(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】剥離接合同時実行装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B32B 37/02 20060101AFI20220527BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220527BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220527BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
B32B37/02
G02F1/1335 505
G09F9/00 342
G09F9/30 308Z
(21)【出願番号】P 2018014224
(22)【出願日】2018-01-31
【審査請求日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】10-2017-0015330
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ミョンウォン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンギュン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ギワン・キム
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0122427(US,A1)
【文献】国際公開第2012/070495(WO,A1)
【文献】特開2012-171032(JP,A)
【文献】特開2016-012001(JP,A)
【文献】特開2013-095123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 37/02
G02F 1/1335
G09F 9/00
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1対象体が接合されているキャリア基板を吸入して固定する下部ステージと、
第2対象体を吸入して固定させ、前記第1対象体に向けて凸曲面状を有する曲面状基体部、及び前記第2対象体と前記第1対象体が一定の圧力で一定部分どうし順に接触するように、前記曲面状基体部を回転させ、前記第2対象体と前記第1対象体とを接合させながら接合時に前記第1対象体を前記キャリア基板から剥離する駆動部を含む上部ステージと、を含み、
前記上部ステージは、前記曲面状基体部に形成された上部ステージホールを通じて提供される吸入力により前記第2対象体を吸入して前記曲面状基体部の曲面に固定させ、
前記上部ステージホールの直径は、前記第2対象体と前記第1対象体との接合が始まる接合開始領域で前記第2対象体と前記第1対象体との接合が終わる接合終了領域より大きいことを特徴とする、剥離接合同時実行装置。
【請求項2】
前記上部吸入力は、前記キャリア基板と前記第1対象体との間の接合力より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の剥離接合同時実行装置。
【請求項3】
第1対象体が接合されているキャリア基板を吸入して固定する下部ステージと、
第2対象体を吸入して固定させ、前記第1対象体に向けて凸曲面状を有する曲面状基体部、及び前記第2対象体と前記第1対象体が一定の圧力で一定部分どうし順に接触するように、前記曲面状基体部を回転させ、前記第2対象体と前記第1対象体とを接合させながら接合時に前記第1対象体を前記キャリア基板から剥離する駆動部を含む上部ステージと、を含み、
前記上部ステージは、前記曲面状基体部に形成された上部ステージホールを通じて提供される吸入力により前記第2対象体を吸入して前記曲面状基体部の曲面に固定させ、
前記上部ステージホールの分布密度は、前記第2対象体と前記第1対象体との接合が始まる接合開始領域で前記第2対象体と前記第1対象体との接合が終わる接合終了領域より大きいことを特徴とする、剥離接合同時実行装置。
【請求項4】
第1対象体が接合されているキャリア基板を吸入して固定する下部ステージと、
第2対象体を吸入して固定させ、前記第1対象体に向けて凸曲面状を有する曲面状基体部、及び前記第2対象体と前記第1対象体が一定の圧力で一定部分どうし順に接触するように、前記曲面状基体部を回転させ、前記第2対象体と前記第1対象体とを接合させながら接合時に前記第1対象体を前記キャリア基板から剥離する駆動部を含む上部ステージと、を含み、
前記上部ステージは、前記曲面状基体部に形成された上部ステージホールを通じて提供される吸入力により前記第2対象体を吸入して前記曲面状基体部の曲面に固定させ、
前記上部ステージホールの直径あるいは分布密度は、前記第2対象体と前記第1対象体との接合が始まる接合開始領域で前記第2対象体と前記第1対象体との接合が終了する接合終了領域より大きいことを特徴とする、剥離接合同時実行装置。
【請求項5】
前記第1対象体はカラーフィルターであり、前記第2対象体は保護フィルムであることを特徴とする、請求項1、3又は4に記載の剥離接合同時実行装置。
【請求項6】
前記第2対象体はOCA(Optically Clear Adhesive)フィルムであることを特徴とする、請求項5に記載の剥離接合同時実行装置。
