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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】昇降扉構造、箱体及び局所排気装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 1/04 20060101AFI20220527BHJP
   B01L 1/00 20060101ALI20220527BHJP
   E06B 3/44 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
E05F1/04 B
B01L1/00 A
E06B3/44
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018054424
(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公開番号】P2019167692
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】吉田 龍介
(72)【発明者】
【氏名】巴 大輔
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-332717(JP,A)
【文献】特開2009-291750(JP,A)
【文献】特開2005-163439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/02-1/06
B01L 1/00
E06B 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持による昇降操作によって上下方向にスライド移動可能とされた昇降扉と、
前記昇降扉に接続される第1端部を有するとともに、線材支持部材に掛け回された吊架線材と、
前記吊架線材の第2端部が接続されたメイン錘と、を備え、
前記昇降扉は、前記メイン錘との釣り合いを図る重さ調整機構を備え、
前記重さ調整機構は、
前後方向の第1側を向く保持面を有するベース部と、
前後方向に貫通する貫通孔を有するとともに、前記保持面に対向した状態で前記ベース部に着脱可能に装着されるサブ錘と、
前記ベース部に設けられて前記サブ錘に係合する係合部材と、を備え、
前記係合部材は、
前記貫通孔内に挿通されて前記サブ錘に上下方向及び左右方向で係合する第1位置決め部と、
前記サブ錘に前後方向で係合する第2位置決め部と、を備えている昇降扉構造。
【請求項2】
上下方向にスライド移動可能とされた昇降扉と、
前記昇降扉に接続される第1端部を有するとともに、線材支持部材に掛け回された吊架線材と、
前記吊架線材の第2端部が接続されたメイン錘と、を備え、
前記昇降扉及び前記メイン錘のうち、少なくとも一方の部材は、他方の部材との釣り合いを図る重さ調整機構を備え、
前記重さ調整機構は、
前後方向の第1側を向く保持面を有するベース部と、
前後方向に貫通する貫通孔を有するとともに、前記保持面に対向した状態で前記ベース部に着脱可能に装着されるサブ錘と、
前記ベース部に設けられて前記サブ錘に係合する係合部材と、を備え、
前記係合部材は、
前記貫通孔内に挿通されて前記サブ錘に上下方向及び左右方向で係合する第1位置決め部と、
前記サブ錘に前後方向で係合する第2位置決め部と、を備え、
前記貫通孔は、前記サブ錘の下端面上で開口し、
前記第1位置決め部は、前記サブ錘の下方から前記貫通孔に挿抜可能に差し込まれる昇降扉構造。
【請求項3】
上下方向にスライド移動可能とされた昇降扉と、
前記昇降扉に接続される第1端部を有するとともに、線材支持部材に掛け回された吊架線材と、
前記吊架線材の第2端部が接続されたメイン錘と、を備え、
前記昇降扉及び前記メイン錘のうち、少なくとも一方の部材は、他方の部材との釣り合いを図る重さ調整機構を備え、
前記重さ調整機構は、
前後方向の第1側を向く保持面を有するベース部と、
前後方向に貫通する貫通孔を有するとともに、前記保持面に対向した状態で前記ベース部に着脱可能に装着されるサブ錘と、
前記ベース部に設けられて前記サブ錘に係合する係合部材と、を備え、
前記係合部材は、
前記貫通孔内に挿通されて前記サブ錘に上下方向及び左右方向で係合する第1位置決め部と、
前記サブ錘に前後方向で係合する第2位置決め部と、を備え、
前記第1位置決め部は、前記サブ錘に下方から係合し、
前記係合部材は、前記サブ錘に上方から係合するとともに、前記ベース部に着脱可能な第3位置決め部を有している昇降扉構造。
【請求項4】
上下方向にスライド移動可能とされた昇降扉と、
前記昇降扉に接続される第1端部を有するとともに、線材支持部材に掛け回された吊架線材と、
前記吊架線材の第2端部が接続されたメイン錘と、を備え、
前記昇降扉及び前記メイン錘のうち、少なくとも一方の部材は、他方の部材との釣り合いを図る重さ調整機構を備え、
前記重さ調整機構は、
前後方向の第1側を向く保持面を有するベース部と、
前後方向に貫通する貫通孔を有するとともに、前記保持面に対向した状態で前記ベース部に着脱可能に装着されるサブ錘と、
前記ベース部に設けられて前記サブ錘に係合する係合部材と、を備え、
前記係合部材は、
前記貫通孔内に挿通されて前記サブ錘に上下方向及び左右方向で係合する第1位置決め部と、
前記サブ錘に前後方向で係合する第2位置決め部と、を備え、
前記ベース部は、前記サブ錘に対して下方に位置して前記サブ錘に上下方向で対向する対向壁を有し、
前記サブ錘は、前記対向壁に対して上方に離間した状態で前記係合部材に支持される降扉構造。
【請求項5】
請求項1から請求項の何れか1項に記載の昇降扉構造と、
前記昇降扉とともに内部空間を画成するとともに、前記昇降扉の移動に伴い開閉可能な開口部を有する箱部と、を備えている箱体。
【請求項6】
請求項に記載の箱体を備えている局所排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降扉構造、箱体及び局所排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実験施設(例えば、研究所等)での理化学実験では、局所排気装置が用いられる場合がある。局所排気装置は、開口部を有する箱部と、箱部にスライド昇降可能に支持されて開口部を開閉する昇降扉と、を主に有している。
