(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】卓越した湿気制御性能を有する自動車ランプ用ダストカバー
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20220527BHJP
B01D 53/28 20060101ALI20220527BHJP
B01J 20/04 20060101ALI20220527BHJP
F21S 45/00 20180101ALI20220527BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20220527BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20220527BHJP
F21W 102/30 20180101ALN20220527BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20220527BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220527BHJP
【FI】
B01D53/26 210
B01D53/28
B01J20/04 A
B01J20/04 B
F21S45/00
F21W103:55
F21W103:00
F21W102:30
F21W102:10
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020144015
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2020-08-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0083061
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519196128
【氏名又は名称】デシカーン シーオー., エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】DESIKHAN CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, ナク チョン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ウン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジョン ヒョプ
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0353931(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0132816(KR,A)
【文献】特開2005-218910(JP,A)
【文献】特開昭62-197129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-53/28、
53/14-53/18
B01J 20/00-20/28、
20/30-20/34
B60Q 1/00- 1/56
F21K 9/00- 9/20
F21S 2/00-45/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容空間が形成され、一端が開放されたハウジングと、
通気性フィルムおよび前記通気性フィルムによって密閉され、前記収容空間に備えられる吸湿剤
、および一端が開放された吸湿剤貯蔵部を含む吸湿部とを含み、
前記吸湿剤は、(A)塩化マグネシウム、塩化カルシウムおよび炭酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一つまたは二つ以上の吸湿物質10重量%~70重量%と、(B)酸化マグネシウムおよび酸化カルシウムからなる群から選択される少なくとも一つ以上を含む硬化性無機物10重量%~50重量%と、(C)高分子ワックス5重量%~50重量%と、(D)アルカリ金属リン酸塩とを含み、
前記(D)アルカリ金属リン酸塩は、前記吸湿剤100重量部に対して1~30重量部が含まれ、
前記吸湿剤は、前記吸湿剤貯蔵部の吸湿剤貯蔵部収容空間に収容され、前記通気性フィルムは、前記吸湿剤貯蔵部の開放された一端を密閉し、
前記吸湿部は、吸湿率が
150%以上、放出率が
2%以下であることを特徴とする、
自動車ランプに適用される卓越した湿気制御性能を有するダストカバー。
【請求項2】
前記通気性フィルムは、前記ハウジングの開放された一端を密閉することを特徴とする、請求項1に記載の卓越した湿気制御性能を有するダストカバー。
【請求項3】
前記吸湿剤は、前記収容空間の80体積%以下に含まれる、請求項1に記載の卓越した湿気制御性能を有するダストカバー。
【請求項4】
前記吸湿部は、吸湿速度が2~6%/2時間以上である、請求項1に記載の卓越した湿気制御性能を有するダストカバー。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の卓越した湿気制御性能を有するダストカバーを含む、自動車ランプ。
【請求項6】
前記自動車ランプの内部は、40℃、90%R.H.の放置条件で、45日以上ランプの内部湿度を60%以下に維持する、請求項
5に記載の自動車ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ランプに適用される卓越した湿気制御性能を有するダストカバーに関する。より具体的には、優れた吸湿力により、結露が発生することを防止し、且つランプ内部の湿度を長期間低い湿度に維持することができる、卓越した湿気制御性能を有するダストカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車ランプは、光を発する一般的な機能の他に、デザインの面で消費者の感性を向上させることができる重要な部品である。消費者の差別化された高い水準のデザインが求められる中、LEDのような光源の登場は、デザインの自由度を高め、ランプの構造がより複雑になっている。狭小になった内部空間は、性能を満たすための様々な工学的な課題を作り出している。
【0003】
自動車の運送あるいは保管の際、ヘッドランプ、リアランプ、フォグランプおよびDRL(Daytime Running Light)などのランプの内部には、流入される湿気によって結露現象が発生する。これは、配光性能の低下だけでなく、実装された電子デバイスの損傷を引き起こし得る。さらに、審美的な面で消費者の不満を増大させ、クレームによるランプの交換などによる産業的な損失が大きい。
【0004】
自動車のランプは、雨天時のように湿度の高い環境で部品の内外部の温度差が大きい場合、ランプレンズの温度が低くなると、ランプの内部の水分粒子が凝縮し、レンズ内部の表面に微細な水滴がついて潤むようになる。これによる光散乱現象は、自動車の安全運行に大きな障害となっている。
【0005】
かかるランプの内部に発生する結露現象を防止すべく、吸湿剤が使用される。吸湿剤は、パウチ形態を有し、ランプの電球を交換するために備えられたダストカバー内の空間に装着される。装着は、空間にパウチを押し込んだ後、ブラケットを固定することで行われる。
