(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】被覆用途のためのフルオロコポリマー
(51)【国際特許分類】
C08F 214/18 20060101AFI20220527BHJP
C08F 214/24 20060101ALI20220527BHJP
C08F 218/04 20060101ALI20220527BHJP
C08F 216/14 20060101ALI20220527BHJP
C08L 27/12 20060101ALI20220527BHJP
C09D 127/12 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
C08F214/18
C08F214/24
C08F218/04
C08F216/14
C08L27/12
C09D127/12
(21)【出願番号】P 2018526572
(86)(22)【出願日】2016-11-18
(86)【国際出願番号】 US2016062704
(87)【国際公開番号】W WO2017087764
(87)【国際公開日】2017-05-26
【審査請求日】2019-11-11
(32)【優先日】2015-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ガン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シユアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ワンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】デュアン,リンリン
(72)【発明者】
【氏名】ディン,ゼ
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-530495(JP,A)
【文献】特表2015-502411(JP,A)
【文献】特表2010-514856(JP,A)
【文献】国際公開第2015/060970(WO,A1)
【文献】特開昭61-275311(JP,A)
【文献】特開平04-018473(JP,A)
【文献】特開平03-146177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-246/00
C08L 1/00-101/14
C09D 127/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ヒドロフルオロエチレン、ヒドロフルオロプロペン、ヒドロフルオロブテン、ヒドロフルオロペンテン、及びこれらの組合せからなる群から選択される1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマー、ここで、モノマーの合計モル数に基づいて、ヒドロフルオロオレフィンがフルオロコポリマー中に40モル%~
55モル%の量で存在する;
(2)1種類以上のクロロフルオロエチレンモノマー、ここで、モノマーの合計モル数に基づいて、クロロフルオロエチレンモノマーがフルオロコポリマー中に40モル%~
55モル%の量で存在する;及び
(3)1種類以上のビニルエーテルモノマー(ビニルエーテルモノマーの少なくとも一部はヒドロキシル基含有ビニルエーテルモノマーである)
(ここで、モノマー(1)とモノマー(2)とのモル比は30:1~1:30である)
の共重合によって形成されるフルオロコポリマー。
【請求項2】
1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマーが、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、及びこれらの組合せから選択される、請求項1に記載のフルオロコポリマー。
【請求項3】
1,3,3,3-テトラフルオロプロペンがトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む、請求項2に記載のフルオロコポリマー。
【請求項4】
(1)ヒドロフルオロエチレン、ヒドロフルオロプロペン、ヒドロフルオロブテン、ヒドロフルオロペンテン、及びこれらの組合せからなる群から選択される1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマー、ここで、モノマーの合計モル数に基づいて、ヒドロフルオロオレフィンがフルオロコポリマー中に40モル%~
55モル%の量で存在する;
(2)1種類以上のクロロフルオロエチレンモノマー、ここで、モノマーの合計モル数に基づいて、クロロフルオロエチレンモノマーがフルオロコポリマー中に40モル%~
55モル%の量で存在する;
(3)1種類以上のビニルエステルモノマー;及び
(4)1種類以上のビニルエーテルモノマー(ビニルエーテルモノマーの少なくとも一部はヒドロキシル基含有ビニルエーテルモノマーである);
の共重合によって形成されるフルオロコポリマー。
【請求項5】
1種類以上のクロロフルオロエチレンモノマーがクロロトリフルオロエチレンモノマーを含む、請求項4に記載のフルオロコポリマー。
【請求項6】
1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマーが、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、及びこれらの組合せから選択される、請求項5に記載のフルオロコポリマー。
【請求項7】
1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマーが1,3,3,3-テトラフルオロプロペンから選択される、請求項5に記載のフルオロコポリマー。
【請求項8】
1,3,3,3-テトラフルオロプロペンがトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む、請求項7に記載のフルオロコポリマー。
【請求項9】
(i)(1)40モル%~
55モル%の量のトランス-HFO-1234zeから実質的に構成される1種類又は複数の第1のモノマー;
(2)20モル%~30モル%の量のCTFEから実質的に構成される1種類又は複数の第2のモノマー;
(3)(A)式:CH
2=CR
1-O(C=O)
xR
2(式中、xは1であり、R
1は水素又はメチル基のいずれかであり、R
2は、少なくとも1つの第3級又は少なくとも1つの第4級炭素原子を含めて6~8個の炭素原子を有する非置換の分岐鎖アルキル基である)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、5モル%~
30モル%の量で存在する);及び/又は
(B)式:CH
2=CR
3-O-R
4(式中、R
3は水素又はメチル基のいずれかであり、R
4は、1~3個の炭素原子を有する置換又は非置換の直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(ビニルエーテルモノマーは、好ましくは
5モル%~
30モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;及び
(4)式:CH
2=CR
3-O-R
5-OH(式中、R
3は水素又はメチル基のいずれかであり、R
5は、置換又は非置換の直鎖又は分岐鎖C
3~C
5アルキルからなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(ここで、第4のモノマーの量は、好ましくは3モル%~30モル%である);
の共重合によって形成される1種類以上のフルオロコポリマー:並びに
(ii)1種類以上のVOC化合物を含むキャリア;
を含み、
被覆組成物は30重量%以下のキャリアを含むフルオロコポリマー被覆組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2015年11月20日出願の米国仮出願62/257,812(その全部を参照として本明細書中に包含する)の利益を主張する。
[0002]本発明は、基材への優れた接着力、及び屋外暴露及び腐食に対する優れた抵抗性、並びに他の有利な特性を有する新規なフルオロコポリマー、及び高い固形分含量を有するかかるポリマーから形成される被覆組成物、並びに基材上に保護被覆を形成しながら揮発性有機化合物(VOC)への地球の大気の曝露を減少させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]揮発性有機化合物(VOC)は、種々の政府機関による規制にかけられている炭素の揮発性化合物であり、本発明の目的のためには、この用語は、米国環境保護庁(EPA)によって制定された規制案に合致して用いられる。より具体的には、これらの規制案は、炭素の化合物は、20℃において約0.1mm-Hg未満の蒸気圧を有する場合にはVOCであると定めている。
【0003】
[0004]種々の化学物質がVOCの定義に含まれ、これらの化学物質の幾つかは、大気中に放出されると短期及び長期の健康への悪影響を有する。したがって、多くの国は、かかる化合物の地球の大気中への放出を管理する規制を有している。かかる化合物の環境中への放出の1つの比較的大きな原因は、塗料、ワニス、ワックス、接着剤、インクなどのような被覆製品において用いられている溶媒からである。多くの洗浄、消毒、化粧、脱脂、及び趣味製品も、溶媒又はキャリアとしてVOCを含んでいる。かかる化合物の大気中への放出を減少又は排除する1つの方法は、溶媒が被覆組成物から蒸発する際に溶媒を捕捉してその放出を阻止することである。かかる方法には、例えば蒸気を捕捉して、かかる蒸気を焼却炉内で処理する装置を設置することを含めることができる。しかしながら、当業者に認められるように、かかる操作の結果として相当な資本コスト及び/又は処理コストがかかり、及びかかる操作は、時には被覆操作を完了するために必要な時間を不利益に増加させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0005]地球の大気中へのVOCの放出を減少及び制御するために、ますます多くの国がVOC放出を規制し始めている。かかる規制には、種々の国においてかかる化合物の放出に対してVOC税を課すことが含まれる。したがって、VOCの大気中への放出を減少させる多くの動機付けが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0006]本発明の一形態は、
(1)ヒドロフルオロエチレン、ヒドロフルオロプロペン、ヒドロフルオロブテン、ヒドロフルオロペンテン、及びこれらの組合せからなる群から選択され、好ましくは2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1,3,3,3-テトラフルオロプロペンは、好ましくはトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される)、及びこれらの組合せから選択される1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマー;及び
(2)1種類以上のクロロフルオロエチレンモノマー、好ましくはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)モノマー;
(ここで、モノマー(1)とモノマー(2)とのモル比は約30:1~約1:30である)
の共重合によって形成されるフルオロコポリマーを提供する。
【0006】
[0007]本明細書において用いる「コポリマー」という用語は、2以上の異なる繰り返し単位を有するポリマーを意味し、「フルオロコポリマー」という用語は、繰り返し単位の少なくとも1つがヒドロフルオロオレフィンであるモノマーをベースとするものであるコポリマーを意味する。「ターポリマー」という用語は、3つ以上の異なる繰り返し単位を有するポリマーを意味し、「ターフルオロコポリマー」という用語は、繰り返し単位の少なくとも1つがヒドロフルオロオレフィンであるモノマーをベースとするものであるターポリマーを意味する。「テトラポリマー」という用語は、4つ以上の異なる繰り返し単位を有するオリゴマー及びコポリマーを含むように意図され、「テトラフルオロコポリマー」という用語は、繰り返し単位の少なくとも1つがヒドロフルオロオレフィンであるモノマーをベースとするものであるテトラポリマーを意味する。而して、モノマーA、B、C、及びDから誘導されるテトラポリマーは、繰り返し単位:(-A-)、(-B-)、(-C-)、及び(-D-)を有し、モノマーA、B、C、及びDから誘導されるテトラフルオロコポリマーは、これらの少なくとも1つがヒドロフルオロオレフィンであるものである。
【0007】
[0008]本発明による繰り返し単位は、交互コポリマー、周期コポリマー、統計コポリマー、ブロックコポリマー、及びグラフトコポリマーなどの任意の形態で配列することができる。
【0008】
[0009]幾つかの好ましい態様によれば、本発明は、
(1)ヒドロフルオロエチレン、ヒドロフルオロプロペン、ヒドロフルオロブテン、ヒドロフルオロペンテン、及びこれらの組合せからなる群から選択され、好ましくは2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1,3,3,3-テトラフルオロプロペンは、好ましくはトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される)、及びこれらの組合せから選択される1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマー;
(2)1種類以上のクロロフルオロエチレンモノマー、好ましくはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)モノマー;
(3)場合によっては(しかしながら好ましくは)1種類以上のビニルエステルモノマー;及び
(4)1種類以上のビニルエーテルモノマー(ビニルエーテルモノマーの少なくとも一部はヒドロキシル基含有ビニルエーテルモノマーである);
の共重合によって形成されるターフルオロコポリマー、及び好ましくはテトラフルオロコポリマーを提供する。
【0009】