【請求項7】
前記第2対象体は、軟性を有するフレキシブル基板またはガラス基板上に形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の剥離接合同時実行装置。
【請求項8】
前記キャリア基板に接合されている第1対象体は、剥離及び接合の対象になる4角領域に対して事前スクライビング(scribing)されていることを特徴とする、請求項1、3又は4に記載の剥離接合同時実行装置。
【請求項9】
上部ステージの駆動部が、曲面状基体部の曲面に吸入されている第2対象体がキャリア基板に接合されている第1対象体を一定の圧力で一定部分どうし順に接触して加圧するように前記曲面状基体部を回転させることで、前記第2対象体を前記第1対象体に接合させると同時に前記第1対象体を前記キャリア基板から剥離させるステップと、
前記曲面状基体部の曲面状の表面に前記第1対象体と前記第2対象体とを含む接合積層体が吸着された直後、前記接合積層体が前記キャリア基板と一定の圧力に順に接触するように、前記曲面状基体部を接合時に回転方向の逆方向に回転させると同時に、曲面状の表面の吸着力を減少させて前記接合積層体を前記キャリア基板上に積載するステップと、を含み、
前記上部ステージが前記第2対象体を吸入する圧力である上部吸入力は、前記下部ステージが前記第1対象体を吸入する圧力である下部吸入力より大きく、
前記第1対象体と第2対象体のうち少なくとも一つは、吸入面の反対面に接着力を有する面を含み、前記上部吸入力及び前記下部吸入力は、前記第1対象体と前記第2対象体との間の接着力より小さいことを特徴とする、剥離接合同時実行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離接合同時実行装置及び方法に関する。より詳しくは、本発明は、接合と剥離を同時に実行することで、要求される詳細工程の数を減らして工程時間を短縮するだけでなく、歩留まりを高めることができ、接合と剥離工程から発生する残留応力による対象体の変形を最小化することができる剥離接合同時実行装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、フレキシブルディスプレイ装置などを製造する過程では、キャリア基板またはプロセス基板に装置の構成要素を接合などによって形成した後、該当装置を硬質の基板から剥離する方式が用いられている。
【0003】
図1~
図3は、従来技術によってカラーフィルターをディスプレイパネルなどに接合する方式を説明するための図である。
【0004】
図1を参照すると、ガラス基板上に、ガラス基板との剥離のための分離層を形成し、分離層上にカラーフィルターを形成する一方、別個としてOLEDまたはTFTとOCA(Optically Clear Adhesive)フィルムとを接合する。
【0005】
次に、
図2を参照すると、OCAとカラーフィルターとを接合する過程が実行される。
【0006】
次に、
図3を参照すると、ガラス基板から分離層を剥離して分離する過程が実行される。
【0007】
従来のこのような方式によると、剥離と接合が別の工程により実行されるので、要求される工程の数が多く、工程時間が長くなるだけでなく、歩留まりが低下する問題点がある。
【0008】
また、接合と剥離工程から発生する残留応力により相当な水準の対象体の変形が誘発される問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0070730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、接合と剥離を同時に実行することで、接合と剥離を別に実行する従来方式に比べて要求される詳細工程の数を減らして工程時間を短縮するだけでなく、歩留まりを高めることができる剥離接合同時実行装置及び方法を提供することを技術的課題とする。
【0011】
また、本発明は、接合と剥離工程から発生する残留応力による対象体の変形を最小化することができる剥離接合同時実行装置及び方法を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような技術的課題を解決するための本発明による剥離接合同時実行装置は、第1対象体が接合されているキャリア基板を吸入して固定する下部ステージと、第2対象体を吸入して固定させ、前記第1対象体に向けて凸曲面状を有する曲面状基体部、及び前記第2対象体と前記第1対象体が一定の圧力で一定部分どうし順に接触するように、前記曲面状基体部を回転させ、前記第2対象体と前記第1対象体とを接合させながら接合時に前記第1対象体を前記キャリア基板から剥離させる駆動部を含む上部ステージと、を含む。
【0013】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記第2対象体と第1対象体との接合積層体を接合した後、前記曲面状基体部の曲面状の表面に吸着させる。
【0014】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記曲面状基体部の曲面状の表面に前記接合積層体が吸着された直後、接合積層体が前記キャリア基板と一定の圧力で順に接触するように、前記曲面状基体部を前記接合時に回転方向の逆方向に回転させると同時に、前記曲面状の表面の吸着力を減少させて前記接合積層板をキャリア基板上に積載する。
