(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示制御方法および表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20120101AFI20220527BHJP
【FI】
G06Q10/10 340
(21)【出願番号】P 2018178792
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】株式会社富士通エフサス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊勢島 義顕
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-27720(JP,A)
【文献】特開平6-46161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業員が労働を開始してから現在時刻までの労働時間の情報と、前記作業員の作業内容および作業期間を含むスケジュール情報とを記憶する記憶部と、
前記労働時間が所定時間以上であるか否かを判定する処理と、前記作業員の現在時刻の作業内容が所定の作業内容であるか否かを判定する処理とを実行する判定部と、
前記労働時間が所定時間以上であり、かつ、前記作業員の現在時刻の作業内容が所定の作業内容である場合には、前記作業員の端末装置にメッセージを表示させる処理を抑止し、
前記労働時間が所定時間以上であり、かつ、前記作業員の現在時刻の作業内容が所定の作業内容でない場合には、前記作業員の端末装置に前記メッセージを表示させる処理を実行する表示制御部と
を有することを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記労働時間が所定時間以上であり、かつ、前記作業員の現在時刻の作業内容が所定の作業内容でない場合には、前記作業員の端末装置で動作中のアプリケーションプログラムの情報および前記作業員の端末装置に対する操作内容の情報を更に用いて、前記作業員の端末装置にメッセージを表示させるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記所定の作業内容は、複数の作業員が参加する会議であることを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、所定時間毎に判定を行うことで、前記作業員の端末装置にメッセージを表示させる処理を抑止した抑止回数を計数し、前記抑止回数が所定回数以上となった場合に、他の作業員に端末装置にメッセージを表示することを特徴とする請求項1、2または3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
コンピュータが、
作業員が労働を開始してから現在時刻までの労働時間の情報と、前記作業員の作業内容および作業期間を含むスケジュール情報とを記憶する記憶装置を参照し、
前記労働時間が所定時間以上であるか否かを判定し、
前記作業員の現在時刻の作業内容が所定の作業内容であるか否かを判定し、
前記労働時間が所定時間以上であり、かつ、前記作業員の現在時刻の作業内容が所定の作業内容である場合には、前記作業員の端末装置にメッセージを表示させる処理を抑止し、
前記労働時間が所定時間以上であり、かつ、前記作業員の現在時刻の作業内容が所定の作業内容でない場合には、前記作業員の端末装置に前記メッセージを表示させる
処理を実行することを特徴とする表示制御方法。
【請求項6】
コンピュータに、
作業員が労働を開始してから現在時刻までの労働時間の情報と、前記作業員の作業内容および作業期間を含むスケジュール情報とを記憶する記憶装置を参照し、
前記労働時間が所定時間以上であるか否かを判定し、
前記作業員の現在時刻の作業内容が所定の作業内容であるか否かを判定し、
前記労働時間が所定時間以上であり、かつ、前記作業員の現在時刻の作業内容が所定の作業内容である場合には、前記作業員の端末装置にメッセージを表示させる処理を抑止し、
前記労働時間が所定時間以上であり、かつ、前記作業員の現在時刻の作業内容が所定の作業内容でない場合には、前記作業員の端末装置に前記メッセージを表示させる
処理を実行させることを特徴とする表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、働き方改革が推進されており、企業内では、社員の不要な残業時間をできるだけ無くそうという試みがなされている。また、やむを得ず、社員が所定の労働時間を超えて作業を行っていることを検出すると、残業申請を促すメッセージを社員の使用する端末装置にポップアップさせる従来技術がある。この従来技術では、社員は、ポップアップを確認すると、端末装置を操作して、決められた手順に従って、残業申請を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平09-120419号公報
