(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】pH制御装置
(51)【国際特許分類】
G21C 9/004 20060101AFI20220527BHJP
【FI】
G21C9/004 300
(21)【出願番号】P 2019116996
(22)【出願日】2019-06-25
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中込 聡
(72)【発明者】
【氏名】矢持 俊樹
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-109486(JP,A)
【文献】特開2012-032276(JP,A)
【文献】国際公開第2016/080076(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3212242(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0221403(US,A1)
【文献】特開2019-132777(JP,A)
【文献】特開2019-132778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 9/004
G21C 9/02
G21C 15/18
G21F 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉格納容器内のペデスタルの内側に設置され、
上部に開口部を有する箱部と、
前記箱部の上部に載置され前記開口部を覆う蓋部と、
を備え、
前記箱部は、水に溶解して前記水をアルカリ性にするpH調整剤を内部に備え、底面部が前記ペデスタルの内側の床よりも上方に位置し、前記底面部が穴を備え、
前記蓋部は、前記水の浮力によって上方に移動可能な構成を備える、
ことを特徴とするpH制御装置。
【請求項2】
前記蓋部は、前記水の浮力によって上方に移動可能な前記構成として、下方に向かって突出する環状の突出部を下面に備える、
請求項1に記載のpH制御装置。
【請求項3】
前記蓋部は、前記水の浮力によって上方に移動可能な前記構成として、前記水に浮く気体を貯蔵している気体貯蔵容器を備える、
請求項1に記載のpH制御装置。
【請求項4】
前記pH調整剤は、固体である、
請求項1に記載のpH制御装置。
【請求項5】
前記箱部と前記蓋部を接続する接続部材を備える、
請求項1に記載のpH制御装置。
【請求項6】
前記蓋部は、前記水の浮力によって上方に移動すると、前記箱部から離れて前記箱部の前記開口部を開放する、
請求項1に記載のpH制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力プラントにおいて放射性ヨウ素の放出量を低減するためのpH制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントでは、炉心損傷を伴う重大事故等時において、放射性物質が原子炉格納容器内に放出されると、その大部分がサプレッションプールに移行する。放射性物質のヨウ素は、サプレッションプールの水に捕集される。そこで、水中に捕集されたヨウ素が揮発することを抑制するために、サプレッションプール水pH制御系が設けられている。水のpHをアルカリ性に維持すると、水中に溶解したヨウ素が揮発するのを抑制できる。サプレッションプール水pH制御系は、サプレッションプールの水をアルカリ性に維持する機能を持ち、格納容器フィルタベント系の使用時における放射性ヨウ素の大気への放出量を低減する。
【0003】
サプレッションプール水pH制御系の例は、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のpH制御システムは、加圧用空気を貯留する加圧用空気ボンベと、アルカリ性の水溶液であるpH調整剤を貯留するpH調整剤タンクとを備え、加圧用空気によりpH調整剤をサプレッションプールに供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放射性物質が原子炉格納容器内に放出された際には、サプレッションプールのみではなく、ペデスタルの内側にも放射性物質の一部が混入する。原子炉格納容器内に蒸気が充満した際に原子炉格納容器内の圧力が過大になるのを防ぐためにドライウェルに放水した水がペデスタル内側に溜まる。また、高温の燃料がペデスタル内側に溶け落ちた際にペデスタルの内側に注水する。ペデスタルの内側に存在する放射性ヨウ素は、これらの注水によってペデスタル内側に溜まった水に捕集される。
【0006】
