IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンテック株式会社の特許一覧

特許7080180ガスバリア性積層シート、ガスバリア性積層シートの製造方法、及び電子部材又は光学部材
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】ガスバリア性積層シート、ガスバリア性積層シートの製造方法、及び電子部材又は光学部材
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/00 20180101AFI20220527BHJP
   C09J 7/10 20180101ALI20220527BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220527BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20220527BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220527BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20220527BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220527BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20220527BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220527BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220527BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
C09J7/00
C09J7/10
C09J7/38
C09J201/00
B32B27/00 B
H05B33/04
H05B33/14 A
H05B33/14 Z
H05B33/10
H05B33/02
G02F1/1333 505
G02F1/1333 500
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018550208
(86)(22)【出願日】2017-11-07
(86)【国際出願番号】 JP2017040065
(87)【国際公開番号】W WO2018088387
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-08-12
(31)【優先権主張番号】P 2016219498
(32)【優先日】2016-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108419
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 治仁
(72)【発明者】
【氏名】永縄 智史
(72)【発明者】
【氏名】古屋 拓己
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 健太
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/018602(WO,A1)
【文献】特開2013-006340(JP,A)
【文献】国際公開第2011/040441(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 27/00
H05B 33/04
H01L 51/50
H05B 33/14
H05B 33/10
H05B 33/02
G02F 1/1333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離シート(A)/ガスバリア層/接着性樹脂層/剥離シート(B)の層構造を有するガスバリア性積層シートであって、
前記ガスバリア層の、剥離シート(A)側の表面の算術平均粗さ(Ra)が5nm以下であり、前記表面の最大断面高さ(Rt)が100nm以下であり、
前記接着性樹脂層の、温度40℃、相対湿度90%の条件下における水蒸気透過率が、50μm厚み換算値で、50g/m /day以下であることを特徴とするガスバリア性積層シート。
【請求項2】
前記ガスバリア層が、無機蒸着膜からなるもの、又は、高分子化合物を含む層の表面が改質されてなるものである、請求項1に記載のガスバリア性積層シート。
【請求項3】
前記接着性樹脂層が、ゴム系接着性樹脂、ポリオレフィン系接着性樹脂、又はエポキシ系接着性樹脂を用いて形成されたものである、請求項1又は2に記載のガスバリア性積層シート。
【請求項4】
前記剥離シート(B)の、温度40℃、相対湿度90%の雰囲気下における水蒸気透過率が、1g/m/day以下である、請求項1~3のいずれかに記載のガスバリア性積層シート。
【請求項5】
電子部材用又は光学部材用の積層シートである、請求項1~4のいずれかに記載のガスバリア性積層シート。
【請求項6】
以下の工程1~3を有する、請求項1~5のいずれかに記載のガスバリア性積層シートの製造方法。
工程1:剥離性を有する面の算術平均粗さ(Ra)が5nm以下であり、剥離性を有する面の最大断面高さ(Rt)が100nm以下である第1の剥離シートの剥離性を有する面上に、ガスバリア層を形成して、ガスバリア層付き剥離シートを得る工程
工程2:第2の剥離シートの剥離性を有する面上に、接着性樹脂層を形成して、接着性樹脂層付き剥離シートを得る工程
工程3:前記ガスバリア層付き剥離シートと接着性樹脂層付き剥離シートとを、前記ガスバリア層付き剥離シートのガスバリア層と、前記接着性樹脂層付き剥離シートの接着性樹脂層とが対向するように貼り合わせる工程
【請求項7】
請求項1~5のいずれかに記載のガスバリア性積層シート由来のガスバリア層及び接着性樹脂層を備える電子部材又は光学部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止性能及び屈曲性に優れるガスバリア性積層シートとその製造方法、並びに、前記ガスバリア性積層シート由来のガスバリア層及び接着性樹脂層を備える電子部材及び光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL素子は、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な発光素子として注目されている。
しかし、有機EL素子には、時間の経過とともに、発光輝度、発光効率、発光均一性等の発光特性が低下し易いという問題があった。
【0003】
この発光特性が低下する問題の原因として、酸素や水分等が有機EL素子の内部に浸入し、電極や有機層を劣化させることが考えられる。そして、この問題を解決すべく、封止材を用いる方法がいくつか提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、基材上に、少なくとも片面にガスバリア層と粘着剤層とを有する封止用粘着シートであって、前記粘着剤層が、第1成分として重量平均分子量30万~50万のポリイソブチレン系樹脂(A)、第2成分として重量平均分子量1000~25万のポリブテン樹脂(B)、第3成分としてヒンダードアミン系光安定剤(C)及び/又はヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)を含み、ポリイソブチレン系樹脂(A)100質量部に対して、ポリブテン樹脂(B)を10~100質量部含む粘着剤組成物からなる、封止用粘着シートが記載されている。
