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特許7080227シート搬送装置及びこれを備えたシート加工装置並びにシート搬送装置を用いたシートの搬送方法及びシートの加工方法
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  • 特許-シート搬送装置及びこれを備えたシート加工装置並びにシート搬送装置を用いたシートの搬送方法及びシートの加工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】シート搬送装置及びこれを備えたシート加工装置並びにシート搬送装置を用いたシートの搬送方法及びシートの加工方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20220527BHJP
【FI】
A61F13/15 370
A61F13/15 371
A61F13/15 351A
A61F13/15 390
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019518749
(86)(22)【出願日】2018-05-11
(86)【国際出願番号】 JP2018018336
(87)【国際公開番号】W WO2018212092
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2017097344
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】有馬 卓志
(72)【発明者】
【氏名】宇谷 晃司
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-008184(JP,A)
【文献】特表平11-513647(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0196564(US,A1)
【文献】特表2002-521091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
B65H23/00-23/16
B65H23/24-23/64
B65H27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下流側の装置にシートを受け渡すように前記シートを連続的に搬送するシート搬送装置であって、
前記シートを吸着可能な吸着面をそれぞれ有する複数の吸着部材と、
前記吸着面が第1軸を中心とする円の円周に沿って間隔を空けて並び、かつ、前記複数の吸着部材が前記第1軸を中心として回転可能な状態で前記複数の吸着部材を保持する保持機構と、
前記第1軸と平行な第2軸を中心として回転可能な回転軸と、前記回転軸からの動力が前記複数の吸着部材に伝達可能となるように前記回転軸と前記複数の吸着部材とを連結する連結機構と、を有する駆動装置と、
前記保持機構及び前記駆動装置を支持する支持機構と、を備え、
前記連結機構は、前記複数の吸着部材が前記第1軸を中心とする円の半径方向に移動可能な状態で前記複数の吸着部材に接続され、
前記支持機構は、前記保持機構の前記第1軸と前記駆動装置の前記第2軸とが前記第1軸と直交する方向に相対的に移動可能となるように前記保持機構及び前記駆動装置を支持する、シート搬送装置。
【請求項2】
前記複数の吸着部材は、前記吸着面を有する吸着部と、前記第1軸を中心とする円の半径方向において前記吸着部の前記第1軸側に設けられて前記保持機構及び前記連結機構に接続された接続部と、前記吸着部と前記接続部との間に着脱可能なスペーサと、をそれぞれ備え、
前記スペーサは、前記シートを前記下流側の装置に受け渡すために前記第1軸を中心とする円周上に予め設定された受渡位置において隣り合う2つの吸着面同士の距離が小さくなるように前記保持機構と前記駆動装置との相対位置が第1の状態から第2の状態に変更される場合において前記第2の状態においてのみ使用されるものであり、前記複数の吸着部材における前記スペーサの各々は、前記受渡位置において隣り合う2つの吸着面間で吸着されるシートの長さが前記第1の状態と前記第2の状態とにおいて同一となるように設定された厚み寸法を有する、請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記受渡位置は、前記第1軸と前記第2軸とを通る直線と前記第1軸を中心とする円との2つの交点のうちの一方に設定され、
前記シートを受け取るために前記第1軸を中心とする円周上に予め設定された受取位置は、前記2つの交点のうちの他方に設定されている、請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記支持機構は、前記保持機構及び前記駆動装置の一方が固定された支持部材と、前記保持機構及び前記駆動装置の他方及び前記支持部材に接続されて前記保持機構及び前記駆動装置の他方が前記支持部材に対して前記第1軸と直交する方向に移動するための力を前記保持機構及び前記駆動装置の他方に与える移動装置と、を備えている、請求項1~3の何れか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記保持機構は、前記第1軸と平行な方向において前記支持機構の一方の側で前記第1軸と平行な方向に延びるとともに前記複数の吸着部材を保持する外周面を有する円筒状の保持部材本体を備え、
前記駆動装置は、前記保持部材本体の内部を通じて前記支持機構に支持されているとともに前記保持部材本体の内部に収容された部分を有し、前記回転軸を回転駆動するモータ本体を備え、
前記連結機構は、前記モータ本体から前記保持部材本体の前記支持機構と反対側の位置まで延びる前記回転軸と前記複数の吸着部材とを連結する、請求項1~4の何れか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
シートを所定の長さで切断するシート加工装置であって、
請求項1~5の何れか1項に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置から前記シートを引き受けるとともに所定のピッチで前記シートを切断する切断装置と、を備えている、シート加工装置。
【請求項7】
請求項6に記載のシート加工装置であって、
前記切断装置は、前記シート搬送装置が前記切断装置に前記シートを受け渡すために前記第1軸を中心とする円周上に予め設定された受渡位置において前記シートを吸着する外周面を有するとともに前記第1軸と平行な第3軸を中心として回転可能な切断用回転体と、
予め設定された切断位置において所定の時間間隔を持って前記切断用回転体の外周面との間で前記シートを挟むことにより前記シートを切断する切断機構と、前記切断用回転体を回転駆動する駆動源と、
前記時間間隔内に前記受渡位置を通過する前記シートの長さと前記時間間隔内に前記切断位置を通過する前記シートの長さとが異なる長さとなるように前記駆動源を制御する制御器と、を備えている、シート加工装置。
【請求項8】
請求項1に記載のシート搬送装置を用いたシートの搬送方法であって、
前記回転軸を前記第2軸を中心として回転駆動することにより前記複数の吸着部材を前記第1軸を中心として回転させて複数の吸着部材の吸着面に前記シートを吸着させつつ当該シートを搬送する第1搬送ステップと、
前記回転軸の回転駆動を停止させる停止ステップと、
前記支持機構により前記保持機構と前記駆動装置とを第1軸と直交する方向に相対的に移動させることにより前記連結機構と前記複数の吸着部材との接続位置を前記第1軸を中心とする円の半径方向に移動させる移動ステップと、
前記回転軸を前記第2軸を中心として再び回転駆動することによりシートを搬送する第2搬送ステップと、を含むシートの搬送方法。
【請求項9】
請求項8に記載のシートの搬送方法は、
前記吸着面を有する吸着部と、前記第1軸を中心とする円の半径方向において前記吸着部の前記第1軸側に設けられて前記保持機構及び前記連結機構に接続された接続部と、前記吸着部と前記接続部との間に着脱可能なスペーサと、をそれぞれ備えた前記複数の吸着部材を準備する吸着部材準備ステップと、
前記停止ステップの実行期間中に前記吸着部と前記接続部との間に前記スペーサを取り付ける取付ステップと、をさらに含み、
前記移動ステップでは、前記シートを前記下流側の装置に受け渡すために前記第1軸を中心とする円周上に予め設定された受渡位置において隣り合う2つの吸着面同士の距離が小さくなるように前記保持機構と前記駆動装置との相対位置を第1の状態から第2の状態に変更し、
前記吸着部材準備ステップでは、前記受渡位置において隣り合う2つの吸着面間で吸着されるシートの長さが前記第1の状態と前記第2の状態とにおいて同一となるように設定された厚み寸法を有する前記スペーサを準備する、シートの搬送方法。
【請求項10】
請求項9に記載のシートの搬送方法は、
前記第1軸と前記第2軸とを通る直線と前記第1軸を中心とする円との2つの交点のうちの一方に前記受渡位置を設定するとともに、前記2つの交点のうちの他方に、前記シートを受け取るために前記第1軸を中心とする円周上に予め設定された受取位置を設定する設定ステップをさらに備えている、シートの搬送方法。
【請求項11】
請求項8~10の何れか1項に記載のシートの搬送方法は、
前記保持機構及び前記駆動装置の一方が固定された支持部材と、前記保持機構及び前記駆動装置の他方及び前記支持部材に接続されて前記保持機構及び前記駆動装置の他方が前記支持部材に対して前記第1軸と直交する方向に移動するための力を前記保持機構及び前記駆動装置の他方に与える移動装置と、を備えた前記支持機構を準備する支持機構準備ステップをさらに含み、
前記移動ステップでは、前記移動装置を用いて前記連結機構と前記複数の吸着部材との接続位置を前記第1軸を中心とする円の半径方向に移動させる、シートの搬送方法。
