(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】塗布容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/42 20060101AFI20220527BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20220527BHJP
B65D 47/20 20060101ALI20220527BHJP
B65D 47/24 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
B65D47/42
B65D83/00 J
B65D47/20 210
B65D47/24 100
(21)【出願番号】P 2018205249
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】P 2017211366
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】古原 裕嗣
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-154773(JP,A)
【文献】特開2017-88195(JP,A)
【文献】特開2017-154769(JP,A)
【文献】特開2016-141433(JP,A)
【文献】特開2015-196519(JP,A)
【文献】特開2017-81638(JP,A)
【文献】特開平04-279459(JP,A)
【文献】特開2005-132455(JP,A)
【文献】特開2014-46961(JP,A)
【文献】特開2010-260581(JP,A)
【文献】米国特許第2939615(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44 - 35/54
B65D 39/00 - 55/16
B65D 83/00
A45D 34/04
A61M 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗布部に塗布する内容物が収容される有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の口部に装着され、前記容器本体内に連通する連通孔が形成された中栓部材と、
前記中栓部材との間に、前記連通孔を通じて前記容器本体内に連通する計量室を形成すると共に、前記計量室内に連通する吐出筒部を有する計量筒部材と、
前記吐出筒部内及び前記計量室内に容器軸方向に移動可能に配設された塗布栓と、
前記容器本体の口部に離脱可能に装着されたオーバーキャップと、を備え、
前記吐出筒部の内側又は前記塗布栓の内側が、前記計量室内と外部とを連通する吐出孔とされ、
前記塗布栓は、前記吐出孔と前記計量室内との連通を遮断し、且つ前記連通孔を通じた前記計量室内と前記容器本体内との連通を許容する計量位置と、前記計量位置よりも前記連通孔側に位置すると共に、前記吐出孔と前記計量室内との連通を許容し、且つ前記連通孔を通じた前記計量室内と前記容器本体内との連通を遮断する塗布位置と、の間を移動可能とされ、
前記吐出孔を前記容器本体の径方向の外側から囲む位置には、前記容器軸回りに沿って延びるように形成された弾性体が設けられ、
前記塗布栓は、前記吐出筒部の内側に配置された塗布筒部を備え、
前記オーバーキャップは、前記塗布栓及び前記弾性体を覆う有頂筒状に形成されていると共に、前記塗布筒部に形成された第1係合突起に離脱可能に係合する第2係合突起を有する引上げ筒部を有し、
前記第2係合突起は、前記オーバーキャップの離脱時に、前記第1係合突起に対して係合することで、前記塗布栓を前記塗布位置から前記計量位置に移動させ、
前記弾性体は、
前記吐出筒部に装着される装着筒部と、
前記装着筒部から前記容器軸方向に沿う外部側に向けて延びると共に、前記容器軸方向に弾性変形可能とされた連結筒部と、
前記連結筒部の先端部から径方向の内側に向けて突出した環状の頂壁部と、を備え、
前記頂壁部には、前記オーバーキャップの装着時に、前記引上げ筒部を挿通させる貫通孔が形成され、
前記頂壁部は、前記オーバーキャップの装着時に、前記連結筒部が前記オーバーキャップによって押し潰されるように弾性変形することで前記吐出筒部側に接近すると共に、その先端面が前記吐出筒部よりも前記容器軸方向に沿う外部側に位置し、
さらに前記頂壁部は、前記オーバーキャップの離脱時に、前記連結筒部が弾性復元変形することで、前記塗布位置において前記塗布栓の先端面よりも前記容器軸方向に沿う外部側に離れて配置される、塗布容器。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布容器において、
前記弾性体は、環状に形成されている、塗布容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の塗布容器において、
前記弾性体の先端面には、前記容器軸方向に沿う外部側に向けて突出した突起部が形成されている、塗布容器。
【請求項4】
請求項
1に記載の塗布容器において、
前記吐出筒部の内側が前記吐出孔とされ、
前記弾性体には、前記連結筒部の弾性変形に伴って開口し、前記吐出孔と外部とを連通させるスリット孔が形成されている、塗布容器。
【請求項5】
請求項
1又は4に記載の塗布容器において、
前記塗布栓が前記計量位置に位置したときに、前記頂壁部と前記塗布栓とは互いに接触する、塗布容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物を計量して塗布する塗布容器として、例えば下記特許文献1に示されるように、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、容器本体の口部に装着され、容器本体内に連通する連通孔が形成された中栓部材と、中栓部材との間に、連通孔を通じて容器本体内に連通する計量室を形成すると共に、計量室に連通する吐出孔が形成された計量筒部材と、計量室内に設けられ、その先端部が吐出孔から計量室の外部に突出した塗布栓と、を備えた塗布容器が知られている。
塗布栓は、吐出孔と計量室内との連通を遮断し、且つ計量室内と連通孔との連通を許容する計量位置と、計量位置よりも容器本体の底部側に位置すると共に、計量室内と連通孔との連通を遮断し、且つ吐出孔と計量室内との連通を許容する塗布位置と、の間を容器軸方向に移動可能に配設されている。塗布栓の先端部には、軟材質で形成された軟質部が設けられている。
【0003】
上記塗布容器において内容物を被塗布部に塗布する場合には、塗布栓が計量位置に位置した状態で塗布容器の姿勢を変化させて計量室内に内容物を流入させる。続いて、塗布栓の先端部を被塗布部に対して押付け、塗布栓を塗布位置に移動させる。これにより、塗布栓の先端部を被塗布部に対して押付けながら、計量した内容物を被塗布部に対して塗布することが可能となる。また、塗布栓の先端部に軟質部が設けられているので、例えば快適で心地よい塗布が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の塗布容器では、塗布栓の先端部に軟質部が軸状に形成されているので、頭皮や皮膚等の被塗布部に対して塗布栓を押付けたときに、被塗布部に対して軟質部が点接触した状態になり易い。そのため、軟質部から被塗布部の一部に対して応力が集中的に作用し易く、例えば柔らかな塗布感触が得られない等、軟質の特性を十分に発揮することができずに不快感をもたらす場合がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、被塗布部に対するソフトな接触を行うことができ、快適で心地よい塗布を行うことができる塗布容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る塗布容器は、被塗布部に塗布する内容物が収容される有底筒状の容器本体と、前記容器本体の口部に装着され、前記容器本体内に連通する連通孔が形成された中栓部材と、前記中栓部材との間に、前記連通孔を通じて前記容器本体内に連通する計量室を形成すると共に、前記計量室内に連通する吐出筒部を有する計量筒部材と、前記吐出筒部内及び前記計量室内に容器軸方向に移動可能に配設された塗布栓と、前記容器本体の口部に離脱可能に装着されたオーバーキャップと、を備え、前記吐出筒部の内側又は前記塗布栓の内側が、前記計量室内と外部とを連通する吐出孔とされ、前記塗布栓は、前記吐出孔と前記計量室内との連通を遮断し、且つ前記連通孔を通じた前記計量室内と前記容器本体内との連通を許容する計量位置と、前記計量位置よりも前記連通孔側に位置すると共に、前記吐出孔と前記計量室内との連通を許容し、且つ前記連通孔を通じた前記計量室内と前記容器本体内との連通を遮断する塗布位置と、の間を移動可能とされ、前記吐出孔を前記容器本体の径方向の外側から囲む位置には、前記容器軸回りに沿って延びるように形成された弾性体が設けられ、前記塗布栓は、前記吐出筒部の内側に配置された塗布筒部を備え、前記オーバーキャップは、前記塗布栓及び前記弾性体を覆う有頂筒状に形成されていると共に、前記塗布筒部に形成された第1係合突起に離脱可能に係合する第2係合突起を有する引上げ筒部を有し、前記第2係合突起は、前記オーバーキャップの離脱時に、前記第1係合突起に対して係合することで、前記塗布栓を前記塗布位置から前記計量位置に移動させ、前記弾性体は、前記吐出筒部に装着される装着筒部と、前記装着筒部から前記容器軸方向に沿う外部側に向けて延びると共に、前記容器軸方向に弾性変形可能とされた連結筒部と、前記連結筒部の先端部から径方向の内側に向けて突出した環状の頂壁部と、を備え、前記頂壁部には、前記オーバーキャップの装着時に、前記引上げ筒部を挿通させる貫通孔が形成され、前記頂壁部は、前記オーバーキャップの装着時に、前記連結筒部が前記オーバーキャップによって押し潰されるように弾性変形することで前記吐出筒部側に接近すると共に、その先端面が前記吐出筒部よりも前記容器軸方向に沿う外部側に位置し、さらに前記頂壁部は、前記オーバーキャップの離脱時に、前記連結筒部が弾性復元変形することで、前記塗布位置において前記塗布栓の先端面よりも前記容器軸方向に沿う外部側に離れて配置される。
【0008】