特許文献1には、その封止用粘着シートは、水蒸気透過率が非常に低いことも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-057065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるように、基材上に、ガスバリア層と接着性樹脂層とを形成することで、封止性能に優れるガスバリア性積層シートを得ることができる。
しかしながら、従来の、基材層を有するガスバリア性積層シートは、屈曲性に劣ったり、薄くすることが困難であったりするという問題が生じる場合があった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、封止性能及び屈曲性に優れるガスバリア性積層シートとその製造方法、並びに、前記ガスバリア性積層シート由来のガスバリア層及び接着性樹脂層を備える電子部材及び光学部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく、ガスバリア層と接着性樹脂層とを有するガスバリア性積層シートについて鋭意検討した。その結果、1)ガスバリア層付き剥離シートと接着性樹脂層付き剥離シートとを製造し、これらのシートを、ガスバリア層付き剥離シートのガスバリア層と接着性樹脂層付き剥離シートの接着性樹脂層とが対向するように貼り合わせることで、基材層を有しないガスバリア性積層シート〔すなわち、剥離シート(A)/ガスバリア層/接着性樹脂層/剥離シート(B)の層構造のガスバリア性積層シート〕が得られること、2)この層構造を有するガスバリア性積層シートにおいては、前記ガスバリア層の、剥離シート(A)側表面の、算術平均粗さ(Ra)及び最大断面高さ(Rt)を特定値以下にすることにより、ガスバリア性に優れるガスバリア性積層シートを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
かくして本発明によれば、下記(1)~(5)のガスバリア性積層シート、(6)のガスバリア性積層シートの製造方法、及び(7)の電子部材又は光学部材が提供される。
(1)剥離シート(A)/ガスバリア層/接着性樹脂層/剥離シート(B)の層構造を有するガスバリア性積層シートであって、前記ガスバリア層の、剥離シート(A)側の表面の算術平均粗さ(Ra)が5nm以下であり、前記表面の最大断面高さ(Rt)が100nm以下であることを特徴とするガスバリア性積層シート。
(2)前記ガスバリア層が、無機蒸着膜からなるもの、又は、高分子化合物を含む層の表面が改質されてなるものである、(1)に記載の積層体。
(3)前記接着性樹脂層が、ゴム系接着性樹脂、ポリオレフィン系接着性樹脂、又はエポキシ系接着性樹脂を用いて形成されたものである、(1)又は(2)に記載のガスバリア性積層シート。
(4)前記剥離シート(B)の、温度40℃、相対湿度90%の雰囲気下における水蒸気透過率が、1g/m/day以下である、(1)~(3)のいずれかに記載のガスバリア性積層シート。
(5)電子部材用又は光学部材用の積層シートである、(1)~(4)のいずれかに記載のガスバリア性積層シート。
(6)以下の工程1~3を有する、(1)~(5)のいずれかに記載のガスバリア性積層シートの製造方法。
工程1:剥離性を有する面の算術平均粗さ(Ra)が5nm以下で、前記面の最大断面高さ(Rt)が100nm以下である第1の剥離シートの前記面)上に、ガスバリア層を形成して、ガスバリア層付き剥離シートを得る工程
工程2:第2の剥離シートの剥離性を有する面上に接着性樹脂層を形成して、接着性樹脂層付き剥離シートを得る工程
工程3:前記ガスバリア層付き剥離シートと接着性樹脂層付き剥離シートとを、前記ガスバリア層付き剥離シートのガスバリア層と、前記接着性樹脂層付き剥離シートの接着性樹脂層とが対向するように貼り合わせる工程
(7)前記(1)~(5)のいずれかに記載のガスバリア性積層シート由来のガスバリア層及び接着性樹脂層を備える電子部材又は光学部材。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、封止性能及び屈曲性に優れるガスバリア性積層シートとその製造方法、並びに、前記ガスバリア性積層シート由来のガスバリア層及び接着性樹脂層を備える電子部材及び光学部材が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を、1)ガスバリア性積層シート、2)ガスバリア性積層シートの製造方法、及び、3)電子部材又は光学部材、に項分けして詳細に説明する。
【0012】
1)ガスバリア性積層シート
本発明のガスバリア性積層シートは、剥離シート(A)/ガスバリア層/接着性樹脂層/剥離シート(B)の層構造を有するガスバリア性積層シートであって、前記ガスバリア層の、剥離シート(A)側の表面の、算術平均粗さ(Ra)が5nm以下で、前記表面の最大断面高さ(Rt)が100nm以下であることを特徴とする。
なお、本明細書において「シート」には、短冊状のもののみならず、長尺状(帯状)のものも含まれる。
「長尺」とは、シートの幅方向に対して、少なくとも5倍程度以上の長さを有する、好ましくは10倍もしくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻回されて保管又は運搬される程度の長さを有する、という意味である。
【0013】
〔ガスバリア層〕
本発明のガスバリア性積層シートを構成するガスバリア層は、酸素や水蒸気の透過を抑制する特性(本明細書において、「ガスバリア性」ということがある)を有する層である。
本発明のガスバリア性積層シートのガスバリア層の水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の雰囲気下で、通常1.0g/m/day以下であり、好ましくは0.8g/m/day以下であり、より好ましくは0.5g/m/day以下であり、さらに好ましくは0.1g/m/day以下である。本発明においては、ガスバリア層の水蒸気透過率は、実質上、粘接着性シートの水蒸気透過率の値と見なすものとする。粘接着性シートの水蒸気透過率は、公知のガス透過率測定装置を使用して測定することができる。具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0014】
ガスバリア層の厚みは、ガスバリア性と取り扱い性の観点から、通常、1~2000nm、好ましくは3~1000nm、より好ましくは5~500nm、さらに好ましくは40~200nmの範囲である。
【0015】
ガスバリア層の、剥離シート(A)側の表面の算術平均粗さ(Ra)は、5nm以下であり、3nm以下が好ましい。下限値は特にないが、通常は、0.1nm以上である。したがって、この表面の算術平均粗さ(Ra)は、通常、0.1~5nm、好ましくは0.1~3nmである。
ガスバリア層の、剥離シート(A)側の表面の最大断面高さ(Rt)は、100nm以下であり、50nm以下が好ましい。下限値は特にないが、通常は、10nm以上である。したがって、この表面の最大断面高さ(Rt)は、通常、10~100nm、好ましくは10~50nmである。このような表面を有するガスバリア層は、ガスバリア性により優れる。
このような表面を有するガスバリア層は、平滑性に優れる剥離シート(A)を用いることで効率よく形成することができる。