【請求項12】
請求項1に記載のシート搬送装置と、前記シート搬送装置から前記シートを引き受けるとともに所定のピッチで前記シートを切断する切断装置と、を用いて前記シートを加工するシートの加工方法であって、
前記回転軸を前記第2軸を中心として回転駆動することにより前記複数の吸着部材を前記第1軸を中心として回転させて複数の吸着部材の吸着面に前記シートを吸着させつつ当該シートを搬送する第1搬送ステップと、
前記第1搬送ステップで搬送された前記シートを前記切断装置を用いて切断する第1切断ステップと、
前記回転軸の回転駆動を停止させる停止ステップと、
前記支持機構により前記保持機構と前記駆動装置とを第1軸と直交する方向に相対的に移動させることにより前記連結機構と前記複数の吸着部材との接続位置を前記第1軸を中心とする円の半径方向に移動させる移動ステップと、
前記回転軸を前記第2軸を中心として再び回転駆動することによりシートを搬送する第2搬送ステップと、
前記第2搬送ステップで搬送された前記シートを前記切断装置を用いて切断する第2切断ステップと、を含む、シートの加工方法。
【請求項13】
請求項12に記載のシート加工方法において、
前記第1切断ステップ及び前記第2切断ステップでは、前記シートを同一ピッチで切断する、シートの加工方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のシートの加工方法は、
前記吸着面を有する吸着部と、前記第1軸を中心とする円の半径方向において前記吸着部の前記第1軸側に設けられて前記保持機構及び前記連結機構に接続された接続部と、前記吸着部と前記接続部との間に着脱可能なスペーサと、をそれぞれ備えた前記複数の吸着部材を準備する吸着部材準備ステップと、
前記停止ステップの実行期間中に前記吸着部と前記接続部との間に前記スペーサを取り付ける取付ステップと、をさらに含み、
前記移動ステップでは、前記シートを前記下流側の装置に受け渡すために前記第1軸を中心とする円周上に予め設定された受渡位置において隣り合う2つの吸着面同士の距離が小さくなるように前記保持機構と前記駆動装置との相対位置を第1の状態から第2の状態に変更し、
前記吸着部材準備ステップでは、前記受渡位置において隣り合う2つの吸着面間で吸着されるシートの長さが前記第1の状態と前記第2の状態とにおいて同一となるように設定された厚み寸法を有する前記スペーサを準備し、
前記第1切断ステップ及び前記第2切断ステップにおいて、前記第1軸を中心とする円周方向における前記シート搬送装置と前記切断装置との相対的な位置関係は同一である、シートの加工方法。
【請求項15】
請求項12に記載のシートの加工方法は、前記シート搬送装置が前記切断装置に前記シートを受け渡すために前記第1軸を中心とする円周上に予め設定された受渡位置において前記シートを吸着する外周面を有するとともに前記第1軸と平行な第3軸を中心として回転可能な切断用回転体と、予め設定された切断位置において所定の時間間隔を持って前記切断用回転体の外周面との間で前記シートを挟むことにより前記シートを切断する切断機構と、を備えた前記切断装置を準備する切断装置準備工程をさらに含み、
前記第2切断ステップでは、前記時間間隔内に前記受渡位置を通過する前記シートの長さと前記時間間隔内に前記切断位置を通過する前記シートの長さとが異なる長さとなるように前記切断用回転体の速度を調整する、シートの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートをその長手方向に連続搬送するためのシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、長手方向に連続して搬送されるシートを所定のピッチで切断する切断装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のシステムは、連続搬送されるシートを所定の受取位置で受け取って吸着保持するドラムと、ドラムの周面に対向して設けられてドラムに吸着保持されたシートを切断する切断装置と、を備えている。
【0004】
ドラムは、当該ドラムの周面に沿って並ぶ複数の保持面と、保持面同士の間にそれぞれ設けられた複数のアンビルと、を備え、保持面及びアンビルを回転可能に構成されている。
【0005】
切断装置は、アンビルとの間でシートを切断するカッターローラを備えている。
【0006】
特許文献1に記載のシステムでは、ドラムの回転に応じて各アンビルがカッターローラに順次対向する切断ピッチでシートが切断される。そのため、カッターローラにより切断されたシートの製品長(張力から解放されたシートの長さ)は、ドラムが受取位置でシートを吸着保持する時点において切断ピッチ間に位置するシートの長さによって規定される。
【0007】
ここで、シートの製品長を長く変更する場合、例えば、アンビルとカッターローラとが順次対向する切断ピッチを長くすることが考えられる。
【0008】
しかし、このように切断ピッチを長くするためにはドラムの半径を大きくする、つまりドラムを交換するとともにカッターローラの配置の変更が必要となり、切断ピッチの変更のための作業が非常に煩雑となる。
【0009】
そこで、特許文献1に記載のドラムのような装置に対してシートを搬送する搬送装置であって、ドラムにシートを受け渡す際において下流側の装置に受け渡すシートの長さを容易に変更することができるものが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許第5604743号公報
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、下流側の装置にシートを受け渡す際に当該下流側の装置に受け渡すシートの長さの変更を容易に行うことができるシート搬送装置及びこれを備えたシート加工装置並びにシート搬送装置を用いたシートの搬送方法及びシートの加工方法を提供することにある。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、下流側の装置にシートを受け渡すように前記シートを連続的に搬送するシート搬送装置であって、前記シートを吸着可能な吸着面をそれぞれ有する複数の吸着部材と、前記吸着面が第1軸を中心とする円の円周に沿って間隔を空けて並び、かつ、前記複数の吸着部材が前記第1軸を中心として回転可能な状態で前記複数の吸着部材を保持する保持機構と、前記第1軸と平行な第2軸を中心として回転可能な回転軸と、前記回転軸からの動力が前記複数の吸着部材に伝達可能となるように前記回転軸と前記複数の吸着部材とを連結する連結機構と、を有する駆動装置と、前記保持機構及び前記駆動装置を支持する支持機構と、を備え、前記連結機構は、前記複数の吸着部材が前記第1軸を中心とする円の半径方向に移動可能な状態で前記複数の吸着部材に接続され、前記支持機構は、前記保持機構の前記第1軸と前記駆動装置の前記第2軸とが前記第1軸と直交する方向に相対的に移動可能となるように前記保持機構及び前記駆動装置を支持する、シート搬送装置を提供する。
【0013】
また、本発明は、シートを所定の長さで切断するシート加工装置であって、前記シート搬送装置と、前記シート搬送装置から前記シートを引き受けるとともに所定のピッチで前記シートを切断する切断装置と、を備えている、シート加工装置を提供する。
【0014】
さらに、本発明は、前記シート搬送装置を用いたシートの搬送方法であって、前記回転軸を前記第2軸を中心として回転駆動することにより前記複数の吸着部材を前記第1軸を中心として回転させて複数の吸着部材の吸着面に前記シートを吸着させつつ当該シートを搬送する第1搬送ステップと、前記回転軸の回転駆動を停止させる停止ステップと、前記支持機構により前記保持機構と前記駆動装置とを第1軸と直交する方向に相対的に移動させることにより前記連結機構と前記複数の吸着部材との接続位置を前記第1軸を中心とする円の半径方向に移動させる移動ステップと、前記回転軸を前記第2軸を中心として再び回転駆動することによりシートを搬送する第2搬送ステップと、を含むシートの搬送方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、前記シート搬送装置と、前記シート搬送装置から前記シートを引き受けるとともに所定のピッチで前記シートを切断する切断装置と、を用いて前記シートを加工するシートの加工方法であって、前記回転軸を前記第2軸を中心として回転駆動することにより前記複数の吸着部材を前記第1軸を中心として回転させて複数の吸着部材の吸着面に前記シートを吸着させつつ当該シートを搬送する第1搬送ステップと、前記第1搬送ステップで搬送された前記シートを前記切断装置を用いて切断する第1切断ステップと、前記回転軸の回転駆動を停止させる停止ステップと、前記支持機構により前記保持機構と前記駆動装置とを第1軸と直交する方向に相対的に移動させることにより前記連結機構と前記複数の吸着部材との接続位置を前記第1軸を中心とする円の半径方向に移動させる移動ステップと、前記回転軸を前記第2軸を中心として再び回転駆動することによりシートを搬送する第2搬送ステップと、前記第2搬送ステップで搬送された前記シートを前記切断装置を用いて切断する第2切断ステップと、を含む、シートの加工方法を提供する。
【0016】
本発明によれば、下流側の装置にシートを受け渡す際に当該下流側の装置に受け渡すシートの長さの変更を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】使い捨ておむつの製造方法を示す工程図である。
図2図1の製造方法に用いられる加工装置の一部を示す側面図である。
図3図2の切断装置を拡大して示す側面図である。
図4図3の折り畳みパッドを駆動するための構成を示す側面図である。
図5図3の折り畳みパッドを駆動するための構成を示す側面図である。
図6図3の搬送装置を拡大して示す側面図である。
