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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】予混合装置及び燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/64 20060101AFI20220527BHJP
【FI】
F23D14/64 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018090848
(22)【出願日】2018-05-09
(65)【公開番号】P2019196864
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】金澤 広輝
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-032840(JP,A)
【文献】実開昭53-065939(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0197574(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0007900(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の減圧部を有するベンチュリーと、前記ベンチュリーに燃料ガスを供給するガス供給路とを備え、ファンを介して前記ベンチュリーを流れる空気に燃料ガスを混合した混合気を生成してバーナに供給するための予混合装置であって、
前記ガス供給路には、燃料ガスを減圧するガス側減圧部が設けられると共に、前記ガス側減圧部は、前記ベンチュリーの前記減圧部と同じ形状で形成されており、
前記ガス側減圧部は、ノズル形状を有する別体のノズル板を前記ガス供給路上へ着脱可能に設けて形成されていることを特徴とする予混合装置。
【請求項2】
前記減圧部及び前記ガス側減圧部は、ノズル形状であることを特徴とする請求項1に記載の予混合装置。
【請求項3】
前記ノズル形状は、流路を狭くする狭窄部と、その狭窄部の上流側から前記狭窄部へ行くに従って流路を曲面状に絞る絞り部とを含んでなることを特徴とする請求項2に記載の予混合装置。
【請求項4】
請求項1乃至の何れかに記載の予混合装置を備え、前記予混合装置の前記ベンチュリーに空気を流すためのファンと、前記予混合装置によって生成される混合気が供給されるバーナとを含んでなる燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気に燃料ガスを混合して混合気を生成する予混合装置と、その予混合装置で生成された混合気を燃焼させるバーナを備えた燃焼装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置等に使用される燃焼装置では、燃料ガスと燃焼に必要な全ての空気とを混合させた混合気を燃焼させる予混合式(全一次空気式)のバーナを用いることがある。このバーナを使用する場合、燃料ガスに空気を予め混合して混合気を生成する予混合装置が用いられる。
この予混合装置として、例えば特許文献1には、中央の流路を狭くしたハウジング内を、第1の隔壁によって第1の空気供給部と第2の空気供給部とに区画すると共に、第2の隔壁によって区画されて第1の空気供給部と連通する第1のガス供給部と、第2の空気供給部と連通する第2のガス供給部とに分離形成し、ハウジングの中間に第2の空気供給部及び第2のガス供給部とを同時に開閉する開閉手段を設けたデュアルベンチュリーの発明が開示されている。
また、特許文献2には、同じくベンチュリー部の通路部の上流側にバタフライ弁を、ガス室の上流側に、バタフライ弁と連動して通気抵抗を大小に切り換える切換弁をそれぞれ設けると共に、両弁を連動させる連動機構にクッションバネを組み込んだ予混合装置の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2016-513783号公報