【0006】
前記ダストカバーに装着されるパウチ形態の吸湿剤は、自動車の運行に伴う振動に耐えなければならない。振動によって包装材が損傷することがあり、包装材内の内容物が外部に吐き出されることを防ぐために、ブラケットをさらに締結しなければならないという不都合がある。
【0007】
前記ブラケットは、押し込まれたパウチ形態の吸湿剤を押圧して固定するが、圧力によって、前記吸湿剤が吸湿した水分がまた放出されるという問題を引き起こす。
【0008】
また、前記パウチ形態の吸湿剤をダストカバーに適用する工程において誤ったボルト締結過程で吸湿剤を破損することがあり、内容物が外部に噴出する不良が発生する恐れがある。また、手作業で工程を行うため、生産性が劣るという問題がある。
【0009】
また、作業者によって吸湿剤が露出する面が相違して吸湿する速度が異なり、性能の実現が均一でない可能性があり、これによって製品の信頼度が減少するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国登録特許第10-1937971号公報(2019.01.07)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来、パウチ形態の吸湿剤は、ダストカバーへの適用が容易でなく、吸湿性能に限界があることから使用寿命に制限があるという問題があった。
【0012】
本発明は、前記のような問題を解決するために導き出されたものであって、長期間吸湿性能が継続し、ランプ内部の湿度を低く維持して内部に霧の結露が生じないようにする卓越した湿気制御機能を有するダストカバーを提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、工程上の適用が容易で、吸湿性能の限界を乗り越えて使用寿命を延長し、耐久性に優れた湿気制御機能を有するダストカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記問題を解決するために、本発明の一様態は、内部に収容空間が形成され、一端が開放されたハウジングと、
通気性フィルムおよび前記通気性フィルムによって密閉され、前記収容空間に備えられる吸湿剤を含む吸湿部とを含み、
前記吸湿部は、吸湿率が130%以上、放出率が4%以下であることを特徴とする卓越した湿気制御性能を有するダストカバーを提供する。
【0015】
本発明の一様態において、前記通気性フィルムは、前記ハウジングの開放された一端を密閉することを特徴としてもよい。
【0016】
本発明の一様態において、前記吸湿部は、
一端が開放された吸湿剤貯蔵部をさらに含み、
前記吸湿剤は、前記吸湿剤貯蔵部の吸湿剤貯蔵部収容空間に収容され、前記通気性フィルムは、前記吸湿剤貯蔵部の開放された一端を密閉することを特徴としてもよい。
【0017】
本発明の一様態による、前記吸湿剤は、前記収容空間の80体積%以下に含まれてもよい。
【0018】
本発明の一様態による、前記吸湿部は、吸湿速度が2~6%/2時間以上であってもよい。
【0019】
本発明の一様態による、前記吸湿剤は、
(A)塩化マグネシウム、塩化カルシウムおよび炭酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一つまたは二つ以上の吸湿物質と、
(B)酸化マグネシウムおよび酸化カルシウムからなる群から選択される少なくとも一つ以上を含む硬化性無機物とを含むことであってもよい。
【0020】
本発明の一様態による、前記吸湿剤は、(A)吸湿物質10~50重量%および(B)硬化性無機物50~90重量%であってもよい。
【0021】
本発明の一様態による、前記吸湿剤は、高分子ワックスをさらに含んでもよい。
【0022】
本発明の一様態による、前記吸湿剤は、アルカリ金属リン酸塩をさらに含んでもよい。
【0023】
本発明の一様態による、前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバーを含む自動車ランプを提供する。
【0024】
本発明の一様態による、前記自動車ランプの内部は、40℃、90%R.H.の放置条件で、45日以上ランプの内部湿度を60%以下に維持してもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の卓越した湿気制御性能を有するダストカバーは、空間内に吸湿剤内容物を含み、これを通気性フィルムで密封することで、さらなる部品を必要とせず、パウチ形態の吸湿剤を装着するための時間および費用を節約することができる。
【0026】
また、自動化工程の適用が可能で、生産性を著しく向上させる効果を有する。
【0027】
また、従来のパウチ形態の吸湿剤に比べ、長期間吸湿性能を継続し、ランプに最適化した吸湿機能を実現してランプ内部の湿度を低く維持する面でより効果的である。
【0028】
また、耐久性に優れ、性能が均一で、品質確保の面で容易であるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一様態による、卓越した湿気制御性能を有するダストカバーを図式化した模式図である。
【
図2】本発明の他の様態による、卓越した湿気制御性能を有するダストカバーを図式化した模式図である。
【
図3】本発明の一様態による、卓越した湿気制御性能を有するダストカバーを図式化した断面図である。
【
図4】本発明のさらに他の様態による、卓越した湿気制御性能を有するダストカバーを図式化した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を含む具体例または実施例によって本発明をより詳細に説明する。ただし、下記の具体例または実施例は、本発明を詳細に説明するための一つの参照であって、本発明は、これに限定されるものではなく、様々な形態に実現され得る。
【0031】
また、他に定義されない限り、すべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者の一人によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本発明において説明に使用される用語は、単に特定の具体例を効果的に記述するためのものであって、本発明を制限することを意図しない。
【0032】
また、明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形態は、文脈で特別な指示がない限り、複数形態も含むことを意図し得る。
【0033】
また、ある部分がある構成要素を「含む」とした時、これは、特別に逆の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0034】
従来、自動車ランプ組立体の内部の湿気を吸収するために、吸湿剤パウチをダストカバーの内部溝にブラケットで固定した製品を使用した。
【0035】
前記吸湿剤パウチが固定されたダストカバーの製造は手作業で行われ、これによって生産性が低下するか、不良率が増加するという問題があった。
【0036】