本発明に係る塗布容器によれば、内容物を塗布するにあたって、塗布栓が計量位置に位置している状態で塗布栓の先端面が下向きとなるように容器本体の姿勢を変化させることで、容器本体内の内容物を、連通孔を通じて計量室内に流入させることができ、計量室内で内容物を計量することができる。従って、塗布栓の先端面を被塗布部に押付けて、塗布栓を計量筒部材に対して連通孔側に向けて移動させることで、計量位置から塗布位置に移動させることができる。塗布栓を塗布位置に移動させることで、連通孔を通じた容器本体内と計量室内との連通を遮断することができると共に、吐出孔と計量室内との連通を許容することができる。そのため、連通孔を通じた容器本体内から計量室内への内容物の流入を規制しながら、計量室内で計量された内容物を吐出孔側に供給することができる。従って、吐出孔から吐出した内容物を、例えば、塗布栓の先端面を利用して被塗布部に塗布することができる。
【0009】
特に、弾性体を具備しているので、塗布栓を被塗布部に対して押付けて塗布位置に移動させたときに、或いは塗布位置に達する前に、弾性体の先端面を被塗布部に対して接触させることができる。そのため、内容物の塗布時に、弾性体を弾性変形させることができ、被塗布部に対する押付け力や衝撃等を弾性体の弾性変形を利用して緩和或いは吸収することができる。従って、被塗布部に対してやわらかな塗布感触を付与することができ、快適で心地よい塗布を行うことができる。しかも、弾性体は吐出孔を径方向の外側から囲むように配置されると共に、容器軸回りに沿って延びるように形成されているので、被塗布部に対する接触面積を確保することができる。従って、従来のような点接触ではなく、例えば線接触や面接触のように、従来よりも接触面積を大きく確保した状態で弾性体を被塗布部に接触させることができる。そのため、弾性体を利用して被塗布部に対する押付け力や衝撃等を分散し易く、被塗布部に対するソフトな接触を行うことができる。
また、吐出孔を径方向の外側から囲むように弾性体が配置されているので、内容物の塗布時に、塗布した内容物が塗布位置から周囲に移動することを弾性体で防ぐことができ、内容物を拡散し難くすることができる。そのため、被塗布部の狙った位置に内容物を塗布し易い。
さらに、塗布栓が塗布位置に位置したときに、弾性体の頂壁部と塗布栓の先端面とが容器軸方向に離れて配置されるので、離間したストローク分(距離分)だけ連結筒部を容器軸方向に弾性変形させることが可能である。従って、塗布栓を計量位置から塗布位置に移動させて内容物を塗布する最中に、連結筒部を上記ストローク分、弾性変形させることができる。従って、弾性体をより大きく弾性変形させることができ、高いクッション性を発揮させることができる。その結果、被塗布部に対してさらにソフトな接触を行うことができ、さらに快適で心地よい塗布を行える。
【0010】
(2)前記弾性体は、環状に形成されても良い。
【0011】
この場合には、被塗布部に対する弾性体の接触面積をさらに確保することができ、被塗布部に対してより効果的にソフトに接触させることができる。また、弾性体を利用して吐出孔の周囲を全周に亘って囲むことができるので、塗布した内容物が塗布位置から周囲に移動することを防止でき、被塗布部の狙った位置に内容物をピンポイントで塗布することができる。
【0012】
(3)前記弾性体の先端面には、前記容器軸方向に沿う外部側に向けて突出した突起部が形成されても良い。
【0013】
この場合には、内容物の塗布時に、突起部を被塗布部に対して押し付けることができるので、被塗布部に対するソフトな接触を行いながら、突起部を利用して被塗布部に局所的な刺激を与えることが可能となり、さらに心地よい塗布を行える。
【0020】
(4)前記吐出筒部の内側が前記吐出孔とされ、前記弾性体には、前記連結筒部の弾性変形に伴って開口し、前記吐出孔と外部とを連通させるスリット孔が形成されても良い。
【0021】
この場合には、内容物の塗布時に、弾性変形した弾性体によって吐出孔が仮に閉塞されたとしても、スリット孔を通じて内容物を被塗布部側に供給することができる。従って、内容物の塗布を安定して行うことができる。
【0022】
(5)前記塗布栓が前記計量位置に位置したときに、前記頂壁部と前記塗布栓とは互いに接触しても良い。
【0023】
この場合には、塗布栓が計量位置に位置したときに頂壁部と塗布栓とが互いに接触するので、例えば塗布栓の先端面が下向きとなる姿勢で内容物の計量を行うときに、内容物が塗布栓に付着していたとしても、内容物が塗布栓を伝わって下方に垂れてしまうことを、頂壁部を利用して防止することができる。従って、例えば液垂れ等を防止しながら計量を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る塗布容器によれば、被塗布部に対するソフトな接触を行うことができ、快適で心地よい塗布を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係る塗布容器の第1実施形態を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示す塗布容器の塗布栓周辺を拡大した半縦断面図である。
【
図3】
図1に示す状態からオーバーキャップを取り外し、塗布栓を計量位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【
図4】
図3に示す状態から吐出孔が下向きとなるように塗布容器の姿勢を変化させた状態を示す縦断面図である。
【
図5】
図4に示す状態から、塗布栓を被塗布部に対して押し付けて、塗布栓を計量位置から塗布位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【
図6】本発明に係る塗布容器の第2実施形態を示す縦断面図である。
【
図7】
図6に示す状態からオーバーキャップを取り外した後、塗布栓を被塗布部に対して押し付けて、塗布栓を塗布位置に位置させた状態を示す縦断面図である。
【
図8】本発明に係る塗布容器の第3実施形態を示す縦断面図である。
【
図9】
図8に示す状態からオーバーキャップを取り外し、塗布栓を計量位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【
図10】
図9に示す状態から吐出孔が下向きとなるように塗布容器の姿勢を変化させた状態を示す縦断面図である。
【
図11】
図10に示す状態から、塗布栓を被塗布部に対して押し付けて、塗布栓を計量位置から塗布位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【
図12】本発明に係る塗布容器の第4実施形態を示す縦断面図である。
【
図13】
図12に示す状態からオーバーキャップを取り外し、塗布栓を計量位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【
図14】
図13に示す状態から塗布栓を被塗布部に対して押し付けて、塗布栓を塗布位置に位置させた状態を示す縦断面図である。
【
図15】本発明に係る塗布容器の第5実施形態を示す縦断面図である。
【
図16】
図15に示す状態からオーバーキャップを取り外し、塗布栓を計量位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【
図17】
図16に示す状態から塗布栓を塗布位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【
図19】
図16に示す状態から吐出孔が下向きとなるように塗布容器の姿勢を変化させた後、塗布栓を被塗布部に対して押し付けて、塗布栓を計量位置から塗布位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【
図20】本発明に係る塗布容器の第6実施形態を示す縦断面図である。
【
図21】
図20に示す状態からオーバーキャップを取り外し、塗布栓を計量位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【
図22】
図21に示す状態から塗布栓を塗布位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【
図23】
図21に示す状態から吐出孔が下向きとなるように塗布容器の姿勢を変化させた後、塗布栓を被塗布部に対して押し付けて、塗布栓を計量位置から塗布位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【
図24】本発明に係る塗布容器の第7実施形態を示す縦断面図である。
【
図25】
図24に示す状態からオーバーキャップを取り外し、塗布栓を計量位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【
図26】
図25に示す状態から塗布栓を塗布位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【
図27】
図25に示す状態から吐出孔が下向きとなるように塗布容器の姿勢を変化させた後、塗布栓を被塗布部に対して押し付けて、塗布栓を計量位置から塗布位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る塗布容器の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の塗布容器1は、被塗布部S(
図4及び
図5参照)に塗布する内容物が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部3に装着され、容器本体2内に連通する連通孔4が形成された中栓部材5と、中栓部材5との間に連通孔4を通じて容器本体2内に連通する計量室6を形成すると共に、計量室6内に連通する吐出筒部7を有する計量筒部材8と、吐出筒部7内及び計量室6内に配設された筒状の塗布栓9と、吐出筒部7に一体に組み合わされた筒状の弾性体10と、容器本体2の口部3に離脱可能に装着され、塗布栓9及び弾性体10を覆う有頂筒状のオーバーキャップ11と、を備えている。
【0027】
図1において、容器本体2、計量筒部材8、塗布栓9、弾性体10及びオーバーキャップ11は、それぞれの中心軸線が共通軸上に配置されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿うオーバーキャップ11側を上方、その反対側(容器本体2側)を下方という。また、容器軸Oから見た平面視で容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0028】
なお、内容物としては特に限定されるものではないが、例えば人体の頭皮、皮膚等に塗布する育毛剤、薬剤、化粧料等の液体が挙げられる。また、内容物は、人体用に限定されるものではなく、人体以外に塗布する液体でも構わない。さらに、内容物としては、液体に限定されるものではなく、例えば粒状、パウダー等の粉状の内容物でも構わない。
【0029】