【文献】特開2015-230143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2のベンチュリー構造では、空燃比を一定とするために、ベンチュリーへのガス供給路に、ガス量を絞るオリフィス等の絞り部を設けているが、空気量及びガス量を絞ると、空燃比が低下する傾向となってしまい、ターンダウン比を希望する範囲まで絞ることができない場合が生じている。具体的には、全一次空気式では空燃比1.3前後で燃焼させたい希望があっても、ガス調節弁やガス圧のばらつきによって空燃比が1.0を下回るおそれがあり、従来のベンチュリー構造では使い勝手の向上が難しくなっている。
【0005】
この原因を追及したところ、ベンチュリーで生じる空気量と減圧の関係と、ガス量の絞り部で生じるガス量と減圧の関係とのバランスが崩れており、このバランスの崩れは、ベンチュリーとガス量の絞り部との構造の違いに起因していることが分かった。例えばノズルとオリフィスとでは、流量と圧力との関係が異なっており、ノズルでは流量が減ると圧力損失が期待値を上回り、オリフィス構造では流量が減ると圧力損失が期待値を下回り、結局流量が圧力損失に比例する範囲以下で使用せざるを得なくなっている。
【0006】
そこで、本発明は、空気量と圧力損失とのバランスの崩れを解決し、空気量及びガス量を絞っても空燃比の変化を抑えることができる予混合装置及び燃焼装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、空気の減圧部を有するベンチュリーと、ベンチュリーに燃料ガスを供給するガス供給路とを備え、ファンを介してベンチュリーを流れる空気に燃料ガスを混合した混合気を生成してバーナに供給するための予混合装置であって、
ガス供給路には、燃料ガスを減圧するガス側減圧部が設けられると共に、ガス側減圧部は、ベンチュリーの減圧部と同じ形状で形成されており、
ガス側減圧部は、ノズル形状を有する別体のノズル板をガス供給路上へ着脱可能に設けて形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、減圧部及びガス側減圧部は、ノズル形状であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、ノズル形状は、流路を狭くする狭窄部と、その狭窄部の上流側から狭窄部へ行くに従って流路を曲面状に絞る絞り部とを含んでなることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項に記載の発明は、燃焼装置であって、請求項1乃至の何れかに記載の予混合装置を備え、予混合装置のベンチュリーに空気を流すためのファンと、予混合装置によって生成される混合気が供給されるバーナとを含んでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1及びに記載の発明によれば、ガス側減圧部を、ベンチュリーの減圧部と同じ形状で形成したことで、減圧部で生じる空気量と減圧との関係と、ガス側減圧部で生じるガス量と減圧との関係との間でバランスの崩れがなくなる。よって、空気量及びガス量を絞っても空気比の変化を一定にでき、空燃比の変化を抑えることができる。
特に、ガス側減圧部を、ノズル形状を有する別体のノズル板をガス供給路上へ着脱可能に設けて形成しているので、ノズル板の取り外しや交換によりメンテナンスやノズル形状の仕様変更が容易に行える。
請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加えて、減圧部及びガス側減圧部をノズル形状としたことで、圧力損失の変化のバランスをより好適に保つことができる。
請求項3に記載の発明によれば、上記効果に加えて、ノズル形状を、流路を狭くする狭窄部と、その狭窄部の上流側から狭窄部へ行くに従って流路を曲面状に絞る絞り部とを含んでなるものとしているので、通路抵抗が生じにくいノズル形状を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】給湯装置の斜視図である。
図2】給湯装置の正面図である。
図3】給湯装置の平面図である。
図4図3のA-A線断面図である。
図5】予混合装置の斜視図である。
図6】予混合装置の正面図である。
図7】(A)は、フラップバルブが開弁位置にある予混合装置の平面図、(B)はその混合筒部分のB-B線断面図である。
図8】(A)は、フラップバルブが閉弁位置にある予混合装置の平面図、(B)はその混合筒部分のB-B線断面図である。
図9図7のC-C線断面図である。
図10図9のD-D線断面図である。
図11図9のE-E線断面図である。
図12図11の斜視図である。
