(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】プラグコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6583 20110101AFI20220527BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20220527BHJP
H01R 13/03 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
H01R13/6583
H01R43/00 B
H01R13/03 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017193991
(22)【出願日】2017-10-04
【審査請求日】2020-07-06
(32)【優先日】2016-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】アブクラッセム,ザミール
(72)【発明者】
【氏名】ヴュルカー,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】シュレットリンガー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ムンパー,ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ケテラー,アルフォンス
(72)【発明者】
【氏名】ベルクナー,ベルト
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-250230(JP,A)
【文献】特開2001-185294(JP,A)
【文献】特開2002-208455(JP,A)
【文献】実開昭59-121182(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0045699(US,A1)
【文献】国際公開第2016/147833(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0171032(US,A1)
【文献】特開昭63-114083(JP,A)
【文献】特開平08-096868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
H01R 43/00-43/02
H01R 13/00-13/08
H01R 13/15-13/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケット(160)に挿入するためおよびケーブルヘッド(130)を収容するためのプラグコネクタ(100)であって、
前記ソケット(160)は直方体の形状を有しており、
前記プラグコネクタ(100)は、
前記ケーブルヘッド(130)を収容するための複数の側壁(116)および前面開口(113)を有するプラグコネクタフレーム(110)と、
前記ケーブルヘッド(130)と前記ソケット(160)とを電気的に接続するための、弾力性のある材料で製作されたばね要素(120)とを含み、
前記ばね要素(120)は、
前記ケーブルヘッド(130)に導電接触するために前記プラグコネクタフレーム(110)の前記複数の側壁(116)のうちの1つの内側に突き出る第1のコンタクト部分(121)と、
前記ソケット(160)に導電接触するために前記プラグコネクタフレーム(110)の前記複数の側壁(116)のうちの1つの外側に突き出る第2のコンタクト部分(122)と、を有し、
前記第1のコンタクト部分(121)と前記第2のコンタクト部分(122)とは、直接、導電接続されるとともに、
前記プラグコネクタフレーム(110)は、前記ばね要素を挿入するための前面間隙(114)を有し、
前記プラグコネクタフレームの前記前面間隙(114)および前記前面開口(113)は連結されている、
プラグコネクタ(100)。
【請求項2】
前記ばね要素(120)は2つの屈曲部(1223、1224)を有する板ばねとして形成され、前記2つの屈曲部は反対方向に向けられ、前記コンタクト部分は前記2つの屈曲部に位置する、
請求項1に記載のプラグコネクタ。
【請求項3】
前記2つのコンタクト部分(1221、1222)は、前記ばね要素(120)内に前記屈曲部において造られた張出しであり、
前記第1のコンタクト部分(1221)を構成する前記張出しは、前記プラグコネクタフレーム(110)の内側の方に向けられ、
前記第2のコンタクト部分(1222)を構成する前記張出しは、前記プラグコネクタフレーム(110)の外側の方に向けられる、
請求項2に記載のプラグコネクタ。
【請求項4】
前記ばね要素は、
前記前面開口(113)を含む前面(112)に隣接する前記プラグコネクタフレームの一部に嵌合される平坦端部部分(323a)と、
前記プラグコネクタフレーム(110)に前記ばね要素(120a)を固定するための突起(324a)であり、前記平坦端部部分の表面から突き出る、突起(324a)とを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
【請求項5】
前記ばね要素の前記平坦端部部分(323a)から突き出る前記突起(324a)は、前記ばね要素の前記平坦端部部分(323a)に造られた張出しである、
請求項4に記載のプラグコネクタ。
【請求項6】
歯(1229a)が、前記ばね要素(120)を前記プラグコネクタフレーム(110)に固定するために前記ばね要素(120)の前記平坦端部部分(323a)のリムから突き出し、
前記歯(
1229a)は、前記プラグコネクタフレーム(110)の材料に少なくとも部分的に圧入される、
請求項4または5に記載のプラグコネクタ。
【請求項7】
前記ばね要素(120)は、前記弾力性のある材料の単一片で製作される、
請求項1から6のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
【請求項8】
前記ばね要素(120)は金属で製作される、
請求項1から7のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
【請求項9】
前記ばね要素(120)のコンタクト部分がめっきされ、前記めっきの材料は、前記ばね要素が製作される材料よりも高い導電性を有する、
請求項1から8のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
【請求項10】
前記プラグコネクタフレーム(110)は、前記複数の側壁(116)として4つの側壁(116)を有する、
請求項1から9のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
【請求項11】
前記ケーブルヘッド(130)は、クリンプ部(133)を有する固定要素(132)を含み、前記固定要素(132)は導電性材料で製作されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
【請求項12】
前記ばね要素の前記第1のコンタクト部分(121)および前記第2のコンタクト部分(122)は、側壁開口(117)を通って前記側壁(116)を越えて現われ、前記側壁開口(117)と前記前面間隙(114)とは連結される、
請求項10または11に記載のプラグコネクタ。
【請求項13】
前記プラグコネクタは、前記第1のばね要素(120a)が嵌合される前記側壁(116a)から前記プラグコネクタフレームの反対側の前記プラグコネクタフレームの第2の側壁(116b)に嵌合される第2のばね要素(120b)を含む、
請求項1から12のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
【請求項14】
