IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナブテスコ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-情報処理装置 図1
  • 特許-情報処理装置 図2
  • 特許-情報処理装置 図3
  • 特許-情報処理装置 図4
  • 特許-情報処理装置 図5
  • 特許-情報処理装置 図6
  • 特許-情報処理装置 図7
  • 特許-情報処理装置 図8
  • 特許-情報処理装置 図9
  • 特許-情報処理装置 図10
  • 特許-情報処理装置 図11
  • 特許-情報処理装置 図12
  • 特許-情報処理装置 図13
  • 特許-情報処理装置 図14
  • 特許-情報処理装置 図15
  • 特許-情報処理装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20220527BHJP
   E05F 15/43 20150101ALI20220527BHJP
   E05F 15/74 20150101ALI20220527BHJP
   G01V 8/20 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
E05F15/73
E05F15/43
E05F15/74
G01V8/20 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018143892
(22)【出願日】2018-07-31
(65)【公開番号】P2020020142
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】清政 良有
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-302167(JP,A)
【文献】特開2009-229079(JP,A)
【文献】特開2009-264824(JP,A)
【文献】特開2011-179219(JP,A)
【文献】特開2011-215122(JP,A)
【文献】国際公開第2018/043509(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/073821(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/043511(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
G01V 8/20
G06F 16/90
G06Q 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動ドア周辺の移動体を検知して前記自動ドアを開閉させるために設けられている検知エリアの一部の範囲に設定された部分的範囲で前記移動体を検知したときに出力される検知情報を取得する検知情報取得部と、
移動体が所定状態となったときに前記検知情報取得部が検知情報を取得していたという事象が発生したことを記憶する記憶部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記部分的範囲は複数設けられており、
前記記憶部は、前記事象が発生したことを前記部分的範囲ごとに記憶することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記事象が発生したことをその発生回数として前記部分的範囲ごとに記憶することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記事象が発生したことを、前記検知情報取得部が前記部分的範囲ごとに検知情報を取得した回数に対する、前記部分的範囲ごとの前記事象の発生回数の比率として記憶することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記事象が発生したことを、移動体が前記所定状態となった回数に対する、前記部分的範囲ごとの前記事象の発生回数の比率として記憶することを特報とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記部分的範囲は、前記検知エリアの周縁部に設定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記自動ドアの軌道上に前記移動体が存在することを示すドアウェイ検知情報を取得する存在情報取得部を備え、
前記記憶部は、前記移動体が前記所定状態となったときに、前記ドアウェイ検知情報を取得したという事象が発生したことを記憶することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記自動ドアの軌道上に前記移動体が存在することを示すドアウェイ検知情報を取得する存在情報取得部を備え、
前記記憶部は、前記移動体が前記所定状態となったときに、前記ドアウェイ検知情報を取得しなかったという事象が発生したことを記憶することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記部分的範囲は前記自動ドア近傍に設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記所定状態は、前記移動体が前記自動ドアに接触した状態であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記所定状態は、前記自動ドアが閉方向へ移動中に前記自動ドアの軌道上で前記移動体を検知した状態であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記所定状態は、前記移動体が前記自動ドアの手前で停止している状態であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記所定状態は複数あり、
前記記憶部は、前記事象が発生したことを前記所定状態ごとに記憶することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置に用いる情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動ドア装置は、建物の出入り口などの近傍を通行する通行人や物体などの移動体を赤外線方式または電波方式等の自動ドアセンサで検知し、ドアを自動で開閉する。
【0003】
特許文献1には、移動体が通過する床面上に検知エリアを形成し、移動体を検知すると、ドア開閉動作を行うための起動信号を駆動装置に送信する自動ドアセンサが開示されている。自動ドアセンサが形成する検知エリアは、例えばマトリクス状に配列され、それぞれにおいて移動体を検知する複数のスポット(以下「検知スポット」という)で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-215122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された自動ドアセンサでは、例えばドアが開くのが遅く、移動体がドアの手前で立ち止まる状態が生じても、その原因となった状況を確認するための情報を得ることができなかった。同様に、自動ドアセンサでは、移動体がドアに接触する状態が生じても、その原因となった状況を確認するための情報を得ることができなかった。