図13】分岐形成されたガス供給路を独立して示す説明図で、(A)は平面、(B)は側面、(C)は正面をそれぞれ示す。
図14】(A)は図13のF-F線断面、(B)はG-G線断面、(C)はH-H線断面をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(給湯装置の全体構成の説明)
図1は、予混合装置を備えた燃焼装置の一例である給湯装置の斜視図、図2は正面図、図3は平面図、図4図3のA-A線断面図である。
この給湯装置1は、上からバーナユニット3、一次熱交換器4、二次熱交換器5の順に設けられる本体2と、本体2の後方で上向きに設けられる排気部6と、本体2の右側方でバーナユニット3に連結されるファンユニット7と、ファンユニット7の下側に連結される予混合装置8とを備えている。
まず、バーナユニット3は、図4に示すように、上板10と、上板10の下部に取り付けられて一次熱交換器4の中ケーシング15内に突出する下板11とを有する。上板10には、上方へ突出して側面が開口する深底部12が形成されて、下板11には、複数の炎孔14,14・・が形成された炎孔板13が設けられている。
【0011】
一次熱交換器4は、バーナユニット3が取り付けられる中ケーシング15内の下部に、複数のフィン16,16・・を左右方向へ所定間隔をおいて並設すると共に、各フィン16を蛇行状に貫通する伝熱管17を配設し、中ケーシング15の右側面に伝熱管17の端部をそれぞれ突出させて、奥側下部に入側接続口18を、手前側上部に出側接続口19を設けている。出側接続口19には図示しない出湯管が接続される。
二次熱交換器5は、中ケーシング15と連通する下ケーシング20内に、凹凸を形成した複数の伝熱プレート21,21・・を前後方向へ所定間隔をおいて並設して、伝熱プレート21,21・・間で連続する内部流路を形成し、下ケーシング20の正面側下部に設けた入口22と正面側上部に設けた出口23とを内部流路と接続してなる。入口22に図示しない給水管が接続され、出口23が図示しない配管を介して一次熱交換器4の入側接続口18と接続される。下ケーシング20の下部には、ドレンを受ける下カバー24が設けられて、ドレン排出口25を前面下部に突出させている。
【0012】
排気部6は、下部前面を下ケーシング20の下部後面と連通させた四角筒状で、バーナユニット3を超えて上方に延びる上端には、排気筒26が設けられている。
ファンユニット7は、平面視が円形状のファンケース27の上面中央にファンモータ28を下向きに取り付け、ファンケース27内に突出する回転軸29に遠心ファン30を固着してなる。ファンケース27の下面中央には吸込口31が、側面には吹出口32がそれぞれ形成されて、ファンケース27の左側面がバーナユニット3の上板10の深底部12に連結されて、吹出口32を深底部12の内部と連通させている。
【0013】
(予混合装置の説明)
次に、予混合装置8の構造について詳述する。図5は予混合装置8の斜視図、図6は正面図、図7(A)は平面図,同図(B)は混合筒部分のB-B線断面図である。
この予混合装置8は、ファンケース27の下面へ吸込口31との連通状態で連結される混合筒40と、混合筒40の正面側に設けられて混合筒40へ燃料ガスを供給するガス通路部41と、ガス通路部41の下端に連結される均圧弁42と、を含んでなる。
まず混合筒40は、図7に示すように、下端に空気の導入口44を開口させて上下方向に等径となる下筒部43と、下筒部43の上端から同軸に連設され、上方へ行くに従って径が大きくなる拡開状で、上端にフランジ46を形成した上筒部45とを有する。フランジ46がファンケース27の下面に取り付けられて、上筒部45が吸込口31と同軸で連通する。
【0014】
下筒部43内には、減圧部47が同軸で連設されている。この減圧部47は、下筒部43の上下方向の中間部位へ全周に亘って結合されて、中心へ行くに従って徐々に上方へ移動する曲面状に縮径する下端側の絞り部48と、絞り部48の上端から僅かに縮径しながら下筒部43の上端まで延びる狭窄部49とを備えている。すなわち、導入口44から吸い込まれる空気が絞り部48で絞られて通路面積の小さい減圧部47を通過するノズル形状となっている。
