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特許7080185エンハンスメントモードFETドライバIC
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】エンハンスメントモードFETドライバIC
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/04 20060101AFI20220527BHJP
   H03K 17/06 20060101ALI20220527BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
H03K17/04 E
H03K17/06 063
H03K17/687 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018560037
(86)(22)【出願日】2017-05-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 US2017034461
(87)【国際公開番号】W WO2017205618
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】62/341,318
(32)【優先日】2016-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511243668
【氏名又は名称】エフィシエント パワー コンヴァーション コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】デ ローイ,マイケル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ロイシュ,デイヴィッド シー.
(72)【発明者】
【氏名】ビスワス,スヴァンカー
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0079979(US,A1)
【文献】特開2016-039440(JP,A)
【文献】特開2015-115953(JP,A)
【文献】特開2012-078839(JP,A)
【文献】特開2009-278386(JP,A)
【文献】特表2011-509629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M1/00-H02M1/44
H03K17/00-H03K17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンハンスメントモードGaN電界効果トランジスタであるメインFETを駆動する集積ゲートドライバ回路であって、
ゲートドライバと、
前記ゲートドライバへ接続された低電圧誤作動防止回路と
を単一チップに完全に集積されて有し、
前記ゲートドライバは、
供給電圧に等しい論理ハイ又は接地電圧に等しい論理ローを出力する論理インバータ回路と、
前記論理インバータ回路からの論理出力を受け、前記論理ハイの電圧振幅を倍増させたデジタル信号を生成するレベルシフタ回路と、
前記レベルシフタ回路からの前記デジタル信号に応答して前記メインFETを駆動する出力段と
を有し、
前記低電圧誤作動防止回路は、
所定の電圧基準を生成する電圧基準回路と、
前記電圧基準回路の出力を受け、供給電圧が前記所定の電圧基準を下回る場合に前記ゲートドライバの動作を阻止するコンパレータと
を有する、
集積ゲートドライバ回路。
【請求項2】
当該集積ゲートドライバ回路内の全てのトランジスタは、エンハンスメントモードGaN電界効果トランジスタである、
請求項1に記載の集積ゲートドライバ回路。
【請求項3】
前記単一チップに集積された前記メインFETを更に有する
請求項2に記載の集積ゲートドライバ回路。
【請求項4】
前記出力段は、ハイサイド・エンハンスメントモードGaNトランジスタとローサイド・エンハンスメントモードGaNトランジスタとから形成されたハーフブリッジ回路を有し、前記ハイサイド・エンハンスメントモードGaNトランジスタ及び前記ローサイド・エンハンスメントモードGaNトランジスタは、2つの相補入力に従って、互いに反転したスイッチ動作を有している
請求項1に記載の集積ゲートドライバ回路。
【請求項5】