図1に示すように、容器本体2の口部3は下方から上方に向かって外径が段階的に縮径した二段筒状に形成されている。
具体的には、容器本体2の口部3は、容器本体2のうち口部3以外の部位(肩部20、胴部21及び図示しない底部)よりも外径が小さく形成された第1口部22と、第1口部22よりも上方に配置され、第1口部22よりも外径がさらに小さく形成された第2口部23と、を備えている。なお、第1口部22の内径と第2口部23の内径とは、略同径とされている。
【0030】
第1口部22の外周面には第1ねじ部24(例えば雄ねじ部)が形成され、第2口部23の外周面には径方向外側に向けて突出すると共に周方向に沿って延びる第1係止突起25が形成されている。なお第1ねじ部24は、例えば二条ねじとしても構わない。第1係止突起25は、第2口部23の全周に亘って環状に形成されていても構わないし、周方向に間隔をあけて複数形成されていても構わない。
第1口部22の下端部側には、径方向外側へ向けて突出すると共に上下方向に沿って延びる第1回り止めリブ26が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0031】
図1及び
図2に示すように、中栓部材5は、容器本体2の口部3内に配設された有底筒状の受け筒部30と、受け筒部30の底壁部30aから上方に向かって突設された案内軸部31と、受け筒部30よりも上方に配置されると共に容器本体2の第2口部23の内側に密に嵌合する第1シール筒部32と、受け筒部30の周壁部30bの上端部と第1シール筒部32の下端部とを連結する環状のフランジ部33と、第1シール筒部32の上端部から上方に向けて延びた内側筒部34と、第1シール筒部32の上端部から径方向外側へ向けて突出すると共に周方向に沿って延びる環状の鍔部35と、鍔部35の外周縁部から上方に向けて延びた外側筒部36と、を備えている。
なお、中栓部材5は、例えば受け筒部30、案内軸部31、第1シール筒部32、フランジ部33、内側筒部34、鍔部35及び外側筒部36が一体成形された合成樹脂製とされ、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0032】
案内軸部31は、受け筒部30における底壁部30aの中央部から上方に向けて突設され、容器軸Oと同軸に配置されている。案内軸部31は、例えば中実の円柱状に形成され、その上端部は受け筒部30及び内側筒部34よりも上方に突出するように延びている。
案内軸部31の下端部には、径方向外側へ向けて突出する支持部37が形成されている。図示の例では、支持部37は、上下方向に沿って延びる縦長のリブ状に形成され、受け筒部30の底壁部30a及び案内軸部31の外周面に亘って一体に形成されていると共に、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
ただし、支持部37の形状は、この場合に限定されるものではなく、例えば円筒状に形成しても構わない。この場合には、円柱状の案内軸部31の下端部側に円筒状の支持部37を一体に形成するので、下端部側が上端部側よりも拡径した2段軸状に案内軸部31を形成したかのように構成することができる。なお、支持部37の上端縁は、フランジ部33よりも下方に位置している。
【0033】
受け筒部30には、連通孔4が形成されている。連通孔4は、底壁部30a及び周壁部30bに亘って形成されていると共に、周方向に間隔をあけて複数形成されている。これにより、受け筒部30の内側は、連通孔4を通じて容器本体2内に連通している。
ただし、連通孔4の形成箇所は、上述した場合に限定されるものではなく、例えば底壁部30aに該底壁部30aを上下方向に貫通するように形成されていても構わないし、周壁部30bに該周壁部30bを径方向に貫通するように形成されていても構わない。
【0034】
鍔部35は、容器本体2における第2口部23の上端開口縁に上方から接触している。外側筒部36は、内側筒部34との間に隙間をあけた状態で内側筒部34を径方向外側から囲んでいる。なお、外側筒部36の上端部は、内側筒部34の上端部よりも下方に配置されている。
【0035】
計量筒部材8は、容器本体2の第2口部23に装着された装着筒部40と、装着筒部40の上方に配設されると共に装着筒部40よりも径が小さく形成された中間筒部41と、中間筒部41の上方に配設されると共に中間筒部41よりも径が小さく形成された吐出筒部7と、装着筒部40の上端部と中間筒部41の下端部とを連結する環状の第1連結壁部42と、中間筒部41の上端部と吐出筒部7の下端部とを連結する環状の第2連結壁部43と、を備え、下方から上方に向かって段階的に縮径した多段筒状に形成されている。
なお、計量筒部材8は、例えば装着筒部40、中間筒部41、吐出筒部7、第1連結壁部42及び第2連結壁部43が一体成形された合成樹脂製とされ、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0036】
装着筒部40は、容器本体2の第2口部23を径方向外側から囲むように形成されていると共に、第2口部23よりも上方に延びるように形成されている。なお、装着筒部40の上端部は、中栓部材5における外側筒部36の上端部よりも上方に配置されている。第1連結壁部42は、装着筒部40の上端部から径方向内側に向けて突出しており、外側筒部36の上端開口端に上方から接触した状態で中間筒部41の下端部に接続されている。
【0037】
装着筒部40の下端部には、径方向内側に向けて突出すると共に、周方向に沿って延び、且つ第2口部23に形成された第1係止突起25に対して下方から係止された第2係止突起45が形成されている。第2係止突起45は、装着筒部40の全周に亘って環状に形成されていても構わないし、周方向に間隔をあけて複数形成されていても構わない。
【0038】
第2係止突起45が第1係止突起25に対して下方から係止されていることで、計量筒部材8は第2口部23に対して上方への抜け止めがされた状態で装着されている。
ただし、第2口部23に対する計量筒部材8の装着方法は、上述した場合に限定されるものではなく、例えば第2口部23に対して装着筒部40を螺着させても構わない。
【0039】
中間筒部41は、中栓部材5よりも上方に配置され、その下端部には上述のように第1連結壁部42が接続されている。なお、中間筒部41の内径は中栓部材5における内側筒部34の外径と略同径とされている。中間筒部41の上端部は、案内軸部31よりも上方に位置している。第2連結壁部43は、中間筒部41の上端部から径方向内側に向けて突出しており、吐出筒部7の下端部に接続されている。
【0040】
第1連結壁部42の内周縁部には、下方に向けて延びると共に中栓部材5の内側筒部34に密に外嵌(径方向外側から密に嵌合)された第2シール筒部46が形成されている。図示の例では、第2シール筒部46と外側筒部36との間に若干の隙間があいているが、この場合に限定されるものではなく、第2シール筒部46を外側筒部36の内側に嵌合させても構わない。
第2シール筒部46が内側筒部34に外嵌されていることで、計量筒部材8は中栓部材5に対して組み合わされた状態で容器本体2の第2口部23に装着されている。なお、第2シール筒部46の内周面と内側筒部34の外周面との間には高いシール性が確保されている。
【0041】
吐出筒部7は、その全長に亘って内径が変化しないストレート状に形成されている。そして吐出筒部7の内側が、計量室6と外部とを連通すると共に内容物を外部に吐出する吐出孔12とされている。
【0042】
吐出筒部7の外周面には、径方向内側に向けて凹むと共に周方向に沿って延びる抜け止め凹部47が形成されている。抜け止め凹部47は、吐出筒部7の全周に亘って環状に形成されていても構わないし、周方向に間隔をあけて複数形成されていても構わない。
【0043】
上述のように構成された計量筒部材8の内部空間のうち、中栓部材5、中間筒部41、第2連結壁部43及び塗布栓9によって画成される空間が計量室6とされている。
【0044】
塗布栓9は、吐出筒部7内及び計量室6内に上下方向に沿って移動可能に配設されている。具体的には、塗布栓9は、吐出孔12と計量室6内との連通を遮断し、且つ連通孔4を通じた容器本体2内と計量室6内との連通を許容する
図3に示す計量位置P1と、計量位置P1よりも連通孔4側に位置すると共に、吐出孔12と計量室6内との連通を許容し、且つ連通孔4を通じた容器本体2内と計量室6内との連通を遮断する
図1に示す塗布位置P2と、の間を上下方向に移動可能とされている。
【0045】
なお、本実施形態では、オーバーキャップ11が容器本体2の口部3に装着されているときに、塗布栓9は塗布位置P2に位置している。ただし、オーバーキャップ11の装着時、塗布栓9は塗布位置P2に位置している必要はない。
塗布栓9の上端部(先端部)50aは、
図1及び
図3に示すように、塗布栓9が計量位置P1及び塗布位置P2のいずれに位置している場合であっても、吐出筒部7よりも上方(容器軸O方向に沿う外部側)に配置されている。
【0046】
以下、塗布栓9の構成について詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように、塗布栓9は、吐出筒部7の内側に配設された塗布筒部50と、塗布筒部50の下端部から下方に向けて延びると共にその外径が塗布筒部50よりも大きく形成された摺動筒部51と、摺動筒部51の下端部から下方に向けて延びると共にその外径が摺動筒部51よりも大きく形成された垂下筒部52と、垂下筒部52の下端部から下方に向けて突出すると共に、受け筒部30の周壁部30bの内周面に対して離脱可能に密に嵌合する環状のリップ部53と、を備え、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0047】
塗布筒部50は、その外径が吐出筒部7の内径よりも小さく形成されている。そのため、塗布筒部50と吐出筒部7との間には、内容物が流通可能な環状の隙間が形成されている。これにより、塗布栓9が塗布位置P2に位置しているときに、吐出孔12と計量室6内との連通を許容することができ、吐出孔12及び上記隙間を通じて計量室6内から外部に向けて内容物を吐出することが可能となる。
【0048】
なお、塗布筒部50の外周面には、上方に向けて開口した縦長の溝部54が周方向に間隔をあけて複数形成されている。そのため、これら複数の溝部54内を通じて内容物を流通させることができ、内容物を外部に向けてスムーズに吐出させることが可能とされている。ただし、溝部54は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【0049】