図7図3の搬送装置を拡大して示す断面図である。
図8図6の吸着部と使い捨ておむつとの関係を示す図である。
図9】移動装置による第1支持部材に対する第2支持部材の移動前の状態を示す。
図10】移動装置による第1支持部材に対する第2支持装置の移動後の状態を示す。
図11】吸着部と接続部との間にスペーサが設けられた状態を示す。
図12】吸着部と接続部とが直接取り付けられた状態を示す。
図13】別の実施形態に係る加工装置の一部を示す側面図である。
図14図13の加工装置におけるシートの切断状態を示す側面図である。
図15図13の加工装置において切断されたシートが引渡装置に引き渡された状態を示す側面図である。
図16図13の加工装置におけるシートの切断状態を示す側面図である。
図17図13に示す制御器により実行される速度制御を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0019】
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る搬送装置により搬送されるシート1を用いて製造される使い捨ておむつ5の製造方法について説明する。
【0020】
使い捨ておむつ5の製造方法は、工程(1)~(8)を含んでいる。
【0021】
工程(1)では、不織布等によって形成されたシート1をその長手方向に沿って搬送する。工程(1)は、シート1に対してその長手方向に張力を加えた状態で、シート1が切断される後述の工程(7)までの間継続して実行される。シート1には、その長手方向に沿って伸長状態で設けられた弾性部材が含まれていてもよい。
【0022】
工程(2)では、搬送されているシート1の肌側面(使い捨ておむつ5の着用時に着用者側を向く面[図1におけるシート1の表側の面]:以下同じ)におむつ本体2を接着する。具体的に、おむつ本体2の長手方向がシート1の長手方向と直交するようにおむつ本体2が位置決めされた状態で当該おむつ本体2がシート1の肌側面に接着される。おむつ本体2は、完成後の使い捨ておむつ5において着用者の前腹部から股下部を通して後背部まで延びる部分である。おむつ本体2には、排泄物を吸収するための吸収性コア、及び、着用者に対するフィット性を向上するための弾性部材が含まれていてもよい。
【0023】
工程(3)では、シート1に対してレッグ用の切欠き3を形成する。レッグ用の切欠き3は、完成後の使い捨ておむつ5において着用者の太ももの付け根部分に沿って延びるシート1の縁部を形成するためのものである。
【0024】
工程(4)では、シート1の肌側面において互いに隣り合う2つのおむつ本体2の中間位置に面ファスナ4を接着する。面ファスナ4は、おむつ本体2の反肌側面(使い捨ておむつ5の着用時に着用者と反対側を向く面:以下同じ)に係止するためのものである。本実施形態では、おむつ本体2の反肌側面が不織布を含んでいるため、面ファスナ4は、おむつ本体2の反肌側面に対して直接係止可能である。なお、おむつ本体2の反肌側面に対して面ファスナ4と係止可能な面ファスナを取り付けてもよい。
【0025】
工程(5)では、おむつ本体2をその長手方向に二つ折りにする。これにより、おむつ本体2の反肌側面は、図1において表側を向く。
【0026】
工程(6)では、製造対象となる使い捨ておむつ5のサイズ(例えば、S、M、Lサイズのうちの1つ)に応じて後述するシート搬送装置10の互いに隣り合う2つの吸着面により吸着保持されるシート1の長さを調整する。後述する工程(7)では、予め設定された切断ピッチでシート1が切断されるため、工程(6)において切断ピッチ間に位置する自然長のシート1(張力が与えられていない状態のシート1)を長くすると大きなサイズの使い捨ておむつ5を製造することができる。一方、工程(6)において切断ピッチ間に位置する自然長のシート1を短くすると小さなサイズの使い捨ておむつ5を製造することができる。図1の例では、吸着保持されているシート1の幅寸法W1がこれよりも小さな幅寸法W2となるようにシート1に加えられた張力を弱めている。これにより、切断ピッチ間に位置するシート1を短くすることができ、小さなサイズの使い捨ておむつ5が製造される。
【0027】
工程(7)では、予め設定された切断ピッチでシート1を切断する。これにより、切断ピッチと工程(6)で調整された幅寸法W2とにより決まる使い捨ておむつ5のサイズ(例えば、S、M、Lサイズのうちの1つ)に対応する幅でシート1が切断される。また、工程(7)では、互いに隣り合う2つの使い捨ておむつ5に面ファスナ4が残るように面ファスナ4も切断する。なお、切断ピッチと幅寸法W1とにより決まるサイズの使い捨ておむつ5を製造する場合、上述した工程(6)の工程を省略することができる(後述する搬送装置10において第1軸J1と第2軸J2とを同一線上に配置することができる)。
【0028】
工程(8)は、工程(7)で切断されたシート1におけるおむつ本体2の両側に突出する部分(以下、フラップ部という)をそれぞれおむつ本体2に重なるように折り畳む。これにより、面ファスナ4がおむつ本体2の反肌側面に係止され、使い捨ておむつ5が完成する。
【0029】
図2は、上述した工程(6)~(8)までを行う加工装置を示す概略側面図である。
【0030】
図1及び図2を参照して、加工装置は、工程(5)が行われた後のシート1を受取位置P0で引き受けるとともに工程(6)を行う搬送装置10と、受渡位置P1において搬送装置10からシート1が受け渡されるとともに工程(7)及び(8)を行う切断装置20と、引き渡し位置P4において切断装置20から使い捨ておむつ5が引き渡されるとともに下流側の工程に引き渡す引渡装置30と、を備えている。
【0031】
まず、図3図5を参照して、切断装置20について説明する。切断装置20は、搬送装置10からシート1を引き受ける(吸着保持する)とともに所定の切断ピッチでシート1を切断する。具体的に、切断装置20は、シート1を搬送するための搬送ドラム21と、搬送ドラム21により搬送されているシート1を切断する切断ユニット22と、を備えている。
【0032】
搬送ドラム21は、シート1を吸着保持する複数の吸着ユニット23と、工程(8)を行うために吸着ユニット23を駆動する折畳駆動機構24と、吸着ユニット23及び折畳駆動機構24を予め設定された回転軸を中心として矢印Y2の方向に回転可能に保持する保持機構(図示省略)と、を備えている。保持機構は、複数の吸着ユニット23においてシート1を吸着するための吸着面が同一円周上に並び、かつ、複数の吸着ユニット23が回転可能となるように吸着ユニット23を保持する。
【0033】
吸着ユニット23は、シート1におけるおむつ本体2が接着された部分を吸着する本体用吸着部23aと、シート1におけるフラップ部に相当する部分を吸着する一対のフラップ用吸着部23bと、を備えている。
【0034】
折畳駆動機構24は、本体用吸着部23aに吸着されたシート1(おむつ本体2)上にフラップ用吸着部23bが重なるように当該フラップ用吸着部23bを駆動させる。具体的に、折畳駆動機構24は、図4及び図5に示されるように、図外の保持機構に支持された一対のプーリ24a、24cと、プーリ24a、24c間に掛け渡されたエンドレスベルト24bと、プーリ24cに固定された回転アーム24dと、回転アーム24dに支持された4つのプーリ24e~24hと、これらのプーリ24e~24hに掛け渡されたエンドレスベルト24iと、を備えている。プーリ24aには、図外のモータが接続されており、モータの駆動力によりプーリ24aが図4の矢印に示す方向に回転すると、エンドレスベルト24bを介してプーリ24cが矢印の方向に回転する。プーリ24cが回転すると、当該プーリ24cに固定された回転アーム24dが図4の矢印に示す方向に回転する。回転アーム24dの先端部にはフラップ用吸着部23bが固定されているため、プーリ24cの回転に応じてフラップ用吸着部23bは、本体用吸着部23aの外側(保持機構に設定された回転軸を中心とする円の径方向の外側)に移動する。また、図5に示すように、回転アーム24dに設けられたプーリ24fにも図外のモータが接続されており、当該モータによりプーリ24fが矢印に示す方向に回転するとエンドレスベルト24iを介してプーリ24eが矢印の方向に回転する。プーリ24eには当該プーリ24eの回転軸を中心として回転可能な状態でフラップ用吸着部23bが取り付けられている。そのため、プーリ24eの回転に応じて当該プーリ24eに吸着されたシート1のフラップ部に相当する部分を本体用吸着部23aに吸着されたシート1(おむつ本体2)上に折り畳むことができる。上記折畳駆動機構24の動作によって、図3に示すように、搬送ドラム21が折り畳み位置P3まで回転したときにフラップ部の折り畳み作業、つまり、工程(8)が実行される。
【0035】
図3を参照して、切断ユニット22は、吸着ユニット23同士の間に位置するように搬送ドラム21の保持機構により保持された複数のアンビル22aと、シート1を切断するための位置として予め設定された切断位置P2においてアンビル22aと対向するように設けられたロータリーカッタ22bと、を備えている。
【0036】
複数のアンビル22aは、搬送ドラム21の回転軸を中心として等間隔に配置され、当該回転軸を中心として回転する。これにより、各アンビル22aは、搬送ドラム21の回転に伴い順次ロータリーカッタ22bに対向し、この対向間隔によって切断ピッチが規定されている。
【0037】
以上のように、切断装置20では、受渡位置P1において搬送装置10から吸着ユニット23にシート1が受け渡され、搬送ドラム21が切断位置P2まで回転するとシート1が切断される。さらに、搬送ドラム21が折り畳み位置P3まで回転するとシート1におけるフラップ部がおむつ本体2に重なるように折り畳まれ、引き渡し位置P4において切断装置20から使い捨ておむつ5が引渡装置30に引き渡される。
【0038】