[0010]好ましい形態によれば、本発明は、ポリマーが約10,000より高く、好ましくは約12,000より高く、好ましくは他の態様においては約15,000より高い数平均分子量を有する、上述の段落において記載されるテトラフルオロコポリマーを提供する。
【0010】
[0011]本発明の他の形態は、地球の大気中へVOCを漏出させるタイプの被覆操作中に地球の大気中への揮発性有機化合物(VOC)の放出を減少させる方法を提供する。好ましい態様においては、この形態による方法は、
(a)被覆する基材を与え;
(b)(i)(1)ヒドロフルオロエチレン、ヒドロフルオロプロペン、ヒドロフルオロブテン、ヒドロフルオロペンテン、及びこれらの組合せからなる群から選択され、好ましくは2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1,3,3,3-テトラフルオロプロペンは、好ましくはトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される)、及びこれらの組合せから選択される1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマー;(2)1種類以上のクロロフルオロエチレンモノマー、好ましくはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)モノマー;(3)1種類以上のビニルエステルモノマー;及び(4)1種類以上のビニルエーテルモノマー(ビニルエーテルモノマーの少なくとも一部はヒドロキシル基含有ビニルエーテルモノマーである);の共重合によって1種類以上のフルオロコポリマーを与え(ここで、コポリマーは、好ましくは、本明細書に記載する手順にしたがって測定して約10,000より高く、好ましくは約12,000より高く、幾つかの他の態様においては約15,000より高い数平均分子量を有する);そして
(ii)1種類以上のフルオロコポリマーのためのキャリア(キャリアは1種類以上のVOC化合物を含む)を与え;そして
(iii)1種類以上のフルオロコポリマーをキャリアと混合して、約30重量%以下のキャリアを含み、好ましくは少なくとも約70重量%の固形分含量を有するポリマー組成物を生成させる;
ことを含む工程によって形成される被覆組成物を与え;
(c)かかる被覆組成物で基材を被覆し;そして
(d)キャリア中のVOCの少なくとも相当部分を地球の大気中に蒸発させて、それにより保護被覆を形成することによって基材上に保護ポリマー層を形成する;
工程を含む。
【0011】
[0012]本発明の他の形態は、地球の大気中への揮発性有機化合物(VOC)の放出を、地球の大気中へVOCを漏出させるタイプの基準被覆操作と比べて減少させる結果として、VOC税の控除を得る方法を提供する。好ましい態様においては、この形態による方法は、
(a)既存の被覆組成物で基材を被覆することを含む既存の操作からのVOCの基準放出量を定め;
(b)(i)(1)ヒドロフルオロエチレン、ヒドロフルオロプロペン、ヒドロフルオロブテン、ヒドロフルオロペンテン、及びこれらの組合せからなる群から選択され、好ましくは2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1,3,3,3-テトラフルオロプロペンは、好ましくはトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される)、及びこれらの組合せから選択される1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマー、(2)1種類以上のクロロフルオロエチレンモノマー、好ましくはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)モノマー、(3)1種類以上のビニルエステルモノマー、及び(4)1種類以上のビニルエーテルモノマー(ここで、ビニルエーテルモノマーの少なくとも一部はヒドロキシル基含有ビニルエーテルモノマーである)の共重合によって1種類以上のフルオロポリマーを与え(ここで、コポリマーは、好ましくは、本明細書に記載する手順にしたがって測定して約10,000より高く、好ましくは約12,000より高く、幾つかの他の態様においては約15,000より高い数平均分子量を有する);そして
(ii)1種類以上のフルオロポリマーのためのキャリア(キャリアは1種類以上のVOC化合物を含む)を与え;そして
(iii)1種類以上のフルオロポリマーをキャリアと混合して、約30重量%以下のキャリアを含み、好ましくは少なくとも約70重量%の固形分含量を有するポリマー組成物を生成させる;
ことを含む工程によって形成される減少したVOCの被覆組成物を与え;
(c)減少したVOCの被覆組成物で基材を被覆し;そして
(d)キャリア中のVOCの少なくとも相当部分を地球の大気中に蒸発させて、それにより保護被覆を形成することによって基材上に保護ポリマー層を形成し、それによって減少したVOCの被覆組成物を用いて放出されるVOCを、VOCの基準放出量と比べて減少させ;そして
(e)少なくとも部分的に被覆操作から放出されるVOCの減少に基づいて税控除の要求を適当な政府機関に提出する;
工程を含む。
【0012】
[0013]幾つかの好ましい態様によれば、本発明の工程(b)によって形成されるフルオロコポリマー被覆組成物は、約70重量%~約90重量%、更により好ましくは幾つかの態様においては約75重量%~約85重量%の固形分含量を有する。好ましい態様においては、本発明の工程(b)によって形成されるフルオロコポリマー被覆組成物は、約75%より高い固形分含量を有する。
【0013】
[0014]好ましい態様によれば、本発明の工程(b)によって形成されるフルオロコポリマー被覆組成物は、約450g/L未満、より好ましくは約400g/L未満、更により好ましくは約350g/L未満のVOC含量を有する。
【0014】
[0015]好ましい態様によれば、本発明の工程(b)によって形成されるフルオロコポリマー被覆組成物は、約450g/L~約100g/L、より好ましくは約400g/L~約200g/L、更により好ましくは約350g/L~約250g/LのVOC含量を有する。
【0015】
[0016]本明細書において用いるヒドロフルオロオレフィンという用語は、炭素、水素、及びフッ素から構成され、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する化合物を意味する。ヒドロフルオロオレフィンとしては、ヒドロフルオロエチレン、ヒドロフルオロプロペン、ヒドロフルオロブテン、及びヒドロフルオロペンテンなどが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。工程(b)の被覆組成物を形成するために用いるのに好ましいヒドロフルオロオレフィンは、1種類以上のテトラフルオロプロペンを含む。工程(b)において用いる1種類又は複数のテトラフルオロプロペンは、好ましくは1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)及び/又は2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含み、1,3,3,3-テトラフルオロプロペンは、好ましくはトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される。
【0016】
[0017]本明細書において用いるクロロフルオロエチレンという用語は、炭素-炭素二重結合を有する2つの炭素原子、塩素、及びフッ素から構成される化合物を意味し、クロロトリフルオロエチレンが挙げられるが、必ずしもこれに限定されない。
【0017】
[0018]好ましい態様においては、工程(b)のフルオロポリマーは、工程(b)(i)の(1)、(2)、(3)、及び(4)によって表されるモノマーの溶液共重合によって形成される。好ましい態様においては、工程(b)(i)は、
(1)約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の、好ましくはヒドロフルオロエチレン、ヒドロフルオロプロペン、ヒドロフルオロブテン、及びヒドロフルオロペンテンからなる群から、より好ましくはHFO-1234ze、HFO-1234yf、及びこれらの組合せからなる群から選択される1種類又は複数のヒドロフルオロオレフィンモノマー、更により好ましくはHFO-1234ze(ここで、HFO-1234zeは、好ましくはトランス-HFO-1234zeを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される);
(2)約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の1種類又は複数のクロロフルオロエチレンモノマー、好ましくはCTFE(ここで、モノマー(1)とモノマー(2)とのモル比は、好ましくは約30:1~約1:30である);
(3)約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約40モル%、更により好ましくは約20モル%~約40モル%の、それぞれ式:CH2=CR1-O(C=O)xR2及びCH2=CR3-OR4(式中、xは1であり、R1及びR3は、独立して、水素又はメチル基のいずれか、好ましくは水素であり、R2及びR4は、独立して、1~12個の炭素原子、好ましくは2~8個の炭素原子を有する非置換の直鎖、分岐鎖、又は脂環式アルキル基からなる群から選択される)によって表されるビニルエステル又はビニルエーテル、或いはこれらの両方;並びに
(4)約3モル%~約30モル%、より好ましくは約3モル%~約20モル%、更により好ましくは約3モル%~約10モル%の、式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3は上記に規定した通りであり、好ましくは水素であり、R5は、C2~C12の非置換の直鎖、分岐鎖、又は脂環式アルキル基、より好ましくは3~5個の炭素原子、好ましくは4個の炭素原子を有する非置換の直鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテル;
を溶液共重合することを含み、ここで、モル%はコポリマー形成工程におけるモノマーの全量を基準とする。
【0018】
[0019]好ましい態様によれば、本発明の工程(b)によって形成されるフルオロコポリマー被覆組成物は、約450g/L~約100g/L、より好ましくは約400g/L~約200g/L、更により好ましくは約350g/L~約250g/LのVOC含量を有する。
【0019】
[0020]本明細書において用いるヒドロフルオロオレフィンという用語は、ヒドロフルオロエチレン、ヒドロフルオロプロペン、ヒドロフルオロブテン、及びヒドロフルオロペンテンなどを含むが、必ずしもこれらに限定されない。幾つかの好ましい態様によれば、工程(b)の被覆組成物を形成するために用いるヒドロフルオロオレフィンは、1,3,3,3-テトラフルオロオレフィン(HFO-1234ze)及び/又は2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を含み、HFO-1234zeは、好ましくはトランス-HFO-1234zeを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される。
【0020】
[0021]好ましい態様においては、工程(bi)のフルオロコポリマーは、下記の(1)、(2)、(3)、及び(4):
(1)約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の、好ましくはヒドロフルオロエチレン、ヒドロフルオロプロペン、ヒドロフルオロブテン、及びヒドロフルオロペンテンからなる群から、好ましくはHFO-1234ze、HFO-1234yf、及びこれらの組合せからなる群から選択されるヒドロフルオロオレフィンモノマー、更により好ましくはHFO-1234ze(ここで、HFO-1234zeは、好ましくはトランス-HFO-1234zeを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される);
(2)約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の1種類又は複数のクロロフルオロエチレンモノマー、好ましくはCTFE(ここで、モノマー(1)とモノマー(2)とのモル比は、好ましくは約30:1~約1:30である);
(3A)約10モル%~約40モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の、式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1は水素又はメチル基のいずれかであり、R2は、1~12個の炭素原子を有する非置換の直鎖、分岐鎖、又は脂環式アルキル基からなる群から選択される)によって表されるビニルエステル;
(3B)約10モル%~約40モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の、それぞれ式:CH2=CR3-OR4(式中、R3は、独立して、水素又はメチル基のいずれかであり、R4は、独立して、1~12個の炭素原子を有する非置換の直鎖、分岐鎖、又は脂環式アルキル基からなる群から選択される)によって表されるビニルエーテル;並びに
(4)約3モル%~約30モル%、より好ましくは約3モル%~約20モル%、更により好ましくは約3モル%~約10モル%の、式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3は上記に規定した通りであり、好ましくは水素であり、R5は、C2~C12の非置換の直鎖、分岐鎖、又は脂環式アルキル基からなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテル;
によって表されるモノマーの共重合、好ましくは溶液共重合によって形成され、ここで、モル%はコポリマー形成工程におけるモノマーの全量を基準とする。
【0021】
