(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】腕持ち上げ支持装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/54 20060101AFI20220527BHJP
A61F 2/70 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
A61F2/54
A61F2/70
(21)【出願番号】P 2019518044
(86)(22)【出願日】2017-10-04
(86)【国際出願番号】 EP2017075205
(87)【国際公開番号】W WO2018065459
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-09-03
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】517376816
【氏名又は名称】ビオセルボ テクノロジーズ アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】BIOSERVO TECHNOLOGIES AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】アンヴァスト,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルシュテッド,マルティン
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-129044(JP,A)
【文献】特開2011-121163(JP,A)
【文献】特表2014-503320(JP,A)
【文献】特開2008-295696(JP,A)
【文献】特表2015-524752(JP,A)
【文献】米国特許第4862878(US,A)
【文献】米国特許第4180870(US,A)
【文献】中国特許出願公開第104382721(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/54
A61F 2/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕持ち上げ支持装置であって、
胴支持部と、
前記胴支持部に提供される引張り点から少なくとも走行する、
腕の垂直持ち上げのための少なくとも1つの人工腱と、ここで、前記少なくとも1つの人工腱は、前記腕持ち上げ支持装置が使用中、前記ユーザの肩の上にあり、前記少なくとも1つの人工腱をユーザの腕に取り付けるための腕取り付け手段に接続され、
ここで、
前記人工腱に沿って配置されるまたは前記人工腱中に備えられる引張り手段により、前記人工腱に対して、引張り力が印加され、
前記引張り点は、使用中、前記ユーザの前記鎖骨の上方のレベルに提供され、
方向変更手段が、使用中、前記ユーザの主要な球関節(肩甲上腕関節)の上方において垂直に提供され、
前記引張り手段は、前記引張り力を、前記胴支持部の硬質な頸部に配置される前記引張り点において印加するよう構成され、これにより、前記腕持ち上げ支持装置が使用中、ユーザの肩甲骨が自然な方法で動くことを可能にする、
ことを特徴とする腕持ち上げ支持装置。
【請求項2】
前記胴支持部は、ユーザが側方運動をしている際に、前記人工腱がその軸を横方向に摺動できるよう、滑らかな上側部を有する少なくとも1つの肩部分を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の腕持ち上げ支持装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの人工腱に、フィードバックループで、所望の引張り力を印加するよう構成される制御手段を有する制御システムをさらに備え、
その引張り力は、前記制御システム内に備えられる少なくとも1つの姿勢センサを使用して計測されるユーザの姿勢に依存する、
ことを特徴とする請求項1に記載の腕持ち上げ支持装置。
【請求項4】
前記姿勢センサは、前記ユーザの胴および/または上腕の姿勢を計測するよう構成される、
ことを特徴とする請求項
3に記載の腕持ち上げ支持装置。
【請求項5】
前記制御システムは、前記少なくとも1つの人工腱中の現在の実際の引張り力を検出するよう構成され、
フィードバック制御ループが、前記検出された現在の実際の力に基づいて、前記所望の引張り力を達成するよう構成される、
ことを特徴とする請求項
3に記載の腕持ち上げ支持装置。
【請求項6】
前記制御システムは、力調整器を備え、前記力調整器は、検出された前記現在の実際の力に基づいて、前記力調整器中の内部フィードバックループにおける前記所望の引張り力を達成するよう構成される、
ことを特徴とする請求項
5に記載の腕持ち上げ支持装置。
【請求項7】
前記制御システムは、さらに、所与の検出された現在の実際のゼロでない力について、前記所望の引張り力が強くなるほど、前記姿勢センサにより読み出されるものとして、前記ユーザの上腕の長軸が水平に近づくよう構成される、
ことを特徴とする請求項
3に記載の腕持ち上げ支持装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの人工腱は、前記点の間で、前記制御システムの力仲介部分のみである、