ペデスタルへの注水時にペデスタルの内側に溜まる水をアルカリ性にすることができなければ、サプレッションプールと同様に、ペデスタルの内側に溜まった水から放射性ヨウ素が揮発し、格納容器フィルタベント系の使用時における放射性ヨウ素の放出量が多くなるという課題がある。従って、ペデスタルの内側での放射性ヨウ素の放出量を低減するためには、ペデスタルへの注水時にペデスタルの内側に溜まる水をアルカリ性にする必要がある。
【0007】
本発明は、ペデスタルへの注水時にペデスタルの内側に溜まる水をアルカリ性にすることができるpH制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるpH制御装置は、原子炉格納容器内のペデスタルの内側に設置され、上部に開口部を有する箱部と、前記箱部の上部に載置され前記開口部を覆う蓋部とを備える。前記箱部は、水に溶解して前記水をアルカリ性にするpH調整剤を内部に備え、底面部が前記ペデスタルの内側の床よりも上方に位置し、前記底面部が穴を備える。前記蓋部は、前記水の浮力によって上方に移動可能な構成を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、ペデスタルへの注水時にペデスタルの内側に溜まる水をアルカリ性にすることができるpH制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明の実施例1によるpH制御装置の正面図。
【
図3】実施例1によるpH制御装置の蓋部の平面図。
【
図4】実施例1によるpH制御装置の箱部の平面図。
【
図5A】実施例1によるpH制御装置の蓋部と箱部の斜視図。
【
図5B】実施例1によるpH制御装置の蓋部と箱部の正面図。
【
図5C】実施例1によるpH制御装置の蓋部の下面(裏面)を示す図。
【
図5D】複数の突出部と空間を備える蓋部の下面(裏面)を示す図。
【
図7A】本発明の実施例2によるpH制御装置の蓋部と箱部の正面図。
【
図7B】実施例2によるpH制御装置の蓋部の下面(裏面)を示す図。
【
図8】実施例2によるpH制御装置の別の蓋部と箱部の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によるpH制御装置は、原子力プラントにおいて、原子炉格納容器内のペデスタルの内側に設置され、原子炉格納容器内に放出されペデスタル内側に移行してペデスタルの内側に溜まった水に溶解した放射性ヨウ素が、この水から揮発するのを防ぐことができる。より具体的には、本発明によるpH制御装置は、内部に薬剤を備え、ペデスタルへの注水によりペデスタルの内側に水が溜まると、装置内にこの水が浸入して薬剤が溶け、水と薬剤の混合液が装置から流出することで、ペデスタルの内側の水をアルカリ性にし、ペデスタルの内側に溜まった水に溶けた放射性ヨウ素の揮発を抑制する。
【0012】
以下、本発明の実施例によるpH制御装置を、図面を用いて説明する。なお、本明細書において「pH」とは、水素イオン濃度指数をいう。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1によるpH制御装置を説明する。初めに、本実施例によるpH制御装置の設置場所を説明する。
【0014】
図1は、原子炉格納容器20の断面図である。
図1には、一例として、改良型沸騰水型原子炉(ABWR)の原子炉格納容器20の概略を示している。原子炉格納容器20は、燃料集合体を収納する原子炉圧力容器1と、原子炉圧力容器1を支持するペデスタル2と、水を貯えたサプレッションプール3を備える。
【0015】
本実施例によるpH制御装置5は、箱部8と蓋部6を備え、ペデスタル2の内側の下部に設置される。pH制御装置5は、例えば炉心損傷を伴う重大事故等時においてペデスタル2に注水したときに、水中に捕集された放射性ヨウ素が揮発するのを抑制するための装置である。pH制御装置5は、ペデスタル2の内側の下部であって、ペデスタル2への注水時に水が溜まる箇所であれば、任意の位置に設置できる。例えば、pH制御装置5は、ペデスタル2の内側の床4、ペデスタル2の内側の壁面、または床4よりも上方にあるコリウムシールド上に設置できる。
図1には、一例として、コリウムシールドのないABWRプラントにおいて、ペデスタル2の内側の床4に設置されたpH制御装置5を示している。
【0016】
次に、pH制御装置5の概要を説明する。pH制御装置5は、水をアルカリ性にする薬剤を箱部8に収納した容器である。
【0017】
図2は、pH制御装置5の正面図である。
図3は、pH制御装置5の蓋部6の平面図である。
図4は、pH制御装置5の箱部8の平面図である。
【0018】
pH制御装置5は、容器の胴部である箱部8と、箱部8の上部に載置された蓋部6と、箱部8の内部に設置された薬剤13と、箱部8と蓋部6を接続する接続部材9を備える。
【0019】
箱部8は、底面部10と側面部11で構成され、上部に開口部8aを有する。この開口部8aにより、箱部8の上部の全体が開放されている(すなわち、箱部8が上面部を備えない)のが好ましい。箱部8は、底面部10と側面部11で囲まれた空間に、pH制御のための薬剤13を備える。
