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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】薬剤判定装置、及び薬剤判定方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20220527BHJP
   B65B 1/30 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
A61J3/00 310E
B65B1/30 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020509861
(86)(22)【出願日】2019-03-13
(86)【国際出願番号】 JP2019010230
(87)【国際公開番号】W WO2019188281
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】P 2018064342
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019029362
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000149837
【氏名又は名称】富士フイルム富山化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】岩見 一央
(72)【発明者】
【氏名】横内 康治
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/147907(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0280075(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定対象の薬剤が配置される配置部と、
前記配置部に配置された前記判定対象の薬剤の画像を撮影する画像撮影部と、
前記画像撮影部が前記画像を撮影する際に、前記配置部に配置された前記判定対象の薬剤に対して光を照射する光照射部と、
薬剤を処方するために設定された処方条件を示す処方条件情報を取得する処方条件情報取得部と、
前記配置部に配置された前記判定対象の薬剤に対して外力を付与して前記判定対象の薬剤を動かす外力付与動作を実行する外力付与部と、
動作実行条件が満たされたときに、前記外力付与部に前記外力付与動作を実行させる制御部と、を有し、
前記光照射部は、複数の発光部を有し、前記複数の発光部を用いて互いに異なる方向に光を照射し、
前記動作実行条件には、
前記画像に写った前記判定対象の薬剤の個数が、前記処方条件情報から特定される薬剤の数量と異なっている第一動作実行条件、及び、
前記画像に写った前記判定対象の薬剤の形が、前記処方条件情報から特定される薬剤の種類に対応した形と異なる第二動作実行条件のうちの少なくとも一方が含まれており、
前記動作実行条件には、
前記判定対象の薬剤として複数の薬剤が前記配置部に配置されており、且つ、前記光照射部が光を照射する際の照射方向において前記複数の薬剤のうちの一つの薬剤と他の薬剤とが互いに隣り合っている第三動作実行条件と、
前記画像に写った前記判定対象の薬剤の、前記配置部における配置位置が、前記画像を撮影した時点で光を発した一つの前記発光部から閾値以上離れた位置である第四動作実行条件と、が更に含まれていることを特徴とする薬剤判定装置。
【請求項2】
前記第一動作実行条件は、前記画像に写った前記判定対象の薬剤の個数が、前記処方条件情報から特定される薬剤の数量よりも少ないことを特徴とする請求項1に記載の薬剤判定装置。
【請求項3】
前記第三動作実行条件は、前記複数の薬剤が前記配置部に配置されており、且つ、前記一つの薬剤よりも厚みが大きい前記他の薬剤が前記光照射部から照射された光を遮る位置に配置された状態で、前記一つの薬剤と前記他の薬剤とが前記照射方向において互いに隣り合っていることである請求項1に記載の薬剤判定装置。
【請求項4】
記第三動作実行条件が満たされたとき、前記制御部は、前記照射方向において互いに隣り合う前記一つの薬剤と前記他の薬剤との組み合わせが少なくとも一つ以上存在している場合に、前記外力付与部に前記外力付与動作を実行させる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薬剤判定装置。
【請求項5】
前記領域は、前記照射方向において前記光照射部の発光部からの距離が閾値以上となった領域である請求項1に記載の薬剤判定装置。
【請求項6】