【文献】特開平06-022036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、利用者の端末装置にメッセージを適切に通知することができないという問題がある。
【0005】
たとえば、会議の進行中に所定の労働時間を経過し、会議に用いている利用者の端末装置に残業申請を促すメッセージが表示されると会議が中断されてしまう。また、利用者が文章入力、図の編集等の作業を行っている間に、残業申請を促すメッセージが表示された場合でも、作業が中断してしまう。
【0006】
1つの側面では、本発明は、利用者の端末装置にメッセージを適切に通知することができる表示制御装置、表示制御方法および表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の案では、表示制御装置は、記憶部と、判定部と、表示制御部とを有する。記憶部は、作業員が労働を開始してから現在時刻までの労働時間の情報と、作業員の作業内容および作業期間を含むスケジュール情報とを記憶する。判定部は、労働時間が所定時間以上であるか否かを判定する処理と、作業員の現在時刻の作業内容が所定の作業内容であるか否かを判定する処理とを実行する。表示制御部は、労働時間が所定時間以上であり、かつ、作業員の現在時刻の作業内容が所定の作業内容である場合には、作業員の端末装置にメッセージを表示させる処理を抑止する。表示制御部は、労働時間が所定時間以上であり、かつ、作業員の現在時刻の作業内容が所定の作業内容でない場合には、作業員の端末装置にメッセージを表示させる処理を実行する。たとえば、所定時間以上とは、所定時間以上となると予想される場合も含む。
【発明の効果】
【0008】
端末装置にメッセージを適切に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施例に係るシステムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施例に係る表示制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、作業員管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、スケジュール管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、スケジュール情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、端末情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施例に係る表示制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、表示制御装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する表示制御装置、表示制御方法および表示制御プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0011】
図1は、本実施例に係るシステムの構成を示す図である。
図1に示すように、このシステムは、表示制御装置100と、端末装置10a,10b,10cとを有する。表示制御装置100は、ネットワーク50を介して、端末装置10a~10cに接続される。ここでは一例として、端末装置10a~10cを示すが、このシステムは、他の端末装置を有していてもよい。
【0012】
端末装置10a~10cは、作業員が各種の作業を行う場合に用いる端末装置であり、PC(Personal Computer)、ノートPC等に対応する。以下の説明では、端末装置10a~10cをまとめて、適宜、端末装置10と表記する。
【0013】
作業員が端末装置10を用いて行う作業には、様々な作業が含まれる。たとえば、作業員は、端末装置10にインストールされた文章入力ソフトを起動して、文章を入力する作業、端末装置10にインストールされた図形作成ソフトを起動して、図形を描画する作業等を行う。また、作業員は、端末装置10を会議室等に持ち込んで、会議用の資料を表示させ、会議を進行する作業を行う。なお、作業員は、端末装置10を用いて、上記以外の作業を行ってもよい。
【0014】
表示制御装置100は、端末装置10とデータ通信を行って、端末装置10を用いて作業を行う作業員の労働時間を計測する。表示制御装置100は、労働時間が所定時間以上となった場合に、残業申請を促すメッセージを、端末装置10に表示させる。なお、所定時間以上とは、過去の残業状況などから所定時間以上となると予想される場合も含む。