以下、図6及び図7を参照して、下流側の切断装置20にシート1を受け渡すようにシート1を搬送する搬送装置10について説明する。具体的に、搬送装置10は、シート1を吸着可能な吸着面(符号省略)を有する複数の吸着部材11、12と、水平方向に延びる第1軸J1を中心として吸着部材11、12を回転可能に支持する搬送装置本体13と、吸着部材11、12を回転駆動する駆動装置14と、吸着部材11、12に対して吸引力を与えるための吸引機構15と、を備えている。
【0039】
吸着部材11は、吸着面を有する吸着部11aと、吸着部11aから第1軸J1に向けて延びるとともに第1軸J1と平行な方向に対向する一対の取付板11b、11cと、一対の取付板11b、11cの互いに対向する面にそれぞれに設けられたスライダ11d、11eと、取付板11bのスライダ11dと反対側の面に設けられたレール11fと、を有する。吸着部11aは、後述する吸引源15aに接続されることにより減圧される減圧室を内部に有する箱状の部材である。また、吸着部11aは、第1軸J1と反対を向く吸着面に減圧室と吸着部11aの外部とを連通させる連通孔が形成され、吸着面は、連通孔を通じて吸着面上の空気が吸い込まれることによってシート1を吸着保持するように構成されている。吸着面は、第1軸J1を中心とする円周に沿って形成された面である。
【0040】
吸着部材12は、吸着部11aに代えて吸引面を有する吸着部12aを有する点を除き、吸着部材11と同様の構成を有する。吸着部12aは、第1軸J1を中心とする周方向において吸着部11aよりも狭い幅寸法を有し、吸着部12aの吸着面も前記周方向において吸着部11aの吸着面よりも狭い幅寸法を有する。具体的には、図8に示すように、吸着部11aの吸着面は、おむつ本体2及びそれから幅方向の両側に突出するフラップ部の一部を吸着可能な幅寸法を有する。一方、吸着部12aの吸着面は、吸着部11aの吸着面から幅方向に突出するフラップ部の一部を吸着可能な幅寸法を有する。
【0041】
再び図6及び図7を参照して、搬送装置本体13は、予め設定された搬送装置10の設置面に設置された支持部材16と、支持部材16に対して第1軸J1と直交する方向に移動可能となるように支持部材16に取り付けられた保持機構17と、支持部材16に対して保持機構17を移動させるための動力を与える移動装置18と、を備えている。
【0042】
保持機構17は、後述する支持部材16に対して上下一対のスライダ17b、17cを介して取り付けられる支持板17aと、支持板17aから第1軸J1と平行な方向においてスライダ17b、17cと反対側に延びる円筒部17dと、円筒部17dの外周面から第1軸J1を中心とする円の半径方向に突出するとともに第1軸J1と平行する方向に対向する一対のフランジ17e、17fと、フランジ17e、17fにおける互いに対向する面と反対の面にそれぞれ設けられたレール17g、17hと、を備えている。フランジ17e、17f及びレール17g、17hは、第1軸J1を中心とする円の全周に亘って設けられている。また、一対のフランジ17e、17f及びレール17g、17fは、吸着部材11、12における取付板11b、11cの間に挿入され、レール17g、17fには、吸着部材11、12のスライダが摺動可能に係合している。これにより、吸着部材11、12は、レール17g、17fにより規定される第1軸J1を中心とする円に沿った経路上で移動可能な状態で円筒部17dに保持されている。
【0043】
つまり、保持機構17は、吸着面が第1軸J1を中心とする円周に沿って間隔を空けて延び、かつ、複数の吸着部材11、12が第1軸J1を中心として回転可能な状態で吸着部材11、12を保持する。具体的に、保持機構17は、第1軸J1を中心とする円周に沿って吸着部材11と吸着部材12とが交互に並ぶように8個の吸着部材11と8個の吸着部材12とを保持する。
【0044】
以下、第1軸J1を中心として吸着部材11、12を回転駆動するための駆動装置14について説明する。
【0045】
駆動装置14は、ブラケット16eを介して支持部材16に固定されたモータ本体14aと、モータ本体14aから支持部材16の反対側に延びる回転軸14bと、回転軸14bに固定された円盤状の連結板14cと、連結板14cの周縁部に取り付けられた16本の連結ピン14dと、吸着部材11、12のレール11fに係合されたスライダ14eと、を有する。
【0046】
モータ本体14aは、円筒部17dの内部を通じてブラケット16eにより支持部材16に支持されているとともに円筒部17dの内部に収容された部分を有し、第1軸J1と平行な第2軸J2を中心として回転軸14bを回転駆動する。ここで、円筒部17dは、第1軸J1と平行な方向において支持部材16及び移動装置18(支持機構)の一方の側で第1軸J1と平行な方向に延びるとともに複数の吸着部材11、12を保持する外周面を有する円筒状の保持部材本体に相当する。
【0047】
連結板14c、連結ピン14d、及びスライダ14eは、回転軸14bからの動力が吸着部材11、12に伝達可能となるように、モータ本体14aから円筒部17dの支持部材16と反対側の位置まで延びる回転軸14bと複数の吸着部材11、12とを連結する連結機構に相当する。具体的に、連結板14cが回転軸14bに固定された状態において、連結板14cの周縁部は、吸着部材11、12の取付板11bの取付板11cと反対の位置で第1軸J1と平行な方向に取付板11bと対向している。連結ピン14dは、第1軸J1と平行な方向に延び、当該連結ピン14dの軸線を中心として連結板14cに対して回転可能な状態で連結板14cを貫通している。連結ピン14dの取付板11bに近い側の端部は、スライダ14eに固定されている。スライダ14eは、吸着部材11、12のレール11fの長手方向に沿って移動可能な状態で当該レール11fに係合している。吸着部材11、12が保持機構17に保持された状態において、レール11fは、第1軸J1を中心とする円の半径方向に沿って延びている。このように連結機構(連結板14c、連結ピン14d、及びスライダ14e)は、複数の吸着部材11、12が第1軸J1を中心とする円の半径方向に移動可能な状態で吸着部材11、12に接続されている。
【0048】
吸引機構15は、吸引源15aと、吸引源15aに接続されているとともに吸着部材11、12の取付板11bに対してブラケット15dを介して接続された吸引ダクト15bと、吸引ダクト15bと吸着部材11、12の吸着部11a、12aとを接続する16本のホース15cと、を有する。吸引源15aが作動することにより、吸引ダクト15b、ホース15c及び吸着部11a、12aの減圧室内の空気が吸引され、これにより、吸着部材11、12の吸着面によるシート1の吸着保持が可能となる。
【0049】
以下、第1軸J1と直交する方向に移動可能な状態で保持機構17が取り付けられた支持部材16、及び、保持機構17を支持部材16に対して移動させる移動装置18について説明する。
【0050】
支持部材16には、予め設定された搬送装置10の設置面上に立設され、ブラケット16eを介して駆動装置14(モータ本体14a)が固定されたベースプレート16aと、ベースプレート16aの保持機構17側の面に固定されたサブプレート16bと、サブプレート16bの保持機構17側の面に固定された一対のレール16c、16dと、を備えている。ブラケット16eは、支持板17a及びサブプレート16bに形成された孔を通じてモータ本体14aからベースプレート16aまで延びている。レール16c、16dは、それぞれ第1軸J1と直交する方向に沿って延びている。これらのレール16c、16dには、保持機構17のスライダ17b、17cがそれぞれレール16c、16dの長手方向(第1軸J1と直交する方向)に沿って摺動可能な状態で係合している。また、保持機構17の円筒部17dの内部には、モータ本体14aを支持する支持壁17iと、支持壁17iに固定されたレール17jと、が設けられている。レール17jは、支持部材16のレール16c、16dと平行な方向に延びている。また、レール17jには、モータ本体14aに固定されたスライダ14fがレール17jの長手方向に沿って摺動可能な状態係合している。このように支持部材16は、保持機構17と駆動装置14とがレール16c、16d(レール17j)の長手方向、つまり、第1軸J1と直交する方向に相対的に移動可能となるように保持機構17及び駆動装置14を支持する。
【0051】
図9及び図10は、図7における支持部材16及び移動装置18を保持機構17と反対側から見たときの状態を示すものであり、ベースプレート16aを省略したものである。
【0052】
図7図9及び図10を参照して、移動装置18は、保持機構17及び支持部材16に接続されて保持機構17が第1軸J1と直交する方向に移動するための力を保持機構17に与えるためのものである。具体的に、移動装置18は、シリンダ本体18aとロッド18cとを有するエアシリンダを有する。シリンダ本体18aの基端部は、第1軸J1と平行な軸18bを中心として回転可能な状態でベースプレート16aに固定されている。ロッド18cの先端部は、第1軸J1と平行な軸18dを中心として回転可能な状態でリンク18eの一端部に取り付けられている。リンク18eの他端部は、第1軸J1と平行な軸18fを中心として回転可能な状態でベースプレート16aに固定されている。さらに、リンク18eの中間部は、第1軸J1と平行な軸18gを中心として回転可能な状態でリンク18hの一端部に固定されている。リンク18hの他端部は、第1軸J1と平行な軸18iを中心として回転可能な状態で保持機構17の支持板17aに固定されている。
【0053】
エアシリンダのロッド18cが縮むと、リンク18eが軸18fを中心として図9の時計回りに回動し、これにより、リンク18hが図9の下方へ移動する結果、支持板17a、つまり、保持機構17が図9の下方へ移動する。この状態において支持板17aの端部とサブプレート16bの端部との間の距離はD1である。
【0054】
