(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】顆粒製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/198 20060101AFI20220527BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20220527BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220527BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20220527BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
A61K31/198
A61K9/16
A61K47/32
A61K47/34
A61P1/16
(21)【出願番号】P 2019501340
(86)(22)【出願日】2018-02-20
(86)【国際出願番号】 JP2018005990
(87)【国際公開番号】W WO2018155435
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-01-09
(31)【優先権主張番号】P 2017030368
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】513001606
【氏名又は名称】EAファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100152331
【氏名又は名称】山田 拓
(72)【発明者】
【氏名】谷川 泰士
(72)【発明者】
【氏名】牧野 千里
(72)【発明者】
【氏名】二宮 信豪
(72)【発明者】
【氏名】小坂 純
【審査官】金子 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-014590(JP,A)
【文献】特開2011-093879(JP,A)
【文献】特開2010-059120(JP,A)
【文献】表面技術,2009, Vol.60, No.12,pp.746-753
【文献】日本調理科学会誌,2006, Vol.39, No.3,pp.233-239
【文献】熱測定,2007, Vol.34, No.3,pp.104-112
【文献】改訂 医薬品添加物ハンドブック,2007年2月28日,p.201
【文献】日本医薬品添加物協会,改訂 医薬品添加物ハンドブック,第1刷,株式会社 薬事日報社,2007年,p.835-837
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/198
A61K 9/16
A61K 47/32
A61K 47/34
A61P 1/16
A23L 35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソロイシン、ロイシン及びバリンを有効成分として含む顆粒製剤であって、ゲル化剤を含み、
前記ゲル化
剤は、15万以上
の平均分子量を有するポリエチレンオキシドである、顆粒製剤。
【請求項2】
ゲル化剤が、50万以上の平均分子量を有するポリエチレンオキシドである、請求項
1に記載の顆粒製剤。
【請求項3】
ゲル化剤が粉末添加されている、請求項
1又は2に記載の顆粒製剤。
【請求項4】
顆粒製剤全量に対して、ゲル化剤を0.05~2%含む、請求項1~
3のいずれか1項に記載の顆粒製剤。
【請求項5】
イソロイシン/ロイシン/バリン=1/1.9~2.2/1.1~1.3の重量比で含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の顆粒製剤。
【請求項6】
顆粒製剤全量に対して、イソロイシン、ロイシン及びバリンを80%以上含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載の顆粒製剤。
【請求項7】
結合剤及び/又は矯味剤をさらに含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の顆粒製剤。
【請求項8】
イソロイシン、ロイシン及びバリンを有効成分として含む顆粒製剤の製造方法であって、
イソロイシン、ロイシン及びバリンを含む顆粒に、ゲル化剤を添加し、
前記ゲル化
剤は、15万以上
の平均分子量を有するポリエチレンオキシドである、製造方法。
【請求項9】
ゲル化剤を粉末添加する、請求項
8に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顆粒製剤に関する。具体的には、本発明は、イソロイシン、ロイシン及びバリンを含む顆粒製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
