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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】電気掃除機用ノズル
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/02 20060101AFI20220527BHJP
【FI】
A47L9/02 B
A47L9/02 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018076352
(22)【出願日】2018-04-11
(65)【公開番号】P2019180900
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000109325
【氏名又は名称】ツインバード工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】反町 幹夫
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-194338(JP,A)
【文献】特開平11-056719(JP,A)
【文献】実開昭62-151842(JP,U)
【文献】特開2017-000393(JP,A)
【文献】特開2008-048901(JP,A)
【文献】特開2011-055906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00- 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向と短手方向を有するノズル本体と、前記長手方向に形成された第一回動軸回りに回動可能な関節部と、この関節部の端部に形成された接続筒部とを有する電気掃除機用ノズルにおいて、
前記ノズル本体の短手方向の一方側に、被清掃面に接するボールキャスターが設けられ、前記ノズル本体の短手方向の他方側に、被清掃面に接する滑動部が設けられ、前記第一回動軸が、短手方向における前記ボールキャスターと滑動部との間で且つ前記ボールキャスター寄りに設けられ
前記関節部が、前記第一回動軸回りに回動可能な起伏部と、前記第一回動軸及び前記接続筒部の中心軸と交差する第二回動軸回りに回動可能な回動部とを有し、この回動部が、前記長手方向に傾斜可能に構成され、
前記起伏部が、前記短手方向の他方側に傾斜可能に構成されると共に、
前記関節部が直立した状態において、前記回動部が、前記起伏部における前記短手方向の他方側に設けられ、前記起伏部を前記短手方向の他方側に最大限傾斜させた状態で、前記回動部が前記ノズル本体の上方で且つ短手方向における前記ボールキャスターの接地点と滑動部との間に位置することを特徴とする電気掃除機用ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機用ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機用ノズルとしては、本体ケース(本願発明のノズル本体に該当する)の前後にそれぞれ左右一対の車輪を設け、これらの車輪の向きが自由に変えられるようにした電気掃除機用吸込口体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、ノズル本体の前後方向中央部に、左右一対の球状キャスターが設けられた電気掃除機用吸塵ノズルも知られている(例えば、特許文献2参照。)。このような車輪又は球状キャスターを用いることで、電気掃除機用のノズルを前後左右の自由な方向に移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3457909号公報
