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特許7080303加算的製造のための方法及び基台ユニットシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】加算的製造のための方法及び基台ユニットシステム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/245 20170101AFI20220527BHJP
   B22F 10/40 20210101ALI20220527BHJP
   B22F 10/60 20210101ALI20220527BHJP
   B22F 12/17 20210101ALI20220527BHJP
   B22F 12/30 20210101ALI20220527BHJP
   B22F 12/41 20210101ALI20220527BHJP
   B22F 12/88 20210101ALI20220527BHJP
   B29C 64/10 20170101ALI20220527BHJP
   B29C 64/171 20170101ALI20220527BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20220527BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20220527BHJP
   B29C 64/379 20170101ALI20220527BHJP
   B29C 64/40 20170101ALI20220527BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220527BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220527BHJP
   B33Y 40/10 20200101ALI20220527BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20220527BHJP
【FI】
B29C64/245
B22F10/40
B22F10/60
B22F12/17
B22F12/30
B22F12/41
B22F12/88
B29C64/10
B29C64/171
B29C64/268
B29C64/295
B29C64/379
B29C64/40
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y40/10
B33Y40/20
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020502105
(86)(22)【出願日】2018-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 EP2018069301
(87)【国際公開番号】W WO2019016155
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-07-17
(31)【優先権主張番号】102017115989.4
(32)【優先日】2017-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】594102418
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ
【氏名又は名称原語表記】Fraunhofer-Gesellschaft zur Foerderung der angewandten Forschung e.V.
【住所又は居所原語表記】Hansastrasse 27c, D-80686 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】マスロ,セミール
(72)【発明者】
【氏名】アーンツ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルブリンク,モリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ジメール,ダニエル
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-521315(JP,A)
【文献】特開2010-100884(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0086004(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03156152(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第102012011217(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B22F 1/00-12/90