前記メインFETの駆動を制御する前記デジタル信号に基づいて、前記メインFETがオン又はオフされるタイミングに対して前記ゲートドライバのターンオン又はターンオフを制御する同期ブートストラップFET供給ゲートドライバ回路を更に有する
請求項1に記載の集積ゲートドライバ回路。
【請求項6】
前記同期ブートストラップFET供給ゲートドライバ回路は、前記出力段を必要としない点を除いて前記ゲートドライバと同じ構成を有する、
請求項5に記載の集積ゲートドライバ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートドライバに関係があり、より具体的には、ローサイド・エンハンスメントモード窒化ガリウム(GaN)FETを駆動する集積回路に関係がある。
【背景技術】
【0002】
高電力GaNトランジスタは、シリコンベースのトランジスタに代わるものとして近年導入されてきた。GaNは、窒化ガリウム(gallium nitride)の高い電子移動度及び高い破壊電界により、低いオン抵抗、高速なスイッチング、及びより高い動作温度をもたらすので、シリコンベースのトランジスタに対して優れた性能を示す。ノーマリオフ(Normally-off)のエンハンスメントモードGaNトランジスタは、それらが高速(デプレッションモードとは違って、多数キャリア)であり、逆回復(QRR)を有さず、デプレッションモードのデバイスよりも電力消費が少ないということで、好ましい。
【0003】
エンハンスメントモードGaNトランジスタのためのゲートドライバは、LM5114ローサイド・ゲートドライバのように、テキサス・インスツルメントから入手可能である。しかし、LM5114自体は、GaNと互換がないシリコンプロセスで作られている。このことは、駆動されるエンハンスメントモードGaNトランジスタのモノリシック集積を妨げる。2チップ・ソリューションは、可能な限り低いゲートループ回路インダクタンスを許さず、従って、完全にモノリシックに集積されたソリューションの性能と張り合うことができない。エンハンスメントモードGaNトランジスタと集積されたゲートドライバは、必然的に、よりずっと低い伝播遅延を有し、電力消費が少なく、極めて短いオンタイム存続期間を可能にする。
【0004】
米国特許第9525413号(特許文献1)は、集積ソリューション、すなわち、ハーフブリッジ構成において2つのより小さいエンハンスメントモードGaNトランジスタを有するモノリシックに集積されたGaNドライバを伴ったエンハンスメントモードGaNトランジスタ、を提案する。ハーフブリッジのハイサイドGaNトランジスタは、ゲート駆動電圧をGaNトランジスタのゲートへ供給し、ローサイドGaNトランジスタは、GaNスイッチのゲートをソースにクランプする。このソリューションは、ディスクリートのデュアルボルテージ仕様のプリドライバを必要とする。上記の理由のために、エンハンスメントモードGaNトランジスタを、単一の集積パッケージにおいて、完全なゲートドライバと集積することが有利である。
【0005】
特に、単一5V供給から動作可能であり、デューティサイクル及び周波数に対する厳しい制限なしで電力消費が少なく、高速なトランジション及び短い伝播時間を有し、駆動するFETに適合したプルアップ及びプルダウン抵抗を有し、UVLO回路を含む完全集積GaNドライバを提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第9525413号
【発明の概要】
【0007】
本発明は、10nsまで下がったパルスをサポートすることができる、上記の特徴を備えた完全集積GaNドライバを提供することによって、上記の目標を達成する。そのような低パルス能力は、>10MHzの極めて高い周波数のコンバータ、更には、48V~1V又はそれ以下といった高いステップダウン比のコンバータへの道を開く。
【0008】
より具体的には、本発明は、デジタル論理信号インバータと、レベルシフタ回路と、UVLO回路と、出力バッファ回路と、(任意に)駆動されるFETとを有し、全てが単一のパッケージ又はチップに集積されている完全集積GaNドライバを提供する。
【0009】
出力駆動回路は、ローサイドGaN FETと比較して反転されているハイサイドGaN FETを含む。反転されたハイサイドGaN FETは、ソースフォロワ・トポロジよりむしろ、スイッチ動作を可能にして、当該回路によって駆動されるメインFETを制御するためのデジタル電圧を供給する。
【0010】