【文献】特開平3-195526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような電気掃除機用ノズルでは、車輪が向きを変えるためにある程度の移動距離が必要になるため、急に向きを変えようとすると大回りになってしまうという問題があった。また、車輪ごとに、車輪の向きを変えるための機構が必要になるため、コストアップを招くという問題もあった。これらの車輪を特許文献2のような球状キャスターにすれば、急に向きを変える際に大回りしてしまうという問題は解決できるものの、長期間スムーズに動かすことができる球状キャスターは高価になってしまうので、コストアップを招くという問題は解決しない。特許文献2では、球状キャスターの数が二つであり、コストアップは抑えられるものの、この構成では、ノズルを移動させた際に前側又は後側が持ち上がってしまい、塵埃の吸引を良好に行えないという別の問題が生じた。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、安価な構成で床面の自由な方向に移動させることができる電気掃除機用ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の電気掃除機用ノズルは、長手方向と短手方向を有するノズル本体と、前記長手方向に形成された第一回動軸回りに回動可能な関節部と、この関節部の端部に形成された接続筒部とを有する電気掃除機用ノズルにおいて、前記ノズル本体の短手方向の一方側に、被清掃面に接するボールキャスターが設けられ、前記ノズル本体の短手方向の他方側に、被清掃面に接する滑動部が設けられ、前記第一回動軸が、短手方向における前記ボールキャスターと滑動部との間で且つ前記ボールキャスター寄りに設けられ、前記関節部が、前記第一回動軸回りに回動可能な起伏部と、前記第一回動軸及び前記接続筒部の中心軸と交差する第二回動軸回りに回動可能な回動部とを有し、この回動部が、前記長手方向に傾斜可能に構成され、前記起伏部が、前記短手方向の他方側に傾斜可能に構成されると共に、前記関節部が直立した状態において、前記回動部が、前記起伏部における前記短手方向の他方側に設けられ、前記起伏部を前記短手方向の他方側に最大限傾斜させた状態で、前記回動部が前記ノズル本体の上方で且つ短手方向における前記ボールキャスターの接地点と滑動部との間に位置するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1に記載の電気掃除機用ノズルは、以上のように構成することにより、安価な構成で、前記ノズル本体の短手方向の一方側又は他方側が浮くことなく、前記ノズル本体を水平方向に自由に移動させることができる。また、前記接続筒部を中心軸回りに回動させる動きで前記ノズル本体の向きを変えることができる。また、使用者の癖で前記接続筒部を中心軸回りに回動させ過ぎたとしても、前記ノズル本体のボールキャスター側が浮くことがなく、良好に塵埃を吸引することができる。更に、前記ノズル本体の長手方向が前後となる姿勢で動かした際に、前記ボールキャスター側が浮くことがなく、良好に塵埃を吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態を示す電気掃除機用ノズルの平面図である。
図2】同、底面図である。
図3】同、右側面図であり、(a)は関節部を伏せた状態を示すもの、(b)は関節部を直立させた状態を示すものである。
図4】同、回動部を右側に傾けた状態を示す外観図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
図5】同、ノズル本体の長さ方向が左右となる使用状態における掃除機全体の右側面図である。
図6】同、ノズル本体の長さ方向が前後となる使用状態における掃除機全体の右側面図である。
図7】同、ノズル本体に対する関節部の姿勢を示す右側面図であり、(a)は直立状態から前側に倒れた状態、(b)は直立状態から後側に倒れた状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図7に基づいて説明する。なお、本実施形態において、図3に基づいて上下及び前後を規定する。即ち、図3における上下が本実施形態における上下であり、左側が本実施形態の前であり、右側が本実施形態の後である。1は電気掃除機である。この電気掃除機1は、本体2とアタッチメント90とを有して構成される。
【0010】