局所排気装置を使用する際は、昇降扉を所定量上昇させ、開口部の一部を開放させる。その後、箱部及び昇降扉により画成された作業空間に、開口部から手を差し入れる。これにより、作業空間での作業が可能になる。
【0003】
上述した昇降扉は、滑車に掛け回された吊架線材(例えば、ワイヤ等)の第1端部に接続されている。吊架線材の第2端部には、バランスウェイトが接続されている。局所排気装置では、昇降扉とバランスウェイトとの釣り合いを取ることで、昇降扉のスムーズかつ正確な昇降操作を可能にしている。つまり、局所排気装置では、例えば昇降扉の重量ばらつき等によって昇降扉とバランスウェイトとの重量差が生じると、スムーズな昇降操作ができなくなったり、昇降扉を所望の位置で停止させることができなくなったりする可能性がある。
【0004】
そこで、例えば下記特許文献1には、吊架線材の第2端部に、複数の錘を収容可能な錘ケースが接続された構成が開示されている。この構成によれば、錘ケース内の錘の個数を調整することで、錘全体の重さを調整できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5188274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の局所排気装置にあっては、錘を安定して保持する点で未だ改善の余地があった。そのため、従来の局所排気装置では、例えば錘が錘ケース内でがたつくことにより、異音の発生や部材(例えば、錘や錘ケース等)の損傷に繋がる可能性がある。
【0007】
本発明は、錘を安定して保持できる昇降扉構造、箱体及び局所排気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る昇降扉構造は、把持による昇降操作によって上下方向にスライド移動可能とされた昇降扉と、前記昇降扉に接続される第1端部を有するとともに、線材支持部材に掛け回された吊架線材と、前記吊架線材の第2端部が接続されたメイン錘と、を備え、前記昇降扉は、前記メイン錘との釣り合いを図る重さ調整機構を備え、前記重さ調整機構は、前後方向の第1側を向く保持面を有するベース部と、前後方向に貫通する貫通孔を有するとともに、前記保持面に対向した状態で前記ベース部に着脱可能に装着されるサブ錘と、前記ベース部に設けられて前記サブ錘に係合する係合部材と、を備え、前記係合部材は、前記貫通孔内に挿通されて前記サブ錘に上下方向及び左右方向で係合する第1位置決め部と、前記サブ錘に前後方向で係合する第2位置決め部と、を備えている。
【0009】
本態様によれば、ベース部でサブ錘を安定して保持することができる。これにより、サブ錘のがたつき等に起因する異音の発生や部材の損傷等を抑制できる。
【0010】
本発明の一態様に係る昇降扉構造は、上下方向にスライド移動可能とされた昇降扉と、前記昇降扉に接続される第1端部を有するとともに、線材支持部材に掛け回された吊架線材と、前記吊架線材の第2端部が接続されたメイン錘と、を備え、前記昇降扉及び前記メイン錘のうち、少なくとも一方の部材は、他方の部材との釣り合いを図る重さ調整機構を備え、前記重さ調整機構は、前後方向の第1側を向く保持面を有するベース部と、前後方向に貫通する貫通孔を有するとともに、前記保持面に対向した状態で前記ベース部に着脱可能に装着されるサブ錘と、前記ベース部に設けられて前記サブ錘に係合する係合部材と、を備え、前記係合部材は、前記貫通孔内に挿通されて前記サブ錘に上下方向及び左右方向で係合する第1位置決め部と、前記サブ錘に前後方向で係合する第2位置決め部と、を備え、前記貫通孔は、前記サブ錘の下端面上で開口し、前記第1位置決め部は、前記サブ錘の下方から前記貫通孔に挿抜可能に差し込まれ
この構成によれば、サブ錘をベース部に対して簡単に着脱できる。これにより、施工性の向上を図ることができる。
【0011】
本発明の一態様に係る昇降扉構造上下方向にスライド移動可能とされた昇降扉と、前記昇降扉に接続される第1端部を有するとともに、線材支持部材に掛け回された吊架線材と、前記吊架線材の第2端部が接続されたメイン錘と、を備え、前記昇降扉及び前記メイン錘のうち、少なくとも一方の部材は、他方の部材との釣り合いを図る重さ調整機構を備え、前記重さ調整機構は、前後方向の第1側を向く保持面を有するベース部と、前後方向に貫通する貫通孔を有するとともに、前記保持面に対向した状態で前記ベース部に着脱可能に装着されるサブ錘と、前記ベース部に設けられて前記サブ錘に係合する係合部材と、を備え、前記係合部材は、前記貫通孔内に挿通されて前記サブ錘に上下方向及び左右方向で係合する第1位置決め部と、前記サブ錘に前後方向で係合する第2位置決め部と、を備え、前記第1位置決め部は、前記サブ錘に下方から係合し、前記係合部材は、前記サブ錘に上方から係合するとともに、前記ベース部に着脱可能な第3位置決め部を有している
この構成によれば、サブ錘を第1位置決め部に係合させた状態で第3位置決め部をサブ錘に係合させることができる。これにより、第1位置決め部がサブ錘に上下方向の両側から係合する場合に比べて、サブ錘をベース部に対して簡単に着脱できる。
【0013】
本発明の一態様に係る昇降扉構造は、上下方向にスライド移動可能とされた昇降扉と、前記昇降扉に接続される第1端部を有するとともに、線材支持部材に掛け回された吊架線材と、前記吊架線材の第2端部が接続されたメイン錘と、を備え、前記昇降扉及び前記メイン錘のうち、少なくとも一方の部材は、他方の部材との釣り合いを図る重さ調整機構を備え、前記重さ調整機構は、前後方向の第1側を向く保持面を有するベース部と、前後方向に貫通する貫通孔を有するとともに、前記保持面に対向した状態で前記ベース部に着脱可能に装着されるサブ錘と、前記ベース部に設けられて前記サブ錘に係合する係合部材と、を備え、前記係合部材は、前記貫通孔内に挿通されて前記サブ錘に上下方向及び左右方向で係合する第1位置決め部と、前記サブ錘に前後方向で係合する第2位置決め部と、を備え、前記ベース部は、前記サブ錘に対して下方に位置して前記サブ錘に上下方向で対向する対向壁を有し、前記サブ錘は、前記対向壁に対して上方に離間した状態で前記係合部材に支持されている
この構成によれば、仮にサブ錘がベース部に対してがたついたとしても、サブ錘と周辺部材(例えば、上部カバー)との接触を抑制できる。
【0014】
本発明の一態様に係る箱体は、上記態様に係る昇降扉構造と、前記昇降扉とともに内部空間を画成するとともに、前記昇降扉の移動に伴い開閉可能な開口部を有する箱部と、を備えている。
