(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】二次電池の製造方法、二次電池用パウチの製造方法及び二次電池用パウチ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/105 20210101AFI20220527BHJP
【FI】
H01M50/105
(21)【出願番号】P 2019564800
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(86)【国際出願番号】 KR2018015622
(87)【国際公開番号】W WO2019151638
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2019-11-22
(31)【優先権主張番号】10-2018-0012481
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】シ・ウン・オ
(72)【発明者】
【氏名】ス・ジ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ファ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ホ・スブ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ソ・パク
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-224652(JP,A)
【文献】特開2013-206678(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0287308(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0177953(US,A1)
【文献】特開2004-071301(JP,A)
【文献】特開2001-229888(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0044547(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1253671(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体を収容するためのパウチを準備する段階、
前記パウチ上の互いに離隔された二つの領域を加圧し、一定の深さを有するように凹んで陥没された凹部を形成し、互いに離隔されている第1コップ及び第2コップを形成する第1成形段階、及び
前記第1コップを更に加圧し、前記第1成形段階で形成された前記第2コップの凹部の深さと異なる深さを有する凹部が形成された前記第1コップを形成する第2成形段階、を含む二次電池用パウチの製造方法。
【請求項2】
前記第1成形段階において、
前記第1コップの凹部の深さと前記第2コップの凹部の深さは互いに同一である、請求項1に記載の二次電池用パウチの製造方法。
【請求項3】
前記第1成形段階において、
前記第1コップの凹部と前記第2コップの凹部は同時に形成される、請求項1または2に記載の二次電池用パウチの製造方法。
【請求項4】
前記第1成形段階で前記第1コップを形成する成形部と、前記第2成形段階で前記第1コップを加圧する成形部は互いに同一である、請求項1~3の何れか一項に記載の二次電池用パウチの製造方法。
【請求項5】
前記第1成形段階で前記第1コップを形成する成形部と、前記第2成形段階で前記第1コップを加圧する成形部は互いに異なる、請求項1~4の何れか一項に記載の二次電池用パウチの製造方法。
【請求項6】
前記第2成形段階後において、
前記第1コップの凹部の深さと前記第2コップの凹部の深さの和は9.0mm超過11.5mm以下である、請求項1~5の何れか一項に記載の二次電池用パウチの製造方法。
【請求項7】
前記第2成形段階後において、
前記第1コップの凹部の深さは4.5mm超過10.0mm以下であり、
前記第2コップの凹部の深さは1.0mm以上3.0mm以下である、請求項6に記載の二次電池用パウチの製造方法。
【請求項8】
二次電池用パウチであって、
凹部が形成された第1コップ及び第2コップ、及び
前記第1コップと前記第2コップとの間に形成される中間領域、を含み、
前記中間領域を中心にフォールディングされて前記第1コップ及び前記第2コップが互いに向かい合うように備えられ、
前記第1コップの凹部の深さと前記第2コップの凹部の深さの和は9.0mm超過11.5mm以下であり、
前記第1コップの凹部の深さと前記第2コップの凹部の深さとが互いに異な
り、
前記中間領域は、
前記第1コップと連結される領域として曲面が形成される第1曲面領域と、前記第2コップと連結される領域として曲面が形成される第2曲面領域のみからなる、二次電池用パウチ。