【0015】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記第1対象体と第2対象体のうち少なくとも一つは、吸入面の反対面に接着力を有する面を含む。
【0016】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記上部ステージが前記第2対象体を吸入する圧力である上部吸入力は、前記下部ステージが前記第1対象体を吸入する圧力である下部吸入力より大きいことを特徴とする。
【0017】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記上部ステージが前記第2対象体を吸入する圧力である上部吸入力は、前記下部ステージが前記第1対象体を吸入する圧力である下部吸入力より大きく、前記第1対象体と第2対象体のうち少なくとも一つは、吸入面の反対面に接着力を有する面を含み、前記第1対象体と前記第2対象体との間の接着力は、前記上部吸入力及び前記下部吸入力より大きい。
【0018】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記上部吸入力は、前記キャリア基板と前記第1対象体との間の接合力より大きいことを特徴とする。
【0019】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記上部ステージは、前記曲面状基体部に形成された上部ステージホールを通じて提供される吸入力により前記第2対象体を吸入して前記曲面状基体部の曲面に固定させ、前記上部ステージホールのうち前記第2対象体と前記第1対象体との接合が始まる接合開始領域に形成された第1上部ステージホールの直径は、前記接合開始領域以外の領域に形成された第2上部ステージホールの直径より大きいことを特徴とする。
【0020】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記上部ステージは、前記曲面状基体部に形成された上部ステージホールを通じて提供される吸入力により前記第2対象体を吸入して前記曲面状基体部の曲面に固定させ、前記上部ステージホールのうち前記第2対象体と前記第1対象体との接合が始まる接合開始領域に形成された第1上部ステージホールの分布密度は、前記接合開始領域以外の領域に形成された第2上部ステージホールの分布密度より大きいことを特徴とする。
【0021】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記上部ステージは、前記曲面状基体部に形成された上部ステージホールを通じて提供される吸入力により前記第2対象体を吸入して前記曲面状基体部の曲面に固定させ、前記上部ステージホールのうち前記第2対象体と前記第1対象体との接合が始まる接合開始領域に形成された第1上部ステージホールの直径あるいは分布密度は、前記接合開始領域以外の領域に形成された第2上部ステージホールの直径あるいは分布密度より大きいことを特徴とする。
【0022】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記上部ステージは、前記曲面状基体部に形成された上部ステージホールを通じて提供される吸入力により前記第2対象体を吸入して前記曲面状基体部の曲面に固定させ、前記上部ステージホールの直径は、前記第2対象体と前記第1対象体との接合が始まる接合開始領域で前記第2対象体と前記第1対象体のと接合が終了される接合終了領域より大きいことを特徴とする。
【0023】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記上部ステージは、前記曲面状基体部に形成された上部ステージホールを通じて提供される吸入力により前記第2対象体を吸入して前記曲面状基体部の曲面に固定させ、前記上部ステージホールの分布密度は、前記第2対象体と前記第1対象体との接合が始まる接合開始領域で前記第2対象体と前記第1対象体との接合が終了される接合終了領域より大きいことを特徴とする。
【0024】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記上部ステージは、前記曲面状基体部に形成された上部ステージホールを通じて提供される吸入力により前記第2対象体を吸入して前記曲面状基体部の曲面に固定させ、前記上部ステージホールの直径あるいは分布密度は、前記第2対象体と前記第1対象体との接合が始まる接合開始領域で前記第2対象体と前記第1対象体との接合が終了される接合終了領域より大きいことを特徴とする。
【0025】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記第1対象体はカラーフィルターであり、前記第2対象体は保護フィルムであることを特徴とする。
【0026】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記第2対象体はOCA(Optically Clear Adhesive)フィルムであることを特徴とする。
【0027】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記第2対象体は、軟性を有するフレキシブル基板またはガラス基板上に形成されていることを特徴とする。
【0028】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記キャリア基板に接合されている第1対象体は、剥離及び接合の対象になる4角領域に対して事前スクライビング(scribing)されていることを特徴とする。
