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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】弾球遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220527BHJP
【FI】
A63F7/02 301C
A63F7/02 333Z
A63F7/02 326Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018043419
(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公開番号】P2019154660
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(72)【発明者】
【氏名】巽 正吾
【審査官】橘 皇徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-083080(JP,A)
【文献】特開2009-285468(JP,A)
【文献】特開2015-084789(JP,A)
【文献】特開2003-010505(JP,A)
【文献】特開2013-106943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を持球として貸し出す球貸しのレートを複数のレートから選択する入力を受け付け、該選択されたレートに基づき前記球貸しにおける前記貸球数を定めるカードユニットに接続された枠制御基板と、遊技の進行を制御する主制御基板とを備え、内部に封入された複数の遊技球を循環させて使用することで遊技を行う弾球遊技機であって、
前記枠制御基板には、前記カードユニットから前記球貸しにより遊技者に提供される遊技球の数である貸球数を取得して該貸球数を持球数に加算し、発射装置により遊技球が発射される毎に前記持球数を減算し、入球(入賞)に応じた賞球数を前記持球数に加算する持球数演算手段と、
遊技者により操作される計数手段の操作に応じて前記持球数を前記カードユニットに移動させ、移動させたことにより前記持球数が零になったことを条件の1つとして前記レートの変更を許可する許可信号を前記カードユニットに出力するレート許可信号出力手段と、
前記主制御基板には、遊技球の入球に起因して当否抽選を行うための確率を複数の中から1の確率値に設定する確率設定手段と、
該確率設定手段により確率値が変更された場合には、当該変更された確率値を示すデータ(信号)を前記枠制御基板に出力する確率データ出力手段と、
を備え、前記枠制御基板に記憶された前記確率値を示すデータを前記カードユニットに出力するが、前記レート許可信号出力手段は前記許可信号を出力する条件に前記確率設定手段による確率値の変更を含まない、ことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の弾球遊技機において、
前記枠制御基板の記憶領域(RAM)を前記持球数が記憶される持球数記憶領域と、前記持球数以外のデータが記憶される他記憶領域とに分離し、
前記枠制御基板又は前記主制御基板に設けた持球数クリア手段を操作することにより前記持球数記憶領域に記憶されたデータをクリアし、
前記枠制御基板又は前記主制御基板に設けたデータクリア手段を操作することにより前記他記憶領域に記憶されたデータをクリアし、
前記確率データ出力手段により出力される確率を示すデータを、前記持球数記憶領域に記憶する、ことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項3】
請求項1に記載の弾球遊技機において、
前記枠制御基板の記憶領域(RAM)を前記持球数が記憶される持球数記憶領域と、前記持球数以外のデータが記憶される他記憶領域とに分離し、
前記枠制御基板又は前記主制御基板に接続された持球数クリア手段を操作することにより前記持球数記憶領域に記憶されたデータをクリアし、
前記枠制御基板又は前記主制御基板に接続されたデータクリア手段を操作することにより前記他記憶領域に記憶されたデータをクリアし、
前記確率データ出力手段により出力される確率データを、前記他記憶領域に記憶する、ことを特徴とする弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に封入された複数の遊技球を循環させて使用することで遊技を行う弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機に併設され、ICカード等を用いて遊技者に球貸しを行う台間カード処理機が知られている。特許文献1に記載された台間カード処理機は、封入式遊技機に併設され、遊技者からの操作に応じて球貸しを行う際のレートを変更する。なお、レートとは、球貸しにおいて遊技者に提供される遊技球の単価という意味を含む。また、レートが変更された際には、台間カード処理機は、併設された封入式遊技機に対し、変更後のレートに応じて遊技性能の変更を指示する。ここで、特許文献1では、遊技性能の具体例として、大当り確率や、大当り後に確変や時短に移行する確率や、長時間にわたって行われる演出が行われる確率等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-106943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の発明は、遊技者又はホール関係者が前記球貸レートを変更することができる優れた効果を有する。
しかしながら、球貸レートと大当り確率とは一対一の関係にあるので(段落0115~0122、図6及び図7)、球貸レートを決定すれば対応する大当り確率が自動的に決定されてしまうという課題が考えられた。
この結果、球貸レートを遊技者が決定すれば対応する大当り確率で遊技を行わざるを得ない課題、球貸レートをホールの関係者が決定すれば大当り確率が判別される虞があるという課題、が考えられた。
本願発明は該課題に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題に鑑みてなされた請求項1に記載の弾球遊技機は、
遊技球を持球として貸し出す球貸しのレートを複数のレートから選択する入力を受け付け、該選択されたレートに基づき前記球貸しにおける前記貸球数を定めるカードユニットに接続された枠制御基板と、遊技の進行を制御する主制御基板とを備え、内部に封入された複数の遊技球を循環させて使用することで遊技を行う弾球遊技機であって、
前記枠制御基板には、前記カードユニットから前記球貸しにより遊技者に提供される遊技球の数である貸球数を取得して該貸球数を持球数に加算し、発射装置により遊技球が発射される毎に前記持球数を減算し、入球(入賞)に応じた賞球数を前記持球数に加算する持球数演算手段と、
遊技者により操作される計数手段の操作に応じて前記持球数を前記カードユニットに移動させ、移動させたことにより前記持球数が零になったことを条件の1つとして前記レートの変更を許可する許可信号を前記カードユニットに出力するレート許可信号出力手段と、
前記主制御基板には、遊技球の入球に起因して当否抽選を行うための確率を複数の中から1の確率値に設定する確率設定手段と、
該確率設定手段により確率値が変更された場合には、当該変更された確率値を示すデータ(信号)を前記枠制御基板に出力する確率データ出力手段と、
を備え、前記枠制御基板に記憶された前記確率値を示すデータを前記カードユニットに出力するが、前記レート許可信号出力手段は前記許可信号を出力する条件に前記確率設定手段による確率値の変更を含まない、ことを特徴とする。
【0006】
このような構成によれば、主制御基板の確率設定手段により設定される当否抽選の確率値(当否確率)は、カードユニットにおいて選択されたレートとは関係しない。
これにより、パチンコホールは、同一機種の弾球遊技機であっても同じレートで異なる当否確率の遊技機を、同じ当否確率であっても異なるレートの遊技機を提供することができる。
レートを遊技者が選択できる場合には、遊技者は低いレートを選択して遊技を行い、遊技の結果により当否確率を予想して高いレートに変更することが可能となる。逆に高いレートを選択し、その後に低いレートに変更して遊技を長時間楽しむことも可能となる。尚、当否確率の設定は、ホール関係者が行うのが一般的である。
また、本願発明では、設定される当否抽選の確率値は選択されたレートとは関係しない。このため、設定された当否確率に応じてレートの選択幅が変更しないので、設定された当否確率が選択されたレートから判別されることがない効果も有する。
【0007】
更に、本願発明では、主制御基板の確率設定手段により確率値が変更された場合には、当該変更された確率値を示すデータ(信号)(以下、単に「確率データ」と呼ぶこともある。)を確率データ出力手段が枠制御基板に主力する。
これにより、カードユニット又は枠制御基板に接続されたホールコンピュータ等の外部装置は、カードユニットで使用された金額、遊技終了後にカードユニットに転送された持球数を示すデータ、レート及び確率データに基づき売上を算出できる。確率データを用いることができるので、売上に対する確率の影響をデータ分析することが可能となる効果を有する。
【0008】
ここで、持球数演算手段が行う「発射装置により遊技球が発射される毎に持球数を減算し」とは、遊技球の発射に関係して持球数を減算すれば良く、発射前に減算しても良く、発射後に減算しても良い。発射前に減算する構成では、発射台に送られる通路内にセンサを備え該通路内を通過することに起因して減算する構成、発射台に位置した遊技球を検出するセンサを備え発射台に遊技球が位置することに起因して減算する構成、が考えられる。発射前に減算する構成では、遊技球が発射台に位置すれば必ず発射する構成が好適だが、これに限定されない。発射後に減算する構成では、発射装置の駆動を起因として減算する構成、発射装置から遊技盤面に至る通路内にセンサを備え通過することに起因して減算する構成が考えられる。尚、所謂「戻り球」が有る構成では、戻り球が検出される毎に加算処理を行っても良い。
【0009】
レート許可信号出力手段は、遊技者により操作される計数手段の操作に応じて持球数をカードユニットに移動させ、移動させたことにより持球数が零になったことを条件の1つとしてレートの変更を許可する許可信号をカードユニットに出力する手段であれば良い。これは、遊技球を発射することができる持球数が存在する場合に、レート変更を可能とすれば、球貸しされたときの単価と相違することになることを防止するためである。この条件以外に、大当り遊技中でない、高確率遊技中でない、時短遊技中でない、保留記憶が存在しない、当否結果を報知するための図柄(特別図柄、普通図柄又は演出図柄)の変動中でない、又は最後に発射された遊技球が遊技盤面を流下する時間経過後であることを条件に追加しても良い。要は、レート変更前の遊技が終了していることを条件として追加するのである。これは、レート変更前の遊技により得た大当りや高確率状態等の遊技結果(成果)の価値を変化させないためである。例えば、低いレートで遊技を行い大当りが発生後にレートを高くすれば、大当りにより得られる金銭的価値が高く変化する。
計数手段の操作に応じて持球数をカードユニットに移動させるとは、枠制御基板に記憶しているデータとしての持球数を、計数手段の操作に応じて減じ、減じた分の持球数をカードユニットが記憶するデータに加算することを意味する。