この構成によれば、上記態様に係る昇降扉構造を備えているため、サブ錘が安定して保持され、スムーズかつ正確な昇降操作が可能な箱体を提供できる。
【0015】
本発明の一態様に係る局所排気装置は、上記態様に係る箱体を備えている。
この構成によれば、サブ錘が安定して保持され、スムーズかつ正確な昇降操作が可能な局所排気装置を提供できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、サブ錘を安定して保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】フード付き作業台を左前方から見た斜視図。
図2図1のII-II線に沿う断面図。
図3】第1支柱の上端部を示す分解斜視図。
図4図1のIV-IV線に沿う断面図。
図5図1のV-V線に沿う断面図。
図6図1のVI-VI線に沿う斜視断面図。
図7】昇降扉の上部を後方から見た分解斜視図。
図8】重さ調整機構の分解斜視図。
図9】昇降扉が最上端位置にある状態を示すフード付き作業台を左前方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、フード付き作業台1が設置された床面(不図示)の法線方向を上下方向(矢印UPが上方)とし、上下方向に直交する方向をそれぞれ前後方向(矢印FRが前方)及び左右方向(矢印LHが左側)とする。
【0019】
[フード付き作業台]
図1は、フード付き作業台1を左前方から見た斜視図である。
図1に示すフード付き作業台1は、実験施設の室内に設置される。フード付き作業台1は、理化学実験において、作業空間S1内の気体を室内に流出させないためのものである。具体的に、フード付き作業台1は、作業台2と、作業台2の天板3に設けられたフード(局所排気装置、箱体)4と、を備えている。
【0020】
<フード>
フード4は、下方に向けて開口する箱型に形成されている。フード4は、天板3上に組み付られることで、天板3とともに作業空間S1を画成する。なお、フード4は、作業台2に対して着脱可能に組み付けられる構成であっても、作業台2と一体形成された構成であってもよい。作業台2とフード4とを一体に形成した、いわゆるヒュームフード(局所排気装置)を採用することで、作業台2とフード4との間の気密性を確保し易くなる。
【0021】
フード4は、前方に開口する前方開口部11A及び後方に開口する後方開口部11Bを有する箱部12と、前方開口部11Aを開閉する前方開閉機構15A及び後方開口部11Bを開閉する後方開閉機構15Bと、を備えている。
【0022】
<箱部>
箱部12のうち、側壁部22,23及び上壁部24は、例えば枠材にパネルが組み付けられた構成である。本実施形態において、各壁部22~24の枠材には、金属材料(例えば、ステンレス)等が用いられている。各壁部22~24のパネルには、光透過性を有する材料(例えば、ガラス(強化ガラス)やアクリル樹脂等)が用いられている。
【0023】
すなわち、本実施形態の箱部12は、各壁部22~24のパネルを通じて作業空間S1を視認可能に構成されている。なお、各壁部22~24の構成は、適宜変更が可能である。例えば、各壁部22~24のうち、何れかの壁部では作業空間S1を視認不能としてもよい。
【0024】
上壁部24には、作業空間S1内の気体を排出する排気口25が設けられている。排気口25は、ダクト(不図示)を通じて実験施設の室外に連通している。作業空間S1は、少なくとも理化学実験中において、ダクト内に設けられたファン(不図示)によって負圧に維持されている。これにより、開口部11A,11Bを通じて室内の気体が作業空間S1内に流入するとともに、作業空間S1内の気体が排気口25を通じて実験施設の室外に排出される。なお、排気口25は、上壁部24に限らず、側壁部22,23等に設けてもよい。
【0025】
箱部12の前壁部30は、天板3から上方に立設されるとともに、各側壁部22,23及び上壁部24の前端面に接続されている。具体的に、前壁部30は、一対の支柱(第1支柱32及び第2支柱33)と、支柱32,33同士の間を架け渡す上梁部35及び中間梁部36と、各支柱32,33及び各梁部35,36で画成された部分に嵌め込まれたパネル37と、を主に有している。上述した前方開口部11Aは、前壁部30の各支柱32,33及び中間梁部36、並びに天板3によって画成されている。
【0026】
箱部12の後壁部31は、天板3から上方に立設されるとともに、各側壁部22,23及び上壁部24の後端面に接続されている。なお、後壁部31は、前壁部30と前後対称に形成されている。すなわち、後壁部31は、前壁部30と同様に、一対の支柱32,33、上梁部35、中間梁部36及びパネル37を有している。上述した後方開口部11Bは、後壁部31の各支柱32,33及び中間梁部36、並びに天板3によって画成されている。なお、本実施形態では、箱部12の前後両方に開口部を有する構成について説明したが、この構成のみに限られない。開口部は、前後方向の少なくとも一方に開口していても、前後方向及び左右方向に開口していてもよい。
【0027】
続いて、前壁部30及び後壁部31の構成について、前壁部30を例にして説明する。
支柱32,33は、天板3の角部のうち、前側かつ左右方向の両側に位置する角部からそれぞれ上方に立設されている。なお、各支柱32,33は、左右対称の部材である。そのため、以下では、第1支柱32について主に説明し、第2支柱33の説明を適宜省略する。
【0028】
図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。
図2に示すように、第1支柱32は、支柱本体41と、支柱本体41を前方から覆うカバー42と、支柱本体41及びカバー42の上端部に装着された支柱キャップ43(図3参照)と、を備えている。
支柱本体41は、例えば押出成形等によって上下方向に延びる筒状に形成されている。具体的に、支柱本体41は、筒部45と、筒部45から前方に延びる第1延出壁46及び第2延出壁47と、を主に備えている。
【0029】
筒部45は、前後方向を長手方向として上下方向に延びる角筒状に形成されている。筒部45の後壁部45aは、側壁部22の前端面に組み付けられている。