ことを特徴とする請求項
3に記載の腕持ち上げ支持装置。
【請求項9】
前記制御システムはさらに、肘角度センサを備え、
前記制御システムは、前記肘角度センサが曲がっていない肘を現在検出している場合、前記人工腱にいかなる力をも印加しないよう構成される、
ことを特徴とする請求項
3に記載の腕持ち上げ支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕をリフティングする(arm lifting)腕持ち上げ支持装置に関する。この腕持ち上げ支持装置は、例えば、腕の機能が損なわれた人間を援助することができる。
【背景技術】
【0002】
本発明の目的は、腕機能障害を有する人間を援助する支持装置を提供することである。腕持ち上げ(arm lifting)支持は、ユーザの生活を改善するため、容易に装着および使用できるものでなければならず、これにより、ユーザは、介助者の援助を必要とすることなく、運動および機能を果たすことができる。本発明のさらなる目的は、スリムなデザインの支持装置を提供することである。
【0003】
外骨格(exoskeleton)支持装置であって、ユーザの身体の外側に接続され、身体における骨とその機能を模倣する(mimicking)硬い部分に依存するものが従来から知られている。これは、非常に嵩張る支持をもたらす。
【0004】
例えば、力を加えて、伝統的な外骨格で胴体(trunk)に対して腕を持ち上げるために、腕から胴(torso)へ負荷を伝達することは、肩関節の動きが複雑であるため、困難である。肩は、肩甲骨(scapula)と上腕骨(humerus)の間に球関節(ball joint)を有するだけではない。肩甲骨自体は、肋骨に緩やかに接続され、骨格系の残りへの硬い接続は、鎖骨(collar bone)のみである。このため、これらの運動を取り扱うために、肩の運動を許容する外骨格は、通常、球関節の周囲にジンバル(gimbal)を有するが、またしばしば、ジンバルジョイント(gimbal joint)を可動にするためにリンクする(linkages)。身体に対する外骨格の関節のずれは、痛みを引き起こし、損傷までにも至る可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、腕持ち上げ(arm lifting)支持装置が提供される。この支持装置は、胴(torso)支持部と、少なくとも、前記胴体支持部に提供される引張り点(pulling point)から走行する、垂直持ち上げのための少なくも1つの人工腱であって、使用中、ユーザの肩の上にあり、前記少なくとも1つの人工腱をユーザの腕に取り付ける取り付け手段に接続される人工腱を備える。
この引張り点は、使用中、ユーザの鎖骨より上方のレベルに提供される。方向変更(redirecting)手段は、使用中、ユーザの腕/肩関節の上方に、実質的に垂直に位置付けられる。
こうして、腕を、肩の主要な(major)球関節(socket/ball joint)の上のレベルまで持ち上げることができる。これによりまた、肩甲骨を、自然な方法で動かすことができる。好適には、引張り点は、胴(torso)支持部の頸部に隣接して提供される。最も好適には、引張り点は、硬質な頸(stiff neck)部に提供される。こうして、引張り点は、持ち上げられるべき腕に向かって引っ張られず、正しい位置に留まる。
本発明のある実施形態によれば、引張り力は、人工腱に沿って配置されるまたは人工腱に備えられる引張り手段により、人工腱に印加される。好適には、腕持ち上げ支持装置は、ユーザの上腕の水平面上の運動を制限しないよう配置される。
【0007】
本発明のある実施形態によれば、胴(torso)支持部は、さらに、少なくとも2つの、分離しているが接続されている肩部分(shoulder parts)を有する肩部を備える。好適には、少なくとも2つの肩部は、部分的に重なり合う。3つの肩部を有してもよい。好適には、人工腱方向変更手段は、少なくとも1つの肩部に配置される。
【0008】
本発明のある実施形態によれば、制御システムが提供され、この制御システムは、少なくとも1つの人工腱中に、フィードバックループで、所望の引っ張り力を印加するよう構成される制御手段を備え、その引張り力は、制御システムに備えられる少なくとも1つの姿勢センサを使用して計測されるユーザの姿勢に依存する。好適には、この姿勢センサは、ユーザの胴(torso)および/または上腕の姿勢を計測するよう構成される。
【0009】
本発明のある実施形態によれば、制御システムは、少なくとも1つの人工腱内の現在の実際の引っ張り力を検出するよう構成され、フィードバック制御ループは、検出された現在の実際の力に基づいて、所望の引張り力を達成するよう構成される。
【0010】
本発明のある実施形態によれば、制御システムは、力調整器(regulator)を備え、この力調整器は、検出された現在の実際の力に基づいて、力調整器内の内部フィードバックループ内で所望の引張り力を達成するよう構成される。
【0011】
本発明のある実施形態によれば、所望の引っ張り力は、多数の異なるユーザの姿勢について、ユーザの腕を静止しておくのに要求される力の特定の相対的比率として決定される。好適には、制御システムはさらに、所与の検出された現在の実際のゼロでない力について、所望の引っ張り力が強いほど、姿勢センサにより読み出されるものとして、ユーザの上腕の縦軸が水平に近くなるよう構成される。ユーザの上腕の現在の方向が、姿勢センサにより読み出されるものとして、垂直、または実質的に垂直の場合、所望の引張り力は、実質的に0となる。