B33Y 10/00-40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加算的製造のための方法であって、
a) 基台ユニットの堆積表面上に出発物質を堆積させるステップと、
b) 前記出発物質の少なくとも一部を成形体へと固化させるステップと、
c) 前記成形体を前記基台ユニットから取り外すステップと、
を含む方法において、
d) 前記出発物質との材料結合による接続を前記のステップb)の間に形成しない堆積表面材料を前記堆積表面に適用し、
e) 前記のステップb)の間に、前記成形体と、前記基台ユニットに着脱可能に配置される少なくとも1つの接続要素と、の間に材料結合による接続を生成
f) 前記成形体に加えて、前記成形体及び前記接続要素又は複数の前記接続要素のうちの少なくとも1つの接続要素と材料結合によって接続されるベース要素を加算的に製造する、方法。
【請求項2】
成形部分を処理するために、前記基台ユニットとは異なるクランプユニットで前記ベース要素をクランプし、少なくとも1つの処理装置に供給する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
加算的製造のための方法であって、
a) 基台ユニットの堆積表面上に出発物質を堆積させるステップと、
b) 前記出発物質の少なくとも一部を成形体へと固化させるステップと、
c) 前記成形体を前記基台ユニットから取り外すステップと、
を含む方法において、
d) 前記出発物質との材料結合による接続を前記のステップb)の間に形成しない堆積表面材料を前記堆積表面に適用し、
e) 前記のステップb)の間に、前記成形体と、前記基台ユニットに着脱可能に配置される少なくとも1つの接続要素と、の間に材料結合による接続を生成し、
f) 前記成形体を、前記成形体に材料結合により接続される1つ以上前記接続要素とともに、前記基台ユニットから分離し、クランプ装置上に載置し、
前記クランプ装置は、前記成形体に接続される1つ以上の前記接続要素に適合するレセプタクルを有する、
方法。
【請求項4】
少なくとも1つのエネルギービーム、用いて加熱するために、前記出発物質にエネルギーを供給する、
請求項1乃至3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの接続要素を、機械的にック部によって記基台ユニットに着脱可能に固定する、
請求項1乃至4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記基台ユニットを前記加算的製造の前及び/又は間に加熱する、
請求項1乃至5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記方法を、同一の前記基台ユニット上に隣り合って配置された少なくとも2つの成形部分を製造するために実行する、
請求項1乃至6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
請求項1記載の前記ステップb)の間に、前記成形体と、前記基台ユニットに着脱可能に配置される複数の接続要素と、の間の前記材料結合による接続を生成する、
請求項1乃至7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
請求項1乃至いずれか1項記載の方法を使用するため基台ユニットシステムであって、前記基台ユニットシステムは、
a) 加算的製造のために提供される、第1材料からなる出発物質を堆積するために提供される堆積表面を有する基台ユニットを備え、
b) 前記堆積表面を形成する堆積表面材料であって、前記加算的製造の条件下で、前記出発物質との材料結合による接続を形成しない堆積表面材料と、
c) 前記基台ユニットに作用位置において着脱可能に配置される、前記加算的製造のために提供される前記出発物質との材料結合による接続に適する、少なくとも1つの接続要素と、
d) 前記出発物質の少なくとも一部が固化された成形体及び前記接続要素又は複数の前記接続要素のうちの少なくとも1つの接続要素と材料結合によって接続している少なくとも1つのベース要素、及び/又は
e) 前記成形体に材料結合により接続される1つ以上前記接続要素とともに前記基台ユニットから分離された前記成形体を載置するクランプ装置であって、前記成形体に接続される1つ以上の前記接続要素に適合するレセプタクルを有する、クランプ装置
によって特徴づけられる、基台ユニットシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの接続要素は、前記作用位置において前記堆積表面と同一面上又は実質的に同一面上にある、前記出発物質との材料結合による接続のためのコンタクト面を有し、
請求項記載の基台ユニットシステム。
【請求項11】