本発明の完全集積GaNゲートドライバは、新規の低電圧“レベルシフタ”及び“電流増幅器”を更に含む。入力は接地基準0~5Vデジタル信号であり、出力は0~10Vデジタル信号である。この信号は、上記の反転出力駆動段にとって有用である。
【0011】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の記載が添付の図面とともに読まれる場合に、当業者に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のデジタル論理信号インバータの好適な実施形態の概略図である。
図2】本発明のレベルシフタの好適な実施形態の概略図である。
図3】ゲートドライバの出力バッファ段である。
図4】2入力NANDロジックの実施である。
図5】2入力NORロジックの実施である。
図6】2入力ORロジックの実施である。
図7】2入力ANDロジックの実施である。
図8】完全スタンドアロンのゲートドライバの回路である。
図9】駆動されるメインFETがドライバと集積されている完全ゲートドライバの回路である。
図10】N型のエンハンスメントモードGaN FETのみを組み込む基本の電圧基準回路を示す。
図11】本発明の基本の低電圧誤作動防止(UVLO)回路を示す。
図12】メインFETと集積された、上記のUVLOを含む本発明のゲートドライバを示す。
図13】同期ブートストラップ供給FET回路を含む本発明のメインゲートドライバ(UVLOなし)を示す。
図14】UVLO、集積された同期ブートストラップFET、メインドライバ、及びメインFETを含む、上記の特徴の全てを組み込む本発明の完全ゲートドライバを示す。
図15】コンパレータ/UVLO回路の代替の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明では、本発明の例となる実施形態が参照される。例となる実施形態は、当業者がそれらを実施することを可能にするほど十分に詳細に記載されている。他の実施形態が用いられてよく、様々な構造的、論理的、及び電気的な変更が行われてよいことが理解されるべきである。
【0014】
ゲートドライバの基本構成要素は、論理インバータ、信号レベルシフタ、及び出力駆動段である。低電圧誤作動防止(undervoltage lockout)(UVLO)回路も、ソース電圧が所定の閾電圧を下回る場合にゲートドライバをシャットダウンするために好ましい。
【0015】
図1は、本発明のデジタル論理信号インバータの好適な実施形態の概略図である。GaNにおいて、供給電圧は5Vであるから、論理ハイは5Vであり、論理ローは0Vである。本発明のインバータは、いくつかの注目すべき点、(a)トランジスタ4(Q2;w=10μm)が、NMOでは典型的であるデプレッションモードのデバイスではなく、エンハンスメントモードGaNトランジスタであること、及び(b)デプレッションモードのデバイスが使用されないということで、同じくエンハンスメントモードGaNトランジスタであるトランジスタ2(Q1;w=20μm)が、トランジスタ4(Q2)のゲートを充電して、それをオンに保つために加えられること、を除き、標準のNMOS論理インバータと類似している。トランジスタ6(Q3;w=120μm)もエンハンスメントモードGaNトランジスタであり、トランジスタ6(Q3)のオン抵抗は、Q2のオン抵抗よりも6倍低い。
【0016】
本発明の論理インバータは、トランジスタ4(Q2)のCGSとともにブートストラップ・ダイオードとしてトランジスタ2(Q1)を使用することによって、作動する。これは、より速いトランジスタに役立つ。ダイオードは、トランジスタ6(Q3)がオンするとき(すなわち、1(5V)の入力(Ain))にトランジスタ4(Q2)(CGS)のゲート及びキャパシタ8(C4=0.2pF)を略5Vに充電し、よって、トランジスタ4(Q2)は常にオンであって電流を流す。これは高速な電圧立ち上がりを可能にする。トランジスタ4(Q2)は、ICにおける電力のほとんどを浪費する。トランジスタ6(Q3)のドレインも出力(バーYout)に接続されるので、出力は略0Vになり、入力を反転させる。このモードでは、大きいFETであるトランジスタ6(Q3)は、トランジスタ4(Q2)を飽和から抜け出させ、よって、それに電流を流す。この電流は、出力をハイに引っ張って論理入力を先と同じく反転させるよう入力信号が0Vに変化する場合に、必要とされる。キャパシタ8(C4)は、トランジスタ4(Q2)のCGSによって供給されるものを上回る余分の蓄積のために使用され、よって、回路が論理ハイ出力を“保持”することができる時間を増やす。本発明の論理インバータの主要な利点は、もっぱらN型の、エンハンスメントモードのFETしか使用されないことである。