[0022]好ましい態様においては、本発明の工程(b)によって形成されるフルオロポリマー被覆組成物は、約70重量%~約90重量%、より好ましくは幾つかの態様においては約75重量%~約85重量%の固形分含量を有し、同時に約450g/L~約100g/L、より好ましくは約400g/L~約200g/L、更により好ましくは約300g/L~約200g/LのVOC含量を有する。
【0022】
[0023]本発明の好ましい態様によれば、コポリマー形成工程(b)(i)は、
(1)好ましくは約5モル%~約60モル%、より好ましくは約10モル%~約55モル%の量の、HFO-1234ze及び/又はHFO-1234yf(HFO-1234zeは、好ましくはトランス-HFO-1234zeである)から実質的に構成される1種類又は複数の第1のモノマー;
(2)好ましくは約5モル%~約60モル%、更により好ましくは約10モル%~約55モル%の量のCTFEを含む第2のモノマー(ここで、モノマー(1)とモノマー(2)とのモル比は、約5:1~約1:5、より好ましくは約2:1~約1:2である);
(3)(A)好ましくは約5モル%~~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量の、式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1は水素又はメチル基のいずれかであり、R2は、5~12個の炭素原子を有する置換又は非置換の直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群から選択され、アルキル基は少なくとも1つの第3級又は第4級炭素原子を含む)によって表される1種類又は複数のビニルエステルモノマー;及び
(B)好ましくは約10モル%~約40モル%、より好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%のビニルエーテルの量の、それぞれ式:CH2=CR3-OR4(式中、R3は、独立して水素又はメチル基のいずれかであり、R4は、独立して1~5個の炭素原子を有する置換又は非置換の直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー;
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;並びに
(4)好ましくは約3モル%~約60モル%のヒドロキシビニルエーテルモノマーの量、好ましくは約3モル%~約30モル%、より好ましくは約3モル%~約20モル%、更により好ましくは約3モル%~約10モル%の量の、式:CH2=C-R5-OH(式中、R5はC2~C6の置換又は非置換の直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のヒドロキシル基含有ビニルエーテルモノマーから選択される1種類又は複数の第4のモノマー;
の共重合によって1種類以上のフルオロコポリマーを与えることを含み、ここで、モル%はコポリマー形成工程におけるモノマーの全量を基準とする。
【0023】
[0024]本明細書において用いるモル%の言及は、他に具体的に示していない限りにおいて、モノマーの全量を基準とする、本発明のフルオロコポリマーの形成において用いるモノマーのモル%である。
【0024】
[0025]本方法の幾つかの態様においては、本発明の工程(b)によって形成されるコポリマーは、Skoog, D.A. Principles of Instrumental Analysis, 6版; Thompson Brooks/Cole: Belmont, California, 2006, 28章(参照として本明細書中に包含する)に記載されている方法にしたがってゲル相クロマトグラフィー(GPC)によって測定して、約5000~50,000、より好ましくは約12,000~約20,000の数平均分子量、及び幾つかの態様においては好ましくは約5000~約30,000、より好ましくは約20,000~約30,000の重量平均分子量を有する。分子量に関して本明細書に記載する値は、Agilent-PLゲルクロマトグラフィーカラム(5μm-MIXED-C、300×7.5mm)を用いる測定に基づく。移動相は、1mL/分の流速及び35℃の温度におけるテトラヒドロフラン(THF)である。屈折率検出器を用いる。ユニットは、Agilentから入手できるポリスチレン狭標準試料(narrow standard)を用いて較正する。
【0025】
[0026]幾つかの態様においては、工程(b)によって形成される被覆組成物は、約450g/L未満、より好ましくは約400g/L未満、更により好ましくは約300g/L未満のVOC含量を有する。VOCに関して本明細書に記載する値は、溶剤型及び水性の被覆の揮発分含量(重量%)を求めるための標準的な試験法をカバーするASTM-22369.9963にしたがって行う測定に基づく。液体被覆の揮発性有機化合物(VOC)含量を算出する手順は、試験する液体被覆の試料を得て、次にアルミニウム箔皿内の被覆を秤量して重量を0.1mgの桁まで得る(これは、下記の計算式において(W1)と示される)ことである。アルミニウム箔皿に3±1mLのトルエン溶剤を加えて、被覆試料を形成する。次に、試料をシリンジ中に吸い上げ、充填されたシリンジを秤の上に配置し、秤を調整する(tarred)。シリンジからキャップを取り外し、試料をシリンジから目標試料重量(予測される結果が≦40%揮発分である場合には0.3±0.1g、予測される結果が≧40%揮発分である場合には0.5±0.1g)まで皿中に投入する。試料を皿内に展げて、皿の底を可能な限り均一な厚さとして完全に覆う。試料の重量を0.1mgの桁まで得て記録する(これは、下記の計算式において試料重量(SA)と示される)。次に、試料を含む箔皿を、強制ドラフトオーブン内において110℃で60分間加熱する。それぞれの皿をオーブンから取り出し、直ちにデシケーター内に配置し、周囲温度に冷却し、0.1mgの桁まで秤量してこの重量を記録し、これを下記の計算式においてW2として示す。
【0026】
[0027]液体被覆中のVOCであるVを計算するために、次の等式を用いる。
[0028]VA=1000*DA*(W2-W1)/SA]
[0029]式中、
[0030]VA=揮発分(%)(1番目の測定);
[0031]W1=皿の重量;
[0032]W2=皿+試料の重量;
[0033]SA=試料の重量;
[0034]DA=試料の比重;及び
[0035]VB=揮発分(%)(二重の測定;VAと同じようにして算出)。
【0027】
[0036]本明細書において用いる「基材」という用語は、被覆する任意のデバイス又は物品、或いはデバイス又は物品の部分を指す。
[0037]本明細書において用いる「キャリア」という用語は、組成物のモノマー又はポリマー成分を溶媒和、分散、及び/又は乳化するように働く組成物の成分を指すように意図される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0038]上記に記載したように、本発明の好ましい形態は、同時に基材上に有効で効率的な保護被覆を与えながら、減少したVOC放出を与える被覆方法を包含する。当業者が認識するように、基材に施される保護被覆の品質は、特定の用途に応じて商業的に成功する与えられた基材上の被覆を達成するために重要な種々の被覆特性によって測ることができる。これらの特性としては、(1)粘度、(2)色保持性、及び(3)基材接着力が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
[0039]本明細書において用いる粘度は、ASTM標準規格「示差粘度計を用いてポリマーの溶液粘度を測定するための試験方法」:D5225-14にしたがって測定される。本発明において用いるこの方法にしたがうと、用いる粘度計は、スピンドルS18/S31を用い、約23±2℃の室温において40%~80%の間のトルク値を用いるブルックフィールド粘度計(DV-II+Pro)である。測定のために溶媒を用いる場合には、それは酢酸ブチルである。
【0030】
[0040]幾つかの好ましい態様によれば、本方法にしたがって形成される被覆組成物は、(1)少なくとも約70重量%の固形分濃度;(2)ASTM標準規格「示差粘度計を用いてポリマーの溶液粘度を測定するための試験方法」:D5225-14によって測定して約23±2℃において約1700mPa・秒以下の粘度、及びそれぞれASTM-D7251、QUV-Aによって測定し、当初の色と比較して測定して2.0以下、より好ましくは約1.5以下、更により好ましくは約1.2以下の約1000時間後の色変化;並びに約450g/L以下、より好ましくは約400g/L以下、更により好ましくは約350g/L以下のVOC含量を示す。
【0031】
[0041]QUV-Aは、上記に示すようにASTM-D7251(これは、QUV加速耐候性試験機運転手順である」にしたがって測定され、これによると加速試験を、Cleveland, OhioのQ-Lab Corporationによって製造されているQUVの登録商標で販売されている加速試験キャビネット内で行う。この試験キャビネット内で2つのランプを用いる。「A」ランプ(UVA-340)は、340nmにおいて0.69W/m2の標準出力、及び340nmにおいて1.38W/m2の最大出力を有し;「B」ランプ(UVA-313)は、310nmにおいて0.67W/m2の標準出力、及び310nmにおいて1.23W/m2の最大出力を有する。本明細書において用いるQUV-Aという表示はAランプを用いる試験を指し、QUV-BはBランプを用いる試験を指す。この手順は次の工程を用いて行われる。
1.被覆膜の初期光沢を3回測定し、測定値の平均を得て、これを下記の計算式において「A」と示す。
2.被覆を含む試験プレートを、キャビネット内のパネルホルダー内に配置して、キャビネットの電源をオンにする。
3.制御パネル内のPROGRAMボタンを設定して、所望のプログラム運転を選択する。
4.RUNボタンを作動させて試験を開始する。
5.LEDパネル上に示される曝露時間を記録する。
6.示された時間の後に機械を停止し、試験プレートを取り外し、光沢を3回測定して示された曝露時間に関する平均結果を得て、この値を下記の計算式において用いるために「B」として記録する。
7.式:光沢保持率=B/Aを用いて光沢保持率を求める。
【0032】
[0042]好ましい態様においては、本発明のポリマーは約70より高いヒドロキシル価を有し、他の好ましい態様においては約90より高いヒドロキシル価を有する。上述したように、かかる方法を達成する能力は、部分的に本発明のフルオロポリマー及び被覆組成物を形成するために用いる種々の成分のタイプ及び量の慎重な選択によって与えられる。
【0033】
[0043]好ましい態様においては、本発明のポリマーは、約15重量%~約20重量%のフッ素含量、及び約12重量%~約18重量%の塩素含量を有する。他の好ましい態様においては、本発明のポリマーは、約16重量%~約18重量%のフッ素含量、及び約14重量%~約16重量%の塩素含量を有する。
【0034】
モノマー:
ヒドロフルオロオレフィン:
[0044]本発明の方法によるヒドロフルオロオレフィンモノマーとしては、幾つかの好ましい態様においては、ヒドロフルオロエチレンモノマー、即ち式:CX1X2=CX3X4(式中、X1、X2、X3、及びX4は、それぞれ独立してH又はF又はCl原子から選択されるが、これらの少なくとも1つは水素原子である)を有する化合物を挙げることができる。ヒドロフルオロエチレンモノマーの例としては、中でも、
CH2=CHF;
CHF=CHF;
CH2=CF2;及び
CHF=CF2;
が挙げられる。
【0035】
[0045]本発明の方法の幾つかの好ましい形態によるヒドロフルオロオレフィンモノマーとしては、式:CX5X6=CX7CX8X9X10(式中、X5、X6、X7、X8、X9、及びX10は、独立してH又はF又はCl原子から選択されるが、これらの少なくとも1つは水素原子であり、他のものはフッ素原子である)を有するヒドロフルオロプロペンが挙げられ、好ましくはこれから実質的に構成されるか、又はこれから構成される。ヒドロフルオロプロペンモノマーの例としては、中でも、
CH2=CFCF3(HFO-1234yf);
トランス-CHF=CHCF3(トランス-HFO-1234ze);
CHCl=CFCF3;及び
CH2=CHCF3;
が挙げられる。
【0036】
好ましい態様においては、ヒドロフルオロオレフィンは、HFO-1234yf及び/又はHFO-1234zeを含むか、これらから実質的に構成されるか、又はこれらから構成される。好ましい態様においては、ヒドロフルオロオレフィンはHFO-1234zeを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成され、HFO-1234zeは、好ましくは、トランス-HFO-1234zeを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される。
【0037】
[0046]本発明の方法の幾つかの好ましい形態によるヒドロフルオロオレフィンモノマーとしては、次式:CX11X12=CX13CX14X15CX16X17X18(式中、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、及びX18は、独立してH又はF又はCl原子から選択されるが、これらの少なくとも1つは水素原子であり、少なくとも1つはフッ素原子である)にしたがうヒドロフルオロブテンが挙げられる。ヒドロフルオロブテンの例としては、中でもCF3CH=CHCF3が挙げられる。
【0038】
ビニルエステル:
[0047]本発明によるコポリマーは、好ましくはまた、好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量のビニルエステルモノマー単位から形成される。好ましい態様においては、1種類又は複数のビニルエステルモノマーは、式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1は水素又はメチル基のいずれかであり、R2は、5~12個の炭素原子を有し、より好ましくは5~10個の炭素原子、更により好ましくは8~10個の炭素原子を有する、置換又は非置換、好ましくは非置換の、直鎖又は分岐鎖、好ましくは分岐鎖のアルキル基からなる群から選択される)によって表される。好ましい態様においては、アルキル基は少なくとも1つの第3級又は第4級炭素原子を含む。非常に好ましい態様においては、ビニルエステルは、次式:
【0039】
【0040】
(式中、R7及びR8のそれぞれは、合計で5~約8個、より好ましくは6~7個の炭素原子を含むアルキル基、好ましくは分岐アルキル基である)
にしたがって、少なくとも1つの第4級炭素を含む。
【0041】
[0048]幾つかの好ましい態様にしたがって好ましいビニルエステルモノマーの例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、VEOVA-9(Momentiveによって製造されているC9カルボン酸から形成されるバーサチック酸ビニルエステル)、VEOVA-10(Momentiveによって製造されているC10カルボン酸から形成されるバーサチック酸ビニルエステル)、及びシクロヘキサンカルボン酸ビニルが挙げられる。VEOVA-9及びVEOVA-10のそれぞれは、上記の式Aにしたがって少なくとも1つの第4級炭素を含む。好ましい態様によれば、ビニルエステルは、好ましくは上記の式Aにしたがって少なくとも1つの第4級炭素を有する、分子中に11~12個の炭素原子を有するバーサチック酸ビニルエステルを含む。
【0042】
ビニルエーテル:
[0049]本発明によるコポリマーは、好ましくはまた、好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量のビニルエーテルモノマー単位から形成される。好ましい態様においては、1種類又は複数のビニルエステルモノマーは、式:CH2=CR3-OR4(式中、R3は、独立して水素又はメチル基のいずれかであり、R4は、1~5個の炭素原子、より好ましくは1~3個の炭素原子を有する、置換又は非置換、好ましくは非置換で、直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖のアルキル基からなる群から選択される)によって表される。幾つかの好ましい態様にしたがって好ましいビニルエーテルモノマーの例としては、メチルビニルエーテル、エチル、プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、及びラウリルビニルエーテルのようなアルキルビニルエーテルが挙げられる。また、脂環式基を含むビニルエーテル、例えばシクロブチルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、及びシクロヘキシルビニルエーテルを用いることもできる。好ましい態様によれば、ビニルエーテルは、エチルビニルエーテルを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される。
【0043】
[0050]好ましくは、ビニルエーテル及びビニルエステルモノマーが両方とも存在する態様においては、ビニルエーテル及びビニルエステルモノマーの量は、合計で全モノマーの約25モル%~約45モル%を構成する。
【0044】
ヒドロキシビニルエーテル:
[0051]本発明によるコポリマーは、好ましくはまた、好ましくは約3モル%~約60モル%のヒドロキシビニルエーテルモノマーの量、好ましくは約3モル%~約30モル%、より好ましくは約3モル%~約20モル%、更により好ましくは約3モル%~約10モル%の量のヒドロキシビニルエーテルモノマー単位から形成される。好ましい態様においては、1種類又は複数のヒドロキシルビニルエーテルモノマーは、式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3は上記に規定した通りであり、好ましくは水素であり、R5はC2~C6の置換又は非置換、好ましくは非置換で、直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖のアルキル基からなる群から選択される)によって表される。好ましいヒドロキシアルキルビニルエーテルモノマーの例としては、ヒドロキシル-エチルビニルエーテル、ビドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル、及びヒドロキシヘキシルビニルエーテルが挙げられる。幾つかの態様においては、コポリマーは、モノマーの全重量を基準として約5モル%~約20モル%のヒドロキシアルキルビニルエーテルモノマーから形成される。
【0045】
[0052]好ましい態様においては、フルオロコポリマー形成工程(b)(i)にしたがうコモノマーは、
(1)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27モル%、更により好ましくは約25モル%の量のHFO-1234zeから実質的に構成される第1のモノマー;
(1)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27モル%、更により好ましくは約25モル%量ののCTFEから実質的に構成される第2のモノマー;
(3)(A)式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1は水素又はメチル基のいずれか、好ましくは水素であり、R2は6~8個の炭素原子を有する置換又は非置換の分岐又は分岐鎖アルキル基、好ましくは6~8個の炭素原子を有する非置換の分岐鎖アルキル基であり、かかるアルキル基は好ましくは少なくとも1つの第3級又は第4級炭素原子を含む)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);及び
(B)それぞれ式:CH2=CR3-OR4(式中、R3は、独立して水素又はメチル基のいずれか、好ましくは水素であり、R4は、1~3個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を有する、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖のアルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(1種類又は複数のビニルエーテルモノマーは、好ましくは、約10モル%~約40モル%、より好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;並びに
(4)式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3はメチル又は水素、好ましくは水素であり、R5は、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖のC3~C5アルキル、好ましくはC4の非置換直鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(第3のモノマーの量は、好ましくは約3モル%~約30モル%の量で存在する);
を含み、好ましくはこれらから実質的に構成される。
【0046】
コポリマー形成方法:
[0053]本明細書に含まれる教示事項に基づけば、種々の技術を用いて本発明のコポリマーを形成して本明細書に記載する好ましい特徴を達成することができ、全てのかかる技術は本発明の広い範囲内であることが当業者に認識されるであろう。
【0047】
[0054]好ましい態様においては、フルオロコポリマーは、好ましくは形成中及び/又は形成後にモノマー/ポリマーのためのキャリアを用いる重合システムにおいて製造される。1つの好ましい態様によれば、キャリアはモノマー及び/又はポリマーのための溶媒及び/又は分散剤として作用し、かかる操作としては、分散、乳化、及び溶液重合が挙げられる。かかるシステムにおけるキャリア、例えば好ましくは溶液重合のための溶媒の例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、及び酢酸ブチルのようなエステル;アセトン、メチルエチルアセトン、及びシクロヘキサノンのようなケトン;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、及びミネラルスピリットのような脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、及び溶剤ナフサのような芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、tert-ブタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテルのようなアルコール;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、及びジオキサンのような環式エーテル;HCFC-225及びHCFC-141bのようなフッ素化溶剤;ジメチルスルホキシド;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0048】
[0055]本発明の重合プロセスにおいて用いる温度条件は関係する特定の装置及び用途にしたがって変化させることができ、全てのかかる温度は本発明の範囲内であると意図される。好ましくは、重合は、重合開始源及び重合媒体のタイプのようなファクターに応じて、約30℃~約150℃、より好ましくは約40℃~約100℃、更により好ましくは約50℃~約70℃の範囲の温度で行う。
【0049】
[0056]幾つかの好ましい態様においては、溶液重合は、共重合プロセスにおいて用いる溶媒の全量が、溶液中の溶媒及びモノマーの重量を基準として約10重量%~約40重量%、より好ましくは約10重量%~約30重量%の量、より好ましくは幾つかの態様においては約15%~約25%の量である条件下で行う。幾つかのかかる態様においては、溶液共重合プロセスにおいて用いる溶媒は、C2~C5アルキルアセテート、更により好ましくは酢酸ブチルを含み、好ましくはこれから実質的に構成され、より好ましくは幾つかの態様においてはこれから構成される。
【0050】
[0057]好ましい態様においては、本明細書に記載する好ましい方法にしたがって形成されるコポリマーは、Skoog, D.A. Principles of Instrumental Analysis, 6版; Thompson Brooks/Cole: Belmont, California, 2006, 28章(参照として本明細書中に包含する)に記載されている方法にしたがってゲル相クロマトグラフィー(GPC)によって測定して5000~50,000、又は幾つかの態様においては5000~10,000の数平均分子量を有するコポリマーを達成するのに有効な条件下でこれらのモノマーを共重合することによって製造される。幾つかの態様においては、コポリマーは、約10,000より大きく、更により好ましくは10,000~約14,000の数平均分子量を有する。幾つかの好ましい態様によれば、コポリマーは、2~10、より好ましくは2.5~8、最も好ましくは3~6の分子量分布を有する。本出願人らは、幾つかの態様においては、5000未満の分子量を有するコポリマーを用いると、幾つかの用途のために望ましいものよりも低い保護被覆の耐候性及び耐化学薬品性が与えられ、ポリマーが50,000より大きい分子量を有する場合には、被覆組成物の延展又は被覆特性に悪影響を与える可能性がある粘度を有し、及びしたがって被覆操作における困難性を与える被覆組成物が生成することを見出した。
【0051】
[0058]好ましい態様においては、フルオロコポリマー被覆組成物の形成は、
(i)(1)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27.5モル%、更により好ましくは約25モル%の量のHFO-1234ze(HFO-1234zeは、好ましくはトランス-HFO-1234zeを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される)から実質的に構成される第1のモノマー;
(2)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27.5モル%、更により好ましくは約25モル%の量のCTFEから実質的に構成される1種類又は複数の第2のモノマー;
(3)(A)式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1は水素又はメチル基のいずれか、好ましくは水素であり、R2は6~8個の炭素原子を有する非置換の分岐鎖アルキル基であり、かかるアルキル基は好ましくは少なくとも1つの第3級又は第4級炭素原子を含む)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);及び
(B)式:CH2=CR3-OR4(式中、R3は、水素又はメチル基のいずれか、好ましくは水素であり、R4は、1~3個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を有する、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖のアルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(1種類又は複数のビニルエーテルモノマーは、約10モル%~約40モル%、より好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;並びに
(4)式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3はメチル又は水素、好ましくは水素であり、R5は、C3~C5、好ましくはC4の非置換直鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(第3のモノマーの量は、好ましくは約3モル%~約30モル%の量で存在する);
の共重合によって1種類以上のフルオロコポリマーを与え;
(ii)1種類以上のVOC化合物を含み、好ましくはキシレン及びトルエンのような芳香族炭化水素;n-ブタノールのようなアルコール;酢酸ブチルのようなエステル;メチルイソブチルケトンのようなケトン、及びエチルセロソルブのようなグリコールエーテルから選択され(C2~C5アルキルアセテートが好ましい)、更により好ましくは酢酸ブチルを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される、1種類以上のフルオロコポリマーのためのキャリアを与え;そして