前記堆積表面は、少なくとも1つの貫通孔を有し、
前記接続要素又は複数の前記接続要素のうちの少なくとも1つの接続要素は、前記作用位置において、前記貫通孔内に突出する、
請求項9又は10記載の基台ユニットシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの接続要素を、機械的に固定するためのロックユニット
をさらに有する、
請求項9乃至11いずれか1項記載の基台ユニットシステム。
【請求項13】
前記ロックユニットは、前記接続要素のうちの少なくとも2つの接続要素を固定するように構成されている、
請求項12記載の基台ユニットシステム。
【請求項14】
前記ロックユニットは、前記基台ユニットに配置される全ての接続要素を固定するように構成されている、
請求項12記載の基台ユニットシステム。
【請求項15】
前記ロックユニットは、前記少なくとも1つの接続要素のための、少なくとも1つの凹部を有する、
請求項12乃至14いずれか1項記載の基台ユニットシステム。
【請求項16】
前記ロックユニットは、前記基台ユニットのさらなる構成要素に対して、並進及び/又は回転移動のために移動可能である、
請求項12乃至15いずれか1項記載の基台ユニットシステム。
【請求項17】
前記基台ユニットに一体化される加熱装置を有する、
請求項乃至16いずれか1項記載の基台ユニットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による加算的製造のための方法並びに請求項10の上位概念による基台ユニットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
EP 3 156 164 A1によれば、冒頭で述べた種類の方法及び基台ユニットシステムは公知である。製造されるべき成形体は、加算的製造(der additiven Fertigung)において、基台ユニットの堆積表面上で、例えば選択的レーザ融解(SLM)を用いて、層状に構築される。その際、例えば出発物質のパウダーが堆積表面上に所定の薄層として堆積され、例えばレーザの、例えばビームの形態における、エネルギー供給によって、局所的に溶融され、堆積表面と接続される。この第1層上に、成形体が所望の形状、場合によってはブランク形状(eine Rohform)、を有するまで、相応の方法で複数の層が相前後して堆積される。成形体の出発物質と堆積表面との間の良好な材料接続のために、堆積表面は、例えば出発物質の材料に相応する、適切な材料から製造される。異なる出発物質から成る成形体のためには、したがって、堆積表面に異なる材料を有する異なる基台ユニットが必要となる。
【0003】
しばしば、成形体を、例えばフライス加工、研磨、作孔、及び/又は熱処理などの、さらなる処理に提供する必要がある。その際、多段階のプロセスチェーンが行われることができる。この理由から、成形体は定期的に基台ユニットから分離され、個別に適合されたクランプシステムでさらなるプロセスステップへと移送される。
【0004】
成形体の基台ユニットからの分離は、例えば手作業又は部分的手作業で、鋸引き(Saegen)又はワイヤ放電浸食(Drahtfunkenerosion)によって実現される。分離は、通常、手作業で行われ、分離面(eine Trennebene)は分離プロセスに応じて堆積表面まで最小距離であるべきである。最小距離のために、追加の寸法(ein zusaetzliches Aufmass)が生成されなければならず、付加的な材料及びプロセスコストに不利に結び付く。堆積表面が複雑な輪郭を有し得る前述した従来技術において、分離工程のために酸処理が提案されている。
【0005】
基台ユニットは分離工程の後、もはや使用することができないか、又は、分離工程によって摩耗し若しくは機械的あるいは熱的損傷に至り、したがって、基台ユニットはある程度の使用回数の後、交換され又は再生されなければならない。
【0006】
分離工程と、新たな基台ユニットの必要性とは、時間コストと費用を増加させる。さらに、さらなる作業ステップを伴うプロセスチェーン全体の中で、自動化の可能性が制限される。
【0007】
加算的製造において生産性を向上させるためには、複数の、場合によっては異なる成形体が1つの作業過程において同一の基台ユニット上で構築されるべきであることが一般的に知られている。活用度の(der Auslastung)最適化のために、基台ユニット上での成形体同士の間隔が可能な限り小さく保たれる。このことは、場合によって必要なさらなる処理ステップのために、成形体にもはやアクセスできず、成形体をさらなる処理の前に基台ユニットから取り外さなければ(geloest)ならないという欠点を有する。このことは、しばしば、複雑な分離ステップ、及び場合によっては特別なクランプ装置でのクランプステップ、を必要とし、時間と費用がかかり得る。新たなクランプが必要とされる場合、しばしば、処理機械への正確なアライメントのための適切な基準面(Referenzebenen)が失われる。その場合、位置特定のために光学又は触覚測定が必要となりうる。