【請求項9】
前記第1コップの凹部の深さは4.5mm超過10.0mm以下であり、
前記第2コップの凹部の深さは1.0mm以上3.0mm以下である、請求項8に記載の二次電池用パウチ。
【請求項10】
前記第2コップの凹部の深さに対する前記第1コップの凹部の深さの比は、1.33から10の範囲を有する、請求項8または9に記載の二次電池用パウチ。
【請求項11】
前記第1曲面領域の長さは1.5mmであり、
前記第2曲面領域の長さは0.5mmである、請求項
10に記載の二次電池用パウチ。
【請求項12】
電極組立体を収容するためのパウチを準備する段階、
前記パウチ上の互いに離隔された二つの領域を加圧し、一定の深さを有するように凹んで陥没された凹部が形成され、互いに離隔されている第1コップ及び第2コップを形成する第1成形段階、
前記第1コップを更に加圧し、前記第1成形段階で形成された第2コップの凹部の深さと異なる深さを有する凹部が形成された前記第1コップを形成する第2成形段階、
前記第1コップまたは前記第2コップに電極組立体を収容する段階、及び
前記第1コップと前記第2コップとの間に形成される中間領域
を中心にフォールディングして、前記第1コップ及び前記第2コップが互いに向かい合うように備えることで、前記第1コップ及び前記第2コップに電極組立体が収容されるようにするフォールディング段階、を含む二次電池の製造方法。
【請求項13】
請求項8~11の何れか一項に記載の二次電池用パウチ、及び
前記二次電池用パウチに収容される電極組立体、を含む二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年1月31日付韓国特許出願第10-2018-0012481号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、二次電池の製造方法及び二次電池用パウチに関し、二次電池のケース成形過程で発生し得るケースの耐久性低下の問題を解決することができる二次電池の製造方法、及び二次電池用パウチに関する。
【背景技術】
【0003】
繰り返して充電及び放電が可能な二次電池は多様な種類があるが、一例としてパウチ型二次電池は、パウチ外装材の内部に電極組立体及び電解液を収容した後、外装材を密封することで製造される二次電池を意味する。
【0004】
このとき、外装材の内部に電極組立体が収容される空間を形成するために、パウチ型二次電池の製造過程では、パウチの一部領域を加圧してパウチのうち一部の領域が凹んで陥没されて一定の深さを有するコップを形成する段階を経ることが一般的である。
【0005】
このようにパウチにコップを形成する段階で、従来技術によれば、コップは二つが形成されることが一般的である。すなわち、パウチのうち第1領域及び第1領域と離隔されている第2領域を加圧して、二つのコップを形成するようになる。それ以後、パウチで二つのコップの間の領域をフォールディングして二つのコップが互いに向かい合うようになるが、二つのコップが互いに向かい合うことで形成される空間に電極組立体が収容される。
【0006】
一方、最近は、二次電池に要求される電気容量が増大される傾向である。二次電池の容量は、二次電池に備えられる電極組立体の大きさと直結されるが、大きい容量の二次電池を製造するためには、電極組立体の大きさが大きくならなければならず、これは結局、電極組立体が収容されるケースの内部空間の体積もまたより大きくならなければならないことを意味する。しかし、多様な制約条件のため、電極組立体が収容されるケースの内部空間の体積が無限に大きくなることはできないことが現実である。
【0007】
特に、パウチ型二次電池の場合、パウチに形成されるコップの深さが無限に大きくなることができないという問題点があった。すなわち、パウチに形成されるコップの深さが一定範囲より深くなる場合、パウチに微細なクラックなどが発生してパウチに破断が発生しやすく、クラックの周りにパウチが白くなる白化現象が発生するなど、脆弱領域が発生するという問題点があった。これはパウチ型二次電池の容量を増大するのに制約条件として作用した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、パウチに互いに異なる深さを有するコップを形成する過程で発生し得るパウチの耐久性弱化の問題を解決することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、パウチ型二次電池の容量を従来に比べて増大させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための本発明の第1側面によれば、電極組立体を収容するためのパウチを準備する段階、前記パウチ上の互いに離隔された二つの領域を加圧し、一定深さを有するように凹んで陥没された凹部が形成され、互いに離隔されている第1コップ及び第2コップを形成する第1成形段階、及び前記第1コップを更に加圧し、前記第1成形段階で形成された第1コップの凹部の深さと異なる深さを有する凹部が形成された前記第1コップを形成する第2成形段階、を含む二次電池用パウチの製造方法が提供される。