【0006】
ドアの手前での立ち止まり状態、またはドアへの接触状態が多発している場合、通行性を改善すべく、自動ドア装置におけるドア駆動速度や、検知エリア等を設定し直す必要がある。しかし、ドア駆動速度の高速化および検知エリアの一律的な拡大は、ドアが開いている時間を徒に長くすることになり、室内空調の効率を低下させてしまう。このため、立ち止まり状態やドアへの接触状態が発生した場合における、例えば移動体の侵入方向などの状況を確認した上で、自動ドア装置におけるドア駆動速度や、検知エリア等を再設定する必要があった。
【0007】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、自動で開閉するドアを通行する移動体が所定状態になった際の状況の確認を支援することができる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は情報処理装置である。情報処理装置は、自動ドア周辺の移動体を検知して前記自動ドアを開閉させるために設けられている検知エリアの一部の範囲に設定された部分的範囲で前記移動体を検知したときに出力される検知情報を取得する検知情報取得部と、移動体が所定状態となったときに前記検知情報取得部が検知情報を取得していたという事象が発生したことを記憶する記憶部と、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、情報処理装置は、自動で開閉するドアを通行する移動体が所定状態になった際の状況の確認を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1に係る情報処理装置を有する自動ドアセンサを含む自動ドア装置の構成を示す模式図である。
図2】実施形態1に係る情報処理装置を含む自動ドア装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】センサ部の床面における検知エリアを示す模式図である。
図4】移動体に生じる所定状態を示す図表である。
図5】記憶部に記憶する際のデータ処理方法を示す図表である。
図6】情報処理装置による検知情報取得・記憶処理の手順を示すフローチャートである。
図7】データ処理部によって記憶された情報の例を示す図表である。
図8】情報処理装置による検知情報取得・記憶処理の他の手順を示すフローチャートである。
図9】データ処理部によって記憶された情報の例を示す図表である。
図10】情報処理装置による検知情報取得・記憶処理の他の手順を示すフローチャートである。
図11】データ処理部によって記憶された情報の例を示す図表である。
図12】情報処理装置による検知情報取得・記憶処理の他の手順を示すフローチャートである。
図13】データ処理部によって記憶された情報の例を示す図表である。
図14】実施形態2に係る情報処理装置を含む自動ドア装置の機能構成を示すブロック図である。
図15図15(a)および(b)は、変形例に係る自動ドアセンサの検知エリアに設定する部分的範囲を示す模式図である。
図16図16(a)および(b)は、別の変形例に係る自動ドアセンサの検知エリアに設定する部分的範囲を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施の形態では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略する。
【0013】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る情報処理装置を有する自動ドアセンサ20を含む自動ドア装置100の構成を示す模式図である。自動ドア装置100は、ドア10、自動ドアセンサ20、補助光電センサ30およびコントローラ40等を有する。図1に示す自動ドア装置100は、両引分け戸タイプであり、2枚のドア10が左右に自動的に開閉する。ドア10は、左右一対であり、左右に間隔を開けて固定配置されたフィックス15に沿って往復移動可能としてあり、左右のフィックス15間の開口部11を開閉する。尚、ドア10は本発明の自動ドアに相当している。
【0014】
ドア10は、左右それぞれの戸先框10aが突き合わされるように接触して開口部11が閉ざされた全閉状態となる。ドア10は、戸先框10aが離間するように移動し、戸先框10aがフィックス15の方立15a付近まで移動して停止し、開口部11が開いた全開状態となる。尚、自動ドア装置100は、両引分け戸タイプのほか、片引き戸タイプおよび回転ドアタイプ等のものであってもよい。
【0015】
自動ドアセンサ20は、例えば開口部11の上方の無目16に配置されており、無目16における配置位置から斜め下方に向けて赤外光を投受光し、ドア10へ進入してくる通行人や物体等の移動体を検知し、起動信号をコントローラ40へ出力する。自動ドアセンサ20の詳細については後述する。
【0016】
補助光電センサ30は、光電方式による検知装置であり、フィックス15の方立15aに配置された投光器30aおよび受光器30bを有している。補助光電センサ30は、投光器30aと受光器30bの間に通った光線が遮られることを検知しており、ドア10の軌道上に移動体が存在していることを示す検知情報をコントローラ40へ出力する。尚、補助光電センサ30は、光電方式の他、無目16に取り付けられる光線反射方式または超音波方式による検知装置等であってもよい。
【0017】
コントローラ40は、自動ドアセンサ20からの起動信号を受信するとドアモータ50を作動させてドア10が全開状態となるまで駆動する。コントローラ40は、ドア10が全開状態になった後、一定時間、全開状態を保持し、ドアモータ50を反転方向へ作動させてドア10が全閉状態となるまで駆動する。コントローラ40は、補助光電センサ30からの検知情報をドア10の閉駆動中に受信すると、ドアモータ50によるドア10の駆動方向を反転し、ドア10を全開状態とする。
【0018】
図2は、実施形態1に係る情報処理装置を含む自動ドア装置100の機能構成を示すブロック図である。各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろな形態で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0019】
自動ドアセンサ20、コントローラ40および記憶装置51は、CAN(Controller Area Network)によって相互に通信接続している。自動ドアセンサ20、コントローラ40および記憶装置51の通信接続は、CANに限られず、WiFi(登録商標)等の無線通信を用いてもよい。
【0020】