【0016】
ガスバリア層の表面の算術平均粗さ(Ra)や最大断面高さ(Rt)は、ガスバリア性積層シートから剥離シート(A)を剥がした後、露出したガスバリア層の表面を、光干渉顕微鏡により観察することで求めることができる。
光干渉顕微鏡による観察は、実施例に記載の方法に従って行うことができる。
【0017】
ガスバリア層は、ガスバリア性を有する限り、材質等は特に制限されない。例えば、無機蒸着膜からなるガスバリア層、ガスバリア性樹脂を含むガスバリア層、高分子化合物を含む層(以下、「高分子層」ということがある。)の表面が改質されてなるガスバリア層〔この場合、ガスバリア層とは、改質された領域のみを意味するのではなく、「改質された領域を含む高分子層」を意味する。〕等が挙げられる。
これらの中でも、薄く、ガスバリア性に優れる層を効率よく形成できることから、無機蒸着膜からなるガスバリア層、又は高分子層の表面が改質されてなるガスバリア層が好ましい。
【0018】
無機蒸着膜としては、無機化合物や金属の蒸着膜が挙げられる。
無機化合物の蒸着膜の原料としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等の無機酸化物;窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の無機窒化物;無機炭化物;無機硫化物;酸化窒化ケイ素等の無機酸化窒化物;無機酸化炭化物;無機窒化炭化物;無機酸化窒化炭化物等が挙げられる。
金属の蒸着膜の原料としては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及びスズ等が挙げられる。
これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
これらの中でも、ガスバリア性の点から、無機酸化物、無機窒化物又は金属を原料とする無機蒸着膜が好ましく、さらに、透明性の点から、無機酸化物又は無機窒化物を原料とする無機蒸着膜が好ましい。また、無機蒸着膜は、単層でもよく、多層でもよい。
【0020】
無機蒸着膜の厚みは、ガスバリア性と取り扱い性の観点から、好ましくは1~2000nm、より好ましくは3~1000nm、より好ましくは5~500nm、さらに好ましくは40~200nmの範囲である。
【0021】
無機蒸着膜を形成する方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等のCVD法、原子層堆積法(ALD法)が挙げられる。
【0022】
前記ガスバリア性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、又はその部分ケン化物、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の、酸素や水蒸気等を透過しにくい樹脂が挙げられる。
【0023】
ガスバリア性樹脂を含むガスバリア層の厚みは、ガスバリア性の観点から、好ましくは1~2000nm、より好ましくは3~1000nm、より好ましくは5~500nm、さらに好ましくは40~200nmの範囲である。
【0024】
ガスバリア性樹脂を含むガスバリア層を形成する方法としては、ガスバリア性樹脂を含む溶液を、剥離シート(A)上に塗布し、得られた塗膜を適宜乾燥する方法が挙げられる。
【0025】
樹脂溶液の塗布方法は特に限定されず、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、従来公知の乾燥方法を利用することができる。
【0026】
高分子層の表面が改質されてなるガスバリア層において、用いる高分子化合物としては、ケイ素含有高分子化合物、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、脂環式炭化水素系樹脂、芳香族系重合体等が挙げられる。
これらの高分子化合物は1種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
【0027】
高分子層は、高分子化合物の他に、本発明の目的を阻害しない範囲で他の成分を含有してもよい。他の成分としては、硬化剤、老化防止剤、光安定剤、難燃剤等が挙げられる。
高分子層中の高分子化合物の含有量は、よりガスバリア性に優れるガスバリア層を形成し得ることから、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
【0028】
高分子層の厚みは、特に制限されないが、通常20nmから50μm、好ましくは30nmから1μm、より好ましくは40nmから500nmである。
【0029】
高分子層は、例えば、高分子化合物を有機溶剤に溶解又は分散した液を、公知の塗布方法によって、剥離シート上に塗布し、得られた塗膜を乾燥することにより形成することができる。
【0030】
有機溶剤としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
これらの溶媒は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
塗布方法としては、バーコート法、スピンコート法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等が挙げられる。
【0032】
塗膜の乾燥方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、従来公知の乾燥方法が挙げられる。加熱温度は、通常、80~150℃であり、加熱時間は、通常、数十秒から数十分である。
【0033】
高分子層の表面を改質する方法としては、イオン注入処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、熱処理等が挙げられる。
イオン注入処理は、後述するように、加速させたイオンを高分子層に注入して、高分子層を改質する方法である。
プラズマ処理は、高分子層をプラズマ中に晒して、高分子層を改質する方法である。例えば、特開2012-106421号公報に記載の方法に従って、プラズマ処理を行うことができる。
紫外線照射処理は、高分子層に紫外線を照射して高分子層を改質する方法である。例えば、特開2013-226757号公報に記載の方法に従って、紫外線改質処理を行うことができる。
【0034】
これらのガスバリア層の中でも、よりガスバリア性に優れることから、ケイ素含有高分子化合物を含む層にイオン注入処理を施して得られるものが好ましい。
ケイ素含有高分子化合物としては、ポリシラザン系化合物、ポリカルボシラン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリオルガノシロキサン系化合物、ポリ(ジシラニレンフェニレン)系化合物、及びポリ(ジシラニレンエチニレン)系化合物等が挙げられ、ポリシラザン系化合物がより好ましい。
【0035】
ポリシラザン系化合物は、分子内に-Si-N-結合(シラザン結合)を含む繰り返し単位を有する化合物である。具体的には、式(1)
【0036】
【化1】
【0037】
で表される繰り返し単位を有する化合物が好ましい。また、用いるポリシラザン系化合物の数平均分子量は、特に限定されないが、100~50,000であるのが好ましい。
【0038】
前記式(1)中、nは任意の自然数を表す。Rx、Ry、Rzは、それぞれ独立して、水素原子、無置換若しくは置換基を有するアルキル基、無置換若しくは置換基を有するシクロアルキル基、無置換若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換若しくは置換基を有するアリール基又はアルキルシリル基等の非加水分解性基を表す。