塗布筒部50の上端部50aは、先に述べたように吐出筒部7よりも上方に位置している。従って、塗布筒部50の上端面50b、すなわち塗布栓9の上端面(先端面)50bは、塗布栓9が計量位置P1及び塗布位置P2のいずれに位置している場合であっても、吐出筒部7よりも上方に配置されている。なお、図示の例では塗布筒部50の上端面50bは平坦に形成されているが、例えば上方に向けて膨らんだ凸曲面状や半球状に形成しても構わない。
【0050】
塗布筒部50の上端部50aには、径方向内側に向けて突出すると共に、周方向に沿って延びる第1係合突起55が形成されている。第1係合突起55は、塗布筒部50の全周に亘って環状に形成されていても構わないし、周方向に間隔をあけて複数形成されていても構わない。
【0051】
摺動筒部51は、その外径が吐出筒部7の内径と略同径とされ、塗布栓9の移動に伴って吐出筒部7の内周面に対して密に接触しながら上下方向に相対移動可能とされている。従って、摺動筒部51は、塗布栓9が
図3に示す計量位置P1に位置したときに、吐出筒部7の内周面に密に接触して吐出孔12をシールする。これにより、塗布栓9が計量位置P1に位置したときに、吐出孔12と計量室6内との連通を遮断することが可能とされている。
【0052】
なお、塗布筒部50の下端部は、
図1及び
図2に示すように、計量筒部材8の第2連結壁部43よりも若干上方に位置している。そのため本実施形態では、摺動筒部51の上端部側の外周面は下方から上方に向かうにしたがって漸次縮径する傾斜面とされ、計量筒部材8に対して非接触とされている。従って、塗布栓9が塗布位置P2に位置しているときに、吐出孔12と計量室6内とが適切に連通している。
なお、塗布栓9が計量位置P1に位置したときに、吐出孔12と計量室6内との連通を遮断することが可能であれば、例えば計量筒部材8の第2連結壁部43よりも下方に延びるように塗布筒部50を形成しても構わない。
【0053】
塗布筒部50の下端部には、塗布栓9の内部空間を上下に仕切る隔壁部56が形成されている。これにより、塗布筒部50の内側は上方に向けて開放され、摺動筒部51及び垂下筒部52の内側は下方に向けて開放されている。
【0054】
摺動筒部51の下端部は、中栓部材5における内側筒部34の上端部よりも若干上方に位置している。摺動筒部51の下端部と垂下筒部52の上端部との接続部分には、上方を向いた環状のストッパ壁57が形成されている。ストッパ壁57は、塗布栓9が
図3に示す計量位置P1に位置したときに計量筒部材8における第2連結壁部43に対して下方から接触する。なお、ストッパ壁57を第2連結壁部43に対して下方から密に接触させることで、計量室6内と吐出孔12との間をシールしても良い。
塗布栓9は、ストッパ壁57が第2連結壁部43に対して下方から接触することで、計量筒部材8に対してそれ以上、上方移動することが規制され、計量位置P1に位置決めされる。従って、計量位置P1は塗布栓9の最上昇位置に相当する。
【0055】
リップ部53は、
図1に示すように塗布栓9が塗布位置P2に位置したときに、受け筒部30における周壁部30bの内周面に対して上下方向に移動可能に密に嵌合し、
図3に示すように塗布栓9が計量位置P1に位置したときに、受け筒部30における周壁部30bから上方に離脱する。そして、
図1に示すように、リップ部53が受け筒部30における周壁部30bの内周面に対して密に嵌合することで、連通孔4を通じた容器本体2内と計量室6内との連通が遮断される。
【0056】
これにより、
図3に示すように塗布栓9が計量位置P1に位置したときに、連通孔4を通じた容器本体2内と計量室6内との連通を許容することができると共に、
図1に示すように塗布栓9が塗布位置P2に位置したときに、連通孔4を通じた容器本体2内と計量室6内との連通を遮断することが可能となる。
【0057】
図1及び
図2に示すように、隔壁部56には、下方に向けて延びると共に案内軸部31を径方向外側から囲むガイド筒部58が形成されている。ガイド筒部58は、容器軸Oと同軸に配置されると共に、摺動筒部51及び垂下筒部52との間に隙間をあけた状態で、摺動筒部51及び垂下筒部52の内側に配置されている。ガイド筒部58の内径は、案内軸部31の外径よりも僅かに大きく形成されている。これにより、塗布栓9は案内軸部31によってガイドされながら、上下方向にがたつき少なく移動可能とされている。
【0058】
ガイド筒部58は、リップ部53よりも下方に突出しており、その下端部は中栓部材5における支持部37に対して上方から接触している。これにより、塗布栓9は塗布位置P2において支持部37によって下方から支持されている。そのため、塗布栓9は計量筒部材8に対してそれ以上、下方移動することが規制され、塗布位置P2で位置決めされる。従って、塗布位置P2は塗布栓9の最下降位置に相当する。
【0059】
また、隔壁部56には、その中央部分から上方に向けて軸体59が突設されている。軸体59は、外径が塗布筒部50の内径よりも小さい中実の円柱状に形成され、容器軸Oと同軸に配設されている。軸体59の上端部は、塗布筒部50の上端部50aよりも下方に位置している。なお、軸体59は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【0060】
弾性体10は、吐出孔12を径方向外側から囲むように容器軸O回りに延びるように形成され、計量筒部材8における吐出筒部7の外周面側に一体に組み合わされている。
具体的には、弾性体10は、吐出筒部7を径方向外側から囲む環状(円筒状)に形成され、容器軸Oと同軸に配置された状態で吐出筒部7に対して強固に固定されている。弾性体10の上端部10aは、吐出筒部7よりも上方に突出していると共に、径方向内側に向かって突出して吐出筒部7の上端開口端上に接触している。
【0061】
従って、弾性体10の上端面(先端面)10bは、吐出孔12の周囲を全周に亘って囲むように環状に形成されている。また、弾性体10の上端面10bは、塗布栓9の先端面50b(すなわち塗布筒部50の上端面50b)と同等の高さ位置に配置されている。これにより、弾性体10の上端面10bは、吐出筒部7よりも上方に位置し、且つ塗布栓9が塗布位置P2に位置したときに、塗布栓9の上端面50bと上下方向の位置が同等とされている。
【0062】
弾性体10の内周面には、径方向内側に向かって突出すると共に、吐出筒部7に形成された抜け止め凹部47内に入り込む抜け止め突起60が、抜け止め凹部47に対応して形成されている。これにより、弾性体10は上方への抜け止めがされた状態で、吐出筒部7に固定されている。
【0063】
上述のように構成された弾性体10としては、例えば塗布栓9を形成する材質よりも軟らかい軟材質で形成することが好ましい。この種の軟材質としては、例えばニトリルゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、エラストマー等が挙げられるが、これらのゴムに限定されるものではない。
また、弾性体10は、例えば計量筒部材8をインサート部品として軟材質を射出成形する、いわゆるインサート成形により形成することができる。また、インサート成形に代わる方法としては、例えば計量筒部材8及び弾性体10を各別に形成した後、計量筒部材8の吐出筒部7に塗布栓9を強固に嵌合或いは固着等によって一体に組み合わせても良い。
【0064】
オーバーキャップ11は、容器本体2の口部3を径方向外側から囲むキャップ筒70と、キャップ筒70の上端開口部を塞ぐキャップ天壁71と、を備えた有頂筒状に形成されている。
【0065】
キャップ筒70の内周面には、容器本体2の第1口部22に形成された第1ねじ部24に螺合する第2ねじ部72(例えば雌ねじ部)が形成されている。オーバーキャップ11は、第1口部22に対するキャップ筒70の螺着によって、容器本体2の口部3に離脱可能に装着されている。
ただし、オーバーキャップ11の装着方法は、螺着に限定されるものではなく、例えば第1口部22に対してキャップ筒70をアンダーカット嵌合させることによって装着しても構わない。
【0066】
図1に示すように、キャップ筒70の下端部には、径方向内側に向けて突出すると共に、オーバーキャップ11が容器本体2の口部3に装着されるときに、容器本体2の第1回り止めリブ26に対して周方向の一方側(オーバーキャップ11の締め付け方向側)から接触可能とされた第2回り止めリブ73が形成されている。オーバーキャップ11は、第2回り止めリブ73が第1回り止めリブ26に対して周方向の一方側から接触することで、口部3に対する過度の締め込みが抑制される。
【0067】
なお、キャップ筒70の下端部には、第1回り止めリブ26よりも周方向の一方側に位置する部分に、容器本体2の口部3に対してオーバーキャップ11を周方向の他方側(緩み方向側)に向けて回転させたとき、第1回り止めリブ26に対して周方向に乗り越え可能に接触する突起部77が径方向内側に向けて突出するように形成されている。これにより、突起部77によって、オーバーキャップ11が周方向の他方側に移動することを抑制できるので、口部3に装着されたオーバーキャップ11の緩み止めを行うことができる。
なお、キャップ筒70側に突起部77を形成する場合に限定されるものではなく、例えば容器本体2側に突起部を形成しても構わない。例えば、第1口部22において、第2回り止めリブ73よりも周方向の他方側に位置する部分に、第2回り止めリブ73が周方向に乗り越え可能に接触する突起部を径方向外側に向けて突設させても構わない。この場合であっても、口部3に装着されたオーバーキャップ11の緩み止めを行うことができる。
【0068】
図1及び
図2に示すように、キャップ天壁71における中央部分には、下方に向けて延びると共に、塗布筒部50の内側に配置される引上げ筒部74が形成されている。
引上げ筒部74は、容器軸Oと同軸に配設され、その下端部は塗布筒部50に形成された第1係合突起55よりも下方に位置し、且つ隔壁部56よりも上方に位置している。なお、引上げ筒部74の内側に、軸体59が下方から挿入されている。
【0069】
引上げ筒部74の外周面には、径方向外側に向けて突出すると共に周方向に延び、且つ塗布筒部50の上端部50aに形成された第1係合突起55に対して下方から離脱可能に係合可能とされた第2係合突起75が形成されている。
なお、第2係合突起75は、引上げ筒部74の全周に亘って環状に形成されていても構わないし、周方向に間隔をあけて複数形成されても構わない。
【0070】
第2係合突起75は、容器本体2の口部3に対してオーバーキャップ11を離脱させることに伴って、第1係合突起55に対して下方から係合して塗布栓9を上方に引き上げ、該塗布栓9を塗布位置P2から計量位置P1に移動させる。なお、塗布栓9は、