【0008】
DE 10 2012 011 217 A1は、1つ以上のブランク構成部品(Rohbauteile)が1つのキャリアプレート上に加算的に製造される、部品の製造方法を開示する。キャリアプレートはその後、処理機械にクランプされ、そこでさらなる処理ステップが行われる。キャリアプレートは多数のキャリアプレートセクションに分割可能であり、キャリアプレートセクションのそれぞれは、それぞれ少なくとも1つの加算的に製造されるべきブランク構成部品のために用いられる。キャリアプレートセクションは、相互に着脱可能に接続されており、ベースプレート上に配置され、例えばネジによってこれらと接続されている。一実施形態においては、ベースプレートは複数の凹部を有し、その中にキャリアプレートセクションを装入(eingesetzt)することができる。もちろん、装入は、キャリアプレートセクションが相互に面一で隣り合い、したがって、複数のキャリアプレートセクションからなる連続した1つのキャリアプレートが全体的に形成されるように行われる。したがって、キャリアプレート又はキャリアプレートセクションは、それぞれ1つの基台ユニットを形成し、その上に1つ以上のブランク構成部品が加算的に製造されることができる。ベースプレートと対向するキャリアプレートセクションの表面は、ブランク構成部品を形成するための出発物質に対する堆積表面をそれぞれ形成する。その際、キャリアプレートセクションの表面は、加算的製造の間に、出発物質との材料結合による接続を形成する。さもなければ、キャリアプレートセクションがブランク構成部品と共に処理機械内にクランプされることは不可能であろう。キャリアプレートセクションは、その後、部品から分離されなければならず、キャリアプレートセクションにかなりの摩耗が生じ得る。
【0009】
DE 10 2012 011 217 A1は三次元部品を製造する装置であって、部品の発生的製造(eine generative Fertigung)がそれぞれ予め製造された対象物下部を必要とする、装置を開示する。予め製造された対象物下部又はその一部は、目標破断位置において分離されることができる。堆積表面は、したがって、基台ユニットとして用いられる予め製造された対象物化部上にのみもたらされる。複数の対象物下部は、プラグホルダ内に挿入されることができるが、それは、発生的に構築される物体に対する基台ユニットとしてもバックグラウンドとしても機能しない。この記載された実施形態では、予め製造された対象物下部はプラグホルダの面から突出する。目標破断位置が設けられた対象物下部は、無視できない材料のクズを生み出す。
【0010】
WO 2016/161276 A1は、同様に、加算的製造を用いて対象物を製造する方法に関する。そこでは、加算的製造を用いて、まず、長い薄い支持要素を製造し、その後、同様に加算的製造を用いてその上端部に本来の部品を製造することが開示されている。支持要素は、その後、例えば長手軸周りの回転によって、対象物から折り取られる。この背景は、これらの細長い支持体によって、対象物に伝達される虞のある基台ユニットの応力が回避されるべきであるということである。支持要素はベースプレートに配置されたピン要素上に構築される。ピン要素は、その際、支持要素に伝達されるべき回転を行うための係合領域を有する。出発物質のための堆積表面はこの従来技術によればピンによってのみ利用可能となる。ベースプレートは、ピンを受け入れるためにだけ、本来製造されるべき対象物までかなりの距離において機能する。提案された支持構造の構築は、煩雑であり、相応に高い、適切な出発材料の消費を伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】独国特許公開第102012011217号公報
【文献】PCT国際公開第2016/161276号公報
【発明の概要】
【0012】
本発明は、改善された自動化可能性をもたらし及び/又は費用と時間を低減することができる、冒頭に述べた種類の方法及び基台ユニットシステムを利用可能にする、という技術的課題に基づく。
【0013】
この技術的課題は、請求項1の発明特定事項を有する冒頭に述べた種類の方法、また、請求項10の発明特定事項を有する基台ユニットシステムにおいて、解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項からもたらされる。
【0014】
したがって、成形体の出発物質との材料結合による接続(stoffschluessige Verbindung)をこの出発物質を固化させるステップの間に形成しない堆積表面材料を、基台ユニットの堆積表面に適用することが提案される。その代り、材料結合による接続は、成形体の出発材料と、少なくとも1つの接続要素との間に形成される。この少なくとも1つの接続要素は、着脱可能に(loesbar)基台ユニット内に配置される。
【0015】