第1延出壁46は、筒部45の前壁部45bにおいて、左右方向の中央部に連設されている。第1延出壁46は、左右方向の内側(フード4における左右方向の中心に向かう方向)に屈曲しながら、前方に延在している。筒部45の前壁部45bと第1延出壁46とで画成された空間は、左右方向の内側に向けて開放されたガイド空間S2を構成している。
第2延出壁47は、筒部45における前壁部45b及び外壁部45cとの境界部分から前方に延在している。第2延出壁47は、外壁部45cに滑らかに連なっている。
【0030】
図3は、第1支柱32の上端部を示す分解斜視図である。
図3に示すように、筒部45において、前壁部45bの上端部には、切欠き部48が形成されている。切欠き部48は、前壁部45bを前後方向に貫通するとともに、前壁部45bの上端縁で開放されている。すなわち、筒部45内とガイド空間S2とは、切欠き部48を通して連通している。
【0031】
図2に示すように、カバー42は、上下方向から見た平面視で後方に向けて開口するC字状に形成されている。カバー42は、筒部45の前壁部45b及び第1延出壁46を前方から覆うように支柱本体41に組み付けられている。カバー42における左右方向の外側に位置する外壁部42aは、第2延出壁47の前端部に突き当たっている。カバー42の外壁部42a、第2延出壁47及び筒部45の外壁部45cは、滑らかに連なっている。
【0032】
一方、カバー42における左右方向の内側に位置する内壁部42bは、筒部45における左右方向の内側に位置する内壁部45dに対して前後方向に隙間S3をあけて対向している。なお、筒部45の前壁部45bとカバー42とで画成された空間は、例えば配線等の配索スペースとして利用できる。
【0033】
図3に示すように、支柱キャップ43は、例えば樹脂材料等によって形成されている。支柱キャップ43は、天板部51と、天板部51から下方に突出する挿入部52と、を備えている。
【0034】
天板部51は、平面視において、第1支柱32の外形と同等の形状に形成されている。天板部51は、第1支柱32の上端開口部を上方から閉塞している。天板部51には、平面視で上述した隙間S3と重なる部分に、凹部53が形成されている。凹部53は、天板部51を上下方向に貫通するとともに、天板部51の外周縁において左右方向の内側に向けて開口している。したがって、凹部53内は、上述した隙間S3に連通している。なお、天板部51は、隙間S3を含む第1支柱32の上端開口部全体を閉塞していてもよい。
【0035】
挿入部52は、上述した筒部45内及びカバー42内にそれぞれ嵌合されている。なお、支柱キャップ43と第1支柱32との装着方法は、適宜変更が可能である。例えば、挿入部52は、第1支柱32に対して爪等によって係止される構成であってもよい。
【0036】
図1に示すように、各梁部35,36は、上下方向に離間した状態で、左右方向に沿って互いに平行に延在している。上梁部35は、支柱32,33(支柱本体41)の上端部同士を架け渡している。中間梁部36は、支柱32,33(支柱本体41)における上下方向の中間部同士を架け渡している。
【0037】
パネル37は、光透過性を有する材料により形成されている。パネル37は、各支柱32,33及び各梁部35,36で画成された枠部分に嵌め込まれている。本実施形態において、箱部12の各壁部22~24,30,31により囲まれた空間は、上述した作業空間S1を構成している。
【0038】
<開閉機構>
前方開閉機構15Aは、前壁部30の支柱32,33に支持された状態で、箱部12の前方開口部11Aを開閉する。後方開閉機構15Bは、後壁部31の支柱32,33に支持された状態で、後方開口部11Bを開閉する。なお、各開閉機構15A,15Bは、前後対称に形成されている。そのため、以下の説明では前方開閉機構15Aを例にして説明する。
【0039】
図4は、図1のIV-IV線に沿う断面図である。
図4に示すように、前方開閉機構15Aは、滑車(線材支持部材)61と、吊架線材62と、メイン錘63と、昇降扉64と、を備えている。なお、前壁部30の支柱32,33及び前方開閉機構15Aによって本実施形態の昇降扉構造が構成されている。
【0040】
滑車61は、例えば各支柱32,33それぞれの内側においてブラケット(不図示)を介して各支柱32,33に取り付けられている。滑車61は、左右方向に沿う軸線回りに回転可能に構成されている。
【0041】
吊架線材62は、例えばステンレス製のワイヤロープである。吊架線材62は、滑車61に上方から掛け回されている。すなわち、吊架線材62は、延在方向の中途部分が滑車61で折り返されることで、第1端部及び第2端部が下方に垂れ下がった状態で滑車61に掛け回されている。吊架線材62の第1端部は、筒部45内に配置されている。一方、吊架線材62の第2端部は、支柱本体41の切欠き部48(図3参照)を通して上述したガイド空間S2に進入している。
【0042】
なお、本実施形態では、吊架線材62としてワイヤロープを用いた場合について説明するが、この構成のみに限られない。吊架線材62は、ベルトや歯付ベルトであってもよく、ローラチェーンに代表されるチェーン等であってもよい。また、本実施形態では、線材支持部材として滑車を用いる場合について説明するが、この構成のみに限られない。線材支持部材は、プーリやスプロケット等であってもよい。プーリは、吊架線材62がワイヤやベルト、歯付ベルト等の場合に好適に用いられる。スプロケットは、吊架線材62がローラチェーン等の場合に好適に用いられる。
【0043】
図1に示すように、昇降扉64は、上述したパネル37よりも前方において、各支柱32,33間を架け渡している。昇降扉64は、各支柱32,33にスライド昇降可能に支持されている。昇降扉64は、スライド昇降に伴い、前方開口部11Aを開閉する。具体的に、昇降扉64は、扉本体71と、扉本体71の下端部に取り付けられた下部カバー72と、扉本体71の上端部に取り付けられた上部カバー73と、上部カバー73に取り付けられた重さ調整機構74と、を主に有している。
【0044】
扉本体71は、光透過性を有する材料により板状に形成されている。扉本体71の左側端部は、第1支柱32の隙間S3内に配置されている(図2等参照)。扉本体71の右側端部は、第2支柱33の隙間S3内に配置されている。なお、扉本体71は、隙間S3内の上部において、ガイドレール75(図3等参照)を介して支柱32,33に支持されていることが好ましい。
【0045】