また、混合筒40内には、下筒部43から減圧部47、上筒部45の下部にかけて上下方向の仕切壁50が形成されて、混合筒40内を左右に二分割している。但し、仕切壁50は、混合筒40内の軸心から右側へ偏心した位置に配置されて、混合筒40内に、仕切壁50の右側を上下に貫通して減圧部47の狭窄部49に開口する三日月状の小さい第1の隙間53を通る第1ベンチュリー51と、仕切壁50の左側を上下に貫通して減圧部47の狭窄部49に開口する半月状の大きい隙間54を通る第2ベンチュリー52とを形成している。
【0015】
さらに、上筒部45内で仕切壁50の上側には、開閉手段としてのフラップバルブ55が設けられている。このフラップバルブ55は、裏面にシール板56を固着した半円状の板体で、下端の前後両端に設けた支持部57,57が、仕切壁50の上側で上筒部45内に形成した凹部58内で回転可能に保持されている。凹部58における第2ベンチュリー52側には、仕切壁50の上端から左側へ上り傾斜するU字状の弁座59が形成されている。
混合筒40の背面には、バルブ駆動モータ60が設けられて、その図示しないモータ軸が後側の支持部57と連結されている。よって、バルブ駆動モータ60の回転により、フラップバルブ55は、図7に示すように仕切壁50の上側へ延長上に起立して第2ベンチュリー52を開放する開弁位置と、図8に示すようにシール板56が弁座59に当接するまで傾倒して第2ベンチュリー52を閉塞する閉弁位置とに揺動可能となっている。
【0016】
そして、混合筒40内で下筒部43の上端と減圧部47の上端との間には、後端を閉塞して前方へ延びる円柱状の第1直線路61と第2直線路62とが、減圧部47を中心とする左右対称に形成されている。この第1直線路61の上側には、第1ベンチュリー51と連通する三日月状の第1連通口63が形成され、第2直線路62の上側には、第2ベンチュリー52と連通する三日月状の第2連通口64が形成されている。
【0017】
この第1、第2直線路61,62の前端は、図11,12に示すように、ガス通路部41に形成された後述する第1ガス通路81と第2ガス通路82とにそれぞれ連通されている。各直線路61,62の前部には、各ガス通路81,82と連通する前後に略等径の導入部65と、導入部65と同軸で狭窄部としての狭窄孔67を形成した絞り部66とがそれぞれ設けられている。各絞り部66の前面は、減圧部47の絞り部48と同様に、外周から中心へ行くに従って徐々に後方へ移動する曲面状に縮径している。よって、第1、第2直線路61,62の前部には、導入部65からの燃料ガスを絞り部66から狭窄孔67に導き、減圧させて狭窄孔67から後方へ噴出させるガス側減圧部としての第1、第2ノズル68,69がそれぞれ形成される。但し、狭窄孔67の径は、第1ノズル68よりも第2ノズル69の方が大径となっている。
この第1、第2ノズル68,69は、下筒部43と前ブロック75との間に挟持固定されるノズル板70に設けられているため、ノズル板70の取り外しによって第1、第2ノズル68,69の清掃や修理等が容易に行える。また、ノズル板70の交換によって絞り部66や狭窄孔67の仕様変更も簡単に行うことができる。
【0018】
ガス通路部41は、図9,10に示すように、混合筒40の前側に連結されて左右方向に延び、右端が斜め下方へ傾斜する前ブロック75と、前ブロック75の左側上面に設けられるガス切換手段としての電磁弁76と、前ブロック75の前面を閉塞する閉塞板77と、前ブロック75の右端に後方から連結されて上下方向へ伸び、下端が均圧弁42に連結される後ブロック78とを有する。このガス通路部41の内部に、均圧弁42の出口に接続される上流端の導入路80と、導入路80に上流端が接続され、下流端が第1直線路61の導入部65に接続される第1ガス通路81と、導入路80に上流端が接続され、下流端が第2直線路62の導入部65に接続される第2ガス通路82とが形成されている。
【0019】
第1ガス通路81は。ガス供給路を独立して示す図13,14にも示すように、導入路80の下側(上流側)に接続されて後ブロック78と前ブロック75とに跨がって前方へ延びる前後通路部81Aと、前後通路部81Aの前端から前ブロック75の傾斜部分に沿って左上側へ傾斜状に延びる傾斜通路部81Bと、傾斜通路部81Bの上端から左側へ延び、第1直線路61の導入部65に接続される左右通路部81Cとからなる。