イソロイシン、ロイシン及びバリンを含む医薬品としては、肝疾患等に有効な治療薬であるリーバクト(登録商標、以下、同じ。)配合顆粒が市販されている。
リーバクト配合顆粒は、1包(4.15g)中に4gの有効成分を含み、食事摂取量が十分にもかかわらず低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者の低アルブミン血症の改善に用いられている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】添付文書 分岐鎖アミノ酸製剤 日本薬局方 イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒 リーバクト(登録商標)配合顆粒 2016年4月改訂(第17版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リーバクト配合顆粒は、大量のアミノ酸成分を含む顆粒製剤であることから、アミノ酸に由来する苦味や顆粒の口残りといった服用感のさらなる改善が求められている。
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、服用感の改善されたイソロイシン、ロイシン及びバリンを含む顆粒製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、イソロイシン、ロイシン及びバリンを含む顆粒製剤において、ゲル化剤を配合することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は以下のとおりである。
(1)
イソロイシン、ロイシン及びバリン有効成分として含む顆粒製剤であって、ゲル化剤を含む、顆粒製剤。
(2)
ゲル化剤が、カルボキシビニルポリマー又はポリエチレンオキシドである、(1)に記載の顆粒製剤
(3)
ゲル化剤が、50万以上の平均分子量を有するポリエチレンオキシドである、(1)または(2)に記載の顆粒製剤。
(4)
ゲル化剤が粉末添加されている、(1)~(3)のいずれかに記載の顆粒製剤。
(5)
顆粒製剤全量に対して、ゲル化剤を0.05~2%含む、(1)~(4)のいずれかに記載の顆粒製剤。
(6)
イソロイシン/ロイシン/バリン=1/1.9~2.2/1.1~1.3の重量比で含む、(1)~(5)のいずれかに記載の顆粒製剤。
(7)
顆粒製剤全量に対して、イソロイシン、ロイシン及びバリンを80%以上含む、(1)~(6)のいずれかに記載の顆粒製剤。
(8)
結合剤及び/又は矯味剤をさらに含む、(1)~(7)のいずれかに記載の顆粒製剤。
(9)
イソロイシン、ロイシン及びバリンを有効成分として含む顆粒製剤の製造方法であって、
イソロイシン、ロイシン及びバリンを含む顆粒に、ゲル化剤を添加する、製造方法。
(10)
ゲル化剤を粉末添加する、(9)に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、服用感の改善されたイソロイシン、ロイシン及びバリンを含む顆粒製剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の顆粒製剤の溶出試験における結果を示す。
【
図2】比較例1の顆粒製剤の溶出試験における結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を、発明を実施するための形態により具体的に説明するが、本発明は、以下の発明を実施するための形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
【0011】
本発明の顆粒製剤は、イソロイシン、ロイシン及びバリンを有効成分として含み、ゲル化剤を含む。
本発明の顆粒製剤において、有効成分として用いられるイソロイシン、ロイシン及びバリンは、分岐鎖アミノ酸として知られるアミノ酸である。
本発明においては、それぞれ、D体、L体を用いてもよく、D体とL体の任意の混合比の混合物を用いてもよく、DL体を用いてもよい。
イソロイシン、ロイシン及びバリンは、それぞれ、化学合成品であっても、発酵品であってもよい。
日本薬局方第17改正において(それぞれ、483、1711~1712、1248頁)、L-イソロイシン、L-ロイシン及びL-バリンとして記載されている規格を満たすものを用いることが好ましい。
【0012】
本発明において、イソロイシン、ロイシン及びバリンを有効成分として含むとは、本発明の顆粒製剤を医薬品として用いた場合に、効能効果を発揮する成分として、イソロイシン、ロイシン及びバリンを含んでいるということを意味する。
イソロイシン、ロイシン及びバリンを有効成分として含む医薬品の効能効果としては、日本国においては、市販製品であるリーバクト配合顆粒での効能効果である「食事摂取量が十分にもかかわらず低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者の低アルブミン血症の改善」が知られているが、本発明のイソロイシン、ロイシン及びバリンを有効成分として含む顆粒製剤の効能効果としては、かかる効能効果のみに限定されない。
