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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】ガス器具
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/389 20190101AFI20220527BHJP
【FI】
G01R31/389
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018031439
(22)【出願日】2018-02-26
(65)【公開番号】P2019148425
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義生
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-307633(JP,A)
【文献】特開平10-110946(JP,A)
【文献】特開2005-253128(JP,A)
【文献】特開2016-080478(JP,A)
【文献】特開平6-281708(JP,A)
【文献】特開平9-159158(JP,A)
【文献】特開平10-253053(JP,A)
【文献】実開平7-12747(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36-31/396
H01M 10/48
H02J 7/00
F23N 5/24-5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を電源として動作する電気部品と、前記電池の出力電圧を測定する電圧測定部と、前記電圧測定部が測定した前記出力電圧が所定電圧以下の場合は、電池交換時期であることを報知する交換報知部とを備えたガス器具において、
固定抵抗と、
前記電池をセットした状態で、前記電気部品が動作していない軽負荷状態のときに、前記固定抵抗に電流を流すことが可能な抵抗変化制御部と、
前記電池の内部抵抗及び端子接触抵抗の影響の少ない前記軽負荷状態での前記電池の出力電圧である軽負荷時電池電圧と、前記抵抗変化制御部により前記固定抵抗に電流を流した状態で、前記電圧測定部に測定された固定抵抗負荷時電圧と、前記固定抵抗の抵抗値とに基づき、前記内部抵抗及び前記端子接触抵抗を含む前記電池の電池抵抗値を算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記電池抵抗値が第一所定抵抗値以上の場合に、前記電池交換時期が近付いている状態である第一電池交換時期であると判定する第一判定部と、
前記第一判定部が前記第一電池交換時期と判定した場合に、前記第一電池交換時期であることを報知する報知部と
前記算出部が算出した前記電池抵抗値が前記第一所定抵抗値未満の場合に、前記軽負荷状態で前記電圧測定部に測定された前記出力電圧が前記所定電圧よりも高い基準電圧以下か否かを判断する電圧判断部と
を備え、
前記算出部は、
前記電圧判断部が前記出力電圧は前記基準電圧以下と判断した場合に、前記電池抵抗値を所定時間毎に算出し、前記所定時間毎の前記電池抵抗値を記憶する記憶部を備え、
前記記憶部が記憶した前記所定時間毎の前記電池抵抗値の時間的変化において所定以上の増加が有った場合に、前記第一電池交換時期と判定する第二判定部を備えたことを特徴とするガス器具。
【請求項2】
前記電池抵抗値の前記時間的変化の増加が前記所定未満の場合であっても、前記記憶部が記憶した前記所定時間毎の前記電池抵抗値のうち前記算出部が最後に算出した前記電池抵抗値が、前記第一所定抵抗値よりも低い第二所定抵抗値以上の場合は、前記第一電池交換時期と判定する第三判定部を備えたこと
を特徴とする請求項に記載のガス器具。
【請求項3】
前記電池抵抗値の前記時間変化の情報である経時変化情報を記憶する経時変化情報記憶部と、
前記算出部が算出した前記電池抵抗値と、前記経時変化情報記憶部に記憶された前記経時変化情報とに基づき、前記電池の使用可能時間を予測する予測部と、
前記予測部が予測した前記使用可能時間を報知する時間報知部と
を備えたこと
を特徴とする請求項1又は2に記載のガス器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス器具に関する。
【背景技術】
【0002】
起動処理時に電池寿命の判定を行うことができる電池式ガスコンロが知られている(例えば、特許文献1参照)。このガスコンロは、電池を電源として動作するステッピングモータと、ステッピングモータの動作を制御するとともに電池を電源として動作する制御部とを備え、制御部は電池の出力電圧に基づいて電池寿命の判定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-9228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のガスコンロのように、電池で電気部品の動作を制御するガス器具において、電池には、内部抵抗と端子接触抵抗が存在する。電池の内部抵抗は、電池の劣化に応じて上昇する。端子接触抵抗は、経年変化等で、端子部に酸化被膜が出来たり、端子の変形で接触面積が小さくなったりすることで増加する。つまり、電池の経年変化等に応じて、内部抵抗と端子接触抵抗は上昇する。それ故、仮に電池が劣化している場合は、ガスバーナに点火していない軽負荷状態では電圧が正常範囲であっても、イグナイタによる点火等の負荷があったときに電圧が急激に低下し、マイコンの動作限界に近い電圧になったり、動作限界以下の電圧になった場合はガス器具を急に使用できなくなる可能性もあった。