また、前記吸湿剤パウチを固定するためには、ブラケットといったさらなるアセンブリーを使用して固定するステップをさらに含まなければならず、生産ステップの増加および費用の増加に関する問題があった。また、前記ブラケットによって水分の再放出も増加する現象も発生した。
【0037】
したがって、本発明は、内部に収容空間が形成され、一端が開放されたハウジングと、
通気性フィルムおよび前記通気性フィルムによって密閉され、前記収容空間に備えられる吸湿剤を含む吸湿部とを含み、
前記吸湿部は、吸湿率が130%以上、放出率が4%以下であることを特徴とする卓越した吸湿制御性能を有するダストカバーを提供する。
【0038】
以下、図面を参照して、より具体的に説明する。
【0039】
本発明の第1様態は、
図1に図示されているように、
収容空間110が形成され、一端が開放されたハウジング100と、
通気性フィルム220および前記通気性フィルム220によって密閉され、前記収容空間110に備えられる吸湿剤210を含む吸湿部200とを含み、
前記通気性フィルム220は、前記ハウジングの開放部の一端を密閉することを特徴とする卓越した湿気制御性能を有するダストカバー1000を提供する。
【0040】
前記ハウジング100は、円形であってもよく、長方形であってもよいが、形態と大きさは制限されない。
【0041】
前記ハウジング100の内部収容空間110に吸湿剤210が含まれ、前記吸湿剤210が前記ハウジング100の外部に吐き出されないように、前記通気性フィルム220で密閉する。
【0042】
前記通気性フィルム220で密閉する方法としては、熱融着、高周波、接着剤などを利用する方法があるが、前記密閉方法は、完全に密閉することができれば、特に制限されない。
【0043】
前記吸湿剤210は、粉末型、顆粒型、ペレット型、打錠型、ディスク型など、形状が特に制限されないが、好ましくは、粉末型であってもよい。前記吸湿剤210は、前記収容空間110の80体積%以下を含むことができる。好ましくは、20~75体積%を含むことができ、より好ましくは30~70体積%を含むことができる。前記ハウジング100の内部の余裕空間によって前記吸湿剤210の混合物が流動的になり、均一な混合を誘導し、吸湿性能の向上にさらに効果的である。また、前記吸湿剤210の表面積をさらに高める効果により、効率的な吸湿と内容物安定性を確保できるという効果がある。
【0044】
また、従来のパウチ内に含まれ固定された吸湿剤よりも水分吸湿面積が相対的に広く、また、水分膨張による内部空間も従来の吸湿剤パウチよりも余裕があり、水分膨張による破損を予め防止できるという効果がある。
【0045】
前記
図1は本発明の思想の一例示であって、形態および大きさはこれに制限されるものではない。
【0046】
次に、
図2を参照して、本発明の第2様態について説明する。
【0047】
本発明の第2様態は、
図2に示されているように、
収容空間110が形成され、一端が開放されたハウジング100と、
通気性フィルム220および前記通気性フィルム220によって密閉され、前記収容空間に備えられる吸湿剤210を含む吸湿部200とを含み、
前記吸湿部200は、
一端が開放された吸湿剤貯蔵部230をさらに含み、
前記吸湿剤210は、前記吸湿剤貯蔵部230の吸湿剤貯蔵部収容空間240に収容され、前記通気性フィルム220は、前記吸湿剤貯蔵部230の一端を密閉することを特徴とする卓越した湿気制御性能を有するダストカバー1000を提供する。
【0048】
前記ハウジング100は、円形であってもよく、長方形であってもよいが、形態と大きさは制限されない。
【0049】
また、前記吸湿剤貯蔵部230は、円形であってもよく、長方形であってもよいが、形態と大きさは制限されない。
【0050】
前記吸湿剤貯蔵部230を別に備え、前記吸湿剤貯蔵部230に前記吸湿剤210を含み、前記含まれた吸湿剤210が前記吸湿剤貯蔵部230の外部に吐き出されないように、前記通気性フィルム220で密閉することができる。
【0051】
前記通気性フィルム220で密閉する方法としては、熱融着、高周波、接着剤などを利用する方法があるが、前記密閉方法は、完全に密閉することができれば特に制限されない。
【0052】
前記吸湿剤210は、粉末型吸湿剤であり、前記吸湿剤210は、前記吸湿剤貯蔵部収容空間240の80体積%以下を含むことができ、好ましくは20~75体積%を含むことができる。より好ましくは30~70体積%を含むことができ、前記吸湿剤貯蔵部230の内部の余裕空間によって前記吸湿剤210の混合物が流動的になり、均一な混合を誘導し、吸湿性能の向上にさらに効果的である。また、前記吸湿剤210の表面積をさらに高める効果により、効率的な吸湿と内容物安定性を確保できるという効果がある。
【0053】
また、従来のパウチ内に含まれ固定された吸湿剤よりも水分吸湿面積が相対的に広く、また、水分膨張による内部空間も従来の吸湿剤パウチよりも余裕があり、水分膨張による破損を予め防止できるという効果がある。
【0054】
また、前記吸湿剤貯蔵部230は、前記ハウジング100の収容空間110に結合する。
【0055】
前記結合方法は、制限されない。ただし、前記ハウジング100の収容空間110に結合した吸湿剤貯蔵部230は、着脱が可能である。
【0056】
前記吸湿剤貯蔵部230が前記ハウジング100の収容空間110で着脱が可能であることから、吸湿寿命が切れた吸湿剤貯蔵部230の交換が容易である。
【0057】
前記
図2は本発明の思想の一例示であって、形態および大きさは制限されない。
【0058】
以下、本発明の吸湿部の各構成についてより具体的に説明する。
【0059】
前記吸湿剤は、塩化マグネシウムなどの吸湿物質と酸化マグネシウムなどの硬化性無機物を主成分とし、高分子添加剤をさらに含んで製造され得る。
【0060】
前記吸湿剤の構成については、以下でより詳細に説明する。
【0061】
本発明の吸湿部は、前記吸湿剤と通気性フィルムの結合によって吸湿率が130%以上、放出率が4%以下である卓越した湿気制御性能を有するダストカバーを提供することができ、前記吸湿率および放出率をいずれも満たす範囲で長期使用安定性を達成することができる。
【0062】
前記吸湿率は、恒温恒湿器を用いて、50±2℃の温度および95±5%の相対湿度下で試験片を7日間露出した後、吸湿率を測定し、吸湿率は、下記の式1のように計算した値である。
【0063】
【0064】
また、前記放出率は、試験片を23℃および50%相対湿度の恒温恒湿条件で48時間露出した後、70℃のオーブンで2時間放置した時の放出率を測定し、下記の式2のように計算した値である。
【0065】
【0066】
前記自動車ランプに適用する際、前記自動車ランプの内部は、40℃、90%R.H.の放置条件で、45日以上、好ましくは60日以上、ランプ内部の湿度を60%以下に維持することができる。
【0067】
前記放置条件とは、前記温度および湿度条件でランプ組立体を放置することを意味する。
【0068】
前記条件での試験は、加速条件で実施された加速寿命試験であり、実際、フィールドでは、従来の製品よりも、これにより6ヶ月以上、より好ましくは1年以上、さらに好ましくは2年以上長期間吸湿効果を維持することができる。また、従来の吸湿剤パウチを使用したダストカバーよりも交換しやすいという利点がある。
【0069】
前記吸湿率は、水分を吸収する能力であり、前記吸湿率が高いほど、長期間ランプ内部の湿度を低く維持することができる。