一方、エアシリンダのロッド18cが伸びると、リンク18eが軸18fを中心として図10の反時計回りに回動し、これにより、リンク18hが図10の上方へ移動する結果、支持板17a、つまり、保持機構17が図10の上方へ移動する。この状態において支持板17aの端部とサブプレート16bの端部との間の距離はD1よりも大きなD2となる。
【0055】
本実施形態では、図6及び図9に示すように、エアシリンダのロッド18cが縮んだ状態において第1軸J1と第2軸J2とが異なる位置に配置されるように、支持部材16は、保持機構17及び駆動装置14を支持している。このように第1軸J1と第2軸J2とが異なる位置に配置されていることにより、吸着部材11、12に対する連結ピン14dの位置、つまり、回転の中心である第2軸J2から吸着面までの半径(角速度)が異なるため、隣り合う吸着面同士の間隔を第1軸J1を中心とする周方向において変化させることができる。本実施形態においては、第1軸J1と第2軸J2とを通る直線と第1軸J1を中心とする円との2つの交点のうちの一方に受取位置P0が設定され、2つの交点のうちの他方に受渡位置P1が設定されている。つまり、隣り合う吸着面同士の間隔が最も広くなる位置が受取位置P0に設定され、隣り合う吸着面同士の間隔が最も狭くなる位置が受渡位置P1に設定されている。したがって、互いに隣り合う2つの吸着面で吸着保持されたシート1の長さを受取位置P0から受渡位置P1までの間で効果的に小さくすることができる。これにより、図1の工程(5)を行うことができる。
【0056】
図10及び図11に示すように、エアシリンダのロッド18cが伸びると第1軸J1が受取位置P0側に移動する。これにより受取位置P0において隣り合う吸着面同士の間隔が広がる一方、受渡位置P1において隣り合う吸着面同士の間隔が狭まる。これにより、受取位置P0から受渡位置P1に至るまでの間における互いに隣り合う2つの吸着面で吸着保持されたシート1の長さを調整することができる。
【0057】
ここで、上述したように、切断装置20が受渡位置P1において受け取るシート1の長さは、吸着ユニット23における本体用吸着部23aの両側に設けられた一対のフラップ用吸着部23bの間隔、つまり、切断装置20に設定された切断ピッチにより固定されている(図3参照)。そのため、受渡位置P1において搬送装置10から受け渡すシート1の長さもこれに合わせる必要がある。そこで、吸着部材11、12は、受渡位置P1において隣り合う2つの吸着面同士の距離が小さくなるように保持機構17と駆動装置14との相対位置が第1の状態(図6に示す状態)から第2の状態(図11に示す状態)に変更される場合において第2の状態においてのみ使用されるスペーサ11g、12gをさらに備えている。
【0058】
具体的に、吸着部材11、12は、吸着部11a、12aと、第1軸J1を中心とする円の半径方向において吸着部11a、12aの第1軸J1側に設けられて保持機構17及び連結機構(連結板14c、連結ピン14d、及びスライダ14e)に接続された接続部(取付板11b、11c)と、吸着部11a、12aと接続部との間に介在するスペーサ11g、12gと、を有する。
【0059】
スペーサ11g、12gの各々は、第1軸J1を中心とする円周上に設定された受渡位置P1において隣り合う2つの吸着面間で吸着されるシート1の長さが第1の状態(図6の状態)と第2の状態(図11の状態)とにおいて同一となるように設定された厚み寸法を有する。また、スペーサ11g、12gは、吸着部11a、12a及び接続部に対して着脱可能である。保持機構17及び駆動装置14の相対位置を第2の状態(図11の状態)とした場合、受取位置P0から受渡位置P1までの間において互いに隣り合う2つの吸着面により吸着保持されるシート1の長さの変化の割合は、第1軸J1と第2軸J2との相対位置によって決まるものであり、第1軸J1から吸着面までの半径にかかわらず一定である。そのため、上記のように設定された同一の厚み寸法を有するスペーサ11g、12gを全ての吸着部材11、12に取り付けることにより、吸着面により形成される第1軸J1を中心とする円周は長くなるものの受取位置P0から受渡位置P1までの間に変化するシート1の長さの変化割合を維持することができる。そして、第1の状態と第2の状態とにおいて受渡位置P1におけるシート1の長さを保つことができるので、受渡位置P1を維持することができる。
【0060】
なお、図12に示すように、第2の状態においてスペーサ11g、12gを利用せずに、受取位置P0及び受渡位置P1の少なくとも一方を調整することによって、受渡位置P1におけるシート1の長さを切断装置20で要求されるものに調整することもできる。図12では、受取位置P0及び受渡位置P1を変化させた例を示している。
【0061】
以下、上記搬送装置10を用いたシート1の搬送方法について説明する。
【0062】
まず、第1軸J1と第2軸J2とを通る直線と第1軸J1を中心とする円との2つの交点のうちの一方に受渡位置P1を設定するとともに、前記2つの交点のうちの他方に、受取位置P0を設定する(設定ステップ)。
【0063】
また、駆動装置14の一方が固定された支持部材16と、保持機構17及び支持部材16に接続されて保持機構17が支持部材16に対して第1軸J1と直交する方向に移動するための力を保持機構17に与える移動装置18と、を備えた支持機構を準備する(支持機構準備ステップ)。
【0064】
そして、モータ本体14aにより回転軸14bを第2軸J2を中心として回転駆動する(第1搬送ステップ)。これにより、複数の吸着部材11、12を第1軸J1を中心として回転させて複数の吸着部材11、12の吸着面にシートを吸着させつつ当該シート1を搬送する。
【0065】
また、第1搬送ステップで搬送されたシート1を切断装置20を用いて切断する(第1切断ステップ)。
【0066】
ここで、例えば、製造対象となる使い捨ておむつ5のサイズが変更された場合、切断装置20に引き渡すシート1の長さに変更が要求される。
【0067】
この場合、まず、回転軸14bの回転駆動を停止させる(停止ステップ)。
【0068】
次いで、支持機構(支持部材16及び移動装置18)により保持機構17と駆動装置14とを第1軸J1と直交する方向に相対的に移動させることにより連結機構(連結板14c、連結ピン14d、及びスライダ14e)と吸着部材11、12との接続位置を第1軸J1を中心とする円の半径方向に移動させる(移動ステップ)。具体的に、移動ステップでは、受渡位置P1において隣り合う2つの吸着面同士の距離が小さくなるように保持機構17と駆動装置14との相対位置を第1の状態(図6)から第2の状態(図11)に変更する。
【0069】
上述のように受渡位置P1を移動ステップの前後において一定にすることが要求される場合、吸着面を有する吸着部11a、12aと、第1軸J1を中心とする円の半径方向において吸着部11a、12aの第1軸J1側に設けられて保持機構17及び連結機構(連結板14c、連結ピン14d、及びスライダ14e)に接続された接続部(取付板11b、11c)と、吸着部11a、12aと前記接続部との間に着脱可能なスペーサ11g、12gと、をそれぞれ備えた複数の吸着部材11、12を予め準備する(吸着部材準備ステップ)。ここで、吸着部材準備ステップでは、受渡位置P1において隣り合う2つの吸着面間で吸着保持されるシート1の長さが第1の状態と第2の状態とにおいて同一となるように設定された厚み寸法を有するスペーサ11g、12gを準備する。
【0070】
そして、停止ステップの実行期間中に吸着部11a、12aと接続部との間にスペーサ11g、12gを取り付ける(取付ステップ)。
【0071】
このように保持機構17と駆動装置14とを相対的に移動させた後、必要に応じて、吸着部11a、12aと取付板11b、11cとの間にスペーサ11g、12gを取り付ける。
【0072】
そして、回転軸14bを第2軸J2を中心として再び回転駆動することによりシート1の搬送を再開する(第2搬送ステップ)。
【0073】
第2搬送ステップで搬送されたシート1を切断装置20を用いて切断する(第2切断ステップ)。ここで、第1切断ステップ及び第2切断ステップでは、シート1を同一の切断ピッチで切断する。さらに、第1切断ステップ及び第2切断ステップにおいて、第1軸J1を中心とする円周方向におけるシート搬送装置10と切断装置20との相対的な位置関係は同一である。
【0074】
以上説明したように、連結部材(連結板14c、連結ピン14d、及びスライダ14e)に対して複数の吸着部材11、12を第1軸J1を中心とする円の半径方向に移動させつつ支持機構(支持部材16及び移動装置18)によって保持機構17と駆動装置14とを第1軸J1と直交する方向に相対的に移動させることができる。これにより、吸着面の位置が第1軸J1を中心とする円の円周上に拘束された状態で駆動装置14の回転軸(第2軸J2)の位置を第1軸J1に対して変更することができる。そのため、回転中心である第2軸J2から各吸着面までの距離、つまり、回転時における各吸着面の角速度が変更され、隣り合う吸着面同士の間隔が第1軸J1を中心とする円の円周上で変化する。その結果、互いに隣り合う2つの吸着面により吸着保持されるシートの長さを第1軸J1を中心とする円の円周上において変更することができる。
【0075】
したがって、第1軸J1を中心とする円周上の所定の受取位置P0でシート1を受け取り、受渡位置P1でシート1を引き渡す場合、第1軸J1と第2軸J2との位置関係を調整することにより、前記受取位置P0から受渡位置P1までの間に互いに隣り合う2つの吸着面に吸着保持されるシート1の長さの変更を容易に行うことができる。
【0076】
そして、搬送装置10からシート1を引き受ける切断装置20においては、第1切断ステップ及び第2切断ステップにおいて同一の切断ピッチでシートを切断するため、搬送装置10により変更された受渡位置P1におけるシート1の長さの分だけ完成後の製品の長さを変更することができる。
【0077】