(iii)1種類以上のフルオロコポリマーをキャリアと混合して、約30重量%以下のキャリアを含み、好ましくは少なくとも約70重量%の固形分含量を有するポリマー組成物を生成させる;
ことを含み、好ましくはこれらから実質的に構成される。好ましい態様によれば、本発明のフルオロコポリマー組成物、特に従前のセンテンスで記載したようにして形成されるフルオロコポリマーは、Skoog, D.A. Principles of Instrumental Analysis, 6版; Thompson Brooks/Cole: Belmont, California, 2006, 28章(参照として本明細書中に包含する)に記載されている方法にしたがってゲル相クロマトグラフィー(GPC)によって測定して約5000~50,000、より好ましくは約7000~約15000のポリマー数平均分子量を有し、約70重量%~約90重量%、更により好ましくは約70重量%~約85重量%の固形分含量、及び好ましくは約400g/L未満、より好ましくは約400g/L~約100g/L、更により好ましくは約350g/L~約200g/LのVOC含量を有する。また、概して本出願において、特にこの段落において記載されている態様においては、本発明の被覆組成物は、好ましくは必要に応じてASTM-D1200-10(2014)又はASTM-D2196にしたがって測定して、12毎分回転数(r/m)、30r/m、及び60r/mの少なくとも1つにおいて、好ましくは3つの速度全部においてFord Cupによって測定して約1900mPa・秒未満、より好ましくは約1800mPa・秒未満、更により好ましくは約1700mPa・秒未満の25℃における粘度を有する。
【0052】
[0059]好ましい態様においては、フルオロコポリマー被覆組成物の形成は、
(i)(1)約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の量の、HFO-1234ze(HFO-1234zeは、好ましくはトランス-HFO-1234zeを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される)から実質的に構成される第1のモノマー;
(2)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27.5モル%、更により好ましくは約25モル%の量のCTFEから実質的に構成される1種類又は複数の第2のモノマー;
(3)(A)式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1は水素又はメチル基のいずれか、好ましくは水素であり、R2は、少なくとも1つの第3級炭素原子を含めて6~8個の炭素原子を有する非置換の分岐鎖アルキル基である)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);及び
(B)式:CH2=CR3-O-R4(式中、R3は、水素又はメチル基のいずれか、好ましくは水素であり、R4は、1~3個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を有する、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖のアルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(1種類又は複数のビニルエーテルモノマーは、好ましくは、約10モル%~約40モル%、より好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;並びに
(4)式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3は水素又はメチル基のいずれかであり、R5は、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖のC3~C5アルキル、好ましくはC4の非置換直鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(第3のモノマーの量は、好ましくは約3モル%~約30モル%である);
の共重合によって1種類以上のフルオロコポリマーを与え;そして
(ii)キシレン及びトルエンのような芳香族炭化水素;n-ブタノールのようなアルコール;酢酸ブチルのようなエステル;メチルイソブチルケトンのようなケトン、及びエチルセロソルブのようなグリコールエーテルから選択される(C2~C5アルキルアセテートが好ましい)1種類以上のVOC化合物を含み、更により好ましくは酢酸ブチルを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される、1種類以上のフルオロコポリマーのためのキャリアを与え;
(iii)1種類以上のフルオロコポリマーをキャリアと混合して、約30重量%以下のキャリアを含み、好ましくは少なくとも約70重量%の固形分含量を有するポリマー組成物を生成させる;
ことを含み、好ましくはこれらから実質的に構成される。
【0053】
[0060]好ましい態様においては、フルオロコポリマー被覆組成物の形成は、
(i)(1)好ましくは約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の量の、HFO-1234ze(HFO-1234zeは、好ましくはトランス-HFO-1234zeを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される)から実質的に構成される第1のモノマー;
(2)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27.5モル%、更により好ましくは約25モル%の量のCTFEから実質的に構成される1種類又は複数の第2のモノマー;
(3)(A)式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1はメチル基、好ましくは水素であり、R2は6~8個の炭素原子を有する非置換の分岐鎖アルキル基であり、アルキル基は好ましくは少なくとも1つの第3級炭素原子を含む)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);及び
(B)式:CH2=CR3-O-R4(式中、R3は、水素又はメチル基のいずれかであり、R4は、1~3個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を有する、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖のアルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(1種類又は複数のビニルエーテルモノマーは、好ましくは、約10モル%~約40モル%、より好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;並びに
(4)式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3はメチル又は水素、好ましくは水素であり、R5は、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖のC3~C5アルキル、好ましくはC4の非置換直鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(第3のモノマーの量は、好ましくは約3モル%~約30モル%である);
の共重合によって1種類以上のフルオロコポリマーを与え;そして
(ii)1種類以上のVOC化合物を含み、好ましくはキシレン及びトルエンのような芳香族炭化水素;n-ブタノールのようなアルコール;酢酸ブチルのようなエステル;メチルイソブチルケトンのようなケトン、及びエチルセロソルブのようなグリコールエーテル(C2~C5アルキルアセテートが好ましい)から選択され、更により好ましくは酢酸ブチルを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される、1種類以上のフルオロコポリマーのためのキャリアを与え;
(iii)1種類以上のフルオロコポリマーをキャリアと混合して、約30重量%以下のキャリアを含み、好ましくは少なくとも約70重量%の固形分含量を有するポリマー組成物を生成させる;
ことを含み、好ましくはこれらから実質的に構成される。
【0054】
[0061]好ましい態様においては、フルオロコポリマー被覆組成物の形成は、
(i)(1)約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の量のトランス-HFO-1234zeから実質的に構成される第1のモノマー;
(2)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27.5モル%、更により好ましくは約25モル%の量のCTFEから実質的に構成される1種類又は複数の第2のモノマー;
(3)(A)式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1は水素又はメチル基のいずれか、好ましくは水素であり、R2は、少なくとも1つの第4級炭素原子を含めて6~8個の炭素原子を有する非置換の分岐鎖アルキル基である)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);及び
(B)式:CH2=CR3-O-R4(式中、R3は、水素又はメチル基のいずれか、好ましくは水素であり、R4は、1~3個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を有する、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖のアルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(1種類又は複数のビニルエーテルモノマーは、好ましくは、約10モル%~約40モル%、より好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;並びに
(4)式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3は水素又はメチル基のいずれかであり、R5は、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖のC3~C5アルキル、好ましくはC4の非置換直鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(第3のモノマーの量は、好ましくは約3モル%~約30モル%である);
の共重合によって1種類以上のフルオロコポリマーを与え;そして
(ii)キシレン及びトルエンのような芳香族炭化水素;n-ブタノールのようなアルコール;酢酸ブチルのようなエステル;メチルイソブチルケトンのようなケトン、及びエチルセロソルブのようなグリコールエーテルから選択される(C2~C5アルキルアセテートが好ましい)1種類以上のVOC化合物を含み、更により好ましくは酢酸ブチルを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される、1種類以上のフルオロコポリマーのためのキャリアを与え;
(iii)1種類以上のフルオロコポリマーをキャリア及び光安定剤と混合して、約30重量%以下のキャリアを含み、好ましくは少なくとも約70重量%の固形分含量を有するポリマー組成物を生成させる;
ことを含み、好ましくはこれらから実質的に構成される。
【0055】
[0062]好ましい態様においては、フルオロコポリマー被覆組成物の形成は、
(i)(1)好ましくは約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の量の、HFO-1234ze(HFO-1234zeは、好ましくはトランス-HFO-1234zeを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される)から実質的に構成される第1のモノマー;
(2)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27.5モル%、更により好ましくは約25モル%の量のCTFEから実質的に構成される1種類又は複数の第2のモノマー;
(3)(A)式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1はメチル基であり、R2は6~8個の炭素原子を有する非置換分岐鎖アルキル基であり、かかるアルキル基は好ましくは少なくとも1つの第4級炭素原子を含む)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);及び
(B)式:CH2=CR3-O-R4(式中、R3はメチル基であり、R4は、1~3個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を有する、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖のアルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(1種類又は複数のビニルエーテルモノマーは、好ましくは、約10モル%~約40モル%、より好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;並びに
(4)式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3はメチル又は水素、好ましくは水素であり、R5は、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖のC3~C5アルキル、好ましくはC4の非置換直鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(第3のモノマーの量は、好ましくは約3モル%~約30モル%である);