自動ドアセンサ20は、検知素子としてのセンサ部21、通信部22および情報処理装置23を備える。通信部22は、コントローラ40および記憶装置51との間でデータを送受信する。センサ部21は、赤外線反射式センサであり、赤外線を後述の検知エリアに投光する投光器、移動体等からの反射光を受光する受光器を備える。
【0021】
図3は、センサ部21の床面における検知エリア60を示す模式図である。検知エリア60は、ドア10周辺の移動体を検知してドア10を開閉させるために設けられている。検知エリア60は、床面から自動ドアセンサ20が配置される無目16や天井に至る立体的な範囲を有する。検知エリア60は、ドア10の移動方向に平行な方向に12列並び、ドア10の移動方向に直交する方向に6列並ぶよう配列された複数の検知スポット61で構成される。各検知スポット61には、配列の位置に対応するアドレス1A、1B、・・・、6K、6Lが割り当てられている。尚、各検知スポット61の形状および検知エリア60全体の形状は、円形、楕円、長方形、矩形以外の多角形であってもよい。また、センサ部21は、電波式センサや、超音波式センサ、レーザスキャン式センサ、画像式センサであってもよい。
【0022】
検知エリア60の周縁部に位置する1または複数の検知スポット61をグループ化し、検知エリア60の一部の範囲として部分的範囲を設定する。部分的範囲を検知エリア60の周縁部に設定することで、設定された部分的範囲がドア10に対してどの方向に位置するかを把握することができる。図3に示す例では、部分的範囲Aとして、アドレス1A,2A,3A,4A,5Aの5個の検知スポット61をグループ化する。また部分的範囲Bとして、アドレス6A,6B,・・・,6Lの12個の検知スポット61をグループ化し、部分的範囲Cとして、アドレス1L,2L,3L,4L,5Lの5個の検知スポット61をグループ化する。部分的範囲A~Cは、図3に示すように検知エリア60の周縁部に位置する。また、部分的範囲を検知エリア60におけるドア10近傍に設定し、該部分的範囲で移動体が検出されたことによって、移動体がドア10に近接したか否かが判るとともに、仮定的に移動体がドア10を通過したことを判断するようにしてもよい。この場合、図3に示す例えばアドレス1B,1C,1D,・・・,1K等のドア10近傍における10個の検知スポット61をグループ化して部分的範囲として設定するとよい。
【0023】
検知エリア60の部分的範囲Aは、ドア10に向かって左方向からドア10へ進入してくる移動体を検知する部分的なエリアを形成している。同様に、検知エリア60の部分的範囲Cは、ドア10に向かって右方向からドア10へ進入してくる移動体を検知する部分的なエリアを形成している。また、検知エリア60の部分的範囲Bは、ドア10に向かって正面方向からドア10へ進入してくる移動体を検知する部分的なエリアを形成している。
【0024】
検知エリア60の形状が、円形、楕円、長方形、矩形以外の多角形である場合においても、ドア10に向かって左方向、右方向、正面方向となる部分的範囲を検知エリア60の周縁部に定義し、定義された部分的範囲における1または複数の検知スポット61をグループ化すればよい。
【0025】
検知エリア60の周縁部に設定する部分的範囲は、複数の部分的範囲によって検知エリア60の周縁部を包絡するように設けられていなくてもよい。この場合、検知エリア60の周縁部において、部分的範囲が設定されていない部分は、検知エリア60の周縁部において部分的範囲が設定されていない未設定の範囲(以下、未設定範囲という。)として認識される。また検知エリア60の周縁部に部分的範囲を1つだけ設け、検知エリア60の周縁部において該部分的範囲に含まれない部分を未設定範囲としてもよい。例えば、図3に示す部分的範囲Aだけを設けた場合、部分的範囲Bおよび部分的範囲Cの部分は、検知エリア60の周縁部における未設定範囲として認識される。
【0026】
図2に戻り、自動ドアセンサ20の情報処理装置23は、制御部24および記憶部25を有する。記憶部25は、例えばSSD(Solid State Drive)、ハードディスク、CD-ROM、DVD等によって構成される記憶装置である。制御部24は、開閉処理部24a、所定状態検出部24b、検知情報取得部24c、データ処理部24dを有する。開閉処理部24aは、各検知スポット54の検知結果に応じてドア10を開放させるための起動信号を生成し、通信部22を介して、起動信号をコントローラ40へ出力する。
【0027】
開閉処理部24aは、センサ部21の各検知スポット61に対応する赤外光の検知レベルをモニタし、検知スポット61に移動体が存在しない場合の検知レベルより低い第1閾値、および該受光レベルより高い第2閾値と比較することで移動体が存在するか否かを判定する。開閉処理部24aは、各検知スポット61における検知レベルをセンサ部21から順次取得し、検知レベルが第1閾値以下または第2閾値以上となった場合に、移動体が存在していると判定して起動信号を生成する。また、開閉処理部24aは、検知レベルが第1閾値以下または第2閾値以上となった検知スポット61のアドレスを検知情報として検知情報取得部24cへ出力する。
【0028】
また、開閉処理部24aが出力する検知情報は、設定した各部分的範囲で移動体を検出したときに出力され、検知レベルが第1閾値以下または第2閾値以上となった検知スポット61のアドレスを検知情報として検知情報取得部24cへ出力する。開閉処理部24aが出力する検知情報は、検知スポット61のアドレスの情報、または各部分的範囲のいずれにおいて移動体が検知されたかを示す情報であってもよい。また、上述のように検知エリア60の周縁部に部分的範囲が設定されていない未設定範囲があるときには、未設定範囲で移動体が検知されたことを示す情報であってもよい。この場合、開閉処理部24aは、検知レベルが第1閾値以下または第2閾値以上となった検知スポット61がいずれの部分的範囲または未設定範囲に含まれているかを判別した上で、該検知スポット61を含む部分的範囲または未設定範囲を特定する情報を検知情報として出力する。開閉処理部24aは、上述のように部分的範囲A~Cを設定した場合、例えば各部分的範囲に対応する符号を定めておき、移動体が検知された検知スポット61を含む部分的範囲に対応する符号を検知情報取得部24cへ出力すればよい。また未設定範囲がある場合には、未設定範囲に対応する符号を定めておき、該符号を検知情報取得部24cへ出力すればよい。尚、開閉処理部24aは部分的範囲A~Cおよび未設定範囲で移動体が検知されていない場合には、非検知を示す符号を検知情報取得部24cへ出力するようにする。
【0029】
また開閉処理部24aは、検知エリア60の全検知スポット61における移動体を検知したか否かを示す情報を全検知スポット61ごとに全て出力してもよい。開閉処理部24aが検知情報取得部24cへ出力する検知情報は、ここで述べた形態に限定されない。
【0030】
所定状態検出部24bは、ドア10へ進入してきた移動体の通行性が悪いことから生じる所定状態を検出する。図4は、移動体に生じる所定状態を示す図表である。所定状態には、移動体がドア10に接触したドア接触状態、ドア10への接触が予想されるドア接触予想状態、ドア10の手前で停止して立ち止まった立ち止まり状態、およびドア10の手前で停止して立ち止まりが予想される立ち止まり予想状態がある。