図3に示すように計量位置P1に位置したときにストッパ壁57が第2連結壁部43に下方から接触することで、それ以上の上方移動が規制される。そのため、第2係合突起75は、塗布栓9が計量位置P1に移動した後、第1係合突起55を乗り越えながら該第1係合突起55から離脱する。
従って、容器本体2の口部3からのオーバーキャップ11の離脱に伴って、
図3に示すように、引上げ筒部74を利用して塗布栓9を計量位置P1にセットすることが可能とされている。
【0071】
キャップ天壁71には、
図1及び
図2に示すように、下方に向けて延びると共に弾性体10に密に外嵌(径方向外側から密に嵌合)された第3シール筒部76が形成されている。なお、第3シール筒部76の内周面と弾性体10の外周面との間には高いシール性が確保されている。
【0072】
(塗布容器の使用)
次に、上述のように構成した塗布容器1を利用して、被塗布部Sに内容物を塗布する場合について説明する。
【0073】
使用前の状態では、
図1及び
図2に示すように、塗布栓9が塗布位置P2に位置した状態で容器本体2の口部3にオーバーキャップ11が装着されている。塗布栓9が塗布位置P2に位置しているので、リップ部53が受け筒部30の周壁部30bの内周面に密に嵌合している。そのため、連通孔4を通じた容器本体2内と計量室6内との連通が遮断されている。
【0074】
この状態において、オーバーキャップ11を容器軸O回りに回転させて容器本体2の口部3から取り外すと、オーバーキャップ11の取外し操作に伴って引上げ筒部74が上方移動するので、第2係合突起75が第1係合突起55に対して下方から係合して塗布栓9を上方に引き上げることができる。従って、容器本体2の口部3からオーバーキャップ11を取り外すことで、
図3に示すように、塗布栓9を塗布位置P2から計量位置P1に移動させることができる。このとき、塗布栓9のストッパ壁57が第2連結壁部43に下方から接触する。これにより、塗布栓9の上方移動を規制することができ、計量位置P1に位置決めすることができる。
【0075】
塗布栓9を計量位置P1に位置させることで、摺動筒部51を吐出筒部7の内周面に密に嵌合させることができると共に、リップ部53を受け筒部30の周壁部30bから上方に離脱させることができる。これにより、吐出孔12と計量室6内との連通を遮断することができると共に、連通孔4を通じた容器本体2内と計量室6内との連通を許容することができる。
なお、塗布栓9は、例えば摺動筒部51と吐出筒部7との間の摺動抵抗によって計量位置P1に保持される。
【0076】
続いて、
図4に示すように、塗布栓9の上端面50bが下向きとなるように塗布容器1の姿勢を変化させる。図示の例では、塗布栓9の上端面50bが真上を向いた正立姿勢から、塗布栓9の上端面50bが真下を向いた倒立姿勢になるように、容器本体2の姿勢を変化させている。これにより、容器本体2内の内容物を、連通孔4を通じて計量室6内に流入させることができ、計量室6内で内容物の計量を行うことができる。
【0077】
続いて、塗布栓9の上端面50bを被塗布部Sに対して接触させた状態で、容器本体2を被塗布部S側に押付ける。これにより、塗布栓9を計量筒部材8に対して連通孔4側、すなわち容器本体2の内側に向けて移動させることができる。
塗布栓9が連通孔4側に向けて移動すると、
図5に示すようにリップ部53が受け筒部30の周壁部30b内に進入し、周壁部30bの内周面に対して密に嵌合すると共に、塗布栓9のガイド筒部58が支持部37に対して吐出孔12側から接触する。また、リップ部53の嵌合と同時、或いはその後に、塗布栓9の摺動筒部51が吐出筒部7の内側から離脱して連通孔4側に移動する。
【0078】
これにより、塗布栓9を計量位置P1から塗布位置P2に移動させることができ、連通孔4を通じた容器本体2内と計量室6内との連通を遮断した状態で、吐出孔12と計量室6内との連通を許容することができる。従って、計量室6内で計量された内容物を、吐出孔12を通じて外部に吐出することができ、塗布栓9の上端面50bを利用して内容物を被塗布部Sに塗布することができる。
【0079】
特に、弾性体10を具備しているので、塗布栓9を被塗布部Sに対して押付けて塗布位置P2に移動させたときに、
図5に示すように弾性体10の上端面10bを被塗布部Sに対して接触させることができる。そのため、内容物の塗布時に、弾性体10を弾性変形させることができ、被塗布部Sに対する押付け力や衝撃等を弾性体10の弾性変形を利用して緩和或いは吸収することができる。従って、被塗布部Sに対してやわらかな塗布感触を付与することができ、快適で心地よい塗布を行うことができる。
【0080】
しかも、弾性体10は吐出孔12を径方向外側から囲むように配置されると共に、容器軸O回りに沿って延びるように形成されているので、被塗布部Sに対する接触面積を確保することができる。従って、従来のような点接触ではなく、例えば線接触や面接触のように、従来よりも接触面積を大きく確保した状態で弾性体10を被塗布部Sに接触させることができる。そのため、弾性体10を利用して被塗布部Sに対する押付け力や衝撃等を分散させ易く、被塗布部Sに対するソフトな接触を行うことができる。しかも本実施形態では、弾性体10を環状に形成しているので、被塗布部Sに対する弾性体10の接触面積を大きく確保することができ、被塗布部Sに対してより効果的にソフトに接触させることができる。
【0081】
また、吐出孔12を径方向の外側から囲むように弾性体10が配置されているので、内容物の塗布時に、塗布した内容物が塗布位置P2から周囲に移動することを弾性体10で防ぐことができ、内容物を拡散し難くすることができる。そのため、被塗布部Sの狙った位置に内容物を塗布し易い。しかも本実施形態では、弾性体10が環状に形成されていることで吐出孔12の周囲を全周に亘って囲むことができ、被塗布部Sの狙った位置に内容物をピンポイントで塗布することができる。
【0082】
上述したように、本実施形態の塗布容器1によれば、被塗布部Sに対するソフトな接触を行うことができ、快適で心地よい塗布を行うことができる。従って、使い易い塗布容器1とすることができる。
【0083】
また、弾性体10は計量筒部材8における吐出筒部7に組み合わされているので、例えば可動部材である塗布栓9に弾性体10を設ける場合とは異なり、制約少なく弾性体10を設計し易い。そのため、弾性体10を設計するにあたり、例えば弾性体10の直径を大きくする等、被塗布部Sに対する接触面積をできるだけ大きく確保するための工夫(設計)を容易に行い易く、ソフトな接触を実現し易い。
【0084】
また、引上げ筒部74を有するオーバーキャップ11を具備しているので、容器本体2の口部3からオーバーキャップ11を取り外した段階で、塗布栓9を計量位置P1に移動させることができ。従って、内容物の塗布を行うための前準備を速やかに行うことができ、使い易さを向上することができる。
【0085】
なお、本実施形態では、
図1に示すように、弾性体10の上端部10aを径方向内側に向かって突出させて、吐出筒部7の上端開口端上に接触するように構成したが、この場合に限定されるものではなく、例えば吐出筒部7よりも上方に突出させるだけに留め、吐出筒部7の上端開口端側に向けて突出させなくても構わない。
ただし、被塗布部Sに対する弾性体10の上端面10bの接触面積を大きく確保できるので、本実施形態のように、弾性体10の上端部10aを吐出筒部7の上端開口端側に向けて突出させることが好ましい。
【0086】
また、本実施形態では、
図1に示すように、塗布栓9が塗布位置P2に位置したときに、塗布栓9の上端面50bに対して弾性体10の上端面10bが同等の高さ位置となるように弾性体10を形成したが、この場合に限定されるものではない。例えば、塗布栓9が塗布位置P2に位置したときに、弾性体10の上端面10bが塗布栓9の上端面50bよりも上方側に位置するように弾性体10を形成しても構わない。
この場合には、塗布栓9を被塗布部Sに対して押付けて、塗布栓9を計量位置P1から塗布位置P2に移動させたときに、例えば塗布栓9が塗布位置P2に達する前に、弾性体10の上端面10bを被塗布部Sに対して先に接触させることができる。従って、塗布栓9が塗布位置P2に達する前の段階から、弾性体10を弾性変形させることができるので、よりソフトな接触を行うこともできる。
さらに、弾性体10の上端面10bが塗布栓9の上端面50bよりも上方側に位置する場合、上端面10bと上端面50bとの差分(上端面50bに対する上端面10bの上方へ向けた突出量分)に基づいて、弾性体10の弾性変位の範囲を決定(調整)することができる。
【0087】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る塗布容器の第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、弾性体10の上端面10bを平坦に形成したが、第2実施形態では、弾性体10の上端面10bに突起部が形成されている。
【0088】
図6に示すように、本実施形態の塗布容器80は、上端面10bからさらに上方に向けて突出した突起部81が形成された弾性体10を具備している。突起部81は、弾性体10の全周に亘って環状に形成されると共に、上端面10bのうち弾性体10の外周面側に位置する部分から上方に向かうにしたがって径方向外側に延びるように形成されている。
【0089】
本実施形態のオーバーキャップ11は、第1実施形態における第3シール筒部76に代えて、吐出孔12をシールする環状のシール突起82を備えている。シール突起82は、キャップ天壁71から下方に向けて突出するように形成され、弾性体10の上端面10bのうち突起部81よりも径方向内側に位置する部分に対して上方から密に接触している。
【0090】
(塗布容器の使用)
このように構成された本実施形態の塗布容器80であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加え、
図7に示すように、内容物の塗布時に、突起部81を被塗布部Sに対して押付けることができる。従って、被塗布部Sに対するソフトな接触を行いながら、突起部81を利用して被塗布部Sに局所的な刺激を与えることが可能となり、さらに心地よい塗布を行える。
【0091】
なお、突起部81は、環状に形成される場合に限定されるものではなく、例えば上方に向けて半球状に膨らんだ凸状、或いは上方に向けて突出し、且つ周方向に延びる円弧状に形成したうえで、周方向に間隔をあけて複数形成しても構わない。
さらには、弾性体10の上端面10bを、周方向に凹凸を繰り返す非平坦面(例えば波形面等)に形成し、非平坦面のうち上方に向けて凸となる部分を突起部81としても構わない。