本発明においては、有効成分として、他の成分を含むことを妨げないが、イソロイシン、ロイシン及びバリンのみを含むことが好ましい。
本発明の顆粒製剤は、イソロイシン、ロイシン及びバリンを有効成分として含むことにより、医薬用顆粒製剤として用いることができる。
【0013】
本発明の顆粒製剤において、イソロイシン、ロイシン及びバリンの含有比は、特に限定されないが、重量比として、イソロイシン/ロイシン/バリン=1/1.9~2.2/1.1~1.3であることが好ましい。
イソロイシン、ロイシン及びバリンの含有量は、適宜設定されるが、顆粒製剤全量に対する質量%として、その含有量の下限値として、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。
イソロイシン、ロイシン及びバリンの含有量の上限値としては、特に限定されないが、イソロイシン、ロイシン及びバリンの含有量は、100%未満であることが好ましく、99%以下であることがより好ましく、98%以下であることがさらに好ましく、97%以下であることがよりさらに好ましい。
イソロイシン、ロイシン及びバリンの含有量は、上限値及び下限値として好ましい値として記載するそれぞれの値を組み合わせた範囲であってよい。
【0014】
本発明の顆粒製剤は、ゲル化剤を含む。
本発明において、ゲル化剤とは、水を含むことによってゲル化する基材である製剤添加物であることを意味する。
ゲル化剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒプロメロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、ローカストビーンガム、ジェランガム、寒天及びポリエチレンオキシド等が挙げられる。
ゲル化能とゲル化速度の観点で、カルボキシビニルポリマー及びポリエチレンオキシドが好ましく、ポリエチレンオキシドがより好ましい。
ゲル化剤は、1種で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0015】
ゲル化剤の平均分子量は、ゲル化能とゲル化速度といった指標の観点から、ゲル化剤の種類により適宜設定される。
ゲル化能は、例えば、ゲル化剤を高濃度、低濃度で水に溶解した際の外観を観察することにより確認することができる。
また、ゲル化速度は、ゲル化剤を水へ添加溶解後に撹拌し、経時的にゲル化の状況を観察していくことにより確認することができる。
ゲル化能の測定濃度としては、例えば高濃度(10w/v%)及び低濃度(1w/v%)が、ゲル化速度の測定濃度としては、例えば10w/v%等が挙げられる。
【0016】
ポリエチレンオキシドにおいては、その平均分子量の下限値として、15万以上の平均分子量を有することが好ましく、50万以上の平均分子量を有することがより好ましく、100万以上の平均分子量を有することがさらに好ましく、200万以上の平均分子量を有することがよりさらに好ましい。
ポリエチレンオキシドの平均分子量の上限値としては、特に限定されないが、ポリエチレンオキシドの平均分子量は、1000万以下であることが好ましく、500万以下であることがより好ましい。
ポリエチレンオキシドの平均分子量は、上限値及び下限値として好ましい値として記載するそれぞれの値を組み合わせた範囲であってよい。
【0017】
本発明において、ゲル化剤の平均分子量は、製品に表示される値であってもよいが、ゲル化剤の溶液の粘度を測定することによって、粘度平均分子量として測定することができる。
【0018】
本発明の顆粒製剤に含まれるゲル化剤は、粉末添加されて存在していることが好ましい。
ゲル化剤の粉末添加は、イソロイシン、ロイシン及びバリンを含む素顆粒に対して行われる。素顆粒に対して、ゲル化剤が粉末添加されることにより、顆粒製剤として、顆粒の表面にゲル化剤が粉末添加された状態で存在することとなる。
【0019】
本発明の顆粒製剤においてゲル化剤が粉末添加されている場合、顆粒表面にゲル化剤が粉末添加された状態で存在しているので、本発明の顆粒製剤は、いわゆるコーティング顆粒(被覆顆粒)として、顆粒表面にゲル化剤がコーティングされている顆粒製剤とは異なる。
コーティング顆粒においては、イソロイシン、ロイシン及びバリンを含む素顆粒に対して、コーティング液によりコーティングされる。この場合、ゲル化剤は、コーティング液中に含まれる。
顆粒製剤において、ゲル化剤が粉末添加されて存在していることは、特に限定されないが、例えば、篩い分け等により分離することにより得られた粉末のゲル化能等を評価することで確認することができる。また、分光画像観察等により、ゲル化剤が粉末添加されて存在していることを確認することもできる。
【0020】
ゲル化剤の含有量は、ゲル化剤の種類により適宜設定されるが、ゲル化能とゲル化速度の観点で、顆粒製剤全量に対する質量%として、0.01~5%であることが好ましく、0.05~2%であることがより好ましく、0.05~1%であることがさらに好ましい。ゲル化剤の含有量は、上記範囲内で、0.1%以上であってもよい。