【0070】
特に、急に変動する外部環境、一例として、温度が低くなるか湿度が高くなる状況でも湿気を迅速に除去する面で非常に効果的である。
【0071】
これにより、ランプの内部に結露が発生することを防止することができる。
【0072】
前記吸湿率は、恒温恒湿器を用いて50±2℃の温度および95±5%の相対湿度下で、試験片を7日間露出した後、吸湿率を測定し、吸湿率は、下記の式1で計算される。
【0073】
【0074】
前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバーの吸湿率は、130%以上であってもよく、好ましくは140~250%であってもよく、より好ましくは150~200%であってもよい。前記吸収率は、従来のパウチ形態の吸湿率よりも25%以上吸湿効果が増加したものである。
【0075】
前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバーの吸湿様相は、過剰な吸湿を防ぎ、ランプの内部で効率的な吸湿機能を付与する。
【0076】
また、水分による内容物の反応を最適化することで、反応硬化体の生成、内容物の内部構造上、水分粒子を吸着することができる気孔の形成など、正確な理由は確認されないが、より高い水準のランプ内部の湿度制御性能を実現する。
【0077】
また、前記放出率は、前記吸湿剤が水分を吸収し、以降、乾燥時にまた放出される水分の含有量を比率で示したもので、23℃および50%の相対湿度の恒温恒湿条件で48時間吸湿させてから、70℃のオーブンで2時間乾燥させた後、それぞれの乾燥温度での吸湿率を測定する。最初の吸湿を行ってから乾燥を実施した後、最初と乾燥後の重量をそれぞれ測定し、放出率は、下記の式2で計算される。
【0078】
【0079】
本発明の吸湿部の放出率は、4%以下であってもよく、好ましくは3%以下であってもよい。より好ましくは0.05~3%、さらに好ましくは0.001~2%であってもよい。
【0080】
前記放出率が低いほど、吸湿された水分の放出によるランプ内部の湿度を上昇させない効果を有し、さらには、ランプ内部の水分粒子による電子デバイスの性能を阻害することを最小化することができ、ランプ組立体の耐久性を確保する面で効果的である。さらに、放出された水分粒子がレンズの表面に累積することがなく、結露の発生を著しく低減するという効果を有する。
【0081】
本発明の一様態による、前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバーは、吸湿速度が2~6%/2時間以上であってもよく、好ましくは3~5%であってもよい。
【0082】
前記吸湿速度は、恒温恒湿器を用いて、50±2℃の温度および95±5%の相対湿度下で、試験片を2時間露出した後、吸湿速度を測定し、吸湿速度は、下記の式3で算出した。
【0083】
【0084】
前記吸湿速度が高いほど、ランプ内の水分含有量が瞬間増加した時に、迅速に吸収してランプ内の湿度を迅速に下げ、結露の発生を防止する効果が増加する。
【0085】
前記効果は、前記吸湿剤および前記通気性フィルムを含む吸湿部を構成することによる効果である。
【0086】
以下、通気性フィルムについて詳細に説明する。
【0087】
本発明の一様態による、前記通気性フィルムは、透湿度が100~1,000g/m2/hであり、耐水圧が1~30cmH2O/minであってもよく、好ましくは、透湿度が200~900g/m2/hであり、耐水圧が5~25cmH2O/minであってもよく、さらに好ましくは、透湿度が300~800g/m2/hであり、耐水圧が10~20cmH2O/minであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0088】
前記透湿度は、KS K 0594に準じて測定した数値であり、前記耐水圧は、ISO 811‐1981に準じて測定した数値である。
【0089】
前記透湿度は、空気中の水蒸気が前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバーの内部に移動することを意味し、これは、前記通気性フィルムの透湿度によって数値が変化し得る。透湿度が前記範囲を満たす範囲で水分吸収速度を制御して、前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバーの寿命を増加させるという利点がある。
【0090】
前記耐水圧は、水または液体が通気性フィルムを透過することができる圧力を意味する。前記吸着剤粉末が水分を過剰に吸着すると、液化現象が進み、前記液化した液体がまた卓越した湿気制御性能を有するダストカバーの外部に放出され得るが、前記通気性フィルムの耐水圧が前記範囲を満たす範囲で、前記液体が外部に放出される現象を効果的に防止することができる。
【0091】
したがって、前記通気性フィルムが前記透湿度および耐水圧を同時に満たすことで、ランプ内の水蒸気を効果的に吸収し、且つ前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバー内の液体がまた再放出される現象を防ぐ著しい効果を有することができる。
【0092】
また、本発明の一様態による、前記通気性フィルムは、透気度が500~700ml/min、引張強度が140~210N/2.54cmであってもよく、好ましくは、透気度が450~650ml/min、引張強度が150~190N/2.54cmであってもよく、より好ましくは、透気度が400~600ml/min、引張強度が160~180N/2.54cmであってもよい。
【0093】
前記引張強度は、MD(Machine Direction)とCD(cross Direction)をいずれも満たす値であり、前記引張強度は、ISO 1924‐2に準じて測定した値である。
【0094】
また前記透気度は、ISO 5636‐3に準じて測定した値である。
【0095】
前記透気度は、前記通気性フィルムの空気透過程度を示し、前記通気性フィルムが前記透気度の範囲内の場合、より多い空気が透過されて、前記空気内部に含まれた水蒸気をさらに吸着することができる。
【0096】
また、前記通気性フィルムは、前記引張強度の範囲内の場合、耐久性に優れて破れ難く、長期間使用することができるという利点が存在する。
【0097】
前記通気性フィルムは、本発明が達成しようとする物性の範囲内でその材質が特に制限されるものではないが、高分子、布および紙などの材質であってもよく、好ましくは、ポリオレフィン系重合体およびポリエステル系重合体などの材質であってもよい。
【0098】
前記ポリオレフィン系重合体は、高い耐熱性および耐久性を有し、特に、耐水性も良好で、水分に強い特性がある。また、前記ポリエステル系重合体は、伸縮性が良好で、耐水性にも優れる。
【0099】
前記通気性フィルムの具体例としては、高密度ポリエチレン(HDPE、High density polyethylene)不織布、ポリプロピレン(PP、polypropylene)不織布、ポリエチレン(PE、polyethylene)不織布およびポリエチレンテレフタレート(PET、polyethylene terephthalate)不織布などから選択されるいずれか一つ以上であってもよく、必ずしもこれに制限されるものではない。一例として、高密度ポリエチレン(HDPE、High density polyethylene)不織布であってもよく、商業化した製品としてタイベック(Tyvek)不織布であってもよいが、これに制限されない。