【0031】
ドア接触状態は、さらに3つの状態に分けることができる。即ち、ドア接触状態には、移動体がドア10に接触してドア10が停止した状態、移動体がドア10に接触してドア10に押されている状態、および移動体がドア10に接触した状態がある。移動体がドア10に接触してドア10が停止した状態は、コントローラ40においてドア10の駆動負荷が許容値を超えてドア10を停止させたことによって検出される。移動体がドア10に接触してドア10に押されている状態は、コントローラ40においてドア10の駆動負荷が増加したことによって検出される。また、移動体がドア10に接触した状態は、ドア10に押されている状態ほどではないが、コントローラ40においてドア10の駆動負荷がやや増加したことによって検出される。
【0032】
ドア接触予想状態には、進入方向、歩行速度およびドア駆動速度に基づいてドア10への接触が予想される状態、並びにドア10が移動している状態でドア10および移動体間の距離が所定値以下(例えば30cm以下)となっている状態がある。進入方向、歩行速度およびドア駆動速度に基づいてドア10への接触が予想される状態は、例えば自動ドアセンサ20における検知スポット61の検知状況の変遷によって得られる移動体の進入方向および歩行速度に基づいて算出される移動体のドア到達時点において、ドア駆動速度に基づくドア10の開幅が所定値以下(例えば20cm以下)であることによって検出される。ドア10が移動している状態でドア10および移動体間の距離が所定値以下となっている状態は、自動ドアセンサ20において移動体を検知している検知スポット61の位置によって検出される。
【0033】
また、ドア接触予想状態には、図4に示すほか、ドア10が閉方向へ移動中に補助光電センサ30によってドア10の軌道上で移動体を検知した状態も考えられる。この状態は、コントローラ40における駆動情報と補助光電センサ30による検知情報によって検出される。
【0034】
立ち止まり状態は、自動ドアセンサ20における検知スポット61における検知レベルが移動体の存在を検知したレベルを所定時間(例えば2秒以上)継続していることによって検出される。また、立ち止まり状態は、検知エリア60におけるドア10の近傍の検知スポット61(例えば図3に示すアドレス1B、1C、~1Kの検知スポット)で移動体を検知した時にドア10の開幅が所定値以下(例えば10cm以下)であることによって検出される。立ち止まり予想状態は、例えば自動ドアセンサ20における検知スポット61の検知状況の変遷によって得られる移動体の進入方向および歩行速度に基づいて算出される移動体のドア到達時点において、ドア駆動速度に基づくドア10の開幅が所定値を超え所定値以下(例えば20cmを超え40cm以下)であることによって検出される。
【0035】
図4に示すように、上述の各所定状態に対応して付した番号1~7によって識別することとする。所定状態検出部24bは、番号1~7の所定状態すべてについて検出しても良いし、いずれか1または複数の所定状態を検出するようにしても良い。所定状態検出部24bは、自動ドアセンサ20における検知状況およびコントローラ40における駆動状況(駆動負荷および停止等の状況)に基づいて、番号1~7の所定状態が生じた場合、該当する所定状態の番号をデータ処理部24dへ出力する。
【0036】
検知情報取得部24cは、部分的範囲A~Cにおける検知情報を取得し、部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数を積算する。検知情報取得部24cは、例えば、開閉処理部24aから入力された検知スポット61のアドレスが部分的範囲Aに含まれるアドレスである場合、部分的範囲Aにおける移動体の存在を検知したとの検知情報を取得する。検知情報取得部24cは、取得された検知情報を保持し、順次、開閉処理部24aから入力される検知スポット61のアドレスに基づいて検知情報を更新する。検知情報取得部24cは、例えば開閉処理部24aから入力された検知スポット61のアドレスが部分的範囲B(またはC)に含まれるアドレスである場合、検知情報を、部分的範囲B(またはC)における移動体の存在を検知したとの検知情報に更新する。また、上述のように検知エリア60の周縁部に部分的範囲が設定されていない未設定範囲があるときには、検知情報取得部24cは、未設定範囲における移動体の存在を検知したとの検知情報に更新する。検知情報取得部24cは、開閉処理部24aから入力された検知スポット61のアドレスが部分的範囲A~Cまたは未設定範囲に含まれないアドレスである場合、現在保持している検知情報を保持する。
【0037】
検知情報取得部24cは、部分的範囲A~Cごとに移動体が通行した回数を、部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数を積算して取得する。検知情報取得部24cは、開閉処理部24aから入力された検知スポット61のアドレスが、例えば部分的範囲Aに含まれ、続いて開閉処理部24aから入力された検知スポット61のアドレスが部分的範囲Aに含まれなくなったときに部分的範囲Aの検知情報を取得した回数を1つ積算する。検知情報取得部24cは、部分的範囲BおよびCに対しても同様の積算処理を行うことにより、部分的範囲A~Cごとに移動体が通行した回数を、部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数を積算して取得する。
【0038】
また、検知情報取得部24cは、開閉処理部24aから各部分的範囲A~Cのいずれかまたは未設定範囲で移動体が検知されたことを示す情報を逐次取得し、該情報を検知情報として更新するようにしてもよい。この場合も、検知情報取得部24cは、部分的範囲A~Cごとに移動体が通行した回数を、部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数を積算して取得する。検知情報取得部24cは、開閉処理部24aから部分的範囲A~Cおよび未設定範囲において移動体が検知されていない非検知を示す符号を取得することで、部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数を積算する。
【0039】
また、検知情報取得部24cは、開閉処理部24aから検知エリア60の全検知スポット61における移動体を検知したか否かを示す情報を全検知スポット61ごとに全て取得し、部分的範囲A~Cまたは未設定範囲における検知情報を取得してもよい。検知情報取得部24cは、全検知スポット61における移動体を検知したか否かを示す情報に基づいて、部分的範囲A~Cまたは未設定範囲における検知情報を取得する。検知情報取得部24cは、例えば、開閉処理部24aから入力された情報に基づいて、移動体を検知した検知スポット61のアドレスが部分的範囲Aに含まれるアドレスである場合、部分的範囲Aにおける移動体の存在を検知したとの検知情報を取得する。検知情報取得部24cは、逐次、開閉処理部24aから入力される情報に基づいて、移動体を検知した検知スポット61のアドレスが部分的範囲A~Cまたは未設定範囲に含まれるアドレスであるかを判別し、検知情報を更新するようにすればよい。また、検知情報取得部24cは、部分的範囲A~Cごとに移動体が通行した回数を、部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数を積算して取得する。