第2ガス通路82は、導入路80の上側(下流側)に接続されて前後通路部81Aの上側で後ブロック78と前ブロック75とに跨がって前方へ延びる前後通路部82Aと、前後通路部82Aの前端から傾斜通路部81Bの上側で前ブロック75の傾斜部分に沿って左上側へ傾斜状に延びる傾斜通路部82Bと、傾斜通路部82Bの上端から左右通路部81Cの上側で左右通路部81Cを越えて左側へ延びる上左右通路部82Cとを有している。また、上左右通路部82Cの左端から左右通路部81Cの左隣まで下向きに延びる上下通路部82Dと、上下通路部82Dの下端から左側へ延び、第2直線路62の導入部65に接続される下左右通路部82Eとをさらに有している。
【0020】
このように、均圧弁42の出口から上下に分岐して第1、第2連通口63,64に至るガス供給路は、導入路80から分岐して、第1ガス通路81及び第1直線路61を通って第1連通口63に至る第1ベンチュリー51側のガス供給路と、第2ガス通路82及び第2直線路62を通って第2連通口64に至る第2ベンチュリー52側のガス供給路とに互いに独立して形成されている。第1、第2ガス通路81,82は、第2ガス通路82が電磁弁76に至るまでは、前後通路部81Aと前後通路部82A、傾斜通路部81Bと傾斜通路部82B、左右通路部81Cと上左右通路部82がそれぞれ上下方向にオーバーラップした状態で互いに平行に形成されているため、前後左右にコンパクトとなっている。
また、上側でオーバーラップする第2ガス通路82は、電磁弁76に至った後は下向きに屈曲して上下通路部82Dによって第1ガス通路81と同じ高さまで下降し、第1、第2直線路61,62は、共に同じ高さで第1、第2連通口63,64に接続されているので、電磁弁76から第1、第2連通口63,64に至る2つのガス供給路が簡単に形成可能となっている。
【0021】
ここで、第2ガス通路82の上下通路部82Dの入口には、図9にも示すように、電磁弁76の弁体83が着座する弁座84が設けられて、電磁弁76の駆動によって弁体83が弁座84に着座する閉弁位置と、弁体83が弁座84から離れる開弁位置とを選択することで、第2ガス通路82が任意に開閉可能となっている。
均圧弁42は、図示しないダイヤフラムによって動作するバルブを備えて二次側の圧力を一定に保つ周知の構成で、入口には、図示しないコントローラによって制御される電磁弁によりガス流路が開閉されるガス管が接続されて、燃料ガスが供給可能となっている。
【0022】
(給湯装置の動作説明)
以上の如く構成された給湯装置1は、器具内に通水されると、リモコン等で要求される燃焼量に応じた回転数でコントローラがファンモータ28を駆動させて遠心ファン30を回転させると共に、当該燃焼量が所定の閾値以上である場合は、バルブ駆動モータ60を制御してフラップバルブ55を開弁位置に移動させて第2ベンチュリー52を開放する。
すると、混合筒40では、下筒部43の下方から遠心ファン30の回転数に比例した空気が導入口44から吸い込まれ、図7及び図14に点線矢印で示すように、仕切壁50の右側を流れる空気A1と、左側を流れる空気A2とに分岐して、それぞれ第1、第2ベンチュリー51,52を通って上筒部45へ流れる。このとき、各ベンチュリー51,52を通過する空気A1,A2は、絞り部48から狭窄部49に至る通路面積の縮小により、流速を上げて上筒部45へ流れるため、減圧部47で減圧されて負圧が生じる。
【0023】
同時にガス管からは燃料ガスが供給され、均圧弁42を通ってガス通路部41の導入路80に至り、図13,14に実線矢印で示すように、第1ガス通路81を流れるガスG1と、第2ガス通路82を流れるガスG2とに分岐して流れる。第1ガス通路81でのガスG1は、前後通路部81A、傾斜通路部81B、左右通路部81Cの順に流れて第1直線路61の導入部65に至り、第2ガス通路82でのガスG2は、前後通路部82A、傾斜通路部82B、上左右通路部82C、上下通路部82D、下左右通路部82Eの順に流れて第2直線路62の導入部65に至る。
そして、第1、第2直線路61,62では、ガスG1,G2がそれぞれ第1、第2ノズル68,69の絞り部66から狭窄孔67を通過することで、流速を上げて各直線路61,62内に噴出する。
【0024】
各直線路61,62からは、第1、第2ベンチュリー51,52で生じる負圧との差圧に応じた量のガスG1,G2が、第1、第2連通口63,64を通って上筒部45に吸い込まれ、ここで空気A1,A2と混合されて混合気が生成される。
ここでは混合筒40での第1、第2ベンチュリー51,52と、各直線路61,62での第1、第2ノズル68,69とを同じノズル形状としているので、ここを通過する空気量と減圧との関係が互いに同じとなり、各ベンチュリー51,52での空気量に応じてガス量が変化しても、空気比の変化が一定となる。
