線を引く等の作業をすることができる。また、長辺103と対向する長辺104が長辺103と並行であれば、長辺104を用いることで、建築材料に対し、建築材料の一辺11に対して直角より大きい角度の線を引く等の作業をすることができる。
【0065】
本実施の形態によれば、使用時に第3円柱状空間部130に第1のストッパー201を挿入するだけでよく、構造が簡素でありながら、任意の角度で建築材料を切断したり線を引いたりすることを効率的に行うことができる。また、第3円柱状空間部130がガイド部110に隣接していないため、直角からずらす角度を大きくすることができる。また、第3円柱状空間部130を長辺104に沿って複数設けることで、多くの種類の角度の設定が可能になる。
【0066】
なお、本実施の形態では、第3円柱状空間部130を長辺104に沿って設けているが、図示しない第3円柱状空間部130を長辺103に沿って設けることも可能である。実施例1と同じく長辺103と長辺104が並行であれば、ここまでの説明をy軸に対して対称となるように考えればよい。例えば利き腕が左の作業者には便利である。
【0067】
なお、建築用定規2が、第3円柱状空間部130に加えて、少なくとも1つの第1円柱状空間部121aや少なくとも1つの第2円柱状空間部122aを備えてもよいのは言うまでもない。これにより、より多くの種類の角度の設定が可能になる。
【0068】
また、本実施の形態では第3円柱状空間部130に第1のストッパー201を挿入したが、第3円柱状空間部130に第2のストッパー202を挿入してもよい。また、第3円柱状空間部130に挿入するのは、棒状部材(例えば軸部201aのみを有する部材)であってもよい。
【0069】
また、本実施の形態では第3円柱状空間部130が2つの第3円柱状空間部131a、131bを有したが、第3円柱状空間部130は第3円柱状空間部131aのみを有していてもよいし、第3円柱状空間部130が3個以上の第3円柱状空間部を有していてもよい。
【0070】
また、例えば、第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、第1のストッパー201及び第2のストッパー202として専用のストッパーを用いる場合を説明しているが、機能が実現できるのであれば、第1のストッパー201や第2のストッパー202に釘等を用いてもよい。また、ガイド部110のガイド面111と反対側は建築材料と接しないため、ここに第1のストッパー201や第2のストッパー202を保持するストッパー保持部を設けてもよい。また、基板100上に、その円柱状空間部を使用すると何度の設定角が得られるか分かるような表示をしてもよいし、それぞれの円柱状空間部に番号を振り、設定一覧表等を基板上に記載してもよい。
【0071】
<第3の実施の形態>
第1、2の実施の形態では、第1のストッパー201や第2のストッパー202を用いて角度の調整を行ったが、角度の調整が可能な建築用定規の形態はこれに限られない。
【0072】
図10は、第3の実施の形態にかかる建築用定規3の斜視図である。建築用定規3は、主として、基板100と、基板100の支持面101側に設けられているガイド部110と、回転部材210と、を有する。
【0073】
回転部材210は、基板100に設けられた略円板形状の部材である。回転部材210は、外周面から径方向に突出する突起部210aを有する。回転部材210は、突起部210aが支持面101から突出する位置と、突起部210aが支持面101から突出しない位置との間で移動(ここでは、回転)可能に設けられている。
【0074】
回転部材210の端面はz方向に略沿っており、軸211はy方向に略沿っている。回転部材210は、軸211を軸に回転可能である。
【0075】
なお、突起部210aの厚さは回転部材210の厚さより薄いが、突起部210aの厚さはこれに限られない。例えば、回転部材210の厚さと突起部210aの厚さとが略同一であってもよい。また、突起部210aの形状もこれに限られない。
【0076】
図11は、建築用定規3の部分断面図であり、突起部210aが支持面101側に位置しない(ここでは、突起部210aが支持面101の反対側に位置する)ときの様子を示す図である。
図12は、建築用定規3の部分断面図であり、突起部210aが支持面101側に位置するときの様子を示す図である。
【0077】
基板100には孔123が設けられており、孔123の内部に回転部材210が設けられる。回転部材210は、孔123の内部で回転可能である。孔123には、孔123に沿って形成された溝部124を有し、溝部124の内部を突起部210aが通過可能である。回転部材210、孔123及び溝部124は、基板100の中心cよりも長辺104側に設けられる。
【0078】
図11に示すように、突起部210aが支持面101側に位置しないときは、回転部材210の外周面が支持面101から突出しない。したがって、ガイド面111を建築材料の一辺に押し当てることで、該一辺に対して長辺103が直角をなし、建築用定規3を直角定規として用いることができる。
【0079】
図11に示す状態から、軸211を中心にして回転部材210を略180度回転させると、