【0010】
確率データ出力手段は、確率設定手段により確率値が変更された場合に変更された確率データを枠制御基板に出力する構成であれば良く、変更されなくとも同じ確率値を再度設定した場合にも出力しても良い。また、電源投入毎に記憶している確率データを出力しても良い。電源投入時に、チェックサムやパリティチェック等による誤り検出によりRAMに記憶しているデータが変化していると判断された場合には、最低確率値等の予め定められた確率データを送信する構成でも良い。但し、確率設定手段がデイップスイッチ等のスイッチの位置により確率値を設定する構成の場合は、スイッチの位置が示す確率を示すデータを送信すれば良い。この構成の場合には、確率値が変更された場合だけでなく、電源投入時毎に送信する構成とすれば、枠制御基板に記憶される確率データは電源投入毎に最新の値に更新されることになる。
【0011】
請求項2に記載の弾球遊技機は、請求項1に記載の弾球遊技機において、
前記枠制御基板の記憶領域(RAM)を前記持球数が記憶される持球数記憶領域と、前記持球数以外のデータが記憶される他記憶領域とに分離し、
前記枠制御基板又は前記主制御基板に設けた持球数クリア手段を操作することにより前記持球数記憶領域に記憶されたデータをクリアし、
前記枠制御基板又は前記主制御基板に設けたデータクリア手段を操作することにより前記他記憶領域に記憶されたデータをクリアし、
前記確率データ出力手段により出力される確率を示すデータを、前記持球数記憶領域に記憶する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、変更された確率値を示すデータは枠制御基板の持球数記憶領域に記憶される。これにより、持球数クリア手段を操作しない限り記憶された確率データはクリアされない。確率データが持球数記憶領域に記憶されるので、持球数と確率データとの対応が明確となる。
持球数クリア手段を枠制御基板に設けた場合、枠制御基板と主制御基板とを双方向通信可能とし、持球数クリア手段を操作した後に主制御基板に設定された当否確率データの送信要求する構成が考えられる。
持球数クリア手段を主制御基板に設けた場合、持球数クリア信号を主制御基板に送信した後、当否確率データを主制御基板が送信すれば良い。持球数クリア手段を主制御基板に設ける構成は、主制御基板から枠制御基板にのみ送信できる一方向通信の構成に寄与できる。
【0013】
ここで、「持球数クリア手段」又は「データクリア手段」の「枠制御基板又は前記主制御基板に設けた」とは、枠制御基板又は主制御基板に設置する場合の他、枠制御基板又は主制御基板にスイッチ類からの信号が入力される構成も含む概念である。即ち、スイッチ類が枠制御基板又は主制御基板に直接設置されなくとも良い。
【0014】
他記憶領域とは、持球数以外のデータが記憶される記憶領域であり、主制御基板から送信される大当り情報等の遊技状態を示す情報や、枠制御基板で検出されるエラー情報等が記憶される。
請求項2に記載の発明では、確率データは例外的に持球数記憶領域に記憶される。
【0015】
請求項3に記載の弾球遊技機は、請求項1に記載の弾球遊技機において、
前記枠制御基板の記憶領域(RAM)を前記持球数が記憶される持球数記憶領域と、前記持球数以外のデータが記憶される他記憶領域とに分離し、
前記枠制御基板又は前記主制御基板に接続された持球数クリア手段を操作することにより前記持球数記憶領域に記憶されたデータをクリアし、
前記枠制御基板又は前記主制御基板に接続されたデータクリア手段を操作することにより前記他記憶領域に記憶されたデータをクリアし、
前記確率データ出力手段により出力される確率データを、前記他記憶領域に記憶する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、変更された確率値を示すデータは枠制御基板の持球数記憶領域以外の他記憶領域に記憶される。これにより、データクリア手段を操作しない限り記憶された確率データはクリアされない。持球数をクリアしても確率データはクリアされない。
データクリア手段を枠制御基板に設けた場合、枠制御基板と主制御基板とを双方向通信可能とし、データクリア手段を操作した後に主制御基板に設定された確率データの送信要求する構成が考えられる。
データクリア手段を主制御基板に設けた場合、データクリア信号を主制御基板に送信した後、確率データを主制御基板から送信すれば良い。データクリア手段を主制御基板に設ける構成は、主制御基板から枠制御基板にのみ送信できる一方向通信の構成に寄与できる。
【0017】
なお、データクリア手段を操作した場合、主制御基板のRAMに記憶されたデータもクリアされる構成が好ましい。
枠制御基板の持球数記憶領域及び他記憶領域を構成するRAMを不揮発性のRAMとし、主制御基板のRAMは揮発性のRAMとする構成が考えられる。 主制御基板のRAMを揮発性のRAMとする構成では、主制御基板のRAMに記憶されたデータを停電時に記憶保持するバックアップ電源は、主制御基板に搭載せず、枠制御基板、電源基板又は中継基板等の他の基板に搭載することが好ましい。これにより、所謂「面替え」作業により主制御基板等を搭載した盤面のみを、枠制御基板を搭載した枠側に取り付ける場合、遊技者に有利な内容を記憶させたデータは消滅しているので不正防止を図ることが可能となる。
但し、主制御基板のRAMも不揮発性とし、「面替え」作業時には、主制御基板のRAMに記憶されたデータを自動的にクリアする構成、又は手動でクリアしなければ遊技できない構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態におけるパチンコ機の正面図である。
図2】本実施形態におけるパチンコ機の裏面図である。
図3】本実施形態におけるパチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態におけるレート変更時の枠制御装置81及びカードユニット46が行う処理を示すフローチャートである。
図5】球貸しのレートを設定する際に表示される画面の説明図である。
図6】現在のレートに応じた演出の具体例である。
図7】本実施形態におけるレート変更時の信号の流を示す模式図である。
図8】本実施形態におけるメインルーチンについてのフローチャートである。
図9】本実施形態における始動入賞確認処理についてのフローチャートである。
図10】本実施形態における先読み判定処理についてのフローチャートである。
図11】本実施形態における当否判定処理についてのフローチャートである。
図12】本実施形態における当否判定処理についてのフローチャートである。
図13】本実施形態における当否判定処理についてのフローチャートである。
図14】本実施形態における当否判定処理についてのフローチャートである。
図15】本実施形態における大当り遊技処理についてのフローチャートである。
図16】本実施形態における大当り遊技処理についてのフローチャートである。
図17】本実施形態における大当り遊技処理についてのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
[構成の説明]
(1)全体の構成について
パチンコ機1は、図1に示すように、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51によって構成の各部を保持する構造である。外枠51には、その左側上下に設けられたヒンジを介して、内枠70(図2参照)が該外枠51に対して開閉可能に取り付けられている。また、内枠70の前面には、前枠(ガラス枠)52が該内枠70に対して開放可能に取り付けられおり、前枠52には、図示しない板ガラスが脱着可能に設けられている。さらに、この板ガラスの奥側(後側)には、内枠70に取り付けられた遊技盤2が配設されている。
【0020】
前枠52には、その上部左右に、スピーカ66が配設されており、該スピーカ66から発せられる遊技音や警報音によって、遊技の趣向性を向上させたり、遊技者に注意喚起したりする。また、前枠52には、遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65が複数配設されており、該発光によって遊技の趣向性を向上させる。さらに、前枠52の下部中央部分には、表示装置47が設けられている。そして、この表示装置47の右方に、発射ハンドル64が配設されている。この発射ハンドル64は、遊技者によって時計回りに回動操作されることで、発射装置31を可動させて、遊技球を遊技盤2の遊技領域3に向かって発射する。一方、表示装置47は、タッチパネル式のLCD画面を備え、LCD画面を介して操作を受け付けることができ、LCD画面を介して、後述する球貸しや球貸しのレートの変更が行われる。なお、球貸しとは、遊技球を持球として遊技者に提供する(換言すれば、貸し出す)ことを意味する。
【0021】
また、前枠52における表示装置47の直上部位には、遊技者が遊技に用いることができる遊技球である持球の数(以後、持球数)を表示する持球数表示装置61と、枠制御装置81に記憶されている持球数を示す情報等を示す持球数情報を、カードユニット46に挿入されているICカードに保存するための計数スイッチ62とが配設されている。さらに、計数スイッチ62の左方に、遊技者が操作可能な演出ボタン63が配設されている。
【0022】
本実施形態のパチンコ機1は、所謂封入式遊技機であり、ICカードの読み書きなどを行うカードユニット(CRユニット)46が併設されている。カードユニット46には、ICカードの挿入および取り出し可能なカード挿入口49と、紙幣を挿入可能な紙幣挿入口48とを備える。カードユニット46は、カード挿入口49に挿入されたICカードに記憶されたクレジット残高により球貸しを行う。なお、クレジット残高とは、球貸しを行うために遊技者が提供した金銭の残高を意味する。また、カードユニット46は、紙幣挿入口48に挿入された紙幣の金額を、該ICカードのクレジット残高に加算する。
【0023】
また、パチンコ機(封入式遊技機)1は、管理遊技機として構成されており、カードユニット46を介してホールコンピュータに接続されていると共に、ホールコンピュータは、広域ネットワークを介して外部に設けられたサーバである情報管理センタ(図示せず)に接続されている。これにより、各パチンコ機1は、夫々の認証情報に基づいて、メーカーからの出荷情報、設置された遊技店の情報、遊技店間での移動情報、廃棄情報等が管理され、不正な使用や不正な改造などを防ぐ高いセキュリティ能力を有している。
【0024】
遊技盤2には、ガイドレール3aによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられ、該遊技領域3には多数の遊技釘(図示せず)が植設されている。遊技領域3の中央部には、図示しないセンターケースが配設されており、該センターケースの中央に演出図柄表示装置6(全体の図示は省略)のLCD画面が前方から視認可能に配設されている。このセンターケースには、図示しないワープ入口、ワープ通路、ステージ等も設けられている。
【0025】