前記動作実行条件には、前記画像に写った前記判定対象の薬剤の姿勢が、前記判定対象の薬剤に形成された識別情報が前記画像撮影部の撮影範囲から外れている姿勢となる第五動作実行条件が更に含まれている請求項1に記載の薬剤判定装置。
【請求項7】
前記画像撮影部は、複数のカメラを有し、
前記第五動作実行条件は、前記画像に写った前記判定対象の薬剤の姿勢が、前記識別情報が前記複数のカメラの各々の撮影範囲から外れている姿勢となることである請求項6に記載の薬剤判定装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記外力付与部に前記外力付与動作を実行させた後に前記第五動作実行条件が満たされているとき、前記外力付与部に前記外力付与動作を繰り返し実行させる請求項6又は7に記載の薬剤判定装置。
【請求項9】
前記配置部には、前記判定対象の薬剤が光透過性を有する包装袋に包まれた状態で配置される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の薬剤判定装置。
【請求項10】
前記包装袋が連続して並んだ帯状の包装袋連続体を搬送路に沿って搬送する搬送部と、
前記動作実行条件が満たされているかを判断する条件判断部と、を有し、
前記配置部は、前記搬送路の途中位置に設けられ、
前記搬送部による前記包装袋連続体の搬送により、前記配置部に配置される前記包装袋連続体中の前記包装袋が切り換わり、
前記配置部に配置される前記包装袋が切り換わる都度、前記画像撮影部が前記画像を撮影する請求項に記載の薬剤判定装置。
【請求項11】
前記動作実行条件が満たされていると前記条件判断部が判断すると、前記制御部は、前記条件判断部による判断結果が得られた時点で前記配置部に配置されている前記包装袋内の前記判定対象の薬剤に対して外力を付与する前記外力付与動作を、前記外力付与部に実行させる請求項10に記載の薬剤判定装置。
【請求項12】
前記配置部には、前記判定対象の薬剤が未包装で露出している状態で配置される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の薬剤判定装置。
【請求項13】
前記判定対象の薬剤の種類及び個数を判定する判定部を更に有する請求項1乃至12のいずれか一項に記載の薬剤判定装置。
【請求項14】
前記判定部は、前記処方条件情報から特定される種類の薬剤について予め登録されたマスタ画像を読み出し、前記画像撮影部が撮影した前記画像と前記マスタ画像とを用いて、前記判定対象の薬剤の種類を判定し、
前記動作実行条件は、前記第二動作実行条件を含み、前記第二動作実行条件は、前記画像撮影部が撮影した前記画像に写った前記判定対象の薬剤の形が、前記マスタ画像に写った薬剤の形と異なることである請求項13に記載の薬剤判定装置。
【請求項15】
前記外力付与部は、前記配置部に配置された前記判定対象の薬剤に対して振動、揺動、衝撃及び押圧力のうちのいずれか一つを外力として付与する請求項1乃至14のいずれか一項に記載の薬剤判定装置。
【請求項16】
薬剤判定方法であって、
判定対象の薬剤を配置部に配置し、
前記配置部に配置された前記判定対象の薬剤の画像を撮影し、
前記画像を撮影する際に、光照射部により、前記配置部に配置された前記判定対象の薬剤に対して光を照射し、
薬剤を処方するために設定された処方条件を示す処方条件情報を取得し、
動作実行条件が満たされたときに、外力付与部に、前記配置部に配置された前記判定対象の薬剤に対して外力を付与して前記判定対象の薬剤を動かす外力付与動作を実行させ、
前記光照射部は、複数の発光部を有し、前記複数の発光部を用いて互いに異なる方向に光を照射し、
前記動作実行条件には、
前記画像に写った前記判定対象の薬剤の個数が、前記処方条件情報から特定される薬剤の数量と異なっている第一動作実行条件、及び、
前記画像に写った前記判定対象の薬剤の形が、前記処方条件情報から特定される薬剤の種類に対応した形と異なる第二動作実行条件のうちの少なくとも一方が含まれており、
前記動作実行条件には、
前記判定対象の薬剤として複数の薬剤が前記配置部に配置されており、且つ、前記光照射部が光を照射する際の照射方向において前記複数の薬剤のうちの一つの薬剤と他の薬剤とが互いに隣り合っている第三動作実行条件と、
前記画像に写った前記判定対象の薬剤の、前記配置部における配置位置が、前記画像を撮影した時点で光を発した一つの前記発光部から閾値以上離れた位置である第四動作実行条件と、が更に含まれていることを特徴とする薬剤判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、薬剤判定装置及び薬剤判定方法に係り、特に、判定対象の薬剤を配置部に配置して画像を撮影し、その撮影画像を用いて薬剤の種類等を判定する薬剤判定装置及び薬剤判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】