下部カバー72は、左右方向に延在する長尺部材である。下部カバー72は、板金加工等によって上下方向に沿う縦断面視で上方に開口するU字状に形成されている。下部カバー72は、扉本体71の下端部を下方及び前後両側から取り囲むように、扉本体71に装着されている。
【0046】
図3、4に示すように、下部カバー72における左右方向の両端部は、接続部材77を介して各支柱32,33内に配置された吊架線材62の第2端部にそれぞれ接続されている。接続部材77は、上述したガイド空間S2内において、吊架線材62の第2端部に接続されている。接続部材77は、隙間S3(図2参照)内において、ガイドレール75よりも下方に位置する部分を通して下部カバー72に連結されている。昇降扉64は、滑車61に沿った吊架線材62の走行により接続部材77がガイド空間S2を上下昇降することで、支柱32,33に沿ってスライド昇降する。
【0047】
図1に示すように、上部カバー73は、左右方向に延在する長尺部材である。上部カバー73は、扉本体71の上端部を上方及び前後両側から取り囲むように、扉本体71の上端部に装着されている。
【0048】
図5は、図1のV-V線に沿う断面図である。
図5に示すように、上部カバー73は、後カバー81及び前カバー82が扉本体71を間に挟んで前後で組み付けられて構成されている。
後カバー81は、前方に向けて開口するC字状に形成された後本体部83を有している。後本体部83は、上下両端部において、後本体部83の内側(上下方向の内側)に向けて各別に延びる後上向き壁部83a及び後下向き壁部83bを有している。
【0049】
後上向き壁部83aは、後本体部83における下壁部83cの前端部から上方に延設されている。後上向き壁部83aは、扉本体71の後面に後方から近接又は当接している。
後下向き壁部83bは、後本体部83における上壁部83dの前端部から下方に延設されている。後下向き壁部83bの下端は、扉本体71の上端よりも上方に位置している。後下向き壁部83bの下端部には、当接部85が連設されている。当接部85は、後下向き壁部83bから前方に延設されている。当接部85は、扉本体71の上端面に上方から当接している。
【0050】
前カバー82は、後方に向けて開口するC字状に形成された前本体部86を有している。前本体部86は、上下両端部において、前本体部86の内側(上下方向の内側)に延びる前上向き壁部86a及び前下向き壁部86bを有している。
前上向き壁部86aは、前本体部86における下壁部86cの前端部から上方に延設されている。前上向き壁部86aは、扉本体71の前面に前方から近接又は当接している。
【0051】
前下向き壁部86bは、前本体部86における上壁部86dの前端部から下方に延設されている。前下向き壁部86bは、上述した後下向き壁部83bに前方から近接又は当接している。本実施形態において、上部カバー73は、後上向き壁部83a及び前上向き壁部86aが扉本体71を前後方向で挟持し、かつ当接部85が扉本体71の上端面に支持された状態で、扉本体71に組み付けられている。なお、後カバー81及び前カバー82の組付方法は、適宜選択可能である。例えば、後カバー81及び前カバー82は、左右方向の両端部においてエンドキャップ等により互いに組み付けられていてもよく、左右方向の任意の位置においてビス等の締結部材により組み付けられていてもよい。上部カバー73は、後カバー81及び前カバー82が一体で形成されていてもよい。
【0052】
図4に示すように、メイン錘63は、支柱本体41の筒部45内において、吊架線材62の第1端部に接続されている。メイン錘63は、昇降扉64と釣り合うように重さが設定されていることが好ましい。メイン錘63は、滑車61に沿った吊架線材62の走行により筒部45内を上下昇降可能に構成されている。
【0053】
図2に示すように、メイン錘63は、錘収容部100と、錘片101と、ガイドローラ102と、を主に備えている。
錘収容部100は、前後方向を長手方向とする平面視長方形状の箱型に形成されている。錘収容部100には、図示しない錘挿入口を通じて錘収容部100の内部に錘片101を収容可能に構成されている。
【0054】
錘片101は、左右方向を厚さ方向とする板状に形成されている。錘片101は、上述した錘挿入口を通して錘収容部100内に挿入される。錘片101は、錘収容部100内において、左右方向に重ねられた状態で複数収容される。すなわち、メイン錘63は、錘収容部100内に収容する錘片101の枚数に応じて重さを調整可能とされている。
【0055】
図2に示すように、ガイドローラ102は、錘収容部100から左右方向の内側に突出した状態で設けられている。筒部45の内壁部45dには、メイン錘63が筒部45内を上下方向に移動する過程で、ガイドローラ102の上下動を案内するローラガイド113が形成されている。
【0056】
図6は、図1のVI-VI線に沿う斜視断面図である。図7は、昇降扉64の上部を後方から見た分解斜視図である。
図6図7に示すように、上述した上部カバー73において、左右方向の中央部には、取付孔120が形成されている。取付孔120は、上部カバー73の後下向き壁部83b、上壁部83dの一部及び当接部85(図5参照)が切欠かれることで、左右方向に長いスリット状に形成されている。すなわち、取付孔120は、上方に向けて開口している。
【0057】
<重さ調整機構>
重さ調整機構74は、取付孔120を通じて上部カバー73に着脱可能に装着される。重さ調整機構74は、ベース部121と、サブ錘122と、係合部材123と、を有している。なお、本実施形態では、重さ調整機構74が、上部カバー73における左右方向の中央部に取り付けられる構成について説明するが、この構成のみに限られない。すなわち、重さ調整機構74は、上部カバー73における左右方向の任意の位置に任意の数で取り付けることが可能である。
【0058】
図8は、重さ調整機構74の分解斜視図である。
図7図8に示すように、ベース部121は、後方に向けて開口するC字状に形成されている。ベース部121の底壁部121aは、上部カバー73の下壁部83cに上方から近接又は当接している。なお、ベース部121は、サブ錘122が着脱可能な構成であれば、C字状に限られない。
【0059】
ベース部121の前壁部121bは、底壁部121aの前端部から上方に延設されている。前壁部121bは、上述した後上向き壁部83aに後方から近接又は当接している。すなわち、ベース部121は、扉本体71とは接触していない。前壁部121bにおいて、左右方向及び上下方向の中央部には、前壁部121bを前後方向に貫通する挿通孔125が形成されている。