の共重合によって1種類以上のフルオロコポリマーを与え;そして
(ii)1種類以上のVOC化合物を含み、好ましくはキシレン及びトルエンのような芳香族炭化水素;n-ブタノールのようなアルコール;酢酸ブチルのようなエステル;メチルイソブチルケトンのようなケトン、及びエチルセロソルブのようなグリコールエーテルから選択され(C2~C5アルキルアセテートが好ましい)、更により好ましくは酢酸ブチルを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される、1種類以上のフルオロコポリマーのためのキャリアを与え;そして
(iii)1種類以上のフルオロコポリマーをキャリア及び光安定剤と混合して、約30重量%以下のキャリアを含み、好ましくは少なくとも約70重量%の固形分含量を有するポリマー組成物を生成させる;
ことを含み、好ましくはこれらから実質的に構成される。
【0056】
[0063]好ましい態様においては、フルオロコポリマー被覆組成物の形成は、
(i)(1)約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の量のトランス-HFO-1234zeから実質的に構成される第1のモノマー;
(2)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27.5モル%、更により好ましくは約25モル%の量のCTFEから実質的に構成される1種類又は複数の第2のモノマー;
(3)(A)式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1は水素又はメチル基のいずれか、好ましくは水素であり、R2は、少なくとも1つの第3級炭素原子を含めて6~8個の炭素原子を有する非置換分岐鎖アルキル基である)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);及び
(B)式:CH2=CR3-O-R4(式中、R3はメチル基であり、R4は、1~3個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を有する、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖のアルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(1種類又は複数のビニルエーテルモノマーは、好ましくは、約10モル%~約40モル%、より好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;並びに
(4)式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3は水素又はメチル基のいずれか、好ましくは水素であり、R5は、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖のC3~C5アルキル、好ましくはC4の非置換直鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(第3のモノマーの量は、好ましくは約3モル%~約30モル%である);
の共重合によって1種類以上のフルオロコポリマーを与え;そして
(ii)キシレン及びトルエンのような芳香族炭化水素;n-ブタノールのようなアルコール;酢酸ブチルのようなエステル;メチルイソブチルケトンのようなケトン、及びエチルセロソルブのようなグリコールエーテルから選択される(C2~C5アルキルアセテートが好ましい)1種類以上のVOC化合物を含み、更により好ましくは酢酸ブチルを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される、1種類以上のフルオロコポリマーのためのキャリアを与え;そして
(iii)1種類以上のフルオロコポリマーをキャリア及び光安定剤と混合して、約30重量%以下のキャリアを含み、好ましくは少なくとも約70重量%の固形分含量を有するポリマー組成物を生成させる;
ことを含み、好ましくはこれらから実質的に構成される。
【0057】
[0064]好ましい態様においては、フルオロコポリマー被覆組成物の形成は、
(i)(1)好ましくは約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の量の、HFO-1234ze(HFO-1234zeは、好ましくはトランス-HFO-1234zeを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される)から実質的に構成される第1のモノマー;
(2)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27.5モル%、更により好ましくは約25モル%の量のCTFEから実質的に構成される1種類又は複数の第2のモノマー;
(3)(A)式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1はメチル基であり、R2は6~8個の炭素原子を有する非置換の分岐鎖アルキル基であり、かかるアルキル基は好ましくは少なくとも1つの第4級炭素原子を含む)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);及び
(B)式:CH2=CR3-O-R4(式中、R3はメチル基であり、R4は、1~3個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を有する、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖のアルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(1種類又は複数のビニルエーテルモノマーは、好ましくは、約10モル%~約40モル%、より好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;並びに
(4)式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3はメチル又は水素、好ましくは水素であり、R5は、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖のC3~C5アルキル、好ましくはC4の非置換直鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(第3のモノマーの量は、好ましくは約3モル%~約30モル%である);
の共重合によって1種類以上のフルオロコポリマーを与え;そして
(ii)1種類以上のVOC化合物を含み、好ましくはキシレン及びトルエンのような芳香族炭化水素;n-ブタノールのようなアルコール;酢酸ブチルのようなエステル;メチルイソブチルケトンのようなケトン、及びエチルセロソルブのようなグリコールエーテルから選択され(C2~C5アルキルアセテートが好ましい)、更により好ましくは酢酸ブチルを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される、1種類以上のフルオロコポリマーのためのキャリアを与え;そして
(iii)1種類以上のフルオロコポリマーをキャリア及び光安定剤と混合して、約30重量%以下のキャリアを含み、好ましくは少なくとも約70重量%の固形分含量を有するポリマー組成物を生成させる;
ことを含み、好ましくはこれらから実質的に構成される。
【0058】
[0065]好ましい態様においては、フルオロコポリマー被覆組成物の形成は、
(i)(1)約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の量のトランス-HFO-1234zeから実質的に構成される第1のモノマー;
(2)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27.5モル%、更により好ましくは約25モル%の量のCTFEから実質的に構成される1種類又は複数の第2のモノマー;
(3)(A)式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1は水素であり、R2は、少なくとも1つの第4級炭素原子を含めて6~8個の炭素原子を有する非置換の分岐鎖アルキル基である)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);及び
(B)式:CH2=CR3-O-R4(式中、R3は、水素又はメチル基のいずれか、好ましくは水素であり、R4は、1~3個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を有する、置換又は非置換の分岐鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(1種類又は複数のビニルエーテルモノマーは、好ましくは、約10モル%~約40モル%、より好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;並びに
(4)式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3は水素又はメチル基のいずれかであり、R5は、C3~C5、好ましくはC4の非置換直鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(第3のモノマーの量は、好ましくは約3モル%~約30モル%である);
の共重合によって1種類以上のフルオロコポリマーを与え;そして
(ii)キシレン及びトルエンのような芳香族炭化水素;n-ブタノールのようなアルコール;酢酸ブチルのようなエステル;メチルイソブチルケトンのようなケトン、及びエチルセロソルブのようなグリコールエーテルから選択される(C2~C5アルキルアセテートが好ましい)1種類以上のVOC化合物を含み、更により好ましくは酢酸ブチルを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される、1種類以上のフルオロコポリマーのためのキャリアを与え;
(iii)1種類以上のフルオロコポリマーをキャリア及び光安定剤と混合して、約30重量%以下のキャリアを含み、好ましくは少なくとも約70重量%の固形分含量を有するポリマー組成物を生成させる;
ことを含み、好ましくはこれらから実質的に構成される。
【0059】
[0066]好ましい態様においては、フルオロコポリマー被覆組成物の形成は、
(i)(1)好ましくは約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の量の、HFO-1234ze(HFO-1234zeは、好ましくはトランス-HFO-1234zeを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される)から実質的に構成される第1のモノマー;
(2)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27.5モル%、更により好ましくは約25モル%の量のCTFEから実質的に構成される1種類又は複数の第2のモノマー;
(3)(A)式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1はメチル基であり、R2は6~8個の炭素原子を有する非置換分岐鎖アルキル基であり、かかるアルキル基は好ましくは少なくとも1つの第4級炭素原子を含む)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);及び
(B)式:CH2=CR3-O-R4(式中、R3はメチル基であり、R4は、1~3個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を有する、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖のアルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(1種類又は複数のビニルエーテルモノマーは、好ましくは、約10モル%~約40モル%、より好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;並びに
(4)式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3はメチルであり、R5は、C3~C5、好ましくはC4の非置換直鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(第3のモノマーの量は、好ましくは約3モル%~約30モル%である);
の共重合によって1種類以上のフルオロコポリマーを与え;そして
(ii)1種類以上のVOC化合物を含み、好ましくはキシレン及びトルエンのような芳香族炭化水素;n-ブタノールのようなアルコール;酢酸ブチルのようなエステル;メチルイソブチルケトンのようなケトン、及びエチルセロソルブのようなグリコールエーテルから選択され(C2~C5アルキルアセテートが好ましい)、更により好ましくは酢酸ブチルを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される、1種類以上のフルオロコポリマーのためのキャリアを与え;そして
(iii)1種類以上のフルオロコポリマーをキャリア及び光安定剤と混合して、約30重量%以下のキャリアを含み、好ましくは少なくとも約70重量%の固形分含量を有するポリマー組成物を生成させる;
ことを含み、好ましくはこれらから実質的に構成される。
【0060】
[0067]好ましい態様においては、フルオロコポリマー被覆組成物の形成は、
(i)(1)好ましくは約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の量の、HFO-1234ze(HFO-1234zeは、好ましくはトランス-HFO-1234zeを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される)から実質的に構成される第1のモノマー;