【0012】
本発明のある実施形態によれば、支持装置は、少なくとも1つの姿勢センサを使う以外、いずれの他の姿勢又は加速度も読み出さないよう構成される。
【0013】
本発明のある実施形態によれば、少なくとも1つの人工腱は、上記点の間における制御システムの力仲介(force-mediating)部分のみである。
【0014】
本発明のある実施形態によれば、制御システムはさらに、肘(elbow)角度センサを備え、制御システムは、肘角度センサが現在、曲がっていない肘を検出している場合、人工腱にいかなる力をも印加しないよう構成される。
好適には、上記のセンサのいずれも、ユーザの皮膚に直接接触しないよう構成される。上記センサのそれぞれは、腕持ち上げ支持装置自体の主要構造に固定して取り付けられる。
【0015】
本発明のある実施形態によれば、1つのみの垂直持ち上げのための人工腱が提供される。好適には、人工腱の摺動(スライド)可能な取り付けが提供され、腕取り付け手段には、腕取り付け手段に、人工腱の摺動可能な取り付け点のための手段が提供される。これにより、取り付け点は、ユーザの腕の第1の点と第2の点の間の連続的な経路に亘って摺動することができる。好適には、摺動可能性(slidability)は、肘関節の内側に沿って、すなわち肘窩(cubital fossa)を有する側で、提供され、取り付け点は、これに沿って摺動することができる。
ワイヤが、肘関節の内側に沿って提供されてよく、人工腱の摺動可能な取り付けは、ワイヤ周囲のループ取り付け(loop attachment)である。
【0016】
本発明のある実施形態によれば、腕取り付け手段は2つの部分を備える。腕をリフティングする支持装置が使用中は、上部の部分が、ユーザの上腕周囲での取り付けのため提供され、下部の部分が、ユーザの下腕での取り付けのため提供される。上部および下部の部分は、ある種の接合部(ジョイント)で接続されてよい。好適には、腕取り付け手段は、使用中、ユーザの肘を包囲(embraces)する。
【0017】
以下、本発明を、本発明の例示的実施形態および添付図面を参照して、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、胴支持部を有する腕持ち上げ支持装置の実施形態を示す図である。
【
図2】
図2は、胴支持部と腕取り付け手段との間を走行する人工腱の実施形態を示図である。
【
図3】
図3は、腕持ち上げ支持装置が使用中に、ユーザの腕に亘って提供される摺動可能性の実施形態を示す正面図である。
【
図4】
図4は、使用中にユーザの腕に亘って提供される摺動可能性の他の実施形態を示す図である。
【
図5】
図5は、胴支持部に人工腱方向変更手段を有する胴支持部の肩部の実施形態を示す図である。
【
図6】
図6は、胴支持部の頸部の実施形態を示す図である。
【
図7】
図7は、腕取り付け手段の実施形態を示す図である。
【
図8】
図8は、正面にある腕を持ち上げるユーザにより装着された際の、側面からの腕持ち上げ支持装置の実施形態を示す図である。
【
図9】
図9a、
図9b、および
図9cは、異なる位置で示される、ユーザの腕の位置を検出するよう構成されるセンサの実施形態をそれぞれ示す図である。
【
図10】
図10は、フィードバックループの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、以下の実施形態により以下詳細に説明される。本開示は、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、以下の添付クレームにより画定される。
【0020】
図1において、腕持ち上げ(arm lifting)支持装置は、例えば後方セクション2(
図5参照)から構成される胴(torso)支持部1、第1の部分3aおよび第2の部分3bを備える前方セクション3を有するものとして示される。双方の部分は、後方セクション2と相互接続され、前方で着脱可能に互いに接続される。胴支持部1の他の構成を有することも当然可能である。
【0021】
少なくとも1つの人工腱4は、胴(torso)支持部1に提供される引張り点5(
図6参照)から少なくとも走行し、
図1および
図2に示されるように、腕取り付け手段6に接続される。人工腱4は、胴支持部1の肩部分12上に、引っ張り点5および腕取り付け手段6の間を走行する。
肩部分12は、
図1および
図2に示されるように、肩部を上方に折り曲げることを容易化する折り曲げ線を有する肩部分12の部分であってよく、または、
図5に示されるように、分離しているが接続されている部分であってよい。腕取り付け手段6は、腕持ち上げ支持装置が使用中に、ユーザの腕に位置付けられ、これにより人工腱4は、ユーザの腕に取り付けられる。腕取り付け手段6のいずれかの側部に取り付けられ、または平面でのユーザの腕の側方運動をする側部に取り付けられる、2以上の人工腱があってよい。
【0022】