【0011】
前記第1成形段階において、前記第1コップの凹部の深さと前記第2コップの凹部の深さは、互いに同一であってよい。
【0012】
前記第1成形段階において、前記第1コップの凹部と前記第2コップの凹部は、同時に形成されてよい。
【0013】
前記第1成形段階で前記第1コップを形成する成形部と、前記第2成形段階で前記第1コップを加圧する成形部は、互いに同一であってよい。
【0014】
前記第1成形段階で前記第1コップを形成する成形部と、前記第2成形段階で前記第1コップを加圧する成形部は、互いに異なってよい。
【0015】
前記第1コップの凹部の深さと前記第2コップの凹部の深さの和は、9.0mm超過11.5mm以下であってよい。
【0016】
前記第2成形段階において、前記第1コップの凹部の深さは4.5mm超過10.0mm以下であり、前記第2コップの凹部の深さは1.0mm以上3.0mm以下であってよい。
【0017】
前記目的を達成するための本発明の第2側面によれば、二次電池用パウチとして、凹部が形成された第1コップ及び第2コップ、及び前記第1コップと前記第2コップとの間に形成される中間領域、を含み、前記の中間領域を中心にフォールディングされて前記第1コップ及び第2コップが互いに向かい合うように備えられ、前記第1コップの凹部の深さと前記第2コップの凹部の深さの和は9.0mm超過11.5mm以下である二次電池用パウチが提供される。
【0018】
前記第1コップの凹部の深さは4.5mm超過10.0mm以下であり、前記第2コップの凹部の深さは1.0mm以上3.0mm以下であってよい。
【0019】
前記第2コップの凹部の深さに対する前記第1コップの凹部の深さの比は、1.33から10の範囲を有してよい。
【0020】
前記中間領域は、前記第1コップと連結される領域として曲面が形成される第1曲面領域と、前記第2コップと連結される領域として曲面が形成される第2曲面領域のみになされてよい。
【0021】
前記第1曲面領域の長さは1.5mmであり、前記第2曲面領域の長さは0.5mmであってよい。
【0022】
前記目的を達成するための本発明の第3側面によれば、電極組立体を収容するためのパウチを準備する段階、前記パウチ上の互いに離隔された二つの領域を加圧し、一定の深さを有するように凹んで陥没された凹部が形成され、互いに離隔されている第1コップ及び第2コップを形成する第1成形段階、前記第1コップを更に加圧し、前記第1成形段階で形成された第1コップの凹部の深さと異なる深さを有する凹部が形成された前記第1コップを形成する第2成形段階、前記第1コップまたは前記第2コップに電極組立体を収容する段階、及び前記第1コップと前記第2コップとの間に形成される中間領域Rを中心にフォールディングして、前記第1コップ及び前記第2コップが互いに向かい合うように備えることで、前記第1コップ及び前記第2コップに電極組立体が収容されるようにするフォールディング段階、を含む二次電池の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、パウチに互いに異なる深さを有するコップを形成する過程で発生し得るパウチの耐久性弱化の問題を解決することができる。
【0024】
また、本発明によれば、パウチ型二次電池の容量が従来に比べて増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一例による、互いに異なる深さを有する複数のコップが形成されるパウチを製造する方法のうち、第1成形段階を示した側面図である。
【
図2】本発明の一例による、互いに異なる深さを有する複数のコップが形成されるパウチを製造する方法のうち、第2成形段階を示した側面図である。
【
図3】本発明の一例によって製造された、互いに異なる深さを有する複数のコップが形成されたパウチを示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参考にして本発明に係る二次電池の製造方法を説明する。
【0027】
一方、本明細書では、第1コップの図面符号が102’及び102と記載されているが、102’と記載された第1コップは、下記で検討してみる第1成形段階を経て第2成形段階を経る前の第1コップを意味するものであり、102と記載された第1コップは、下記で検討してみる第1成形段階及び第2成形段階を経た後の第1コップを意味するものである。
【0028】
(二次電池の製造方法)
図1は、本発明の一例による、互いに異なる深さを有する複数のコップが形成されるパウチを製造する方法のうち、第1成形段階を示した側面図である。
【0029】