【0039】
前記無置換若しくは置換基を有するアルキル基のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等の炭素数1~10のアルキル基が挙げられる。
【0040】
無置換若しくは置換基を有するシクロアルキル基のシクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基等の炭素数3~10のシクロアルキル基が挙げられる。
【0041】
無置換若しくは置換基を有するアルケニル基のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基等の炭素数2~10のアルケニル基が挙げられる。
【0042】
前記アルキル基、シクロアルキル基及びアルケニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;チオール基;エポキシ基;グリシドキシ基;(メタ)アクリロイルオキシ基;フェニル基、4-メチルフェニル基、4-クロロフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するアリール基;等が挙げられる。
【0043】
無置換又は置換基を有するアリール基のアリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等の炭素数6~15のアリール基が挙げられる。
【0044】
前記アリール基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;ヒドロキシル基;チオール基;エポキシ基;グリシドキシ基;(メタ)アクリロイルオキシ基;フェニル基、4-メチルフェニル基、4-クロロフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するアリール基;等が挙げられる。
【0045】
アルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリt-ブチルシリル基、メチルジエチルシリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、メチルシリル基、エチルシリル基等が挙げられる。
【0046】
これらの中でも、Rx、Ry、Rzとしては、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又はフェニル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0047】
前記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリシラザン系化合物としては、Rx、Ry、Rzが全て水素原子である無機ポリシラザン、Rx、Ry、Rzの少なくとも1つが水素原子ではない有機ポリシラザンのいずれであってもよい。
【0048】
また、本発明においては、ポリシラザン系化合物として、ポリシラザン変性物を用いることもできる。ポリシラザン変性物としては、例えば、特開昭62-195024号公報、特開平2-84437号公報、特開昭63-81122号公報、特開平1-138108号公報等、特開平2-175726号公報、特開平5-238827号公報、特開平5-238827号公報、特開平6-122852号公報、特開平6-306329号公報、特開平6-299118号公報、特開平9-31333号公報、特開平5-345826号公報、特開平4-63833号公報等に記載されているものが挙げられる。
これらの中でも、ポリシラザン系化合物としては、入手容易性、及び優れたガスバリア性を有するイオン注入層を形成できる観点から、Rx、Ry、Rzが全て水素原子であるペルヒドロポリシラザンが好ましい。
また、ポリシラザン系化合物としては、ガラスコーティング材等として市販されている市販品をそのまま使用することもできる。
ポリシラザン系化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
高分子層に注入するイオンとしては、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスのイオン;フルオロカーボン、水素、窒素、酸素、二酸化炭素、塩素、フッ素、硫黄等のイオン;メタン、エタン等のアルカン系ガス類のイオン;エチレン、プロピレン等のアルケン系ガス類のイオン;ペンタジエン、ブタジエン等のアルカジエン系ガス類のイオン;アセチレン等のアルキン系ガス類のイオン;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系ガス類のイオン;シクロプロパン等のシクロアルカン系ガス類のイオン;シクロペンテン等のシクロアルケン系ガス類のイオン;金属のイオン;有機ケイ素化合物のイオン;等が挙げられる。
これらのイオンは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、より簡便にイオンを注入することができ、より優れたガスバリア性を有するガスバリア層を形成し得ることから、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスのイオンが好ましい。
【0050】
イオンの注入量は、積層シートの使用目的(必要なガスバリア性、透明性等)等に合わせて適宜決定することができる。
【0051】
イオンを注入する方法としては、電界により加速されたイオン(イオンビーム)を照射する方法、プラズマ中のイオンを注入する方法等が挙げられる。なかでも、簡便に目的のガスバリア層を形成できることから、後者のプラズマ中のイオンを注入する方法(プラズマイオン注入法)が好ましい。
【0052】
プラズマイオン注入法は、例えば、希ガス等のプラズマ生成ガスを含む雰囲気下でプラズマを発生させ、高分子層に負の高電圧パルスを印加することにより、該プラズマ中のイオン(陽イオン)を、高分子層の表面部に注入して行うことができる。プラズマイオン注入法は、より具体的には、WO2010/107018号パンフレット等に記載された方法により実施することができる。
【0053】
イオン注入により、イオンが注入される領域の厚みは、イオンの種類や印加電圧、処理時間等の注入条件により制御することができ、高分子層の厚みや積層体の使用目的等に応じて決定すればよいが、通常、10~400nmである。
【0054】
イオンが注入されたことは、X線光電子分光分析(XPS)を用いて高分子層の表面から10nm付近の元素分析測定を行うことによって確認することができる。
【0055】
〔接着性樹脂層〕
本発明のガスバリア性積層シートを構成する接着性樹脂層は、被着物との接着に用いられる層である。
【0056】
接着性樹脂層としては、ゴム系接着性樹脂、ポリオレフィン系接着性樹脂、エポキシ系接着性樹脂等の接着性樹脂を用いて形成されたものが挙げられる。
これらの接着性樹脂を用いることで、ガスバリア性に優れる接着性樹脂層を効率よく形成することができる。
ガスバリア性に優れる接着性樹脂層を有する積層シートは、その端部からの水分等の浸入も遮断することができるため、封止材の形成材料として好ましく用いられる。
本発明において、接着性樹脂とは、粘着剤、接着剤、粘接着剤等の接合剤を意味する。
【0057】