しかしながら、少なくともユーザの腕を持ち上げるため、1つのみの人工腱4が使用されることは有利である。ユーザの腕に不所望の運動量(推進力)(momentum)、すなわちその長さ軸(length axis)周囲の回転、をもたらすことを回避するため、1つのみの人工腱4が使用される場合であっても、本発明は、腕取り付け手段6に、人工腱4の摺動可能な(slidable)取り付けを提供する。
【0023】
人工腱4は、取り付け点(attachment point)で取り付け手段に取り付けられ、これにより、取り付け点は、ユーザの腕の第1の点と第2の点の間の連続経路に亘って摺動する。この摺動可能性(slidability)は、ユーザの腕に亘り、左右に、またはユーザの腕の全周に亘って提供され、これに沿って取り付け点が摺動する。
摺動可能性は、好適には、使用中、ユーザの腕の肘関節に隣接して提供されてよい。少なくとも、摺動可能性は、肘関節の内側に提供される。例えば、
図3に示すように、ワイヤ7が、肘関節の左右に、好適にはその内側に走行してよい。例えば、人工腱4は、ワイヤ7に、ループ8によって接続されてよい。この種の解決手段はまた、
図1および
図2に示されている。
【0024】
摺動可能性が、ユーザの腕の全周に提供される場合、使用中に腕に提供される際に、ユーザの腕を取り囲む(周回する)(encircling)レール9であってよい。
図4を参照のこと。人工腱4とレール9の間の接続は、例えば、嵌合(form fit)タイプの接続であってよく、この接続は、レール9に沿って進むが、これから離れることがない。
【0025】
図7において、腕取り付け手段6の実施形態が示されている。腕取り付け手段6は、2つの部分、すなわち、使用中にユーザの上腕周囲への取り付けのため提供される上部の部分6aと、ユーザの下腕への取り付けのため提供される下部の部分6b、を備える。
【0026】
調整装置(adjustment device)15(
図3参照)が、腕取り付け手段6の上部の部分6aに取り付けられる。調整装置15により、ワイヤ7の長さは、手動でまたは自動的に調整されることができ、これによりワイヤ7は、ユーザによりよくフィットする。
【0027】
2つの部分6a、6bは、好適には相互接続される。相互接続14は、ユーザのため、腕を曲げる(flex)可能性に限界を与えないため、接合部(ジョイント)または柔軟な部分であってよい。好適には、2つの相互接続14があってよく、それぞれの側部に1つずつあってよい。腕取り付け手段6が、ユーザの腕に沿って上方に摺動するリスクを最小化するため、好適には、腕取り付け手段6は、使用中、ユーザの腕の肘を包囲するよう配置される。摺動可能性機能7、9は、相互接続14に近接して取り付けられてよい。
【0028】
ある実施形態において、相互接続は、各部の2つの点を接続してそれらの相対距離を一定に維持する、2つの紐(strings)、ワイヤ等からなる。
【0029】
図6において、人工腱4のための引張り点5は、使用中、ユーザの鎖骨の上方のレベルに位置付けられる。好適には、胴支持部1の頸部10の近傍に配置される。頸部10は、好適には、少なくとも側方方向に硬く(硬直しており)(stiff)、これは、胴支持部1における力の分散のため有利であり、引張り点5の変位のリスクもまた制限する。胴支持部1が、ユーザが彼女または彼自身で着衣することを可能にする種類のものである場合、この硬い頸部(stiff neck portion)は、着衣運動を援助するであろう。
【0030】
引張り点5の代替的位置が、
図11に示されており、肩後方に、肩と頸との間のいずれかに位置付けられている。この代替例は、人工腱4の方向変更手段11と組み合わされてもよく、そうでなくてもよい。
【0031】
図5に示されるように、人工腱4の方向変更手段11は、胴支持部1に提供される。好適には、方向変更手段11は、使用中、ユーザの肩/腕の、主要な球関節(ball and socket joint)(肩甲上腕関節(関節窩上腕関節)(glenohumeral joint))の上方に、垂直に位置付けられる。方向変更手段11は、胴支持部1の肩部12に配置されてよい。
【0032】
図示される実施形態によれば、肩部は、分離しているが接続されている2つの肩部分13aおよび13bを備える。肩部12に、3つ以上の肩部分13を配置することもまた想定可能である。肩部分13a、13bは、部分的に重なり合うか、または柔軟に並んで配置されてよい。これらの部分を分離しかつ接続することで、胴支持部は、特にユーザの腕を高く持ち上げる間、ユーザの腕の運動を妨げるまたは対抗することなく、身体の運動によりよく追従することができる。方向変更手段11は、肩部分13のうちの1つに、図示される場合において、頸部10から見た内側の部分13bに、提供される。
【0033】
腕が側方方向に運動している際に、人工腱4がその軸を横方向に摺動することができるよう、肩部分は、平滑な上側部を有してよい。
図1は、これを、人工腱4の異なる方向付けで示す。ユーザの腕が前方位置にある場合、人工腱4は、前方位置4aにある。ユーザの腕が中立位置にある場合、人工腱4は、中立位置4bにあり、腕が側方位置(横向き(sideway)位置)にある場合、人工腱4は、側方位置4cにある。
【0034】
肩部は、好適には、
図8に示すようにパッド30詰めされ(padded)、これにより、肩の主要な球関節から上方への距離が増加する。こうして、人工腱4上に要求される力は、低減される。
【0035】