本発明の一例による二次電池の製造方法は、電極組立体を収容する外装材としてのパウチを準備する段階を含んでよい。パウチPは、
図1に示す通り、平らな板状を有してよく、パウチの全体に亘って一定の厚さを有してよい。パウチの厚さは60μmから200μmであってよく、例えば、パウチの厚さは60μmから160μmであってよい。
【0030】
また、パウチは、複数の層状構造を有してよい。例えば、
図1を基準にパウチは、下部から順次、第1高分子層、金属層及び第2高分子層を含んでよい。このとき、金属層は、アルミニウム層であってよく、第1から第2高分子層に用いられる高分子は、ナイロン(nylon)、ポリプロピレン(polypropylene:PP)、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate:PET)、またはそれらの組み合わせであってよい。
【0031】
また、本発明の一例による二次電池の製造方法は、
図1に示す通り、パウチP上の互いに離隔された二つの領域を加圧し、一定の深さを有するように凹んで陥没された凹部が形成(
図2参照)され、互いに離隔されている第1コップ及び第2コップを形成する第1成形段階を含んでよい。
【0032】
第1成形段階を経た後、
図2に示すパウチ状のように、パウチPには、それぞれD1’深さを有する凹部C1’及びD2の深さを有する凹部C2が備えられた第1コップ102’及び第2コップ104が形成されてよい。第1成形段階で形成された第1コップ102’及び第2コップ104に形成されたそれぞれの凹部の深さD1’とD2は、互いに同一であってよいが、これとは異なりD1’とD2は互いに異なってもよい。例えば、D1’は、D2より大きくてもよく、小さくてもよい。
【0033】
第1成形段階で第1コップ102’及び第2コップ104それぞれの凹部の深さD1’及びD2が互いに同一である場合、第1コップ及び第2コップの間に対称性を有するようになるので、第1成形段階以後にパウチが特定の方向に傾くことを防止することができる。
【0034】
一方、本明細書で「二つの構成の大きさ、深さまたは厚さが同一である」との意味は、二つの構成の大きさが完全に同一ではなくとも、本発明の当該分野で通常の知識を有する者が二つの構成の大きさ、深さまたは厚さが実質的に同一であると判断できる程度の差を有する場合も含むものと解釈されなければならない。
【0035】
前述したように、第1成形段階では、パウチP上の互いに離隔された二つの領域を加圧することにより、第1コップ及び第2コップが形成され得るが、このようにパウチ上の二つの領域を加圧することは、
図1に示すように、第1成形部202及び第2成形部204によって行われ得る。すなわち、第1成形部202によって第1コップ102’が形成されてよく、第2成形部204によって第2コップ104が形成されてよい。
図1には、D3の厚さを有する第1成形部202、及びD4の厚さを有する第2成形部204が示されている。また、第1成形段階において、第1成形部202は第1コップ102’を形成し、第2成形部204は第2コップ104を形成するので、第1成形部の厚さ(すなわち、D3)は第1成形段階以後に第1コップの凹部C1’の深さ(すなわち、D1’)に対応され、第2成形部の厚さ(すなわち、D4)は第1成形段階以後に第2コップの凹部C2の深さ(すなわち、D2)に対応され得る。よって、第1成形部202の厚さD3と第2成形部204の厚さD4は互いに同一であってよいが、これとは異なりD3とD4は互いに異なってもよい。例えば、D3は、D4より大きくてもよく、小さくてもよい。
【0036】
また、本発明の第1成形段階において、第1コップ102’の凹部と第2コップ104の凹部は、同時に形成されてよい。すなわち、第1成形段階において、第1成形部202と第2成形部204がそれぞれ第1コップ102’及び第2コップ104を形成する工程は、同時に行われてよい。また、第1成形段階で第1コップの凹部C1’の深さは、第2コップの凹部C2の深さと同一であってよい。
【0037】
第1成形部及び第2成形部を用いて第1コップ及び第2コップを形成する工程が時間的に別に行われる場合、パウチの傾き現象が発生し得る。例えば、第1成形段階で第1成形部がパウチを先に加圧して第1コップを形成した後、第2成形部がパウチを加圧して第2コップを形成する場合、第1成形部によって先に形成される第1コップの方向にパウチの傾き現象が発生することができる。しかし、第1成形部及び第2成形部を用いて第1コップ及び第2コップを形成する工程が同時に行われる場合、このようなパウチの傾き現象を防止することができる。
【0038】
図2は、本発明の一例による、互いに異なる深さを有する複数のコップが形成されるパウチを製造する方法のうち、第2成形段階を示した側面図である。
【0039】