ソケット(160)と、請求項1から13のいずれか一項に記載のプラグコネクタ(100)と、シールドケーブル(131)のケーブルヘッド(130)とを含むプラグコネクタシステムであって、
前記ソケット(160)は、導電性材料で製作されたシールド要素を含み、
前記ケーブルヘッド(130)は、導電性材料で製作されたシールド要素を含み、
前記プラグコネクタの前記ばね要素(120)は、前記ソケットの前記シールド要素と前記ケーブルヘッドの前記シールド要素とを電気的に接続し、
前記プラグコネクタ(100)は前記ソケット(160)に取り外し可能に差し込み可能であり、前記ケーブルヘッド(130)は前記プラグコネクタ(100)に取り外し不能に挿入される、
プラグコネクタシステム。
【請求項15】
前記ソケット(160)は直方体の形状を有している、
請求項14に記載のプラグコネクタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグコネクタ、およびプラグコネクタを製造するためのプロセス、ならびにプラグコネクタ、ソケット、およびケーブルヘッドを含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
100Mbit/sおよび1Gbit/s自動車用途ならびに特に車載配備のための単一ツイストペアイーサネット物理層の最近の開発により、多数の通信ノードを収容する能力を有する新しいデータ通信アーキテクチャが可能になっている。非シールドツイストペア(UTP)ケーブル配線は、配備されるべき大量のイーサネットポートにとって最も経済的な解決策であるが、UTPの電磁適合性(EMC)性能は限られる。したがって、UTPを使用する場合に十分なEMCを達成するために、すべての構成要素への特定の電気設計が必要である。
【0003】
例えば、TE ConnectivityのMATEnetコネクタプラットホームは、DiBiaso, E.、Bergner, B.、Wuelfing, J.、Wuerker, R. 等、「Designing a Connection System for Gigabit Automotive Ethernet」、SAE Int. J. Passeng. Cars - Electron. Electr. Syst. 9(1):134-146、2016、doi:10.4271/2016-01-007に記載されているように、それらのニーズに対処し、非シールドケーブル配線のための自動車向け解決策を提供している。しかしながら、自動車プラットホームによっては、敏感なイーサネットリンクが存在し、放出される電磁ノイズは追加の抑制を必要とする。
例えば、フロントフェーシングカメラがバックミラーの上に取り付けられている自動車は、さらに、AM、FM、およびデジタルラジオ放送アンテナをフロントガラスに、カメラにごく接近して、一体化することがある。この場合、これらのワイヤレスシステムの性能は、高性能UTPシステムが使用されている場合でさえ、ネットワークカメラ接続によって劣化することがある。
【0004】
1つの実行可能な手法は、シールドされていないシステムの代わりに完全にシールドされたコネクタシステムを使用することである。しかしながら、同じイーサネットシステムにおいて異なるコネクタプラットホームを使用すると、構成要素の差異が増加し、一般に、コストの増加がもたらされる。完全にシールドされたシステムをすべてのイーサネットリンクに使用することを代替手法とすることもできるが、それはさらに高価になる可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】DiBiaso, E.、Bergner, B.、Wuelfing, J.、Wuerker, R. 等、「Designing a Connection System for Gigabit Automotive Ethernet」、SAE Int. J. Passeng. Cars - Electron. Electr. Syst. 9(1):134-146、2016、doi:10.4271/2016-01-007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述に鑑みて、本発明の目的は、シールドシステム構成要素と非シールドシステム構成要素とを効率的に配備することができるプラットホームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これは、独立請求項に記載の特徴によって達成される。
【0008】
好ましい実施形態は従属請求項の主題である。
【0009】
特に、ソケットのシールドと、ソケットに差し込まれるべきケーブルのシールドとを相互接続することができるプラグコネクタが提供される。そのようなプラグコネクタは、シールドケーブルと非シールドコネクタシステムとを経済的で都合の良い方法で組み合わせられるようにし、敏感なリンクに対して十分なEMCを確保する。
【0010】
本発明の一態様によれば、ソケットに挿入するためおよびケーブルヘッドを収容するためのプラグコネクタが提供される。プラグコネクタは、ケーブルヘッドを収容するための側壁および前面開口を有するプラグコネクタフレームと、ケーブルヘッドとソケットとを電気的に接続するための、弾力性のある材料で製作されたばね要素とを含む。ばね要素は、ケーブルヘッドに導電接触するためにプラグコネクタフレームの側壁の上に内側に突き出る第1のコンタクト部分と、ソケットに導電接触するためにプラグコネクタフレームの側壁の上に外側に突き出る第2のコンタクト部分とを有する。第1のコンタクト部分および第2のコンタクト部分は、直接、導電接続される。
【0011】
有利には、ばね要素は2つの屈曲部を有する板ばねとして形成され、屈曲部は反対方向に向いており、コンタクト部分は屈曲部に位置する。
【0012】
2つのコンタクト部分は、ばね要素内に屈曲部において造られた張出し(bulges)とすることができ、第1のコンタクト部分を構成する張出しはプラグコネクタフレームの内側の方に向けられ、第2のコンタクト部分を構成する張出しはプラグコネクタフレームの外側の方に向けられる。これは、コンタクト部分のより正確な配置を可能にする。
【0013】
一実施形態によれば、ばね要素は、前面開口を含む前面に隣接するプラグコネクタフレームの部分に嵌合される平坦端部部分と、ばね要素をプラグコネクタフレームに固定するための突起であり、平坦端部部分の表面から突き出る、突起とを含む。
【0014】
有利には、ばね要素の平坦端部部分から突き出る突起は、ばね要素の平坦端部部分に造られた張出しである。
【0015】
一実施形態によれば、歯が、ばね要素をプラグコネクタフレームに固定するためのばね要素の平坦端部部分のリムから突き出し、歯は、プラグコネクタフレームの材料に少なくとも部分的に圧入される。
【0016】
例えば、ばね要素は、弾力性のある材料の単一片で製作される。これは、より高い機械的安定性を提供し、効率的な製造を可能にする。
【0017】
ばねが製作される材料は金属とすることができる。
【0018】
有利には、ばね要素のコンタクト部分はめっきされ、めっきの材料は、ばね要素が製作される材料よりも高い導電性を有する。高い導電性を有する材料によるめっきは、コンタクト部分の抵抗が減少するので、プラグコネクタのシールド機能を改善することができる。
【0019】
プラグコネクタフレームは、ばね要素を挿入するための前面間隙を有することができる。これにより、ばね要素はプラグコネクタに容易に挿入することができる。例えば、プラグコネクタフレームの前面間隙および前面開口は連結され、それは、プラグコネクタフレームのより容易な製造を可能にすることができる。
【0020】
その上、ばね要素の第1のコンタクト部分および第2のコンタクト部分は、側壁開口を通って側壁を越えて現われ、側壁開口と前面間隙とは連結される。
【0021】
有利には、プラグコネクタは、第1のばね要素が嵌合される側壁からプラグコネクタフレームの反対側のプラグコネクタフレームの第2の側壁に嵌合される第2のばね要素を含む。したがって、ケーブルヘッドを通る電流によって発生されるEM場は対称になり、それは、他方、寄生キャパシタンスの出現を防止する。