【0100】
前記タイベックの場合、高密度ポリエチレン繊維を熱と圧力によって製造し、前記タイベックの場合、強度に優れ、特に、水蒸気は、非常に通過しやすいが水のような液体の場合、通過しないという利点を有する。
【0101】
前記通気性フィルムは、他の様態として、多孔性メンブレンとラミネートしたラミネートフィルムまたは前記通気性フィルムに高分子コーティング液でコーティングしたコーティング通気性フィルムを使用することが好ましい。
【0102】
前記多孔性メンブレンは、均一な細孔があり、前記孔を通じて自動車ランプ内部の水分を通過および吸着することができる。
【0103】
前記多孔性メンブレンは、穿孔フィルムをさらに含んでもよい。前記「穿孔」は、フィルムの厚さ方向に穴があいたものを意味し、前記穿孔フィルムは、穿孔を含むメンブレンを意味し、本出願人が出願した韓国登録特許公報第10‐2043286号に詳細に記載されている。
【0104】
具体的には、前記穿孔フィルムの穿孔の直径は0.01~2.0mmであってもよく、穿孔率は1~50%であってもよい。また前記穿孔フィルムは、単位面積(cm2)当たり穿孔の数が5~500個であってもよい。
【0105】
前記穿孔フィルムの材質は、特に制限されるものではないが、ポリオレフィン系共重合体フィルムであってもよく、好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルムなどであってもよく、より好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0106】
前記条件の穿孔フィルムは、機械的物性に優れ、効率的な吸湿性能があり、前記通気性フィルムとラミネートしやすい。
【0107】
前記ラミネートフィルムは、内層の通気性フィルムと外層の穿孔フィルムを公知の方法でラミネートして製造され得る。具体的には、熱によって前記二つのフィルムを接合する熱ラミネート方法で製造され得るが、これに制限されるものではない。
【0108】
また、前記通気性フィルムは、高分子を含有する特殊のコーティング液でコーティングされたコーティング層をさらに含むことができる。これは、通気度を制御するだけでなく、接着強度の向上および優れた耐熱性の確保の面でより効果的である。
【0109】
前記高分子コーティングは、合成ラテックスを含むコーティング層が通気性フィルム上に形成された二重膜構造であってもよい。前記包装フィルムの構造が前記二重膜構造であると、通気性包装材の耐熱性が良好であるという利点があるため好ましい。この際、合成ラテックス30~40重量%、エチレンビニルアセテート(EVA:Ethylene‐vinyl acetate)物質2~10重量%および溶媒50~60重量%を含むコーティング液を通気性フィルム上に公知の方法で塗布する過程を経て前記二重膜構造を形成することができ、コーティング液を塗布した後、必要に応じて、公知の方法による乾燥過程も経ることができる。
【0110】
前記コーティング層を形成するための合成ラテックスは、好ましくは、アクリルラテックス粘着剤および/またはアクリルラテックス樹脂に相当し、より具体的には、当業者に公知の適切な諸元を採択する限り、特に制限されない。前記コーティング層を形成するためのEVA物質は、好ましくはEVAを含むホットメルト接着剤に相当し、これもまた当業者に公知の適切な諸元が採択され得る。前記コーティング層を形成するためのコーティング液の成分として、その他の物質は、硬化剤、無機フィラーおよび/または添加剤樹脂であり、硬化剤としては、例示的に、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤およびジシアンジアミド系硬化剤からなる群から選択される少なくとも一つ以上であってもよく、無機フィラーとしては、例示的に、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、雲母、カオリン、黒鉛およびシリカからなる群から選択される少なくとも一つ以上であってもよく、添加剤樹脂としては、例示的に、テルペンフェノール樹脂、水添ロジン、石油樹脂、キシレン樹脂およびクマロン樹脂からなる群から選択される少なくとも一つ以上であってもよい。前記コーティング層を形成するためのコーティング液の成分として、溶媒は、例示的には、トルエン、アセトンおよびメチルエチルケトンからなる群から選択される少なくとも一つ以上であってもよい。
【0111】
前記コーティング層の厚さは、好ましくは3μm~20μm、より好ましくは5μm~15μmに相当する。
【0112】
前記厚さのコーティング層を有する場合、強度および透湿効果に優れる。
【0113】
本発明の一様態による、前記吸湿剤について詳細に説明する。
【0114】
前記吸湿剤は、粉末型および顆粒型であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0115】
前記吸湿剤の構成は、
(A)塩化マグネシウム、塩化カルシウムおよび炭酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一つまたは二つ以上の吸湿物質と、
(B)酸化マグネシウムおよび酸化カルシウムからなる群から選択される少なくとも一つ以上を含む硬化性無機物とを含んでもよい。
【0116】
また、本発明の一様態による、前記吸湿剤は、(A)吸湿物質:(B)硬化性無機物の重量比が1:0.1~2の比率であってもよく、好ましくは1:0.2~1.5の比率であってもよく、より好ましくは0.4~1.5の比率であってもよい。
【0117】
前記(A)吸湿物質と前記(B)硬化性無機物を前記重量比で含む吸湿剤は、吸湿効果には優れ、且つ低い放出率を有する著しい効果を発揮することができる。
【0118】
前記吸湿剤において、吸湿性を付与するために、(A)塩化マグネシウム、塩化カルシウムおよび炭酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一つ以上を含む吸湿物質を含み、それ以外にも、本発明の技術分野において公知の生石灰などの吸湿物質をさらに含んで使用することもできる。(A)前記吸湿物質においては、優れた吸湿性と低い放出率の面で塩化マグネシウムを使用することがより好ましい。
【0119】
前記塩化マグネシウムは、ランプ内部の湿気を吸収する吸湿性能の実現だけでなく、他の構成成分との組み合わせによって吸湿される速度、吸湿持続性および耐放出特性を向上させることができる。
【0120】
本発明の一実施形態によると、前記塩化マグネシウムは、吸湿剤内容物の全重量に対して、10~50重量%、好ましくは20~45重量%、より好ましくは25~40重量%で含まれ得る。前記範囲で優れた吸湿率を実現するだけでなく、湿気を吸収する速度を最適化することで、過剰な吸湿による吸湿持続性が劣るか吸湿された湿気が再放出されることを効率的に抑制する面で効果的である。
【0121】