前記本体2は、胴部4と把持部5と第一連結部6と第二連結部7とを有する。前記胴部4は、略円筒状に形成される。また、前記胴部4の下部には、吸込口4Bが設けられる。前記把持部5は、略円筒状に形成される。また、前記把持部5は、前記胴部4の上端部4Aと所定の間隔をおいて設けられる。なお、前記把持部5は、前記胴部4の上端部4Aと平行に設けられる。そして、前記胴部4の上端部4Aと前記把持部5は、前記第一連結部6と第二連結部7によって連結される。前記胴部4の上端部4Aの前側と前記把持部5の前側とを連結する前記第一連結部6は、前記胴部4の上端部4A及び把持部5と直交して設けられる。一方、前記胴部4の上端部4Aの後側と前記把持部5の後側とを連結する第二連結部7は、その前縁7Aが前記第一連結部6と平行に形成される。また、前記把持部5の前部には、操作部8及び表示部9が設けられる。前記操作部8は押しボタン式のスイッチである。また、前記表示部9は、前記把持部5における前記第一連結部6よりも前方に設けられる。前記表示部9は、内部に図示しないLEDが設けられており、前記把持部5の円筒側面の全周に渡って環状に設けられる。このため、前記表示部9から放出された光は、前記本体2の周囲の広い範囲から視認することができる。
【0011】
前記吸込口4Bには、前記アタッチメント90が着脱可能に取り付けられる。このアタッチメント90は、延長管91と電気掃除機用ノズルとしての着脱ノズル92を有して構成される。なお、前記着脱ノズル92は、図5及び図6に示すように、前記延長管91を介して前記吸込口4Bに接続されるが、前記吸込口4Bに直接接続しても良い。
【0012】
前記着脱ノズル92について詳述する。この着脱ノズル92は、ノズル本体93と関節部94と接続筒部95とを有する。前記ノズル本体93は、左右方向が長手方向であり、前後方向が短手方向である。そして、このノズル本体93の下部前側には、左右方向に長く形成された吸込開口96が設けられる。また、前記ノズル本体93の後部中央には、後方及び上方が開放した切欠部97が形成される。そして、この切欠部97に、前記関節部94が揺動可能に取り付けられる。また、前記切欠部97の周囲には、後方に突出する突出部98が形成される。そして、この突出部98における前記切欠部97の左右には、それぞれボールキャスター99が下方に露出して設けられる。このボールキャスター99は、被清掃面である床面Sに接する。また、前記ノズル本体93の前部の左右両端近傍には、一対の滑動部100が設けられる。この滑動部100は、起毛布により構成され、被清掃面である床面Sに接する。なお、前記ボールキャスター99は、スムーズに動かすことができるように、内部にベアリング構造が設けられる。このため、ボールキャスター99自体は、比較的大型で且つ高価な部品である。従って、前記ボールキャスター99を前記ノズル本体93の後部だけでなく前部にも設けると、前記着脱ノズル92が大型化するばかりでなく高価になる。前記吸込開口96内に回転ブラシが設けられる構造であれば、この影響はより大きくなる。一方、後述するように、起伏部102の第一回動軸AXが、前記ボールキャスター99と滑動部100の間で且つ後方寄りであることから、前記ノズル本体93の前側に加わる荷重は、後側に加わる荷重に比べて小さい。このため、前記ノズル本体93の前側には、起毛布からなる前記滑動部材100を設けるのが最適である。この滑動部材100は、前記ボールキャスター99に比べて安価で且つ取り付けのためのスペースが少なくて済むので、前記着脱ノズル92を安価に且つ小型にすることができる。また、前記ノズル本体93の後部に加わる荷重は大きいので、この部分に起毛布からなる滑動部材100を設けると、短期間で摩耗する。従って、前記ノズル本体93の前側に滑動部材100、後側にボールキャスター99を設ける構造が最適解である。更に、前記吸込開口96の後方には、左右方向に長く形成されたブラシ101が設けられる。
【0013】
前記関節部94は、起伏部102と回動部103とを有する。前記起伏部102は、揺動筒部104と、連結管105と、接続部106とを有する。一方、前記回動部103は、接続部107と前記接続筒部95とを有する。前記揺動筒部104は、その第一回動軸AXが左右方向となるように、前記切欠部97において揺動可能に支持される。なお、前記第一回動軸AXは、前記ボールキャスター99の接地点99Aよりも前で、且つ前記ボールキャスター99と滑動部100の中間位置よりも後方に位置する。換言すれば、前記第一回動軸AXは、前記ボールキャスター99と滑動部100の間で、且つ後方寄りに位置する。