【0017】
図2は、本発明のレベルシフタの好適な実施形態の概略図である。レベルシフタの主たる機能は、論理ハイのためだけに入力(Ain)の電圧振幅を2倍増大させることである。0Vの論理ロー入力は0Vのままである。この回路は2つの入力を使用し、一方の入力は単にAinの反転バージョンである。これは、上記のインバータを用いて行われ得る。
【0018】
本発明のレベルシフタは、インバータ回路に2、3の変更を加えたものと本質的に同じように作動する。それは2つの段、すなわち、(1)供給電圧レベルシフタトランジスタ10(Q4)及び12(Q5)、並びに(2)トランジスタ14(Q6)、16(Q7)及び18(Q8)から成るインバータ及び高電圧バッファ段を有する。第2の段は、その供給電圧が、出力がハイ(Yout)であるときに5Vではなく10Vであり(トランジスタ16(Q7)のドレイン)、出力がローであるときに5Vである(それは、まさにインバータと同じように動作する。)点を除いて、論理インバータと同じように作動する。第1の段は、キャパシタ20(C1=5pF)の両端電圧が反転入力信号を0から5Vの間から5Vから10Vの間にレベルシフトするブートストラップ供給として作動する。トランジスタ10(Q4)は、この場合にダイオードとして動作し、トランジスタ12(Q5)がそのゲートにかかる電圧を0V(オフ)と5V(オン)とで切り替えることを可能にする。キャパシタ22(C2=50pF)は、Ainがローである場合に充電される。これはまた、トランジスタ12(Q5)がC1を通じてオンされる場合である。トランジスタ10(Q4;w=10μm)、12(Q5;w=50μm)、14(Q6;w=10μm)、16(Q7;w=10μm)及び18(Q8;w=60μm)は夫々望ましくはエンハンスメントモードGaNトランジスタである。本明細書で与えられているゲート幅は単なる例であり、重要なのはそれらの間の比である。キャパシタ24(C5)は2pFである。
【0019】
図3は、ゲートドライバの出力バッファ段である。それは、2つの相補入力(Ain 及びバーAin)を使用する。出力駆動回路は、ローサイド・エンハンスメントモードGaN FET28(Q10)(w=1.2mm)と比較して反転されているハイサイド・エンハンスメントモードGaN FET26(Q9)(w=1.2mm)を含む点に留意されたい。反転されたハイサイドGaN FET26(Q9)は、ソースフォロワ・トポロジよりむしろ、スイッチ動作を可能にして、当該回路によって駆動されるメインFETを制御するためのデジタル電圧を供給する。
【0020】
より具体的に、論理入力Ainがロー(0V)であって、バーAinがハイ(5V)であるとき、トランジスタ28(Q10)はオンされて、出力(Yout)をロー(0V)にする。また、トランジスタ26(Q9)の上側FETゲートは、それが逆(ドレイン及びソース)に設置されているにもかかわらず導通することができないように、高逆バイアス状態になる(“ボディダイオード”電圧を増大させるGaN FETの固有の特徴)。論理入力Ainがレベルシフタ段からのハイ(10V)であって、バーAinがローであるとき、トランジスタ26(Q9)はオンされ、トランジスタ28(Q10)はオフである。この段は、ドライバの電流シンク又はソース能力を有意に高める。
【0021】
図4は、2入力NANDロジックの実施である。それは、1つの些細な点を除いて、上記の論理インバータに基づく。入力FETは、2つの入力のために2つに分けられ、それらはカスケード接続されている。これは、FET6及び32(Q3及びQ4)の両方ともが、それが導通してトランジスタ4(Q2)、ひいては出力の状態を変化させる前にオンである必要があり、このようにしてNANDゲートをもたらす。トランジスタ2(Q1;w=10μm)、4(Q2;w=20μm)、6(Q3;w=120μm)及び32(Q4;wG=120μm)は全てエンハンスメントモードGaNトランジスタである。トランジスタ2(Q1)は、トランジスタ6及び32(Q3及びQ4)がオンされるときにキャパシタ8(C4)を充電するためにダイオードとして使用される。これは、トランジスタ6及び32(Q3及びQ4)のいずれか一方がオフに保たれる場合にキャパシタ8(C4)が適切に充電することを阻止し、出力の性能に深刻な損害を与えることになる。トランジスタ31(Q8;w=10μm)、33(Q9)及びキャパシタ35(C7)はこの問題を正す。回路は、トランジスタ32(Q4)がオンであり、トランジスタ6(Q3)がオフである場合に、キャパシタ35(C7)が充電することを可能にすることによって作動する。トランジスタ6(Q3)がオンされる場合に、キャパシタ35(C7)は、トランジスタ33(Q9;w=10μm)を介してキャパシタ8(C4)を充電することができ、このようにして動作を回路に戻す。