【0005】
本発明の目的は、電池の内部抵抗及び端子接触抵抗を精度良くチェックでき、電池交換時期を適切なタイミングで報知できるガス器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のガス器具は、電池を電源として動作する電気部品と、前記電池の出力電圧を測定する電圧測定部と、前記電圧測定部が測定した前記出力電圧が所定電圧以下の場合は、電池交換時期であることを報知する交換報知部とを備えたガス器具において、固定抵抗と、前記電池をセットした状態で、前記電気部品が動作していない軽負荷状態のときに、前記固定抵抗に電流を流すことが可能な抵抗変化制御部と、前記電池の内部抵抗及び端子接触抵抗の影響の少ない前記軽負荷状態での前記電池の出力電圧である軽負荷時電池電圧と、前記抵抗変化制御部により前記固定抵抗に電流を流した状態で、前記電圧測定部に測定された固定抵抗負荷時電圧と、前記固定抵抗の抵抗値とに基づき、前記内部抵抗及び前記端子接触抵抗を含む前記電池の電池抵抗値を算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記電池抵抗値が第一所定抵抗値以上の場合に、前記電池交換時期が近付いている状態である第一電池交換時期であると判定する第一判定部と、前記第一判定部が前記第一電池交換時期と判定した場合に、前記第一電池交換時期であることを報知する報知部と、前記算出部が算出した前記電池抵抗値が前記第一所定抵抗値未満の場合に、前記軽負荷状態で前記電圧測定部に測定された前記出力電圧が前記所定電圧よりも高い基準電圧以下か否かを判断する電圧判断部とを備え、前記算出部は、前記電圧判断部が前記出力電圧は前記基準電圧以下と判断した場合に、前記電池抵抗値を所定時間毎に算出し、前記所定時間毎の前記電池抵抗値を記憶する記憶部を備え、前記記憶部が記憶した前記所定時間毎の前記電池抵抗値の時間的変化において所定以上の増加が有った場合に、前記第一電池交換時期と判定する第二判定部を備えたことを特徴とする。なお、「電気部品」とは、高電圧を印加する重負荷電気部品を意味し、例えば、イグナイタ、電磁弁、モータ等であり、回路基板や操作パネル等の低負荷の電気部品は除く。「軽負荷状態」とは、重負荷電気部品が駆動していない状態である。「第一電池交換時期」とは、例えば、電池交換時期を報知する前段階の状態で、電池交換時期より電池容量は残っているが、もう少しですぐに使えなくなる状態になる時期であって、「電池交換時期が近付いている状態」とするのがよい。
【0007】
【0008】
請求項のガス器具は、請求項に記載の発明の構成に加え、前記電池抵抗値の前記時間的変化の増加が前記所定未満の場合であっても、前記記憶部に記憶した前記所定時間毎の前記電池抵抗値のうち前記算出部が最後に算出した前記電池抵抗値が、前記第一所定抵抗値よりも低い第二所定抵抗値以上の場合は、前記第一電池交換時期と判定する第三判定部を備えるとよい。
【0009】
請求項のガス器具は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記電池抵抗値の前記時間変化の情報である経時変化情報を記憶する経時変化情報記憶部と、前記算出部が算出した前記電池抵抗値若しくは前記電圧値と、前記経時変化情報記憶部に記憶された前記経時変化情報とに基づき、前記電池の使用可能時間を予測する予測部と、前記予測部が予測した前記使用可能時間を報知する時間報知部とを備えるとよい。なお、「使用可能時間」とは、使用可能時間を他の時間単位(例えば日数)に換算したものも含む概念である。
【0010】
【発明の効果】
【0011】
請求項1のガス器具によれば、電池の内部抵抗と端子抵抗を含む電池抵抗値は、電池の経年変化等に応じて上昇する。これを踏まえ、ガス器具は、電池抵抗値が第一所定抵抗値以上の場合は、電池寿命が近付いていると判断し、第一電池交換時期と判定する。これにより、ガス器具は第一電池交換時期を適切に判定できる。本態様のガス器具は、固定抵抗を使用することで、雰囲気温度による影響や、負荷電流のバラツキを少なくできるので、電池の内部抵抗及び端子抵抗の変化を精度良くチェックできる。ガス器具はこれらを含む軽負荷状態での電池抵抗値に基づき、第一電池交換時期を適切に判断して報知するので、ユーザは電池を適切なタイミングで交換できる。また、電池の内部抵抗及び端子抵抗の変化を精度良くチェックできるので、最大負荷より少ない電流でも、電池の内部抵抗及び端子抵抗をチェックできる。即ち、無駄な電流を流さずに、電池の内部抵抗及び端子抵抗をチェックできる。
【0012】