図2に示す通り、本発明の一例による二次電池の製造方法は、第1成形段階で形成された第1コップ102’を更に加圧し、第1成形段階で形成された第1コップ102’の凹部C1’の深さ(すなわち、D1’)と異なる深さ(すなわち、D1)の凹部C1が形成される第1コップ102を形成する第2成形段階をさらに含んでよい。第1成形段階の場合と類似に第2成形段階で第1コップ102’を更に加圧することは、第3成形部206によって行われ得る。
【0040】
したがって、D1はD1’より大きくてよく、D1はD2より大きくてよい。
【0041】
図3は、本発明の一例によって製造された、互いに異なる深さを有する複数のコップが形成されたパウチを示した側面図である。
【0042】
すなわち、本発明の一例によれば、第1成形段階でD1’の深さを有する凹部C1’を有する第1コップ102’を第2成形段階で更に加圧することで、より深い深さ(すなわち、D1)を有する凹部C1が形成された第1コップ102を形成することができ、互いに異なる深さの凹部が形成されたコップ等を備えた、非対称形状の二次電池用外装材パウチが製造され得る。このとき、第1コップ102と第2コップ104との間の距離は、2.0mmから6.0mmであってよく、好ましくは2.0mmから4.0mmであってよい。第1コップ102と第2コップ104との間の距離が近すぎる場合、それ以後、第1コップと第2コップとの中間領域をフォールディングすることで、パウチ型二次電池を製造する過程でフォールディングが適切に行われないため、パウチに不良が発生することがあり、第1コップ102と第2コップ104との間の距離が遠すぎる場合には、パウチの体積が大きくなるため、二次電池の単位体積当たりの容量が減少するようになる。
【0043】
一方、第1成形段階で第1コップ102’を形成する成形部と第2成形段階で第1コップ102’を加圧する成形部は、互いに異なってよい。すなわち、
図1及び
図2を参考すれば、第1成形部202と第3成形部206は、別の構成であり得る。
図1及び
図2には、D3の厚さを有する第1成形部202と、D3より大きいD5の厚さを有する第3成形部206が示されている。
【0044】
しかし、これとは異なり、第1成形段階で第1コップ120’を形成する成形部と、第2成形段階で第1コップ102’を加圧する成形部は、互いに同一であってよい。すなわち、第1成形部202と第3成形部206は、同一の構成であってよい。第1成形部202と第3成形部206が互いに同一の構成である場合、本発明に係る二次電池の製造方法を実施するための構成等が簡素化される効果が発生することができる。
【0045】
本発明の一例によって第1成形段階及び第2成形段階を経た後、パウチには中間領域Rほど互いに離隔される第1コップ102及び第2コップ104を含むコップ100が形成される。
【0046】
第1成形段階及び第2成形段階を経た後、パウチに形成される第1コップの凹部の深さと第2コップの凹部の深さとの間には、一定の比率を有してよい。例えば、第2コップの凹部の深さに対する第1コップの凹部の深さの比は、1.33から10の範囲を有してよい。より好ましくは、第2コップの凹部の深さに対する第1コップの凹部の深さの比は、4から10、2から4.75または1.33から2.67の範囲を有してよい。
【0047】
第2コップの凹部の深さに対する第1コップの凹部の深さの比が前記範囲等を外れて第1コップの凹部の深さが大きくなる場合には、パウチにクラックが発生することができ、第2コップの凹部の深さに対する第1コップの凹部の深さの比が前記範囲等を外れて第1コップの凹部の深さが小さくなる場合には、パウチのコップ等の深さを十分に確保できなくなるので、二次電池の容量が充分に増大され得ない。
【0048】
逆に、第2コップの凹部の深さに対する第1コップの凹部の深さの比が前記範囲等を外れて第2コップの凹部の深さが小さくなる場合には、パウチのコップ等の深さを十分に確保できなくなるので、二次電池の容量が充分に増大されず、第2コップの凹部の深さに対する第1コップの凹部の深さの比が前記範囲等を外れて第2コップの凹部の深さが大きくなる場合には、パウチにクラックが発生することができる。第2コップの凹部の深さに対する第1コップの凹部の深さの比の数値範囲に対する内容は、下記で検討してみる実施例1から実施例3によって裏付けられ得る。
【0049】
一方、中間領域Rは、第1コップ102と連結される領域として曲面を含む第1曲面領域、第2コップ104と連結される領域として曲面を含む第2曲面領域、及び第1曲面領域と第2曲面領域との間に形成されて、平面からなる平面領域を含んでよい。第1コップ102と中間領域Rが連結される領域、及び第2コップ104と中間領域Rが連結される領域が角張って形成される場合、角張った領域でクラックが発生したり、破断が起きたりしやすい。第1曲面領域及び第2曲面領域は、そのような問題を解決するための構成であり得る。すなわち、第1曲面領域と第2曲面領域が形成されることで、第1コップ102と中間領域Rが連結される領域、及び中間領域Rと第2コップ104が連結される領域がスムーズに連結されるので、パウチの耐久性が向上することができる。