このように第1軸J1と第2軸J2との相対位置を調整することにより第1軸J1を中心とする円周上で隣り合う吸着面同士の間の距離を連続的に変更できる。そのため、下流側の切断装置20において切断ピッチが固定されていても、搬送装置10において前記円周上における受取位置P0及び受渡位置P1を変更することにより切断ピッチ内に位置させるシート1の長さを調整した上で当該シート1を切断装置20に受け渡すことができる。しかし、この場合には、切断ピッチ内に位置させるシート1の長さを変化させるために搬送装置10における受取位置P0及び受渡位置P1を変更する手間が生じる。
【0078】
ここで搬送装置10におけるシート1の受取位置P0から受渡位置P1までの間におけるシート1の長さの変化の割合は、第1軸J1と第2軸J2との相対位置によって決まるものであり、第1軸J1から吸着面までの半径にかかわらず一定である。したがって、前記実施形態のように、スペーサ11g、12gの各々が上記のように設定された同一の厚み寸法を有していればシート1の長さの変化の割合を維持しながら受渡位置P1におけるシートの長さを維持することができる。換言すれば、シート1の長さの変更後においても受渡位置P1を一定にすることができる。
【0079】
前記実施形態によれば、第1軸J1から最も離れた位置(2つの交点のうちの一方)及び第1軸J1から最も近い位置に受取位置P0又は受渡位置P1が設定されている。そのため、受取位置P0から受渡位置P1までの間におけるシート1の長さの変化の割合を最大に設定することができる。
【0080】
前記実施形態によれば、移動装置18によって保持機構17と駆動装置14とを相対的に移動させることができるため、人力でこれらを移動する場合と比較して作業性が向上する。
【0081】
前記実施形態によれば、モータ本体14aの一部を円筒部17d内に配置することにより、第1軸J1と平行する方向においてモータ本体14aと円筒部(保持部材本体)17dとを重ねて配置することができるため、同方向における搬送装置10の小型化を図ることができる。
【0082】
前記実施形態では、搬送装置10から切断装置20が引き受けるシート1の長さを一定に保ち、かつ、切断装置20の切断ピッチを固定することにより、搬送装置10によりシート1の長さ調整が行われた分だけ切断後のシート1の長さを変更することができる。しかし、搬送装置10において受渡位置におけるシート1の長さを切断装置20に設定されたシート長さに合せるためには、上述のようにスペーサ11gを用いるか、図12に示されるように受渡位置P1の調整が必要となる。したがって、シート1の切断長を変更するための作業が煩雑となる。
【0083】
そこで、シート1の切断長を変更するための作業をより簡素化することができる別の実施形態を図13図17を参照して説明する。
【0084】
図13図17は、上述した図1に示す工程(6)~(7)を行う別の実施形態に係る加工装置を示すものである。
【0085】
この加工装置は、工程(5)が行われた後のシート1を受取位置P0で引き受けるとともに工程(6)を行う搬送装置10と、受渡位置P1において搬送装置10からシート1が受け渡されるとともに工程(7)を行う切断装置40と、引き渡し位置P4において切断装置40から使い捨ておむつ5が引き渡されるとともに下流側の工程に引き渡す引渡装置30と、を備えている。なお、搬送装置10及び引渡装置30は、上述した実施形態におけるものと同様の構成を有するため、以下では、その説明を省略する。
【0086】
図13を参照して、切断装置40は、受渡位置P1においてシート1を吸着する外周面41aを有する切断用回転体41と、予め設定された時間間隔を持って切断用回転体41の外周面41aとの間でシート1を挟むことによりシート1を切断する切断機構42と、切断用回転体41を回転駆動する回転体駆動源43と、回転体駆動源43を制御する制御器44と、を備えている。
【0087】
切断用回転体41は、搬送装置10の第1軸J1と平行な第3軸J3を中心として回転可能である。
【0088】
切断機構42は、切断位置P2において切断用回転体41の外周面41aに対向して設けられた切断ドラム42aと、切断ドラム42aを回転駆動する切断駆動源42bと、を備えている。切断ドラム42aは、ドラム本体と、ドラム本体の外周面に対し周方向に間欠的に設けられた切断刃と、を有し、切断刃が所定時間間隔で切断用回転体41の外周面との間でシート1を挟むことによりシート1を切断する。切断駆動源42bは、第1軸J1と平行な第4軸J4を中心として回転可能となるように切断ドラム42aに接続された回転軸を有するモータにより構成されている。
【0089】
回転体駆動源43は、第3軸J3を中心として回転可能となるように切断用回転体41に接続された回転軸を有するサーボモータにより構成されている。
【0090】
制御器44は、切断用回転体41の速度を調整するために回転体駆動源43を制御するとともに、切断ドラム42aの速度を調整するために切断駆動源42bを制御する。
【0091】
図17は、制御器44により実行される回転体駆動源43の制御内容を示す。
【0092】
図17を参照して、制御器44は、切断機構42の切断刃が切断用回転体41の外周面との間でシート1を挟む時間間隔内に受渡位置P1を通過するシート1の長さと時間間隔内に切断位置P2を通過するシート1の長さが異なる長さとなるように回転体駆動源43を制御する。
【0093】
図16を参照して、シート1には、切断機構42により切断される位置として予め設定された複数の切断対象位置1a1~1a3が設定されている。図17に示すように、制御器44は、切断対象位置1a1~1a3のうちの第1切断対象位置1a1が受渡位置P1に到達(図13参照)してから、第1切断対象位置1a1が切断位置P2に到達(図14参照)するまでの間に切断用回転体41の速度を変化させる。また、制御器44は、第1切断対象位置1a1に相当する部分(切断部)が切断位置P2から引き渡し位置P4に到達(図15参照)するまでの間に切断用回転体41の速度を変化させる。なお、第1切断対象位置1a1が引渡位置P4に到達したときに、第1切断対象位置1a1に続く第2切断対象位置1a2は、受渡位置P1に到達する(図15参照)。そして、制御器44は、第2切断対象位置1a2が受渡位置P1に到達してから切断位置P2に到達(図16参照)するまでの間に切断用回転体41の速度を変化させる。その後、制御器44は、第2切断対象位置1a2に続く第3切断対象位置1a3についても同様の制御を実行する。
【0094】
より具体的には、図17に示すように、制御器44には、通常サイズ用の制御マップC1と、通常サイズよりも小さいサイズ用の制御マップC2と、通常サイズよりも大きいサイズ用の制御マップC3と、が記憶されている。
【0095】
通常サイズ用の制御マップC1において、制御器44は、切断対象位置1a1~1a3が受渡位置P1から切断位置P2に移動するまでの間に切断用回転体41を加速し、切断対象位置1a1~1a3が切断位置P2から引渡位置P4に移動するまでの間に切断用回転体41を減速して加速前の速度に戻す。この制御により、切断機構42の時間間隔内に受渡位置P1を通過するシート1の長さを、時間間隔内に切断位置P2を通過するシート1の長さよりも長くすることができる。
【0096】
また、制御マップC2では、受渡位置P1において搬送装置10から引き受けるシート1の速度が制御マップC1による制御実行時よりも高速に設定されている。制御器44は、この速度に一致するように切断用回転体41を制御するとともに、切断対象位置1a1~1a3が受渡位置P1から切断位置P2に移動するまでの間に切断用回転体41を減速する。なお、減速されたシート1の速度は、制御マップC1における最低速よりも低い。さらに、制御器44は、切断対象位置1a1~1a3が切断位置P2から引渡位置P4に移動するまでの間に切断用回転体41を加速して減速前の速度に戻す。この制御により、切断機構42の時間間隔内に受渡位置P1を通過するシート1の長さを、時間間隔内に切断位置P2を通過するシート1の長さよりも短くすることができる。
【0097】
さらに、制御マップC3では、受渡位置P1において搬送装置10から引き受けるシート1の速度が制御マップC1による制御実行時よりも低速に設定されている。制御器44は、この速度に一致するように切断用回転体41を制御するとともに、切断対象位置1a1~1a3が受渡位置P1から切断位置P2に移動するまでの間に切断用回転体41を加速する。なお、加速されたシート1の速度は、制御マップC1における最高速と同じである。さらに、制御器44は、切断対象位置1a1~1a3が切断位置P2から引渡位置P4に移動するまでの間に切断用回転体41を減速して加速前の速度に戻す。この制御により、切断機構42の時間間隔内に受渡位置P1を通過するシート1の長さを、時間間隔内に切断位置P2を通過するシート1の長さよりも短くすることができる。
【0098】
さらに、制御器44は、上述のように制御される切断位置P2におけるシート1の速度に一致するように切断ドラム42aの速度を制御する。
【0099】
この加工装置を用いてシート1を加工する場合、前記切断装置40を準備する(切断装置準備工程)。
【0100】
また、上述した実施形態における第1搬送ステップ、第1切断ステップ、停止ステップ、移動ステップ、第2搬送ステップ、及び第2切断ステップを実行する。
【0101】
そして、第2切断ステップでは、上述のように、時間間隔内に受渡位置P1を通過するシート1の長さと時間間隔内に切断位置P2を通過するシート1の長さとが異なる長さとなるように切断用回転体41の速度を調整する。
【0102】
以上説明したように、前記実施形態によれば、時間間隔内に受渡位置P1を通過するシート1の長さと、時間間隔内に切断位置P2を通過するシート1の長さと、を異なる長さに設定することができる。そのため、受渡位置P1において搬送装置10から切断用回転体41が引き受けたシート1の長さがどのような長さであっても、切断用回転体41の回転速度を制御することにより、所望のピッチでシート1を切断することができる。したがって、シート1の切断長を容易に変更することができる。