えば新品の電池をセットした場合、端子の状態が良いことから電池抵抗値は小さい。その状態から経年変化等で、電池の内部抵抗や接触抵抗が増加し、電池抵抗値が第一所定抵抗値未満であっても、軽負荷状態での出力電圧が基準電圧以下の場合、劣化が急速に進む可能性がある。そのような場合、電池抵抗値を所定時間毎に算出して記憶し、その時間的変化に所定以上の増加があった場合は、電池交換時期が近付いているので、第一電池交換時期と判定する。これにより、ガス器具は、電池の急速な劣化にも対応できる。
【0013】
請求項のガス器具によれば、請求項に記載の発明の効果に加え、例えば電池セット時に、電池が既にある程度劣化していて、内部抵抗及び接触抵抗が大きい場合がある。そこで、電池抵抗値の時間的変化の増加が所定未満であっても、電池抵抗値が第二所定抵抗値以上の場合は、第一電池交換時期と判定する。これにより、ガス器具は、電池をセットして短期間で使用できなくなるのを防止できる。
【0014】
請求項のガス器具によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、電池の劣化状態に応じて、電池の使用可能時間を予測し、その予測した使用可能時間を報知するので、使用者は、電池交換時期がいつ位になるかを予測でき、前もって電池交換の準備ができる。
【0015】
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】コンロ1の斜視図である。
図2】コンロ1の電池抵抗を検出する為の回路図である。
図3】フラッシュメモリ44の概念図である。
図4】監視基準電圧V1、交換基準電圧V2、及び抵抗監視区間の説明図である。
図5】電池交換チェック処理のフローチャートである。
図6図5の続きを示すフローチャートである。
図7】使用可能時間表示処理のフローチャートである。
図8】抵抗経時変化情報を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載されている装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。
【0018】
図1を参照し、コンロ1の構造を説明する。コンロ1は、グリル付きテーブルコンロである。コンロ1は、筐体2と天板3を備える。筐体2は、上部が開口する略直方体状に形成されている。天板3は、筐体2の開口する上部にネジ(図示略)で固定されている。天板3の上面右側には、右コンロバーナ4が設けられ、上面左側には左コンロバーナ5が設けられている。右コンロバーナ4の中心部には、サーミスタ4Aが設けられ、左コンロバーナ5の中心部には、サーミスタ5Aが設けられている。サーミスタ4A,5Aは、調理鍋の鍋底に当接して押し下げられ、鍋底温度を検出する。図示しないが、右コンロバーナ4及び左コンロバーナ5の夫々の近傍には、点火する為のイグナイタが夫々設けられている。天板3の上面後端側には、グリル排気口7が設けられている。グリル排気口7は、筐体2内に設置されたグリル庫(図示略)内の燃焼によって生じた燃焼ガスを外部に排出する。
【0019】
筐体2の前面の中央部には、グリル庫用の開口部(図示略)が設けられている。開口部の内側には、グリル庫の前側に設けられたグリル開口(図示略)が配置されている。開口部には、グリル扉8が前方向に引き出し可能に設けられている。グリル扉8の前面下部には、前方に張り出した取手部8Aが設けられている。取手部8Aを手前側に引き出すと、グリル扉8の背面下部に連結した受皿と焼き網(図示略)を、グリル庫内から同時に取り出すことができる。
【0020】
筐体2の前面において、グリル扉8の右方には、操作スイッチ11,12が設けられている。グリル扉8の左方には、操作スイッチ13と電池ケース14が設けられている。操作スイッチ11は、グリル庫内に設けられたグリルバーナ(図示略)の点火/消火の操作を行う。操作スイッチ12は、右コンロバーナ4の点火/消火の操作を行う。操作スイッチ13は、左コンロバーナ5の点火/消火の操作を行う。電池ケース14は、操作スイッチ13の左隣に設けられ、コンロ1の電源として、例えば2つの乾電池を格納する。
【0021】
操作スイッチ11,12の上方には、操作パネル21が設けられている。操作パネル21の右側には、コンロタイマを設定する為のタイマ設定ボタン31、-キー32、+キー33、表示部34等が設けられている。タイマ設定ボタン31は、右コンロバーナ4及び左コンロバーナ5のうち何れか一方にタイマを設定する為に押下される。-キー32及び+キー33は、タイマ時間を変更する為に押下される。表示部34は、タイマ設定時にタイマ時間等を表示可能である。
【0022】
操作スイッチ13及び電池ケース14の上方には、操作パネル22が設けられている。操作パネル22の左側には、グリルタイマを設定する為のタイマ設定ボタン35、-キー36、+キー37、表示部38等が設けられている。タイマ設定ボタン35は、グリルバーナにタイマを設定する為に押下される。-キー36及び+キー37は、タイマ時間を変更する為に押下される。表示部38は、タイマ設定時にタイマ時間等を表示可能である。-キー36及び+キー37の下方には、発光部91,92が設けられている。発光部91は赤色に発光し、LEDを発光源とする。コンロ1は、発光部91を点灯させることによって、ユーザに電池交換を促す。発光部92は黄色に発光し、LEDを発光源とする。コンロ1は、発光部92を点灯させることによって、電池交換時期であることをユーザに注意喚起する。なお、図示しないが、コンロ1の前面側には、例えばタイマ時間の終了を報知する為のブザー音や、エラーを報知する為のアラーム音、調理メニュー設定時のガイド音声等を出力可能なスピーカが設けられている。