【0015】
ここで、表示制御装置100は、作業員の労働時間が所定時間以上となり、かつ、作業員の行っている作業が所定の作業内容である場合には、残業申請を促すメッセージを、端末装置10に表示する処理を抑止する。所定の作業内容は、予め設定される。たとえば、表示制御装置100は、作業員の労働時間が所定時間以上となった場合でも、作業員が会議中(複数の作業員が参加する会議中)である場合、作業員が文章入力ソフトを起動して文章入力を行っている場合、作業員が図形作成ソフトを起動して図形を描画している場合には、残業申請を促すメッセージを、端末装置10に表示する処理を抑止する。
【0016】
一方、表示制御装置100は、作業員の労働時間が所定時間以上となり、かつ、作業員の行っている作業が所定の作業内容でない場合には、残業申請を促すメッセージを、端末装置10に表示する。作業員は、かかるメッセージを確認すると、端末装置10を操作して、残業を行うための残業申請を行う。
【0017】
このように、表示制御装置100は、作業員の労働時間が所定時間以上となり、かつ、作業員の行っている作業が所定の作業内容である場合には、残業申請を促すメッセージを、端末装置10に表示する処理を抑止する。これによって、利用者の端末装置にメッセージを適切に通知することができる。たとえば、作業員が所定の作業内容の作業を行っており、メッセージを通知することが好ましくない状況では、メッセージが表示されないので、作業員の作業を中断させることがない。これに対して、作業員が所定の作業内容の作業を行っていない場合には、メッセージを通知して、残業申請の手続を行わせることができる。
【0018】
図2は、本実施例に係る表示制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、この表示制御装置100は、通信部110、入力部120と、表示部130と、記憶部140と、制御部150とを有する。
【0019】
通信部110は、ネットワーク50を介して、端末装置10との間でデータ通信を実行する処理部である。後述する制御部150は、通信部110を介して、端末装置10との間でデータをやり取りする。
【0020】
入力部120は、表示制御装置100に各種のデータを入力するための入力装置である。たとえば、入力部120は、キーボードやマウス、タッチパネル等に対応する。
【0021】
表示部130は、制御部150から出力される各種のデータを表示する表示装置である。たとえば、表示部130は、液晶ディスプレイ、タッチパネル等に対応する。
【0022】
タイマ135は、現在の時刻情報を、制御部150に出力するタイマである。
【0023】
記憶部140は、作業員管理テーブル140a、スケジュール管理テーブル140b、端末情報テーブル140cを有する。記憶部140は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子などの記憶装置に対応する。
【0024】
作業員管理テーブル140aは、作業員の労働時間等の情報を保持するテーブルである。
図3は、作業員管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図3に示すように、この作業員管理テーブル140aは、作業員番号と、氏名と、端末識別情報と、労働時間と、残業申請フラグとを対応付ける。
【0025】
作業員番号は、作業員を一意に識別する情報である。氏名は、作業員の氏名を示す情報である。端末識別情報は、作業員に割り当てられた端末装置を一意に識別する情報である。たとえば、端末識別情報「T10a」は、端末装置10aを示す。端末識別情報「T10b」は、端末装置10bを示す。端末識別情報「T10c」は、端末装置10cを示す。
【0026】
労働時間は、当日の作業員の労働時間を示すものである。当日において、作業員が出勤した時刻から、現在時刻までの時間が、労働時間となる。残業申請フラグは、作業員が残業申請を行っているか否かを区別する情報である。作業員が残業申請を行っている場合には、残業申請フラグが「オン」となる。作業員が残業申請を行っていない場合には、残業申請フラグが「オフ」となる。
【0027】
スケジュール管理テーブル140bは、作業員のスケジュールの情報を保持するテーブルである。
図4は、スケジュール管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図4に示すように、このスケジュール管理テーブル140bは、作業員番号とスケジュール情報とを有する。作業員番号は、作業員を一意に識別する情報である。スケジュール情報は、該当する作業員の作業内容および作業期間を示す情報である。