【0092】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る塗布容器の第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、計量筒部材8における吐出筒部7の内側を吐出孔12として機能させたが、本実施形態では塗布栓9の内側を吐出孔12として機能させている。
【0093】
図8に示すように、本実施形態の塗布容器90は、塗布栓9が第1実施形態における摺動筒部51を有しておらず、塗布筒部50の下端部に垂下筒部52の上端部が接続されている。塗布筒部50は、計量筒部材8における第2連結壁部43よりも下方に延びている。これに対応して、隔壁部56は第2連結壁部43よりも下方に配置されている。また、隔壁部56には、第1実施形態における軸体59が形成されていない。
【0094】
塗布筒部50は、その外径が吐出筒部7の内径と略同径或いは若干小さく形成されている。これにより、塗布筒部50と吐出筒部7との間の隙間を通じて、内容物が流通することを防止或いは抑制している。そして、先に述べたように塗布筒部50における内側が吐出孔12とされている。また本実施形態では、第1係合突起55は塗布筒部50における上端部50aの外周面から径方向外側に突出するように形成されている。
【0095】
塗布筒部50には、該塗布筒部50を径方向に貫通する貫通孔91が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
貫通孔91は、
図9に示すように塗布栓9が計量位置P1に位置したときに少なくとも一部が吐出筒部7よりも上方(又は、貫通孔91の全体が吐出筒部7の内側)に位置し、
図8に示すように塗布栓9が塗布位置P2に位置したときに少なくとも一部が吐出筒部7よりも下方に位置するように形成されている。
【0096】
これにより、
図9に示すように塗布栓9が計量位置P1に位置したときに、貫通孔91を通じた吐出孔12と計量室6内との連通を遮断することができると共に、
図8に示すように塗布栓9が塗布位置P2に位置したときに、貫通孔91を通じた吐出孔12と計量室6内との連通を許容することが可能とされている。
【0097】
計量筒部材8の吐出筒部7の下端部側の内周面には、下方に開口すると共に径方向内側に向かって凹む環状の凹部92が形成されている。凹部92を画成する内壁面の一部は、下方を向いた環状のシール壁93とされている。
そして、本実施形態のストッパ壁57は、塗布筒部50の下端部と垂下筒部52の上端部との接続部分に形成され、上記シール壁93に対して下方から対向するように配置されている。ストッパ壁57は、塗布栓9が
図9に示す計量位置P1に位置したときにシール壁93に対して下方から密に接触することで、計量室6内と吐出筒部7の内側との間をシールしている。また、ストッパ壁57がシール壁93に対して下方から接触することで、塗布栓9は計量位置P1に位置決めされる。
【0098】
図8に示すように、本実施形態の引上げ筒部74は、塗布筒部50を径方向外側から囲むように形成され、その内周面に径方向内側に向けて突出するように第2係合突起75が形成されている。
【0099】
(塗布容器の使用)
このように構成された本実施形態の塗布容器90であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
すなわち、
図8に示す状態からオーバーキャップ11を取り外すことで、
図9に示すように、引上げ筒部74を利用して塗布栓9を塗布位置P2から計量位置P1に移動させることができる。このとき、塗布栓9のストッパ壁57が計量筒部材8のシール壁93に下方から接触するので、塗布栓9を計量位置P1に位置決めすることができる。
【0100】
塗布栓9を計量位置P1に位置させることで、貫通孔91を通じた吐出孔12と計量室6内との連通を遮断することができると共に、連通孔4を通じた容器本体2内と計量室6内との連通を許容することができる。従って、
図10に示すように、塗布栓9の上端面50bが下向きとなるように塗布容器90の姿勢を変化させることで、容器本体2内の内容物を、連通孔4を通じて計量室6内に流入させることができ、計量室6内で内容物の計量を行うことができる。
【0101】
続いて、塗布栓9の上端面50bを被塗布部Sに対して接触させた状態で、容器本体2を被塗布部S側に押付けることで、
図11に示すように塗布栓9を塗布位置P2に移動させることができるので、連通孔4を通じた容器本体2内と計量室6内との連通を遮断した状態で、貫通孔91を通じた吐出孔12と計量室6内との連通を許容することができる。従って、計量室6内で計量された内容物を、吐出孔12を通じて外部に吐出することができ、塗布栓9の上端面50bを利用して内容物を被塗布部Sに塗布することができる。
【0102】
そして、内容物の塗布時、
図11に示すように弾性体10を弾性変形させることができるので、被塗布部Sに対する押付け力や衝撃等を弾性体10の弾性変形を利用して緩和或いは吸収することができ、被塗布部Sに対してやわらかな塗布感触を付与して、快適で心地よい塗布を行うことができる。
【0103】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る塗布容器の第4実施形態について図面を参照して説明する。なお、第4実施形態においては、第3実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第3実施形態では、弾性体10が計量筒部材8の吐出筒部7に一体に組み合わされていたが、本実施形態では、弾性体10が塗布栓9の上端部50aに設けられている。
【0104】
図12に示すように、本実施形態の塗布容器100は、塗布栓9における塗布筒部50の上端部50aに弾性体10が一体に組み合わされている。
なお、本実施形態の塗布筒部50は、塗布栓9が塗布位置P2に位置したときに、その上端部50aが吐出筒部7の内側に配置され、
図13に示すように塗布栓9が計量位置P1に位置したときに、その上端部50aが吐出筒部7よりも上方に配置されるように形成されている。従って、塗布筒部50の上端面50bは、塗布栓9が少なくとも計量位置P1に位置している場合には、吐出筒部7よりも上方に配置されている。
ただし、塗布栓9が計量位置P1及び塗布位置P2のいずれに位置している場合であっても、塗布筒部50の上端面50bが吐出筒部7よりも上方に位置するように構成しても構わない。さらに、弾性体10を介した押圧によって塗布栓9を塗布位置P2に移動することが可能であれば、塗布栓9が計量位置P1に位置している場合であっても、塗布筒部50の上端面50bが吐出筒部7の上端面と同等又は下方に位置するように構成しても良い。
【0105】
図12に示すように、弾性体10は、容器軸Oと同軸に配設された環状(円筒状)に形成され、塗布筒部50の上端部50aに上方から重なるように塗布筒部50に対して一体に組み合わされている。
図示の例では、弾性体10は塗布筒部50の上端部50aに対してアンダーカット嵌合した状態で組み合わされ、上方への抜け止めがされている。ただし、この場合に限定されるものではなく、その他の方法で上方への抜け止めを行っても良い。なお、弾性体10の外径は、塗布筒部50の外径以下の大きさとされている。これにより、弾性体10は、塗布栓9の移動に伴って吐出筒部7に対して上下方向に相対移動可能とされている。
【0106】
上述のように塗布筒部50の上端部50aに弾性体10が組み合わされているので、弾性体10の内側は吐出孔12に連通している。従って、弾性体10は第1実施形態と同様に吐出孔12の周囲を全周に亘って囲んでいる。
【0107】
また、本実施形態の場合には、第1係合突起55は弾性体10における上端部10aの外周面から径方向外側に突出するように形成されている。そして引上げ筒部74は、弾性体10を径方向外側から囲むように形成され、その内周面に径方向内側に向けて突出するように第2係合突起75が形成されている。
ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば弾性体10の高さを小さく(上下方向の長さを短く)形成し、且つ塗布筒部50を上方に向けてさらに長く形成したうえで、塗布筒部50の外周面に第1係合突起55を形成しても構わない。この場合には、例えば弾性体10を軟材質で形成したとしても、弾性体10に第1係合突起55を形成しなくて済むので、引き上げ筒部74を利用して塗布栓9の引き上げを確実に行い易い。
【0108】
なお、引上げ筒部74の下端部は、計量筒部材8における吐出筒部7の上端部の内側に密に離脱可能に嵌合している。これにより、引上げ筒部74の下端部の外周面と吐出筒部7の上端部の内周面との間には、高いシール性が確保されている。
【0109】
さらに引上げ筒部74における上端部側の内周面には、弾性体10の上端面10bに上方から接触する縦長の押さえリブ101が、径方向内側に向かって突出すると共に周方向に間隔をあけて複数形成されている。なお、押さえリブ101はキャップ天壁71に一体に接続されている。
【0110】
(塗布容器の使用)
このように構成された本実施形態の塗布容器100の場合には、第3実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加え、弾性体10が塗布筒部50の上端部50aに設けられているので、
図14に示すように、弾性体10を介して塗布栓9を被塗布部Sに押付けることができる。従って、計量位置P1に位置した塗布栓9を被塗布部Sに対して押付けた直後から、
図14に示すように塗布栓9が塗布位置P2に達するまでの間、弾性体10を弾性変形させることができ、被塗布部Sに対するソフトな接触を、塗布作業の全体に亘って維持することができる。
【0111】
(第5実施形態)
次に、本発明に係る塗布容器の第5実施形態について図面を参照して説明する。なお、第5実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。第1実施形態と第5実施形態とでは、弾性体及びオーバーキャップの構成が異なっている。
【0112】
図15に示すように、本実施形態の塗布容器110は、計量筒部材8の吐出筒部7に組み合わされた弾性体111と、有頂筒状のオーバーキャップ115と、を備えている。
なお、容器本体2の形状やサイズ等は、特に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0113】
弾性体111は、吐出孔12を径方向外側から囲むように容器軸O回りに延びるように形成されている。具体的には、弾性体111は、全体として吐出筒部7を径方向外側から囲む円筒状に形成され、容器軸Oと同軸に配置された状態で吐出筒部7に対して固定されている。