【0022】
本発明の別の態様によれば、上述のように、ソケットと、シールドケーブルのケーブルヘッドと、プラグコネクタとを含むプラグコネクタシステムが提供される。有利には、ソケットは、導電性材料で製作されたシールド要素を含み、ケーブルヘッドは、導電性材料で製作されたシールド要素を含み、プラグコネクタのばね要素は、ソケットのシールド要素とケーブルヘッドのシールド要素とを電気的に接続する。プラグコネクタは、ソケットに取り外し可能に差し込むことができ、ケーブルヘッドは、車中に実装されるとき、プラグコネクタに取り外し不能に挿入される。
【0023】
本発明の別の態様によれば、プラグコネクタを製造するための方法が提供される。方法は、(1)ケーブルヘッドを収容するための前面開口と、ばね要素を挿入するための前面間隙と、側壁とを有するプラグコネクタフレームを用意するステップと、(2)ケーブルヘッドとソケットとを導電接続するための、弾力性のある材料で製作されたばね要素を用意するステップであり、ばね要素は、ケーブルヘッドに導電接触するための第1のコンタクト部分と、ソケットに導電接触するための第2のコンタクト部分とを有し、第1のコンタクト部分と第2のコンタクト部分とは、反対方向に向いており、直接、導電接続される、ステップと、(3)第1のコンタクト部分がプラグコネクタフレームの側壁の上に内側に突き出し、第2のコンタクト部分がプラグコネクタフレームの側壁の上に外側に突き出し、挿入の間、ばね要素を可逆的に変形させるようにばね要素を前面間隙を通してプラグコネクタフレームに挿入するステップとを含む。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態を示すために、添付図面が本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を形成する。これらの図面は、説明と共に、本発明の原理を説明するように働く。図面は、どのように本発明がなされ使用され得るかの好ましい例および代替の例を示しているに過ぎず、図示され説明される実施形態のみに本発明を限定すると解釈されるべきでない。さらに、実施形態のいくつかの態様は、本発明による解決策を形成する(個別にまたは様々な組合せで)ことができる。本発明の上述の説明と他の目的および特徴とが、添付図面に関連して与えられる以下の説明および好ましい実施形態からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】互いに取り外されているソケット、プラグコネクタ、およびケーブルヘッドの構成要素の斜視図である。
【
図2】ケーブルヘッドを収容するプラグコネクタと、プラグコネクタフレームから取り外されているソケットとの斜視図である。
【
図3】ケーブルヘッドを収容するプラグコネクタの断面図である。
【
図4】ソケットがプラグコネクタを収容し、プラグコネクタがケーブルヘッドを収容しているプラグコネクタシステムの斜視図である。
【
図5】ソケットがプラグコネクタを収容し、プラグコネクタがケーブルヘッドを収容しているプラグコネクタシステムの断面図である。
【
図6】ソケットがプラグコネクタを収容し、プラグコネクタがケーブルヘッドを収容しているプラグコネクタシステムの断面図である。
【
図7】ソケットがプラグコネクタを収容し、プラグコネクタがケーブルヘッドを収容しているプラグコネクタシステムの断面図である。
【
図8】ソケットがプラグコネクタを収容し、プラグコネクタがケーブルヘッドを収容しているプラグコネクタシステムの断面の斜視図である。
【
図9】ケーブルヘッドおよび2つのばね要素がプラグコネクタフレームに挿入されている構成の斜視図である。
【
図10】2つのばね要素がプラグコネクタフレームから取り外されているプラグコネクタと、2つのばね要素がプラグコネクタフレームに挿入されているプラグコネクタとの斜視図である。
【
図11】ソケットがプラグコネクタを収容し、プラグコネクタが、ばね要素の表面を示しているケーブルヘッドを収容しているプラグコネクタシステムの断面図である。
【
図12】プラグコネクタで使用するばね要素の1タイプの斜視図である。
【
図13】
図12によるばね要素の3つの異なる側を示す図である。
【
図15】
図14によるばね要素の3つの異なる側を示す図である。
【
図16】プラグコネクタを製造するための方法を説明するフローチャートである。
【
図17】プラグコネクタフレームにばね要素を挿入する製造ステップを示す図である。
【
図18】シールドケーブルおよび非シールドケーブルに対するEMC性能試験の試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、シールドケーブルが非シールドコネクタと対になっているときのEMCを向上させるためのプラグコネクタを提供する。
【0027】
本発明の一態様によれば、ソケットのシールド要素とケーブルのシールド要素とを相互接続するプラグコネクタが提供される。そのようなプラグコネクタにより、非シールド用途で本来使用される既存のソケットは、シールドケーブルと非シールドケーブルの両方で使用することができる。それゆえに、シールドケーブルおよび非シールドケーブルは容易に交換し組み合わせることができる。
【0028】
そのようなプラグコネクタは、コネクタの壁を通り抜ける相互接続部材を含み、プラグ接続状態においてケーブルヘッドとソケットとを相互接続するように配置される。相互接続部材は、ケーブルヘッドとソケットとを接続するための導電性部分を含む。有利には、相互接続部材は弾性材料で製作された弾性ばね要素である。弾性ばね要素は、導電接続の品質を低下させることなく、ソケットにプラグコネクタを差し込みソケットからプラグコネクタを抜くことができることを保証する。他方、弾性ばねは、ケーブルヘッドとの耐久性のある電気接触を確立する。本発明の一実施形態によるプラグコネクタシステムの構成要素の斜視図が、
図1に示される。特に、プラグコネクタシステムは、ソケット160と、ケーブルヘッド130と、プラグコネクタ100とを含む。
【0029】
ソケット160は、上記したMATEnetプラットホームのボードコネクタに対応することができる。ケーブルヘッド130はケーブル131に装着される。したがって、ケーブルは、形状がボードコネクタに対応する端子で終端される。シールドケーブルのケーブルヘッドにもシールドがある。ケーブルは、例えば、シールドツイストペア(STP)ケーブルとすることができる。
【0030】
MATEnetプラットホームなどの既存のプラグコネクタと比較して、プラグコネクタ100は、ケーブル131またはケーブルヘッド130のシールド要素とソケット160のシールド要素とを相互接続することができる1つのばね要素またはより多くの追加のばね要素を収容するように変更されている。これにより、UTPケーブルとSTPケーブルの両方のための同じボードコネクタおよび取付具が、同じプラグコネクタを用いて使用できるようになる。
【0031】
これは
図1に見ることができ、プラグコネクタ100は、プラグコネクタフレーム110と、ケーブルヘッド130とソケット160とを電気的に接続するためのばね要素120とを含む。プラグコネクタフレームは前面112を含む。プラグコネクタフレームは側壁116をさらに含む。プラグコネクタフレーム110の側壁116には、開口117がある。プラグコネクタフレームの前面112には、ケーブルヘッド130を収容するための前面開口113がある。さらに、プラグコネクタフレーム110の前面112には、ばね要素120を挿入するための間隙114がある。間隙114と側壁開口117とは連結されている。
【0032】