【0021】
本発明の顆粒製剤は、従来公知の方法によって製した、イソロイシン、ロイシン及びバリンを含む顆粒に、ゲル化剤を添加することにより製造することができる。
【0022】
本発明において、イソロイシン、ロイシン及びバリンは、特許第3228288号に記載される方法により、イソロイシン、ロイシン及びバリンである固形原料アミノ酸を混合粉砕して粒度を調整してもよい。
混合粉砕は、イソロイシン、ロイシン及びバリンを予め混合した後に粉砕する方法、又はイソロイシン、ロイシン及びバリンを混合しながら粉砕する方法のいずれも利用することができる。
【0023】
固形原料アミノ酸の混合においては、特に限定されないが、例えば、コンテナ式混合機等の容器回転型混合機、流動層型混合機等のエアー撹拌型混合機、撹拌羽根及び撹拌リボンの回転による撹拌混合機、粉体輸送ライン中で混合するライン混合機又は粉砕機等の原料供給口に設置されるフィーダー型混合機を利用することができる。
【0024】
固形原料アミノ酸の粉砕においては、特に限定されないが、例えば、ハンマーミルやピンミル等の衝撃式(高速回転式)粉砕機、ボールミル等のタンブラー式(媒体式)粉砕機又はジェットミル等の流体式(気流式)粉砕機を利用することができる。
【0025】
本発明の、イソロイシン、ロイシン及びバリンを含む顆粒の製造においては、特に限定されないが、例えば、高速攪拌造粒機、流動層造粒機、プラネタリーミキサー、乾式圧扁造粒機、破砕造粒機、押出し造粒機、転動造粒機、噴霧乾燥造粒機又はコーティング造粒機を利用することができる。
高速攪拌造粒機又は押し出し造粒機を用いて、顆粒を製造することが好ましい。
押出し造粒機としては、特に限定されないが、例えば、前押し出し式造粒機、ディスクペレッター式造粒機、リングダイ式造粒機、バスケット式造粒機、オシレーティング式造粒機及びシリンダー式造粒機等が挙げられる。
【0026】
顆粒を製造する場合には、日本薬局方又は医薬品添加物規格等の規格を満たしている医薬用として使用できる公知の添加剤を配合することができる。
添加剤としては、特に限定されないが、例えば、結合剤、滑沢剤、着色剤、可塑剤、界面活性剤、甘味料、矯味剤、矯臭剤及び香料等として知られる添加剤が挙げられ、中でも、結合剤及び/又は矯味剤が好ましい。
添加剤は、1種で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0027】
結合剤としては、特に限定されないが、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等のセルロース誘導体、トウモロコシデンプン、コムギデンプン等のデンプン類、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ポリビニルアルコール、アクリル酸ポリマーなどの合成高分子類及びアラビアゴム、ゼラチン等の天然高分子類等が挙げられる。
矯味剤としては、特に限定されないが、例えば、クエン酸、酒石酸、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、エリスリトール、キシリトール、マンニトール及びステビア等が挙げられる。矯味剤には、甘味料として知られる添加剤も含まれる。
矯臭剤及び香料としては、特に限定されないが、例えば、メントール、レモンフレーバー、シュガーレス、スィートフレーバー及びストロベリーオイル等が挙げられる。
【0028】
本発明においては、好適には、イソロイシン、ロイシン及びバリンを含む顆粒に対して、特許第3405342号に記載される方法により、矯味剤及び/又は矯臭剤が顆粒の表面に付着される。
矯味剤及び/又は矯臭剤が付着される顆粒の粒度は、通常の流動化層値において容易に流動状態を維持できる限り、特に限定されないが、一般的には100~2000μmであり、好ましくは200~1700μm程度である。
【0029】
矯味剤及び/又は矯臭剤を顆粒に付着させるための流動化装置としては、特に限定されないが、例えば、フロイント産業(株)製の流動乾燥装置「フロードライヤー」、フロイント産業(株)製の流動層造粒コーティング装置「フローコーター」、(株)パウレック製の「グラットGPCG」、(株)ダルトン製「マルメライザー」及び(株)菊水製作所製「マルチプロセッサー」等が挙げられる。
【0030】
本発明においては、イソロイシン、ロイシン及びバリンを含む顆粒、好ましくは、矯味剤及び/又は矯臭剤が付着されている顆粒に、ゲル化剤を混合する。
本発明においては、イソロイシン、ロイシン及びバリンを含む顆粒、好ましくは、矯味剤及び/又は矯臭剤が付着されている顆粒に、ゲル化剤を粉末添加して混合することが好適である。
かかる混合方法としては、略均一に混合せしめ得る方法であれば特に限定されないが、例えば、一般的な容器回転型混合機(例、V型、二重円錐型、回転揺動型等)、容器固定型混合機(例、リボン型、円錐スクリュー型等)又は気流攪拌型混合機等の混合機を用いた方法が挙げられる。