【0040】
データ処理部24dは、所定状態検出部24bから所定状態の番号が入力されると、検知情報取得部24cに対して現在保持している検知情報の出力を要求し、該検知情報を取得する。データ処理部24dは、移動体が所定状態となったときに検知情報取得部24cが設定した部分的範囲A~Cにおいて検知情報を取得していたとの事象が発生していたことを、検知情報取得部24cから取得した検知情報に基づき記憶部25に記憶する。また、データ処理部24dは、タイマー(図示略)から日時の情報を取得し、付随情報として記憶部25に記憶する。
【0041】
図5は、記憶部25に記憶する際のデータ処理方法を示す図表である。データ処理部24dは、データ処理方法No.1においては、所定状態、および検知情報取得部24cから取得した検知情報が示す部分的範囲を識別可能に記憶する。例えば、所定状態の番号1~7に対応する3ビットの符号、部分的範囲A~Cに対応する2ビットの符号を生成し、日時とともに記憶部25に記憶する。
【0042】
データ処理部24dは、データ処理方法No.2においては、検知情報取得部24cから取得した検知情報に基づき、各所定状態に対して部分的範囲A~C毎に検知情報を取得していた事象が発生した回数を積算し、積算している期間情報(積算開始日時など)とともに記憶する。例えば、所定状態の番号1~7、部分的範囲A~Cに対応する変数マトリクスMxy(x=1~7、y=1~3)を作成して記憶部25に記憶し、所定状態が発生する度に、変数マトリクスMxyの要素を特定して1を加算して記憶部25へ記憶させる。
【0043】
データ処理部24dは、データ処理方法No.3においては、検知情報取得部24cが部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数を検知情報取得部24cから取得する。データ処理部24dは、検知情報取得部24cから取得した検知情報に基づき、移動体が所定状態となったときに部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得していた、との事象が発生した回数を積算する。データ処理部24dは、部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数に対する、部分的範囲A~Cごとの前記事象の発生回数の比率を算出し、算出している期間情報(算出開始日時など)とともに記憶する。例えば、所定状態の番号1~7、部分的範囲A~Cに対応する変数マトリクスNxy(x=1~7、y=1~3)を作成して記憶部25に記憶する。変数マトリクスNxyの各要素は、部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数Ny(y=1~3)に対する、各所定状態(x=1~7)について部分的範囲A~Cごとの前記事象の発生回数の比率として算出されたものとする。尚、所定状態が発生する度に、変数マトリクスNxyの要素を特定して比率を計算し直すため、部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数Nyを母数として記憶部25へ記憶しておく必要がある。
【0044】
データ処理部24dは、データ処理方法No.4においては、各所定状態となった回数に対する、部分的範囲A~C毎に検知情報を取得していた事象が発生した回数の比率を算出し、各所定状態となった回数および算出している期間情報(算出開始日時など)とともに記憶する。例えば、所定状態の番号1~7、部分的範囲A~Cに対応する変数マトリクスPxy(x=1~7、y=1~3)を作成して記憶部25に記憶する。変数マトリクスPxyの各要素は、各所定状態となった回数Px(x=1~7)に対する比率として算出されたものとする。尚、所定状態が発生する度に、変数マトリクスPxyの要素を特定して比率を計算し直すため、各所定状態となった回数Pxを母数として記憶部25へ記憶しておく必要がある。
【0045】
データ処理部24dは、データ処理方法No.1~4による記憶情報を、記憶部25の代わりにCANを通して接続される記憶装置51(図2参照)に記憶するようにしてもよい。記憶装置51は、例えば記録テープ式のデータロガーや、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク、CD-ROM、DVD等によって構成される記憶装置であり、CANによって通信接続された他の部品または装置から情報を入手して記憶する。データ処理部24dによって記憶部25等に記憶された情報は、外部接続部52を介して携帯端末やPCから読み出し可能となっている。
【0046】
次に実施形態1に係る自動ドア装置100の動作を、自動ドアセンサ20の情報処理装置23による検知情報取得・記憶処理に基づいて説明する。図6は、情報処理装置23による検知情報取得・記憶処理の手順を示すフローチャートである。図6に示す検知情報取得・記憶処理の手順は、図5に示すデータ処理方法No.1に基づく。
【0047】
情報処理装置23の検知情報取得部24cは、開閉処理部24aから入力された検知スポット61のアドレスが含まれる部分的範囲A~Cを特定する。検知情報取得部24cは、部分的範囲における移動体の存在を検知したとの検知情報として、特定された部分的範囲の識別符号を取得する。検知情報取得部24cは、順次、開閉処理部24aから入力される検知スポット61のアドレスに基づいて特定される部分的範囲の識別符号を取得し、更新する(S1)。検知情報取得部24cは、開閉処理部24aから検知スポット61のアドレス以外の情報が入力される場合にも、入力される情報に基づいて特定される部分的範囲の識別符号を取得し、更新することができる。このことは、後述するデータ処理方法No.2~No.4に基づく処理においても同様である。
【0048】
所定状態検出部24bは、自動ドアセンサ20における検知状況およびコントローラ40における駆動状況(駆動負荷および停止等の状況)に基づいて、番号1~7の所定状態が生じた場合、該当する所定状態の番号をデータ処理部24dへ出力する。データ処理部24dは、所定状態が発生したか否かを判定する(S2)。データ処理部24dは、所定状態検出部24bからの入力があった場合に所定状態が発生したと判定し(S2:YES)、検知情報取得部24cに対して保持している部分的範囲の識別符号の出力を要求して取得する(S3)。データ処理部24dは、タイマから日時情報を取得し(S4)、番号1~7の所定状態に対応する識別符号、部分的範囲の識別符号、および日時情報を記憶部25に記憶し(S5)、処理を終了する。データ処理部24dは、ステップS2において、所定状態検出部24bからの入力がない場合には所定状態が発生していないと判定し(S2:NO)、ステップS2による判定を繰り返す。