【0028】
図5は、スケジュール情報の一例を示す図である。
図5において、スケジュール情報の縦軸は時間を示す。たとえば、作業期間「10:00~11:00」において、作業内容「会議」が設定されている。作業期間「16:00~17:30」において、作業内容「会議」が設定されている。
図5に示すスケジュール情報は、作業員の当日のスケジュール情報とするが、これに限定されるものではなく、スケジュール情報は、週単位、月単位、年単位の作業員のスケジュール情報であってもよい。
【0029】
端末情報テーブル140cは、端末装置10に対する作業員の現在の操作内容に関する情報を保持するテーブルである。
図6は、端末情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図6に示すように、端末情報テーブル140cは、端末識別情報、アクティブウィンドウ名、キーボード操作フラグ、マウス操作フラグを有する。端末識別情報は、端末装置を一意に識別する情報である。アクティブウィンドウ名は、端末装置10のアクティブウィンドウのタイトルバーに表示中の文字列を示すものである。
【0030】
キーボード操作フラグは、端末装置10のキーボードを作業員が操作しているか否かを示す情報である。端末装置10のキーボードを作業員が操作中である場合には、キーボード操作フラグが「オン」となる。端末装置10のキーボードを作業員が操作中でない場合には、キーボード操作フラグが「オフ」となる。
【0031】
マウス操作フラグは、端末装置10のマウス(あるいはトラックパット)を作業員が操作しているか否かを示す情報である。端末装置10のマウスを作業員が操作中である場合には、マウス操作フラグが「オン」となる。端末装置10のマウスを作業員が操作中でない場合には、マウス操作フラグが「オフ」となる。
【0032】
図2の説明に戻る。制御部150は、監視部150aと、判定部150bと、表示制御部150cと、残業申請処理部150dとを有する。制御部150は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積装置に対応する。また、制御部150は、例えば、CPUやMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路に対応する。
【0033】
監視部150aは、端末装置10と定期的にデータ通信を行い、端末装置10を操作する作業員の労働時間や、端末装置10における作業の内容を監視する処理部である。たとえば、監視部150aは、作業員の労働時間を計測する処理、端末情報テーブル140cを生成する処理について説明する。
【0034】
監視部150aが作業員の労働時間を計測する処理について説明する。たとえば、作業員は、出社した場合に、端末装置10を操作して社内サーバ(図示略)にアクセスしてログインし、出社した旨を通知する。この際、端末装置10は、出社情報を、監視部150aに通知する。出社情報には、作業員番号、端末識別情報、出社時刻が含まれる。
【0035】
監視部150aは、端末装置10から出社情報を受け付けると、出社情報に含まれる作業員番号の作業員に対する労働時間を計測する。監視部150aは、労働時間の計測を開始する場合に、労働時間を初期値(たとえば、0時間)に戻す。監視部150aは、タイマ135から時刻情報を取得し、出社時刻を開始時刻として、作業員の労働時間の計測を開始する。監視部150aは、作業員の労働時間の情報を、作業員管理テーブル140aに登録し、その後は順次更新する。
【0036】
一方、作業員は、退社する場合に、端末装置10を操作して社内サーバ(図示略)にアクセスしてログインし、退社する旨を通知する。この際、端末装置10は、退社情報を、監視部150aに通知する。退社情報には、作業員番号、端末識別情報、退社時刻が含まれる。
【0037】
監視部150aは、端末装置10から退社情報を受け付けると、退社情報に含まれる作業員番号の作業員に対する労働時間の計測を終了する。
【0038】
続いて、監視部150aが端末情報テーブル140cを生成する処理について説明する。たとえば、端末装置10は、定期的に、端末作業情報を、監視部150aに通知する。端末作業情報には、端末識別情報と、アクティブウィンドウ名と、キーボード操作フラグと、マウス操作フラグが含まれる。監視部150aは、端末作業情報を受け付けた場合に、端末作業情報を、端末情報テーブル140cに登録、更新する。
【0039】
ここで、端末装置10は、端末作業情報を生成する場合に、作成時における自装置のアクティブウィンドウのタイトルバーの文字列を取得して、端末作業情報のアクティブウィンドウ名として設定する。
【0040】