堆積表面は、例えばセラミックからなることができ、少なくとも1つの接続要素は、例えば製造されるべき成形体と同一の材料からなることもできるが、又は、所望の材料結合による接続に適した少なくとも1つの表面を有することもできる。少なくとも1つの接続要素は、少なくとも部分的に出発物質に比べて安価な材料からなることができる。例えば、少なくとも1つの接続要素には鋼が用いられることができ、出発物質はニッケル系合金である。堆積表面は、基台ユニット上のコーティングを介して、又は、基台ユニットの固体材料(ein Vollmaterial)を介して又は基台ユニットの部分を介して、生成されることができる。
【0016】
本発明による方法は、特に、少なくとも1つの接続要素が機械的ロックを用いて着脱可能に固定されるように、実行されることができる。ロックは好ましくは形状結合によって(mittels Formschlusses)行われる。少なくとも1つの接続要素にロックユニットが設けられることができ、ロックユニットは、例えば、基台ユニットの別の部分に対する並進移動及び/又は回転移動により、少なくとも1つの接続要素又は有利には同時に複数の接続要素を固定し、例えば反対方向における、さらなる移動の際に再び解除する。相対移動は、例えば、ねじ付きロッド(Gewindestange)、偏心レバー(Exzenterhebel)、トグルレバー(Kniehebel)、クランプねじ(Spannschraube)、カムシャフト(Nockenwelle)等によってもたらされることができる。
【0017】
成形体の出発物質と基台ユニットの堆積表面との間の材料結合の欠如により(Durch den fehlenden Stoffschluss)、堆積表面が損傷されず、多くの場合、多数の出発材料に対して適用されることができる。少なくとも1つの接続要素は、シンプルで費用対効果的に製造可能な消費体であり、その材料は成形体の出発材料に適合されることができる。成形体の加算的製造プロセスの完了後、成形体は、少なくとも1つの接続要素とともに基台ユニットから取り外され、さらなる処理ステップに供給されることができる。成形体のさらなる処理のために、成形体を基台ユニットとともに移送し、さらなる処理の後、成形体を(複数の)接続要素とともに基台ユニットから分離することも考えられる。
【0018】
さらに、成形体を(複数の)接続要素とともに基台ユニットから分離すること、及び、成形体に接続する(複数の)接続要素に適合するレセプタクルを有する(1つの)クランプ装置上に載置することが可能である。このクランプ装置は、(複数の)接続要素をクランプ装置内に、好ましくは形状結合により、固定するロックユニットが設けられることができる。ロックユニットは、例えば、少なくとも1つの接続要素を基台ユニットに固定するためのロックユニットに類似して又は対応して設計されることができる。
【0019】
接続要素又は成形体から突出する接続要素の部分がもはや必要ではなくなるとすぐに、これは、例えば鋸ひき又はワイヤ浸食により、成形体から分離されることができる。
【0020】
本発明による方法は、成形体に加えて、成形体及び接続要素又は複数の接続要素のうちの少なくとも1つの接続要素と材料結合によって接続されるベース要素も加算的に製造することができる。かかるベース要素は、したがって、各接続要素と成形体との間に配置される。ベース要素は、例えば従来のクランプ装置でクランプするために用いられることができ、後に、1つ又は複数の接続要素と共に成形体から分離されることができる。
【0021】
本発明による方法は、同一の基台ユニット上に隣り合って配置された少なくとも2つの成形体を製造するための方法ステップが実行されるようにも実行されることができる。その際、形状が同一又は異なる成形体であることができる。その際、成形体のそれぞれの層は、共通の作業過程において製造されることができる。例えば、全成形体の最も下の層が1つの関連するプロセスにおいて生成され、その後、2番目の層等が生成される。基台ユニット上に成形体を構築するための全ての製造ステップが完了すると、接続要素は取り外されることができ、成形体を基台ユニットから分離することができる。
【0022】
本発明による方法は、基台ユニットが加算的製造の前及び/又は間に加熱されるように実行されることもできる。加熱は、基台ユニットに配置されるヒータ装置によって行われることができる。このようにして、成形体の製造中に、堆積表面と成形体との間の温度差を低減することができ、このようにして成形体内の内部応力(Eigenspannungen)及び歪み(Verzug)が顕著に低減されることができる。ヒータ装置は、例えば電気ヒータワイヤ、加熱流体のための配管及び/又はヒータカートリッジを有することができる。
【0023】
基台ユニットにおける少なくとも1つの接続要素の配置は、接続要素がその作用位置(Arbeitsposition)において、堆積表面と同一面上又は実質的に同一面上にある、出発物質との材料結合による接続のためのコンタクト面を有するように行われることができる。同一面上にあること(Die Buendigkeit)は、成形体のそれぞれ1つの層の固化後に、過剰な出発物質の除去を容易にする。