【0023】
電池抵抗について説明する。本実施形態のコンロ1は、電池ケース14に格納する2つの乾電池を電源とし、例えば上記のサーミスタ4A,5A、イグナイタ、表示部34,38等の電気部品を駆動できるガス器具である。一般的に、電池は+極と-極の電位差(電圧)によって回路に電流を流すものであるが、電流が大きくなると性能が低下する特性を有する。このような特性は、電池抵抗に起因する。電池抵抗とは、電池の「内部抵抗」と「端子接触抵抗」を合計した抵抗である。内部抵抗は、電池の劣化に応じて上昇する。端子接触抵抗は、経年変化等で端子部に酸化被膜が出来たり、端子部の変形で接触面積が小さくなったりすることで上昇する。よって、電池抵抗は、電池の経年変化等に応じて大きくなる。仮に乾電池が経年変化等で劣化した状態で、右コンロバーナ4を点火すると、イグナイタの作動によって電池の出力電圧が急激に低下し、コンロ1のマイコンの作動限界に近い、若しくはそれ以下の電圧になってしまう可能性がある。そこで、本実施形態のコンロ1では、乾電池の出力電圧の低下のみならず、電池抵抗の変化も併せてチェックすることによって、乾電池の交換時期を適切なタイミングで報知する。
【0024】
図2を参照し、乾電池60を電源とするコンロ1の電気回路を説明する。なお、電池ケース14には2つの乾電池が格納されているが、図2では説明の便宜上、一つの乾電池60で示し、簡略化した電気回路で説明する。図2に示す実線の矢印は電流の流れ、二点鎖線の矢印は信号の流れを示している。コンロ1は、制御部40、電気部品50、乾電池60、電圧測定部70、トランジスタ81、固定抵抗82等を備える。乾電池60の電池抵抗は、内部抵抗61、+極側の端子接触抵抗62、-極側の端子接触抵抗63を含むものと仮定する。
【0025】
制御部40は、CPU41、ROM42、RAM43、フラッシュメモリ44等を備えるマイコンである。CPU41は、コンロ1の動作を統括制御する。ROM42は、コンロ1を動作させる為の種々のプログラム等を記憶する。RAM43は、各種情報を一時的に記憶する。フラッシュメモリ44は不揮発性であり、後述する各種記憶領域(図3参照)を備える。制御部40は、乾電池60と電気的に接続し、乾電池60を電源として動作する。電気部品50は、上記のサーミスタ4A,5A、イグナイタ、表示部34,38等であり、コンロ1において電気で駆動する部品の総称である。例えば、操作スイッチ11~13の何れかが押下されてオンすると、コンロ1に設けられた電源回路(図示略)によって、乾電池60から供給される電力が、制御部40及び電気部品50等に夫々供給されるようになっている。電気部品50は、制御部40からの制御指令を受けて動作する。
【0026】
電圧測定部70は、乾電池60の+極側と-極側に夫々接続され、制御部40からの制御指令を受け、乾電池60の出力電圧を測定可能である。トランジスタ81のベースは、制御部40に接続され、エミッタは後述する固定抵抗82に接続され、コレクタは乾電池60のマイナス側に接続されている。固定抵抗82の一端は、トランジスタ81のエミッタに接続され、他端は乾電池60の+極側に接続されている。これにより、制御部40は、トランジスタ81に信号(電流)を出力することによって、固定抵抗82に電流を流すことができる。
【0027】
図3を参照し、フラッシュメモリ44の各種記憶領域を説明する。フラッシュメモリ44は、固定抵抗記憶領域441、電池電圧記憶領域442、電池抵抗値記憶領域443、抵抗経時変化情報記憶領域444等を備える。固定抵抗記憶領域441は、固定抵抗82の抵抗値(例えば5Ω)を予め記憶する。電池電圧記憶領域442は、乾電池60の内部抵抗61及び端子接触抵抗62,63を無視した電池電圧(例えば1.5V)を予め記憶する。電池抵抗値記憶領域443は、後述する電池交換チェック処理(図5参照)の中で算出した電池抵抗値を記憶する。抵抗経時変化情報記憶領域444は、抵抗経時変化情報を記憶する。抵抗経時変化情報とは、乾電池60の電池抵抗値の経時変化の情報であり、予め実験等によって求められる情報である。
【0028】
図4を参照し、コンロ1で設定する監視基準電圧Vと交換基準電圧Vを説明する。本実施形態では、後述する電池交換チェック処理(図5図6参照)において、電池交換時期を適切なタイミングでユーザに報知する為、乾電池60の出力電圧について、監視基準電圧Vと交換基準電圧Vを夫々設定する。監視基準電圧Vとは、乾電池60の出力電圧が低下し、乾電池60の電池抵抗の監視を開始するトリガとなる電圧である。交換基準電圧Vとは、監視基準電圧Vからさらに低下し、乾電池60の交換を報知するトリガとなる電圧である。監視基準電圧Vは、交換基準電圧Vよりも大きい値で設定する。監視基準電圧V~交換基準電圧Vまでの範囲が、電池抵抗値の監視範囲である。
【0029】
図5図6を参照し、電池交換チェック処理を説明する。電池ケース14に乾電池60がセットされると、制御部40のCPU41は、ROM42から「電池交換チェックプログラム」を読出し、本処理を実行する。