端末装置10は、端末作業情報を生成する時点から所定時間前までの期間において、キーボードの操作を受け付けたか否かを判定する。端末装置10は、所定時間前までの期間において、キーボードの操作を受け付けた場合には、端末作業情報のキーボード操作フラグを「オン」に設定する。端末装置10は、所定時間前までの期間において、キーボードの操作を受け付けていない場合には、端末作業情報のキーボード操作フラグを「オフ」に設定する。
【0041】
端末装置10は、端末作業情報を生成する時点から所定時間前までの期間において、マウスの操作を受け付けたか否かを判定する。端末装置10は、所定時間前までの期間において、マウスの操作を受け付けた場合には、端末作業情報のマウス操作フラグを「オン」に設定する。端末装置10は、所定時間前までの期間において、マウスの操作を受け付けていない場合には、端末作業情報のマウス操作フラグを「オフ」に設定する。
【0042】
判定部150bは、作業員管理テーブル140aを基にして、残業申請を行っていない作業員のうち、労働時間が所定の労働時間(たとえば、8時間)以上となる作業員の作業員番号と、かかる作業員が使用する端末装置10の端末識別情報を判定する。
【0043】
たとえば、判定部150bは、作業員管理テーブル140aの残業申請フラグが「オフ」となっているレコードを走査し、労働時間が所定の労働時間以上となる作業員の作業員番号を判定する。
【0044】
以下の説明では、適宜、残業申請を行っていない作業員のうち、労働時間が所定の労働時間以上となる作業員の作業員番号を「ターゲット番号」と表記する。ターゲット番号に対応する作業員を「ターゲット作業員」と表記する。ターゲット作業員が使用する端末装置の端末識別情報を「ターゲット識別情報」と表記する。ターゲット識別情報に対応する端末装置10を「ターゲット端末」と表記する。
【0045】
判定部150bは、ターゲット番号を判定すると、ターゲット番号と、スケジュール管理テーブル140bとを比較して、ターゲット番号に対応するスケジュール情報を取得する。判定部150bは、ターゲット作業員の現在時刻の作業内容が、所定の作業内容であるか否かを判定する。本実施例では一例として、所定の作業内容を「会議」とする。判定部150bは、現在時刻をタイマ135から取得する。
【0046】
判定部150bは、判定結果を表示制御部150cに出力する。判定結果には、ターゲット識別情報、ターゲット作業員の現在時刻の作業内容が、所定の作業内容であるか否かの情報を含む。
【0047】
表示制御部150cは、判定部150bの判定結果および端末情報テーブル140cを基にして、ターゲット端末に対して、残業申請を促すメッセージを表示するか否かを判定し、判定結果に応じてメッセージを表示させる処理部である。
【0048】
表示制御部150cは、下記の条件1~3のいずれにも該当しない場合には、ターゲット端末に、残業申請を促すメッセージを表示させる。一方、表示制御部150cは、下記の条件1~3のいずれか一つに該当する場合には、ターゲット端末に、残業申請を促すメッセージを表示させる処理を抑止する。
【0049】
「条件1」は、ターゲット作業員の現在時刻の作業内容が、所定の作業内容であるという条件である。表示制御部150cは、条件1に該当するか否かを、判定部150bの判定結果を基に、特定する。所定の作業内容は、たとえば、会議である。
【0050】
「条件2」は、ターゲット端末のアクティブウィンドウ名に、予め定められた文章入力ソフトの名称が含まれ、かつ、キーボード操作フラグが「オン」であるという条件である。表示制御部150cは、ターゲット識別情報と、端末情報テーブル140cとを比較して、ターゲット端末のアクティブウィンドウ名と、キーボード操作フラグの情報を取得し、条件2に該当するか否かを判定する。ターゲット端末の作業員が、文字入力ソフトを起動して、文字入力を行っている場合には、条件2に該当する。
【0051】
「条件3」は、ターゲット端末のアクティブウィンドウ名に、予め設定された図形作成ソフトの名称が含まれ、かつ、キーボード操作フラグまたはマウス操作フラグが「オン」であるという条件である。表示制御部150cは、ターゲット識別情報と、端末情報テーブル140cとを比較して、ターゲット端末のアクティブウィンドウ名と、キーボード操作フラグ、マウス操作フラグの情報を取得し、条件3に該当するか否かを判定する。ターゲット端末の作業員が、図形作成ソフトを起動して、文字操作またはマウス操作を行っている場合には、条件3に該当する。
【0052】
残業申請処理部150dは、端末装置10から、残業申請を受け付ける処理部である。たとえば、作業員は、端末装置10に、残業申請を促すメッセージの表示を参照した場合には、端末装置10を操作して、残業申請情報を入力し、表示制御装置100に送信する。残業申請情報には、作業員番号と、残業申請を行う旨の情報が含まれる。残業申請処理部150dは、残業申請情報を受信した場合に、作業員管理テーブル140aを参照し、残業申請情報に含まれる作業員番号に対応する残業申請フラグを「オン」に設定する。なお、残業申請処理部150dは、作業員から残業申請を受け付ける場合に、作業員の責任者に残業を許容するか否かの確認などを行ってもよい。