また、前記連結管105は、前記第一回動軸AXと交差する方向に延びて、前記連結管105と一体に形成される。更に、前記接続部106には、前記回動部103の接続部107が第二回動軸AZ周りに回動可能に接続される。なお、前記回動部103の接続部107は、図3(b)のように前記関節部94が直立した状態において、前記起伏部102の接続部106の前方に位置する。このように、前記回動部103の接続部107が前記起伏部102の接続部106の前方に位置するので、前記接続筒部95及びこれに接続された前記延長管91や本体2を前記接続筒部95の中心軸AY回りに捻ることで、前記ノズル本体93の向きを変えることができる。また、前記関節部94が直立した状態において、前記回動部103の接続部107が前記ノズル本体93の前後方向ほぼ中央に位置する。そして、前記第二回動軸AZは、前記第一回動軸AXと直交する。また、前記第二回動軸AZは、前記中心軸AY方向と直交する。但し、前記回動部103が第二回動軸AZ周りに回動するので、前記第一回動軸AXと前記中心軸AYが直交するとは限らない。従って、前記起伏部102は、ノズル本体93に対し、前記第一回動軸AX周りに回動可能に接続される。そして、前記回動部103は、前記起伏部102に対し、前記第二回動軸AZ周りに回動可能に接続される。即ち、前記回動部103は、前記ノズル本体93に対し左右方向に傾斜可能に構成される
【0014】
なお、前記関節部94は、図3(a)に示すように、後方に水平な状態まで倒すことができる。一方、前記関節部94は、図3(b)に示す直立した状態よりも前方に10度傾斜可能である。そして、このように前記関節部94が直立状態から前方に10度傾斜した状態において、前記回動部103の接続部107は、前記ノズル本体93の上方に位置する。より詳細には、前記接続部107は、前記ボールキャスター99の接地点99Aと前記滑動部100との間に位置する。
【0015】
次に、本実施形態の作用について説明する。なお、図5及び図6において示されていないが、使用者が前記把持部5を右手で把持しているものとする。被清掃面である床面S上を掃除する場合、使用者は、図5に示されるような、前記第一連結部6と第二連結部7とが前後に配列される姿勢で、前記把持部5を把持する。この姿勢では、前記着脱ノズル92のノズル本体93の長手方向は左右方向となる。なお、前記本体2と延長管91と関節部94の床面Sに対する角度は、図5の場合60度であるが、使用者の体型、使用者と前記電気掃除機1との位置関係、動かし方の癖等により変化し得る。従って、今後の説明において姿勢について述べる際、床面Sとの角度の違いは無視する。この姿勢のまま使用者が前記操作部8を押すと、前記本体2の胴部4内に設けられた図示しない電動送風機が作動して、吸引気流を発生させる。この吸引気流は、前記吸込開口96から吸引され、前記ノズル本体93、関節部94、接続筒部95、延長管91を経て前記吸込口4Bから胴部4内に流入する。この際、前記胴部4内に設けられた図示しないフィルタバッグにおいて、吸引気流中の塵埃が分離される。なお、塵埃を分離する機構は、サイクロン分離装置等であっても良い。更に、前記吸引気流は、前記電動送風機から図示しない排気口を経て前記胴部4外に排出される。また、前記操作部8を押すことで、前記表示部9から光が放出される。
【0016】
この姿勢のまま、使用者が、前記床面Sに沿って、図5に両矢印Dで示される前後方向に電気掃除機1を移動させることで、床面S上の塵埃が吸引される。なお、前記着脱ノズル92は、両矢印Dで示される前後方向にのみ動かされる訳ではなく、左右方向にも動かすことができる。即ち、前記着脱ノズル92を左右方向にずらしたり、左右方向に曲げたりすることができる。この際、前記ボールキャスター99が床面S上のあらゆる方向に転がることが可能であり、前記滑動部材100も床面S上のあらゆる方向に滑らすことが可能である。従って、前記着脱ノズル92は、床面S上のあらゆる方向に自由に動かすことができる。また、前記ボールキャスター99も滑動部材100も、瞬時に移動方向を変えることができるので、前記着脱ノズル92を動かす際に小回りがきく。なお、前述した通り、前記関節部94の第一回動軸AXが前記ボールキャスター99の接地点99Aよりも前に位置する。より詳細には、前記第一回動軸AXは、前記接地点99Aと前記滑動部100との間に位置する。このため、前記着脱ノズル92を前方に動かした際に、前記ノズル本体93の前側が浮き上がることがない。従って、前記吸込開口96と床面Sとの距離が適正に保たれる。