【0025】
一方、要求される燃焼量が所定の閾値を下回る場合は、バルブ駆動モータ60を制御してフラップバルブ55を閉弁位置に移動させて第2ベンチュリー52を閉塞する。これと同時に、電磁弁76の弁体83を閉弁位置に突出させて第2ガス通路82を閉塞する。よって、遠心ファン30によって吸い込まれた空気は、図8に示すように第1ベンチュリー51を通過する空気A1のみとなる。また、燃料ガスは、ガス通路部41の導入路80から第1ガス通路81を流れるG1のみとなり、第1直線路61では、第1ノズル68の絞り部66から狭窄孔67を通過することで、流速を上げて第1直線路61内に噴出する。
そして、第1直線路61からは、第1ベンチュリー51で生じる負圧との差圧に応じた量のガスG1が、第1連通口63を通って上筒部45に吸い込まれ、ここで空気A1と混合されて混合気が生成される。この場合も第1ベンチュリー51と第1ノズル68とが同じノズル形状であるため、第1ベンチュリー51での空気量に応じガス量が変化しても、空気比の変化は一定になる。
【0026】
ここでは第1ガス通路81及び第1直線路61と、第2ガス通路82及び第2直線路62とは、それぞれ導入路80から分岐し独立して第1、第2ベンチュリー51,52の第1、第2連通口63,64に繋がっているので、第1ベンチュリー51のみが単独使用される際、閉塞される第2ベンチュリー52側の第2連通口64から第2直線路62及び第2ガス通路82に空気が逆流して第1ガス通路81内のガスG1と混ざったりするおそれが生じない。特に、使用されない第2ガス通路82では、電磁弁76によって第2ガス通路82を物理的に閉塞するので、空気の逆流はより確実に防止される。
【0027】
こうして混合筒40で生成された混合気は、吸込口31からファンケース27に吸い込まれて吹出口32からバーナユニット3の深底部12内に送られ、炎孔板13の各炎孔14から噴出し、図示しない点火電極によって点火されて燃焼する。
バーナユニット3からの燃焼排気は、一次熱交換器4の中ケーシング15で各フィン16,16の間を通過することで、伝熱管17内を流れる水と熱交換し、顕熱が回収される。その後、二次熱交換器5の下ケーシング20内で各伝熱プレート21,21の間を通過することで、伝熱プレート21の内部流路を流れる水と熱交換し、潜熱が回収される。そして、排気部6内を上昇して排気筒26から排出される。
【0028】
(予混合装置のガス供給路に係る発明の効果)
このように、上記形態の予混合装置8及び給湯装置1によれば、遠心ファン30の回転によって空気が流れる2つの第1、第2ベンチュリー51,52と、各ベンチュリー51,52にそれぞれ設けられ、ガス供給路から供給される燃料ガスを流出させる第1、第2連通口63,64と、第2連通口64よりも下流側で第2ベンチュリー52を開閉可能な開閉手段(フラップバルブ55)と、第1、第2連通口63,64よりも上流側でガス供給路に設けられる均圧弁42と、を含み、両ベンチュリー51,52を使用するときと、第2ベンチュリー52を閉塞して第1ベンチュリー51のみを使用するときとを使い分けているので、ターンダウン比を大きく取ることができて最低ガス量を下げることが可能となる。よって、使い勝手が向上する。
【0029】
そして、均圧弁42の出口と2つの第1、第2連通口63,64との間を接続するガス供給路を、均圧弁42の出口から分岐させて各ベンチュリー51,52ごとにそれぞれ独立して形成した第1ガス通路81及び第1直線路61と、第2ガス通路82及び第2直線路62としているので、第2ベンチュリー52を閉塞した際に、第2連通口64からの空気の逆流を防止することができる。よって、簡単な構造で空気比等の燃焼のバランスの変動を抑制可能となり、混合気が空気過剰となることを防止できる。
また、フラップバルブ55が設けられる第2ベンチュリー52側に分岐形成される第2ガス通路82に、第2ガス通路82を開閉可能で、フラップバルブ55によって第2ベンチュリー52が閉塞される際に第2ガス通路82を閉塞するガス切換手段(電磁弁76)を設けているので、第1ベンチュリー51を単独使用する際の空気の逆流を確実に防止することができる。
【0030】
さらに、2つのガス供給路を形成する第1、第2ガス通路81,82は、均圧弁42の出口から上下に分岐し、第2ガス通路82が電磁弁76に至るまでは、上下方向にオーバーラップした状態で互いに平行に形成されているため、2つのガス供給路が省スペースで形成可能となる。