分包機等により各々の製剤の規定量を定められた容器に投入し混合する方法を利用してもよい。
【0031】
イソロイシン、ロイシン及びバリンを含む顆粒に、ゲル化剤を粉末添加して混合することにより、ゲル化剤が粉末添加された状態で存在する顆粒製剤が得られる。
本発明の顆粒製剤は、ゲル化剤を添加した顆粒からなるが、かかる顆粒は、日本薬局方に規定されている顆粒剤である(日本薬局方第17改正であれば11頁を参照のこと。)。
本発明において、顆粒製剤の粒度は、一般的には100~2000μmであり、好ましくは200~1700μm程度である。
【0032】
本発明において、粒度とは、粒子の平均粒子径を意味するが、日本薬局方第17改正記載の一般試験法3.04「粒度測定法」第2法「ふるい分け法」により測定することができる(95~97頁)。なお、日本薬局方第17改正記載の一般試験法6.03「製剤の粒度の試験法」により測定してもよい(135頁)。
【0033】
本発明の顆粒製剤は、本発明の顆粒製剤の製造方法により得られる顆粒製剤であり得る。
本発明の顆粒製剤は、アミノ酸に由来する苦味や顆粒の口残りといった服用感が改善されている。
【0034】
本発明においては、ゲル化剤を粉末添加しておくことによる、イソロイシン、ロイシン及びバリンを有効成分として含む顆粒製剤の服用感の改善方法を提供する。服用感の改善としては、アミノ酸に由来する苦味の改善や、顆粒製剤の口残り改善等が挙げられる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は何らこれに限定されない。当業者は、本発明の意義を逸脱することなく様々な態様に本発明を変更することができ、かかる変更も本発明の範囲に含まれる。
【0036】
実施例1
表1に記載する処方に基づいて、顆粒製剤を調製した。
L-イソロイシン、L-ロイシン及びL-バリンの混合物に対して、ポビドン(コリドン、90F)、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、酒石酸及びサッカリンナトリウム水和物の水溶液を添加して、撹拌造粒機により造粒し、整粒、乾燥することにより素顆粒を得た。
素顆粒に対して、香料を展延し、整粒した後、ポリエチレンオキシド(平均分子量:500万)を粉末添加して、顆粒製剤を調製した。
【0037】
比較例1
表1に記載する処方に基づいて、顆粒製剤を調製した。
実施例1と同様にして素顆粒を得た。
素顆粒に対して、ポビドン(コリドン、90F)の水溶液を用いてコーティングした後、香料を展延して、整粒することにより、顆粒製剤を調製した。
【0038】
【0039】
実施例1及び比較例1で調製した顆粒製剤を用いて、飲込み易さ、顆粒の残りにくさ、苦味の弱さを指標として、官能評価を行った。(n=9)
飲込み易さについては、服用した際の両顆粒製剤を比較して、飲込み易い方を選択した。
顆粒の残りにくさについては、服用した際の両顆粒製剤を比較して、口の中に残りにくい方を選択した。
苦味の弱さについては、両顆粒製剤を比較して、苦味の弱い方を選択した。
結果を表2に示す。
【0040】
【0041】
実施例1の顆粒製剤は、リーバクト配合顆粒の処方である比較例1の顆粒製剤に対して、飲込み易さ、顆粒の残りにくさ、苦味について優れることから、服用感に優れる顆粒製剤であることが分かった。
【0042】
実施例1及び比較例1で調製した顆粒製剤を用いて、日本薬局方第17改正における溶出試験第2液を用いたパドル法による溶出試験により、溶出性を評価した(141~145頁 一般試験法6.10「溶出試験法」)。
結果を
図1及び
図2に示す。
【0043】
実施例1の顆粒製剤は、比較例1の顆粒製剤に対して、初期(5分値)での溶出性が低いことが確認されたが、15分以降においては両製剤ともにほぼ100%の溶出性を示すことが確認された。実施例1の顆粒製剤も、リーバクト配合顆粒同様の薬効を示すと考えられた。
【0044】
実施例2~4
ポリエチレンオキシド(平均分子量:500万)の含量が、顆粒製剤全量に対して、0.1%、1%又は2%となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、顆粒製剤を調製した。
【0045】
実施例5~7
平均分子量が50万、100万又は200万であるポリエチレンオキシドを用いる以外は、実施例1と同様にして、顆粒製剤を調製した。
【0046】
実施例1~7で調製した顆粒製剤を用いて、異物感、苦味、嚥下し易さを指標として、官能評価を行った。(n=10)
各指標に対して、感じない:1点、あまり感じない:2点、まあまあ感じる:3点、感じる:4点として点数付し、平均値を求めた。結果を表3に示す。
【0047】
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の顆粒製剤は、現行製剤のリーバクト配合顆粒に対して改良された服用性を有すると考えられるため、医薬用顆粒製剤として、産業上の利用可能性を有する。