また、前記吸湿剤がランプ内部の湿気を吸湿するとともに硬化するようにして、潮解性によって液化することを防止するために、(B)酸化マグネシウムおよび酸化カルシウムからなる群から選択される少なくとも一つ以上を含む硬化性無機物を含む。
【0122】
さらに、前記硬化性無機物が、比重が相違する2種の酸化マグネシウムを含むことで、ランプ内部の湿気の吸湿速度を最適化し、長期間継続した吸湿性能を実現するだけでなく、外気または自動車のエンジン熱によって急激に上昇した温度で吸湿された水分が再放出されないようにする著しい効果を有することができる。
【0123】
本発明の一実施形態によると、前記比重が相違する2種の酸化マグネシウムは、前記自動車ランプ用吸湿剤内容物の全重量に対して、50~90重量%で含まれ得、好ましくは55~70重量%で含まれ得る。
【0124】
前記比重が相違する2種の酸化マグネシウムは、高比重酸化マグネシウムと低比重酸化マグネシウムからなることができる。この際、本発明の高比重、低比重は、見掛比重を測定し、相対的な値を基準として区分されたことを意味する。具体的には、前記高比重酸化マグネシウムは、比重が3~8、好ましくは4~7であってもよく、前記低比重酸化マグネシウムは、比重が0.1~0.9、好ましくは0.3~0.7であってもよい。
【0125】
前記比重が相違する2種の酸化マグネシウムは、高比重酸化マグネシウムと低比重酸化マグネシウムの比重の比率(低比重/高比重)は0.01~0.3、具体的には、0.05~0.2であってもよい。前記範囲で、吸湿性能、耐放出性がさらに向上することができ、これに伴い、寿命の増大、吸湿による膨張抑制の面でより効果的である。
【0126】
前記比重が相違する2種の酸化マグネシウムは、上述の比重範囲を有する高比重酸化マグネシウムと低比重酸化マグネシウムの混合組成比は、特に制限されないが、具体的な一例として、1:0.5~2、好ましくは1:0.7~1.5、より好ましくは1:1~1.4の混合比率で混合したものを使用することができる。前記範囲で、吸湿性能、耐放出性、寿命の増大、吸湿による膨張抑制の面でより効果的である。
【0127】
本発明の一実施形態による吸湿剤は、吸湿によって硬化の際、水分子が酸化マグネシウムの結晶構造に参加して、針状の結晶構造に変化して、水分を吸収し、また、針状構造の空間に水分粒子が入ることになり、吸湿性がさらに向上することができる。
【0128】
本発明の一実施形態によると、前記高比重酸化マグネシウムは、水和反応が最初に迅速に行われず、時間が経つにつれて長時間にわたり徐々に反応する事実が分かって本発明に採択し、また、前記低比重酸化マグネシウムは、水和反応が最初に迅速に行われて吸湿性が非常に優れ、また、前記高比重酸化マグネシウムと低比重酸化マグネシウムが本発明の他の成分と結合し、最初の吸湿性および長期吸湿性が著しく向上する驚くほどの効果を得ることができた。
【0129】
また、前記高比重酸化マグネシウムと低比重酸化マグネシウムの水和反応速度を用いて、長期間にわたり吸湿率が一定に維持することができ、耐放出性効果がさらに向上することができ、好ましい。また、体積の膨張を抑制し、通気性包装材などの包装材の損傷を防止する効果を有することができる。
【0130】
また、本発明のさらに他の様態として、前記吸湿剤は、(A)吸湿物質と、(B)硬化性無機物と、(C)高分子ワックスとを含んで完成することができる。
【0131】
本発明の前記吸湿剤は、(A)吸湿物質と、(B)硬化性無機物と、(C)高分子ワックスとを含むことで、吸湿率に優れるだけでなく、高温低湿の環境条件で吸湿された水分の再放出を最小化し、また継続した吸湿性を確保することができる。
【0132】
前記(C)高分子ワックスをさらに含むことで、前記吸湿剤が吸湿膨張後、スポンジのような軟質の特性を付加することができる。
【0133】
前記高分子ワックスは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリアミドワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックスおよびポリテトラフルオロエチレンワックスからなる群から選択される少なくとも一つ以上の高分子ワックスをさらに含むことができる。前記高分子ワックスとしてポリエチレンワックスの場合、商業化した例として、SFC社のLH 1200などを使用することができる。前記高分子ワックスは、例えば、自動車ランプ内部の温度が増加する場合のように、前記吸湿剤の環境温度が増加する場合、高粘度の液相に変化し、吸湿された水分の放出を抑制する働きをし、また、製品の吸湿率を調節する働きを兼ねる。
【0134】
本発明の一様態において、前記吸湿剤は、(A)吸湿物質10重量%~70重量%と、(B)硬化性無機物10重量%~50重量%と、(C)高分子ワックス5重量%~50重量%とを含んでもよい。
【0135】
前記吸湿剤の含有量が前記含有量である場合、吸湿効果に優れ、水分再放出量が低下し得る。
【0136】
前記含有量による効果について具体的に説明する。
【0137】
前記吸湿剤に対して、(A)吸湿物質は、10重量%~70重量%を含むことができ、好ましくは15重量%~65%重量を含むことができ、より好ましくは20重量%~60%重量を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0138】
前記(A)吸湿物質の含有量が前記範囲である場合、吸湿剤の吸湿効果に優れ、過剰な水分吸湿によって製造された吸湿剤が液状化する現象を抑制することができ、製品の安定性を高めることができる。
【0139】
前記吸湿剤に対して、(B)硬化性無機物は、10重量%~50重量%を含むことができ、好ましくは15重量%~45%重量を含むことができ、より好ましくは10重量%~40重量%を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0140】
前記(B)硬化性無機物の含有量が前記範囲である場合、潮解性吸湿剤の分離を抑制することができ、且つ前記吸湿剤に優れた吸湿率を維持することができるという利点がある。
【0141】
前記吸湿剤に対して、(C)高分子ワックスは、好ましくは5重量%~40重量%を含むことができ、好ましくは10重量%~35重量%を含むことができ、より好ましくは15重量%~30重量%を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0142】
前記(C)高分子ワックスの含有量が前記範囲である場合、吸湿剤に吸湿された水分の放出率を抑制することができる前記吸湿剤の優れた吸湿率および吸湿速度を有することができる。
【0143】
本発明の前記吸湿剤は、自動車ランプの運転環境である50~80℃の高温範囲で吸湿された水分が再放出されない耐放出性が安定的に優れることから、自動車のヘッドランプ、リアランプまたはフォグランプなどの自動車ランプ用として有用に使用可能である。
【0144】
本発明の一様態による、前記吸湿剤は、アルカリ金属リン酸塩をさらに含んでもよい。
【0145】
前記アルカリ金属リン酸塩は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムなどから選択されるアルカリ金属イオンを含むことができる。
【0146】