【0060】
ベース部121の上壁部121cは、前壁部121bの上端部から後方に延設されている。重さ調整機構74が上部カバー73に装着された状態において、ベース部121における上壁部121cの上面と、上部カバー73における上壁部83dの上面と、は面一に配置されている(図6参照)。
【0061】
上壁部121cの後端部において、左右方向の中央部には、切欠き部130が形成されている。切欠き部130は、上壁部121cの後端縁で開放されている。切欠き部130は、重さ調整機構74を着脱する際の操作孔として機能する。
【0062】
図8に示すように、サブ錘122は、前後方向を厚さ方向とし、左右方向を長手方向とする板状に形成されている。サブ錘122における左右方向の両端部には、スリット(貫通孔)126が形成されている。スリット126は、サブ錘122の下端面で開口するとともに、上下方向に延びている。サブ錘122における左右方向の中央部には、逃げ部127が形成されている。逃げ部127は、サブ錘122を前後方向に貫通するとともに、サブ錘122の上端面で開口している。
【0063】
係合部材123は、第1係合片131と、第2係合片132と、を有している。
第1係合片131は、ベース部121の前壁部121bにおいて、左右一対で設けられている。なお、各第1係合片131は、上述したベース部121の中心を通り、左右方向に直交する面に対して面対称に形成されている。したがって、以下の説明では、一方(左側)の第1係合片131を例にして説明する。但し、第1係合片131の数や取付位置は適宜設計変更が可能である。
【0064】
第1係合片131は、平面視においてクランク状に形成されている。具体的に、第1係合片131は、固定部131a、第1位置決め部131b及び第2位置決め部131cが順次屈曲されて連なっている。
固定部131aは、溶接等によって前壁部121bに固定されている。
【0065】
第1位置決め部131bは、固定部131aにおける左右方向の外側端部から前方に延設されている。第1位置決め部131bは、サブ錘122のスリット126内に差込可能とされている。すなわち、サブ錘122は、スリット126内に第1位置決め部131bが下方から差し込まれることで、第1位置決め部131bに対して左右方向の両側及び上方から係合する。なお、サブ錘122が第1位置決め部131bに係合した状態において、サブ錘122の下端面と、ベース部121の底壁部121aと、の間に上下方向の隙間を有している(図6参照)。
【0066】
図7図8に示すように、第2位置決め部131cは、第1位置決め部131bの後端部から左右方向の外側(左側)に延設されている。第2位置決め部131cは、前壁部121bに対して前後方向に間隔をあけた状態で、前壁部121bと平行に延在している。第2位置決め部131cは、ベース部121の前壁部121bとの間にサブ錘122を保持する。本実施形態において、前壁部121bの後面は、サブ錘122の前面に対向する保持面を構成している。第2位置決め部131cは、サブ錘122が装着された状態において、サブ錘122の後面に後方から係合して、ベース部121とともにサブ錘122の前後方向への移動を規制する。図示の例において、第2位置決め部131cは、第1位置決め部131bに対して上下方向の幅が広くなっている。但し、第1係合片131の寸法は、適宜変更が可能である。なお、第2位置決め部131cは、サブ錘122が装着された状態でサブ錘122をベース部121に向けて付勢する板ばね状に形成されていてもよい。
【0067】
第2係合片132は、左右方向から見た側面視において、下方に開口するJ字状に形成されている。具体的に、第2係合片132は、取付部140、第3位置決め部141及び第4位置決め部142が順次屈曲されて連なっている。
【0068】
図6図8に示すように、取付部140は、ベース部121の前壁部121bに後方から重ね合わされている。取付部140は、サブ錘122がベース部121に装着された状態において、サブ錘122とベース部121の前壁部121bとの間に介在する。取付部140において、上述した挿通孔125及び逃げ部127と正面視で重なる位置には、取付部140を前後方向に貫通する挿通孔145が形成されている。挿通孔145は、上下方向を長軸方向とする長円形状に形成されている。取付部140は、挿通孔125,145を通じて挿通されるボルト(締結部材)146によって上部カバー73に着脱可能に固定される。この場合、第2係合片132は、ベース部121に対して上下動可能に取り付けられる。なお、挿通孔145は、丸孔等であってもよい。
【0069】
具体的に、図6に示すように、扉本体71のうち、挿通孔125,145と正面視で重なる位置には、扉本体71を前後方向に貫通する遊挿孔150が形成されている。遊挿孔150は、ボルト146の軸部外径に対して十分に大きくなっている。前カバー82(前本体部86)の前壁部86eにおいて、遊挿孔150と正面視で重なる位置には、取付ステー151が設けられている。取付ステー151は、左右方向の両端部が前壁部86eに溶接等によって固定されるとともに、左右方向の中央部(以下、台座部152という。)が前壁部86eに対して後方に離間して配置されている。台座部152には、台座部152を前後方向に貫通する挿通孔153が形成されている。台座部152の前面において、挿通孔153の周囲に位置する部分には、ナット155が固定されている。
【0070】
上述したボルト146は、挿通孔125,145を通過した後、扉本体71の遊挿孔150を通じて扉本体71に対して前方に案内される。ボルト146は、扉本体71の前方において挿通孔153を通じてナット155に螺着される。これにより、第2係合片132がベース部121とともに、上部カバー73に締結される。後カバー81の後壁部83eにおいて、上述した挿通孔125と正面視で重なる位置には、作業孔158が形成されている。上述したボルト146は、作業孔158を通じて上部カバー73の後方から締結される。なお、図6に示すように、ボルト146が上部カバー73に締結された状態において、ボルト146の頭部は、サブ錘122の逃げ部127内に収容されている。
【0071】
第3位置決め部141は、取付部140の上端部において、左右方向の両端部から後方に延設されている。第3位置決め部141は、サブ錘122がベース部121に装着された状態において、サブ錘122の上端面に上方から係合する。すなわち、第3位置決め部141は、上述した第1位置決め部131bとともに、ベース部121に対するサブ錘122の上下方向の移動を規制している。