本発明の好適な実施形態によれば、制御システム20が提供され、この制御システム20は、人工腱4に所望の予め決められたまたは計算された引張り力を印加するよう構成される制御手段21を備える。
【0036】
好適には、制御システム20はさらに、水平平面に対する、ユーザの胴体およびユーザの上腕のうち少なくとも1つの現在の方向を検出するよう構成される1つまたは複数の姿勢センサを備える。こうしたセンサ23は、例えば、上記の胴部(said torso)上に、またはユーザの上腕に沿ったいずれかの場所、例えば、肘にまたは肘の近くに、または、
図9aから
図9cに示されるように、上腕に沿って、配置されてよい。姿勢センサ23は、加速度計、および/またはジャイロ(gyro)を備えてよく、例えば、それ自体は、従来の慣性計測ユニット(inertial measurement unit: IMU)であってよい。また、異なる身体部分の間の相対的角度を計測する角度センサ(測角器)を備えてよい。姿勢センサ23は、さらに、例えば、有線または無線通信チャネルを使用して、上記のタイプの胴体および/または上腕方向計測値を提供するよう配置されてよい。
【0037】
そして、制御手段21は、好適には、1つまたは複数の姿勢センサ23により読み取られるような、胴体および/または腕方向所望の引張り力を印加するよう構成される。
【0038】
所望の力は、完全に受動的なシステムを使用して、例えば、完全に機械的なバネ手段を使用して、印加されることができる。しかしながら、さらに好適な実施形態によれば、制御システム20はまた、制御システム20の力制御フィードバックループで使用される実際の力(actual force)センサ22を備える。こうした実際の力センサ22は、制御手段21と一体化した部分として構成されてもよく、あらゆる他の好ましい方法で構成されてもよいことが理解されるべきである。
【0039】
このフィードバックループの場合、実際の力センサ22は、人工腱4中の実際の引張り力を検出するよう構成される。複数の人工腱4がある場合、好適には、実際の力センサ22は、複数のそうした人工腱上で計測される力の値に基づいて、腕に作用する合計の実際の力を見積もるよう構成される。この見積もりがどのようにされるかの1つの単純な例は、問題となる人工腱内の最大の現在における実際の力を検出することである。実際の力センサ22はさらに、検出された実際の力の値を制御手段21へ供給するよう構成され、順に、少なくとも1つの人工腱4に沿った引張り力を、所望の力の値に制御するよう構成される。
【0040】
引張り力は、特定の調整基準(regulation metric)、例えば、電流、電流、力、空気圧、または水圧(油圧)等を使用して制御されてよく、順に、制御装置によって設定され、好ましい作動機構、例えば、電気モータまたは空気圧システム、を使用して、腱4上に作用することにより、印加される引張り力に影響を及ぼす。
【0041】
上記したように、複数の人工腱4は、並行して同時に使用され、個別にまたは一体として制御されてよい。以下では、しかしながら、本開示は、1つのみの人工腱4があるものと見做して説明する。こうした単一の人工腱4に関連する制御システム20に関するすべてものは、複数の腱の場合にもまた対応して適用可能であることが理解される。
【0042】
所望の力は、好ましい従来の引張り手段、例えば、人工腱4をロール上に巻き取る(roll)するよう構成されるローラ手段、を使用して達成されてよく、これにより、腱4を短縮/伸長させる。それはまた、順に、電気的、空気圧的、または水圧(油圧)的に給電されるねじ回し(screw drive)を使用して、空気圧式人工筋肉(マッキベン(McKibben)筋肉)を使用して、または電気活性高分子繊維等を使用して駆動されてよい。好適には、可能である場合(例えば2つの後者の例におけるような)、力印加手段は、腱自体の一部を構成する。
【0043】
調整基準(regulation metric)の大きさは、好適には、一般的に、計測された実際の腱4の力に依存する。より詳細には、制御手段21は、好適には、検出された現在の実際の力に基づいて、フィードバック制御ループに従って所望の力を達成する。フィードバック制御ループは、ハードウエア、ソフトウエア、またはこれら2つの組み合わせで、制御システムにより実装されたアルゴリズムであってよい。
【0044】
こうしたフィードバック制御ループは、好適には、重力によりユーザの腕によって感じられる抵抗(負荷)がまだ存在しているが低減されているという意味で「自然である」として知覚される方法で、所望の引張り力が、ユーザの腕に作用する重力の力を補償するように、設計されてよい。これにより、ユーザにより意図され開始された運動が、自然な方法であるがより小さいユーザの力により実行される。
これを達成するため、好適には、引張り力の制御は、動いている人工腱4上に作用するという意味で、動的に実行される。すなわち、人工腱4は、ユーザの腕が上げられまたは下げられることの結果として短縮または伸長するため、所望の引張り力は、短縮または伸長された人工腱4に、例えば、人工腱4が問題となるロール上にロールオンまたはロールからロールオフされる間、上記のロールを回転させることにより、印加される。
【0045】
好適には、所望の引張り力は、腕を持ち上げるのに十分なほど強くなく、さらには垂直位置上方へ引き上げられた際に腕を安定的な位置に維持するのに十分なほど強くない。特に、制御手段21は、腕のあらゆる運動を開始するようには構成されず、すなわち、フィードバックループは、好適には、その設計において完全に反応性(reactive)である。