【0030】
CPU41は、初期設定を実行する(S1)。初期設定では、例えば、制御部40が備える図示しないタイマtを0にリセットしてスタートする。タイマtは、リセット時からの経過時間を計測する。CPU41は電圧測定部70により、乾電池60の出力電圧を測定する(S2)。CPU41は、測定した出力電圧が交換基準電圧V以上か否か判断する(S3)。出力電圧が交換基準電圧V未満であった場合(S3:NO)、乾電池60の出力電圧はかなり低下しており、このまま使用を続けるとコンロ1を動作できない可能性もあるので、CPU41は、ユーザに電池交換を促す為の報知(1)を行う(S6)。CPU41は、例えば赤色の発光部91を点灯させ、電池交換をユーザに知らせる。これと同時に、CPU41は、スピーカから「電池を交換して下さい。」等の音声メッセージを出力するとよい。視覚と音声の両方で報知することで、ユーザに電池交換を強く促すことができる。
【0031】
CPU41はさらに、電池電圧が作動可能電圧より小さいか否か判断する(S7)。電池電圧が作動可能電圧以上の場合(S7:NO)、S6に戻って引き続き赤色の発光部91を点灯させ、電池交換をユーザに知らせる。電池電圧が作動可能電圧より小さい場合(S7:YES)、CPU41は本処理を終了する。
【0032】
一方、出力電圧が交換基準電圧V以上であった場合(S3:YES)、CPU41は、コンロ1は軽負荷状態であるか否か判断する(S4)。軽負荷状態とは、高電圧を印加するイグナイタ、電磁弁、モータ等の重負荷電気部品が駆動していない状態である。これら各バーナの点火は、各バーナに設けられた熱電対によって検知可能である。何れかのバーナが点火して燃焼している場合、コンロ1は重負荷電気部品が駆動する負荷状態であるので(S4:NO)、CPU41はS2に戻って消火するまで待機する。
【0033】
コンロ1が軽負荷状態である場合(S4:YES)、CPU41は出力電圧が交換基準電圧V以上か否か判断する(S5)。出力電圧が交換基準電圧V未満である場合(S5:NO)、CPU41は上記と同様に、ユーザに電池交換を促す為の報知(1)を行う(S6)。これとは逆に、出力電圧が交換基準電圧V以上である場合(S5:YES)、乾電池60の出力電圧は、電池交換するレベルまで低下していない。そこで、CPU41は、乾電池60の電池抵抗値を確認する為、トランジスタ81のベースに電流を流すことによって、固定抵抗82に電流を流す(S8)。固定抵抗82に電流が流れている状態で、CPU41は、電圧測定部70により乾電池60の出力電圧を測定する(S9)。CPU41は、測定した出力電圧、固定抵抗82の抵抗値、軽負荷状態での電池電圧に基づき、乾電池60の電池抵抗値を算出する(S10)。
【0034】
電池抵抗値の算出方法を説明する。本実施形態では、2つの実施例(例1,2)で説明する。例1は、乾電池60セット時、乾電池60は新品で端子も状態が良く、内部抵抗61、及び端子接触抵抗62,63が小さい場合を想定する。例2は、乾電池60セット時、乾電池60は既にある程度劣化していて、内部抵抗61、及び端子接触抵抗62,63が大きい場合を想定する。なお、固定抵抗82の内部抵抗61、及び端子接触抵抗62,63を無視した抵抗値は5Ω、軽負荷状態での電池電圧は1.5Vとし、CPU41はこれらの情報をフラッシュメモリ44から読み出す。トランジスタ81によるドロップ電圧は0.1Vとする。
【0035】
-例1-
固定抵抗82に電流を流したときに測定した乾電池60の出力電圧が1.446V(固定抵抗負荷時電圧に相当)であった場合、トランジスタ81によるドロップ電圧は0.1Vであるので、固定抵抗82にかかる電圧は、1.446V-0.1V=1.346Vである。そして、固定抵抗は5Ωであるので、固定抵抗82に流れる電流は、1.346V/5Ω=0.2692Aである。さらに、軽負荷状態での電池電圧は1.5V(軽負荷時電圧に相当)であるので、トランジスタ81によるドロップ電圧を考慮すると、固定抵抗82の抵抗は、(1.5V-0.1V)/0.2692A=5.2Ωである。これに対し、固定抵抗82の内部抵抗61、及び端子接触抵抗62,63を無視した抵抗値は5Ωであることから、5.2Ω-5Ω=0.2Ωが、乾電池60の内部抵抗61と、端子接触抵抗62,63を合計した値、即ち電池抵抗値となる。
-例2-
固定抵抗82に電流を流したときに測定した乾電池60の出力電圧が1.267Vであった場合、トランジスタ81によるドロップ電圧は0.1Vであるので、固定抵抗82にかかる電圧は、1.267V-0.1V=1.167Vである。そして、固定抵抗は5Ωであるので、固定抵抗82に流れる電流は、1.167V/5Ω=0.2334Aである。さらに、軽負荷状態での電池電圧は1.5Vであるので、トランジスタ81によるドロップ電圧を考慮すると、固定抵抗82の抵抗は、(1.5V-0.1V)/0.2334A=6Ωである。これに対し、固定抵抗82の内部抵抗61、及び端子接触抵抗62,63を無視した抵抗値は5Ωであることから、6Ω-5Ω=1Ωが電池抵抗値となる。
【0036】