【0020】
箱部8は、底面部10がペデスタル2の内側の床4よりも上方に位置する。pH制御装置5がペデスタル2の内側の床4に設置される場合には、箱部8は、底面部10に脚部15を備え、脚部15がペデスタル2の内側の床4に接することにより、底面部10がペデスタル2の内側の床4よりも上方に位置する。pH制御装置5が床4よりも上方にあるコリウムシールド上に設置される場合には、箱部8は、底面部10に脚部15を備え、脚部15がコリウムシールドに接することにより、底面部10がコリウムシールドよりも上方に位置する。
【0021】
箱部8の形状と大きさは、任意に定めることができる。本実施例では、一例として、箱部8の形状は、直方体である。なお、箱部8は、水に浮かないものとし、ペデスタル2の内側の床4やコリウムシールドに固定されても固定されなくてもよい。但し、箱部8は、ペデスタル2の内側の壁面に設けられた場合には、この壁面に固定されている。
【0022】
蓋部6は、箱部8の上部に載置され、箱部8の上部の開口部8aを覆って開口部8aを塞ぐ。蓋部6は、後述するように、水の浮力によって上方に移動可能な構成を備える。蓋部6の形状と大きさは、任意に定めることができる。本実施例では、一例として、蓋部6は、形状が長方形であり、箱部8よりも大きい縦幅と横幅を持つ。
【0023】
薬剤13は、箱部8の底面部10と側面部11に囲まれた空間に設置され、箱部8の内部に浸入した水に溶解し、この水をアルカリ性にする性質を持つpH調整剤である。薬剤13は、液体であると蒸発したり質が低下したりする恐れがあるので、固体であるのが望ましく、例えば粉末状である。薬剤13は、湿分などによる変質を防ぐため、水溶性のフィルムで覆われて設置されるのが望ましい。薬剤13には、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、または四ホウ酸ナトリウム(Na2B4O7)等を用いることができる。
【0024】
接続部材9は、蓋部6を箱部8に接続でき、蓋部6が水に流されないようにできれば、任意の構成を備えることができる。例えば、接続部材9には、鎖状の部材、紐状の部材、帯状の部材、ばね状の部材、磁力で接続する部材、粘着力で接続する部材、またはこれらを複合的に組み合わせた部材などで構成することができる。本実施例では、一例として、接続部材9は、鎖状の部材で構成されている。
【0025】
原子力プラントの通常運転時には、箱部8の内部に設置された薬剤13は、蓋部6が箱部8の上部の開口部8aを覆うことにより、変質が抑制される。
【0026】
ペデスタル2への注水によりペデスタル2の内側に水が溜まると、箱部8の内部にこの水が浸入して薬剤13が溶け、蓋部6が水の浮力で上方に移動して箱部8から離れる。蓋部6が箱部8から離れることによって、薬剤13が溶けた水が箱部8の開口部8aから流出し、ペデスタル2の内側の水をアルカリ性にする。
【0027】
蓋部6は、接続部材9を設置するための接続部材取り付け部7を備えてもよい。接続部材取り付け部7は、接続部材9に応じて任意の構成を備えることができる。本実施例では、一例として、接続部材取り付け部7は、鎖状の接続部材9を取り付けるための穴である。
【0028】
箱部8は、接続部材9を設置するための接続部材取り付け部14を備えてもよい。接続部材取り付け部14は、接続部材9に応じて任意の構成を備えることができる。本実施例では、一例として、接続部材取り付け部14は、鎖状の接続部材9を取り付けるための穴を有する突起(ブラケット)である。
【0029】
箱部8は、内部に仕切り板12を備えてもよい。仕切り板12は、箱部8の内部を複数の空間に分ける。薬剤13は、これらの空間に配置される。
【0030】
ここで、蓋部6と箱部8の構成について、詳しく説明する。箱部8の上部に載置された蓋部6は、箱部8の内部に水が浸入すると、水に浮いて上方に移動して箱部8から離れ、箱部8の上部の開口部8aを開放する。
【0031】
図5Aは、蓋部6と箱部8の斜視図である。
図5Bは、蓋部6と箱部8の正面図である。
図5Cは、蓋部6の下面(裏面)を示す図である。
図5A~
図5Cは、蓋部6と箱部8を模式的に示している。
【0032】
蓋部6は、水の浮力によって上方に移動可能な構成として、下面(裏面)に、下方に向かって(すなわち、箱部8の内部に向かって)突出する環状の突出部6aを備える。突出部6aは、蓋部6が箱部8の上部に載置されたときには箱部8の内部に位置し、例えば複数の板材で構成することができる。本実施例では、一例として、突出部6aは、長方形の環状である。蓋部6は、下部に、蓋部6の下面と環状の突出部6aとで囲まれた空間6bを備える。蓋部6は、環状の突出部6aと空間6bを複数備えることができる。
【0033】
図5Dは、複数の突出部6aと空間6bを備える蓋部6の下面(裏面)を示す図である。