【0103】
なお、図17中において速度が一定となる回転区間A1は、おむつ本体2(吸収性コアがある場合には吸収性コア)が受渡位置P1及び引き渡し位置P4を通過する区間に相当する。このようにおむつ本体2が受渡位置P1及び引き渡し位置P4を通過する区間中、切断用回転体41の回転速度を一定に保つことにより搬送装置10から切断用回転体41への受け渡し、及び、切断用回転体41から引渡装置30への引き渡しを円滑に行うことができる。
【0104】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の態様を採用することもできる。
【0105】
前記実施形態では、スペーサ11g、12gを用いているが、スペーサ11g、12gを用いずに受取位置P0及び受渡位置P1の少なくとも一方を変更することもできる。
【0106】
前記実施形態では、第1軸J1及び第2軸J2を通る直線と第1軸J1を中心とする円との2つの交点上に受取位置P0及び受渡位置P1を設定しているが、受取位置P0及び受渡位置P1の少なくとも一方を前記2つの交点以外に配置してもよい。
【0107】
前記実施形態は、使い捨ておむつ5の製造のために用いる搬送装置10を例示したが、搬送装置10を用いる目的は使い捨ておむつ5に限定されない。
【0108】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0109】
上記課題を解決するために、本発明は、下流側の装置にシートを受け渡すように前記シートを連続的に搬送するシート搬送装置であって、前記シートを吸着可能な吸着面をそれぞれ有する複数の吸着部材と、前記吸着面が第1軸を中心とする円の円周に沿って間隔を空けて並び、かつ、前記複数の吸着部材が前記第1軸を中心として回転可能な状態で前記複数の吸着部材を保持する保持機構と、前記第1軸と平行な第2軸を中心として回転可能な回転軸と、前記回転軸からの動力が前記複数の吸着部材に伝達可能となるように前記回転軸と前記複数の吸着部材とを連結する連結機構と、を有する駆動装置と、前記保持機構及び前記駆動装置を支持する支持機構と、を備え、前記連結機構は、前記複数の吸着部材が前記第1軸を中心とする円の半径方向に移動可能な状態で前記複数の吸着部材に接続され、前記支持機構は、前記保持機構の前記第1軸と前記駆動装置の前記第2軸とが前記第1軸と直交する方向に相対的に移動可能となるように前記保持機構及び前記駆動装置を支持する、シート搬送装置を提供する。
【0110】
本発明によれば、連結部材に対して複数の吸着部材を第1軸を中心とする円の半径方向に移動させつつ支持機構によって保持機構と駆動装置とを第1軸と直交する方向に相対的に移動させることができる。これにより、吸着面の位置が第1軸を中心とする円の円周上に拘束された状態で駆動装置の回転軸(第2軸)の位置を第1軸に対して変更することができる。そのため、回転中心である第2軸から各吸着面までの距離、つまり、回転時における各吸着面の角速度が変更され、隣り合う吸着面同士の間隔が第1軸を中心とする円の円周上で変化する。その結果、互いに隣り合う2つの吸着面により吸着保持されるシートの長さを第1軸を中心とする円の円周上において変更することができる。
【0111】
したがって、第1軸を中心とする円周上の所定の受取位置でシートを受け取り、別の受渡位置でシートを引き渡す場合、第1軸と第2軸との位置関係を調整することにより、前記受取位置から受渡位置までの間に互いに隣り合う2つの吸着面により吸着保持されるシートの長さの変更を容易に行うことができる。
【0112】
このように第1軸と第2軸との相対位置を調整することにより第1軸を中心とする円周上で隣り合う吸着面同士の間の距離を連続的に変更できる。そのため、下流側の装置において所定の加工を加えるための加工ピッチ(例えば、従来の切断ピッチ)が固定されていても、搬送装置において前記円周上における受取位置及び受渡位置を変更することにより加工ピッチ内に位置させるシートの長さを調整した上で当該シートを下流側の装置に受け渡すことができる。しかし、この場合には、加工ピッチ内に位置させるシートの長さを変化させるために搬送装置における受取位置及び受渡位置を変更する手間が生じる。
【0113】
そこで、前記搬送装置において、前記複数の吸着部材は、前記吸着面を有する吸着部と、前記第1軸を中心とする円の半径方向において前記吸着部の前記第1軸側に設けられて前記保持機構及び前記連結機構に接続された接続部と、前記吸着部と前記接続部との間に着脱可能なスペーサと、をそれぞれ備え、前記スペーサは、前記シートを前記下流側の装置に受け渡すために前記第1軸を中心とする円周上に予め設定された受渡位置において隣り合う2つの吸着面同士の距離が小さくなるように前記保持機構と前記駆動装置との相対位置が第1の状態から第2の状態に変更される場合において前記第2の状態においてのみ使用されるものであり、前記複数の吸着部材における前記スペーサの各々は、前記受渡位置において隣り合う2つの吸着面間で吸着されるシートの長さが前記第1の状態と前記第2の状態とにおいて同一となるように設定された厚み寸法を有することが好ましい。
【0114】
シート搬送装置におけるシートの受取位置から受渡位置までの間におけるシートの長さの変化の割合は、第1軸と第2軸との相対位置によって決まるものであり、第1軸から吸着面までの半径にかかわらず一定である。したがって、スペーサの各々が上記のように設定された同一の厚み寸法を有していればシートの長さの変化の割合を維持しながら受渡位置におけるシートの長さを維持することができる。換言すれば、シートの長さの変更後においても受渡位置を一定にすることができる。
【0115】
前記シート搬送装置において、前記受渡位置は、前記第1軸と前記第2軸とを通る直線と前記第1軸を中心とする円との2つの交点のうちの一方に設定され、前記シートを受け取るために前記第1軸を中心とする円周上に予め設定された受取位置は、前記2つの交点のうちの他方に設定されていることが好ましい。
【0116】
この態様によれば、第1軸から最も離れた位置(2つの交点のうちの一方)及び第1軸から最も近い位置に受取位置又は受渡位置が設定されている。そのため、受取位置から受渡位置までの間におけるシートの長さの変化の割合を最大に設定することができる。
【0117】
前記搬送装置において、前記支持機構は、前記保持機構及び前記駆動装置の一方が固定された支持部材と、前記保持機構及び前記駆動装置の他方及び前記支持部材に接続されて前記保持機構及び前記駆動装置の他方が前記支持部材に対して前記第1軸と直交する方向に移動するための力を前記保持機構及び前記駆動装置の他方に与える移動装置と、を備えていることが好ましい。
【0118】
この態様によれば、移動装置によって保持機構と駆動装置とを相対的に移動させることができるため、人力でこれらを移動する場合と比較して作業性が向上する。
【0119】
駆動装置のレイアウトを限定する趣旨ではないが、前記搬送装置において、前記保持機構は、前記第1軸と平行な方向において前記支持機構の一方の側で前記第1軸と平行な方向に延びるとともに前記複数の吸着部材を保持する外周面を有する円筒状の保持部材本体を備え、前記駆動装置は、前記保持部材本体の内部を通じて前記支持機構に支持されているとともに前記保持部材本体の内部に収容された部分を有し、前記回転軸を回転駆動するモータ本体を備え、前記連結機構は、前記モータ本体から前記保持部材本体の前記支持機構と反対側の位置まで延びる前記回転軸と前記複数の吸着部材とを連結することが好ましい。
【0120】
この態様によれば、第1軸と平行する方向においてモータ本体と保持部材本体とを重ねて配置することができるため、同方向における搬送装置の小型化を図ることができる。
【0121】
また、本発明は、シートを所定の長さで切断するシート加工装置であって、前記シート搬送装置と、前記シート搬送装置から前記シートを引き受けるとともに所定のピッチで前記シートを切断する切断装置と、を備えている、シート加工装置を提供する。
【0122】
本発明によれば、切断装置に設定されたピッチ間に位置するシートの長さに変更が必要な場合であっても、搬送装置において保持機構と駆動装置との相対位置を変化させることにより容易にピッチ間のシート長さの変更を行うことができる。
【0123】
ここで、搬送装置から切断装置が引き受けるシートの長さを一定に保ち、かつ、切断装置の切断ピッチを固定することにより、搬送装置によりシートの長さ調整がされた分だけ切断後のシート長さを変更することができる。しかし、搬送装置において受渡位置におけるシートの長さを切断装置に設定されたシート長さに合せるためには、上述のようにスペーサを用いるか、受渡位置の調整が必要となる。したがって、シートの切断長を変更するための作業が煩雑となる。
【0124】
そこで、前記加工装置において、前記切断装置は、前記シート搬送装置が前記切断装置に前記シートを受け渡すために前記第1軸を中心とする円周上に予め設定された受渡位置において前記シートを吸着する外周面を有するとともに前記第1軸と平行な第3軸を中心として回転可能な切断用回転体と、予め設定された切断位置において所定の時間間隔を持って前記切断用回転体の外周面との間で前記シートを挟むことにより前記シートを切断する切断機構と、前記切断用回転体を回転駆動する駆動源と、前記時間間隔内に前記受渡位置を通過する前記シートの長さと前記時間間隔内に前記切断位置を通過する前記シートの長さとが異なる長さとなるように前記駆動源を制御する制御器と、を備えていることが好ましい。
【0125】
この態様によれば、時間間隔内に受渡位置を通過するシートの長さと、時間間隔内に切断位置を通過するシートの長さと、を異なる長さに設定することができる。そのため、受渡位置において搬送装置から切断用回転体が引き受けたシートの長さがどのような長さであっても、切断用回転体の回転速度を制御することにより、所望のピッチでシートを切断することができる。したがって、シートの切断長を容易に変更することが可能となる。