【0024】
その際、堆積表面は少なくとも1つの貫通孔を有し、その中に少なくとも1つの接続要素が突出する。その際、貫通孔はそれぞれ1つの接続要素に設けられることができる。接続要素は例えばピン形状であることができる。それらは、その際、好ましくは形状結合による、例えば直径が縮小された領域又は表面上のその他の輪郭による、固定を可能にする形状を有する。
【0025】
本発明による方法及び本発明による基台ユニットシステムは、加算的製造の所定の種類に制限されない。例えば、出発物質はエネルギービーム、例えばレーザービームによって、又はその他の方法で加熱されることができる。例えばプラスチック等の出発物質の堆積は、ノズルを用いて行われることもでき、又は、所謂バインダー噴射が行われ、その際、出発物質は、成形体を形成するためにバインダーと接着される。
【0026】
以下では、本発明による方法及び本発明による装置の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】基台ユニットの上面を示す図である。
図2図1による基台ユニットのロックユニットを有さない斜視図を示す図である。
図3図1による基台ユニットのロックユニットを有する側面を示す図である。
図4】接続要素の側面を示す図である。
図5図4による接続要素を固定位置におけるロックユニットの断面で示す図である。
図6図4における接続要素を解除位置におけるロックユニットの断面で示す図である。
図7】接続要素、ベース要素及び成形体を有する基台ユニットを斜視図で示す図である。
図8図1による基台ユニットを横断面で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、堆積表面3上に多数の貫通孔2を有する基台ユニット1の上面図を示す。基台ユニット1は、図2において斜視図で、図3において側面図で示される。基台ユニット1は、堆積表面3を有する上部1及び下部5を備える。貫通孔4内には、図4に例示的に図示されるような接続要素6が配置されることができる。接続要素6は、コンタクト面7が基台ユニット1の堆積表面3と可能な限り同一面上にあるように又は面一になるように(buendig)配置される。ただし、接続要素6の突出部分が加算的製造プロセスを妨害しない限り、同一面上にあることは必須ではない。使用される接続要素6は下部5上に載置されることができる。下部5は溝8を有し、溝8は、貫通孔2を介して過剰な出発物質を受け取ることができ、そこを通して過剰な出発物質を横方向に排出することができる。
【0029】
接続要素6は、基台ユニット1内において、図3に示されるロックユニット9を用いて固定される。図2には、ロックユニット9は示されていない。ロックユニット9は、各接続要素6に対して、ヘッド部分10a及び鍵山部分10bを有する鍵穴状の凹部10を備える。凹部10は図5及び6において接続要素6とともに上面図で示されている。図5及び6は、ロックユニット9を小さい矩形状の断面でのみ示す。
【0030】
接続要素6は筒状の(zylindrisches)フットピース11及び筒状のヘッドピース12を有し、それらは、縮小された直径の中間ピース13を介して互いに分離されている。
【0031】
基台ユニット1で使用される多数の接続要素6のロックは、ロックユニット9と基台ユニット1の上部4との間の並進相対移動によって行われる。このために、接続要素6は、まず、図6に示すような解除位置(Freigabeposition)にある。図6による解除位置において、接続要素6はそれぞれヘッド部分10aによって取り囲まれ、ヘッド部分10aの直径は、各接続要素6のヘッドピース12の直径よりも、フットピース11の直径よりも大きい。基台ユニット1の上部4及び同時に接続要素6にも対するロックユニット9の相対移動によって、接続要素6のそれぞれの中間ピース12は鍵山部分10b内にスライドされ、したがって、接続要素6は、ロックユニット9と基台ユニット1の上部4とによる形状結合によってロックされる。図3は、上部4、下部5及びロックユニット9を、ロックユニット9の凹部10の領域及びそこに対向する上部4の貫通孔2の領域において、右側部分における部分的横断面で示す。
【0032】
接続要素6の形状及びロックの種類は、もちろん別様に選択されることもできる。
【0033】
基台ユニット1の上部4に対するロックユニット9の相対移動は、例えば基台ユニット1の下部に配置されたガイド、ここでは例えばダブテイルガイド14、によって行われる。図8において基台ユニット1の側面横断面図に示されるように、基台ユニット1の上部4及び下部5は、ネジ接続15を用いて着脱可能に相互に固定されることができる。上部4及び下部5が一体的に構成されることも考えられる。
【0034】