演出図柄表示装置6の下方(センターケースの直下)には、第1始動口11が配設され、該センターケースの右方には、普通図柄作動ゲート17と第2始動口12とが上下に並んで配設されている。第2始動口12は、開閉可能な翼片を備えた普通電動役物により構成されており、この翼片の開放状態でのみ遊技球を入賞可能とする構成である。なお、第2始動口12は、閉鎖状態でも低い頻度で入賞可能とし、開放状態となった時に入球容易となるように構成されていても良い。さらに、第1始動口11の直下には、大入賞口14が配設されている。また、第1始動口11の左方に、四個の一般入賞口15が配設されている。これら一般入賞口15は、遊技球を常時入賞可能な構成である。
【0026】
遊技領域3の最下流部には、アウト口16が配設されており、該遊技領域3に発射された遊技球がいずれの入賞口14,15や始動口11,12にも入賞しなかった場合に、該アウト口16に入球する。
遊技盤2の右下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、普図保留数表示装置8と、特別図柄保留数表示装置18と、7セグメント表示装置からなる特別図柄表示装置9とが配設されている。
【0027】
図2は、パチンコ機1の裏面図である。パチンコ機1の裏側には、前記の遊技盤2を脱着可能に取り付けた内枠70が外枠51に収納されている。内枠70の上部には、前記の遊技領域3へ遊技球を発射する発射装置31が配設されており、該発射装置31により発射された遊技球は、遊技領域3の左上部から該遊技領域3内に飛び出して、該遊技領域3を流下する。また、内枠70の下部には、遊技領域3へ発射された遊技球を回収し、回収した遊技球を研磨する研磨装置(図示無し)が設置されている。この研磨装置は、前述した始動口11,12、大入賞口14、各一般入賞口15、およびアウト口16と、図示しない回収路とを介して連通されており、これら始動口11,12、大入賞口14、各一般入賞口15、およびアウト口16に入球した遊技球が該回収路を通って送られてくる。また、内枠70には、研磨装置で研磨された遊技球を前記発射装置31へ送る揚送装置33が上下方向に沿って配設されている。こうした発射装置31、回収路、研磨装置、および揚送装置33によって、遊技球を循環させる構成が設けられている。すなわち、発射装置31から遊技領域3へ発射された遊技球は、前記の始動口11,12やアウト口16などのいずれかに入球した後に、前記の回収路から研磨装置へ送られ、さらに揚送装置33を介して再び発射装置31へ供給される。尚、発射装置31、回収路、研磨装置、および揚送装置33は、従前から知られている構成のものを適用できることから、その詳細な説明を省略する。
【0028】
また、パチンコ機1の裏側には、主制御装置80、枠制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、および電源装置85が配設されている。主制御装置80、演出図柄制御装置82、およびサブ統合制御装置83は、遊技盤2に設けられており、枠制御装置81および電源装置85は、内枠70に設けられている。
また、詳細は後述するが、パチンコ機1は、遊技の特性を定める複数の設定値が設けられており、パチンコ機1の管理者(例えば、パチンコ機1が設置されたホールの店員等)からの操作に応じて現在の設定値が変更される。主制御装置80には、現在の設定値の変更を行うための設定装置が設けられており、設定装置は、主制御装置80と共にケースに収容されている。設定装置には、現在の設定値の変更を行うための設定値表示装置80a、設定変更スイッチ80b、及び、クリアスイッチ80cが設けられている。これらは、パチンコ機1の裏側(換言すれば、遊技盤2の裏側)に位置し、内枠70が開放された時に視認及び操作が可能となっており、遊技者による視認及び操作が不可能となっている。
電源装置85には、電源スイッチ85aが備えられている。設定変更スイッチ80bをオン状態とした後、クリアスイッチ80cを押下した状態で電源スイッチ85aをオンすれば、設定値の変更が可能となる。これについては、詳細に後述する。
【0029】
(2)電気的構成について
図3は、パチンコ機1の電気配線を示すブロック図である。尚、このブロック図には、単に信号を中継するいわゆる中継基板や電源基板等は記載されていない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、枠制御装置81、演出図柄制御装置82、及び、サブ統合制御装置83のいずれも、CPU,ROM,RAM,入力ポート,出力ポート等を備えている。そして、これら各制御装置のCPUにより、2ms周期の割込信号により各ROMに搭載されたプログラムを開始し、各種制御を実行する。
尚、枠制御装置81は、後述するように、性能等表示装置60の情報、遊技者の持球数情報、およびクレジット残高に関わる情報などを扱うことから、万が一、電源供給が遮断された場合にもこれら情報を保持できるように、不揮発性メモリ(フラッシュメモリや不揮発性RAMなど)が好適に用いられ得る。これにより、電源供給が遮断された場合にも、遊技者が不利益を被る可能性を低減できる。枠制御装置81の不揮発性RAM81aは、後述する持球数を記憶する持球記憶領域と持球数以外のデータを記憶する他記憶領域とに分かれている。一方、主制御装置80のRAMは揮発性であり、図示しないが、停電時には枠制御装置81、電源基板85又は図示しない中継基板からバックアップ電源が供給される。
【0030】
主制御装置80には、遊技盤中継端子板74を介して、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄作動ゲート17を通過した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するためのカウントスイッチ14a、各一般入賞口15に入球した遊技球を夫々検出する各一般入賞口スイッチ15a、磁気を検知する磁石センサ、電波を検知する電波センサ等からの検出信号が入力される。
【0031】
主制御装置80は、そのROMに搭載されたプログラムに従って動作して、前記の検出信号等に基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、該コマンドを枠制御装置81およびサブ統合制御装置83へ出力する。また、主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板71を介して、特別図柄表示装置9、および普通図柄表示装置7の表示制御を行うと共に、特別図柄保留数表示装置18、および普図保留数表示装置8の点灯制御を行う。さらに、主制御装置80には、遊技盤中継端子板74を介して、大入賞口ソレノイド14bおよび普通電動役物ソレノイド12bも接続されている。主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。また、主制御装置80は、図柄変動や大当り等の管理用の信号を出力し、該出力信号は、枠制御装置81からカードユニット46を介してホールコンピュータに送られる。さらに、主制御装置80には、賞球数表示装置99が接続されており、賞球数の表示制御を行う。尚、この賞球数表示装置99により、夫々の入賞口(始動口、一般入賞口、大入賞口など)に入賞することで発生した賞球数を、遊技者が把握し易い。但し、封入式遊技機では、枠制御装置81により表示制御される持球数表示装置61を備えており、該持球数表示装置61で前記賞球数を把握することも可能であるから、賞球数表示装置99は必須のものではない。さらに、主制御装置80には、ガラス枠開放スイッチ125や内枠開放スイッチ126も接続され、これらからの検知信号が入力される。
【0032】
主制御装置80と枠制御装置81とは、該主制御装置80から枠制御装置81への一方向のみで通信可能とするように接続されている。すなわち、主制御装置80から枠制御装置81へ向けて信号を送信可能で、該信号を枠制御装置81が受信可能である一方、枠制御装置81からは、主制御装置80へ向けて信号を送信不能である。そのため、本実施形態の構成では、枠制御装置81で管理または制御する情報(持球数情報や、遊技球の発射や循環などに関する情報)を、主制御装置80へ送信できない。そして、遊技進行の全般を統括する主制御装置80は、外部から一切信号を入力することができない(遊技に関する入賞情報や、前述した各種スイッチからの入力は除く)。これにより、遊技性能に影響を与え得る不正な信号を主制御装置80に入力させることを、構造的に排除でき、極めて不正に強い(不正され難い)構成となっている。
【0033】
また、前述した構成以外にも、枠制御装置81から主制御装置80に対し、少なくとも遊技の性能に影響を与える情報、又は、遊技の結果に影響を及ぼす虞がある情報である前述した特定情報(例えば、クレジット残高や、持球数や、大当り情報、大当り確率、当否判定の結果の情報、遊技球の発射や循環等に関する情報)を送信不可能ではあるが、それ以外の情報については、枠制御装置81から主制御装置80に送信可能としても良い。例えば、枠制御装置81は制御状態に応じて主制御装置80に予め定められたデータ(信号)を送信要求するよう構成しても良い。
【0034】
また、主制御装置80には、前述した設定装置における設定値表示装置80a、設定変更スイッチ80b、及び、クリアスイッチ80cが接続されており、これらは主制御装置80により制御される。設定変更スイッチ80bは、設定キーが挿入される挿入口として構成されており、設定変更スイッチ80bに挿入された設定キーを回転操作することで、操作状態がON状態又はOFF状態に切り替えられる。そして、設定変更スイッチ80b及びクリアスイッチ80cの操作状態を示す信号が、主制御装置80に送信される。また、設定値表示装置80aは、例えば、8セグのLED等を備え、主制御装置80からの信号に応じて、パチンコ機1の設定値を表示するよう構成されている。
【0035】
本実施形態では、電源基板85の電源スイッチ85aをオン操作するときに、クリアスイッチ80c及び設定変更スイッチ80bがオン状態であれば、前述の第1始動口スイッチ11a又は第2始動口スイッチ12aに遊技球が入賞したときに抽出される乱数値による当りの当否確率を設定変更可能な構成となっている。この状態時には、設定値表示装置80aには設定変更可能であることを示す初期設定画像が表示され、クリアスイッチ80cを押下毎に設定値を変更することが可能である。初期設定画像が表示されたときには、主制御基板80のRAMに記憶されたデータが初期状態に設定される。このとき、枠制御装置81にRAMクリア信号が出力される。RAMクリア信号を受信すると、枠制御装置81は、RAM81aの他記憶領域に記憶されたデータを初期設定する。
【0036】
前記初期設定画が表示された後、クリアスイッチ80cから手を離し、その後、設定する当否確率に従った回数だけクリアスイッチ80cを押下するのである。
具体的に説明すると、初期設定画には当否確率が最も低い設定1(1/300)が表示され、その後、クリアスイッチ80cを押下する毎に、設定2(1/290)、設定3(1/280)、設定4(1/270)、設定5(1/260)、設定6(1/250)が表示される。尚、各設定の当否確率は一例である。
設定変更スイッチ80bをオフの位置に切り替えると、RAMに記憶されたデータが初期設定された旨が表示され、表示されていた当否確率が新たな設定値に変更され、変更された設定及び/又は当否確率も表示される。





【0037】
当否確率の設定変更が終了すると、新たに設定された当否確率を示すデータが枠制御装置81に送信される。本実施形態では、偶然、前回と同じ当否確率が設定されても送信される。