図1において、間隙114は、前方部分111、すなわち、前面112に隣接する部分に埋め込まれた2つの溝115a、115bの形状を有する。溝115a、115bは、前面112から、前方部分111が側壁116と出会う位置まで延びる。溝115a、115bは、前面開口113の縁部に位置する。このようにして、ばね要素120を挿入するための間隙114とケーブルヘッド130を収容するための前面開口113とは連結される。言い換えれば、前面間隙114と前面開口113とはキャビティを形成する。このキャビティは、キャビティ壁の1対の対向するレールにより前面間隙114と前面開口113とに分割され、間隙が溝115a、115bの境界を定める。
【0033】
この構成は例示であることに留意されたい。一般に、プラグコネクタ100は、プラグコネクタフレームの残りの部分から区別された別個の前方部分111を必ずしも含まない。
図1において、前方部分111はスリーブとして形成され、スリーブは、丸い隅部を有し、すべての側でフレームの側壁の上に張り出している。
図1の前方部分111の幅により、ばね要素120を挿入するための溝115a、115bを強固に埋め込むことができる。それにもかかわらず、本発明はそれに限定されず、一般に、ばね要素120は任意の他の方法で収容されてもよい。
【0034】
側壁開口117は空き空間(open space)を形成し、コンタクト部分121、122は、側壁116を越えてそれぞれ内側方向および外側方向に現われる。しかしながら、側壁開口は、ばね要素を、例えば、プラグコネクタフレームの外側から挿入するように働くこともできる。そのような構成では、前面に溝は必要ではなく、代わりに、いくつかの溝またはスロットまたは他の手段が、ばね要素を固定するために側壁の内部の設けられてもよい。
【0035】
図1のばね要素120は、プラグコネクタフレーム110の側壁116の開口117に嵌合される。ばね要素120は、弾性材料で製作し、導電性材料で部分的にまたは完全に製作することができる。ばね要素120は、ケーブルヘッドに導電接触するための第1のコンタクト部分121と、ソケット160に導電接触するための第2のコンタクト部分122とを有する。第1のコンタクト部分121と第2のコンタクト部分122とを接続するばね要素120の部分は、プラグコネクタフレーム110の側壁開口117の内部に少なくとも部分的に位置する。言い換えれば、ばね要素120は、開口117において側壁116の面と交差する。特に、第1のコンタクト部分121は、プラグコネクタフレーム110の側壁116を越えて内側に現われ、一方、第2のコンタクト部分122は、側壁開口117を通って、プラグコネクタフレーム110の側壁116を越えて外側に現われる。
【0036】
図1において、前面112の近くに位置する第2のコンタクト部分122は、プラグコネクタから側壁を通って内側に突き出し、一方、前面112から遠くに位置する第1のコンタクト部分121は、プラグコネクタから側壁を通って外側に突き出る。しかしながら、実際には、近いコンタクト部分122が外側に突き出ることもでき、一方、遠いコンタクト部分121が内側に突き出ることができる。
【0037】
本発明の一実施形態では、ケーブルヘッド130は、シールドケーブル131、例えば、STPケーブルのケーブルヘッドである。ケーブルヘッド130は、クリンプ部133を有する固定要素132を含む。固定要素132は、金属などの導電性材料で製作される。導電性材料で製作された固定要素132はシールド要素として働く。ケーブルヘッドは、ケーブルのワイヤをソケットに電気的に接続するためにコンタクトを埋め込んでいるコンタクト挿入部134をさらに含む。有利には、コンタクト挿入部は、例えば、プラスチックで製作される。金属などの導電性材料で製作されたプレート162が、ソケット160の本体161に嵌合される。本発明の目的では、ケーブルの特定の形状および構造は限定的ではない。
【0038】
図1において、プラグコネクタシステムの構成要素は、例示を目的として互いに取り外されている。使用時には、ケーブルはプラグコネクタに埋め込まれ、プラグコネクタはソケットに差し込まれることにより取り外し可能に接続される。
【0039】
したがって、
図2は、プラグコネクタ100から取り外されているソケット160と、ケーブルヘッド130を収容しているプラグコネクタとを示す。プラグコネクタフレームは、4つの側壁、すなわち、2対の対向する側壁を有する。隣接する側壁は垂直であり、隣接する側壁間の縁部は丸みをつけられ、その結果、丸い縁部を有する4つの壁がコネクタの前方部分/面部分を囲む。しかしながら、プラグコネクタフレームは、その形状が本発明にとって本質的なものではないので異なる形状を有してもよい。例えば、4つの側壁を有する代わりに、プラグコネクタフレームの側壁は、円筒の単一の丸い側壁としてもよく、あるいは丸い縁部があるかまたは丸い縁部がない4つを超える壁または4つ未満の壁を有してもよい。円筒側壁を有するプラグコネクタによれば、ソケットと、プラグコネクタフレームのケーブルヘッドとは、丸い断面を有することができる。
ケーブルヘッドをプラグコネクタに埋め込むのは、固定手段234によって達成することができる。固定手段は、プラグコネクタフレームに食い込む逆刺のついたフック(barbed hook)の形状を有することができ、逆刺のついたフックは、ケーブルヘッドがプラグコネクタに挿入された後、プラグコネクタ壁における対応する空き空間にクリップ留めされる。
【0040】
ケーブルヘッドを収容するプラグコネクタの断面図が、
図3に示されている。プラグコネクタは、2つの対向する側壁116a、116bに2つのばね要素120aおよび120bを含む。しかしながら、ばね要素は、異なる方法で配置されてもよい。例えば、プラグコネクタフレームの4つの側壁に4つのばね要素があってもよい。1つの側壁のみ、例えば、円筒の側壁に似ている丸い側壁を有する場合、ばね要素は、単一の側壁の対向部分に位置しもよい。
【0041】
ばね要素120aは、プラグコネクタフレーム110の側壁116に嵌合される。ばね要素120aは板ばねとして形成される。ばね要素120aは、2つのコンタクト部分121aおよび122aを有する。第1のコンタクト部分121aは、プラグコネクタフレーム110の側壁116を越えて内側に突き出る。第2のコンタクト部分121bは、プラグコネクタフレーム110の側壁を越えて外側に突き出る。プラグコネクタがケーブルヘッドを収容するとき、第1のコンタクト部分121aは、ケーブルヘッドのクリンプ部133に導電接触する。第1のコンタクト部分121aはばね要素の第1の屈曲部333に位置し、第2のコンタクト部分122aは第2の屈曲部334に位置する。
【0042】
しかしながら、一般に、この構成は本発明を限定するものではない。ばね要素の目的は、プラグ接続された状態で、ソケットシールドとケーブルシールドとの間の相互接続を行うことである。この一般的な目的のために、ばね要素は、2つのコンタクト部分を含む形状を有することができ、2つのコンタクト部分は、おそらくプレートに位置するコンタクトヘッドを有する針状突起として形成される。
【0043】
好ましくは、第1のコンタクト部分121aおよび第2のコンタクト部分121bは、直接、導電接続される。特に、第1のコンタクト部分と第2のコンタクト部分との間にループまたは巻線がないことが有利である。ループまたは巻線がないので、普通ならEMCを悪化させることがある意図しないインダクタの存在が回避される。
図3の第1のコンタクト部分121aと第2のコンタクト部分121bとの間の直接接続は、直線に似ている。しかしながら、ループまたは巻線がないならば、第1のコンタクト部分121aと第2のコンタクト部分121bとの間の直接接続は、直線から逸脱してもよく、例えば、折り曲げられても、わずかに曲線状にされてもよい。加えて、クリンプ部133によってばね要素120aに加えられる力のために、ばね要素は変形することができる。
【0044】