【0046】
好適には、所望の引張り力は、腕が現在、上げられているか下げられているかに依存しない。しかしながら、ある代替的な好適な実施形態によれば、下方への腕の運動と比較して、異なるように設計されたフィードバック制御ループは、上方への腕の動きのために、実装されてよい。これは、例えば、繰り返しの組み立て作業等のための負荷減少装置として使用される場合、または特定のリハビリテーション計画が特定の患者群のために実装されなければならない場合、有用であるかもしれない。現在の動きの方向は、好適には、例えば上記したタイプの腕姿勢センサにより、動的に検出されてよい。
【0047】
好適には、制御システム20は、力調整器(force regulator)を備え、この力調整器は、検出された現在の実際の力に基づいて、上記の力調整器中の内部フィードバックループ内で所望の力を達成するよう構成される。この場合、上記の調整基準の値を制御して所望の力を達成するのは、力調整器である。こうした力調整器は、現在の実際の力を検出するビルドインされた力センサを有してよく、または例えば腱4上に配置される外部の力センサに、引張り点またはユーザの腕上で、接続されてよい。
【0048】
制御システム20のこうした設計により、制御手段21の形式である、1つの単一のアクチュエータが、ユーザのすべての腕および肩の動きを補助することができる。これは、本願のタイプの支持装置において特に真実であるが、垂直に腕を持ち上げることへの補助を提供するが、水平な腕の運動自体には影響しない。実際の力センサ22は、制御手段21に、または制御手段21の部分として配置されることができるため、制御システム20の全体は、1つの単一の装置として、例えば上記した引張り点5に、または腱4の方向変更手段を介して引張り点5に、どこでも、例えばユーザの後方(背中)の制御パッケージ内に、配置されることができる。
【0049】
好適な実施形態によれば、制御システム20は、調節(adjustment)手段24を備え、この調節手段を介して、所望の腱4の引張り力の相対的強さが、ユーザによって調節されることができる。こうした調節により、好適には、検出された腕および/または胴姿勢のそれぞれのために、好適には、観察されるこうした姿勢間隔全体に亘って線形(リニア)な方法で、所望の力が変更されるという結果がもたらされる。そうした調節手段24を使用して、ユーザは、制御手段20により提供される補助の全体の(overall)レベルを、簡易な方法で、制御システム20の一般的な挙動に影響を与えることなく、調節することができる。
【0050】
さらに、好適には、フィードバックループは、所望の引張り力が強くなる程、姿勢センサ23により読み出されるものとして、ユーザの上腕の長軸(longitudinal axis)が水平に近づくように、構成される。これは、垂直方向に下方の腕の位置から水平な腕の位置までの移動において、引張り力がより大きくなることを意味する。水平より上方で、引張り力はまた、水平位置におけるより小さくなる。例えば、所望の力は、上腕が上記の水平位置にある際に、最大となるよう変動してよい。
【0051】
姿勢センサにより読み出されるものとして、ユーザの上腕の現在の方向が、垂直、または実質的に垂直である場合、所望の引張り力は、好適にはゼロ、または実質的にゼロである。
【0052】
対応する方法で、所望の引張り力は、対応する姿勢センサ23により読み出されるものとして、ユーザの胴の方向(orientation)の関数として変動してよい。後者の場合、好適には、所望の力は、そうして読み出される姿勢の関数として変動し、これにより、より直立(upright)である胴位置が、より大きい補助用の所望の力を生成する。これは、上記した腕の位置に依存する変動と組み合わされてもよいし、組み合わされなくてもよい。
【0053】
図10は、本発明の実施形態に係るフィードバック機構の一例を示し、このフィードバック機構は、上腕姿勢の角度φを読み出して、所望の腱の引張り力を、読み出された腕姿勢角度に従って維持する目的のため、所望の引張り力F
desを印加するよう構成される。力調整器は、実際の力を内部的に計測し、これに依存して引張り力を調整する。補助の一般的レベルは、ユーザによって、定数kの適切な値を選択することにより、例えば、上記のタイプの調整ノブ(adjustment knob)を使用することにより、制御することができる。この例において、所望の引張り力は、計測された現在の腕姿勢角度の、スケーリング(scaled)サイン関数である。異なるおよび/またはより複雑な所望の力の関数が、特定の必要性に応じて適用されてよい:
【0054】
【0055】
ここで、kは、補助の一般的レベルを制御するための定数であり、Fdesは、所定のまたは調整可能なデフォルトの所望の引張り力であり、φmaxは、所望の引張り力がそのピークとなるべき、所定のまたは調整可能な(以下参照)腕姿勢角度(例えば、水平に方向付けられた腕)であり、φは、計測された腕姿勢角度である。
【0056】