ロックユニット9と基台ユニット1の上部4との間の相対移動は、スライダ16(図1、2及び8参照)を用いて手動で移動されることができる。スライダ16はそれぞれ、基台ユニット1の下部5に固定されたレバー17にジョイントによって(gelenkig)接続されている。スライダ16をスライドさせることによって、レバー17はスイングし、ロックユニット9に固定されたキャッチ18を介してロックユニット9を基台ユニット1の上部4に対してスライドさせる。スライダ16に代えて、相対移動は、異なる方法で、例えばクランプカム(eines Spannnockens)を用いて、行われることができる。
【0035】
基台ユニット1は、クランプユニット19(図3及び8参照)を有し、それによって基台ユニット1は機械ユニットのクランプシステムに固定されることができる。
【0036】
加算的製造によって成形部品20を生成するために、接続要素6が基台ユニット1に設けられ(eingesetzt)、記載のようにロックユニット9で固定される。図7には、基台ユニット1上の成形部品20が模式的に示されている。貫通孔2又は一部の貫通孔2内に挿入される接続要素6の材料は、成形部品20の製造のために働く出発物質との材料結合による接続を、加算的製造のプロセスの間に形成するように選択される。接続要素6の材料は、例えば出発物質と同じであることができる。堆積表面3の材料は、対照的に、出発物質との材料結合による接続を加算的製造の間に形成しないように選択される。堆積表面3の材料は例えばセラミックであることができる。堆積表面3は相応の材料でコーティングさることができるか、又は、基台ユニット1の上部4は、いずれにせよ堆積表面3に向けて(jedenfalls zur Auftragsoberflaeche 3 hin)、相応の固体材料から成る。
【0037】
成形部品20のための出発物質は、例えばパウダー状に堆積表面3上に堆積されることができ、図示しないエネルギービーム、例えばレーザービーム、で照射されることができる。出発物質を溶融させ、その後固化する際に、固化する出発物質と接触している接続要素6との材料接続による接続が生じる。これに対して、出発物質と堆積表面3との間の材料結合的接続は生じない。成形部品20は層状に構築される。成形部品20の加算的製造が終了すると、接続要素6のロックは解除され、成形部品20は基台ユニット1から持ち上げられることができる。その後、成形部品20に接続された接続要素6を分離するだけでよい。
【0038】
成形部品20に加えて、ベース要素21を出発物質の材料から製造することも可能である。かかるベース要素21は図7において例示的に示されている。かかるベース要素21は、接続要素6同士の間の間隔が、成形部品20の足部を接続要素6に確実に固定するために、大きすぎる場合に有用である。ベース要素21は、図示しないクランプ手段にクランプされるために用いられることもできる。それにより、成形部品20が製造後に基台ユニット1上でさらなる処理に供給される。このことは、同一の基台ユニット1上に複数の成形部品20が製造され、そのために基台ユニットが成形部品2をさらなる処理ステップへ移送するのに余り適していない場合に、特に有利である。ベース要素21は適切な時点で成形部品20から分離されることができる。
【0039】
基台ユニット1の上部4には、図3においてのみヒータ管22によって示される、ヒータ装置が配置されることができる。例えば電気式又は液状の熱媒体を介して作動するヒータ装置は、有害な虞のある温度勾配を回避するために、成形部品20の加算的製造の前、間及び/又は後に、基台ユニット1の上部4及び堆積表面3を加熱するように働くことができる。
【符号の説明】
【0040】
1 基台ユニット(Substrateinheit)
2 貫通孔(Durchbrechung)
3 堆積表面(Auftragsoberflaeche)
4 上部(Oberteil)
5 下部(Unterteil)
6 接続要素(Verbindungselement)
7 コンタクト面(Kontaktflaeche)
8 溝(Nut)
9 ロックユニット(Verriegelungseinheit)
10 凹部(Aussparung)
10a ヘッド部分(Kopfteil)
10b 鍵山部分(Bartteil)
11 フットピース(Fussstueck)
12 ヘッドピース(Kopfstueck)
13 中間ピース(Mittelstueck)
14 ダブテイルガイド(Schwalbenschwanzfuehrung)
15 ネジ接続(Schraubverbindung)
16 スライダ(Schieber)
17 レバー(Hebel)
18 キャッチ(Mitnehmer)
19 クランプユニット(Spanneinheit)
20 成形部品又は成形部分(Formteil)
21 ベース要素(Basiselement)
22 ヒータ管(Heizrohr)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8