【0029】
本発明による剥離接合同時実行装置において、前記キャリア基板の材質によって前記第1対象体に保護層が選択的に適用されることを特徴とする。
【0030】
本発明による剥離接合同時実行方法は、上部ステージの駆動部が、曲面状基体部の曲面に吸入されている第2対象体がキャリア基板に接合されている第1対象体を一定の圧力で一定部分どうし順に接触して加圧するように前記曲面状基体部を回転させることで、前記第2対象体を前記第1対象体に接合させると同時に、前記第1対象体を前記キャリア基板から剥離させるステップと、前記曲面状基体部の曲面状の表面に前記第1対象体と前記第2対象体とを含む接合積層体が吸着された直後、前記接合積層体が前記キャリア基板と一定の圧力で順に接触するように、前記曲面状基体部を接合時に回転方向の逆方向に回転させると同時に、曲面状の表面の吸着力を減少させて前記接合積層体を前記キャリア基板上に積載するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、接合と剥離を同時に実行することで、接合と剥離を別に実行する従来方式に比べて要求される詳細工程の数を減らして工程時間を短縮するだけでなく、歩留まりを高めることができる剥離接合同時実行装置及び方法が提供される効果がある。
【0032】
また、本発明によると、接合と剥離工程から発生する残留応力による対象体の変形を最小化することができる剥離接合同時実行装置及び方法が提供される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、従来技術によってカラーフィルターをディスプレイパネルなどに接合する方式を説明するための図である。
【
図2】
図2は、従来技術によってカラーフィルターをディスプレイパネルなどに接合する方式を説明するための図である。
【
図3】
図3は、従来技術によってカラーフィルターをディスプレイパネルなどに接合する方式を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例による剥離接合同時実行装置を示した図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例による剥離接合同時実行装置の具体的な動作を例示的に説明するための図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例による剥離接合同時実行装置の具体的な動作を例示的に説明するための図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施例による剥離接合同時実行装置の具体的な動作を例示的に説明するための図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例による剥離接合同時実行装置の具体的な動作を例示的に説明するための図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施例による剥離接合同時実行装置の具体的な動作を例示的に説明するための図である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施例による剥離接合同時実行装置の具体的な動作を例示的に説明するための図である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施例において、上部ステージを構成する曲面状基体部に形成される上部ステージホールの構成を例示的に示した図である。
【
図12】
図12は、本発明の一実施例において、上部ステージを構成する曲面状基体部に形成される上部ステージホールの構成を例示的に示した図である。
【
図13】
図13は、本発明の一実施例において、上部ステージを構成する曲面状基体部に形成される上部ステージホールの構成を例示的に示した図である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施例において、上部ステージを構成する曲面状基体部に形成される上部ステージホールの構成を例示的に示した図である。
【
図15】
図15は、本発明の一実施例において、上部ステージを構成する曲面状基体部に形成される上部ステージホールの構成を例示的に示した図である。
【
図16】
図16は、本発明の一実施例において、上部ステージを構成する曲面状基体部に形成される上部ステージホールの構成を例示的に示した図である。
【
図17】
図17は、本発明の一実施例による剥離接合同時実行方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書に開示されている本発明の概念による実施例に対する特定の構造的または機能的説明は、本発明の概念による実施例を説明するための目的で例示されたものであって、本発明の概念による実施例は、多様な形態で実施でき、本明細書に説明された実施例に限定されない。
【0035】
また、本発明の概念による実施例は、多様な変更を加えることができ、種々の形態を有することができるので、その実施例を図面に例示して本明細書で詳細に説明する。しかし、これは本発明の概念による実施例を特定の開示形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物、または代替物を含む。