一般的に、好適には、内部フィードバックループは、検出された上腕方向の完全な間隔(complete interval)に亘って、同じ原理の対応する方法で動作するよう設計される。特に、好適には、検出された上腕の方向は、1つまたは複数の定数または変数(上腕姿勢の複数の値に亘る)、所望の腱の引張り力の値に対する補償因子または変数により、フィードバックループに、影響を与えるのみである。例えば、これにより、補償因子は、所望の引張り力を上記した内部フィードバックループで使用する前に、デフォルトの引張り力Fdefに対して適用され、または、Fdesを算出するための角度依存関数への引数(独立変数)として適用される。これにより、姿勢センサ23に基づく機能性(functionality)を、制御システム20の残りから分離することができ、これにより、内部フィードバックループの機能性を維持しつつ、姿勢センサ23をスイッチオンまたはオフすることができる。また、姿勢センサ23は、既存の制御システム20に事後的に導入されてよい。上記したように、胴姿勢に基づくフィードバックループに関しても同様である。
【0057】
図10において、2つのこうした補償因子がある。すなわち、kと以下である。
【数2】
【0058】
一般的に、所望の補償力は、少なくとも、検出された腕および/または胴姿勢の区分(section-wise)連続関数、例えば、サイン関数、としてあるいはこれらに基づいて算出されてよい。好適には、別個の調節手段25、例えばノブ(knob)、が提供されて、どの上腕方向値φmaxで、最大の所望の引張り力が印加されるべきかを、例えばその別個の調節手段により調節する。
【0059】
ある好適な実施形態において、姿勢に依存する所望の力の関数は、実験的(経験的)に初期構成ステップにおいて決定され、例えば制御システム20内のハードウエアプロセッサ上で実行されてよい好適なソフトウエア機能を使用して実行される。こうした構成の間、ユーザの腕および/または胴の姿勢は、例えば、ユーザが腕を好適には予め決定された一連の複数方向へ動かすことを駆動または補助するアクチュエータにより、変動され、および上記したように、1つまたは複数の対応する姿勢センサにより検出される。
こうした検出のとき、好適には、好適にはユーザの筋力により補助されていない腕の重さが、センサに与えられる(imparted)。同時に、現在の実際の腱4の力が読み出され、多数の異なる既知のユーザ姿勢に対して計測された実際の腱4の力を備える結果として得られるデータベースが使用されて、制御システム20が動作する間、使用のための、上記の姿勢に依存する所望の腱の力の関数を算出する。
【0060】
例えば、ユーザは、彼または彼女の腕および/または胴を所定の運動パターンで動かすよう命令されることができ、その姿勢シーケンスはその後、検出された姿勢のそれぞれについて、対応する実際の腱4の力の計測値とともに検出され、制御システム20中のデジタルメモリに格納される。
ある実施形態において、制御システム20は、印加される引張り力を、上記で説明したものに対応する方法で制御するよう構成され、これにより、僅かに(辛うじて)(barely)または正確に、要求された補助をユーザに提供し、ユーザに一連の予め決められた姿勢のそれぞれを維持させ、一方、検出された対応する姿勢および実際の腱の力を記録する。
【0061】
構成(configuration)の間、ユーザは、最大の力を用いつつ、一連の姿勢を実行するよう命令されてよい。これにより、ユーザが、異なる胴および/または上腕姿勢の範囲に亘って発揮することができる力のためのベンチマーク(benchmark)が自動的に生成され、これに基づいて、所望の力の関数は、制御システム20のソフトウエアにより自動的に決定されることができる。その後、ユーザは、使用中、現在の疲労レベルまたは活動のタイプに依存して、上記した調節ノブを調節することにより、実際の力の補助を制御してよい。
【0062】
こうした構成の結果として、または予め決められたまたは手動でのパラメータ設定に基づいて、好適には、多数の異なるユーザ姿勢について、上記で説明したフィードバック制御ループ中の所望の腱の力が、いかなる筋力をも使用してまたは使用することなく、ユーザの腕を問題となる姿勢で静止させるのに必要とされる力の特定の相対的比率として、決定される。この比率は、その後、ここで説明される調節ノブを使用して調節されてよい。
【0063】
上記したタイプの構成ステップの間、好適にはまた、水平の上腕姿勢が、例えばユーザが腕をそうした水平姿勢に位置付けるよう命令されて、制御システム20にその姿勢における実際の姿勢のセンサデータを検出させ、このデータを上記したフィードバックアルゴリズムにおける水平の姿勢の基準値として使用させることにより、自動的に決定される。
【0064】
追加的な好適な実施形態において、制御システム20は、例えばこうした構成ステップの間、特に予め決定された姿勢の間隔、例えば、買い物をしている、または特定の繰り返される組み立てタスクを実行している際のような現在の活動においてユーザがより大きな力を発揮しなければならない姿勢において、より強い補助を与えるよう構成され得る。こうした間隔、およびそうした追加的な補助力は、姿勢に依存する所望の腱の力の関数に、好適には、制御装置内のソフトウエア関数として、組み込まれる。
【0065】