【0114】
詳細に説明する。
弾性体111は、
図16及び
図17に示すように、吐出筒部7を径方向外側から囲む円筒状に形成され、吐出筒部7に対して装着される装着筒部120と、装着筒部120から上方に向けて延びると共に、上下方向に弾性変形可能な円筒状の連結筒部121と、連結筒部121の上端部(先端部)から径方向内側に向けて突出するように形成された環状の頂壁部122と、を備えた有頂筒状に形成されている。
【0115】
なお、本実施形態の弾性体111であっても、第1実施形態と同様に、例えば塗布栓9を形成する材質よりも軟らかい軟材質で形成することが好ましい。そのため、弾性体111は全体として弾性変形可能とされている。そのうえで本実施形態の弾性体111は、連結筒部121が優先的に弾性変形可能とされている。
【0116】
装着筒部120は、吐出筒部7と同等の肉厚の円筒状に形成され、吐出筒部7の外側に外嵌固定されている。なお、装着筒部120は、吐出筒部7よりも上方に突出している。
連結筒部121は、例えば吐出筒部7よりも薄肉の円筒状に形成され、装着筒部120における上端部の内周縁部側から上方に向けて延びるように形成されている。連結筒部121における上端部側は、上方に向かうにしたがって径方向の内側に向かって延びるように湾曲している。
【0117】
頂壁部122は、連結筒部121の湾曲した上端部から径方向内側に向かって突出するように形成され、吐出筒部7よりも上方に離れて配置されている。なお、頂壁部122の中央部分には、吐出筒部7の内径よりも小さい内径の貫通孔123が形成されている。これにより、頂壁部122は、塗布筒部50の上方に位置するように配置されている。なお、図示の例では、貫通孔123の内径は塗布筒部50の内径よりも大きいが、この場合に限定されるものではなく、塗布筒部50の内径と同径或いは小さくても構わない。
なお、頂壁部122の上端面(先端面)122aが弾性体111全体の上端面として機能する。
【0118】
上述のように構成された弾性体111は、連結筒部121が上下方向に弾性変形することで、頂壁部122の位置が上下に大きく変位するように構成されている。従って、
図15に示すようにオーバーキャップ115の装着時、連結筒部121はオーバーキャップ115によって押し潰されるように弾性変形し、これによって頂壁部122は吐出筒部7側に接近した位置に配置される。これに対して、
図16及び
図17に示すようにオーバーキャップ115の取り外し時、連結筒部121は弾性復元変形し、これによって頂壁部122は吐出筒部7から上方に離間した位置に配置される。
なお、連結筒部121は、主に下端部側が上下に折り畳まれる(例えば、連結筒部121と装着筒部120との接続部を起点とする)ように弾性変形する。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば連結筒部121が全体に亘って複数個所で蛇腹状に上下に折り畳まれるように弾性変形しても構わない。
【0119】
オーバーキャップ115の取り外し時、頂壁部122が吐出筒部7から上方に離間した位置に配置されるので、
図17に示すように、塗布栓9が塗布位置P2に位置した場合には、頂壁部122は塗布栓9の上端面50bよりも上方に離間して配置される。従って、頂壁部122と塗布栓9の上端面50bとの間には、上下方向に一定の距離(ストローク)H1が確保される。
【0120】
なお、
図16に示すように、オーバーキャップ115の取り外し時、塗布栓9が計量位置P1に位置した場合には、頂壁部122と塗布栓9の上端面50bとは互いに接触する。具体的には、頂壁部122に対して塗布筒部50が下方から接触することで、頂壁部122の下面と塗布筒部50の上端面50bとが接触するように構成されている。
ただし、オーバーキャップ115の取り外し時、塗布栓9が計量位置P1に位置した場合において、頂壁部122と塗布栓9の上端面50bとが、必ずしも接触する必要はなく、接触しなくても構わない。
【0121】
また先に述べたように、
図15に示すオーバーキャップ115の装着時、連結筒部121が弾性変形することで、頂壁部122は吐出筒部7側に接近した位置に配置されるが、より詳細には頂壁部122は塗布位置P2に位置した塗布栓9の上端面50bに対して上方から接触する。これにより、オーバーキャップ115の装着時、弾性体111を利用して、吐出筒部7の内側に形成された吐出孔12を塞ぐことが可能とされている。
【0122】
さらに弾性体111には、
図16及び
図18に示すように、連結筒部121の弾性変形に伴って開口し、吐出孔12と外部とを連通させるスリット孔124が形成されている。
スリット孔124は、連結筒部121における湾曲した上端部側に形成されている。図示の例では、スリット孔124は、周方向に等間隔をあけて2つ形成され、上方から見た平面視で径方向に直線状に延びるように形成されている。
ただし、この場合に限定されるものではなく、スリット孔124の数、形成位置や形状等は適宜変更して構わない。なお、スリット孔124は、連結筒部121が弾性変形していない状態では閉塞している。
【0123】
図15に示すように、オーバーキャップ115は、キャップ筒70を径方向外側からさらに囲む外郭筒116をさらに備えている。外郭筒116は、容器本体21の胴部21と同径に形成され、キャップ筒70よりも下方に延びている。
本実施形態のキャップ天壁71は、容器本体21に対するオーバーキャップ115の装着時、弾性体111を上方から押圧して、連結筒部121を押潰すように弾性変形させる役割を担っている。
【0124】
(塗布容器の使用)
上述のように構成された本実施形態の塗布容器110であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。それに加え、以下の作用効果を奏功することができる。
【0125】
図15に示すように、容器本体21に対してオーバーキャップ115が装着されている場合、塗布栓9が塗布位置P2に位置して、連通孔4を通じた計量室6内と容器本体21内との連通が遮断されている。これに加え、オーバーキャップ115のキャップ天壁71によって弾性体111の連結筒部121が上下に潰れるように弾性変形して、頂壁部122が塗布栓9の上端面50bに対して上方から接触している。これにより、弾性体111を利用して吐出孔12を塞ぐことができる。
これらのことから、例えば保管時或いは商品流通時に、内容物が吐出孔12から漏れ難くすることができる。従って、漏出し難い塗布容器110とすることができる。
【0126】
また、
図15に示す状態からオーバーキャップ115を取り外すことで、
図16に示すように連結筒部121を弾性復元変形させることができ、頂壁部122を上方に移動させることができる。また、オーバーキャップ115の取り外しに伴って、塗布栓9を上方に引き上げて塗布位置P2から計量位置P1に移動させることができる。そして、塗布栓9の上端面50bを、弾性体111の頂壁部122に対して下方から接触させることができる。
【0127】
これにより、塗布栓9の上端面50bが下向きとなるように塗布容器110の姿勢を変化させて、内容物の計量を行うときに、内容物が塗布栓9に付着していたとしても、内容物が塗布栓9を伝わって下方に垂れてしまうことを、弾性体111を利用して防止することができる。従って、例えば液垂れ等を防止しながら内容物の計量を行うことができる。
【0128】
さらに、
図19に示すように、被塗布部Sに対して内容物を塗布する際に、塗布栓9の上端面50bと被塗布部Sとの間に弾性体111の頂壁部122を介在させることができる。そのため、頂壁部122を介して塗布栓9を被塗布部Sに対して押し付けるので、被塗布部Sに対するソフトな接触を、塗布作業の全体に亘って維持することが可能である。
【0129】
特に、頂壁部122を介して塗布栓9の上端面50bを被塗布部Sに押し付けながら、塗布栓9を計量位置P1から塗布位置P2に移動させた後、頂壁部122を繰り返し被塗布部Sに押し付けて内容物を塗布するときに、弾性体111の連結筒部121を
図17に示すストロークH1分、上下に潰すように弾性変形させることができる。
従って、弾性体111をより大きく弾性変形させることができ、高いクッション性を発揮させることができる。その結果、被塗布部Sに対してさらにソフトな接触を行うことができ、さらに快適で心地よい塗布を行える。
【0130】
なお、連結筒部121が弾性変形することでスリット孔124が開口するので、スリット孔124を通じて内容物を被塗布部S側に供給することができる。従って、頂壁部122が塗布栓9の上端面50bに接触したままであっても、被塗布部Sに対して内容物を安定に塗布することができる。なお、スリット孔124は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【0131】
(第6実施形態)
次に、本発明に係る塗布容器の第6実施形態について図面を参照して説明する。なお、第6実施形態においては、第5実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。第6実施形態では、弾性体111の連結筒部121に蛇腹状の屈曲部が形成されている。
【0132】
図20に示すように、本実施形態の塗布容器140は、連結筒部121に該連結筒部121を上下に積極的に弾性変形させる屈曲部141が一体に形成されている。
屈曲部141は、
図21及び
図22に示すようにオーバーキャップ115を取り外した状態で、連結筒部121の下端部側から上方に向かうにしたがって径方向外側に向けて延びた第1傾斜壁142と、第1傾斜壁142の上端部から上方に向かうにしたがって径方向内側に向けて延びた第2傾斜壁143と、を備えている。これにより、屈曲部141は、径方向外側に向けて縦断面視V状に膨らむように形成されている。
【0133】
屈曲部141は、第1傾斜壁142の下端部、第1傾斜壁142と第2傾斜壁143との接続部、及び第2傾斜壁143の上端部を主に基点として適宜折れ曲がりながら、上下方向に潰れるように弾性変形可能とされている。なお、屈曲部141の数は1つに限定されるものではなく、上下方向に連続して複数形成されていても構わない。
【0134】
本実施形態の弾性体111は、屈曲部141による変形によって連結筒部121の全体が上下方向に弾性変形することで、頂壁部122の位置が上下に大きく変位するように構成されている。ただし、
図20に示すようにオーバーキャップ115の装着時、連結筒部121は全体が上下方向に潰れるように弾性変形するのではなく、キャップ天壁71によって第2傾斜壁143が押圧されることで、第1傾斜壁142と第2傾斜壁143とが上下方向に重なるように屈曲部141のみが弾性変形する。