ゴム系接着性樹脂としては、天然ゴム、天然ゴムに(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン、(メタ)アクリロニトリルから選ばれる1種又は2種以上の単量体をグラフト重合させた変性天然ゴムを主成分とする接着性樹脂;イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル-ブタジエンゴム、ウレタンゴム、ポリイソブチレン系樹脂、ポリブテン樹脂等を主成分とする接着性樹脂;等が挙げられる。
これらの中でもポリイソブチレン系樹脂を主成分とする接着性樹脂が好ましい。
本明細書において、「主成分」とは、固形分中、50質量%以上を占める成分をいう。
【0058】
ポリオレフィン系接着性樹脂としては、変性ポリオレフィン樹脂を主成分とする接着性樹脂が挙げられる。
変性ポリオレフィン系樹脂は、前駆体としてのポリオレフィン樹脂に、変性剤を用いて変性処理を施して得られる、官能基が導入されたポリオレフィン樹脂である。
【0059】
ポリオレフィン樹脂としては、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体、オレフィン系エラストマー(TPO)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
【0060】
ポリオレフィン樹脂の変性処理に用いる変性剤は、分子内に、官能基、すなわち、後述する架橋反応に寄与し得る基を有する化合物である。
官能基としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、水酸基、エポキシ基、アミド基、アンモニウム基、ニトリル基、アミノ基、イミド基、イソシアネート基、アセチル基、チオール基、エーテル基、チオエーテル基、スルホン基、ホスホン基、ニトロ基、ウレタン基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、水酸基、アンモニウム基、アミノ基、イミド基、イソシアネート基が好ましく、カルボン酸無水物基、アルコキシシリル基がより好ましく、カルボン酸無水物基が特に好ましい。
【0061】
エポキシ系接着性樹脂としては、脂肪鎖変性エポキシ樹脂、シクロペンタジエン変性エポキシ樹脂やナフタレン変性エポキシ樹脂等の炭化水素変性エポキシ樹脂、エラストマー変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂を主成分とする接着性樹脂が挙げられる。
【0062】
これらの接着性樹脂は、必要に応じて、硬化剤、架橋剤、重合開始剤、光安定剤、酸化防止剤、粘着付与剤、可塑剤、紫外線吸収剤、着色剤、樹脂安定剤、充てん剤、顔料、増量剤、帯電防止剤等を含有してもよい。
これらの成分は、各接着性樹脂に応じて適宜選択して用いることができる。
【0063】
接着性樹脂層を形成する方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
例えば、所定の成分を含有する接着性樹脂層形成用溶液を調製し、これを剥離シート(B)上に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱や活性エネルギー線を照射することで、接着性樹脂層を形成することができる。
塗布及び乾燥方法としては、ガスバリア層の形成方法の中で挙げた方法を用いることができる。
【0064】
接着性樹脂層の厚みは、ガスバリア性積層シートの使用目的等を考慮して適宜選定することができる。その厚みは、通常、0.1~1000μm、好ましくは0.5~500μm、より好ましくは1~100μm、さらに好ましくは1~10μmである。
0.1μm以上であれば、十分な粘着力又は接着力を有するガスバリア性積層シートが得られる。1000μm以下であれば、ガスバリア性積層シートの折り曲げ性が良好であり、また、生産性や取り扱い性の点で有利である。
【0065】
接着性樹脂層の水蒸気透過率は、50μm厚み換算値で、100g/m/day以下が好ましく、50g/m/day以下がより好ましい。
接着性樹脂層の水蒸気透過率(50μm厚み換算値)が、100g/m/day以下であることで、積層シートの端部からの水蒸気等の浸入をより抑制することができる。
接着性樹脂層の水蒸気透過率は、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のガスバリア性が低い支持体上に粘着剤層を形成したものを試料として測定することができる。また、水蒸気透過率は、接着性樹脂層の厚みに反比例することを利用して、厚みが50μmのときの水蒸気透過率を算出することができる。
【0066】
〔剥離シート(A)〕
本発明のガスバリア性積層シートを構成する剥離シート(A)は、ガスバリア性積層シートの一方の最外層であり、ガスバリア層に隣接するものである。
剥離シート(A)は、ガスバリア層を形成する際に支持体として機能するとともに、ガスバリア性積層シートを運搬したり、保管したりする際には保護層としても機能する。
最終的には、剥離シート(A)と後述する剥離シート(B)は剥離除去され、残りのガスバリア層と接着性樹脂層は、封止材等として利用される。
【0067】
剥離シート(A)としては、紙やプラスチックフィルム等の剥離基材に剥離剤を塗布し剥離剤層を設けたものが挙げられる。
剥離基材としては、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;上記基材に、セルロース、デンプン、ポリビニルアルコール、アクリル-スチレン樹脂等で目止め処理を行った紙基材;あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムやポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム等のプラスチックフィルム;等が挙げられる。
【0068】
剥離剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー;長鎖アルキル系樹脂;アルキド系樹脂;フッ素系樹脂;シリコーン系樹脂;等を含むものが挙げられる。
【0069】
剥離剤層の厚みは、特に制限されないが、剥離剤を溶液状態で塗工する場合は好ましくは0.02~2.0μm、より好ましくは0.05~1.5μmである。
【0070】
剥離シート(A)のガスバリア層側の表面〔剥離性を有する面(剥離剤層面)。以下にて同じ。〕の算術平均粗さ(Ra)は、5nm以下が好ましく、3nm以下がより好ましい。下限値は特にないが、通常は、0.1nm以上である。したがって、剥離シート(A)のガスバリア層側の表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.1~5nmが好ましく、0.1~3nmがより好ましい。
剥離シート(A)のガスバリア層側の表面の最大断面高さ(Rt)は、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。下限値は特にないが、通常は、10nm以上である。したがって、剥離シート(A)のガスバリア層側の表面の最大断面高さ(Rt)は、10~100nmが好ましく、10~50nmがより好ましい。
【0071】
上記の算術平均粗さ(Ra)や最大断面高さ(Rt)が大きくなりすぎると、その凹凸が隣接するガスバリア層の表面に反映され、ガスバリア層の表面にも凹凸が生じることになり、ガスバリア性に優れるガスバリア性積層シートが得られ難くなる。特に、ガスバリア層が薄い場合、その表面に凹凸が生じることで、部分的に極めて薄くなる結果、ガスバリア層全体のガスバリア性が大きく低下することになる。