CPU41は、算出した電池抵抗値を、フラッシュメモリ44の電池抵抗値記憶領域443(図3参照)に記憶する(S11)。CPU41は、算出した電池抵抗値が抵抗値RS1以上か否か判断する(S12)。抵抗値RS1はフラッシュメモリ44に予め記憶し、自由に設定変更可能である。本実施形態の抵抗値RS1は例えば0.9Ωである。
【0037】
例えば、例2のように、セットされた乾電池60が既に劣化しており、算出した電池抵抗値が1Ωであった場合、抵抗値RS1以上であるので(S12:YES)、乾電池60の出力電圧が交換基準電圧V以上あっても、乾電池60を早めに交換するのが望ましい。そこで、CPU41は、赤色の発光部91ではなく、黄色の発光部92を点灯させる報知(2)を実行することにより(S13)、ユーザに対して電池交換時期であることを知らせることができる。これと同時に、CPU41は、スピーカから「電池交換時期です。」等の音声メッセージを出力するとよい。視覚と音声の両方で報知することで、ユーザに電池交換時期であることを注意喚起できる。そして、CPU41は出力電圧が交換基準電圧V以上か否か判断する(S14)。出力電圧が交換基準電圧V以上である場合(S14:YES)、CPU41はS13に戻って、引き続き黄色の発光部92を点灯させ、引き続きユーザに対して電池交換時期であることを知らせる。出力電圧が交換基準電圧V未満である場合(S14:NO)、CPU41は上記と同様に、ユーザに電池交換を促す為の報知(1)を行い(S6)、上記処理を繰り返す。
【0038】
一方、例1のように、セットされた乾電池60が新品であり、算出した電池抵抗値が0.2Ωであった場合、抵抗値RS1未満であるので(S12:NO)、現時点で乾電池60を交換する必要がない。CPU41はコンロ1が軽負荷状態であるか否か判断する(S15)。例えば、何れかのバーナが点火して燃焼している場合、コンロ1は負荷状態であるので(S15:NO)、CPU41はその状態で、出力電圧が交換基準電圧V以上か否か判断する(S16)。出力電圧が交換基準電圧V以上である場合(S16:YES)、CPU41はS15に戻って処理を繰り返す。
【0039】
出力電圧が交換基準電圧V未満である場合(S16:NO)、乾電池60の出力電圧はかなり低下しているので、CPU41は、ユーザに電池交換を促す為の報知(1)を行う(S17)。CPU41は、例えば赤色の発光部91を点灯させ、電池交換をユーザに知らせる。これと同時に、CPU41は、スピーカから「電池を交換して下さい。」等の音声メッセージを出力するとよい。CPU41は、電池電圧が作動可能電圧より小さいか否か判断する(S18)。電池電圧が作動可能電圧以上の場合(S18:NO)、S17に戻って引き続き赤色の発光部91を点灯させ、電池交換をユーザに知らせる。電池電圧が作動可能電圧より小さい場合(S18:YES)、CPU41は本処理を終了する。
【0040】
また、出力電圧が交換基準電圧V以上で、コンロ1が軽負荷状態になった場合(S15:YES)、CPU41は出力電圧が監視基準電圧V以上か否か判断する(S19)。出力電圧が監視基準電圧V以上である場合(S19:YES)、CPU41はS15に戻り処理を繰り返す。出力電圧が監視基準電圧V未満に低下した場合(S19:NO)、乾電池60の出力電圧は徐々に低下してきているので、CPU41は乾電池60の電池抵抗を監視する為、タイマtの値に基づき、リセット時から24時間経過したか否か判断する(S20)。リセット時から24時間経過していない場合(S20:NO)、CPU41はS15に戻り処理を繰り返す。
【0041】
リセット時から24時間経過した場合(S20:YES)、図6に示すように、CPU41はタイマtを0にリセットしてから再度スタートし(S21)、固定抵抗82に電流を流す(S22)。固定抵抗82に電流が流れている状態で、CPU41は、電圧測定部70により乾電池60の出力電圧を測定する(S23)。CPU41は、測定した出力電圧、固定抵抗82の抵抗値、軽負荷状態での電池電圧に基づき、乾電池60の電池抵抗値を算出する(S24)。なお、電池抵抗値の算出方法は上記方法と同じである。
【0042】
CPU41は、算出した電池抵抗値を、フラッシュメモリ44の電池抵抗値記憶領域443(図3参照)に記憶する(S25)。CPU41は、乾電池60の電池抵抗値の時間変化を確認する為、前回算出した電池抵抗値をフラッシュメモリ44の電池抵抗値記憶領域443から読み出す(S26)。CPU41は、前回算出した電池抵抗値と、今回算出した電池抵抗値の差分を算出し、算出した差分が閾値以上か否か判断する(S27)。閾値はフラッシュメモリ44に予め記憶し、自由に設定変更可能である。
【0043】
算出した差分が閾値未満であった場合(S27:NO)、乾電池60の電池抵抗はそれほど増加していないので、CPU41は、今回の電池抵抗値は抵抗値RS2以上か否か判断する(S28)。なお、抵抗値RS2は、抵抗値RS1より小さい値にするとよい。算出した電池抵抗値が抵抗値RS2未満であった場合(S28:NO)、現時点で乾電池60を交換する必要がない。よって、CPU41は、図5のS15に戻って処理を繰り返す。これとは逆に、算出した電池抵抗値が抵抗値RS2以上であった場合(S28:YES)、セットした乾電池60がある程度劣化した状態であるから、乾電池60を新しいものと早めに交換するのが望ましい。そこで、CPU41は、黄色の発光部92を点灯させる報知(2)を実行することにより(S29)、ユーザに対して電池交換時期であることを知らせることができる。これと同時に、CPU41は、スピーカから「電池交換時期です。」等の音声メッセージを出力するとよい。視覚と音声の両方で報知することで、ユーザに電池交換時期であることを注意喚起できる。CPU41は、図5のS14に戻り、処理を繰り返す。