【0050】
中間領域が第1曲面領域及び第2曲面領域を含むことは、本発明が適用され得る中大型容量のパウチ型二次電池を製造する過程の特性を反映したものとみることもできる。すなわち、小型容量のパウチ型二次電池に用いられるパウチに比べて、中大型容量のパウチ型二次電池に用いられるパウチの場合、成形されるコップの凹部の厚さが相対的に大きく、パウチの変形程度も大きいので、パウチの厚さもまた相対的に大きいことが一般的である。よって、中大型容量のパウチ型二次電池に用いるパウチにコップを成形する過程で、コップとコップとの間に曲面領域が形成されるしかなく、これを反映したことが本発明に係る曲面領域であり得る。
【0051】
その反面、小型容量のパウチ型二次電池に用いられるパウチを構成する材料の厚さは60μmであって、相対的に小さい厚さを有することが一般的である。よって、コップの成形過程でパウチの変形程度が相対的に小さいので、コップとコップとの間に曲面領域が形成されない状態でパウチが成形され得る。
【0052】
したがって、本発明は、中大型容量のパウチ型二次電池に適用される発明であり得る。すなわち、本発明によれば、中大型容量のパウチ型二次電池の製造過程でパウチに形成されるしかない、コップ間の中間領域を最小化することで中間領域によって外部に突出される部分を最小化し、中大型容量のパウチ型二次電池の容量を最大化することができる。
【0053】
一方、前述したところと異なり、中間領域Rは平面領域を含まず、第1曲面領域及び第2曲面領域のみを含んでもよい。この場合、中間領域Rで平面領域が占める比重がなくなるので、中間領域Rの面積及び長さを最小化することができる。この場合、下記で検討してみるように、中間領域Rを中心にパウチがフォールディングされることでパウチ型二次電池が製造される場合、二次電池で中間領域によって二次電池の幅方向に突出される部分が最小化されるので、二次電池の単位体積当たりの面積を最大化することができる。このとき、前述したように、第1コップと第2コップとの間の距離(すなわち、中間領域の長さ)は2.0mmから6.0mm、または2.0mmから4.0mmであってよいので、二次電池の単位体積当たりの面積を最大化するために中間領域の長さ(すなわち、第1曲面領域の長さ及び第2曲面領域の長さの和)は2.0mmであってよい。
【0054】
本発明によれば、互いに異なる深さの凹部を有する複数のコップを形成する過程で発生し得る、パウチが一方向に傾く現象が発生しなくなるので、コップ間の領域(すなわち、中間領域R)で発生できるクラック現象を防止することができるので、パウチ及び二次電池の耐久性が向上することができる。
【0055】
すなわち、第1成形段階で第1コップと第2コップが共に成形されるので、パウチを構成する材料が特定の方向に傾かなくなる。それ以後、第2成形段階で追加の加圧を介して第1コップの凹部の深さがさらに深く形成されるが、第1成形段階で第1コップ及び第2コップが先に形成された以上、第2成形段階では第1コップを更に加圧しても、パウチを構成する材料が第1コップの方向に傾かなくなる。
【0056】
本発明の一例による二次電池の製造方法は、第1成形段階及び第2成形段階以後に行われ、中間領域Rを中心にフォールディングして第1コップ102及び第2コップ104が互いに向かい合うように備えることで、第1コップ及び第2コップに電極組立体が収容されるようにするフォールディング段階をさらに含んでよい。
【0057】
一方、本発明の一例による二次電池の製造方法によって製造されるパウチは、中大型容量の二次電池に用いられるパウチであってよい。このため、フォールディング段階まで進められた後のパウチを上から眺めたとき(すなわち、
図1から
図3を基準にパウチを上から眺めたとき)、パウチの周縁は四角形状を有してよく、上から眺めた四角形状のパウチの横辺は100mm以上500mm以下の範囲を有してよく、縦辺は100mm以上500mm以下の範囲を有してよい。例えば、四角形状のパウチの横辺は100mm以上300mm以下の範囲を有してよく、縦辺は100mm以上300mm以下の範囲を有してよい。
【0058】
また、前述したように、本発明の一例によって製造されるパウチは、中大型容量の二次電池に用いられるパウチであってよいので、パウチを構成する材料の厚さもまたそれに合わせて一定の範囲を有してよい。よって、前述したように、パウチを構成する材料の厚さは60μmから200μmであってよく、例えば、パウチを構成する材料の厚さは100μmから160μmであってよい。また、パウチを上から眺めたとき、パウチは矩形状または正方形状を有してよい。
【0059】
前記内容に基づいて本発明に係る二次電池の製造方法を説明すれば、次の通りである。
【0060】