【0017】
図5の姿勢から、使用者が、前記把持部5を使用者から見て左回り(正面視で右回り)に90度捻ると、図6の姿勢となる。この姿勢では、前記第一連結部6が使用者から見て左側(正面視で右側)となり、第二連結部7が使用者から見て右側(正面視で左側)となる。そして、この姿勢では、前記着脱ノズル92のノズル本体93の長手方向は、前後方向となる。この場合、前記ノズル本体93の使用者から見た右側が前、左側が後となる(正面視では、前記ノズル本体93の左側が前、右側が後となる)。なお、使用者が前記把持部5を左手で把持し、この把持部5を使用者から見て右回りに回動させた場合、図6とは逆に、前記ノズル本体93の使用者から見た右側が後、左側が前となる(正面視では、前記ノズル本体93の右側が前、左側が後となる)。この姿勢では、前記ノズル本体93は、このノズル本体93の前端から前記突出部98の後端までの距離よりも広い隙間であれば、挿入することができる。なお、前記把持部5の捻り角度と前記ノズル本体93の水平方向の回動角度は一致する。即ち、前記把持部5を使用者から見て左回りに45度捻ると、前記ノズル本体93は左回りに45度回動する。
【0018】
この姿勢のまま、使用者が、前記床面Sに沿って、図6に両矢印Dで示される前後方向に電気掃除機1を移動させることで、床面S上の塵埃が吸引される。なお、前記ノズル本体93を基準にすると、図5の姿勢に比べて90度異なった方向に移動することになる。しかしながら、前述したように、前記ノズル本体93に前記ボールキャスター99と滑動部材100が設けられるので、殆ど抵抗なく図6の両矢印Dの方向に前記着脱ノズル92を動かすことができる。なお、前記着脱ノズル92は、両矢印Dで示される前後方向にのみ動かされる訳ではなく、左右方向にも動かすことができる。即ち、前記着脱ノズル92を左右方向にずらしたり、左右方向に曲げたりすることができる。この際、前記ボールキャスター99が床面S上のあらゆる方向に転がることが可能であり、前記滑動部材100も床面S上のあらゆる方向に滑らすことが可能であることから、前記着脱ノズル92は床面S上のあらゆる方向に自由に動かすことができる。また、前記ボールキャスター99も滑動部材100も、瞬時に移動方向を変えることができるので、前記着脱ノズル92を動かす際に小回りがきく。なお、図6の姿勢における前記着脱ノズル92では、図4(b)に示すように、前記関節部94の回動部103の接続部107が、前記ノズル本体93のほぼ中央上方に位置する。このため、前記着脱ノズル92を両矢印Dの方向に移動させる際に、前記ノズル本体93の吸込開口96側も突出部98側も床面Sから浮き上がることなく、良好に移動させることができる。
【0019】
なお、使用者の癖によっては、図5の姿勢から90度より大きく捻ったり、90度より小さく捻ったりする場合もある。また、使用者の癖によっては、図6の姿勢から前記電気掃除機1を両矢印Dの方向に移動させる際に、意図せず前記中心軸AY回りに回動してしまう可能性もある。しかしながら、前述したように、前記関節部94は、前記突出部98側(後方)に水平な状態から前記吸込開口96側(前方)に10度傾斜した状態までの間で回動可能である。このため、使用者が図5の姿勢から前記把持部5を100度捻ったとしても、前記関節部94が垂直から前記吸込開口96側に10度傾斜できるので、許容される。また、使用者が図5の姿勢から前記把持部5を80度捻ったとしても、前記関節部94が垂直から前記突出部98側に10度傾斜した状態となる。従って、前記把持部5の捻り量90度に対し多少の誤差があったとしても、許容される。
【0020】