電源スイッチ85aをオンしたとき、設定変更スイッチ80bがオフ状態でありクリアスイッチ80cがオン状態であれば、主制御装置80のRAM及び枠制御装置81のRAM81aの他記憶領域に記憶されたデータが初期設定される。
電源スイッチ85aをオンしたとき、設定変更スイッチ80bがオン状態でありクリアスイッチ80cがオフ状態であれば、現在設定されている設定及び/又は当否確率を確認することができる。
【0038】
本実施形態では、主制御装置80に接続された設定値表示装置80aと枠制御装置81に接続された性能表示装置60とを別体として構成したが、兼用する構成でも良い。例えば、主制御装置80に接続された設定値表示装置80aが性能表示装置60を兼ねても良い。この場合には、電源スイッチ85aをオン状態としたとき、クリアスイッチ80cがオフ状態であり、設定変更スイッチ80bがオフ状態であれば、当該遊技機の性能(ベース値等)が表示される。また、電源スイッチ85aをオンした後、オン状態の設定変更スイッチ80bをオフ状態とすれば性能表示画面に切り替わる。
枠制御装置81に接続された性能表示装置60が設定値表示装置80aを兼ねる場合も同様である。この場合には、設定値表示装置80aに表示されるデータが枠制御装置81に送信される。
【0039】
枠制御装置81は、CRユニット端子板75を介してカードユニット46と通信可能となっている。カードユニット46には表示装置47が接続され、カードユニット46は表示装置47を制御する。また、表示装置47に対し操作、例えば、表示装置47に設けられたレート設定スイッチ57、貸出スイッチ58又は返却スイッチ59に対する操作が行われると、表示装置47からカードユニット46に対し、該操作が行われたことを示す操作信号が出力される。
【0040】
表示装置47は、貸出スイッチ58の操作信号を入力すると、カードユニット46に対して球貸しを指示する。カードユニット46は、該指示に応じて球貸しを行い、貸球数(換言すれば、球貸しにて遊技者に提供される遊技球の数)を設定する。
また、表示装置47は、返却スイッチ59の操作信号を入力すると、カードユニット46に対してICカードの返却処理を指示する。また、枠制御装置81は、カードユニット46に挿入されたICカードに記憶されている持球数情報をカードユニット46から取得し、該持球数情報に基づき、枠制御装置81にて管理する持球数情報を生成又は更新する。即ち、枠制御装置81のRAM81aの持球記憶領域に記憶されている持球数が零であれば、カードユニット46から取得した持球数を新たな持球数とし、零でなければ取得した持球数を加算する処理が行われる。
【0041】
また、枠制御装置81は、計数スイッチ62aの操作に応じて、枠制御装置81にて管理している持球数情報をカードユニット46に送信し、さらにICカードに記憶させることで、遊技者の持球を精算する持球数移動処理などを行う。また、枠制御装置81は、カードユニット46を介してホールコンピュータ87と通信可能に接続されており、パチンコ機1の遊技情報を該ホールコンピュータ87に送信する。
【0042】
また、枠制御装置81には、発射操作部中継端子板76を介して、ハンドルボリューム101からの発射ハンドル64の回動量信号、発射停止スイッチ103からの発射停止信号、及び、タッチスイッチ102からのタッチ信号が、それぞれ入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を回動操作することで出力され、タッチ信号は、遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止信号は、遊技者が発射停止スイッチ103を押すことで出力される。なお、タッチ信号が入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル64を触っていても遊技球は発射出来ないようになっている。
【0043】
枠制御装置81には、操作部中継端子板73を介して、前記した計数スイッチ62a、遊技球(持球数)クリアスイッチ62b及び持球数表示装置61が接続されており、枠制御装置81は、計数スイッチ62a及び遊技球クリアスイッチ62bの操作信号が入力されると共に、持球数表示装置61を表示制御する。
計数スイッチ62aが操作されると、操作される時間に応じて枠制御装置81は持球記憶領域に記憶している持球数を減じ、減じた持球数をカードユニット46に出力する。カードユニット46は、受信した持球数を記憶した持球数に加算する。計数スイッチ62aの操作により持球数を減じる処理は、持球記憶領域に記憶している持球数が零になるまで行われる。
電源スイッチ85aをオン状態としたとき、遊技球クリアスイッチ62bがオン状態であれば、持球記憶領域に記憶されたデータは初期設定(零クリア)される。このとき、他記憶領域に記憶されたデータは初期設定されない。必ず、クリアされる必要はなく、「初期設定しますか?」等の確認画面を表示し、確認後にスイッチを操作する等の何等かの操作を経てクリアする構成でも良い。
尚、持球数表示装置61は、枠制御装置81に記憶されている持球数情報が示す遊技者の持球数をリアルタイムに表示する。
【0044】
前述したように、主制御装置80において当否確率の設定変更が終了すると、新たに設定された当否確率を示すデータ(以下、「確率データ」と呼ぶこともある。)が枠制御装置81に送信されるが、本実施形態では、枠制御装置81は受信した当否確率を示すデータを他記憶領域に記憶する。従って、電源投入時にクリアスイッチ80cがオン状態でなければ、枠制御装置81のRAM81aに記憶する当否確率を示すデータは初期設定されない。
但し、受信する確率データを持球記憶領域に記憶する構成でも良い。この場合、電源スイッチ85aをオンしたとき遊技球クリアスイッチ62bがオン状態であれば、記憶していた確率データも消滅するので、枠制御装置81から主制御装置80に送信要求でき、主制御装置80から最新の確率データを受信するよう構成しても良い。
一方、遊技球クリアスイッチ62bを主制御装置80に接続する構成も考えられる。この構成の場合は、枠制御装置81のRAM81aの持球記憶領域に記憶されたデータを初期設定するための信号(コマンド)を主制御装置は送信するが、同時に最新の確率データを送信するよう構成すれば良い。この構成では、主制御装置80から枠制御装置81にのみ送信できる一方向通信が可能となる。
【0045】
また、枠制御装置81は、発射装置中継端子板77を介して、発射装置31の球送センサ104、発射入口センサ105、発射モータ106、および球送りソレノイド107が接続されている。球送センサ104は、発射装置31の発射位置に送られた遊技球を検知するものであり、遊技球の検知信号を出力する。また、発射入口センサ105は、前記した揚送装置33から発射装置31に供給される遊技球を検知するものであり、該遊技球の検知信号を出力する。そして、枠制御装置81は、前記のハンドルボリューム101、発射停止スイッチ103、タッチスイッチ102、球送センサ104、および発射入口センサ105から送信される各信号に基づいて、発射モータ106および球送りソレノイド107を駆動制御して遊技球を発射または停止させる。
【0046】
さらに、枠制御装置81は、研磨装置中継端子盤78を介して、カセットスイッチ108、研磨モータセンサ109、カセットモータ110、および研磨モータ111が接続されており、該カセットスイッチ108と研磨モータセンサ109とからの検知信号に基づいて、カセットモータ110と研磨モータ111とを駆動制御することで、前記の研磨装置を駆動させる。尚、研磨装置は、消耗品であることから、カセット形式の構造として、取り替えを容易にしている。また、枠制御装置81は、揚送中継端子板79を介して、揚送入口センサ113、揚送モータ監視センサ114、および揚送モータ112が接続されており、該揚送入口センサ113および揚送モータ監視センサ114からの検知信号に基づいて揚送モータ112を駆動制御することで、前記の揚送装置33を駆動させる。
【0047】
さらにまた、枠制御装置81は、内枠中継端子板72を介して、入賞球センサ120、アウト球センサ121、適正量センサ122、満タンセンサ123、および夜間監視スイッチ124が接続されており、これら各センサやスイッチからの信号が入力される。ここで、入賞球センサ120は、始動口11,12、大入賞口14、および一般入賞口15の各入賞口と前記研磨装置とを連通する回収路に配設されており、これら各入賞口に入賞した遊技球を検知するものである。また、アウト球センサ121は、アウト口16と前記研磨装置とを連通する回収路に配設されており、アウト口16に入球した遊技球を検知するものである。また、適正量センサ122は、機台の内部で循環させる遊技球の適正量を検知するものである。
【0048】
枠制御装置81は、遊技の進行に伴い遊技者の持球数を更新する。すなわち、枠制御装置81は、発射装置31により遊技球が1球発射される度に、持球数情報が示す持球数から1を減算すると共に、入賞球センサ120により、始動口11,12、大入賞口14、および一般入賞口15への入賞が検出されると、持球数情報が示す持球数に対し賞球数を加算する。本実施形態では、球送センサ104により遊技球の検知信号を入力する度に持球数が減算されるが、発射入口センサ105による遊技球の検知信号が入力する度に減算する構成でもよい。発射位置に送られた遊技球は、直後に遊技者が発射ハンドルから64から手を離しても必ず発射される。
枠制御装置81は、球貸しの際には、カードユニット46から貸球数を受信すると、貸球数を持球数情報が示す持球数に加算し、遊技の精算が行われた際には、持球数情報をカードユニット46に送信すると共に、持球数情報を初期化する。
【0049】
また、枠制御装置81には、性能等表示装置60も接続されている。性能等表示装置60は、遊技釘を不正に調整することによりパチンコ機1の性能を変えられてしまうことを防止するために配設されたものであり、通常状態におけるベース値を表示する。尚、通常状態のベース値は、主制御装置80から通常状態であることを示されている場合に(通常状態を示す信号を受信している場合に)、発射装置31に遊技球を送る球送センサ104による遊技球の検知、又は入賞球センサ120とアウト球センサ121とによる遊技球の検知によって、発射された遊技球の数を確認し、この発射数と、主制御装置80から送信される賞球数情報に示された賞球数とにより、戻り球数を算出して得られる。ここで、発射数は1分間で概ね100個であることから、例えば、約10時間で発射される60000個を発射したときのベース値を、確定した値として用いることができる。
【0050】
サブ統合制御装置83は、主制御装置80から送信されたデータおよびコマンドを受信し、これらを演出表示制御用、音制御用およびランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンドなどを演出図柄制御装置82へ送信し、音制御用およびランプ制御用のデータを自身に含まれている各制御部位(音声制御装置およびランプ制御装置しての機能部品)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによって、スピーカ66から音声を出力制御し、ランプ制御装置としての機能部は、ランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって、各種LEDやランプ65を発光制御する。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80との間は、主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信のみの回路として構成されている。