(2)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27.5モル%、更により好ましくは約25モル%の量のCTFEから実質的に構成される1種類又は複数の第2のモノマー;
(3)(A)式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1は水素又はメチル基、好ましくは水素であり、R2は6~8個の炭素原子を有する非置換の分岐鎖アルキル基であり、かかるアルキル基は好ましくは少なくとも1つの第4級炭素原子を含む)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);及び
(B)式:CH2=CR3-O-R4(式中、R3は、水素又はメチル基、好ましくは水素であり、R4は、1~3個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を有する、置換又は非置換で直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖のアルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(1種類又は複数のビニルエーテルモノマーは、好ましくは、約10モル%~約40モル%、より好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;並びに
(4)式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3は水素又はメチル、好ましくは水素であり、R5は、C3~C5、好ましくはC4の非置換直鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(第3のモノマーの量は、好ましくは約3モル%~約30モル%である);
の共重合によって1種類以上のフルオロコポリマーを与え;そして
(ii)キシレン及びトルエンのような芳香族炭化水素;n-ブタノールのようなアルコール;酢酸ブチルのようなエステル;メチルイソブチルケトンのようなケトン、及びエチルセロソルブのようなグリコールエーテルから選択される(C2~C5アルキルアセテートが好ましい)1種類以上のVOC化合物を含み、更により好ましくは酢酸ブチルを含むか、これから実質的に構成されるか、又はこれから構成される、1種類以上のフルオロコポリマーのためのキャリアを与え;そして
(iii)1種類以上のフルオロコポリマーをキャリア及び光安定剤と混合して、約30重量%以下のキャリアを含み、好ましくは少なくとも約70重量%の固形分含量を有するポリマー組成物を生成させる;
ことを含み、好ましくはこれらから実質的に構成される。
【0061】
[0068]好ましい態様においては、フルオロコポリマー被覆組成物の形成は、
(i)(1)好ましくは約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の量のトランス-HFO-1234zeから実質的に構成される第1のモノマー;
(2)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27.5モル%、更により好ましくは約25モル%の量のCTFEから実質的に構成される1種類又は複数の第2のモノマー;
(3)(A)式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1は水素又はメチル、好ましくは水素であり、R2は6~8個の炭素原子を有する非置換の分岐鎖アルキル基であり、かかるアルキル基は好ましくは少なくとも1つの第4級炭素原子を含む)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);及び
(B)式:CH2=CR3-O-R4(式中、R3は、水素又はメチル、好ましくは水素であり、R4は2個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(1種類又は複数のビニルエーテルモノマーは、好ましくは約10モル%~約40モル%、より好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;並びに
(4)式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3は水素又はメチル、好ましくは水素であり、R5は、C3~C5、好ましくはC4の非置換直鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(第3のモノマーの量は、好ましくは約3モル%~約30モル%である);
の共重合によって1種類以上のフルオロコポリマーを与え;そして
(ii)少なくとも約50重量%のC2~C5アルキルアセテート、更により好ましくは酢酸ブチルを含む、1種類以上のフルオロコポリマーのためのキャリアを与え;そして
(iii)1種類以上のフルオロコポリマーをキャリア及び光安定剤と混合して、約30重量%以下のキャリアを含み、好ましくは少なくとも約70重量%の固形分含量を有するポリマー組成物を生成させる;
ことを含み、好ましくはこれらから実質的に構成される。
【0062】
[0069]好ましい態様においては、フルオロコポリマー被覆組成物の形成は、
(i)(1)好ましくは約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の量のトランス-HFO-1234zeから実質的に構成される第1のモノマー;
(2)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27.5モル%、更により好ましくは約25モル%の量のCTFEから実質的に構成される1種類又は複数の第2のモノマー;
(3)(A)式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1は水素又はメチル、好ましくは水素であり、R2は6~8個の炭素原子を有する非置換の分岐鎖アルキル基であり、かかるアルキル基は好ましくは少なくとも1つの第4級炭素原子を含む)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);及び
(B)式:CH2=CR3-O-R4(式中、R3は、水素又はメチル、好ましくは水素であり、R4は2個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(1種類又は複数のビニルエーテルモノマーは、好ましくは約10モル%~約40モル%、より好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;並びに
(4)式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3は水素又はメチル、好ましくは水素であり、R5は、C3~C5、好ましくはC4の非置換直鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(第3のモノマーの量は、好ましくは約3モル%~約30モル%である);
の共重合によって1種類以上のフルオロコポリマーを与え;
(ii)少なくとも約50重量%のC2~C5アルキルアセテート、更により好ましくは酢酸ブチルを含む、1種類以上のフルオロコポリマーのためのキャリアを与え;そして
(iii)1種類以上のフルオロコポリマーをキャリア及び光安定剤と混合して、約30重量%以下のキャリアを含み、好ましくは少なくとも約70重量%の固形分含量を有するポリマー組成物を生成させる;
ことを含み、好ましくはこれらから実質的に構成される。
【0063】
[0070]好ましい態様においては、フルオロコポリマー被覆組成物の形成は、
(i)(1)好ましくは約40モル%~約60モル%、更により好ましくは約45モル%~約55モル%、更により好ましくは約50モル%の量のトランス-HFO-1234zeから実質的に構成される第1のモノマー;
(2)好ましくは約20モル%~約30モル%、更により好ましくは約22モル%~約27.5モル%、更により好ましくは約25モル%の量のCTFEから実質的に構成される1種類又は複数の第2のモノマー;
(3)(A)式:CH2=CR1-O(C=O)xR2(式中、xは1であり、R1は水素であり、R2は6~8個の炭素原子を有する非置換の分岐鎖アルキル基であり、かかるアルキル基は好ましくは少なくとも1つの第4級炭素原子を含む)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);及び
(B)式:CH2=CR3-O-R4(式中、R3は水素であり、R4は、1~3個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を有する置換又は非置換の分岐鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(1種類又は複数のビニルエーテルモノマーは、好ましくは約10モル%~約40モル%、より好ましくは約5モル%~約45モル%、より好ましくは約10モル%~約30モル%、更により好ましくは約10モル%~約20モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;並びに
(4)式:CH2=CR3-O-R5-OH(式中、R3は水素であり、R5はC4の非置換直鎖アルキル基である)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(第3のモノマーの量は、好ましくは約3モル%~約30モル%である);
の共重合によって1種類以上のフルオロコポリマーを与え;そして
(ii)少なくとも約50重量%のC2~C5アルキルアセテート、更により好ましくは酢酸ブチルを含む、1種類以上のフルオロコポリマーのためのキャリアを与え;そして
(iii)1種類以上のフルオロコポリマーをキャリア及び光安定剤と混合して、約30重量%以下のキャリアを含み、好ましくは少なくとも約70重量%の固形分含量を有するポリマー組成物を生成させる;
ことを含み、好ましくはこれらから実質的に構成される。
【0064】
[0071]好ましい態様によれば、本発明のフルオロコポリマー組成物、特に上述の段落[0059]~[0070]において記載したようにして形成されるフルオロコポリマーは、Skoog, D.A. Principles of Instrumental Analysis, 6版; Thompson Brooks/Cole: Belmont, California, 2006, 28章(参照として本明細書中に包含する)に記載されている方法にしたがってゲル相クロマトグラフィー(GPC)によって測定して、約5000~50,000、より好ましくは約7000~約15,000のポリマー数平均分子量を有し、並びに約70重量%~約90重量%、更により好ましくは約70重量%~約85重量%の固形分含量、及び好ましくは約400g/L未満、より好ましくは約400g/L~約100g/L、更により好ましくは約350g/L~約200g/LのVOC含量を有する。概して本出願において記載されており、特にこの段落において記載されている態様においては、本発明の被覆組成物は、好ましくは必要に応じてASTM-D1200-10(2014)又はASTM-D2196にしたがって測定して、12毎分回転数(r/m)、30r/m、及び60r/mの少なくとも1つにおいて、好ましくは3つの速度全部においてFord Cupによって測定して約1900mPa・秒未満、より好ましくは約1800mPa・秒未満、更により好ましくは約1700mPa・秒未満の25℃における粘度を有することも好ましい。
【0065】
被覆組成物形成方法:
[0072]本明細書に記載する手順にしたがって形成されるコポリマーは、次に、上記に記載した実質的な有利性を有する種々の被覆組成物を形成するために用いることができる。例えば、本明細書に記載するようにして形成される本発明のフルオロコポリマーに溶媒を加えることによって溶液タイプの塗料又は被覆を製造するために、種々の溶媒を用いることができる。幾つかの態様においては、被覆組成物を形成するために好ましい溶媒としては、キシレン及びトルエンのような芳香族炭化水素;n-ブタノールのようなアルコール;酢酸ブチルのようなエステル;メチルイソブチルケトンのようなケトン;及びエチルセロソルブのようなグリコールエーテル、並びに種々の商業的な希釈液が挙げられる。
【0066】
[0073]幾つかの態様においては、本発明の被覆組成物は、被覆組成物の全重量を基準として約70重量%~約90重量%の固形分含量、より好ましくは幾つかの態様においては約75重量%~約85重量%の固形分を有する。幾つかの好ましい態様においては、固形物は、本発明のコポリマー、及び/又は本発明のコポリマーを用いて形成される架橋コポリマーを含み、好ましくはこれらから実質的に構成される。当業者であれば公知の方法のいずれかにしたがって本組成物を用いて被覆を形成することができると考えられるが、好ましい態様においては、被覆は、ブラシ塗布、ロール塗布、エアスプレー、エアレススプレー、流し塗り、ローラー被覆、スピン被覆などによって形成され、これらの任意の組合せを用いることができる。更に、被覆は種々の基材上に施すことができる。被覆膜を基材上に直接か、又はプライマーを介して、或いは必要な場合には下塗り層を介して形成することができる。全ての厚さが本発明の範囲内であるが、好ましい態様においては、最も外側の硬化被覆膜層は、約20~約30μmの層厚さを有する。
【実施例】
【0067】
[0074]以下の非限定的な実施例によって本発明を更に示す。
実施例1:フルオロポリマーの製造:
[0075]スターラーを装備した300mLのステンレススチールオートクレーブ中に下表1Aに示す成分を充填することによって、溶液重合運転を行った。
【0068】
【0069】