【0036】
第1または第2などの用語は、多様な構成要素を説明するために使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはいけない。上記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するためのものであり、例えば、本発明の概念による権利範囲から逸脱しない限り、第1構成要素は第2構成要素と命名することができ、同様に第2構成要素は第1構成要素と命名することができる。
【0037】
ある構成要素が他の構成要素に「連結」または「接続」されていると記載された場合、ある構成要素が他の構成要素に直接的に連結または接続されていてもよいが、各構成要素の中間にさらに他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」または「直接接続」されていると記載された場合は、各構成要素の中間にさらに他の構成要素は存在しないと理解されるべきである。構成要素間の関係を説明する他の表現、すなわち、「の間に」と「直ちに~の間に」または「に隣接する」と「に直接隣接する」なども同様に解釈されるべきである。
【0038】
本明細書で使用した用語は、特定の実施例を説明するためのもので、本発明を限定するものではない。単数の表現は文脈上明白に異なるように定義しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、本明細書に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためのものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないと理解されるべきである。
【0039】
異なるように定義しない限り、技術的や科学的な用語を含んで本明細書で使用するすべての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有した者にとって一般に理解されるものと同一の意味を示す。一般に使用される辞典に定義されている用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書において明白に定義しない限り、理想的であるか過度に形式的な意味と解釈されない。
【0040】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。
【0041】
図4は、本発明の一実施例による剥離接合同時実行装置を示した図である。
【0042】
図4を参照すると、本発明の一実施例による剥離接合同時実行装置は、下部ステージ100及び上部ステージ200を含む。
【0043】
下部ステージ100は、剥離と接合の対象である第1対象体400が接合されているキャリア基板300を、例えば、空気圧を利用して吸入して固定する。下部ステージ100がキャリア基板300を固定する方式は、これに限定されず、接着力を利用した方式などのような一般の固定方式をこれに適用してもよい。
【0044】
例えば、キャリア基板300を吸入して固定する下部ステージ100には、複数の下部ステージホール120が備えられてもよく、キャリア基板300は、この下部ステージホール120を通じて提供される圧力により吸入されて下部ステージ100に固定されることができる。下部ステージホール120を通じて提供される圧力を下部吸入力と定義する。
【0045】
例えば、第1対象体400は、カラーフィルターであってもよいが、これに限定されない。また、例えば、第2対象体500は、保護フィルムであってもよいが、これに限定されない。より具体的に、第2対象体500は、OCA(Optically Clear Adhesive)フィルムであってもよい。その他にも、第1対象体400と第2対象体500は、相互結合のために剥離工程と接合工程が要求される任意の構造体であってもよい。また、例えば、第2対象体500は、軟性を有するフレキシブル基板600またはガラス基板上に形成されるように構成してもよい。また、例えば、キャリア基板300の材質によって第1対象体400に保護層が選択的に適用されるように構成してもよく、ガラス、プラスチック、フレキシブルな素材などがキャリア基板300に適用されてもよい。
【0046】
上部ステージ200は、下部ステージ100との相互作用によって剥離と接合を同時に実行する装置であって、曲面状基体部210及び駆動部250を含む。
【0047】
曲面状基体部210は、第1対象体400に接合される第2対象体500を吸入して固定させ、第1対象体400に向けて凸曲面状を有するように構成される。
【0048】
例えば、フレキシブル基板600に形成されている第2対象体500を吸入して固定する曲面状基体部210には、複数の上部ステージホール220が備えられていてもよく、第2対象体500は、この上部ステージホール220を通じて提供される圧力により吸入されて曲面状基体部210に固定されることができる。上部ステージホール220を通じて提供される圧力を上部吸入力と定義する。
【0049】
駆動部250は、接合及び剥離過程で第2対象体500が第1対象体400上を転がりながら加圧するように、曲面状基体部210を回転させて第2対象体500を第1対象体400に接合させると同時に、第1対象体400をキャリア基板300から剥離する。
【0050】