図12に示す状態になる。回転部材210は孔123内で回転し、突起部210aが溝部124の内部を通過する。回転部材210又は突起部210aが裏面106から突出しているため、使用者が回転部材210を回転させやすく、使い勝手がよい。
【0080】
図12に示すように、突起部210aが支持面101から突出しているときは、突起部210aが支持面101から突出する。
図10に示すように、この状態で建築材料の一辺に建築用定規3のガイド面111を押し当てようとすると、建築材料の一辺(
図10では一点鎖線で示す)は、突起部210aの端部と、ガイド面111のガイド部端111aに接する。
【0081】
したがって、建築用定規3を用いることで、建築材料に対して、建築用定規3に押し当てた建築材料の一辺とのなす角度が直角より微小角度だけ小さい又は大きい角度の線を引く等の作業をすることができる。
【0082】
本実施の形態によれば、回転部材210を回転させるだけで角度の調整が可能であるため、構造が簡素でありながら、任意の角度で建築材料を切断したり線を引いたりする作業を効率的に行うことができる。また、第1のストッパー201、第2のストッパー202を用いなくてもよいため、第1のストッパー201、第2のストッパー202の保管や紛失を気にする必要がなく、使い勝手がよい。
【0083】
なお、本実施の形態では、説明のため、ガイド部110と回転部材210とを離して図示しているが、回転部材210の位置はこれに限られない。例えば、ガイド部110と回転部材210とが隣接して設けられていてもよい。ガイド部110と回転部材210との距離が近くなれば、建築用定規3に押し当てた建築材料の一辺とガイド面111とのなす角度が小さくなる。
【0084】
また、本実施の形態では、回転部材210、孔123及び溝部124がひとつずつ設けられているが、回転部材210、孔123及び溝部124が2つ以上設けられていてもよい。このとき、複数の回転部材210、孔123及び溝部124は、長辺104に沿って並んでいてもよいし、短辺105に沿って並んでいてもよいし、長辺104や短辺105に対して斜めに並んでいてもよい。
【0085】
また、本実施の形態では、溝部124が2つ、孔123の両側に設けられていたが、溝部124は1つでもよい。
【0086】
また、本実施の形態では、回転部材210に1つの突起部210aが設けられていたが、回転部材210に厚さ(軸211に沿った方向の厚さ)の異なる突起部が複数設けられていてもよい。例えば、回転部材210に、突起部210aと、突起部210aより厚い突起部と、が設けられていてもよい。これにより、角度の調整が多段階で可能になる。
【0087】
<第4の実施の形態>
第3の実施の形態では、回転部材210が基板100に設けられていたが、回転部材が設けられる位置はこれに限られない。
【0088】
図13は、第4の実施の形態にかかる建築用定規4の斜視図である。建築用定規4は、主として、基板100と、基板100の支持面101側に設けられているガイド部110Aと、回転部材220と、を有する。
【0089】
ガイド部110Aは、ガイド部110と同様、短辺105の近傍に短辺105に略沿って設けられた略棒状の部材である。ガイド部110Aは、切り欠き111b及び溝部111cを有する点でガイド部110と異なる。切り欠き111bの内部には、回転部材220が設けられる。溝部111cは、切り欠き111bに沿って形成されている。
【0090】
回転部材220は、支持面101に設けられた略円板形状の部材である。回転部材220は、軸221を軸に回転可能である。
【0091】
回転部材220は、外周面から径方向に突出する5つの突起部220a、220b、220c、220d、220e(
図14、15参照)を有する。突起部220a、220b、220c、220d、220eは、それぞれ高さが異なる。回転部材220が回転すると、溝部111cの内部を突起部220a~220eが通過する。
【0092】
なお、回転部材220の厚さはガイド部110Aの高さと略同一であるが、回転部材220の厚さはこれに限られない。また、突起部220a~220eの厚さは回転部材210の厚さより薄いが、突起部220a~220eの厚さもこれに限られない。また、突起部220a~220eは、支持面101にできるだけ近い位置、すなわち支持面101に隣接して設けられることが望ましい。さらに、220a~220eの形状もこれに限られない。
【0093】
回転部材220、切り欠き111b及び溝部111cは、基板100の中心c(
図14、15参照)よりも長辺104側に設けられる。
【0094】
図14は、建築用定規4の一部を下方向から見た図であり、突起部220a~220eがガイド面111から突出していないときの様子を示す図である。
図15は、建築用定規4の一部を下方向から見た図であり、突起部220dが短辺102(
図13参照)側に位置するときの様子を示す図である。
【0095】