【0044】
一方、算出した差分が閾値以上であった場合(S27:YES)、乾電池60の電池抵抗は前日から大きく増加しているので、乾電池60を早めに交換するのが望ましい。そこで、CPU41は上記と同様に、黄色の発光部92を点灯させる報知(2)を実行することにより(S29)、ユーザに対して電池交換時期であることを知らせることができる。CPU41は、図5のS14に戻り、処理を繰り返す。
【0045】
図7を参照し、使用可能日数表示処理を説明する。電池ケース14にセットされている乾電池60の現時点での使用可能日数を知りたい場合、ユーザは、例えばタイマ設定ボタン35を3秒以上長押しすればよい。CPU41は、タイマ設定ボタン35の3秒以上の長押しを検出した場合、ROM42から「使用可能日数表示プログラム」を読出し、本処理を実行する。
【0046】
CPU41は、コンロ1は軽負荷状態であるか否か判断する(S41)。例えば、何れかのバーナが点火して燃焼している場合、コンロ1は負荷状態であるので(S41:NO)、CPU41はS41に戻って消火するまで待機する。コンロ1が軽負荷状態になった場合(S41:YES)、CPU41は固定抵抗82に電流を流す(S42)。固定抵抗82に電流が流れている状態で、CPU41は、電圧測定部70により乾電池60の出力電圧を測定する(S43)。CPU41は、測定した出力電圧、固定抵抗82の抵抗値、軽負荷状態での電池電圧に基づき、乾電池60の電池抵抗値を算出する(S44)。なお、電池抵抗値の算出方法は上記方法と同じである。
【0047】
CPU41は算出した電池抵抗値と、フラッシュメモリ44の抵抗経時変化情報記憶領域444に記憶された抵抗経時変化情報とに基づき、使用可能時間を算出する(S45)。抵抗経時変化情報とは、上記の通り、乾電池60の電池抵抗値の経時変化の情報であり、予め実験等によって求められる情報である。図8は、抵抗経時間変化情報を示したグラフである。例えば、乾電池60の使用できる限界抵抗値を0.7Ωとした場合、使用できる限界時間は230時間である。限界抵抗値及び限界時間は、フラッシュメモリ44に予め記憶し、自由に設定変更可能である。
【0048】
例えば、S44で算出した電池抵抗値が0.5Ωであった場合、抵抗経時変化情報に基づき、乾電池60の経過時間は195時間に相当する。上記の通り、乾電池60の使用できる限界時間は230時間であるので、現時点から使用できる乾電池60の使用可能時間は、230-195=35時間となる。CPU41は、使用可能時間を日単位に換算すると1.5日となるので、例えば四捨五入して表示部38に「2」と表示する(S46)。なお、表示部38に表示する時間は数秒でもよいが、例えばタイマ設定ボタン35を押下する間だけ表示するようにしてもよい。表示部38を確認したユーザは、現在セットされている乾電池60の使用可能日数は2日と分かるので、電池交換時期を具体的に知ることができる。なお、例えば使用可能日数が1.2日の場合は、四捨五入して表示部38に「1」と表示すればよい。
【0049】
上記説明において、図5の電池交換チェック処理のS8を実行するCPU41が本発明の「抵抗変化制御部」の一例である。S10の処理を実行するCPU41が本発明の「算出部」の一例である。S12の処理を実行するCPU41が本発明の「第一判定部」の一例である。S13の処理を実行するCPU41が本発明の「報知部」の一例である。抵抗値RS1が本発明の「第一所定抵抗値」の一例である。抵抗値RS2が本発明の「第二所定抵抗値」の一例である。監視基準電圧Vが本発明の「基準電圧」の一例である。図6の電池抵抗監視処理のS19の処理を実行するCPU41が本発明の「電圧判断部」の一例である。S20,S21~S25の処理を実行するCPU41が本発明の「記憶部」の一例である。S26~S27:YESの処理を実行するCPU41が本発明の「第二判定部」の一例である。S27:NO、S28の処理を実行するCPU41が本発明の「第三判定部」の一例である。フラッシュメモリ44の抵抗経時変化情報記憶領域444が本発明の「経時変化情報記憶部」の一例である。図7の使用可能日数表示処理のS45の処理を実行するCPU41が本発明の「予測部」の一例であり、S46の処理を実行するCPU41が本発明の「時間報知部」の一例である。
【0050】
以上説明したように、本実施形態のコンロ1は、乾電池60を電源として動作するイグナイタ等の電気部品50を備えたガス器具である。コンロ1は、固定抵抗82と電圧測定部70を備える。コンロ1の制御部40のCPU41は、乾電池60をセットした状態で、電気部品50が動作していない軽負荷状態のときに、固定抵抗82に電流を流す。乾電池60の内部抵抗61及び端子接触抵抗62,63を無視した電池電圧と、固定抵抗82に電流を流した状態で、電圧測定部70に測定された乾電池60の出力電圧と、固定抵抗の抵抗値とに基づき、内部抵抗61及び端子接触抵抗62,63を合計した乾電池60の電池抵抗値を算出する。CPU41は、算出した電池抵抗値が抵抗値RS1以上か否か判断する。電池抵抗値が抵抗値RS1以上の場合、CPU41は黄色の発光部92を点灯し、電池交換時期であることを報知する。