【0051】
さらに、サブ統合制御装置83には、演出ボタン63やジョグダイヤル等の操作を夫々検出するスイッチが接続されており、各スイッチが遊技者による操作を検出すると、その信号が入力される。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から送信されたデータおよびコマンド(主制御装置80から送信されたものと、サブ統合制御装置83で主制御装置80からの入力および演出ボタン等の入力に基づいて生成されたもの)に基づく制御を行い、演出図柄などの演出画像を演出図柄表示装置6の画面に表示する。
【0052】
カードユニット46は、前記カード挿入口49に挿入されたICカードに対して、クレジット残高や該ICカードで保有する持球数などの情報を読み取り及び書き込みする処理を行う。
カードユニット46は、クレジット残高や貸出可能な球数などの情報を、遊技の進行に従って適宜更新して管理すると共に、表示装置47でクレジット残高や貸出可能な球数を表示する。
カードユニット46は、ICカードから読み取った情報を、枠制御装置81へ送信する。
さらに、遊技終了の際には、精算された持球数を、枠制御装置81からカードユニット46へ送信し、ICカードの情報を更新する。
【0053】
また、カードユニット46は、前述したように、遊技者の球貸の操作に応じて球貸しを行う。具体的には、球貸しでは、挿入されたICカードに記憶されているクレジット残高を所定のレートで持球に交換し、該持球が遊技者に提供される。なお、レートとは、例えば、球貸しの際の遊技球の単価であっても良い。カードユニット46は、球貸しの際、貸球数を枠制御装置81に送信する。一方、枠制御装置81は、受信した貸球数を遊技者の持球数に加算する。なお、カードユニット46は、紙幣挿入口48等から金銭が投入されている場合にも、貸出スイッチ58の操作に応じて、同様にして、該金銭の残高に応じて球貸しを行っても良い。
【0054】
[動作の説明]
(1)遊技について
パチンコ機1は、所謂第1種遊技機としての構成を有しており、常時入賞が可能な第1始動口11と、普通図柄抽選での当選により一定期間にわたり開放され、入賞が容易又は可能となる第2始動口12が設けられている。なお、普通図柄抽選とは、遊技球が普通図柄作動ゲート17を通過したことに主制御装置80にて行われる当否判定である。主制御装置80は、普通図柄抽選を行うと、普通図柄表示装置7にて普通図柄の変動表示を行い、これを停止表示して確定図柄を表示することで、普通図柄抽選の結果を報知する。なお、主制御装置80は、一例として、普通図柄抽選について最大4個の保留記憶を行う。
【0055】
また、第1,第2始動口11,12に遊技球が入球すると、主制御装置80は、数値データ(乱数)を抽出し、該数値データに基づき特別図柄の当否判定(以後、大当り抽選とも記載)を行う。主制御装置80は、大当り抽選を行うと、特別図柄表示装置9にて特別図柄の変動表示を行うと共に、これらを停止表示して確定図柄を表示することで大当り抽選の結果を報知する。
【0056】
そして、主制御装置80は、大当り抽選に当選(以後、大当りとも記載)すると、所定のラウンド数にわたって大入賞口14を開放する大当り遊技(以後、特別遊技とも記載)を行い、遊技者に多くの賞球を付与する。さらに、主制御装置80は、大当り遊技の後、特典状態に移行可能となっている。特典状態では、確変モード及び時短モードの双方又は一方に移行する。なお、確変モードでは、大当り抽選で当選する確率が増加する。また、時短モードでは、普通図柄抽選での当選確率が上昇すると共に、普通図柄抽選での当選時の第2始動口12の開放時間が延長され、さらに、普通図柄や特別図柄の変動時間が短縮される。これにより、第2始動口12への入球が容易となる。以後、確変モード及び時短モードのどちらでもない状態を、通常モードと記載する。
【0057】
(2)設定値について
前述したように、本実施形態のパチンコ機1は、設定変更スイッチ80b及びクリアスイッチ80cを用いて大当り抽選の当選確率を設定変更することができる。この設定変更は、パチンコホールの店員等のパチンコ機1の管理者によって行われる。
本実施形態では、低確率時の大当り抽選の当選確率を6段階で設定することができるが、高確率時における当選確率も低確率時の当選確率に対応して変更される。但し、高確率時の当選確率は一定であっても良い。また、高確率時の当選確率を、低確率時と無関係に所定範囲内で設定変更できる構成であってもよい。
例えば、本実施形態では、前述したように、低確率時の当選確率は、設定1(1/300)、設定2(1/290)、設定3(1/280)、設定4(1/270)、設定5(1/260)、設定6(1/250)としているが、この設定とは無関係に高確率時の当選確率として、設定7(1/50)、設定8(1/45)、設定9(1/40)、設定10(1/35)としても良い。即ち、低確率時の6段階の設定と高確率時の4段階の設定とを組み合わせる構成である。これにより24通りの組み合わせが可能となる。この組み合わせは一例であり低確率時の複数の設定と高確率時の複数の設定とを組み合わせる構成であれば良い。
【0058】
(3)レートの設定について
次に図4及び図5に従ってレートの設定について説明する。
図4に示す「レート変更処理」はカードユニット46により定期的に実行され、「レート許可処理」はパチンコ機1の枠制御装置81により定期的に実行される。
本実施形態では、遊技者の操作に応じて、パチンコ機1に併設されたカードユニット46での球貸しのレートが設定される。
パチンコ機1及びカードユニット46への電源投入後には、表示装置47には図5(a)に示す画像が表示されている。
画面には、球貸スイッチ58に対応する画像58a、返却スイッチ59に対応する画像59a、レート設定スイッチ57に対応する画像57aが表示されている。本実施形態では、表示装置47はタッチパネルとして構成され、各画像58a、59a、57aの領域を指でタッチすると各スイッチがオンするよう構成されている。尚、一例として、画面には、現在のレートが4円であり、貸出数表示47aには1回の球貸しにおける貸出数が示されている。
【0059】
レート設定スイッチ57に対応する画像57aの表示領域がタッチされるとレート設定スイッチ57がオン状態となり(図4のS1)、カードユニット46は枠制御装置81にレートの変更が可能か否かの問合せ信号を出力する(S2)。
一方、枠制御装置81は、レートの変更が可能か否かの問合せ信号を受信すると、レート変更が可能か否かを判定する(S3)。
本実施形態では、持球数が零である、大当り遊技中でない、高確率遊技中でない、時短遊技中でない、当否結果を報知するための図柄(特別図柄、普通図柄又は演出図柄)の変動中でない、又は最後に発射された遊技球が遊技盤面を流下する時間経過後であるこが判断される。これは、レート変更前の遊技が終了していることを判断することを意味している。
持球数は遊技者が遊技をしていなければ、原則、零である。持球数が零でない遊技中にレートを変更したい場合には、計数スイッチ62aを押下して持球数をCRユニットに移動させれば良い。この処理を行ったときには、レート変更前のレートで移動した持球数が処理される。
【0060】
大当り遊技中でない、高確率遊技中でない、時短遊技中でない、保留記憶が存在しない、当否結果を報知するための図柄(特別図柄、普通図柄又は演出図柄)の変動中でない、又は最後に発射された遊技球が遊技盤面を流下する時間経過後であることは、枠制御装置81が主制御装置80から受信した遊技状態を示すデータから判断される。
この判断処理は、遊技球を発射することができる持球数が存在する場合にレート変更を可能とすれば、球貸されたときの単価と相違することになるからである。また、レート変更前の遊技により得た大当りや高確率状態等の遊技結果(成果)の価値を変化させないためである。例えば、低いレートで遊技を行い大当りが発生後にレートを高くすれば、大当りにより得られる金銭的価値が高く変化するからである。
【0061】
レート変更が可能な状態でなければ(S3のNO)、変更待機状態とされ(S4)、その旨がCRユニットに通知される(S5)。通知された状態は、表示装置47に表示される。持球数が零でなければ、計数スイッチ62aを押下して持球数を零にするか、遊技球を発射して持球数を零にすれば良い。大当り中、高確率遊技中、時短遊技中又は保留記憶があれば、その遊技状態を経過させて持球数を零にすれば良い。
レート変更が可能な状態と判断されれば(S3のYES、S6のYES)、枠制御装置81はカードユニット46にレート許可信号を出力する(S7)。
レート許可信号を受信したカードユニット46は、表示装置47の画面上に遊技球のレートを表示し、遊技者が選択したレートに設定処理を行う(S8)。
本実施形態では、図5(b)に示すように、遊技球1個の単価は、1円(画像57a-1)、2円(画像57a-2)、4円(画像57a-3)から選択することが可能である。画像57a-1の表示領域をタッチすれば遊技球1個の単価は1円、画像57a-2の表示領域をタッチすれば遊技球1個の単価は2円、画像57a-3の表示領域をタッチすれば遊技球1個の単価は4円に設定変更することができる。このレートは一例であり、0.5円や3円のレートがあっても良い。
【0062】
1円のレートを設定した後、貸出スイッチ58を押下すれば、ICカードから100円が減額され、貸球として持球数100個が貸し出される。2円のレートを設定した後、貸出スイッチ58を押下すれば、ICカードから200円が減額され、貸球として持球数100個が貸し出される。4円のレートを設定した後、貸出スイッチ58を押下すれば、ICカードから400円が減額され、貸球として持球数100個が貸し出される。
貸出スイッチ47が一回押下されたときに貸し出される持球数を一定としない構成も可能である。例えば、貸出スイッチ47が1回押下されれば500円に対応する持球数を貸し出す構成でも良い。この場合、レートが1円であれば貸出スイッチ47が1回押下されれば500個の持球数、2円であれば250個の持球数、4円であれば125個の持球数が貸し出される。
【0063】
レートが新たに設定されると、カードユニット46は、枠制御装置81及び主制御装置80を介して、新たに設定されたレートを示すレート情報を、サブ統合制御装置83に送信しても良い。そして、サブ統合制御装置83は、レート情報が示すレートに応じた態様で、各種演出を行っても良い。図6(a)~(c)は、それぞれ、演出の際にサブ統合制御装置83により演出図柄表示装置6にて表示される、演出図柄の変動表示を伴う図柄演出の一例を示している。レートが高い場合には、図6(a)のように、戦闘シーン等を含む緊迫感の強い演出が行われても良い。一方、レートが低い場合には、図6(b),(c)のように、和やかな演出が行われても良い。無論、図柄演出以外にも、例えば、保留図柄演出や、先読み演出や、リーチ演出や、SPリーチ演出等の様々な演出の態様が、現在のレートに応じて定められても良い。
【0064】
この処理を行うためのデータの入出力信号の流を模式的に示したのが図7である。カードユニット46において設定変更されたレートを示す信号は、枠制御装置81及び主制御装置80を介してサブ統合制御装置83に出力される。