ばね要素120aは、プラグコネクタフレームの前方部分111に嵌合される平坦端部部分323aを含む。平坦端部部分323aは、プレート、特に、矩形プレートの形状を有する。有利には、平坦端部部分323aの幅は、ばね要素を挿入するための前面間隙の幅に対応する。平坦端部部分323aの形状は、本発明にとって重要でないので、異なっていてもよい。それは、例えば、台形プレートとしてもよい。平坦端部部分によって、ばね要素はプラグコネクタフレームの前面間隙112に嵌合される。しかしながら、本発明の一実施形態によるばね要素は、代替として、別個の平坦端部部分を有していなくてもよく、前方部分または側壁のいずれかで平坦端部によってコネクタフレームに単に嵌合されてもよい。
【0045】
平坦端部部分323aの面は、プラグコネクタフレームの側壁116aと(実質的に)平行に向けられる。そのリムのところで、平坦端部部分323aはプラグコネクタフレームの溝115aに嵌合される。突起324aが、ばね要素120aの平坦端部部分323aから突き出し、それによって、ばね要素をプラグコネクタフレームに嵌合させることができる。突起324aにより、ばね要素120aはしっかりと嵌合することができる。
【0046】
したがって、溝115aの幅がばね要素120aの厚さを超えるにもかかわらず、ばね要素120aはプラグコネクタフレームに固定され、それにより、平坦端部部分323aは緩んで垂れ下がるのが防止される。言い換えれば、突起324aは、端部部分323a、したがって、ストリング全体をプラグコネクタ内に固定する。溝115aがばね要素120aの厚さを超えている一般的な理由は、より厚い溝を彫るためのツールはより頑丈であり、よりコスト効率および時間効率の高い製造を可能にするからである。有利には、突起324aは、ばね要素120aの平坦端部部分323aに造られた張出しである。
【0047】
ばね要素120aの狭い端部部分325a(平坦端部部分323を基準にしてばね要素120aの反対側の端部の)は、側壁開口117と前面間隙114とが連結される側壁開口117の端部の反対側の側壁開口117の縁部317aに隣接する。ばね要素の狭い端部部分325aが隣接する側壁開口の縁部317aは、内側に傾けられる。この内側の傾きが、ばね要素120aの運動の自由度を抑制する。言い換えれば、コネクタフレーム110の内部に、ばね要素の狭い端部部分325aを停止させる/固定するためのフレーム部材があり得る。
【0048】
図3に示した本発明の一実施形態では、プラグコネクタは第2のばね要素120bを含む。第2のばね要素120bは、第1のばね要素120aが嵌合される第1の側壁116aと異なる第2の側壁116bに嵌合される。有利には、第2の側壁116bは、第1のばね要素120aが嵌合される第1の側壁116aの反対側の側壁である。第1の側壁116aはプラグコネクタフレームの外側側壁である。対照的に、第2の側壁116bはプラグコネクタフレームの外側側壁ではない。それは、さらなる外側側壁318で覆われる。第1のばね要素120aと第2のばね要素120bとはケーブルヘッドのまわりに対称に配置され、ケーブルヘッドによって搬送される電流の電磁界を強制的に対称にする。プラグコネクタフレームは、代替として、1つのばね要素のみまたは2つを超えるばね要素を有することができる。有利には、電磁界を強制的に対称にするために、ばね要素の数は2または2の倍数であり、少なくとも1対のばね要素がケーブルヘッドのまわりに対称に配置される。
【0049】
第1のばね要素120aに対応して、第2のばね要素120bは、第1のコンタクト部分121bと、第2のコンタクト部分122bと、平坦端部部分323bとを含む。平坦端部部分323bの平面から突起324bが突き出る。狭い端部部分325bは、第2の側壁116bの開口の縁部317bと1点で接触する。したがって、ばねは、縁部317bに接触することによってプラグコネクタフレーム内でのさらなる運動が抑制される。第1のばね要素120aおよびその機能の上述の説明は、第2のばね要素120bに同様に当てはまる。
【0050】
有利には、ばね要素120a、120bが嵌合する第1の側壁116aおよび第2の側壁116bは、プラグコネクタフレームの向かい合った側壁である。
【0051】
図2および
図3では、プラグコネクタフレームはケーブルヘッドを収容しているが、プラグコネクタフレームはソケットから取り外されている。他方、
図4および
図5では、プラグコネクタはケーブルヘッドを収容しており、プラグコネクタはソケットにさらに挿入されている。この構成は、使用中のソケット、プラグコネクタ、およびケーブルヘッドの接続に対応する。
図4は、プラグコネクタシステムの斜視図を示す。
図4に見ることができるように、ソケット160は、前部、後部、および4つの側壁を有する直方体の形状を有する。前部および後部は、方形の形状を有することができる。互いに反対側に位置しない2つの側壁は、同じ寸法であってもよく、または異なる寸法であってもよい。
【0052】
図5は、プラグコネクタシステムの断面図を示す。
図2に示したようなプラグコネクタおよびケーブルヘッドの機能ならびにプラグコネクタおよびケーブルヘッドの係合の説明は、
図5に同様に当てはまる。
【0053】
図5の以下の説明は、ソケット、およびソケットとプラグコネクタとの係合に関する。ソケットは、ソケット本体161と、プレート162aとを含む。プレート162aは、導電性材料で製作される。プレート162aは、ソケット壁563と平行である。
図3に示したように、第1のコンタクト部分121aは、ケーブルヘッドのクリンプ部133に導電接触する。加えて、第2のコンタクト部分122aは、ソケットのプレート162aに導電接触する。
図3におけるように、第1のコンタクト部分121aと第2のコンタクト部分121bとは、直接、導電接続される。クリンプ部133とプレート162aとによってばね要素に加えられる力に起因して、ばね要素120aはわずかに変形されることがある。したがって、第1のコンタクト部分121aと第2のコンタクト部分122aとの間の直接接続は、直線から逸脱することがある。
【0054】
図3におけるように、プラグコネクタは、第1の側壁116aと異なる第2の側壁116bに嵌合される第2のばね要素120bを含む。さらに、
図5において、ソケットは、第2のコンタクト部分122bに導電接触する第2のプレート162bを含む。第1のプレート162aおよび第2のプレート162bはソケットの向かい合う壁に位置する。第1のばね要素120aおよび第2のばね要素120bと第1のプレート162aおよび第2のプレート162bの両方は、ケーブルヘッドのまわりに対称に配置され、ケーブルヘッドによって搬送される電流の電磁界を強制的に対称にする。
【0055】
図3におけるように、第1のばね要素120aと第2のばね要素120bとはケーブルヘッドのまわりに対称に配置される。追加として、
図5において、第1のプレート116aと第2のプレート116bとは、ケーブルヘッドのまわりに平行におよび対称に配置される。
【0056】
図6および
図7は、本発明の一実施形態によるプラグコネクタシステムの断面図を示す。
図3および
図5とは対照的に、ケーブルおよびケーブルヘッド内の電流担体634a、634b(ワイヤ)が表示されている。本発明の一実施形態では、ソケットは、特にSTPケーブルにおいて、シールドケーブル用のプラグコネクタフレームを収容するために使用される。しかしながら、同様なソケットは、UTPケーブルなどの非シールドケーブルのコネクタシステムで使用することができる。非シールドケーブル用のコネクタシステムでは、対称なプレートは、低モード変換を保証するように意図される(E.DiBiaso等による上述で引用した文献を参照)。1つの単一プレートではなく2つの対称的プレートを使用することによって、ケーブルヘッド内の電流担体と単一金属プレートとの間の電場の形成が防止される。したがって、電流担体と単一の導電性プレートとは、意図せずにキャパシタを形成することが防止される。
【0057】
図6に示すように、ケーブルヘッドに接触する両方のばね要素120a、120bの第1のコンタクト部分121a、121bは、第2のコンタクト部分122a、122bよりもプラグコネクタフレームの前方部分111の近くに配置する。しかしながら、代替の実施形態では、ばね要素のうちの少なくとも1つは、前方部分111から遠いコンタクト部分がケーブルヘッドに接触するための第1のコンタクト部分として働くように上下反対にばね要素に嵌合されてもよい。この場合、