【0072】
第4位置決め部142は、第3位置決め部141の後端部から下方に延設されている。第4位置決め部142は、サブ錘122がベース部121に装着された状態において、サブ錘122の後端面に後方から係合する。すなわち、第4位置決め部142は、ベース部121に対するサブ錘122の後方への移動を規制している。
【0073】
このように、本実施形態のサブ錘122は、底壁部(対向壁)121aに対して上方に離間した状態で、第1位置決め部131bによってベース部121に対する左右方向の移動が規制され、第1位置決め部131b及び第3位置決め部141によってベース部121に対する上下方向の移動が規制され、ベース部121や第2位置決め部131c、第4位置決め部142によってベース部121に対する前後方向の移動が規制されている。
【0074】
次に、フード付き作業台1を使用して実験を行う場合について説明する。以下の説明では、前方開口部11Aを通じて実験を行う場合について説明する。
まず下部カバー72を把持して昇降扉64を所定量上昇させ、前方開口部11Aの一部を開放させる。昇降扉64を上昇させると、接続部材77がガイド空間S2内を上方に移動することで、吊架線材62が走行する。吊架線材62の走行することで、重さ調整機構74が筒部45内を下方に移動する。この際、昇降扉64とメイン錘63との釣り合いが図れていることで、昇降扉64のスムーズかつ正確な昇降操作が可能になる。
【0075】
その後、前方開口部11Aを通じて作業空間S1に手を差し入れることで、作業空間S1での実験が可能になる。この際、作業空間S1内の気体が排気口25を通じて排出されるとともに、前方開口部11Aを通じて作業空間S1に空気が供給される。これにより、作業空間S1内の気体が室内へ流出するのを抑制した上で、実験を行うことができる。
【0076】
図9は、昇降扉64が最上端位置にある状態を示すフード付き作業台1を左前方から見た拡大斜視図である。
続いて、重さ調整機構74の取付方法について説明する。なお、以下の説明では、扉本体71に上部カバー73が箱部12に組み付けられた状態から説明する。
図9に示すように、重さ調整機構74を取り付けるには、まず下部カバー72を把持して、昇降扉64(扉本体71)を最上端位置に上昇させる。本実施形態の昇降扉64は、最上端位置において、扉本体71の上端部が支柱キャップ43の凹部53(図3参照)を通して支柱32,33よりも上方に突出している。したがって、上部カバー73は、昇降扉64が少なくとも最上端位置にあるとき、支柱32,33よりも上方に位置している。
【0077】
続いて、図8に示すように、ベース部121にサブ錘122を組み付ける。具体的には、サブ錘122のスリット126内に第1位置決め部131bを差し込む。その後、ベース部121とサブ錘122との間に第2係合片132の取付部140を上方から差し込む。この際、ベース部121の挿通孔125と取付部140の挿通孔145とが正面視で重なり合うように、第2係合片132を組み付ける。
【0078】
次に、サブ錘122が組み付けられた状態のベース部121を、取付孔120を通じて上部カバー73内に挿入する。この際、ベース部121の底壁部121aが上部カバー73の下壁部83cに当接することで、挿通孔125,145と扉本体71の遊挿孔150とが正面視で重なり合う。
【0079】
続いて、作業孔158を通じて上部カバー73内にボルト146を挿入する。ボルト146は、挿通孔125,145を通過した後、扉本体71の遊挿孔150を通じて扉本体71の前方に案内される。その後、ボルト146は、扉本体71の前方において挿通孔153を通じてナット155に螺着される。その後、作業孔158内にキャップ160を嵌め込む。これにより、重さ調整機構74が上部カバー73に組み付けられる。
【0080】
昇降扉64の重さと、メイン錘63の重さと、を釣り合わせる(略平衡にさせる)には、サブ錘122をベース部121に装着する場合と、装着しない場合と、で昇降扉64の重さを調整してもよい。また、昇降扉64の重さは、重さの異なる複数のサブ錘122の中から最適なサブ錘122を選択して調整してもよい。この場合、サブ錘122は、基準重さとなるサブ錘122に対して軽い若しくは重いサブ錘122を付け替えたり、ベース部121に装着するサブ錘122の枚数を調整したりする等、適宜変更が可能である。
【0081】
なお、例えばフード付き作業台1の施工後のメンテナンス時においても、上述した方法と同様の方法により、重さ調整機構74の着脱を行うことができる。すなわち、昇降扉64を最上端位置に上昇させた後、ボルト146の螺着を解除した後、サブ錘122をベース部121ごと引き上げる。その後、サブ錘122を付け替える等して、重さ調整機構74を再び上部カバー73に装着する。
【0082】
このように、本実施形態では、サブ錘122が第1位置決め部131bに左右方向及び上下方向で係合するとともに、第2位置決め部131cに前後方向で係合する構成とした。
この構成によれば、ベース部121でサブ錘122を安定して保持することができる。これにより、サブ錘122のがたつき等に起因する異音の発生や部材の損傷等を抑制できる。
【0083】
本実施形態では、第1位置決め部131bがサブ錘122のスリット126内に挿抜可能に構成されている。
この構成によれば、サブ錘122をベース部121に対して簡単に着脱できる。これにより、施工性の向上を図ることができる。
【0084】
本実施形態では、ベース部121に着脱可能な第3位置決め部141を有し、第1位置決め部131b及び第3位置決め部141がサブ錘122に対して上下方向で係合する構成とした。
この構成によれば、サブ錘122を第1位置決め部131bに係合させた状態で第3位置決め部141をサブ錘122に係合させることができる。これにより、第1位置決め部131bがサブ錘122に上下方向の両側から係合する場合に比べて、サブ錘122をベース部121に対して簡単に着脱できる。
【0085】
本実施形態では、第2係合片132(第3位置決め部141)がベース部121に上下動可能に支持されている構成とした。