例えば、上部ステージ200が第2対象体500を吸入する圧力である上部吸入力は、下部ステージ100が第1対象体400を吸入する圧力である下部吸入力、及びキャリア基板300と第1対象体400との間の接合力より大きく、第1対象体400と第2対象体500のうち少なくとも一つは、吸入面の反対面に接着力を有する面を含み、第1対象体400と第2対象体500との間の接着力は、上部吸入力及び下部吸入力より大きくなるように構成されてもよい。このように構成すると、剥離及び接合過程で、第2対象体500が曲面状基体部210から離脱することを防止しつつ、キャリア基板300に接合された第1対象体400をキャリア基板300から剥離させて第2対象体500に安定に接合することができる。
【0051】
一例として、
図11をさらに参照すると、上部ステージ200は、曲面状基体部210に形成された上部ステージホール220を通じて提供される吸入力により、第2対象体500を吸入して曲面状基体部210の曲面に固定させ、上部ステージホール220のうち第2対象体500と第1対象体400との接合が始まる接合開始領域に形成された第1上部ステージホール230の直径は、接合開始領域以外の領域に形成された第2上部ステージホール240の直径より大きくなるように構成されてもよい。このような構成を通じて、接合開始領域を通じて提供される上部吸入力を相対的に大きくすることができ、これによって、接合開始領域に対応する位置に存在する第1対象体400をキャリア基板300から安定に剥離することができる。すなわち、剥離が始まる領域で提供される剥離力を剥離が既に進行中の領域で提供される剥離力より大きくすることで、上部ステージ200の第2対象体500が第1対象体400との接合開始領域に触れる瞬間、狭い面積に作用する上部吸入力が強く第1対象体400に伝達され、剥離が始まる領域に該当する第1対象体400とキャリア基板300との接合部分を表面損傷なしに安定に分離することができる。
【0052】
接合開始領域を通じて提供される上部吸入力を相対的に大きく調整するために、下記の多様な構成を適用することができる。
【0053】
他の例として、
図12をさらに参照すると、上部ステージ200は、曲面状基体部210に形成された上部ステージホール220を通じて提供される吸入力により、第2対象体500を吸入して曲面状基体部210の曲面に固定させ、上部ステージホール220のうち第2対象体500と第1対象体400との接合が始まる接合開始領域に形成された第1上部ステージホール230の分布密度は、接合開始領域以外の領域に形成された第2上部ステージホール240の分布密度より高く構成してもよい。
【0054】
また他の例として、
図13をさらに参照すると、上部ステージ200は、曲面状基体部210に形成された上部ステージホール220を通じて提供される吸入力により、第2対象体500を吸入して曲面状基体部210の曲面に固定させ、上部ステージホール220のうち第2対象体500と第1対象体400との接合が始まる接合開始領域に形成された第1上部ステージホール230の直径と分布密度は、接合開始領域以外の領域に形成された第2上部ステージホール240の直径と分布密度より大きくなるように構成してもよい。
【0055】
また他の例として、
図14をさらに参照すると、上部ステージ200は、曲面状基体部210に形成された上部ステージホール220を通じて提供される吸入力により、第2対象体500を吸入して曲面状基体部210の曲面に固定させ、上部ステージホール220の直径は、第2対象体500と第1対象体400との接合が始まる接合開始領域から第2対象体500と第1対象体400との接合が終わる接合終了領域に行くほど小さくなるように構成してもよい。
【0056】
また他の例として、
図15をさらに参照すると、上部ステージ200は、曲面状基体部210に形成された上部ステージホール220を通じて提供される吸入力により、第2対象体500を吸入して曲面状基体部210の曲面に固定させ、上部ステージホール220の分布密度は、第2対象体500と第1対象体400との接合が始まる接合開始領域から第2対象体500と第1対象体400との接合が終わる接合終了領域に行くほど低くなるように構成してもよい。
【0057】
また他の例として、
図16をさらに参照すると、上部ステージ200は、曲面状基体部210に形成された上部ステージホール220を通じて提供される吸入力により、第2対象体500を吸入して曲面状基体部210の曲面に固定させ、上部ステージホール220の直径と分布密度は、第2対象体500と第1対象体400との接合が始まる接合開始領域から第2対象体500と第1対象体400との接合が終わる接合終了領域に行くほど減るように構成してもよい。
【0058】
以下、
図5~
図10をさらに参照して本発明の一実施例による剥離接合同時実行装置の具体的な動作を例示的に説明する。
【0059】
図5をさらに参照すると、上部ステージ200を構成する曲面状基体部210の曲面に第2対象体500を安着させる過程が実行される。例えば、この過程は、曲面状基体部210に形成されている上部ステージホール220に上部吸入力を提供することによって第2対象体500が曲面状基体部210の曲面に吸入されて固定されるようにする方式で実行できる。
【0060】