図5Dには、一例として、2つの突出部6aと2つの空間6bを備える蓋部6を示している。
【0034】
図6は、蓋部6が載置された箱部8の斜視図であり、蓋部6と箱部8を模式的に示している。
【0035】
箱部8は、底面部10が穴10aを備える。穴10aの数と大きさと形状は、任意である。本実施例では、一例として、底面部10は、円形の穴10aを8個備える。
【0036】
箱部8は、ペデスタル2への注水によりペデスタル2の内側に水が溜まっていくと、底面部10の穴10aから内部に水が浸入する(
図6の矢印A)。蓋部6は、下部の空間6bに空気が入っているため、実質の密度が水の密度より小さくなって、箱部8の内部に浸入した水に浮き、水面とともに上昇する。蓋部6は、このようにして、箱部8の内部の水から浮力を受けて上方に移動し(
図6の矢印B)、箱部8から離れ、箱部8の上部の開口部8a(
図5A、5B)を開放する。なお、蓋部6の実質の密度とは、等価密度(空気を考慮した密度)のことであり、等価密度=(蓋部6の材料密度×蓋部6の体積+空間6bの空気の密度×空間6bの体積)÷(蓋部6の体積+空間6bの体積)と求められる。
【0037】
なお、蓋部6は、接続部材9により箱部8に接続されているので、接続部材9によって定められた高さで上昇が止まる。
【0038】
ここで、本実施例によるpH制御装置5によって、ペデスタル2の内側の水をアルカリ性にするまでの一連の流れについて説明する。
【0039】
例えば炉心損傷を伴う重大事故等時において、ペデスタル2に注水すると、ペデスタル2の内側に水が溜まっていく。すると、pH制御装置5の箱部8の内部には、ペデスタル2の内側に溜まった水が、底面部10の穴10aから浸入していく。箱部8の内部に設置された薬剤13は、箱部8の内部に浸入した水に溶解する。pH制御装置5の蓋部6は、ペデスタル2に注水された水が箱部8の内部に浸入すると、下部の空間6bで水の浮力を受けて上方に移動し、箱部8から離れ、箱部8の上部の開口部8aを開放する。薬剤13が溶けた水は、箱部8の開口部8aを通って箱部8から流出し、ペデスタル2の内側の水をアルカリ性にする。
【0040】
本実施例によるpH制御装置5は、以上のようにして、ペデスタル2への注水時にペデスタル2の内側に溜まる水をアルカリ性にすることができ、ペデスタル2の内側に溜まった水に溶けた放射性ヨウ素の揮発を抑制する。
【実施例2】
【0041】
本発明の実施例2によるpH制御装置5を説明する。以下では、本実施例によるpH制御装置5について、実施例1によるpH制御装置5と異なる点について主に説明する。本実施例によるpH制御装置5は、蓋部6が実施例1によるpH制御装置5と異なる。
【0042】
図7Aは、蓋部6と箱部8の正面図である。
図7Bは、蓋部6の下面(裏面)を示す図である。蓋部6は、水の浮力によって上方に移動可能な構成として、下面(裏面)に気体貯蔵容器16を備える。気体貯蔵容器16は、気体を貯蔵する容器であり、例えば空気や窒素やヘリウムなどの、水に浮く気体を密閉して貯蔵している。
【0043】
図8は、本実施例によるpH制御装置5の別の蓋部6と箱部8の正面図である。蓋部6は、
図8に示すように、上面(表面)に気体貯蔵容器16を備えてもよい。
【0044】
気体貯蔵容器16は、任意の形状と大きさを備えることができる。本実施例では、一例として、気体貯蔵容器16は、直方体である。但し、蓋部6の下面に設置された気体貯蔵容器16は、蓋部6が箱部8の上部に載置されたときに箱部8の内部に位置する。
【0045】
蓋部6は、気体貯蔵容器16を複数備えることができる。また、気体貯蔵容器16は、蓋部6の下面と上面のうち、一方または両方に設置することができる。
【0046】
箱部8は、ペデスタル2への注水によりペデスタル2の内側に水が溜まっていくと、底面部10の穴10aから内部に水が浸入する。蓋部6は、気体貯蔵容器16が水に浮く気体を貯蔵しているため、箱部8の内部の水から浮力を受けて上方に移動し、箱部8から離れ、箱部8の上部の開口部8aを開放する。薬剤13が溶けた水は、箱部8の開口部8aを通って箱部8から流出し、ペデスタル2の内側の水をアルカリ性にする。
【0047】
本実施例によるpH制御装置5は、以上のようにして、ペデスタル2への注水時にペデスタル2の内側に溜まる水をアルカリ性にすることができ、ペデスタル2の内側に溜まった水に溶けた放射性ヨウ素の揮発を抑制する。
【0048】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…原子炉圧力容器、2…ペデスタル、3…サプレッションプール、4…ペデスタルの内側の床、5…pH制御装置、6…蓋部、6a…突出部、6b…空間、7…接続部材取り付け部、8…箱部、8a…開口部、9…接続部材、10…底面部、10a…穴、11…側面部、12…仕切り板、13…薬剤、14…接続部材取り付け部、15…脚部、16…気体貯蔵容器、20…原子炉格納容器。