この構成によれば、サブ錘122における上下方向の幅に合わせて第2係合片132の高さを調整できる。これにより、施工性の向上を図ることができる。また、重さ調整機構74に予期せず衝撃等が加わり、ベース部121に対してサブ錘122が上方に移動しようとした場合に、サブ錘122の上方移動に応じて第2係合片132が上方に移動する。これにより、第1係合片131に過大な荷重が作用するのを抑制できる。
【0086】
本実施形態では、重さ調整機構74が上部カバー73に着脱可能に装着される構成とした。
この構成によれば、例えば重さ調整機構74がメイン錘63に装着される場合に比べて、重さ調整機構74を手前側に配置できる。これにより、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0087】
本実施形態では、上部カバー73が当接部85によって扉本体71に支持され、ボルト146が扉本体71に形成された遊挿孔150を通じて前カバー82の台座部152に締結される構成とした。
この構成によれば、ボルト146が扉本体71に接触しないので、重さ調整機構74に加わる予期しない衝撃等がボルト146を介して扉本体71に伝わるのを抑制できる。
【0088】
本実施形態では、第2係合片132がサブ錘122に後方から係合する第4位置決め部142を有する構成とした。
この構成によれば、第4位置決め部142がサブ錘122の上部において後方から係合するので、ベース部121によってサブ錘122をより安定して保持できる。
【0089】
本実施形態では、第1位置決め部131b及び第2位置決め部131cが一体に形成されている構成とした。
この構成によれば、第1位置決め部131b及び第2位置決め部131cが別々に形成されている場合に比べて部品点数の削減を図ることができる。しかも、サブ錘122の装着時には、サブ錘122に対して第1位置決め部131b及び第2位置決め部131cを一括して係合できる。これによっても施工性を向上させることができる。
【0090】
本実施形態では、サブ錘122がベース部121の底壁部121aに対して上方に離間した状態で保持される構成とした。
この構成によれば、仮にサブ錘122がベース部121に対してがたついたとしても、サブ錘122と上部カバー73との接触を抑制できる。また、上部カバー73の下壁部83cに底壁部121aを突き当てた状態で重さ調整機構74を上部カバー73に組み付ける場合には、上部カバー73内でのサブ錘122の上下方向の位置を安定させることができる。
【0091】
本実施形態のフード付き作業台1(フード4)が上述した開閉機構15A,15Bを備えているため、サブ錘122が安定して保持され、スムーズかつ正確な昇降操作が可能なフード付き作業台1(フード4)を提供できる。
【0092】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、上述した実施形態では、本発明に係る昇降扉構造をフード付き作業台1に採用する構成について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、フード付き作業台1以外の什器(例えば、キャビネット等)の扉や、エレベータの上下開閉式ドア、冷凍室や冷蔵庫等に設けられるスライド昇降式の防熱扉等に本発明に係る昇降扉を採用することが可能である。
【0093】
上述した実施形態では、箱部12の前壁部30及び後壁部31に(開閉機構15A,15B)を設ける構成について説明したが、この構成のみに限られない。箱部12の各壁部のうち、少なくとも一の壁部に開閉機構が設けられていればよい。
上述した実施形態では、昇降扉64が重さ調整機構74を有する構成について説明したが、この構成のみに限らず、メイン錘63が本発明に係る重さ調整機構を有していてもよい。
【0094】
上述した実施形態では、第1係合片131がクランク状に形成された構成について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、第2位置決め部131cが第1位置決め部131bに対して左右方向の内側に屈曲している構成であってもよい。
上述した実施形態では、第1位置決め部131b及び第2位置決め部131cが一体に形成され、第3位置決め部141及び第4位置決め部142が一体に形成されている構成について説明したが、それぞれ別体で形成してもよい。
上述した実施形態では、係合部材123が第1係合片131及び第2係合片132を有する構成について説明したが、少なくとも第1係合片131を有していればよい。
【0095】
上述した実施形態では、天板3にフード4が設置された構成について説明したが、この構成のみに限られない。例えば床面にフード4が設置される構成であってもよい。
【0096】
以下、本発明に係る昇降扉構造の例を付記する。
[1]昇降扉は、扉本体と、扉本体の上端部を覆うとともに、重さ調整機構が着脱可能に装着される上部カバーと、を備え、上部カバーは、扉本体の上端面に上方から当接する当接部を有し、重さ調整機構は、上部カバー内において、扉本体に対して前後方向の第1側に配置され、締結部材は、扉本体に形成された遊挿孔内に前後方向の第1側から遊挿されるとともに、扉本体に対して前後方向の第2側に配置された台座部に締結されていることが好ましい。
[2]係合部材は、第3位置決め部に一体に形成されるとともに、サブ錘において保持面との対向面とは反対側を向く面を保持する第4位置決め部を備えていることが好ましい。
[3]第2位置決め部は、第1位置決め部に一体に形成されるとともに、サブ錘において保持面との対向面とは反対側を向く面を保持していることが好ましい。
[4]昇降扉は、扉本体と、扉本体の上端部を覆うとともに、重さ調整機構が着脱可能に装着された上部カバーと、を備えていることが好ましい。
【0097】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…フード付き作業台
4…フード(局所排気装置、箱体)
61…滑車(線材支持部材)
62…吊架線材
63…メイン錘
64…昇降扉
71…扉本体
73…上部カバー
74…重さ調整機構
85…当接部
121…ベース部
121a…底壁部(対向壁)
122…サブ錘
123…係合部材
126…スリット(貫通孔)
131b…第1位置決め部
131c…第2位置決め部
141…第3位置決め部
142…第4位置決め部
146…ボルト(締結部材)
150…遊挿孔
152…台座部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9