回転部材220の面220fには、0~5の数字が印字されている。0の数字に対応する位置には突起が設けられていない。1の数字に対応する位置には突起部220aが設けられており、2の数字に対応する位置には突起部220bが設けられており、3の数字に対応する位置には突起部220cが設けられており、4の数字に対応する位置には突起部220dが設けられており、5の数字に対応する位置には突起部220eが設けられている。突起部220bは突起部220aより高く、突起部220cは突起部220bより高く、突起部220dは突起部220cより高く、突起部220eは突起部220dより高い。言い換えれば、面220fに印字された数字が大きくなればなるほど、対応する突起の高さが高くなる。
【0096】
図14に示すように、0の数字が短辺102(
図13参照)側に位置するときは、回転部材220の外周面はガイド面111から突出しない。したがって、ガイド面111を建築材料の一辺に押し当てることで、該一辺に対して長辺103が直角をなし、建築用定規3を直角定規として用いることができる。
【0097】
図14に示す状態から、軸221を中心にして回転部材220を回転させると、回転部材220は切り欠き111b内で回転し、突起部220a~220eが溝部111cを通過する。使用者は、回転部材220を任意の角度だけ回転させて、任意の数字を短辺102側に配置することができる。1~5の任意の数字が短辺102に向いているときは、突起部210a~220eのいずれかがガイド面111から突出する。
【0098】
図15は、
図14に示す状態から、軸221を中心にして回転部材220を時計回りに略120度回転させた状態であり、突起部220dがガイド面111から突出している。この状態で建築材料の一辺に建築用定規のガイド面111を押し当てようとすると、建築材料の一辺(
図15では一点鎖線で示す)は、突起部220dの端部と、ガイド面111のガイド部端111aに接する。
【0099】
本実施の形態によれば、回転部材220を回転させるだけで、ガイド面111が当接する建築材料の一辺に対して直角より微小角度だけ異なる角度の線を引く等の作業をすることができる。また、回転部材220に高さが異なる複数の突起部220a~220eが設けられているため、回転部材220を回転させるだけで、角度の調整が容易であり、かつ角度の調整が多段階で可能である。したがって、簡単な構成で、より多種類の角度に対応でき、任意の角度で建築材料を切断したり線を引いたりすることを効率的に行うことができる。さらに、第1のストッパー201、第2のストッパー202を用いなくてもよいため、第1のストッパー201、第2のストッパー202の保管や紛失を気にする必要がなく、使い勝手がよい。
【0100】
なお、本実施の形態では、回転部材220が突起部220a~220eの5つの高さが異なる突起部を有したが、回転部材220が有する突起部の数はこれに限られない。回転部材220は、高さが異なる突起部を少なくとも1つ以上有すればよい。回転部材220が突起部を1つ有することで、建築材料に対して、建築用定規4に押し当てた建築材料の一辺とのなす角度が直角より微小角度だけ小さい又は大きい角度の線を引く等の作業をすることができる。ただし、高さが異なる突起部を2つ以上有することは、角度が多段階に調整可能になり、より好ましい。
【0101】
なお、建築用定規4は、回転部材220を
図14に示す位置や
図15に示す位置で停止させる回転止め機構を有してもよい。回転止め機構としては、例えば、公知のクリック機構を用いることができる。
【0102】
<第5の実施の形態>
第3、4の実施の形態では、回転部材を回転させることで角度の調整を行ったが、角度の調整に回転部材以外の構成を用いることも可能である。
【0103】
図16は、第5の実施の形態にかかる建築用定規5の斜視図である。建築用定規5は、主として、基板100と、基板100の支持面101側に設けられているガイド部110と、揺動部材230と、を有する。
【0104】
揺動部材230は、基板100の支持面101と反対側の裏面106(
図17、18参照)に隣接して設けられている。揺動部材230は、板状部材を略くの字形状に折り曲げて形成した部材であり、隣接する2つの板状部230a、230bを有する。板状部230aには、突起部233が設けられている。基板100には、内部に突起部233が設けられる孔125が設けられている。
【0105】
揺動部材230は、突起部233が支持面101から突出する位置と、突起部233が支持面101から突出しない位置との間で移動(ここでは、揺動)可能に設けられている。
【0106】
揺動部材230及び孔125は、基板100の中心c(
図17、18参照)よりも長辺104側に設けられる。
【0107】
図17は、建築用定規5の部分断面図であり、突起部233が支持面101から突出しているときの様子を示す図である。
図18は、建築用定規5の部分断面図であり、突起部233が支持面101から突出していないときの様子を示す図である。
【0108】
揺動部材230は、くの字の屈曲部の凸部230eが裏面106側に位置する。揺動部材230は、凸部230eを挟んで隣接する面230c及び面230dを有する。面230cは、板状部230aの裏面106と対向する面であり、面230dは、板状部230bの裏面106と対向する面である。
【0109】