なお、使用者が図5の姿勢から100度を超えて前記把持部5を捻った場合は、前記突出部98側が前記床面Sから浮くことになる。しかしながら、図5の姿勢から前記把持部5を捻る角度が90度でない場合、前記ノズル本体93の長手方向と両矢印Dの方向は平行とならず、90度との差に応じた角度をなす。従って、前記把持部5の捻り角度が大きかったり小さかったりすることを、前記着脱ノズル92を見ることで知ることができる。このため、使用者は、前記ノズル本体93の長手方向と両矢印Dの方向がほぼ平行となるように、前記把持部5の捻り角度を調整することができる。その上で、前記着脱ノズル92を両矢印Dの方向に移動させた際に前記中心軸AY回りの回動運動が生じたとしても、前記関節部94の揺動範囲内であれば許容される。なお、前記接続筒部95が前記中心軸AY周りに回動すると、前記ノズル本体93が水平方向に揺動することになる。しかしながら、前記ノズル本体93に前記ボールキャスター99と滑動部材100が設けられるので、揺動しながらでも前記着脱ノズル92を両矢印Dの方向にスムーズに移動させることができる。
【0021】
なお、前記関節部94が垂直に対し前方に10度傾いた状態のまま、両矢印Dの方向に移動させることができる。この場合でも、前述した通り、前記回動部103の接続部107は、前記ノズル本体93の上方、より詳細には、前記ボールキャスター99の接地点99Aと前記滑動部100との間に位置する。このため、前記着脱ノズル92を両矢印Dの方向に移動させる際に、前記ノズル本体93の吸込開口96側も突出部98側も床面Sから浮き上がることなく、良好に移動させることができる。
【0022】
以上のように本発明の電気掃除機用ノズルである着脱ノズル92は、長手方向と短手方向を有するノズル本体93と、前記長手方向に形成された第一回動軸AX回りに回動可能な関節部94と、この関節部94の端部に形成された接続筒部95とを有し、前記ノズル本体93の短手方向の一方側である後側に、被清掃面である床面Sに接するボールキャスター99が設けられ、前記ノズル本体93の短手方向の他方側である前側に、床面Sに接する滑動部100が設けられると共に、前記第一回動軸AXが、短手方向における前記ボールキャスター99と滑動部100との間で且つ前記ボールキャスター99寄りに設けられることにより、安価な構成で、前記ノズル本体93の前部又は後部が浮くことなく、前記ノズル本体93を水平方向に自由に移動させることができるものである。
【0023】
また、本発明の着脱ノズル92は、前記関節部94が、前記第一回動軸AX回りに回動可能な起伏部102と、前記第一回動軸AX及び前記接続筒部95の中心軸AYと交差する第二回動軸AZ回りに回動可能な回動部103とを有し、前記回動部103が前記長手方向である左右方向に傾斜可能に構成されることで、前記接続筒部95を前記中心軸AY周りに回動させる動きで前記ノズル本体93の向きを変えることができるものである。
【0024】
また、本発明の着脱ノズル92は、前記起伏部102が、前側に10度傾斜可能に構成されることで、使用者の癖で前記接続筒部95を中心軸AY回りに回動させ過ぎたとしても、前記ノズル本体93のボールキャスター99側が浮くことがなく、良好に塵埃を吸引することができるものである。
【0025】
更に、本発明の着脱ノズル92は、前記関節部94が直立した状態において、前記回動部103が、前記起伏部102の前側に設けられると共に、前記起伏部102を前方に最大限傾斜させた状態で、前記回動部103の接続部107が前記ノズル本体93の上方で且つ短手方向における前記ボールキャスター99の接地点99Aと滑動部100との間に位置することで、前記ノズル本体93の長手方向が前後となる姿勢で前記着脱ノズル92を動かした際に、前記ボールキャスター99側が浮くことがなく、良好に塵埃を吸引することができるものである。
【0026】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、前記ボールキャスター99を前記ノズル本体93の後部から突出する突出部98に設けたが、この突出部98を設けずに前記ノズル本体93にボールキャスター99を設けても良い。また、上記実施形態では、前記関節部94の垂直に対する前傾角度を最大10度としたが、10度以上としても良く、また、10度以下としても良い。
【符号の説明】
【0027】
1 電気掃除機
92 着脱ノズル(電気掃除機用ノズル)
93 ノズル本体
94 関節部
95 接続筒部
99 ボールキャスター
99A 接地点
100 滑動部
102 起伏部
103 回動部
AX 第一回動軸
AY 接続筒部の中心軸
AZ 第二回動軸
S 床面(被清掃面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7