【0072】
ガスバリア性積層シートの製造前であれば、剥離シート(A)の算術平均粗さ(Ra)や最大断面高さ(Rt)は、その製造用の剥離シートの表面を、光干渉顕微鏡により観察することで求めることができる。
また、ガスバリア性積層シートの製造後であれば、剥離シート(A)のガスバリア層側の表面の算術平均粗さ(Ra)や最大断面高さ(Rt)は、ガスバリア性積層シートから剥離シート(A)を剥がした後、剥離した剥離シート(A)のガスバリア層側の表面を、光干渉顕微鏡により観察することで求めることができる。
光干渉顕微鏡による観察は、実施例に記載の方法に従って行うことができる。
【0073】
〔剥離シート(B)〕
本発明のガスバリア性積層シートを構成する剥離シート(B)は、ガスバリア性積層シートのもう一方の最外層であり、接着性樹脂層に隣接するものである。
剥離シート(B)は、接着性樹脂層を形成する際に支持体として機能するとともに、ガスバリア性積層シートを運搬したり、保管したりする際には保護層としても機能する。
最終的には、剥離シート(B)は、剥離シート(A)と同様に剥離除去され、残りのガスバリア層と接着性樹脂層は、封止材等として利用される。
【0074】
剥離シート(B)としては、剥離シート(A)と同様のものが挙げられる。
なかでも、剥離シート(B)としては、温度40℃、相対湿度90%の雰囲気下における水蒸気透過率が、10g/m/day以下のものが好ましく、1g/m/day以下のものがより好ましい。
剥離シート(B)の水蒸気透過率が低いことで、本発明のガスバリア性積層シートの保管時に、剥離シート(B)を通過して接着性樹脂層に水分が浸入するのを防ぐことができる。このため、このようなガスバリア性積層シートは、長期間保管した後であっても、封止材の形成用積層シートとして好ましく用いることができる。
【0075】
上記の水蒸気透過率の剥離シート(B)は、ガスバリア性樹脂製の剥離基材を用いたり、ガスバリア層を設けたりすることにより得ることができる。
ガスバリア性樹脂としては、先にガスバリア性積層シートのガスバリア層の説明の中で例示したものが挙げられる。
剥離シート(B)に設けるガスバリア層としては、先にガスバリア性積層シートのガスバリア層として例示したガスバリア層が挙げられる。
【0076】
剥離シート(B)の接着性樹脂層側の表面〔剥離性を有する面(剥離剤層が形成された面)。以下にて同じ。〕の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは5nm以下であり、3nm以下がより好ましい。下限値は特にないが、通常は、0.1nm以上である。したがって、剥離シート(B)の接着性樹脂層側の表面の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは、0.1~5nm、より好ましくは0.1~3nmである。
剥離シート(B)の接着性樹脂層側の表面の最大断面高さ(Rt)は、好ましくは100nm以下であり、50nm以下がより好ましい。下限値は特にないが、通常は、10nm以上である。したがって、剥離シート(B)の接着性樹脂層側の表面の最大断面高さ(Rt)は、好ましくは、10~100nm、より好ましくは10~50nmである。
【0077】
接着性樹脂層が薄い場合、剥離シート(B)の凹凸が、ガスバリア層の接着性樹脂層側の面に反映され、ガスバリア層の接着性樹脂層側の面にも凹凸が生じることになる。このため、上記と同様の理由で、剥離シート(B)の接着性樹脂層側の表面は平滑性に優れることが好ましい。
【0078】
〔ガスバリア性積層シート〕
本発明のガスバリア性積層シートは、上記した、ガスバリア層、接着性樹脂層、剥離シート(A)及び剥離シート(B)を有し、層構造が、剥離シート(A)/ガスバリア層/接着性樹脂層/剥離シート(B)のものである。
本発明のガスバリア性積層シートは、基材層を有しないため、屈曲性に優れる。また、前記ガスバリア層及び接着性樹脂層を有するため、封止性能に優れる。
【0079】
本発明のガスバリア性積層シートの実質的な厚み(剥離シート以外の層の合計厚み)は、通常、0.1~1000μm、好ましくは0.5~500μm、より好ましくは1~100μmである。
【0080】
本発明のガスバリア性積層シートは、電子部材用又は光学部材用の積層シートとして好適に用いられる。特に、本発明のガスバリア性積層シートを用いることで、有機EL素子等の封止材を効率よく形成することができる。
【0081】
本発明のガスバリア性積層シートの使用方法は特に限定されない。例えば、本発明のガスバリア性積層シートから剥離シート(B)を剥離して接着性樹脂層を露出させ、この接着性樹脂層を有機EL素子等と圧着させた後、剥離シート(A)を剥離除去することにより、有機EL素子を封止することができる。
【0082】
同様にして、露出した接着性樹脂層を、その他の電子部材や光学部材と圧着させた後、剥離シート(A)を剥離除去することにより、電子部材や光学部材の耐湿性を向上させることができる。
【0083】
2)ガスバリア性積層シートの製造方法
本発明のガスバリア性積層シートを製造する方法は特に制限されない。本発明のガスバリア性積層シートは、例えば、以下の工程1~3を有する方法を使用して製造することができる。
【0084】
工程1:剥離性を有する面の算術平均粗さ(Ra)が5nm以下であり、剥離性を有する面の最大断面高さ(Rt)が100nm以下である第1の剥離シートの剥離性を有する面上に、ガスバリア層を形成して、ガスバリア層付き剥離シートを得る工程
工程2:第2の剥離シートの剥離性を有する面上に、接着性樹脂層を形成して、接着性樹脂層付き剥離シートを得る工程
工程3:前記ガスバリア層付き剥離シートと接着性樹脂層付き剥離シートとを、前記ガスバリア層付き剥離シートのガスバリア層と、前記接着性樹脂層付き剥離シートの接着性樹脂層とが対向するように貼り合わせる工程
【0085】
工程1で用いる第1の剥離シートは、最終的に、本発明のガスバリア性積層シートにおける剥離シート(A)になるものである。
工程1において、ガスバリア層は、先に説明した方法により形成することができる。
【0086】
工程2で用いる第2の剥離シートは、最終的に、本発明のガスバリア性積層シートにおける剥離シート(B)になるものである。
工程2において、接着性樹脂層は、先に説明した方法により形成することができる。
【0087】
工程3において、ガスバリア層付き剥離シートと接着性樹脂層付き剥離シートとを貼り合わせは、公知のラミネート技術を用いて行うことができる。
【0088】
3)ガスバリア性積層シートを備える電子部材又は光学部材
本発明の電子部材及び光学部材は、上記のガスバリア性積層シート由来のガスバリア層及び接着性樹脂層を備えることを特徴とする。
本発明の電子部材及び光学部材は、例えば、上記のガスバリア性積層シートの剥離シート(B)を剥離して接着性樹脂層を露出させた後、これを所定の面に貼着し、残りの剥離シート(A)を剥離することにより得ることができる。
電子部材としては、例えば、液晶ディスプレイ部材、有機ELディスプレイ部材、無機ELディスプレイ部材、電子ペーパー部材、太陽電池、熱電変換部材等のフレキシブル基板等が挙げられる。
光学部材としては、例えば、光学フィルター、波長変換デバイス、調光デバイス、偏光板、位相差板の光学部材等が挙げられる。
【実施例
【0089】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例になんら限定されるものではない。
各例中の部及び%は、特に断りのない限り、質量基準である。