より好適には、制御システム20はさらに、肘角度センサ26を備え、肘角度センサ26は、現在のユーザの肘の屈曲角度(flexing angel)を検出して、制御手段21に接続されて、肘角度の計測値を、姿勢センサ23の接続と同様であってよい方法で供給する。 好適には、姿勢センサ23および肘角度センサ26の双方が使用される場合、これらは単一の一体化されたユニットとして構成されて、制御手段21と通信するための1つの単一の通信インタフェースを使用してよい。この場合、好適には、こうした一体化されたユニットは、肘に、例えば、腕取り付け手段6上に、相互接続14の一部として、配置される。
【0066】
肘角度センサ26が使用される場合、制御システム20のフィードバック制御ループは、肘角度センサが曲がっていない(unbent)肘を現在検出している場合、人工腱4に引張り力が印加されない、または実質的に印加されないように構成される。この機能とは別に、肘角度センサ26が検出した値は、好適には、印加される引張り力に影響を与えない。
これにより、腕が完全に真っ直ぐである場合、腕取り付け手段6がユーザの肩に向かって直接内側に引っ張られ、これにより腕取り付け手段6が本来の場所から外れる(out of place)ことが回避される。そのため、本実施形態は、引張り点5および腱方向変更手段11が、引張り力が球肩関節(ball-and-socket shoulder joint)の比較的近傍にある線に沿って印加されるよう、そして好適には腱4が、ユーザの上腕に実質的に並行に走行するよう、位置付けられる場合に、最も好適である。好適には、約5度、またはさらに小さい屈曲角度により、印加すべき通常のフィードバック制御ループがもたらされる。
【0067】
腕および/または胴の姿勢を計測することに追加して、上記したように、同様の姿勢センサがまた使用されて、ユーザの腕の他の幾何学的姿勢の局面(aspects)を計測してよく、そうした計測に基づいて上記した所望の力を変更する目的を持って使用されてよい。 これらの例は、水平面におけるユーザの胴に対する上腕の位置、腕の回転/ねじり(twisting)角度、および/または肘の屈曲を含む。例えば、腕が正中面(median plan)に位置しおよび動かされる場合、前頭面(frontal plane)にある場合と比較して、より大きい所望の力(このためユーザに対するよりパワフルな補助)を使用することができる。そして、より屈曲した腕は、より小さい所望の引張り力を要求し得る。
【0068】
同様に、所望の引張り力は、腕姿勢角度および/または他の読み出された姿勢の検出された一次または高次の導関数(derivative)に対して、動的に決定されてよい。特に、より速い進行中の(faster ongoing)姿勢変更、特に腕の運動、は、より大きな所望の引張り力をもたらすことが所望され、これにより、人間の腕で通常発生する粘性摩擦効果によるより自然なフィーリングの補助に繋がる。
【0069】
さらに、支持装置、特に制御システム20、は、好適には、姿勢センサ23(特に、好適には胴姿勢センサが使用されない場合、上腕姿勢センサのみ)および、該当する場合、肘角度センサ26の他は、他の姿勢や加速度を読み出さないよう構成される。これにより、ユーザに対して、ユーザ始動による腕の運動の補助を提供するための、非常に簡易であるが多用途かつ有用なシステムが提供される。
【0070】
同様の理由で、好適には、少なくとも1つの人工腱4は、引張り点5および腕取り付け手段6の間における、制御システム20の力仲介(force-mediating)部分に過ぎない。
【0071】
好適な実施形態において、いずれのセンサ23、26も、ユーザの皮膚と直接接触しないよう構成される。センサを皮膚に直接接触させることは、ユーザに心地悪さを知覚させかねず、本実施形態の支持装置を使用すればそうした構成は必要でない。
替わりに、センサは、主要な支持装置部分6、12等に配置されることができる。特に、好適には、センサ23、26は、ユーザ等からの神経系信号を読み出すよう構成されるのではなく、空間におけるこれらの方向、および支持装置の他の部分に対するそれらの方向に基づいて、純粋に機械的な姿勢および角度データを読み出すよう構成される。
【0072】
特に、センサ23、26のそれぞれは、好適には、腕をリフティングする(持ち上げ)支持装置自体の主要な構造に、装着された際ユーザの皮膚に直接接触しないように、固定的に取り付けられる。例えば、センサは、織物の層の頂部に締結されてよい。
【0073】
上記のセンサとは別に、追加的なセンサがいくつかの実施形態で使用されてよく、これらの追加的センサは、フィードバックループを制御するが、特に、特定の計測された状況に基づいて、特定の一時的機能を達成する。例えば、筋電図(electromyographic: EMG)センサが使用されてもよく、例えば、ユーザの筋肉運動(muscular effort)が関連する筋肉組織で検出された際に、一時的に、追加的上昇(extra boost)を提供してよい。これにより、より複雑な製品がもたらされ、このため、単純化が求められるいくつかの実施形態においては好適ではない。
【0074】
上記した制御システム20は、ユーザの腕の一方のみ、または双方の腕の動きを補助するよう実装されてよいことが理解されるべきである。後者において、フィードバック機能は、ユーザのニーズに依存して、同一であっても異なってもよい。ある好適な実施形態において、上記の構成は、ユーザの2つの腕のそれぞれに対して独立して実行され、それぞれの結果としてのフィードバックループは、それぞれの腕の動きおよび姿勢に対して独立して適用される。