揺動軸231は、凸部230eの近傍に設けられている。揺動部材230は、揺動軸231を介して裏面106に設けられている。
【0110】
揺動部材230は、面230cが裏面106と略平行になる位置(
図17に示す状態)と、面230dが裏面106と略平行になる位置(
図18に示す状態)との間で揺動可能に設けられている。使用者は、板状部230a、230bの位置をみるだけで
図17に示す状態か
図18に示す状態かを容易に判断可能である。なお、
図17に示す状態では、面230cと裏面106とが当接してもよいし、
図18に示す状態では、面230dと裏面106とが当接してもよい。
【0111】
揺動部材230には、略棒状の突起部233が揺動可能に設けられている。突起部233は、軸232を介して面230cに設けられており、軸232を中心に揺動可能である。
【0112】
面230cが裏面106と略平行になる位置(
図17に示す状態)と、面230dが裏面106と略平行になる位置(
図18に示す状態)との間で揺動部材230が揺動すると、突起部233が孔125の内部を移動する。突起部233が軸232を軸に揺動するため、面230cと裏面106とのなす角度が変わっても、突起部233が孔11dの内部を移動可能である。
【0113】
図18に示す状態では、突起部233が支持面101から突出しない。したがって、ガイド面111を建築材料の一辺に押し当てることで、該一辺に対して長辺103が直角をなし、建築用定規5を直角定規として用いることができる。
【0114】
図17に示す状態では、突起部233が支持面101から突出する。この状態で建築材料の一辺に建築用定規のガイド面111を押し当てようとすると、
図16に示すように、建築材料の一辺(
図16では一点鎖線で示す)は、突起部233の端部と、ガイド面111のガイド部端111aに接する。したがって、建築用定規5を用いることで、建築材料に対し、建築材料の一辺に対して直角より微小角度だけ異なる角度の線を引く等の作業をすることができる。
【0115】
本実施の形態によれば、揺動部材230を揺動させるだけで角度の調整が可能であり、構造が簡素でありながら、任意の角度で建築材料を切断したり線を引いたりすることを効率的に行うことができる。また、第1のストッパー201、第2のストッパー202を用いなくてもよいため、第1のストッパー201、第2のストッパー202の保管や紛失を気にする必要がなく、使い勝手がよい。
【0116】
なお、本実施の形態では、揺動部材230に設けられた突起部233は略丸棒状であるが、揺動部材に設けられる突出部は角棒等の略棒状であってもよいし、略板状でもよい。また、本実施の形態では、突起部233は略丸棒状であり、孔125が丸穴であるが、突出部の形状に合わせて孔の形状を変えればよい。
【0117】
また、本実施の形態では、説明のため、ガイド部110と揺動部材230及び孔125とを離して図示しているが、揺動部材230及び孔125の位置はこれに限られない。例えば、ガイド部110と揺動部材230及び孔125とが隣接して設けられていてもよい。ガイド部110と揺動部材230との距離が近くなれば、建築用定規5に押し当てた建築材料の一辺とガイド面111とのなす角度を小さくなる。
【0118】
また、本実施の形態では、揺動部材230及び孔125がひとつずつ設けられているが、揺動部材230及び孔125が2つ以上設けられていてもよい。このとき、複数の揺動部材230及び孔125は、長辺104に沿って並んでいてもよいし、短辺105に沿って並んでいてもよいし、長辺104や短辺105に対して斜めに並んでいてもよい。
【0119】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述した各実施形態や変形例として説明した構成を適宜組み合わせた構成を採用することが可能である。
【0120】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。また本発明において「近傍」とは、例えばAの近傍であるときに、Aの近くであって、Aを含んでも含まなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0121】
1、2、3、4、5 :建築用定規
100 :基板
101 :支持面
102、105 :短辺
102a :切欠き部
103、104 :長辺
106 :裏面
110、110A :ガイド部
111 :ガイド面
111a :ガイド部端
111b :切り欠き
111c :溝部
111d :空間部
112 :面
121a :第1円柱状空間部
122a :第2円柱状空間部
123 :孔
124 :溝部
125 :孔
130、131a、131b:第3円柱状空間部
150 :テンプレート用空間部
201 :第1のストッパー
202 :第2のストッパー
201a、202a :軸部
201b、202b :抜け止め防止部
210、220 :回転部材
210a、220a、220b、220c、220d、220e:突起部
211、221 :軸
220f :面
230 :揺動部材
230a、230b :板状部
230c、230d :面
230e :凸部
231 :揺動軸
232 :軸
233 :突出部