図6をさらに参照すると、第1対象体400が接合されているキャリア基板300を下部ステージ100に安着させ、剥離及び接合のために上部ステージ200と下部ステージ100のうち一つ以上を移動させて上部ステージ200と下部ステージ100を整列する過程が実行される。例えば、キャリア基板300を下部ステージ100に安着させる過程は、下部ステージ100に形成されている下部ステージホール120に下部吸入力を提供することによって第1対象体400が接合されているキャリア基板300が下部ステージ100に吸入されて固定されるようにする方式で実行できる。例えば、下部ステージ100に安着される第1対象体400に対しては、剥離の容易性のために剥離及び接合の対象になる4角領域に対して事前スクライビング(scribing)を実行してもよい。
【0061】
図7及び
図8をさらに参照すると、上部ステージ200の駆動部250が、曲面状基体部210の曲面に吸入されている第2対象体500がキャリア基板300に接合されている第1対象体400を一定部分どうし順に加圧するように曲面状基体部210を回転させることで、第2対象体500を第1対象体400に接合させると同時に第1対象体400をキャリア基板300から剥離する過程が実行される。
【0062】
図9及び
図10をさらに参照すると、曲面状基体部210の曲面状の表面に第1対象体400と第2対象体500とからなる接合積層体が吸着された直後、接合積層体がキャリア基板300と一定の圧力で順に接触するように、曲面状基体部210を接合時に回転方向の逆方向に回転させると同時に、曲面状の表面の吸着力を減少させて接合積層体をキャリア基板300上に積載する過程が実行される。
【0063】
すなわち、
図9及び
図10では、
図5~
図8を通じて説明した過程により第1対象体400を剥離して第2対象体500に接合した前記上部ステージ200の曲面状基体部210の曲面上に積層された第1対象体400と第2対象体500との積層体を前記下部ステージ100に転写する過程をさらに含む2段階の過程が連続して実行されてもよい。このとき、上部ステージ200の接合終了領域で前記積層体が前記上部ステージ200から容易に分離されるように、上部ステージ200とフレキシブル基板600との間の吸入力を第1対象体400とキャリア基板300との間の接着力より弱く調節するように構成してもよい。
【0064】
次に、表1は、剥離及び接合に関わる従来方式と本発明の一実施例による剥離接合同時実行装置を利用した実験結果を示す。
【0065】
この実験において、第2対象体500はOCAであり、下降圧力は、上部ステージ200が下降する圧力、すなわち、曲面状基体部210に安着されている第2対象体500がキャリア基板300に接合されている第1対象体400を押す圧力であり、TD収縮率は、剥離及び接合工程が実行される方向と垂直な方向への収縮率であり、MD収縮率は、剥離及び接合工程が実行される方向への収縮率である。
【0066】
【0067】
図17は、本発明の一実施例による剥離接合同時実行方法を示した図であって、
図7~
図10の工程が含まれている。
【0068】
図7~
図10及び
図17を参照すると、本発明の一実施例による剥離接合同時実行方法は、上部ステージ200の駆動部250が、曲面状基体部210の曲面に吸入されている第2対象体500がキャリア基板300に接合されている第1対象体400を一定の圧力で一定部分どうし順に接触して加圧するように曲面状基体部210を回転させることで、第2対象体500を第1対象体400に接合させると同時に第1対象体400をキャリア基板300から剥離するステップと、曲面状基体部210の曲面状の表面に第1対象体400と第2対象体500とを含む接合積層体が吸着された直後、接合積層体がキャリア基板300と一定の圧力で順に接触するように、曲面状基体部210を接合時に回転方向の逆方向に回転させると同時に、曲面状の表面の吸着力を減少させて接合積層体をキャリア基板300上に積載するステップと、を含む。
【0069】
装置に対する説明との重複を避けるために詳細な説明は省略するが、上述した本発明の一実施例による剥離接合同時実行装置の対応する説明部分を、本発明の一実施例による剥離接合同時実行方法に適用することもできる。
【0070】
以上、詳しく説明したように、本発明によると、接合と剥離を同時に実行することで、接合と剥離を別に実行する従来方式に比べて要求される詳細工程の数を減らして工程時間を短縮するだけでなく、歩留まりを高めることができる剥離接合同時実行装置及び方法が提供される効果がある。
【0071】
また、本発明の接合と剥離工程から発生する残留応力による対象体の変形を最小化することができる剥離接合同時実行装置及び方法が提供される効果がある。
【0072】
具体的に、従来のローラーを利用して接合する場合には、基板上の対象体は張力のない状態である一方、ローラー接合される付着対象体が接合される瞬間までも付着対象体には張力が付与されるので、最終的に接合された面を境界として互いに異なる残留応力を有するようになり、外力のない状態でもフィルム形態の変形を起こすようになるが、本発明によると、このような張力差が発生しないように対象体が一定の形態を有するステージに固定された状態で接合されることができる。
【0073】
また、接合後、別途の分離工程なしに直ちに積層体を移送可能なようにキャリア基板に積載することで工程短縮の効果がある。
【符号の説明】
【0074】
100:下部ステージ
120:下部ステージホール
200:上部ステージ
210:曲面状基体部
220:上部ステージホール
230:第1上部ステージホール
240:第2上部ステージホール
250:駆動部
300:キャリア基板
400:第1対象体
500:第2対象体
600:フレキシブル基板