演出図柄表示装置6にてレートに応じた態様で演出を行なわず、遊技球クリアスイッチ62bを主制御装置80に接続すれば、主制御装置80から枠制御装置81にのみデータ(信号)を出力できる一方向通信が可能となる。
(4)メインルーチンについて
次に、パチンコ機1の主制御装置80におけるメインルーチンについて、図8に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、このメインルーチンは、2ms周期のタイマ割り込み処理として起動される。主制御装置80は、メインルーチンを実行することで、パチンコ機1での遊技を実行する。
【0065】
S10では、主制御装置80は、正常なタイマ割り込みによりメインルーチンが起動されたか否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S10:Yes)、S20に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S10:No)、S15に処理を移行する。
S15では、主制御装置80は、CPUやI/O等の初期設定を行い、S75に処理を移行する。
【0066】
一方、S10で肯定判定が得られた場合には、主制御装置80は、初期値乱数の更新(S20),大当り決定用乱数の更新(S25),大当り図柄決定用乱数の更新(S30),当り決定用乱数の更新(S35),リーチ判定用乱数の更新(S40),変動パターン決定用乱数1,2の更新(S45)を行う。
【0067】
高確率遊技状態である確変モードにおいては、大当りとなる値の数は、通常モードにおける大当りとなる前記乱数を含むように構成される。よって、抽出した乱数によっては、モードに関係無く大当りとなる乱数もあれば、確変モードで大当りとなっても通常モードでは大当りとはならない乱数もある。つまり、抽出された時点が確変モードであったことで先読み判定により大当りとなることが予定されていても、当該乱数に基づく変動表示開始前に、他の乱数に基づく大当りによって確変モードが終了して通常モードになってしまった場合には、前記先読み判定結果に反して大当りとならない場合も発生し得る。
【0068】
変動パターン決定用乱数1の値は、0~1020の範囲であり、乱数の大きさは1021である。
また、変動パターン決定用乱数2の値は、0~600の範囲であり、乱数の大きさは601である。
そして、主制御装置80は、始動口等といった入賞口への遊技球の入賞を検出する入賞確認処理と(S50)、始動口への入賞に起因して大当り抽選を行う当否判定処理と(S55)、大当り抽選で当った際に行われる大当り遊技を制御する大当り遊技処理と(S60)を行う。また、遊技者の不正行為を検出する不正監視処理と(S65)、ホールコンピュータ87等に各種情報を送信する各出力処理と(S70)を実行する。
【0069】
また、S75では、主制御装置80は、次のタイマ割込みが発生してメインルーチンが起動されるまで、初期値乱数の更新を繰り返し行う。
(5)始動入賞確認処理について
次に、第1,第2始動口11,12への入賞を検出し、該入賞に応じて保留記憶の生成等を行う始動入賞確認処理について、図9に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、メインルーチンから実行される入賞確認処理(S50)からコールされるサブルーチンとして構成されている。
【0070】
S100では、主制御装置80は、第1,第2始動口SW11a,12aの検出信号に基づき、第1,第2始動口11,12への遊技球の入賞が発生したかを判定する。そして、肯定判定の場合は(S100:Yes)、S105に処理を移行し、否定判定の場合は(S100:No)、本処理を終了する。
S105では、主制御装置80は、保留記憶の数が上限値(一例として4)か否かを判定する。そして、否定判定の場合は(S105:No)、S110に処理を移行し、肯定判定の場合は(S105:Yes)、本処理を終了する。
【0071】
S110では、主制御装置80は、大当り抽選に用いられる大当り決定用乱数や、大当り抽選で当った際に停止表示される特別図柄(大当り図柄)を決定するための大当り図柄決定用乱数や、図柄演出において、リーチとなった後に外れを示す演出図柄を停止表示させる演出(ノーマルリーチやSPリーチ)を行うか否かを決定するためのリーチ判定用乱数や、特別図柄の変動時間等を決定するための変動パターン決定用乱数等を抽出し、これらの乱数(数値データ)を保留記憶として記憶する。
【0072】
そして、消化されていない保留記憶の数を示す「保留数コマンド」を生成しこれを、サブ統合制御装置83に送信し、S115に処理を移行する。
なお、S110にてサブ統合制御装置83に送信する保留情報(コマンド)は、消化(消滅)されていない保留記憶の数を示すコマンドではなく、保留記憶の増加を示す情報を送信する構成でも良い。
【0073】
また、保留数コマンドを受信したサブ統合制御装置83は、演出図柄表示装置6を介して保留図柄演出を行い、保留記憶に対応する保留図柄を表示させても良い。
S115では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に対応する大当り決定用乱数等の値についての判定(以後、先読み判定とも記載)を行う先読み判定処理を実行し、本処理を終了する。
【0074】
(6)先読み判定処理について
次に、新たに発生した保留記憶に対応する大当り決定用乱数等の値について判定する先読み判定処理について、図10に記載のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、始動入賞確認処理からコールされる。
S150では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係る大当り決定用乱数の値が特定値(大当り抽選で当りとなる値)か否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S150:Yes)、S155に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S150:No)、S160に処理を移行する。
【0075】
S155では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係る大当り決定用乱数の値が前記特定値であることを示す先読みコマンド1を生成してサブ統合制御装置83に送信し、本処理を終了する。
一方、S160では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係るリーチ判定用乱数と変動パターン決定用乱数1,2との値が、特定値(図柄演出でSPリーチとなる値)か否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S160:Yes)、S165に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S160:No)、S170に処理を移行する。
【0076】
S165では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係るリーチ判定用乱数と変動パターン決定用乱数1,2との値が前記特定値であることを示す先読みコマンド2を生成してサブ統合制御装置83に送信し、本処理を終了する。
また、S170では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係るリーチ判定用乱数と変動パターン決定用乱数1,2との値が特定値(図柄演出でノーマルリーチとなる値)か否かを判定し、肯定判定が得られた場合には(S170:Yes)、S175に処理を移行すると共に、否定判定が得られた場合には(S170:No)、S180に処理を移行する。
【0077】
S175では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係るリーチ判定用乱数と変動パターン決定用乱数1,2との値が前記特定値であることを示す先読みコマンド3を生成してサブ統合制御装置83に送信し、本処理を終了する。
一方、S180では、主制御装置80は、新たに発生した保留記憶に係る大当り決定用乱数やリーチ判定用乱数や変動パターン決定用乱数1,2が、前記特定値のうちのいずれでもないことを示す先読みコマンド4を生成してサブ統合制御装置83に送信し、本処理を終了する。
【0078】
このように、本実施形態の先読み判定処理では、後述する当否判定処理に先んじて、S110の抽出乱数保留記憶処理にて記憶した数値データを参照して、該数値データが特定値であるか否かを示す先読み判定結果をサブ統合制御装置83に送信する。なお、先読み判定処理では、始動入賞確認処理にて抽出された数値データが特定値であるか否かが判定される。このため、S110にて保留記憶として記憶された数値データに限らず、始動入賞確認処理にて抽出され、様々な方法で記憶された数値データを、先読み判定処理に用いることができる。
【0079】
また、「先読み判定処理」のS155、S165、S175、及び、S180では、各種先読みコマンドを送信するだけではなく、前述した「始動入賞確認処理」(図9)のS110で生成した「保留数コマンド」を併せてサブ統合制御装置83に送信する構成としても良い。この構成であれば、S110では、「保留数コマンド」を生成して、S155、S165、S175、及び、S180の何れかを実行するまで所定のバッファに「保留数コマンド」を格納する処理が好適である。
【0080】
また、先読みコマントを受信したサブ統合制御装置83は、演出図柄表示装置6を介して先読み演出を行っても良い。具体的には、例えば、先読みコマンドの種別に基づき、該先読みコマンドに対応する保留記憶についての保留図柄を変化させることで、該保留記憶にて大当りになるかどうかを示唆しても良い。
(7)当否判定処理について
次に、保留記憶として記憶された大当り決定用乱数により大当り抽選を行う当否判定処理について、図11図14のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、メインルーチンから実行される処理である。
【0081】
まず、図11に関して、S200では、主制御装置80は、特別電動役物の作動中、すなわち、大当り遊技の実行中であるか否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S200:Yes)、本処理を終了し、否定判定の場合には(S200:No)、S205に処理を移行する。
S205では、主制御装置80は、特図の変動表示中か否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S205:Yes)、図13のS280に処理を移行し、否定判定の場合には(S205:No)、S210に処理を移行する。
【0082】
S210では、主制御装置80は、特図の確定表示中か否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S210:Yes)、図14のS290に処理を移行し、否定判定の場合には(S210:No)、図12のS215に処理を移行する。