【0126】
さらに、本発明は、前記シート搬送装置を用いたシートの搬送方法であって、前記回転軸を前記第2軸を中心として回転駆動することにより前記複数の吸着部材を前記第1軸を中心として回転させて複数の吸着部材の吸着面に前記シートを吸着させつつ当該シートを搬送する第1搬送ステップと、前記回転軸の回転駆動を停止させる停止ステップと、前記支持機構により前記保持機構と前記駆動装置とを第1軸と直交する方向に相対的に移動させることにより前記連結機構と前記複数の吸着部材との接続位置を前記第1軸を中心とする円の半径方向に移動させる移動ステップと、前記回転軸を前記第2軸を中心として再び回転駆動することによりシートを搬送する第2搬送ステップと、を含むシートの搬送方法を提供する。
【0127】
本発明によれば、下流側の装置に受け渡すシートの長さに変更が必要な場合に、一旦回転軸を停止させ、保持機構と駆動装置とを相対的に移動させることにより連結機構と吸着部材との接続位置を第1軸を中心とする円の半径方向に移動させる。これにより、第1軸を中心とする円周上において隣り合う吸着部材同士の間隔を変化させることができるため、前記円周上の受取位置でシートを受け取り、受渡位置でシートを引き渡す場合において受取位置から受渡位置までの間で互いに隣り合う2つの吸着面に吸着保持されるシートの長さを変更することができる。
【0128】
前記シートの搬送方法において、前記吸着面を有する吸着部と、前記第1軸を中心とする円の半径方向において前記吸着部の前記第1軸側に設けられて前記保持機構及び前記連結機構に接続された接続部と、前記吸着部と前記接続部との間に着脱可能なスペーサと、をそれぞれ備えた前記複数の吸着部材を準備する吸着部材準備ステップと、前記停止ステップの実行期間中に前記吸着部と前記接続部との間に前記スペーサを取り付ける取付ステップと、をさらに含み、前記移動ステップでは、前記シートを前記下流側の装置に受け渡すために前記第1軸を中心とする円周上に予め設定された受渡位置において隣り合う2つの吸着面同士の距離が小さくなるように前記保持機構と前記駆動装置との相対位置を第1の状態から第2の状態に変更し、前記吸着部材準備ステップでは、前記受渡位置において隣り合う2つの吸着面間で吸着されるシートの長さが前記第1の状態と前記第2の状態とにおいて同一となるように設定された厚み寸法を有する前記スペーサを準備することが好ましい。
【0129】
このように設定された同一の厚み寸法を有するスペーサを取付ステップにおいて吸着部と接続部との間に取り付けることにより、シートの受取位置から受渡位置までの間におけるシートの長さの変化の割合を維持しながら受渡位置におけるシートの長さを維持することができる。換言すれば、シートの長さの変更後においても受渡位置を一定にすることができる。
【0130】
前記シートの搬送方法は、前記第1軸と前記第2軸とを通る直線と前記第1軸を中心とする円との2つの交点のうちの一方に前記受渡位置を設定するとともに、前記2つの交点のうちの他方に、前記シートを受け取るために前記第1軸を中心とする円周上に予め設定された受取位置を設定する設定ステップをさらに備えていることが好ましい。
【0131】
このようにすれば、第1軸から最も離れた位置(2つの交点のうちの一方)及び第1軸から最も近い位置に受取位置又は受渡位置を設定することができる。そのため、受取位置から受渡位置までの間におけるシートの長さの変化の割合を最大に設定することができる。
【0132】
前記シートの搬送方法は、前記保持機構及び前記駆動装置の一方が固定された支持部材と、前記保持機構及び前記駆動装置の他方及び前記支持部材に接続されて前記保持機構及び前記駆動装置の他方が前記支持部材に対して前記第1軸と直交する方向に移動するための力を前記保持機構及び前記駆動装置の他方に与える移動装置と、を備えた前記支持機構を準備する支持機構準備ステップをさらに含み、前記移動ステップでは、前記移動装置を用いて前記連結機構と前記複数の吸着部材との接続位置を前記第1軸を中心とする円の半径方向に移動させることが好ましい。
【0133】
このようにすれば、移動装置によって保持機構と駆動装置とを相対的に移動させることができるため、人力でこれらを移動する場合と比較して作業性が向上する。
【0134】
また、本発明は、前記シート搬送装置と、前記シート搬送装置から前記シートを引き受けるとともに所定のピッチで前記シートを切断する切断装置と、を用いて前記シートを加工するシートの加工方法であって、前記回転軸を前記第2軸を中心として回転駆動することにより前記複数の吸着部材を前記第1軸を中心として回転させて複数の吸着部材の吸着面に前記シートを吸着させつつ当該シートを搬送する第1搬送ステップと、前記第1搬送ステップで搬送された前記シートを前記切断装置を用いて切断する第1切断ステップと、前記回転軸の回転駆動を停止させる停止ステップと、前記支持機構により前記保持機構と前記駆動装置とを第1軸と直交する方向に相対的に移動させることにより前記連結機構と前記複数の吸着部材との接続位置を前記第1軸を中心とする円の半径方向に移動させる移動ステップと、前記回転軸を前記第2軸を中心として再び回転駆動することによりシートを搬送する第2搬送ステップと、前記第2搬送ステップで搬送された前記シートを前記切断装置を用いて切断する第2切断ステップと、を含む、シートの加工方法を提供する。
【0135】
本発明によれば、移動ステップおいて、互いに隣り合う2つの吸着面により吸着保持されるシートの長さを第1軸を中心とする円の円周上において変更することができる。
【0136】
したがって、シート搬送装置から切断装置が引き受けるシートの長さを容易に変更することができる。
【0137】
前記シートの加工方法において、前記第1切断ステップ及び前記第2切断ステップでは、前記シートを同一ピッチで切断することが好ましい。
【0138】
このようにすれば、搬送装置からシートを引き受ける切断装置においては、第1切断ステップ及び第2切断ステップにおいて同一ピッチでシートを切断するため、シート搬送装置により変更されたシートの長さの分だけ完成後の製品の長さを変更することができる。
【0139】
前記シートの加工方法において、前記吸着面を有する吸着部と、前記第1軸を中心とする円の半径方向において前記吸着部の前記第1軸側に設けられて前記保持機構及び前記連結機構に接続された接続部と、前記吸着部と前記接続部との間に着脱可能なスペーサと、をそれぞれ備えた前記複数の吸着部材を準備する吸着部材準備ステップと、前記停止ステップの実行期間中に前記吸着部と前記接続部との間に前記スペーサを取り付ける取付ステップと、をさらに含み、前記移動ステップでは、前記シートを前記下流側の装置に受け渡すために前記第1軸を中心とする円周上に予め設定された受渡位置において隣り合う2つの吸着面同士の距離が小さくなるように前記保持機構と前記駆動装置との相対位置を第1の状態から第2の状態に変更し、前記吸着部材準備ステップでは、前記受渡位置において隣り合う2つの吸着面間で吸着されるシートの長さが前記第1の状態と前記第2の状態とにおいて同一となるように設定された厚み寸法を有する前記スペーサを準備し、前記第1切断ステップ及び前記第2切断ステップにおいて、前記第1軸を中心とする円周方向における前記シート搬送装置と前記切断装置との相対的な位置関係は同一であることが好ましい。
【0140】
このように設定された同一の厚み寸法を有するスペーサを取付ステップにおいて吸着部と接続部との間に取り付けることにより、シート搬送装置における受取位置から受渡位置までの間におけるシートの長さの変化の割合を維持しながら受渡位置におけるシートの長さを調整することができる。したがって、第1切断ステップ及び第2切断ステップにおいて、第1軸を中心とする円周方向におけるシート搬送装置と切断装置との相対的な位置関係を同一にすることができる。
【0141】
ここで、搬送装置から切断装置が引き受けるシートの長さを一定に保ち、かつ、前記第1切断ステップ及び前記第2切断ステップにおける切断ピッチを固定することにより、搬送装置によりシート長さ調整がされた分だけ切断後のシート長さを変更することができる。しかし、搬送装置において受渡位置におけるシート長さを切断装置に設定されたシート長さに合せるためには、上述のようにスペーサを用いるか、受渡位置の調整が必要となる。したがって、シートの切断長を変更するための作業が煩雑となる。
【0142】
そこで、前記シートの加工方法は、前記シート搬送装置が前記切断装置に前記シートを受け渡すために前記第1軸を中心とする円周上に予め設定された受渡位置において前記シートを吸着する外周面を有するとともに前記第1軸と平行な第3軸を中心として回転可能な切断用回転体と、予め設定された切断位置において所定の時間間隔を持って前記切断用回転体の外周面との間で前記シートを挟むことにより前記シートを切断する切断機構と、を備えた前記切断装置を準備する切断装置準備工程をさらに含み、前記第2切断ステップでは、前記時間間隔内に前記受渡位置を通過する前記シートの長さと前記時間間隔内に前記切断位置を通過する前記シートの長さとが異なる長さとなるように前記切断用回転体の速度を調整することが好ましい。
【0143】
この態様によれば、所定時間内に受渡位置に通過するシートの長さと、時間間隔内に切断位置に通過するシートの長さと、を異なる長さに設定することができる。そのため、受渡位置において搬送装置から切断用回転体が引き受けたシートの長さがどのような長さであっても、切断用回転体の回転速度を調整することにより、所望のピッチでシートを切断することができる。したがって、シートの切断長を容易に変更することが可能となる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17