[0076]トルエン、エチルビニルエーテルモノマー、ビニルエステルモノマー(VEOVA-10)、ヒドロキシブチルビニルエーテル、開始剤、及び0.8グラムの酸化亜鉛を容器中に充填した。液体窒素を用いて混合物を凝固させ、脱気して溶解空気を除去した。次に、オートクレーブ内でトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランス-HFO-1234ze)及びCTFEを混合物に加え、次に混合物を約75℃に徐々に加熱した。次に、混合物を約4時間撹拌して、モノマーの溶液共重合を行った。オートクレーブを室温に冷却した後、未反応のモノマーをパージし、次にオートクレーブを開放し、約50~80重量%のオートクレーブ内における固形分含量(コポリマー含量)を達成するのに十分に過剰の溶媒を除去するのに十分な時間、真空をオートクレーブに加えた。最終的なフルオロコポリマー(溶媒なし)を試験したところ、約13,600の数平均分子量(Mn)及び2.3のMw/Mn;96mg-KOH/gのヒドロキシル価;17.5%のフッ素含量及び14.4%の塩素含量を有していることが分かった。得られたコポリマー+溶媒の組合せは、約70%の固形分、即ちコポリマー含量、及び約400g/LのVOC含量を有する明澄な溶液の形態であった。
【0070】
[0077]次に、上記に記載の操作から得られた溶媒/ポリマーを、下表1Bに示す材料のそれぞれに重量基準で1:1で加えたところ、室温において明澄な溶液が形成されることが分かった。
【0071】
【0072】
[0078]上記で報告した結果は、本発明によるフルオロコポリマーは、保護被覆のための配合物中において用いることができるか又はその実質的部分を形成することができる多くの材料と溶液を形成することができ、したがって本フルオロコポリマーは、例えばかかる被覆組成物中において追加のキャリアとして用いることができる広範囲の材料と併用して保護被覆を形成するのに優れた有用性を有することを示している。
【0073】
実施例2:被覆組成物及び被覆特性:
[0079]実施例1において形成したコポリマー溶液中に、希釈剤として酢酸ブチルを加えて約30~40重量%の固形分含量を有する溶液を得ることによって、白色ペーストの形態の被覆組成物を形成した。次に、この溶液をガラスフラスコ中に充填し、250rpmで撹拌した。次に、コポリマー溶液の温度を18±1℃に維持しながら、真空度が約100Paに達するまでフラスコに真空を引いた。留出した溶液をコールドトラップ中に回収し、HFO-1234ze及びエチルビニルエーテルなどの未反応のモノマー、又は溶媒が検出されなくなるまで、GC-MCによって監視した。真空ポンプ、撹拌及び温度の制御装置を停止した。次に濾過によってZnOを取り除いた。透明で無色のコポリマー溶液が得られた。その後、添加するAl2O3モレキュラーシーブのA202-HF(UOPの製品)(8.0重量%の全ポリマー重量)、又はモレキュラーシーブのP188(UOPの製品)(2.0重量%の全ポリマー重量)、或いはAl2O3粉末(7重量%)を、明澄なコポリマー溶液中に加え、溶液を250rpmで撹拌しながら87±2℃に14~18時間加熱した。次に、撹拌を停止し、ガラスフラスコを室温に冷却し、Al2O3モレキュラーシーブを濾過によって取り除いて明澄な溶液を得た。次に溶液を50~80重量%の固形分含量に濃縮した。
【0074】
実施例3:フルオロポリマーの製造:
[0080]スターラーを装備した300mLのステンレススチールオートクレーブ中に下表3Aに示す成分を充填することによって、溶液重合運転を行った。
【0075】
【0076】
[0081]トルエン、エチルビニルエーテルモノマー、ビニルエステルモノマー(VEOVA-10)、ヒドロキシブチルビニルエーテル、開始剤、及び2グラムの酸化亜鉛を容器中に充填した。液体窒素を用いて混合物を凝固させ、脱気して溶解空気を除去した。次に、オートクレーブ内でトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランス-HFO-1234ze)及びCTFEを混合物に加え、次に混合物を約75℃に徐々に加熱した。次に、混合物を約4時間撹拌して、モノマーの溶液共重合を行った。オートクレーブを室温に冷却した後、未反応のモノマーをパージし、次にオートクレーブを開放し、約50~80重量%のオートクレーブ内における固形分含量(コポリマー含量)を達成するのに十分に過剰の溶媒を除去するのに十分な時間、真空をオートクレーブに加えた。最終的なフルオロコポリマー(溶媒なし)を試験したところ、約18000の数平均分子量(Mn)及び3.2のMw/Mn;72mg-KOH/gのヒドロキシル価;16%のフッ素含量及び15%の塩素含量を有していることが分かった。得られたコポリマー+溶媒の組合せは、約70%の固形分、即ちコポリマー含量、及び約400g/LのVOC含量を有する明澄な溶液の形態であった。
【0077】
[0082]次に、上記に記載の操作から得られた溶媒/ポリマーを、下表3Bに示す材料のそれぞれに重量基準で1:1で加えたところ、室温において明澄な溶液が形成されることが分かった。
【0078】
【0079】
[0083]上記で報告した結果は、本発明によるフルオロコポリマーは、保護被覆のための配合物中において用いることができるか又はその実質的部分を形成することができる多くの材料と溶液を形成することができ、したがって本フルオロコポリマーは、例えばかかる被覆組成物中において追加のキャリアとして用いることができる広範囲の材料と併用して保護被覆を形成するのに優れた有用性を有することを示している。
【0080】
実施例4:被覆組成物及び被覆特性:
[0084]実施例3において形成したコポリマー溶液中に、希釈剤として酢酸ブチルを加えて約30~40重量%の固形分含量を有する溶液を得ることによって、白色ペーストの形態の被覆組成物を形成した。次に、この溶液をガラスフラスコ中に充填し、250rpmで撹拌した。次に、コポリマー溶液の温度を18±1℃に維持しながら、真空度が約100Paに達するまでフラスコに真空を引いた。留出した溶液をコールドトラップ中に回収し、HFO-1234ze及びエチルビニルエーテルなどの未反応のモノマー、又は溶媒が検出されなくなるまで、GC-MCによって監視した。真空ポンプ、撹拌及び温度の制御装置を停止した。次に濾過によってZnOを取り除いた。透明で無色のコポリマー溶液が得られた。その後、添加するAl2O3モレキュラーシーブのA202-HF(UOPの製品)(8.0重量%の全ポリマー重量)、又はモレキュラーシーブのP188(UOPの製品)(2.0重量%の全ポリマー重量)、或いはAl2O3粉末(7重量%)を、明澄なコポリマー溶液中に加え、溶液を250rpmで撹拌しながら87±2℃に14~18時間加熱した。次に、撹拌を停止し、ガラスフラスコを室温に冷却し、Al2O3モレキュラーシーブを濾過によって取り除いて明澄な溶液を得た。次に溶液を50~80重量%の固形分含量に濃縮した。
本発明は以下の実施態様を含む。
[1](1)ヒドロフルオロエチレン、ヒドロフルオロプロペン、ヒドロフルオロブテン、ヒドロフルオロペンテン、及びこれらの組合せからなる群から選択される1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマー;及び
(2)1種類以上のクロロフルオロエチレンモノマー;
(ここで、モノマー(1)とモノマー(2)とのモル比は約30:1~約1:30.1である)
の共重合によって形成されるフルオロコポリマー。
[2]1種類以上のクロロフルオロエチレンモノマーがクロロトリフルオロエチレンモノマーを含む、[1]に記載のフルオロコポリマー。
[3]1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマーがヒドロフルオロプロペンから選択される、[1]に記載のフルオロコポリマー。
[4]1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマーが、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、及びこれらの組合せから選択される、[1]に記載のフルオロコポリマー。
[5]1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマーが1,3,3,3-テトラフルオロプロペンから選択される、[1]に記載のフルオロコポリマー。
[6]1,3,3,3-テトラフルオロプロペンがトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む、[5]に記載のフルオロコポリマー。
[7](1)ヒドロフルオロエチレン、ヒドロフルオロプロペン、ヒドロフルオロブテン、ヒドロフルオロペンテン、及びこれらの組合せからなる群から選択される1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマー;
(2)1種類以上のクロロフルオロエチレンモノマー;
(3)1種類以上のビニルエステルモノマー;及び
(4)1種類以上のビニルエーテルモノマー(ビニルエーテルモノマーの少なくとも一部はヒドロキシル基含有ビニルエーテルモノマーである);
の共重合によって形成されるフルオロコポリマー。
[8]1種類以上のクロロフルオロエチレンモノマーがクロロトリフルオロエチレンモノマーを含む、[7]に記載のフルオロコポリマー。
[9]1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマーがヒドロフルオロプロペンから選択される、[7]に記載のフルオロコポリマー。
[10]1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマーが、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、及びこれらの組合せから選択される、[9]に記載のフルオロコポリマー。
[11]1種類以上のヒドロフルオロオレフィンモノマーが1,3,3,3-テトラフルオロプロペンから選択される、[10]に記載のフルオロコポリマー。
[12]1,3,3,3-テトラフルオロプロペンがトランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む、[11]に記載のフルオロコポリマー。
[13](1)約40モル%~約60モル%のヒドロフルオロプロペンモノマー;
(2)約40モル%~約60モル%のクロロフルオロエチレンモノマー(ここで、モノマー(1)とモノマー(2)とのモル比は約30:1~約1:30である);
(3)約5モル%~45モル%のビニルエステル、ビニルエーテル、又はこれらの混合物(ここでビニルエステルは、式:CH
2
=CR
1
-O(C=O)
x
R
2
(式中、xは1であり、R
1
は水素又はメチル基であり、R
2
は、1~12個の炭素原子を有する非置換の直鎖、分岐鎖、又は脂環式アルキル基からなる群から選択される)を有し、ビニルエーテルは、式:CH
2
=CR
3
-OR
4
(式中、R
3
は水素又はメチル基であり、R
4
は、1~12個の炭素原子を有する非置換の直鎖、分岐鎖、又は脂環式アルキル基からなる群から選択される)を有する);及び
(4)約3モル%~約30モル%の、式:CH
2
=CR
3
-O-R
5
-OH(式中、R
3
は水素又はメチル基であり、R
5
は、3~5個の炭素を有する、C
2
~C
12
の非置換の直鎖、分岐鎖、又は脂環式アルキル基からなる群から選択される)を有するヒドロキシアルキルビニルエーテル;(ここで、モル%はモノマーの合計を基準とする)
の共重合によって形成されるフルオロコポリマー。
[14]約45モル%~約55モル%のヒドロフルオロプロペンモノマーを含む、[13]に記載のフルオロコポリマー。
[15]約50モル%のヒドロフルオロプロペンモノマーを含む、[13]に記載のフルオロコポリマー。
[16]ヒドロフルオロプロペンモノマーが、HFO-1234ze、HFO-1234yf、及びこれらの組合せからなる群から選択される、[13]に記載のフルオロコポリマー。
[17]ヒドロフルオロプロペンモノマーがトランス-HFO-1234zeである、[16]に記載のフルオロコポリマー。
[18]約45モル%~約55モル%のクロロフルオロエチレンモノマーを含む、[13]に記載のフルオロコポリマー。
[19]クロロフルオロエチレンモノマーがCTFEである、[13]に記載のフルオロコポリマー。
[20]約10モル%~約40モル%のビニルエステル、ビニルエーテル、又はこれらの混合物を含む、[13]に記載のフルオロコポリマー。
[21]約20モル%~約40モル%のビニルエステル、ビニルエーテル、又はこれらの混合物を含む、[13]に記載のフルオロコポリマー。
[22]約3モル%~約20モル%のヒドロキシアルキルビニルエーテルを含む、[13]に記載のフルオロコポリマー。
[23]約3モル%~約10モル%のヒドロキシアルキルビニルエーテルを含む、[13]に記載のフルオロコポリマー。
[24](i)(1)約40モル%~約60モル%の量のトランス-HFO-1234zeから実質的に構成される1種類又は複数の第1のモノマー;
(2)約20モル%~約30モル%の量のCTFEから実質的に構成される1種類又は複数の第2のモノマー;
(3)(A)式:CH
2
=CR
1
-O(C=O)
x
R
2
(式中、xは1であり、R
1
は水素又はメチル基のいずれかであり、R
2
は、少なくとも1つの第3級又は少なくとも1つの第4級炭素原子を含めて6~8個の炭素原子を有する非置換の分岐鎖アルキル基である)によって表されるビニルエステルモノマー(ビニルエステルモノマーは、約5モル%~約45モル%の量で存在する);及び
(B)式:CH
2
=CR
3
-O-R
4
(式中、R
3
は水素又はメチル基のいずれかであり、R
4
は、1~3個の炭素原子を有する置換又は非置換の直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群から選択される)によって表される1種類又は複数のビニルエーテルモノマー(ビニルエーテルモノマーは、好ましくは約10モル%~約40モル%の量で存在する);
を含む1種類又は複数の第3のモノマー;及び
(4)式:CH
2
=CR
3
-O-R
5
-OH(式中、R
3
は水素又はメチル基のいずれかであり、R
5
は、置換又は非置換の直鎖又は分岐鎖C
3
~C
5
アルキルからなる群から選択される)によって表されるヒドロキシアルキルビニルエーテルから構成される1種類又は複数の第4のモノマー(ここで、第3のモノマーの量は、好ましくは約3モル%~約30モル%である);
の共重合によって形成される1種類以上のフルオロコポリマー:並びに
(ii)1種類以上のVOC化合物を含むキャリア;
を含み、
被覆組成物は約30重量%以下のキャリアを含むフルオロコポリマー被覆組成物。