【0022】
図5は、2入力NORロジックの実施である。それは、1つの些細な点を除いて、上記の図1の論理インバータに基づく。入力FETは、2つの入力のために2つに分けられ、それらの接続は並列にされる。これは、2つのFET6及び32(Q3及びQ4)のいずれか一方が、Q2の状態、ひいては出力を変化させるようオンであることを必要とし、このようにしてNORゲートをもたらす。
【0023】
図6は、2入力ORロジックの実施である。それは図5のNORロジックに基づき、インバータ段が、極性を変化させるために終端部に加えられている。トランジスタ34(Q5;w=10μm)、36(Q6;w=20μm)、及び38(Q7;w=120μm)はトランジスタ2(Q1)、4(Q2)及び6(Q3)と同じであって、全てエンハンスメントモードGaNトランジスタである。
【0024】
図7は、2入力NANDロジックの実施である。それは図4のNANDロジックに基づき、インバータ段が、極性を変化させるために終端部に加えられている。
【0025】
図8は、完全ゲートドライバの回路である。それは、上記の3つの段、すなわち、(1)インバータ(図1)、(2)レベルシフタ(図2)、及び出力バッファ(図3)を有する。また、出力段は、YoutH及びYoutLをもたらすよう開かれている。これは、ドライバのためのゲートレジスタの外部プログラミングが駆動されるFETのターンオン及びターンオフ特性を独立して変化させることを可能にして、(駆動される)より小さいFETのための整合を改善する。
【0026】
図9は、駆動されるメインFETがドライバと集積されている完全ゲートドライバの回路である。それは、出力段がメインFET(Q100;w=300mm)へ接続されている点を除いて、図8の完全ドライバと同じ設計である。これは、ドライバがそれが駆動するFETに対して既に最適化されているということで、FET電圧の外部プログラミングを取り除く。
【0027】
上述されたように、低電圧誤作動防止(UVLO)回路をゲートドライバに設けることが望ましい。本発明のUVLO回路は、2つ電圧基準回路と、コンパレータとを有する。電圧基準回路の一方は、所定の電圧を、測定された供給電圧と比較し、他方の電圧基準回路は、コンパレータの定電流源のために使用される。
【0028】
図10は、もっぱらN型のエンハンスメントモードGaNトランジスタを組み込む基本の電圧基準回路を示す。電圧基準回路は、トランジスタ46(Q27;w=10μm)、抵抗44(R7=160kΩ,電流設定抵抗)、及びトランジスタ48(Q28;w=10μm)を有する。トランジスタ48(Q28)のゲートがそのドレインへ接続された状態で、トランジスタ48(Q28)は、電流をシンクするときに、有限な電圧基準になる。FETの閾値を上回って電圧を増大させようとする如何なる試みも、トランジスタ48(Q28)によるシンク電流の増大を生じさせる。トランジスタ46(Q27)及び48(Q28)は、望ましくは、10μmのゲート幅を有するEPC25Vスケーラブル・エンハンスメントモードGaNトランジスタである。
【0029】
図11は、本発明の基本の低電圧誤作動防止(UVLO)回路を示す。UVLO回路の目的は、供給電圧が所定の値を下回る場合に他の回路の動作をロックアウト/阻止することである。所定の供給電圧に達すると、UVLO回路は、他の回路(この場合に、ゲートドライバ回路)を動作のために解放する。これは、ゲートドライバのGaN FETが、多数の電力スイッチング用途において、それらの閾電圧を下回って作動されることを防ぐ。UVLO回路は、3つの部分、すなわち、(1)測定された供給電圧と比較される電圧基準(所定の電圧)、(2)コンパレータの定電流源のために使用される電圧基準、及び(3)コンパレータ段、を有する。2つの電圧基準回路は、上述されて図10に示されたのと同じである。1つの基準は、コンパレータによる供給電圧との比較のための固定基準として使用され、第2の基準は、コンパレータにおいて電流ミラーを生成するために固定基準として使用される。コンパレータは、典型的な電流ミラー型である。コンパレータ内のトランジスタ58(Q26)は、発振を防ぐようヒステリシスを回路に加えるために使用される。UVLO出力は、デジタル論理信号としてトランジスタ52(Q25)によって設定される。トランジスタ50(Q22)、52(Q25)、54(Q24)、56(Q23)及び58(Q26)は全て、望ましくは、10μmのゲート幅を有するEPC25Vスケーラブル・エンハンスメントモードGaNトランジスタである。