好ましくは、ナトリウム金属イオンを含むアルカリ金属リン酸塩を含むことができる。具体的な例としては、前記アルカリ金属リン酸塩は、モノナトリウムホスフェート、ジナトリウムホスフェートおよびトリナトリウムホスフェートなどからなる群から選択されるいずれか一つまたは二つ以上を含むことができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0147】
前記アルカリ金属リン酸塩を含む場合、前記吸湿物質、前記硬化性無機物および前記高分子ワックスとともに混合した場合、水分を吸湿することによって発生する膨張を効率的に抑制するだけでなく、高湿度の条件で卓越した湿度制御性能を有し、吸湿効果を長時間実現することができる長期耐久性を確保することができる。
【0148】
本発明の一様態により、前記アルカリ金属リン酸塩は、前記吸湿剤100重量部に対して、1~30重量部が含まれ得、好ましくは2~25重量部、より好ましくは5~25重量部が含まれ得る。前記のような含有量で含む場合、吸湿の際、膨張率をさらに向上させることができ、これにより、吸湿製品の破損および内容物漏れなどを防止する面で、より効果的である。
【0149】
本発明の一様態により、前記吸湿剤は、(A)吸湿物質、(B)硬化性無機物、(C)高分子ワックスおよびアルカリ金属リン酸塩をいずれも含むことで、向上した吸湿率だけでなく、湿度調節が求められる環境、特に、極限の多湿な条件でも卓越した湿度制御性能を実現し、継続した吸湿性能を確保することができる。さらに、吸湿による膨張によりさらなる損傷の発生を防止する安定性を確保することができる面でより効果的である。
【0150】
本発明の一様態により、前記吸湿剤は、高分子添加剤をさらに含むことができる。前記高分子添加剤は、カルボキシル基および水酸化基などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の官能基を有する陰イオン性高分子であってもよい。一具体例として、アルギン酸、アルジネート、カラギナン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリル酸、ポリメタクリレート、澱粉、酸化澱粉、セルロースおよびカルボキシルメチルセルロースなどからなる群から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の高分子添加剤をさらに含むことができるが、これに制限されるものではない。また、A101、NAP701などの凝集剤をさらに含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0151】
本発明の一様態により、前記高分子添加剤は、吸湿剤100重量部に対して、0.1~10重量部含まれ得る。好ましくは0.01~5重量部含まれ得るが、これに制限されない。前記のような含有量で含まれる場合、本発明の目的とする吸湿性能は言うまでもなく、吸湿後の内部物質の安定した固化と同時に膨張抑制効率をより向上させることができる。
【0152】
本発明のさらに他の様態は、前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバーを含む自動車ランプ構造体を提供することができる。
【0153】
前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバーは、前記自動車ランプ構造体の一面に結合することで、従来の吸湿剤パウチが含まれたダストカバーよりも前記自動車ランプ構造体内部の湿気をより効果的に長期間吸着することができ、非常に経済的で効果にも優れる。
【0154】
本発明の一様態によると、前記自動車ランプ構造体の内部は、40℃、90%R.H.の条件で45日間放置した場合、相対湿度が60%以下に維持され得、好ましくは55%以下、より好ましくは20%~50%であってもよい。さらに他の様態によると、前記自動車ランプ構造体の内部は、40℃、90%R.H.の条件で50日以上放置した場合、より好ましくは60日以上放置した場合、さらに好ましくは75日以上放置した場合、相対湿度が60%以下に維持され得、好ましくは55%以下、より好ましくは20%~50%であってもよい。
【0155】
前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバーを前記自動車ランプ構造体の内部または外部の一面に結合することで、前記自動車ランプ構造体内部の相対湿度が45日間60%以下に維持される著しい効果を有することができる。前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバーを使用することで、従来の吸湿剤パウチが含まれたダストカバーを使用する時よりも内部の結露の発生が著しく抑制され、且つ長期間使用することができる。
【0156】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例および比較例は、本発明をより詳細に説明するための一つの例示であって、本発明は下記の実施例および比較例によって制限されるものではない。
【0157】
<吸湿剤の性能評価>
1.吸湿率
前記吸湿率は、恒温恒湿器を用いて、50±2℃の温度および95±5%の相対湿度下で試験片を7日間露出した後、吸湿率を測定し、吸湿率は、下記の式1のように計算した。
【0158】
【0159】
2.放出率
放出率は、試験片を23℃および50%の相対湿度の恒温恒湿条件で48時間露出した後、70℃のオーブンで2時間放置した時の放出率を測定し、下記の式2のように算出した。
【0160】
【0161】
3.吸湿速度
恒温恒湿器を用いて、50±2℃の温度および95±5%の相対湿度下で試験片を2時間露出した後、吸湿速度を測定し、吸湿速度は、下記の式3で算出した。
【0162】
【0163】
4.ランプ内部の湿度制御期間
前記吸湿剤を含む前記ダストカバーをランプ組立体の内部の一側に結合し、前記ランプ組立体を40℃、90%R.H.の条件で放置する。この際、ランプ内部に無線温湿度測定機器を装着して内部湿度を測定する。以降、内部湿度が60%になる期間を測定し、表3に記載した。
【0164】
<吸湿剤の製造例>
混合器を用いて吸湿物質として塩化マグネシウム(Aldrich、純度94%)45重量%、硬化性無機物として酸化マグネシウム(KONOSHIMA CHEMICAL社製、STARMAG 50、粒度30μm)30重量%、アルカリ金属リン酸塩として使用されたNaH2PO4(Aldrich、純度99%)15重量%およびポリエチレンワックス(SFC社製、LH1200、軟化点109±3℃)10重量%を均一に混合し、吸湿剤25gを製造した。
【0165】
<実施例1>
前記製造された吸湿剤25gを
図2の吸湿剤貯蔵部230に投入し、前記吸湿剤貯蔵部230の開封部は、通気性フィルム220を熱融着して結合した。
【0166】
前記通気性フィルムとしては、タイベックフィルム(Dupont社製、1056D)を使用した。
【0167】
前記通気性フィルムの材質は、表1に記載した。
【0168】
前記吸湿剤貯蔵部230の吸湿率、放出率および吸湿速度を測定し、表2に記載した。
【0169】