【0090】
[剥離シートの表面粗さ]
剥離シートの表面粗さは、光干渉顕微鏡(Veeco社製、NT8000)を用いて、1辺100μmの正方形の領域を倍率50倍で観察して測定した。
【0091】
[ガスバリア層の表面粗さ]
ガスバリア層の表面粗さは、積層シートから剥離シートを剥離して露出したガスバリア層の1辺100μmの正方形の領域を、光干渉顕微鏡(Veeco社製、NT8000)を用いて、倍率50倍で観察して測定した。
【0092】
[水蒸気透過率測定]
ガスバリア性積層シートと剥離シート(B)の水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の条件下で、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、AQUATRAN又はPERMATRAN)を用いて測定した。
接着性樹脂層の水蒸気透過率は、温度40℃、相対湿度90%の条件下で、水蒸気透過率測定装置(LYSSY社製、L80-5000)を用いて測定した。第1表中には、50μm厚み換算値を示す。
【0093】
[有機EL湿熱試験]
<ボトムエミッション型有機EL素子の作製>
下記の方法により、ガラス基板上に陽極、発光層及び陰極をこの順で積層し、有機EL素子を形成した。
まず、ガラス基板の表面に酸化インジウムスズ(ITO)膜(厚み:150nm、シート抵抗:30Ω/□)をスパッタリング法により形成し、次いで、溶媒洗浄およびUV/オゾン処理を行うことで陽極を作製した。
得られた陽極(ITO膜)上に、N,N’-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジデン(Luminescence Technology社製)の蒸着膜(厚み:60nm)、トリス(8-ヒドロキシ-キノリネート)アルミニウム(Luminescence Technology社製)の蒸着膜(厚み:40nm)、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(Luminescence Technology社製)の蒸着膜(厚み:10nm)、(8-ヒドロキシ-キノリノレート)リチウム(Luminescence Technology社製)の蒸着膜(厚み:10nm)を順次形成し(形成速度:0.1~0.2nm/s)、発光層を形成した。
得られた発光層上に、アルミニウム(Al)(高純度化学研究所社製)を0.1nm/sの速度で100nm蒸着させて陰極を形成し、有機EL素子を得た。
なお、蒸着時の真空度は、全て1×10-4Pa以下であった。
【0094】
<素子の封止・湿熱試験>
グローブボックス中にてガスバリア性積層シートの剥離シート(B)を剥離し、露出した接着性樹脂層を有機EL素子に貼り合わせた後、剥離シート(A)を剥離した。
このものを、温度23℃、相対湿度50%の環境下に500時間静置させた後、発光状態を観察した。
評価は、下記式で算出される発光面積比が95%以上のものを良好とし、95%以下のものを不良として行った。
なお、接着性樹脂層(1)においては、熱硬化反応を要するため、剥離シート(A)を剥離した後、100℃、2時間の条件で硬化反応を行った後、湿熱試験を行った。
【0095】
【数1】
【0096】
式中、αは、湿熱条件下に置いた後の有機EL素子の発光面積であり、αは、湿熱条件下に置く前の有機EL素子の発光面積である。
【0097】
実施例又は比較例で用いた剥離シートは以下のとおりである。
〔剥離シート(A1)〕
付加反応型のシリコーン樹脂(東レダウコーニング社製、SD7328、固形分30%)55部、剥離調整剤(重剥離添加剤)(東レダウコーニング社製、SD7292、固形分65%)21部の混合物をトルエンに溶解した。得られた溶液に白金触媒(東レダウコーニング社製、SRX-212、固形分100%)2部及びSi-H架橋剤(東レダウコーニング社製、SP7297、固形分100%)1.9部を添加し、固形分濃度1.5%の剥離剤塗工液を調製した。
得られた剥離剤塗工液を、基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4100、厚み50μm)の非処理面に、乾燥後の厚みが200nmとなるようにグラビアコート法により均一に塗工した。次いで、乾燥機を用いて、135℃で1分間加熱乾燥して剥離剤層を形成し、剥離シート(A1)を得た。
【0098】
〔剥離シート(A2)〕
基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300、厚み50μm)を用いたこと以外は剥離シート(A1)の製造方法と同様にして剥離シート(A2)を得た。
【0099】
〔剥離シート(A3)〕
基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーU34、厚み50μm)を用いたこと以外は剥離シート(A1)の製造方法と同様にして剥離シート(A3)を得た。
【0100】
〔剥離シート(A4)〕
基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂株式会社製、ダイアホイルT600、厚み50μm)を用いたこと以外は剥離シート(A1)の製造方法と同様にして剥離シート(A4)を得た。
【0101】
〔剥離シート(A5)〕
市販の剥離シート(リンテック株式会社製、SP-PFS50AL-5、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートの片面に剥離層を設けてなるもの)を剥離シート(A5)として用いた。
【0102】
〔剥離シート(B1)〕
市販の剥離シート(リンテック株式会社製、SP-PET381031、厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン剥離層を設けてなるもの)を剥離シート(B1)として用いた。
【0103】
〔剥離シート(B2)〕
熱硬化付加反応型シリコーン(信越化学工業社製、KS-847H)100部および硬化剤(信越化学工業社製、CAT-PL-50T)1部をトルエンで希釈し、固形分2.0%の剥離剤塗工液を調製した。
一方で、ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂株式会社製、ダイアホイルT-100、厚み50μm)に、スパッタリング法にて厚み60nmの酸窒化珪素からなるガスバリア層を形成した。このガスバリア層上に、上記の剥離剤塗工液を、乾燥後の厚みが100nmとなるようにグラビアコート法により均一に塗工した。次いで、乾燥機を用いて130℃で1分間加熱乾燥して剥離剤層を形成し、剥離シート(B2)を得た。
【0104】
[製造例1]接着性樹脂塗工液(1)の調製
変性ポリオレフィン系樹脂(α-オレフィン重合体、三井化学株式会社製、ユニストールH-200、数平均分子量260000)100部、エポキシ樹脂(共栄社化学株式会社製、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポライト4000)25部およびイミダゾール系硬化触媒(四国化成株式会社製、キュアゾール2E4MZ)1部をメチルエチルケトンに溶解し、固形分濃度18%の接着性樹脂塗工液(1)を得た。
【0105】
[製造例2]接着性樹脂塗工液(2)の調製
イソブチレンとイソプレンの共重合体(日本ブチル株式会社製、Exxon Butyl 268、数平均分子量260,000、イソプレンの含有率1.7モル%)100部、粘着付与剤(日本ゼオン株式会社製、クイントンA100)20部をトルエンに溶解させ、固形分濃度20%の接着性樹脂塗工液(2)を得た。