従って、本実施形態では、オーバーキャップ115の装着時、頂壁部122は塗布位置P2に位置している塗布栓9の上端面50bよりも上方に離間して配置される。
【0135】
オーバーキャップ115は、キャップ天壁71における中央部分に、さらに上方に向けて突出した有頂筒状の膨出筒部117が形成されている。膨出筒部117の内径は、頂壁部122の外径よりも大きく、且つ屈曲部141の外径よりも小さい。そして、膨出筒部117の内側に、弾性体111の頂壁部122を収容することが可能とされている。
これにより、オーバーキャップ115の装着時、先に述べたように、頂壁部122を塗布位置P2に位置している塗布栓9の上端面50bよりも上方に離間して配置させた状態で、第1傾斜壁142と第2傾斜壁143とが上下方向に重なるように屈曲部141のみを弾性変形させることが可能とされている。なお、膨出筒部117における天壁部に、引き上げ筒部74が形成されている。
【0136】
(塗布容器の使用)
上述のように構成された本実施形態の塗布容器140であっても、第5実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
【0137】
すなわち、
図20に示す状態からオーバーキャップ115を取り外すことで、
図21に示すように主に屈曲部141を弾性復元変形させながら、連結筒部121の全体を弾性復元変形させることができ、頂壁部122を上方に移動させることができる。また、オーバーキャップ115の取り外しに伴って、塗布栓9を上方に引き上げて塗布位置P2から計量位置P1に移動させることができるので、塗布栓9の上端面50bを、弾性体111の頂壁部122に対して下方から接触させることができる。
【0138】
これにより、塗布栓9の上端面50bが下向きとなるように塗布容器140の姿勢を変化させて、内容物の計量を行うときに、内容物が塗布栓9に付着していたとしても、内容物が塗布栓9を伝わって下方に垂れてしまうことを防止することができる。従って、例えば液垂れ等を防止しながら内容物の計量を行うことができる。
【0139】
さらに、
図23に示すように、被塗布部Sに対して内容物を塗布する際に、塗布栓9の上端面50bと被塗布部Sとの間に弾性体111の頂壁部122を介在させることができる。そのため、頂壁部122を介して塗布栓9を被塗布部Sに対して押し付けるので、被塗布部Sに対するソフトな接触を、塗布作業の全体に亘って維持することが可能である。
【0140】
さらに、頂壁部122を介して塗布栓9の上端面50bを被塗布部Sに押し付けながら、塗布栓9を計量位置P1から塗布位置P2に移動させた後、頂壁部122を繰り返し被塗布部Sに押し付けて内容物を塗布するときに、主に屈曲部141の変形を利用しながら、弾性体111の連結筒部121を
図22に示すストロークH1分、上下に潰すように弾性変形させることができる。
従って、弾性体111をより大きく弾性変形させることができ、高いクッション性を発揮させることができる。その結果、被塗布部Sに対してさらにソフトな接触を行うことができ、さらに快適で心地よい塗布を行える。
【0141】
(第7実施形態)
次に、本発明に係る塗布容器の第7実施形態について図面を参照して説明する。なお、第7実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第5実施形態では、オーバーキャップ115の取り外し時、塗布栓9が計量位置P1に位置したときに、頂壁部122の下面と塗布筒部50の上端面50bとが互いに接触したが、本実施形態では頂壁部122の内周縁部と塗布栓9における塗布筒部50の外周面とが互いに接触する。
【0142】
図24に示すように、本実施形態の塗布容器150は、オーバーキャップ115の装着時、頂壁部122は塗布位置P2に位置した塗布栓9の上端面50bに対して上方から接触する。これに対して、
図25に示すようにオーバーキャップ115の取り外し時、連結筒部121が弾性復元変形することで、頂壁部122は吐出筒部7から上方に離間した位置に配置される。
【0143】
これにより、本実施形態の場合であっても、
図26に示すようにオーバーキャップ115を取り外した後に塗布栓9が塗布位置P2に位置した場合には、頂壁部122と塗布栓9の上端面50bとの間に、上下方向に一定の距離(ストローク)H2が確保される。ただし、このストロークH2は、塗布栓9が塗布位置P2から計量位置P1まで移動する距離よりも小さい。
【0144】
そのため、
図25に示すように、オーバーキャップ115の取り外し時、塗布栓9が計量位置P1に位置した場合には、塗布筒部50は弾性体111の貫通孔123を通じて頂壁部122よりも上方に突出する。このとき塗布筒部50は、頂壁部122を径方向外側に押し広げながら、貫通孔123内を挿通する。そのため、頂壁部122の内周縁部は、塗布筒部50の外周面に対して押し当たるように接触する。これにより、塗布栓9が計量位置P1に位置したときに、頂壁部122と塗布栓9とが互いに接触する。
【0145】
なお、本実施形態の連結筒部121は、
図26に示すように装着筒部120における上端部の内周縁部側から上方に向かうにしたがって径方向の内側に向かって延びるように全体が湾曲するように形成されている。
【0146】
(塗布容器の使用)
上述のように構成された本実施形態の塗布容器150であっても、第5実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
【0147】
すなわち、
図24に示す状態からオーバーキャップ115を取り外すことで、
図25に示すように、連結筒部121を弾性復元変形させることができ、頂壁部122を上方に移動させることができる。また、オーバーキャップ115の取り外しに伴って、塗布栓9を上方に引き上げて塗布位置P2から計量位置P1に移動させることができる。そのため、塗布筒部50は、頂壁部122を径方向外側に押し広げながら貫通孔123内を挿通する。従って、頂壁部122の内周縁部は、塗布筒部50の外周面に対して押し当たるように接触し、塗布栓9が計量位置P1に位置したときに頂壁部122と塗布栓9とが互いに接触する。
【0148】
従って、塗布栓9の上端面50bが下向きとなるように塗布容器150の姿勢を変化させて、内容物の計量を行うときに、内容物が塗布栓9に付着していたとしても、内容物が塗布栓9を伝わって下方に垂れてしまうことを防止することができる。従って、例えば液垂れ等を防止しながら内容物の計量を行うことができる。
【0149】
さらに、
図27に示すように、塗布栓9の上端面50bを被塗布部Sに押し付けながら、塗布栓9を計量位置P1から塗布位置P2に移動させた後、頂壁部122を繰り返し被塗布部Sに押し付けて内容物を塗布するときに、弾性体111の連結筒部121を
図26に示すストロークH2分、上下に潰すように弾性変形させることができる。従って、弾性体111を大きく弾性変形させることができ、高いクッション性を発揮させることができる。その結果、被塗布部Sに対してさらにソフトな接触を行うことができ、さらに快適で心地よい塗布を行える。
【0150】
なお本実施形態の場合であっても、内容物の塗布の際、例えば塗布栓9が塗布位置P2に位置したとき、或いは塗布位置P2に位置する直前に、塗布栓9の上端面50bを被塗布部Sから瞬間的に離間させることで、頂壁部122を塗布栓9の上端面50bと被塗布部Sとの間に入り込ませることができる。これにより、
図27に示すように、頂壁部122を塗布栓9の上端面50bと被塗布部Sとの間に介在させることができる。そのため、少なくとも塗布位置P2においては、頂壁部122を介して塗布栓9を被塗布部Sに対して押し付けることができるので、被塗布部Sに対するソフトな接触を得ることができる。
【0151】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0152】
例えば、上記各実施形態において、塗布栓9を計量位置P1から塗布位置P2に移動させるときに、連通孔4を通じた容器本体2内と計量室6内との連通を遮断し、且つ吐出孔12と計量室6内との連通を遮断する遮断位置を経由にした後に、塗布位置P2に移動させても構わない。
このようにすることで、吐出孔12と計量室6内とを連通させる前に、計量室6内を密閉させることができるので、例えば瞬間的に計量室6内が吐出孔12及び容器本体2内の両方に連通してしまうといったことを確実に防止することができる。従って、計量位置P1において計量室6内に流入した内容物を、塗布栓9が遮断位置に位置することで計量室6内に一時的に確実にストックすることができ、その後に塗布栓9が塗布位置P2に位置することで、ストックした計量室6内の内容物を、吐出孔12を通じて外部に吐出することができる。その結果、被塗布部Sに対して計量室6内で計量した内容物を確実に塗布することができ、使用性(塗布性)の優れた塗布容器とすることができる。
【0153】
また、上記各実施形態において、容器本体2の口部3に対してオーバーキャップを離脱可能に装着したが、この場合に限定されるものではなく、例えば計量筒部材8に対してオーバーキャップを離脱可能に装着しても構わない。
【0154】
また、上記第1実施形態~第4実施形態では、弾性体10を環状に形成したが、この場合に限定されるものではなく、例えば周方向に沿って延びる円弧状に形成しても良い。いずれにしても、吐出孔12を径方向外側から囲む位置に、周方向に延びるように弾性体10を形成できれば良く、その形状は円弧状或いは環状でも構わない。なお、弾性体10を円弧状に形成する場合には、周方向に間隔をあけて複数形成することもできる。
【0155】
また、上記第1実施形態~第3実施形態及び第5実施形態~第7実施形態では、弾性体を計量筒部材8における吐出筒部7の外周面側に一体に組み合わせたが、この場合に限定されるものではなく、例えば吐出筒部7の内周面側に一体に組み合わせても構わない。この場合には、弾性体の内側を吐出孔12として機能させることができる。従って、この場合であっても、弾性体を利用して吐出孔12を径方向外側から囲むことができ、各実施形態と同様の作用効果を奏効することができる。
【符号の説明】
【0156】
O…容器軸
S…被塗布部
P1…計量位置
P2…塗布位置
1、80、90、100、110、140、150…塗布容器
2…容器本体
3…容器本体の口部
4…連通孔
5…中栓部材
6…計量室
7…吐出筒部
8…計量筒部材
9…塗布栓
10、111…弾性体
10b…弾性体の上端面(先端面)
12…吐出孔
50b…塗布栓の上端面(先端面)
81…突起部
120…装着筒部
121…連結筒部
122…頂壁部
122a…頂壁部の上端面(先端面)
124…スリット孔