【0053】
次に、本実施例に係る表示制御装置100の処理手順の一例について説明する。
図7は、本実施例に係る表示制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
図7に示すように、表示制御装置100は起動し、作業員管理テーブル140a、スケジュール管理テーブル140b、端末情報テーブル140cを更新する(ステップS101)。
【0054】
表示制御装置100の判定部150bは、残業申請フラグが「オフ」となる作業員番号のうち、労働時間が所定時間以上となる作業員番号を特定する(ステップS102)。判定部150bは、判定した作業員番号のスケジュール情報をスケジュール管理テーブル140bから取得する(ステップS103)。
【0055】
判定部150bは、現在時刻の作業員の作業内容が会議であるか否かを判定する(ステップS104)。判定部150bは、現在時刻の作業員の作業内容が会議である場合には(ステップS104,Yes)、ステップS111に移行する。一方、判定部150bは、現在時刻の作業員の作業内容が会議でない場合には(ステップS104,No)、ステップS105に移行する。
【0056】
表示制御装置100の表示制御部150cは、ターゲット識別情報に対応するアクティブウィンドウ名、キーボード操作フラグ、マウス操作フラグの情報を端末情報テーブル140cから取得する(ステップS105)。表示制御部150cは、アクティブウィンドウ名に文章入力ソフトの名称が含まれるか否かを判定する(ステップS106)。
【0057】
表示制御部150cは、アクティブウィンドウ名に文章入力ソフトの名称が含まれる場合には(ステップS106,Yes)、ステップS109に移行する。一方、表示制御部150cは、アクティブウィンドウ名に文章入力ソフトの名称が含まれない場合には(ステップS106,No)、ステップS107に移行する。
【0058】
ステップS107について説明する。表示制御部150cは、アクティブウィンドウ名に図形作成ソフトの名称が含まれるか否かを判定する(ステップS107)。表示制御部150cは、アクティブウィンドウ名に図形作成ソフトの名称が含まれる場合には(ステップS107,Yes)、ステップS110に移行する。一方、表示制御部150cは、アクティブウィンドウ名に図形作成ソフトの名称が含まれない場合には(ステップS107,No)、ステップS108に移行する。
【0059】
ステップS108について説明する。表示制御装置100の表示制御部150cは、ターゲット端末の表示画面に残業申請を促すポップアップを表示する(ステップS108)。
【0060】
ステップS109の処理について説明する。表示制御部150cは、キーボード操作フラグが「オン」であるか否かを判定する(ステップS109)。表示制御部150cは、キーボード操作フラグが「オン」である場合には(ステップS109,Yes)、ステップS111に移行する。表示制御部150cは、キーボード操作フラグが「オフ」である場合には(ステップS109,No)、ステップS108に移行する。
【0061】
ステップS110の処理について説明する。表示制御部150cは、キーボード操作フラグまたはマウス操作フラグが「オン」であるか否かを判定する(ステップS110)。表示制御部150cは、キーボード操作フラグまたはマウス操作フラグが「オン」である場合には(ステップS110,Yes)、ステップS111に移行する。表示制御部150cは、キーボード操作フラグまたはマウス操作フラグが「オン」でない場合には(ステップS110,No)、ステップS108に移行する。
【0062】
ステップS111について説明する。表示制御装置100の表示制御部150cは、ターゲット端末の表示画面に残業申請を促すポップアップを表示することを抑止する(ステップS111)。
【0063】
次に、本実施例に係る表示制御装置100の効果について説明する。表示制御装置100は、作業員の労働時間が所定時間以上となり、かつ、作業員の行っている作業が所定の作業内容である場合には、残業申請を促すメッセージを、端末装置10に表示する処理を抑止する。これによって、利用者の端末装置にメッセージを適切に通知することができる。たとえば、作業員が所定の作業内容の作業を行っており、メッセージを通知することが好ましくない状況では、メッセージが表示されないので、作業員の作業を中断させることがない。これに対して、作業員が所定の作業内容の作業を行っていない場合には、メッセージを通知して、残業申請の手続を行わせることができる。