【0106】
[製造例3]接着性樹脂塗工液(3)の調製
n-ブチルアクリレートとアクリル酸とを、質量比95:5で重合させて得られたアクリル酸エステル系共重合体(質量平均分子量:約120万)の酢酸エチル溶液(固形分濃度18%)100部に、架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネートを0.1部混合して、接着性樹脂塗工液(3)を得た。
【0107】
[製造例4]
剥離シート(A1)の剥離層面に、スパッタリング法により厚み200nmの酸窒化珪素からなるガスバリア層(1)を形成して、ガスバリア層(1)付き剥離シート(A1)を得た。
【0108】
[製造例5]
剥離シート(A1)の剥離層面に、ポリシラザン化合物(ペルヒドロポリシラザンを主成分とするコーティング剤(アクアミカNL-110-20、メルクパフォーマンスマテリアルズ合同会社製)をスピンコート法により塗布し、120℃で1分間加熱して、ペルヒドロポリシラザンを含む、厚み100nmの層(ポリシラザン層)を形成した。
次に、プラズマイオン注入装置(RF電源:「RF」56000、日本電子社製,高電圧パルス電源:PV-3-HSHV-0835、栗田製作所社製)を用いて、ガス流量100sccm、Duty比0.5%、印加DC電圧-10kV、周波数1000Hz、印加RF電力1000W、内圧0.2Pa、DCパルス幅5μsec、処理時間200秒の条件でアルゴンガス由来のイオンをポリシラザン層の表面に注入してガスバリア層(2)を形成して、ガスバリア層(2)付き剥離シート(A1)を得た。
【0109】
[製造例6]
剥離シート(A1)に代えて、剥離シート(A2)を用いたこと以外は、製造例4と同様にして、ガスバリア層(1)付き剥離シート(A2)を得た。
【0110】
[製造例7]
剥離シート(A1)に代えて、剥離シート(A3)を用いたこと以外は、製造例4と同様にして、ガスバリア層(1)付き剥離シート(A3)を得た。
【0111】
[製造例8]
剥離シート(A1)に代えて、剥離シート(A4)を用いたこと以外は、製造例4と同様にして、ガスバリア層(1)付き剥離シート(A4)を得た。
【0112】
[製造例9]
剥離シート(A1)に代えて、剥離シート(A5)を用いたこと以外は、製造例4と同様にして、ガスバリア層(1)付き剥離シート(A5)を得た。
【0113】
[製造例10]
剥離シート(B1)の剥離層面に、接着性樹脂塗工液(1)をグラビアコート法にて塗布し、110℃で1分間乾燥して、厚み約1μmの接着性樹脂層(1)を形成して、接着性樹脂層(1)付き剥離シート(B1)を得た。
【0114】
[製造例11]
接着性樹脂塗工液(1)に代えて、接着性樹脂塗工液(2)を用いたこと以外は、製造例10と同様にして、接着性樹脂層(2)付き剥離シート(B1)を得た。
【0115】
[製造例12]
剥離シート(B2)の剥離層面に、接着性樹脂塗工液(1)をグラビアコート法にて塗布し、110℃で1分間乾燥させて、厚み約1μmの粘着剤層(1)を形成して、接着性樹脂層(1)付き剥離シート(B2)を得た。
【0116】
[製造例13]
接着性樹脂塗工液(1)に代えて、接着性樹脂塗工液(3)を用いたこと以外は、製造例10と同様にして、接着性樹脂層(3)付き剥離シート(B1)を得た。
【0117】
[実施例1]
製造例4で得たガスバリア層(1)付き剥離シート(A1)のガスバリア層(1)と、製造例10で得た接着性樹脂層(1)付き剥離シート(B1)の接着性樹脂層(1)とを貼り合わせることで、〔剥離シート(A1)/ガスバリア層(1)/接着性樹脂層(1)/剥離シート(B1)〕の構成のガスバリア性積層シートを得た。
【0118】
[実施例2]
製造例5で得たガスバリア層(2)付き剥離シート(A1)のガスバリア層(2)と、製造例10で得た接着性樹脂層(1)付き剥離シート(B1)の接着性樹脂層(1)とを貼り合わせることで、〔剥離シート(A1)/ガスバリア層(2)/接着性樹脂層(1)/剥離シート(B1)〕の構成のガスバリア性積層シートを得た。
【0119】
[実施例3]
製造例4で得たガスバリア層(1)付き剥離シート(A1)のガスバリア層(1)と、製造例11で得た接着性樹脂層(2)付き剥離シート(B1)の接着性樹脂層(2)とを貼り合わせることで、〔剥離シート(A1)/ガスバリア層(1)/接着性樹脂層(2)/剥離シート(B1)〕の構成のガスバリア性積層シートを得た。
【0120】
[実施例4]
製造例6で得たガスバリア層(1)付き剥離シート(A2)のガスバリア層(1)と、製造例10で得た接着性樹脂層(1)付き剥離シート(B1)の接着性樹脂層(1)とを貼り合わせることで、〔剥離シート(A2)/ガスバリア層(1)/接着性樹脂層(1)/剥離シート(B1)〕の構成のガスバリア性積層シートを得た。
【0121】
[実施例5]
製造例7で得たガスバリア層(1)付き剥離シート(A3)のガスバリア層(1)と、製造例10で得た接着性樹脂層(1)付き剥離シート(B1)の接着性樹脂層(1)とを貼り合わせることで、〔剥離シート(A3)/ガスバリア層(1)/接着性樹脂層(1)/剥離シート(B1)〕の構成のガスバリア性積層シートを得た。
【0122】
[実施例6]
製造例4で得たガスバリア層(1)付き剥離シート(A1)のガスバリア層(1)と、製造例12で得た接着性樹脂層(1)付き剥離シート(B2)の接着性樹脂層(1)とを貼り合わせることで、〔剥離シート(A1)/ガスバリア層(1)/接着性樹脂層(1)/剥離シート(B2)〕の構成のガスバリア性積層シートを得た。
【0123】
[比較例1]
製造例8で得たガスバリア層(1)付き剥離シート(A4)のガスバリア層(1)と、製造例10で得た接着性樹脂層(1)付き剥離シート(B1)の接着性樹脂層(1)とを貼り合わせることで、〔剥離シート(A4)/ガスバリア層(1)/接着性樹脂層(1)/剥離シート(B1)〕の構成のガスバリア性積層シートを得た。
【0124】
[比較例2]
製造例4で得たガスバリア層(1)付き剥離シート(A1)のガスバリア層(1)と、製造例13で得た接着性樹脂層(3)付き剥離シート(B1)の接着性樹脂層(3)とを貼り合わせることで、〔剥離シート(A1)/ガスバリア層(1)/接着性樹脂層(3)/剥離シート(B1)〕の構成のガスバリア性積層シートを得た。
【0125】
[比較例3]
製造例9で得たガスバリア層(1)付き剥離シート(A5)のガスバリア層(1)と、製造例10で得た接着性樹脂層(1)付き剥離シート(B1)の接着性樹脂層(1)とを貼り合わせることで、〔剥離シート(A5)/ガスバリア層(1)/接着性樹脂層(1)/剥離シート(B1)〕の構成のガスバリア性積層シートを得た。
【0126】
実施例及び比較例で得られたガスバリア性積層シートの層構造及び各層の物性を第1表に示し、試験結果を第2表に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
第1表、第2表から以下のことが分かる。
本願実施例で得られたガスバリア性積層シートは、水蒸気透過率が低く、封止性能に優れる。
一方、比較例1、3のガスバリア性積層シートは、ガスバリア層の表面が粗い。その結果、水蒸気透過率は高く、また封止性能に劣っている。
比較例2のガスバリア性積層シートのガスバリア層はガスバリア性に優れるものであるため、ガスバリア性積層シートの水蒸気透過率は低い。しかしながら、実際に封止材として使用する場合は、接着性樹脂層の水蒸気透過率が影響する結果、十分な封止性能を有していない。