続いて図12に関して、S215では、主制御装置80は、保留記憶の有無について判定し、肯定判定の場合には(S215:Yes)、S220に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S215:No)、本処理を終了する。
【0083】
S220では、主制御装置80は、保留記憶の数をデクリメントすると共に、最も古い保留記憶を選択し、後述するS230、S235、S245、S250、S255、S260、及び、S265等にて参照するために、該保留記憶に記憶された情報(乱数値等の数値データ)を大当り判定用の所定のバッファに移動処理して、S225に処理を移行する。
【0084】
S225では、主制御装置80は、確変モードであることを示す確変フラグが1か否かを判定し、肯定判定の場合には(S225:Yes)、S230に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S225:No)、S235に処理を移行する。
S230では、主制御装置80は、選択された保留記憶に係る大当り判定用乱数と、確変モードに対応する当否判定用テーブル(確変テーブル)に基づき、大当り抽選を実行し、該抽選に当るか否かを判定し、該保留記憶を消化する。そして、S240に処理を移行する。
【0085】
一方、S235では、主制御装置80は、選択された保留記憶に係る大当り判定用乱数と、通常モードに対応する当否判定用テーブル(通常テーブル)に基づき、大当り抽選を実行し、該抽選に当るか否かを判定し、該保留記憶を消化する。そして、S240に処理を移行する。
S240では、主制御装置80は、S230又はS235の判定結果を参照して、大当り抽選で当ったか否かを判定し、肯定判定の場合には(S240:Yes)、S245に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S240:No)、S260に処理を移行する。
【0086】
S245では、主制御装置80は、消化した保留記憶に係る大当り図柄決定用乱数に基づき大当り図柄を決定することで、当該大当り図柄に対応して予め定められた大当り遊技の総ラウンド数等を決定する。なお、大当り図柄は、現在の設定値に応じて、又は、現在の設定値に応じた確率で選択されても良い。そして、S250に処理を移行する。
S250では、主制御装置80は、消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数等に基づき、特別図柄の変動時間等を決定し、S255に処理を移行する。
【0087】
S255では、主制御装置80は、大当り遊技の内容や、大当り遊技後に特典状態に移行するか否かや、特典状態の内容等を設定し、S270に処理を移行する。なお、大当り遊技の内容とは、例えば、大当り遊技の総ラウンド数、大入賞口の開放パターン、大当り遊技に係る演出時間、インターバル時間、及び、大当り遊技の演出態様等であっても良い。また、これらは、現在の設定値に応じて、又は、現在の設定値に応じた確率で選択されても良い。
【0088】
一方、S240で否定判定が得られた場合に移行する(すなわち、大当り抽選で外れた際に移行する)S260では、主制御装置80は、消化した保留記憶に係る変動パターン決定用乱数等に基づき、特別図柄の変動時間等を決定し、S265に処理を移行する。
S265では、主制御装置80は、確変モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数を示すカウンタや、時短モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数を示すカウンタの更新等を行い、S270に処理を移行する。
【0089】
S270では、主制御装置80は、前述したS220においてデクリメントした結果として残った保留記憶の数を示す「保留数コマンド」をサブ統合制御装置83に送信し、S275に処理を移行する。
なお、S270にてサブ統合制御装置83に送信する保留情報(コマンド)は、消化(消滅)によって残った保留記憶の数を示すコマンドではなく、保留記憶の減少を示す情報を送信する構成でも良い。
【0090】
S275では、主制御装置80は、変動開始コマンドや図柄指定コマンド等を送信することで、特別図柄の変動時間や大当り抽選の結果等をサブ統合制御装置83に通知すると共に、特別図柄の変動を開始させ、本処理を終了する。このように、主制御装置80は、大当り抽選の結果を、特別図柄の変動表示の結果にて報知する。
なお、変動開始コマンド等を受信したサブ統合制御装置83は、大当り抽選の結果、及び、特別図柄の変動時間をもとに、特別図柄の変動時間と同じ時間の演出の中から演出図柄表示装置6にて表示する図柄演出を選択し、選択した図柄演出を表示させる。また、変動開始コマンドは、さらに、大当り抽選により消化された保留記憶が、第1始動口11への入賞により生成されたものであるか、第2始動口12への入賞により生成されたものであるかを示しても良い。
【0091】
続いて図13に関して、特図の変動表示中に移行するS280では、主制御装置80は、特図の変動時間が経過したか否かを判定し、肯定判定の場合には(S280:Yes)、S285に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S280:No)、本処理を終了する。
S285では、主制御装置80は、特図の変動表示を終了し、特図の確定図柄を表示させると共に、サブ統合制御装置83に対し演出図柄の確定表示を行わせる図柄確定コマンドを送信し、本処理を終了する。
【0092】
続いて図14に関して、特図の確定表示中に移行するS290では、主制御装置80は、特図の確定表示の継続時間が終了したか否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S290:Yes)、S295に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S290:No)、本処理を終了する。
S295では、主制御装置80は、特図の確定表示を終了し、S300に処理を移行する。
【0093】
S300では、主制御装置80は、確定表示されていた特図が大当り時のものであるかを判定し、肯定判定の場合には(S300:Yes)、S305に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S300:No)、S340に処理を移行する。
S305では、主制御装置80は、確変モードであることを示す確変フラグを参照すると共に、確変フラグが1である場合には確変フラグをクリアし(S310)、その後、S315に処理を移行する。
【0094】
S315では、主制御装置80は、時短モードであることを示す時短フラグを参照すると共に、時短フラグが1である場合には時短フラグをクリアし(S320)、その後、S325に処理を移行する。
そして、主制御装置80は、条件装置作動開始処理(S325),役物連続作動装置作動開始処理(S330),大当り開始演出処理(S335)を順次実行することで、大当り遊技の態様を示すコマンドや、大当り遊技の開始を指示するコマンドをサブ統合制御装置83に送信する等して大当り遊技を開始し、本処理を終了する。
【0095】
一方、S300にて否定判定が得られた場合に移行するS340では、主制御装置80は、確変フラグを参照し、該フラグが1である場合には(S340:Yes)、確変モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数(確変回数)を参照する(S345)。そして、確変回数が0である場合には(S345:Yes)、確変フラグをクリアし(S350)、S355に処理を移行する。
【0096】
S355では、主制御装置80は、時短フラグを参照し、該フラグが1である場合には(S355:Yes)、時短モード中に実行可能な大当り抽選の残り回数(時短回数)を参照する(S360)。そして、時短回数が0である場合には(S360:Yes)、時短フラグをクリアし(S365)、S370に処理を移行する。
S370では、主制御装置80は、状態指定コマンド送信処理を実行し、本処理を終了する。
【0097】
(8)大当り遊技処理について
次に、大当り遊技の進行を制御する大当り遊技処理について、図15図17のフローチャートを用いて説明する。本処理は、メインルーチンから実行される処理である。
S400では、主制御装置80は、役物連続作動装置の作動中、すなわち、大当り遊技の実行中であるか否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S400:Yes)、S405に処理を移行し、否定判定の場合には(S400:No)、本処理を終了する。
【0098】
S405では、主制御装置80は、大入賞口14の開放中であるか否かを判定し、肯定判定の場合には(S405:Yes)、図16のS430に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S405:No)、S410に処理を移行する。
S410では、主制御装置80は、大当り遊技における各ラウンドのインターバル中であるか否かを判定し、肯定判定の場合には(S410:Yes)、図16のS450に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S410:No)、S415に処理を移行する。
【0099】
S415では、主制御装置80は、大当り遊技の終了演出中であるか否かを判定し、肯定判定の場合には(S415:Yes)、図17のS470に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S415:No)、S420に処理を移行する。
S420では、主制御装置80は、大当り遊技における開始演出時間が経過したか否かを判定し、肯定判定の場合には(S420:Yes)、S425に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S420:No)、本処理を終了する。
【0100】
S425では、主制御装置80は、大入賞口14を開放させる大入賞口開放処理を実行し、本処理を終了する。
続いて図16に関して、大入賞口14の開放中に移行するS430では、主制御装置80は、大入賞口14に入賞した遊技球の数が10個となったか否かを判定する。そして、肯定判定の場合には(S430:Yes)、S440に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S430:No)、S435に処理を移行する。
【0101】
S435では、主制御装置80は、大入賞口14の開放時間が終了したか否かを判定し、肯定判定の場合には(S435:Yes)、S440に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S435:No)、本処理を終了する。
S440では、主制御装置80は、大入賞口14を閉鎖させる大入賞口閉鎖処理を実行し、S445に処理を移行する。
【0102】
S445では、主制御装置80は、大当り遊技の各ラウンドのインターバルを設定する大当りインターバル処理を実行し、本処理を終了する。