【0051】
このように、コンロ1は固定抵抗82を使用することで、雰囲気温度による影響や、負荷電流のバラツキを少なくできるので、乾電池60の内部抵抗61及び端子接触抵抗62,63の変化を精度良くチェックできる。そして、コンロ1は、これらを合わせた電池抵抗値に基づき、電池交換時期を適切に判断して報知するので、ユーザは乾電池60を適切なタイミングで交換できる。また、乾電池60の内部抵抗61及端子接触抵抗62,63の変化を精度良くチェックできるので、最大負荷より少ない電流でも、乾電池60の内部抵抗61及び端子接触抵抗62,63をチェックできる。即ち、無駄な電流を流さずに、乾電池60の内部抵抗61及び端子接触抵抗62,63をチェックできる。
【0052】
上記実施形態のCPU41は、算出した電池抵抗値が抵抗値RS1未満の場合に、軽負荷状態で電圧測定部70によって測定された出力電圧が監視基準電圧V以下か否かを判断する。出力電圧が監視基準電圧V以下の場合、CPU41は、乾電池60の電池抵抗値を24時間ごとに算出する。CPU41は算出した電池抵抗値をフラッシュメモリ44に記憶する。CPU41は、フラッシュメモリ44に記憶した電池抵抗値の時間的変化において、所定以上の増加が有った場合、電池交換時期と判定し、黄色の発光部92を点灯させることにより、ユーザに対して、乾電池60の交換時期であることを報知する。これにより、コンロ1は、電池交換時期を適切に判定して報知できる。
【0053】
上記実施形態のCPU41は、電池抵抗値の時間的変化の増加が所定未満の場合であっても、算出した電池抵抗値が抵抗値RS2以上の場合は、電池交換時期と判定する。これにより、コンロ1は、乾電池60をセットして短期間で使用できなくなるのを防止できる。
【0054】
上記実施形態のフラッシュメモリ44は、抵抗経時変化情報を記憶する。抵抗経時変化情報とは、乾電池60の電池抵抗値の経時変化の情報である。CPU41は、算出した乾電池60の電池抵抗値と、フラッシュメモリ44に記憶された抵抗経時変化情報とに基づき、乾電池60の使用可能時間を算出し、算出した使用可能時間を表示部38に表示して報知する。これにより、ユーザは、電池交換時期がいつ位になるかを予測でき、前もって乾電池60の交換準備ができる。
【0055】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。本実施形態は、ガス器具の一例としてガスコンロを説明したが、電池駆動式のガス器具であれば、コンロに限定されず、例えば、炊飯器や、湯沸し器等にも適用可能である。このようなガス器具においても、上記実施形態と同様に、乾電池の電圧低下、並びに電池抵抗値の上昇を検出し、LEDを点灯させることによってユーザに注意喚起してもよい。また、本実施形態のコンロ1は、テーブルコンロであるが、ビルトインコンロであってもよい。コンロバーナの数についても限定されず、グリル庫は省略してもよい。グリル庫のみを備えたガス調理器具であってもよい。
【0056】
上記実施形態では、電池ケース14にセットされる乾電池60の個数は二個に限定されない。
【0057】
電池交換時期を報知する方法について、上記実施形態では、発光部91,92を使い分けることによって、電池交換を強く促す場合と、電池交換時期であることを注意喚起する場合とに区別しているが、これらを区別せずに一つの発光部で報知してもよい。
【0058】
上記実施形態の使用可能日数表示処理では、表示部38に使用可能日数を表示したが、使用可能時間を表示するようにしてもよい。また、例えば、使用可能日数が残り一日になるまでは使用可能日数を表示し、残り一日をきった場合は使用可能時間を表示するようにしてもよい。
【0059】
上記実施形態の電池交換チェック処理では、24時間(一回/日)ごとに電池抵抗値を算出し、セット時から所定の増大があるか監視しているが、監視頻度はこれより多くても少なくてもよい。また、電池抵抗値のセット時からの経時変化の傾きを監視し、所定以上の傾きになった場合に、報知するようにしてもよい。
【0060】
上記実施形態の電池抵抗監視処理は、乾電池60の電池抵抗値を、軽負荷時電池電圧と、固定抵抗負荷時電圧と、固定抵抗の抵抗値とに基づき算出するが、電池抵抗値を算出する代わりに、固定抵抗負荷時電圧を代用して監視することで、電池抵抗値を間接的に監視してもよい。そこで、例えば、固定抵抗負荷時電圧が判定基準電圧以下の場合は、電池寿命が近付いていると判断し、電池交換時期と判定するとよい。この方法によっても、コンロ1は電池交換時期を適切に判定できる。
【符号の説明】
【0061】
1 コンロ
41 CPU
44 フラッシュメモリ
50 電気部品
60 乾電池
61 内部抵抗
62,63 端子接触抵抗
70 電圧測定部
82 固定抵抗
抵抗値
監視基準電圧
交換基準電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8