加えて、上側でオーバーラップする第2ガス通路82は、電磁弁76に至った後は下向きに屈曲して第1ガス通路81と同じ高さまで下降し、2つのガス供給路の第1、第2直線路61,62は、共に同じ高さで第1、第2連通口63,64に接続されているので、電磁弁76から第1、第2連通口63,64に至る2つのガス供給路が簡単に形成可能となる。
【0031】
なお、上記形態では、第2ガス通路82に電磁弁76を設けているが、ガス切換手段としてはこれ以外にフラップバルブ等の他の機構を用いてもよい。また、このようなガス切換手段は省略しても差し支えない。ガス供給路の分岐形成構造も上記形態に限らず、ブロックを用いずに配管によって各ガス供給路を分岐形成することもできる。
また、ガス供給路に係る発明においては、第1、第2直線路の第1、第2ノズルは必須ではなく、均圧弁の出口から第1、第2連通口までこのようなガス側減圧部のないガス供給路を分岐形成することもできる。
【0032】
(予混合装置の減圧部及びガス側減圧部に係る発明の効果)
このように、上記形態の予混合装置8及び給湯装置1によれば、ガス供給路の第1、第2直線路61,62に、燃料ガスを減圧するガス側減圧部(第1、第2ノズル68,69)を設けると共に、ガス側減圧部(第1、第2ノズル68,69)を、第1、第2ベンチュリー51,52の減圧部47と同じ形状で形成しているので、減圧部47で生じる空気量と減圧との関係と、ガス側減圧部(第1、第2ノズル68,69)で生じるガス量と減圧との関係との間でバランスの崩れがなくなる。よって、空気量及びガス量を絞っても空気比の変化を一定にでき、空燃比の変化を抑えることができる。
【0033】
特にここでは、減圧部47及びガス側減圧部(第1、第2ノズル68,69)をノズル形状としているので、圧力損失の変化のバランスをより好適に保つことができる。
また、各ノズル形状を、流路を狭くする狭窄部(狭窄部49、狭窄孔67)と、その狭窄部の上流側から狭窄部へ行くに従って流路を曲面状に絞る絞り部48,66とを含んでなるものとしているので、通路抵抗が生じにくいノズル形状を得ることができる。
さらに、第1、第2ノズル68,69を、ノズル形状を有する別体のノズル板70を第1、第2直線路61,62上へ着脱可能に設けて形成しているので、ノズル板70の取り外しや交換によりメンテナンスやノズル形状の仕様変更が容易に行える。
【0034】
なお、絞り部48,66の形状は曲面状に限らず、直線状に縮径するテーパ形状とする等、適宜変更可能である。
また、上記形態では、減圧部及びガス側減圧部を共にノズル形状としているが、同じ形状であれば共にオリフィス形状としてもよい。この場合もベンチュリー側の減圧部で生じる空気量と減圧との関係と、ガス側減圧部で生じるガス量と減圧との関係とバランスの崩れをなくすことができる。
さらに、減圧部及びガス側減圧部に係る発明では、2つのベンチュリーは必須ではなく、1つのベンチュリーであっても減圧部とガス側減圧部とを同じ形状とすれば、上記形態と同様に空燃比の変化の抑制効果は得られる。
【0035】
その他、各発明に共通して、給湯装置自体の構成は上記形態に限らず、ファンをベンチュリーの上流側に設けたり、二次熱交換器がない構造であったりしても各発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1・・給湯装置、2・・本体、3・・バーナユニット、4・・一次熱交換器、5・・二次熱交換器、6・・排気部、7・・ファンユニット、8・・予混合装置、28・・ファンモータ、30・・遠心ファン、31・・吸込口、32・・吹出口、40・・混合筒、41・・ガス通路部、42・・均圧弁、43・・下筒部、44・・導入口、45・・上筒部、47・・減圧部、48,66・・絞り部、49・・狭窄部、50・・仕切壁、51・・第1ベンチュリー、52・・第2ベンチュリー、53・・第1の隙間、54・・第2の隙間、55・・フラップバルブ、60・・バルブ駆動モータ、61・・第1直線路、62・・第2直線路、63・・第1連通口、64・・第2連通口、65・・導入部、67・・狭窄孔、68・・第1ノズル、69・・第2ノズル、70・・ノズル板、76・・電磁弁、80・・導入路、81・・第1ガス通路、82・・第2ガス通路、A1,A2・・空気、G1,G2・・ガス。
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