本発明に係る二次電池の製造方法は、電極組立体を収容するためのパウチを準備する段階、パウチ上の互いに離隔された二つの領域を加圧し、一定の深さを有するように凹んで陥没された凹部が形成され、互いに離隔されている第1コップ及び第2コップを形成する第1成形段階、第1コップを更に加圧し、第1成形段階で形成された第1コップの凹部の深さと異なる深さを有する凹部が形成された第1コップを形成する第2成形段階、第1コップまたは第2コップに電極組立体を収容する段階、及び第1コップと第2コップとの間に形成される中間領域Rを中心にフォールディングして、第1コップ及び第2コップが互いに向かい合うように備えることで、第1コップ及び第2コップに電極組立体が収容されるようにするフォールディング段階、を含んでよい。
【0061】
(実施例1)
厚さが150μmであるラミネートシートを加圧して第1コップ及び第2コップを形成してパウチを製造した。前記ラミネートシートは、下段から順次30μmのナイロン層、40μmのアルミニウム層、80μmのPP層が順次積層されたラミネートシートを用いた。
【0062】
第1コップ及び第2コップは、それぞれ金型でラミネートシートを加圧することで形成された。実施例1で金型は、0.5Mpaの圧力及び40mm/secの速度でラミネートシートを加圧した。
【0063】
第1成形段階で第1コップの凹部の深さと第2コップの凹部の深さは、全て1.0mmになるまで成形した。その後、第2成形段階で第1コップを構成するラミネートシートを更に加圧して、第1コップの凹部の深さがそれぞれ4.0mm、5.0mm、6.0mm、7.0mm、8.0mm、9.0mm、10.0mm、10.5mm、11.0mmである9つのパウチを形成した。
【0064】
このとき、前記第1コップと第2コップとの間の中間領域の長さは、2.0mmであった。すなわち、中間領域のうち、第1コップと連結されて曲面からなる第1曲面領域の長さは1.5mmであり、第2コップと連結されて曲面からなる第2曲面領域の長さは0.5mmであった。第1曲面領域と第2曲面領域との間に平面領域は形成されなかった。
【0065】
前記のように製造されたパウチをフォールディングした後、パウチを上から眺めたとき、パウチの周縁は横100mm、縦250mmの矩形状を有した。
【0066】
(実施例2)
実施例2によるラミネートシートの厚さ、ラミネートシートを構成する各層の厚さ、ラミネートシートを構成する各層の物質に対する内容は、実施例1と同一であった。ラミネートシートを加圧する金型の圧力速度及び加圧速度もまた、実施例1と同一であった。
【0067】
第1成形段階で第1コップの凹部の深さと第2コップの凹部の深さは、全て2.0mmになるまで成形した。その後、第2成形段階で第1コップを構成するラミネートシートを更に加圧して、第1コップの凹部の深さがそれぞれ4.0mm、5.0mm、6.0mm、7.0mm、8.0mm、9.0mm、9.5mm、10.0mm、10.5mmである9つのパウチを形成した。
【0068】
このとき、前記第1コップと第2コップとの間の中間領域の長さは2.0mmであった。すなわち、中間領域のうち、第1コップと連結されて曲面からなる第1曲面領域の長さは1.5mmであり、第2コップと連結されて曲面からなる第2曲面領域の長さは0.5mmであった。第1曲面領域と第2曲面領域との間に平面領域は形成されなかった。
【0069】
前記のように製造されたパウチをフォールディングした後、パウチを上から眺めたとき、パウチの周縁は横100mm、縦250mmの矩形状を有した。
【0070】
(実施例3)
【0071】
実施例3によるラミネートシートの厚さ、ラミネートシートを構成する各層の厚さ、ラミネートシートを構成する各層の物質に対する内容は、実施例1と同一であった。ラミネートシートを加圧する金型の圧力速度及び加圧速度もまた、実施例1と同一であった。
【0072】
第1成形段階で第1コップの凹部の深さと第2コップの凹部の深さは、全て3.0mmになるまで成形した。その後、第2成形段階で第1コップを構成するラミネートシートを更に加圧して、第1コップの凹部の深さがそれぞれ4.0mm、5.0mm、6.0mm、7.0mm、8.0mm、8.5mm、9.0mm、10.0mmである8つのパウチを形成した。
【0073】
このとき、前記第1コップと第2コップとの間の中間領域の長さは2.0mmであった。すなわち、中間領域のうち、第1コップと連結されて曲面からなる第1曲面領域の長さは1.5mmであり、第2コップと連結されて曲面からなる第2曲面領域の長さは0.5mmであった。第1曲面領域と第2曲面領域との間に平面領域は形成されなかった。
【0074】
前記のように製造されたパウチをフォールディングした後、パウチを上から眺めたとき、パウチの周縁は横100mm、縦250mmの矩形状を有した。
【0075】
(比較例)
比較例に係るラミネートシートの厚さ、ラミネートシートを構成する各層の厚さ、ラミネートシートを構成する各層の物質に対する内容は、実施例1と同一であった。ラミネートシートを加圧する金型の圧力速度及び加圧速度もまた、実施例1と同一であった。