【0049】
データ処理部24dが図6に示すステップS1からS5の処理を繰り返すことによって、時々刻々に発生する所定状態に対する情報が記憶部25に記憶されていく。図7は、データ処理部24dによって記憶された情報の例を示す図表である。図7に示す記憶情報を、外部接続部52を介して携帯端末やPCで読み出し、部分的範囲A~Cのうちいずれの部分的範囲から進入してくる場合に所定状態が発生しているかを効率的に確認することができる。
【0050】
携帯端末やPCで読み出した情報に基づいて、例えば部分的範囲A~Cのうち、部分的範囲Aから移動体が進入してくる場合に、番号2の所定状態が多く発生すると分析することで、検知エリア60のうち、部分的範囲Aの側、即ちドア10に向かって左方向に検知エリア60を広げる再設定を対策とすることができる。また、例えば部分的範囲A~Cの全体に亘って、移動体が進入にしてくる場合に所定状態が発生していると分析される場合には、検知エリア60を左右および正面方向に、全体的に広げる対策や、ドア10の駆動速度を速くする設定に変更する対策をとることができる。また、ドア接触状態およびドア接触予想状態のいずれが傾向として多く発生しているか、また立ち止まり状態および立ち止まり予想状態のいずれが傾向として多く発生しているかを分析し、検知エリア60を広げる度合、ドア10の駆動速度を速くする度合を設定することもできる。ドア接触状態や立ち止まり状態が多く発生している場合には、検知エリア60を広げる度合、ドア10の駆動速度を速くする度合を大きくし、ドア接触予想状態や立ち止まり予想状態が多く発生している場合には、それらの度合を小さくすることができる。
【0051】
データ処理部24dは、記憶部25に1回または複数回、所定状態および部分的範囲の識別情報を記憶すればよい。記憶部25に記憶された情報が、所定状態の発生1回に対するものだけであっても、その情報を参考に通行性の改善対策をとることは可能である。
【0052】
図8は、情報処理装置23による検知情報取得・記憶処理の他の手順を示すフローチャートである。図8に示す検知情報取得・記憶処理の手順は、図5に示すデータ処理方法No.2に基づく。データ処理部24dは、処理の開始にあたり、最初に開始日時の情報をタイマから取得し記憶部25に記憶する。
【0053】
情報処理装置23の検知情報取得部24cは、図6に示すステップS1と同様に、順次、開閉処理部24aから入力される検知スポット61のアドレスに基づいて特定される部分的範囲の識別符号を取得し、更新する(S11)。
【0054】
またデータ処理部24dは、図6に示すステップS2と同様に、所定状態が発生したか否かを判定する(S12)。データ処理部24dは、所定状態検出部24bからの入力があった場合に所定状態が発生したと判定し(S12:YES)、検知情報取得部24cに対して保持している部分的範囲の識別符号の出力を要求して取得する(S13)。データ処理部24dは、変数マトリクスMxyの要素のうち、部分的範囲の識別符号および所定状態の識別符号に対応する要素に1を加算して発生回数を積算する(S14)。変数マトリクスMxyの各データを記憶部25に記憶し(S15)、処理を終了する。データ処理部24dは、ステップS12において、所定状態検出部24bからの入力がない場合には所定状態が発生していないと判定し(S12:NO)、ステップS12による判定を繰り返す。
【0055】
データ処理部24dが図8に示すステップS11からS15の処理を繰り返すことによって、番号1~7の各所定状態に対して、所定状態となったときに検知情報を取得していた事象が発生した回数を部分的範囲A~Cごとに記憶することができる。図9は、データ処理部24dによって記憶された情報の例を示す図表である。図9に示す記憶情報を、外部接続部52を介して携帯端末やPCで読み出し、部分的範囲A~Cのうちいずれの部分的範囲から進入してくる場合に各所定状態が多く発生しているかを効率的に確認することができ、対策をとることができる。
【0056】
図10は、情報処理装置23による検知情報取得・記憶処理の他の手順を示すフローチャートである。図10に示す検知情報取得・記憶処理の手順は、図5に示すデータ処理方法No.3に基づく。データ処理部24dは、処理の開始にあたり、最初に開始日時の情報をタイマから取得し記憶部25に記憶する。
【0057】
情報処理装置23の検知情報取得部24cは、図6に示すステップS1と同様に、順次、開閉処理部24aから入力される検知スポット61のアドレスに基づいて特定される部分的範囲の識別符号を取得し、更新する(S21)。
【0058】
またデータ処理部24dは、図6に示すステップS2と同様に、所定状態が発生したか否かを判定する(S22)。データ処理部24dは、所定状態検出部24bからの入力があった場合に所定状態が発生したと判定し(S22:YES)、検知情報取得部24cに対して保持している部分的範囲の識別符号の出力を要求して取得する(S23)。データ処理部24dは、変数マトリクスNxyの要素(比率を表している)から、部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数Nyを用いて、各要素に対応する発生回数を復元する(S24)。データ処理部24dは、部分的範囲の識別符号および所定状態の識別符号に対応する要素に1を加算して発生回数を積算し、部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数Nyに対する各要素の発生回数の比率を計算する(S25)。尚、データ処理部24dは、部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数Nyについて、ステップS24における復元の際には記憶されているNyを用いる。データ処理部24dは、ステップS24における比率の計算の際には、計算時における部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数Nyを検知情報取得部24cから取得して用い、記憶部25に記憶させる。データ処理部24dは、変数マトリクスNxyの各データを記憶部25に記憶し(S26)、処理を終了する。データ処理部24dは、ステップS22において、所定状態検出部24bからの入力がない場合には所定状態が発生していないと判定し(S22:NO)、ステップS22による判定を繰り返す。
【0059】