一方、各ラウンドのインターバル中に移行するS450では、主制御装置80は、大当り遊技のインターバル時間が経過したか否かを判定し、肯定判定の場合には(S450:Yes)、S455に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S450:No)、本処理を終了する。
【0103】
S455では、主制御装置80は、大当り遊技の最終ラウンドか否かを判定し、肯定判定の場合には(S455:Yes)、S460に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S455:No)、S465に処理を移行する。
S460では、主制御装置80は、大当り遊技を終了させる際の演出を行う大当り終了演出処理を実行し、本処理を終了する。
【0104】
一方、S465では、主制御装置80は、大入賞口14を開放させる大入賞口開放処理を実行し、本処理を終了する。
続いて図17に関して、大当り遊技の終了演出中に移行するS470では、主制御装置80は、該終了演出の時間が終了したか否かを判定し、肯定判定の場合には(S470:Yes)、S475に処理を移行すると共に、否定判定の場合には(S470:No)、本処理を終了する。
【0105】
続くS475,S480では、主制御装置80は、役物連続作動装置と条件装置とを停止させ、S485に処理を移行する。
S485では、主制御装置80は、大当り遊技後に確変モードに移行するか否かを判定し、肯定判定の場合には(S485:Yes)、確変モード中に実行可能な大当り抽選の回数(確変回数)を設定すると共に(S490)、確変フラグをセットし(S495)、S500に処理を移行する。
【0106】
S500では、主制御装置80は、大当り遊技後に時短モードに移行するか否かを判定し、肯定判定の場合には(S500:Yes)、時短モード中に実行可能な大当り抽選の回数(時短回数)を設定すると共に(S505)、時短フラグをセットし(S510)、S515に処理を移行する。
S515,S520では、主制御装置80は、サブ統合制御装置83に対し、大当り遊技に関する演出を終了させる大当り終了コマンドを送信する処理と、状態指定コマンド送信処理とを実行し、本処理を終了する。
【0107】
なお、主制御装置80は、大当り遊技中、大当り遊技の進行状況を示すコマンドをサブ統合制御装置83に対し送信する。該コマンドを受信したサブ統合制御装置83は、演出図柄表示装置6を介して演出を行い、大当り遊技の進行状況を遊技者に報知する。
[効果]
前記実施形態のパチンコ機1によれば、カードユニット46により行われるレート変更処理は、主制御装置80により行われる設定変更される当否確率とは無関係である。これにより、パチンコホールは、同一機種のパチンコ機1であっても同じレートで異なる当否確率の遊技機を、同じ当否確率であっても異なるレートの遊技機を提供することができる。
レートを遊技者が選択できる場合には、遊技者は低いレートを選択して遊技を行い、遊技の結果により当否確率を予想して高いレートに変更することが可能となる。逆に高いレートを選択し、その後に低いレートに変更して遊技を長時間楽しむことも可能となる。
また、本願発明では、設定される当否抽選の確率値は選択されたレートとは関係しない。このため、設定された当否確率に応じてレートの選択幅が変更しないので、設定された当否確率が推測されることがない効果も有する。
【0108】
更に、本実施形態では、主制御装置80により確率値が変更された場合には、当該変更された確率値を示すデータである確率データを枠制御装置81に出力する。
これにより、カードユニット46又は枠制御装置81に接続されたホールコンピュータ等の外部装置は、カードユニット46で使用された金額、遊技終了後にカードユニットに転送された持球数を示すデータ、レート及び確率データに基づき売上を算出できる。確率データを用いることができるので、売上に対する確率の影響をデータ分析することが可能となる効果を有する。
【0109】
また、本実施形態では、設定変更された確率データは枠制御装置81の持球数記憶領域に記憶される。これにより、遊技球クリアスイッチ62bを操作しない限り記憶された確率データはクリアされない。確率データが持球数記憶領域に記憶されるので、持球数と確率データとの対応が明確となる。
変形例に示すように、確率データを枠制御装置81の持球数記憶領域以外の他記憶領域に記憶させれば、クリアスイッチ80c等を操作しない限り記憶された確率データはクリアされない。持球数をクリアしても確率データはクリアされない。主制御装置80から受信する大当り等の遊技状態情報と同様に確率データを扱い、大当り回数等の遊技の性能分析に用いるのにも便利である。
本実施形態は、最新の確率データが枠制御装置81に記憶保持されている。詳細には、RAM81aの持球数記憶領域又は他記憶領域に記憶保持されている。
【0110】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態のパチンコ機1は、所謂第1種遊技機としての構成を有しているが、該パチンコ機1は、例えば、所謂第2種遊技機、又は、1種2種混合機としての構成を有していても良い。第2種遊技機や1種2種混合機では、始動口の入球に応じて小当り遊技が行われ、小当り遊技では特定領域が設けられた大入賞口が開放される。そして、小当り遊技にて大入賞口に入球した遊技球が特定領域に進入すると、大当り遊技が行われる。
【0111】
第2種遊技機や1種2種混合機においても、小当り遊技にて特定領域に遊技球が進入する確率や、大当り遊技の総ラウンド数等を調整することで、遊技性や出玉率といった遊技の特性を変更することが可能と考えられる。このため、このようなパチンコ機において、現在の設定値に応じて遊技の特性が変更されるようにし、さらに、前記実施形態と同様にして、球貸しのレートを設定可能としても良い。
【0112】
(2)前記実施形態では、1台のカードユニット46が1台のパチンコ機1に対応して設けられている。しかしながら、1台のカードユニットを複数のパチンコ機1に対応して設け、該カードユニットにて、対応する各パチンコ機1の球貸しを行うようにしても良い。そして、パチンコ機1にて遊技者からの操作に応じて球貸しのレートが変更されると、カードユニットは、他のパチンコ機1の遊技での球貸しのレートを維持したまま、レートの変更がなされたパチンコ機1の遊技での球貸しのレートを変更するようにしても良い。
【0113】
(3)前記実施形態の球貸しにおいて、カードユニット46は、ICカードに記憶されている遊技球数(以後、出玉情報)に基づいて遊技者に持球を提供しても良い。なお、出玉情報とは、例えば、遊技者が先に獲得し、ICカードに記憶させた持球の数であっても良いし、貯玉(遊技者がパチンコ店に預けている持球)の数であっても良い。つまり、出玉情報に基づく球貸しとは、ICカードに記憶されている持球や貯玉を、遊技に使用する持球として提供することであっても良い。また、出玉情報に係る各遊技球は、該遊技球が得られた際の球貸しのレート(以後、対応レート)と共に、ICカードに記憶されていても良い。
【0114】
そして、カードユニット46は、ICカードに記憶されている出玉情報に基づく球貸しの際、持球として提供される遊技球の対応レートと、パチンコ機1にて設定されている現在のレートとに基づき、遊技者に提供される持球数(換言すれば、貸出数)を決定しても良い。つまり、出玉情報に基づく球貸しの際、出玉情報に係る遊技球の価値を現在のレートに基づき換算し、現在のレート応じた数の遊技球を提供しても良い。具体例を挙げると、仮に、出玉情報に係る遊技球数が100であり、これらの遊技球の対応レートが4円であり、且つ、現在のレートが1円であったとする。この場合、出玉情報に基づく球貸しの際、出玉情報に係る100個の遊技球により、400個の遊技球を提供しても良い。また、仮に、出玉情報に係る遊技球数が100であり、これらの遊技球の対応レートが1円であり、且つ、現在のレートが2円であったとする。この場合、出玉情報に基づく球貸しの際、出玉情報に係る100個の遊技球により、50個の遊技球を提供しても良い。すなわち、パチンコ機1にて設定されている現在のレートとは、金銭に基づく球貸しのみならず、ICカードに記憶されている出玉情報に基づく球貸しの際の貸出数の算出にも用いられても良い。
【0115】
本実施形態では、主制御装置80において設定変更された当否確率を示すデータ(確率データ)は、枠制御装置81に送信され最新の確率データが記憶保持される。この枠制御装置81に記憶保持される最新の確率データは、カードユニット46の要求に応じて送信しても良く、最新の確率データとなったとき(当否確率が設定変更されたとき)にカードユニット46に送信しても良く、又は計数スイッチ62aの操作に従って移動させる持球数を示すデータと共に送信しても良い。
【0116】
本実施形態では、遊技者がレートを変更できる構成だが、パチンコホールの管理者がレートを変更できる構成としても良い。この場合には、カードユニット46の内部等の遊技者が操作することができない位置にレート変更スイッチ57を備え、該スイッチ57を操作することにより、図5(b)に示すレートを示す画像を表示させ、該画像の表示領域をタッチすることによりレートが変更される。この場合においても、カードユニット46から枠制御装置81に変更可能問合せ信号が送信され、カード枠制御装置81はレート変更が可能であれば許可信号をカードユニット46に出力する。許可信号は、レート変更前の遊技が終了していることを条件に出力される。
【0117】
また、本実施形態では、持球数が零でなければレート変更できない構成としたが、持球数が零でなくともレート変更可能な構成としても良い。例えば、持球数が零でない状態でレート設定スイッチ57に対応する画像57aの表示領域がタッチされれば、強制的に発射を停止させ、図柄の変動が終了している等タッチする前の遊技が終了していることを条件にレートを切り替えるのである。このとき、変更前の持球数はレート変更後の持球数に更新されるのである。
これにより、変更前の持球数をカードユニット46に移動させる処理を省くことができる。
【0118】
[特許請求の範囲との対応]
前記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
前記実施形態におけるパチンコ機1が弾球遊技機、第1及び第2始動口11,12、大入賞口14、及び一般入賞口15が入球口、回収路、研磨装置、及び揚送装置33が循環手段、主制御装置80が主制御基板、枠制御装置81が枠制御基板、図4に示す「レート許可処理」がレート許可信号出力手段、電源スイッチ85a、設定変更スイッチ80b及びクリアスイッチ80cが確率設定手段、RAM81aの持球記憶領域が持球数記憶領域、RAM81aの他記憶領域が他記憶領域、クリアスイッチ80cがデータクリア手段、遊技球クリアスイッチ62bが持球数クリア手段、の一例に相当する。
【符号の説明】
【0119】
1…パチンコ機、2…遊技盤、3…遊技領域、11…第1始動口、12…第2始動口、14…大入賞口、15…一般入賞口、16…アウト口、31…発射装置、33…揚送装置、46…カードユニット、47…表示装置、57…レート設定スイッチ、62b…遊技球クリアスイッチ、64…発射ハンドル、80…主制御装置、80a…設定値表示装置、80b…設定変更スイッチ、80c…クリアスイッチ、81…枠制御装置、83…サブ統合制御装置、85a…電源スイッチ、87…ホールコンピュータ。
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