【0076】
比較例で第1コップの凹部の深さと第2コップの凹部の深さは、互いに同一に形成された。このとき、第1コップの凹部と第2コップの凹部は同時に形成された。比較例では、第1コップの凹部と第2コップの凹部の深さがそれぞれ1.0mm、2.0mm、3.0mm、4.0mm、4.5mm、5.0mm、5.5mmである7つのパウチを形成した。
【0077】
このとき、前記第1コップと第2コップとの間の中間領域の長さは3.0mmであった。すなわち、中間領域のうち、第1コップと連結されて曲面からなる第1曲面領域の長さは1.5mmであり、第2コップと連結されて曲面からなる第2曲面領域の長さは1.5mmであった。第1曲面領域と第2曲面領域との間に平面領域は形成されなかった。
【0078】
(実験例)
実施例1から3及び比較例によって製造された二次電池用パウチにクラックが発生したか否かを測定した。パウチにクラックが発生したか否かは、パウチにピンホール(pin hole)が発生したか否かに基づいて測定しており、ピンホールの発生の有無は目視で観察し、この際、明りを照らして観察した。すなわち、第1コップと第2コップを含む二次電池用パウチにピンホールが形成される場合には、クラックが発生したものと判断しており、第1コップと第2コップを含む二次電池用パウチにピンホールが形成されない場合には、クラックが発生しないものと判断した。
【0079】
実施例1から実施例3によって製造された二次電池用パウチに対する実験結果は、下記の表1の通りであり、比較例によって製造された二次電池用パウチに対する実験結果は、下記の表2の通りである。
【0080】
一方、表1及び表2で「a/b(このとき、aとbは全て数字)」は、該当コップを形成するために行われたb回の実験のうちa回のクラックが発生したことを意味する。
【0081】
【0082】
【0083】
表2に記載されたように、比較例によって製造された二次電池用パウチとして、特に、第1コップ及び第2コップの凹部の深さが互いに同一に形成された場合、第1コップの凹部の深さと第2コップの凹部の深さの和を最大化するのに相当制限があることが確認できた。すなわち、表1を参考すれば、比較例によって第1コップの凹部の深さと第2コップ凹部の深さが互いに同一である場合、第1コップ及び第2コップの深さの最大値はそれぞれ4.5mmであり、第1コップの深さと第2コップの深さの和の最大値は9.0mmであることが確認できる。すなわち、比較例によれば、第1コップ及び第2コップの深さが4.5mmを超過する場合、パウチにクラックが発生する問題が生じることが分かる。
【0084】
第1コップの厚さと第2コップの深さの和は、結局、パウチ型二次電池の厚さと直結されるものである。よって、第1コップの厚さと第2コップの深さの和が大きいほど、パウチの内部に備えられる電極組立体の厚さも大きくなり得るので、パウチ型二次電池の容量が最大化され得る。このような観点で検討してみたとき、比較例によって製造された二次電池用パウチを適用したパウチ型二次電池の容量は、9.0mmの第1コップの厚さ及び第2コップの厚さの和に対応する容量に制限される。
【0085】
しかし、本発明の実施例1から実施例3によって製造された二次電池用パウチを用いてパウチ型二次電池を製造する場合、二次電池の容量が顕著に増加することが確認できる。すなわち、本発明の実施例1による二次電池用パウチで第1コップの深さと第2コップの深さの和の最大値は11.0mmであり、実施例2による二次電池用パウチで第1コップの深さと第2コップの深さの和の最大値は11.5mmであり、実施例3による二次電池用パウチで第1コップの深さと第2コップの深さの和は11.0mmであることが分かる。したがって、比較例と対比したとき、実施例1と実施例3の場合、約22%の容量増大の効果を奏することができ、実施例2の場合、約27.8%の容量増大の効果を奏することができる(実施例1から3と比較例でパウチの他の規格等は全て同一であると仮定)。
【0086】
特に、比較例によって二次電池用パウチを製造する場合、第1コップ及び第2コップの深さが4.5mmを超過できなかったが、本発明の実施例1から実施例3によって二次電池用パウチを製造する場合、相対的に大きい深さを有する第1コップの深さが4.5mmを超過して最大10.0mmまで形成され得ることが確認できる。
【0087】
以上で本発明は、たとえ限定された実施例と図面によって説明されたとしても、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と下記に記載する特許請求の範囲の均等範囲内で多様な実施が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0088】
100 コップ
102 第1コップ
102’ 第1コップ
104 第2コップ
120’ 第1コップ
202 第1成形部
204 第2成形部
206 第3成形部