【0064】
たとえば、表示制御装置100は、作業員の労働時間が所定時間以上となった場合でも、作業員が会議を行っている場合には、残業申請を促すメッセージを、端末装置10に表示する処理を抑止する。これによって、会議中の作業員にメッセージを送信して、会議の進行に影響を与えることを防止することができる。
【0065】
表示制御装置100は、作業員が文章入力ソフトを起動して文章入力を行っている場合、作業員が図形作成ソフトを起動して図形を描画している場合には、残業申請を促すメッセージを、端末装置10に表示する処理を抑止する。これにより、作業員の文章入力や図名描画を行っている最中に、メッセージが表示され、作業を妨げてしまうことを防止することができる。
【0066】
ところで、上述した表示制御装置100の処理は一例であり、表示制御装置100はその他の処理を実行してもよい。たとえば、表示制御装置100の表示制御部150cは、定期的に、残業申請を促すメッセージを表示するか否かを判定し、メッセージの表示を連続して抑止した回数を計数し、ターゲット作業員と対応付けて記憶部140に登録してもよい。表示制御部150cは、連続して抑止した回数が所定回数以上となった場合に、ターゲット作業員と所定の関係となる他の作業員の端末装置に、ターゲット作業員が残業を行っている旨のメッセージを送信してもよい。ターゲット作業員と所定の関係となる他の作業員は、たとえば、ターゲット作業員の上司とする。このように、連続して抑止した回数が所定回数以上となった場合に、ターゲット作業員と所定の関係となる他の作業員の端末装置に、ターゲット作業員が残業を行っている旨のメッセージを送信することで、ターゲット作業員が残業申請を行っていない状況において、継続して残業を行っている旨を他の作業員に通知することができる。
【0067】
次に、上記実施例に示した表示制御装置100と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例について説明する。
図8は、表示制御装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0068】
図8に示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU201と、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置202と、ディスプレイ203とを有する。また、コンピュータ200は、記憶媒体からプログラム等を読み取る読み取り装置204と、有線または無線ネットワークを介して他装置との間でデータの授受を行うインターフェース装置205とを有する。また、コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するRAM206と、ハードディスク装置207とを有する。そして、各装置201~207は、バス208に接続される。
【0069】
ハードディスク装置207は、監視プログラム207a、判定プログラム207b、表示制御プログラム207c、残業申請処理プログラム207dを有する。CPU201は、各プログラム207a~207dを読み出してRAM206に展開する。
【0070】
監視プログラム207aは、監視プロセス206aとして機能する。判定プログラム207bは、判定プロセス206bとして機能する。表示制御プログラム207cは、表示制御プロセス206cとして機能する。残業申請処理プログラム207dは、残業申請処理プロセス206dとして機能する。
【0071】
監視プロセス206aの処理は、監視部150aの処理に対応する。判定プロセス206bの処理は、判定部150bの処理に対応する。表示制御プロセス206cの処理は、表示制御部150cの処理に対応する。残業申請処理プロセス206dの処理は、残業申請処理部150dの処理に対応する。
【0072】
なお、各プログラム207a~207dについては、必ずしも最初からハードディスク装置207に記憶させておかなくても良い。例えば、コンピュータ200に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ200が各プログラム207a~207dを読み出して実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0073】
100 表示制御装置
110 通信部
120 入力部
130 表示部
135 タイマ
140 記憶部
140a 作業員管理テーブル
140b スケジュール管理テーブル
140c 端末情報テーブル
150 制御部
150a 監視部
150b 判定部
150c 表示制御部
150d 残業申請処理部