図6に示したものよりも長いコンタクトプレート116a、116bが必要とされる。
【0058】
本発明の一実施形態におけるように、ソケットがSTPケーブルで使用される場合、対称で平行なプレート116a、116bは、さらに、ソケットのシールド要素として働く。特に、プレート116a、116bは、ケーブルヘッド内の電流に由来する電磁場をシールドする。したがって、クリンプ部133を有する固定要素132はケーブルヘッドのシールド要素として働く。ばね要素120aは、ソケットのシールド要素をケーブルヘッドのシールド要素に導電接続する。
図6に示した一点鎖線690は、ソケットのプレート116aからばね要素120aを通ってケーブルヘッドの固定要素312に流れる電流の経路を記号で表している。ソケットのシールド要素とケーブルヘッドのシールド要素とを導電接続することによって、ばね要素は、ソケットのシールド要素とケーブルヘッドのシールド要素とが同じ電位であるようにする。
結果として、ソケットのシールド要素とケーブルヘッドのシールド要素との間の電位差に起因する電場は、プラグコネクタから発することが防止される。それゆえに、ソケットとケーブルヘッドとを導電接続するためのばね要素を有するプラグコネクタは、プラグコネクタシステムのEMCを強化する。プレートの数は2つに限定されない。例えば、ソケットの4つの側壁に4つのプレートが存在してもよい。
【0059】
図8は、本発明の一実施形態によるプラグコネクタシステムの断面の斜視図を示す。
図5におけるように、プラグコネクタは、プラグ側壁116a、116bに嵌合された2つのばね要素120a、120bを有し、ソケット160は2つのプレート162a、162bを有する。ばね要素120a、120bは、プラグコネクタフレームの側壁116a、16bに嵌合される。ケーブルヘッドのクリンプ部133に接触するばね要素の第1のコンタクト部分121a、121bは、ソケット160のプレートに接触する第2のコンタクト部分122a、122bに直接接続される。ケーブルヘッドのクリンプ部133とソケット160のプレート162a、162bとは、ばね要素120a、120bに力を加え、ばね要素120a、120bを変形させる。これらの力は、ばね要素120a、120bがプレート162a、162bおよびクリンプ部133との導電接触を失うのを防止する。
ばね要素120a、120bの平坦端部部分323a、323bの縁部は、ばね要素をプラグコネクタフレーム120a、120bに挿入するための前面間隙を構成する溝115a、115cに嵌合される。
【0060】
図9は、ケーブルヘッド、ばね要素120a、120b、およびプラグコネクタフレームの側面部分の構成を示す。
図1から
図8と比較して、プラグコネクタシステムの構成要素は上下反対に示されている。単なる例証のために、あたかもプラグコネクタフレームの残りの部分を切り取ったようにプラグコネクタフレームの側面部分のみが示されている。プラグコネクタフレームの側面部分のみを示すことによって、ばね要素120bの平坦端部部分323bの縁部が挿入される溝115dが、明確に目に見える。ばね要素120bの平坦端部部分323bから、突起324c、324dが突き出る。突起324c、324dは、ばね要素120bの平坦端部部分323bに造られた張出しである。間隙の幅はばね要素120bの平坦端部部分323bの厚さを超えるけれども、突起324があると、平坦端部部分は、プラグコネクタフレームの溝115dによって画定された前方部分111の間隙を満たす。
【0061】
図10は、本発明の一実施形態によるプラグコネクタを示す2部からなる図である。
図10の左側の副図は、プラグコネクタフレーム110と、プラグコネクタフレーム110から取り外されているばね要素120aおよび120bとを示す。ばね要素120a、120bは、ばね要素120a、120bを挿入するための開口114a、114bを有するプラグコネクタフレームの前面112と向き合っている。
【0062】
ばね要素120aおよび120bは、互いに対して対称に配置される。言い換えれば、2つのばね要素の第1のコンタクト部分121a、121bは互いの方を向いており、2つのばね要素の第2のコンタクト部分122a、122bは互いに離れる方を向いている。さらに、狭い端部部分325a、325bは、プラグコネクタフレームの前面112の方に向けられている。互いに対するおよびプラグコネクタフレームに対するばね要素120a、120bのこの相対的な配置は、プラグコネクタのアセンブリに従っており、狭い端部部分325a、325bは、ばね要素120a、120bがプラグコネクタフレームの前面間隙114a、114bに挿入されるときプラグコネクタフレーム110の前面112に面する。しかしながら、本発明は、2つのばね要素の対称的な配置に限定されない。代替の実施形態では、ばね要素は平行に配置されてもよく、同一の面は同じ方向に向いている。
【0063】
図10の右側の副図は、ばね要素120a、120bがプラグコネクタフレームに挿入された後のプラグコネクタ100を示す。1つのばね要素120aがプラグコネクタフレームの側壁116aに嵌合されている。第2のコンタクト部分122aは、側壁開口117を通ってプラグコネクタフレーム110の側壁116aを越えて現われている。
【0064】
ばね要素を挿入するための間隙114a、114bは、前方部分111に埋め込まれた溝115a、115b、115c、115dの形状を有する。一実施形態では、間隙114a、114bは、ケーブルヘッドに挿入するための前面開口113に連結される。代替として、ばね要素を挿入するための間隙は、ケーブルヘッドを挿入するための前面開口に連結されないスロットの形状を有することができる(図示せず)。プラグコネクタフレームの前方部分111から側壁の中央まで、側壁開口117はテーパ状になる。特に、側壁開口117は、不等辺四角形の形状を有し、プラグコネクタフレームの前方部分111に連結する辺は、反対側の平行な辺よりも長い。側壁開口117のテーパおよび台形形状により、矩形の側壁開口と比較してより厚い壁が可能になる。
【0065】
図11は、プラグコネクタシステムの断面図を示す。プラグコネクタはソケット160に挿入されており、プラグコネクタはケーブルヘッドを収容している。ばね要素120は、プラグコネクタフレームの側壁116に嵌合されている。
図5に示したプラグコネクタシステムの断面図では、ばね要素120aが嵌合される側壁116aは、紙/スクリーンに対応する平面に対して垂直である。対照的に、
図11では、ばね要素120が嵌合される側壁116は、紙/スクリーンに対応する面と平行である。ばね要素120の平坦端部部分323の反対側において、歯1129a、1129bが、平坦端部部分323のリムから突き出る。歯1129a、1129bは、ばね要素120をプラグコネクタフレームに強固に固定するためにプラグコネクタフレームの材料に圧入される。第1のコンタクト部分121と第2のコンタクト部分122とを含むばね要素120の部分は、側壁開口117の内部に位置する。
【0066】
本発明の一実施形態では、ばね要素120は、金属などの導電性で弾力性のある材料で製作される。例えば、ばね要素は、弾力性の要件を満たすためにX10CrNi18-8などのステンレス鋼で製作することができるが、鋼の導電性は制限されることがある。しかしながら、ばね要素材料の制限された導電性を補償するために、および/またはコンタクト部分の導電性を改善するために、第1のコンタクト部分、第2のコンタクト部分、および/または第1のコンタクト部分間のばね要素部分は、ばね要素材料よりも大きい導電性を有する材料でめっきすることができる。コンタクト部分のめっきは、例えば、スズめっき、金めっき、またはニッケルめっきとすることができる。第1のコンタクト部分と第2のコンタクト部分との間のおよび2つのコンタクト部分の十分な導電性が、めっきによって確保される場合、ばね要素は、非金属などの誘電体または低コンダクタンスの材料で製作することができる。