データ処理部24dが図10に示すステップS21からS26の処理を繰り返すことによって、番号1~7の各所定状態に対して、所定状態となったときに部分的範囲A~C毎に検知情報を取得していた事象が発生した回数を、部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数に対する比率として記憶することができる。図11は、データ処理部24dによって記憶された情報の例を示す図表である。図11に示す記憶情報を、外部接続部52を介して携帯端末やPCで読み出し、部分的範囲A~Cのうちいずれの部分的範囲から進入してくる場合に各所定状態が多く発生しているかを効率的に確認することができ、対策をとることができる。データ処理部24dが記憶部25に記憶する情報は、変数マトリクスNxyの各要素について比率のデータであることから、積算によって数値が大きくなるものではなく、記憶領域として必要な容量を小さくすることができる。
【0060】
図12は、情報処理装置23による検知情報取得・記憶処理の他の手順を示すフローチャートである。図12に示す検知情報取得・記憶処理の手順は、図5に示すデータ処理方法No.4に基づく。データ処理部24dは、処理の開始にあたり、最初に開始日時の情報をタイマから取得し記憶部25に記憶する。
【0061】
情報処理装置23の検知情報取得部24cは、図6に示すステップS1と同様に、順次、開閉処理部24aから入力される検知スポット61のアドレスに基づいて特定される部分的範囲の識別符号を取得し、更新する(S31)。
【0062】
またデータ処理部24dは、図6に示すステップS2と同様に、所定状態が発生したか否かを判定する(S32)。データ処理部24dは、所定状態検出部24bからの入力があった場合に所定状態が発生したと判定し(S32:YES)、検知情報取得部24cに対して保持している部分的範囲の識別符号の出力を要求して取得する(S33)。データ処理部24dは、変数マトリクスPxyの要素(比率を表している)から所定状態の発生回数Pxを用いて、各要素に対応する発生回数を復元する(S34)。データ処理部24dは、部分的範囲の識別符号および所定状態の識別符号に対応する要素に1を加算して発生回数を積算し、所定状態の発生回数Pxに対する各要素の発生回数の比率を計算する(S35)。尚、データ処理部24dは、所定状態の発生回数Pxについて、所定状態検出部24bからの入力に基づいて、対応するいずれかの所定状態の発生回数Pxに1を加算して積算していく。データ処理部24dは、変数マトリクスPxyの各データを記憶部25に記憶し(S36)、処理を終了する。データ処理部24dは、ステップS32において、所定状態検出部24bからの入力がない場合には所定状態が発生していないと判定し(S32:NO)、ステップS32による判定を繰り返す。
【0063】
データ処理部24dが図12に示すステップS31からS36の処理を繰り返すことによって、番号1~7の各所定状態に対して、部分的範囲A~C毎に検知情報を取得していた事象が発生した回数を、各所定状態の発生回数に対する比率として記憶することができる。図13は、データ処理部24dによって記憶された情報の例を示す図表である。図13に示す記憶情報を、外部接続部52を介して携帯端末やPCで読み出し、部分的範囲A~Cのうちいずれの部分的範囲から進入してくる場合に各所定状態が多く発生しているかを効率的に確認することができ、対策をとることができる。データ処理部24dが記憶部25に記憶する情報は、変数マトリクスPxyの各要素について比率のデータであることから、積算によって数値が大きくなるものではなく、記憶領域として必要な容量を小さくすることができる。
【0064】
(実施形態2)
実施形態2に係る情報処理装置23は、補助光電センサ30における検知情報を取得する存在情報取得部24eを備える。図14は、実施形態2に係る情報処理装置23を含む自動ドア装置100の機能構成を示すブロック図である。実施形態2に係る自動ドア装置100は、存在情報取得部24e以外の構成および動作について以下に説明するほか、実施形態1で説明した構成および動作と同等であり、簡潔のため記載を省略する。
【0065】
情報処理装置23における存在情報取得部24eは、補助光電センサ30からドア10の軌道上に移動体が存在することを示すドアウェイ検知情報を取得することにより、移動体がドア10の軌道上に存在し、ドア10の開口部11を通過したことを知得することができる。情報処理装置23のデータ処理部24dは、所定状態検出部24bからの入力があったときに、その後、ドアウェイ検知情報を取得したという事象が発生したことを記憶部25に記憶させる。これにより、情報処理装置23は、記憶部25に記録された情報によって、ドア接触状態、ドア接触予想状態、立ち止まり状態、および立ち止まり予想状態となった移動体が、ドア10の開口部11を通過したことが判る。
【0066】
また、データ処理部24dは、所定状態検出部24bからの入力があった後、存在情報取得部24eによってドアウェイ検知情報が取得されない場合には、各データ処理方法No.1~No.4における積算処理や記憶部25への記憶処理を実行しないようにしてもよい。これにより、情報処理装置23は、ドア10の前を単に横切った移動体が、ドア接触状態、ドア接触予想状態、立ち止まり状態、および立ち止まり予想状態となった場合を除外して、データ処理部24dによる記憶部25への記憶処理を行うことができる。
【0067】
逆に、情報処理装置23のデータ処理部24dは、所定状態検出部24bからの入力があったときに、その後、ドアウェイ検知情報を取得しなかったという事象が発生したことを記憶部25に記憶させる。これにより、情報処理装置23は、記憶部25に記録された情報によって、ドア接触状態、ドア接触予想状態、立ち止まり状態、および立ち止まり予想状態となった移動体が、ドア10の前を単に横切ったものであることがわかる。
【0068】
また、データ処理部24dは、所定状態検出部24bからの入力があった後、存在情報取得部24eによって検知情報が取得された場合には、各データ処理方法No.1~No.4における積算処理や記憶部25への記憶処理を実行しないようにしてもよい。これにより、情報処理装置23は、ドア10の前を単に横切った移動体を対象にして、ドア接触状態、ドア接触予想状態、立ち止まり状態、および立ち止まり予想状態となった場合について、データ処理部24dによる記憶部25への記憶処理を行うことができる。
【0069】
存在情報取得部24eは、補助光電センサ30からの検知情報のほか、ドア10近傍の検知スポット61における検知情報に基づいて、移動体がドア10の軌道上に存在し、ドア10の開口部11を通過したことを知得することができる。補助光電センサ30の代わりに、移動体がドア10の軌道上に存在することを検知する検知スポット61は、例えばドア近傍のアドレス1A~1Lの検知スポット61とすればよい(図3参照)。情報処理装置23は、補助光電センサ30をドア近傍の検知スポット61で代替することにより、開閉処理部24aにおいて移動体がドア10の軌道上に存在することを検知することができ、補助光電センサ30からの受信処理を軽減することができる。
【0070】
(変形例)
図15(a)および(b)は、変形例に係る自動ドアセンサ20の検知エリア60に設定する部分的範囲を示す模式図である。検知エリア60に設定する部分的範囲は、図3に示すものに限られない。図15(a)に示す部分的範囲は、部分的範囲AおよびBをドア10に向かって左方向および右方向に設定するものであり、正面には部分的範囲を設定していない。図15(b)に示す部分的範囲は、部分的範囲Aをドア10の正面に設定し、ドア10に向かって左方向および右方向に設定していない。