前記吸湿剤貯蔵部230を収容空間110に結合した後、前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバー1000をTMランプと結合してランプ内部の湿度制御期間を測定した後、表3に記載した。
【0170】
<実施例2>
実施例1で前記通気性フィルムとして、タイバックフィルムの代りにコーティングタイベック‐1を使用した以外は、同様に実施した。
【0171】
前記コーティングタイベック‐1はホットメルトコーティング液(アクリルラテックス粘着剤(透明群集体)25重量%、アクリルラテックス(樹脂)8重量%、エチレン‐ビニルアセテート樹脂を含むホットメルト接着剤8重量%、トルエン55重量%および硬化剤4重量%)をタイベックフィルム(Dupont社製、1056D)の一面に塗布および乾燥して製造した。この際、坪量は64g/m2、厚さは150μmである。
【0172】
前記通気性フィルムの材質は、表1に記載した。
【0173】
前記吸湿剤貯蔵部230の吸湿率、放出率および吸湿速度を測定し、表2に記載した。
【0174】
前記吸湿剤貯蔵部230を収容空間110に結合した後、前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバー1000をTMランプと結合してランプ内部湿度制御期間を測定した後、表3に記載した。
【0175】
<実施例3>
実施例1で前記通気性フィルムとして、タイバックフィルムの代りにコーティングタイベック‐2を使用した以外は、同様に実施した。
【0176】
前記コーティングタイベック‐2は、ホットメルトコーティング液(アクリルラテックス粘着剤(透明群集体)25重量%、アクリルラテックス(樹脂)8重量%、エチレン‐ビニルアセテート樹脂を含むホットメルト接着剤8重量%、トルエン55重量%および硬化剤4重量%)をタイベックフィルム(Dupont社製、1056D)の一面に塗布および乾燥して製造した。この際、坪量は66g/m2、厚さは175μmである。
【0177】
前記通気性フィルムの材質は、表1に記載した。
【0178】
前記吸湿剤貯蔵部230の吸湿率、放出率および吸湿速度を測定し、表2に記載した。
【0179】
前記吸湿剤貯蔵部230を収容空間110に結合した後、前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバー1000をTMランプと結合してランプ内部湿度制御期間を測定した後、表3に記載した。
【0180】
<実施例4>
実施例1で前記通気性フィルムとして、タイバックフィルムの代りにラミネートフィルム(35μm/9hole)を使用した以外は、同様に実施した。
【0181】
前記ラミネートフィルムは、タイベックフィルム(Dupont社製、1056D)に穿孔フィルムとして直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE、韓火ケミカル社製、3324)を積層した後、120℃の熱を加えてラミネートしたものを使用した。前記穿孔フィルムは、穿孔の数が9個/cm2、穿孔の平均直径が1.0mmであるものを使用した。また、前記穿孔フィルムの平均厚さは、35μmである。
【0182】
前記通気性フィルムの材質は、表1に記載した。
【0183】
前記吸湿剤貯蔵部230の吸湿率、放出率および吸湿速度を測定し、表2に記載した。
【0184】
前記吸湿剤貯蔵部230を収容空間110に結合した後、前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバー1000をTMランプと結合してランプ内部湿度制御期間を測定した後、表3に記載した。
【0185】
<実施例5>
実施例1で前記第2通気性フィルムとして、タイバックフィルムの代りにラミネートフィルム(35μm/15hole)を使用した以外は、同様に実施した。
【0186】
前記ラミネートフィルムは、タイベックフィルム(Dupont社製、1056D)に穿孔フィルムとして直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE、韓火ケミカル社製、3324)を積層した後、120℃の熱を加えてラミネートしたものを使用した。前記穿孔フィルムは、穿孔の数が15個/cm2、穿孔の平均直径が1.0mmであるものを使用した。また、前記穿孔フィルムの平均厚さは35μmである。
【0187】
前記通気性フィルムの材質は、表1に記載した。
【0188】
前記吸湿剤貯蔵部230の吸湿率、放出率および吸湿速度を測定し、表2に記載した。
【0189】
前記吸湿剤貯蔵部230を収容空間110に結合した後、前記卓越した湿気制御性能を有するダストカバー1000をTMランプと結合してランプ内部湿度制御期間を測定した後、表3に記載した。
【0190】
<比較例1>
長さ100mmと幅100mmの通気性包装材に前記吸湿剤を投入した後、ヒートシール機を用いて、120℃の温度で加工して吸湿剤パウチを製造した。前記通気性包装材は、ホットメルトコーティング液[アクリルラテックス粘着剤(透明群集体)25重量%、アクリルラテックス(樹脂)8重量%、EVAを含むホットメルト接着剤8重量%、トルエン55重量%、硬化剤4重量%]をタイベックフィルム上に塗布し、乾燥する過程を経て形成された二重膜構造(合成ラテックス/タイベック:コーティング層の厚さ5μm)である包装材である。前記通気性包装材の坪量は64g/m2、厚さは150μmである。
【0191】
前記通気性包装材の材質は、表1に記載した。
【0192】
前記吸湿剤パウチをダストカバーの収容空間の内部に投入し、これをブラケットで固定した。
【0193】
前記ブラケットで固定されたダストカバーをTMランプと結合してランプ内部湿度制御期間を測定した後、表3に記載した。
【0194】
【0195】
【0196】
【0197】
前記実施例は、比較例1よりも高い吸湿率および低い放出率を有するという効果を確認した。
【0198】
ランプの内部湿度も実施例の方が、比較例1よりも低いことを確認することができた。
【0199】
前記効果により、前記実施例が、比較例1よりもさらに効果的にランプ内部の結露を防止することができることを確認することができた。
【0200】
これにより、前記吸湿剤は、構成および含有量が同一であっても、前記吸湿剤が含まれる方法によって性能が異なることを確認することができた。
【0201】
以上、本発明では、特定の事項と限定された実施例および図面によって説明しているが、これは、本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものであって、本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、かかる記載から様々な修正および変形が可能である。
【0202】
したがって、本発明の思想は、上述の実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、本特許請求の範囲と均等または等価的な変形があるすべてのものなどは、本発明の思想の範疇に属すると言える。
【符号の説明】
【0203】
1000 ダストカバー
100 ハウジング
110 収容空間
200 吸湿部
210 吸湿剤
220 通気性フィルム
230 吸湿剤貯蔵部
240 吸湿剤貯蔵部収容空間