【0067】
図12および
図13は、本発明の一実施形態によるプラグコネクタシステムで使用するための1つのタイプのばね要素を示す。
図12は、ばね要素1220の斜視図を示す。
図13は、ばね要素の3つの異なる側の側面図を示し、ある副図から次の副図まで、ばね要素は90°だけ回転されている。ばね要素1220の以下の説明は、
図12と
図13の両方を参照する。
【0068】
ばね要素は、導電性で弾力性のある材料の単一片で製作される。それは、反対方向に向けられている第1の屈曲部1223および第2の屈曲部1224を有する板ばねとして形成される。屈曲部のところに、ばね要素から突き出ている突起がある。これらの突起は、屈曲部1223、1224においてばね要素に造られた丸いまたは楕円形の張出しとして形成される。張出しは、ばね要素の第1のコンタクト部分1221および第2のコンタクト部分1222を構成する。ばね要素1220がプラグコネクタフレームの壁に嵌合されると、プラグコネクタフレームの第1のコンタクト部分1221を構成する張出しはプラグコネクタフレームの内側に向けられ、第2のコンタクト部分1222を構成する張出しはプラグコネクタフレームの外側に向けられる。これらの張出しにより、第1のコンタクト部分1221および第2のコンタクト部分1222は、ポイントコンタクトとして形成される。
そのような局所的なコンタクトは、それぞれケーブルヘッドおよびソケットとのばね要素1220の十分に明確で、しっかりし、安定した接触を可能にする。本発明は、突起のこの特定の形状に限定されない。突起は、代替として、円錐の形状を有してもよい。さらに、異なる突起が、プラグコネクタフレームの対向表面から突き出してもよい。ばね要素材料に造られる代わりに、突起は、ばね要素材料にはんだ付けされるか、または任意の他の方法で形成されてもよい。
【0069】
ばね要素1220は、プラグコネクタフレームの前方部分でプラグコネクタフレームに嵌合される平坦端部部分1226をさらに含む。平坦端部部分1226とばね要素の残りの部分との間に第3の屈曲部1225がある。平坦端部部分1226は、ばね要素の残りの部分よりも広い。平坦端部部分1226は、プレート、特に、矩形プレートの形状を有する。平坦端部部分1226の1つの表面から、突起1234a、1234bが突き出る。2つの突起1234a、1234bは、ばね要素1220の平坦端部部分1226に造られた扁長形状を有する張出しである。ばね要素1220がプラグコネクタフレームに嵌合されると、突起1234a、1234bは、ばね要素の横移動を抑制する。代替として、例えば、平坦端部部分1226の中心における1つの単一の張出し、または2つの扁長の張出しの代わりの4つの丸い張出しなどの突起の他の配置であってもよい。
突起は、さらに、プラグコネクタフレームの両方の反対側の表面から突き出てもよい。ばね要素1220の長手方向側の各々には、プラグコネクタフレームの材料に少なくとも部分的に圧入されるように、歯1229aおよび1229bが、それぞれ、平坦端部部分1226のリムから突き出ている。歯1229a、1229bは、プラグコネクタフレームにばね要素を固定するように働く。加えて、平坦端部部分1226は、プラグコネクタフレームに最初に挿入される側の隅部に案内機構1237a、1237bを含む。
【0070】
案内機構(部材)1237a、1237bは、ばね要素をプラグコネクタフレームに挿入するのを容易にする。案内機構は、プラグコネクタフレームに最初に挿入される側の隅部に平坦端部部分1226の傾斜の形状を有する。しかしながら、案内機構の形状は異なっていてもよい。案内機構は、例えば、丸い隅部として形成されてもよい。さらに、ばね要素1220は、例えばばね要素をプラグコネクタフレームに挿入するとき、ばね要素1220に加えられる応力および力を制御するために平坦端部部分1226と第1のコンタクト部分1221との間に開口1228を有する。第1のコンタクト部分1221から第2のコンタクト部分1222まで、ばね要素は、ばね要素1220に加えられる力および機械的応力を減少させるためにテーパ状である。第2の屈曲部1224の第2のコンタクト部分1222から狭い端部部分1236まで、ばね要素は再び広くなる。
この拡大は、プラグコネクタフレームの側壁へのばね要素1220のしっかりした係合を確実にし、ばね要素の狭い端部の移動を抑制する。しかしながら、本発明は、この特定の設計に限定されない。例えば、第1のコンタクト部分1221と第2のコンタクト部分1222との間のテーパ、および第2のコンタクト部分1222と狭い端部部分1236との間の拡大の代わりに、ばね要素1220の反対側の長手方向のリムは平行とすることができる。
【0071】
図14および
図15は、
図13および
図14に示したタイプの代替のタイプのばね要素を示す。
図14は、ばね要素1420の斜視図を示す。
図15は、ばね要素の3つの異なる側の側面図を示し、ある副図から次の副図まで、ばね要素は90°だけ回転されている。ばね要素1220の以下の説明は、
図12と
図13の両方を参照し、ばね要素1420と、
図12および
図13に示したばね要素1220との間の差異に焦点をあてる。
【0072】
図12および
図13に示したばね要素タイプと同様に、ばね要素1420は、導電性で弾力性のある材料の単一片で製作される。さらに、それは、反対方向に向けられている第1の屈曲部1423および第2の屈曲部1424を有する板ばねとして形成される。
図12および
図13に示したばね要素タイプとは対照的に、ばね要素1420には、屈曲部から突き出る突起がない。それゆえに、第1のコンタクト部分1421および第2のコンタクト部分1422は、第1の屈曲部1423および第2の屈曲部1424に沿って延びる線コンタクトとして形成される。張出しとして形成されたコンタクト部分は、ソケットのシールド要素およびケーブルヘッドのシールド要素とのばね要素の局所的で、正確で、信頼性のある接触を確実にする。他方、コンタクト部分のための張出しなどの突起がなければ、製造ステップが省略されるので、ばね要素の製造を容易にすることができる。
【0073】
図12および
図13に示したばね要素タイプと同様に、ばね要素1420は平坦端部部分1426を有する。平坦端部部分1433とばね要素1420の残りの部分との間に第3の屈曲部がある。しかしながら、
図12および
図13に示したばね要素タイプとは対照的に、平坦端部部分1426と第1のコンタクト部分1422の間に開口がない。ばね要素1420の長手方向側の各々には、プラグコネクタフレームの材料に少なくとも部分的に圧入されるように、平坦端部部分1226のリムから突き出る、それぞれ、1対の歯1229a、1230a、および1229a、1230bがあり、追加として、矩形突起1431aおよび1431bがある。平坦端部部分のリムに突起の他の構成があってもよく、例えば、1つの矩形突起と2つの歯との代わりに、各側に2つの矩形突起があってもよい。
【0074】
本発明は、
図10から
図13に示したばね要素のタイプに限定されない。特に、その中で示した様々なタイプのばね要素の機能は組み合わせることができる。1つの部片で製作されたばね要素は頑強であり、容易に都合良く製造することができる。しかしながら、例えば、平坦端部部分とばね要素の残りの部分とは一緒に溶接することができるので、ばね要素は、必ずしも、導電性で弾力性のある材料の1つの部片で製作する必要はない。さらに、ばね要素は、異なる材料で製作された2つの部分から構成されてもよく、2つの部分は、例えば、それらを一緒に接着または溶接することによって互いに付着される。
【0075】
プラグコネクタと、プラグコネクタ、ケーブルヘッド、およびソケットから構成されたプラグコネクタシステムとに加えて、本発明は、さらに、ケーブルヘッド端部を収容するためおよびソケットに挿入するためのプラグコネクタを製造する方法を提供する。方法ステップが、