【0030】
図12は、メインFETと集積された、上記のUVLOを含む本発明の完全スタンドアロンのゲートドライバを示す。図12のメインFETは、EPC2019エンハンスメントモードGaN FET又は同等のものであり、本明細書で記載される回路は、このようなFETを駆動するために最適化されている。しかし、本発明のゲート駆動回路は、明らかに、他のメインFETと集積可能である(そして、そのメインFETを駆動するために最適化される。)。
【0031】
図13は、同期ブートストラップ供給のためにゲートドライバ及びFET60(Q16)を含む基本ゲートドライバ(UVLOなし。)のバージョンを示す。同期ブートストラップ供給FET電圧定格は、HBノードが5Vのブートストラップ供給のための充電電圧を含むということで、メインFETよりも少なくとも5V高いはずである。
【0032】
図13の同期ブートストラップFET供給ゲートドライバ回路62は、それが最終出力バッファ段を必要としない点を除いて、メインFETゲートドライバ回路64とほぼ同じである。これの主たる理由は、(1)同期ブートストラップFETが、低電圧レベルシフタの+10V及び0V出力によって生成されるゲート両端の+5V及び-5Vを必要とするため、及び(2)同期ブートストラップFETが非常に小さいので、駆動するためにそれほど電流を必要としないため、である。5Vオフセットは、同期ブートストラップFETのソースが5V供給へ接続されることによって供給される。この解決法は、タイミング及びレベルシフトが内部で処理されるということで、典型的なエンハンスメントモードGaN FET同期ブートストラップ供給にとって一般的な外部回路(例えば、米国特許出願公開第2016/0105173号を参照。)を必要としない。
【0033】
図13のゲートドライバのためのタイミングは、2つの段階において達成される。すなわち、(1)ターンオンは、メインFETが十分にエンハンスすることを可能にするよう、メインFETがオンされることから遅延されるべきである。これは、同期ブートストラップFETゲートドライバのための信号源としてメインFETゲート信号を用いて達成される。(2)ターンオフは、メインFETと一緒か、又はそれよりも速くなければならない。これは、トランジスタQ18を直接に駆動するようメインゲートドライバの初期反転信号を使用すること、よって、同期ブートストラップFETドライバをバイパスすること、によって達成される。この信号は、それがメインFETに届く前に、同期ブートストラップFETに有効に到着する。
【0034】
図14は、UVLO、集積された同期ブートストラップFET、メインドライバ、及びメインFETを含む、上記の特徴の全てを組み込む本発明の完全ゲートドライバを示す。
【0035】
図15は、コンパレータ/UVLO回路の代替の実施形態を示す。図11の実施形態において、抵抗は負荷のために使用されている。GaNプロセスでは、抵抗は、ダイ上で多数のスペースを物理的に占有し、大きな許容誤差変動(~20%)が付随する。それらは全て好ましくない特性である。図15の実施形態において、抵抗の多くはエンハンスメントモードGaN FETにより置換されており、ゲートは、エンハンスメントモードGaN FETを非線形抵抗にたらしめるよう、ドレインへ結合されている。GaN FETどうしの間の許容誤差は、相当によりタイトであって、それらはまた、ダイ上で相当により少ない面積を占める。図15において、FET負荷は、電流ミラー回路のための負荷とともに、UVLOのための電圧検知のために使用される。
【0036】
上記の記載及び図面は、単に、本明細書で記載されている特徴及び利点を達成する具体的な実施形態の実例と見なされるべきである。具体的なプロセス条件に対する変更及び置換が行われ得る。然るに、本発明の実施形態は、上記の記載及び図面によって制限されるものと見なされない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15