分包紙等の包装袋に薬剤が処方箋の指示どおりに正しく分包されているかを、機械等によって自動的に鑑査することは、既に知られている。このような自動鑑査装置(以下、薬剤判定装置と言う。)では、例えば、装置内で、包装袋に包まれた薬剤の画像を撮影する。そして、撮影画像に写った薬剤の種類及び個数を判定する。
【0003】

ところで、薬剤判定装置による判定の精度は、画像を撮影する際の薬剤の位置、状態及び姿勢等の影響を受ける。例えば、画像撮影時に包装袋内で薬剤同士が重なり合った場合、薬剤の数及び種類を正しく特定し難くなり、結果として、正確な判定がなされない可能性がある。そのような不備を解消する技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術が挙げられる。
【0004】

特許文献1に記載の技術(特に、特許文献1の請求項1及び図4を参照)は、鑑査対象の薬剤が配置される鑑査部と、鑑査部に配置された薬剤に対して振動を付与することが可能な振動手段と、鑑査部に配置された薬剤を撮影可能な撮影手段と、撮影手段によって得られた画像に基づき、薬剤の数量及び種類のいずれか一方又は双方を検出可能な薬剤情報検出手段と、撮影手段により撮影して得られた画像に基づいて鑑査部における薬剤の分布を検出する分布検知手段とを備え、分布検知手段の検知結果に基づいて振動手段が振動するものである。このような技術によれば、包装袋内で薬剤が密集している場合に薬剤を離反及び分散させることができるので、判定の精度を向上させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】

【文献】特開2013-144101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】

特許文献1に記載の薬剤判定装置は、上述したように、薬剤の分布に応じて振動手段を振動させることになっている。ただし、判定精度を向上させる上では、薬剤を振動等によって動かすかどうかを判断する際には、薬剤の分布状況のみならず、他の状況(例えば、薬剤の姿勢及び画像撮影条件等)を踏まえて適切に判断すべきである。

以上のように、判定の精度及び速度を向上させる上では、薬剤を動かす必要があるか否かを判断するための基準(条件)が適切に設定されていることが必要である。
【0007】

本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、判定対象の薬剤の種類等を判定する際に薬剤を動かす必要があるか否かを適切に判断し、判定の精度及び速度の向上を図ることが可能な薬剤判定装置及び薬剤判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】

上記の目的を達成するために、本発明の薬剤判定装置は、判定対象の薬剤が配置される配置部と、配置部に配置された判定対象の薬剤の画像を撮影する画像撮影部と、薬剤を処方するために設定された処方条件を示す処方条件情報を取得する処方条件情報取得部と、配置部に配置された判定対象の薬剤に対して外力を付与して判定対象の薬剤を動かす外力付与動作を実行する外力付与部と、動作実行条件が満たされたときに、外力付与部に外力付与動作を実行させる制御部と、を有し、動作実行条件には、画像に写った判定対象の薬剤の個数が、処方条件情報から特定される薬剤の数量と異なっている第一動作実行条件、及び、画像に写った判定対象の薬剤の形が、処方条件情報から特定される薬剤の種類に対応した形と異なる第二動作実行条件のうちの少なくとも一方が含まれていることを特徴とする。なお、「外力付与動作」とは、配置部に配置された薬剤に対して外力を直接付与する場合のみならず、薬剤には直接接触しないで間接的に外力を付与する場合も含むものとする。
【0009】

また、第一動作実行条件は、画像に写った判定対象の薬剤の個数が、処方条件情報から特定される薬剤の数量よりも少ないことであることが好ましい。
【0010】

また、画像撮影部が画像を撮影する際に、配置部に配置された判定対象の薬剤に対して光を照射する光照射部を有し、動作実行条件には、判定対象の薬剤として複数の薬剤が配置部に配置されており、且つ、光照射部が光を照射する際の照射方向において複数の薬剤のうちの一つの薬剤と他の薬剤とが互いに隣り合っている第三動作実行条件が更に含まれていることが好ましい。
【0011】