図16に示したフローチャートに示される。したがって、プラグコネクタを製造する方法は、プラグコネクタフレーム1601を用意する方法ステップ1601を含む。それに関して、プラグコネクタフレームは、ケーブルヘッドを収容するための前面開口と、ばね要素を挿入するための前面開口と、側壁とを有する。さらに、方法は、ケーブルヘッドとソケットとを導電接続するための、弾力性のある材料で製作されたばね要素を用意する方法ステップ1602を含む。それに関して、ばね要素は、ケーブルヘッドに導電接触するための第1のコンタクト部分と、ソケットに導電接触するための第2のコンタクト部分とを有する。
さらに、第1のコンタクト部分と第2のコンタクト部分とは反対方向に向いており、直接、導電接続される。方法は、ばね要素を前面間隙を通してプラグコネクタフレームに挿入するステップ1603をさらに含み、ばね要素は可逆的に変形される。挿入の結果として、第1のコンタクト部分は、プラグコネクタフレームの側壁を越えて内側に現われ、第2のコンタクト部分は、プラグコネクタフレームの側壁を越えて外側に現われる。
【0076】
ばね要素をプラグコネクタフレームに挿入する方法ステップが、
図17に示される。図は、前面1712の前面間隙1714を通してプラグコネクタフレーム1710に部分的に挿入されたばね要素1720aを示している。ばね要素の第2のコンタクト部分1722が前面間隙を通り、プラグコネクタフレーム1710に入るとき、力がばね要素1720aに加えられ、ばね要素1720aは、力に由来する機械的応力によって可逆的に変形される。ばね要素1720aは、前面間隙を通るための十分なたわみに耐えることができるように形成されるが、挿入中のばね要素のたわみは線形で可逆的である。言い換えれば、ばね要素は、永久変形、すなわち、塑性変形を受けない。ばね要素の可逆的なたわみおよび塑性変形の回避は、ばね要素1720aの形成および弾力性のある材料の選択により確実になる。
特に、可逆的なたわみを可能にする機構の形成は、
図12から
図15に示した様々なタイプのばね要素との関連で論じた。それらは、
図12および
図13からの第1のコンタクト部分と第2のコンタクト部分1221と第2のコンタクト部分1222との間のテーパリング、ならびに開口1228を含む。プラグコネクタフレームへのばね要素1720aの挿入と同様に、第2のばね要素1720bはプラグコネクタフレームに部分的に挿入されている。
【0077】
図14および
図15を参照して上述した製造方法に由来するプラグコネクタフレームは、プラグコネクタフレーム、ケーブルヘッド、およびソケットを含むプラグコネクタシステムのアセンブリで使用するのに好適である。ソケットのシールド要素(例えば、プレート)とケーブルヘッドのシールド要素(例えば、クリンプ部を有する固定要素)とを接続するためにばね要素を含むことによって、プラグコネクタは、STPケーブルなどのシールドケーブルで使用するのに好適になる。しかしながら、UTPケーブルなどの非シールドケーブルをソケットに接続するときに同様のプラグコネクタを使用することができる。非シールドケーブルの場合には、同じタイプのプラグコネクタフレームをばねなしでプラグコネクタとして使用することができる。加えて、プラグコネクタシステムで使用されるソケットは、非シールドケーブルで同様に使用することができる。
非シールドケーブルおよびシールドケーブルの場合に同じソケットと、2つの場合に同様なプラグコネクタとを使用することにより、経済的で柔軟なアセンブリが可能になる。一方、シールドケーブルおよび非シールドケーブルを経済的に組み合わせてもよい。他方、それにもかかわらず、非シールドケーブルまたはシールドケーブルが特定用途にとって好ましいかどうかは、アセンブリの終わりに近い段階に決定されてもよい。
【0078】
本発明の一態様によるプラグコネクタシステムの適格性が試験された。特に、プラグコネクタシステムが、高平衡UTPケーブル、標準STPケーブル、および高平衡STPケーブルのEMC性能を比較するために実演用システムとして使用された。3つの異なるケーブルの断面が
図18の右側に示されている。高平衡STPケーブルは、ワイヤを埋め込んでいるインナージャケットだけ標準STPケーブルと異なる。試験で使用された高平衡UTPケーブルは、自動車のシングルペア非シールド1Gbit/s用途のモード変換要件を満たしている。それは基準として使用された。
【0079】
ストリップライン試験セットアップが、EMC性能の測定のために使用された。ツイストペアケーブルは、差分信号(すなわち、データ通信で使用される信号モード)で励振された。ストリップライン対接地でのコモンモード信号(すなわち、雑音信号)が出力部で測定された。データモードと雑音モードとの間の伝達関数が、ベクトルネットワークアナライザ(VNA)によって計算された。結果として生じるdB単位のSパラメータは、EMC能力の評価の値である。試験結果が
図18に示される。dB単位のSパラメータは、MHz単位の差分信号の関数として示されている。結果の示すところによれば、矢印で表すように、標準STPケーブルは特定の周波数範囲で低い性能を示している。他方、高平衡シールドケーブルは、約10~20dBの改善が行われている。
【0080】
要約すると、本発明は、ケーブルヘッド130を収容するためおよびソケット160に挿入するためのプラグコネクタ100に関する。プラグコネクタ100は、例えば高い電磁適合性(EMC)が必要とされる自動車用途の敏感なリンクのために、シールドケーブルを非シールドデータ通信システムに経済的に都合良く統合するのに使用することができる。プラグコネクタは、プラグコネクタフレーム110と、ソケットのシールド要素とケーブルヘッド130のシールド要素とを導電接続するための接続部材とを含む。有利には、接続部材は、ケーブルヘッド130のシールド要素とソケット160のシールド要素とを導電接触させるための2つのコンタクト部分を有する弾力性のある材料で製作されたばね要素120である。プラグコネクタを製造する方法も提供される。
【符号の説明】
【0081】
100 プラグコネクタ
110 プラグコネクタフレーム
111 前方部分
112 前面
113 前面開口
114 前面間隙
114a、b 前面間隙
115a、b、c、d 溝
116 側壁
116a、b 側壁
117 側壁開口
120 ばね要素
120a、b 第1および第2のばね要素
121 第1のコンタクト部分
121a、b それぞれのばね要素の第1のコンタクト部分
122 第2のコンタクト部分
122a、b それぞれのばね要素の第2のコンタクト部分
130 ケーブルヘッド
131 シールドケーブル
132 固定要素
133 クリンプ部
134 コンタクト挿入部
160 ソケット
161 ソケット本体
162 プレート
162a、b プレート
234 固定手段
317a、b 側壁孔縁部
318 外側側壁
323 平坦端部部分
323a、b 平坦端部部分
324a、b、c、d 突起
325a、b 狭い端部部分
333 第1の屈曲部
334 第2の屈曲部
563 ソケット壁
634a、b 電流担体
690 電流経路を記号で表している破線
1129a、b 歯
1220a ばね要素
1221 第1のコンタクト部分
1222 第2のコンタクト部分
1223 第1の屈曲部
1224 第2の屈曲部
1225 第3の屈曲部
1226 平坦端部部分
1228 開口
1229a、b 歯
1234a、b 突起
1236 狭い端部部分
1237a、b 案内機構
1420a ばね要素
1421 第1のコンタクト部分
1422 第2のコンタクト部分
1423 第1の屈曲部
1424 第2の屈曲部
1426 平坦端部部分
1429a、b 歯
1430a、b 歯
1431a、b 矩形突起
1601 プラグコネクタフレームを用意するステップ
1602 ばね要素を用意するステップ
1603 挿入ステップ
1710 プラグコネクタフレーム
1712 前面
1714 前面間隙
1720a、b ばね要素
1722 第2のコンタクト部分