【0071】
また、図15(a)および(b)に点線で示すように検知エリア60の周縁部に設定される部分的範囲は、検知エリア60の外周部分に相当する検知スポット61のみならず、検知エリア60の外周部分から内側に位置する検知スポット61(例えば、アドレス1B~5B、1K~5K、5B~5K)をグループ化したものであってもよい。
【0072】
図16(a)および(b)は、別の変形例に係る自動ドアセンサ20の検知エリア60に設定する部分的範囲を示す模式図である。図16(a)に示す部分的範囲は、部分的範囲Aをドア10の正面において部分的に設定するものであり、図16(b)に示す部分的範囲は、部分的範囲Aをドア10の正面と、ドア10に向かって左方向に跨って設定するものである。
【0073】
図15(a)および(b)、並びに図16(a)および(b)のいずれの場合であっても、検知エリア60に1または複数の部分的範囲が設定されていればよい。情報処理装置23は、所定状態になった際における、移動体が進入してくる1または複数の部分的範囲において検知情報を取得していた、との事象が発生したことを記憶するので、記憶された情報を読み出すことで、部分的範囲からの進入によって所定状態が発生しているかを効率的に確認できる。また、情報処理装置23が記憶した情報により、設定された部分的範囲からの進入で所定状態が発生していない場合には、部分的範囲が設定されていない位置からの進入によって所定状態が発生していることを間接的に確認することができる。
【0074】
次に、実施形態1および2並びに変形例に係る情報処理装置23の特徴を説明する。
情報処理装置23は、ドア10周辺の移動体を検知してドア10を開閉させるために設けられている検知エリア60の一部の範囲に設定された部分的範囲A~Cで移動体を検知したときに出力される検知情報を取得する検知情報取得部24cと、移動体が所定状態となったときに検知情報取得部24cが検知情報を取得していたという事象が発生したことを記憶する記憶部25と、を備える。これにより、情報処理装置23は、記憶した情報によって、ドア10を通行する移動体が所定状態になった際の状況の確認を支援することができる。
【0075】
また部分的範囲は複数設けられており、記憶部25は、前記事象が発生したことを部分的範囲ごとに記憶する。これにより、情報処理装置23は、記憶した情報によって、複数の部分的範囲のうちいずれの部分的範囲からの通行によって、移動体が所定状態になったかを確認することができる。
【0076】
また記憶部25は、前記事象が発生したことをその発生回数として前記部分的範囲ごとに記憶する。これにより、情報処理装置23は、移動体が所定状態となった際に検知情報取得部24cが検知情報を取得していた事象の発生回数を提供することができる。例えば、複数の部分的範囲がある場合に、どの部分的範囲での事象の発生回数が多いかを知得でき、多い部分的範囲について対策を講じることができる。
【0077】
記憶部25は、前記事象が発生したことを、検知情報取得部24cが部分的範囲A~Cごとに検知情報を取得した回数に対する、部分的範囲ごとの前記事象の発生回数の比率として記憶する。これにより、情報処理装置23は、移動体が所定状態となった際に検知情報取得部24cが検知情報を取得していた事象の発生を比率として提供することができる。例えば、複数の部分的範囲がある場合に、どの部分的範囲での事象の発生頻度が多いかを知得でき、多い部分的範囲について対策を講じることができる。
【0078】
また記憶部25は、前記事象が発生したことを、移動体が所定状態となった回数に対する、部分的範囲ごとの前記事象の発生回数の比率として記憶する。これにより、情報処理装置23は、移動体が所定状態となった際に検知情報取得部24cが検知情報を取得していた事象の発生を比率として提供することができる。例えば、複数の部分的範囲がある場合に、どの部分的範囲での事象の発生頻度が多いかを知得でき、多い部分的範囲について対策を講じることができる。
【0079】
また部分的範囲は、前記検知エリアの周縁部に設定されている。これにより、部分的範囲がドア10に対してどの方向に位置するかを把握することができる。
【0080】
また、ドア10の軌道上に移動体が存在することを示すドアウェイ検知情報を取得する存在情報取得部24eを備え、記憶部25は、移動体が所定状態となったときに、ドアウェイ検知情報を取得したという事象が発生したことを記憶する。これにより、情報処理装置23は、記憶部25に記録された情報によって、ドア接触状態、ドア接触予想状態、立ち止まり状態、および立ち止まり予想状態となった移動体が、ドア10の開口部11を通過したことが判る。
【0081】
また、ドア10の軌道上に移動体が存在することを示すドアウェイ検知情報を取得する存在情報取得部24eを備え、記憶部25は、移動体が所定状態となったときに、ドアウェイ検知情報を取得しなかったという事象が発生したことを記憶する。これにより、情報処理装置23は、記憶部25に記録された情報によって、ドア接触状態、ドア接触予想状態、立ち止まり状態、および立ち止まり予想状態となった移動体が、ドア10の前を単に横切ったものであることがわかる。
【0082】
また、部分的範囲はドア10近傍に設けられている。これにより、情報処理装置23は、移動体がドア10に近接したか否かが判るとともに、仮定的に移動体がドア10を通過したことを判断することができる。
【0083】
また所定状態は、移動体がドア10に接触した状態である。これにより、情報処理装置23は、記憶した情報によって、ドア10を通行する移動体がドア10に接触した状態になった際の状況の確認を支援することができる。
【0084】
また所定状態は、ドア10が閉方向へ移動中にドア10の軌道上で移動体を検知した状態である。これにより、情報処理装置23は、記憶した情報によって、ドア10を通行する移動体がドア10に接触することが予想される状態になった際の状況の確認を支援することができる。
【0085】
また所定状態は、移動体がドア10の手前で停止している状態である。これにより、情報処理装置23は、記憶した情報によって、ドア10を通行する移動体がドア10の前で立ち止まり状態となった際の状況の確認を支援することができる。
【0086】
また所定状態は複数あり、記憶部25は、前記事象が発生したことを所定状態ごとに記憶する。これにより、情報処理装置23は、複数の所定状態ごとに、ドア10を通行する移動体が所定状態となった際の状況の確認を支援することができる。
【0087】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0088】
10 ドア(自動ドア)、 23 情報処理装置、 24c 検知情報取得部、
24e 存在情報取得部、 25 記憶部、 60 検知エリア、
61 検知スポット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16