また、第三動作実行条件は、複数の薬剤が配置部に配置されており、且つ、一つの薬剤よりも厚みが大きい他の薬剤が光照射部から照射された光を遮る位置に配置された状態で、一つの薬剤と他の薬剤とが照射方向において互いに隣り合っていることであることが好ましい。
【0012】

また、光照射部は、複数の発光部を有し、複数の発光部を用いて互いに異なる方向に光を照射し、第三動作実行条件が満たされたとき、制御部は、照射方向において互いに隣り合う一つの薬剤と他の薬剤との組み合わせが少なくとも一つ以上存在している場合に、外力付与部に外力付与動作を実行させることが好ましい。
【0013】

また、動作実行条件には、画像に写った判定対象の薬剤の、配置部における配置位置が、予め決められた領域内の位置である第四動作実行条件が更に含まれていることが好ましい。
【0014】

また、領域は、照射方向において光照射部の発光部からの距離が閾値以上となった領域であることが好ましい。
【0015】

また、動作実行条件には、画像に写った判定対象の薬剤の姿勢が、判定対象の薬剤に形成された識別情報が画像撮影部の撮影範囲から外れている姿勢となる第五動作実行条件が更に含まれていることが好ましい。
【0016】

また、画像撮影部は、複数のカメラを有し、第五動作実行条件は、画像に写った判定対象の薬剤の姿勢が、識別情報が複数のカメラの各々の撮影範囲から外れている姿勢となることであることが好ましい。
【0017】

また、制御部は、外力付与部に外力付与動作を実行させた後に第五動作実行条件が満たされているとき、外力付与部に外力付与動作を繰り返し実行させることが好ましい。
【0018】

また、配置部には、判定対象の薬剤が光透過性を有する包装袋に包まれた状態で配置されることが好ましい。
【0019】

また、包装袋が連続して並んだ帯状の包装袋連続体を搬送路に沿って搬送する搬送部と、動作実行条件が満たされているかを判断する条件判断部と、を有し、配置部は、搬送路の途中位置に設けられ、搬送部による包装袋連続体の搬送により、配置部に配置される包装袋連続体中の包装袋が切り換わり、配置部に配置される包装袋が切り換わる都度、画像撮影部が画像を撮影することが好ましい。
【0020】

また、動作実行条件が満たされていると条件判断部が判断すると、制御部は、条件判断部による判断結果が得られた時点で配置部に配置されている包装袋内の判定対象の薬剤に対して外力を付与する外力付与動作を、外力付与部に実行させることが好ましい。
【0021】

また、判定対象の薬剤の種類及び個数を判定する判定部を更に有することが好ましい。
【0022】

また、配置部には、判定対象の薬剤が未包装で露出している状態で配置されることとしてもよい。
【0023】

また、判定部は、処方条件情報から特定される種類の薬剤について予め登録されたマスタ画像を読み出し、画像撮影部が撮影した画像とマスタ画像とを用いて、判定対象の薬剤の種類を判定し、動作実行条件は、第二動作実行条件を含み、第二動作実行条件は、画像撮影部が撮影した画像に写った判定対象の薬剤の形が、マスタ画像に写った薬剤の形と異なることであることが好ましい。
【0024】

また、外力付与部は、配置部に配置された判定対象の薬剤に対して振動、揺動、衝撃及び押圧力のうちのいずれか一つを外力として付与することが好ましい。
【0025】

また、前述の目的を達成するために、本発明の薬剤判定方法は、薬剤判定方法であって、判定対象の薬剤を配置部に配置し、配置部に配置された判定対象の薬剤の画像を撮影し、薬剤を処方するために設定された処方条件を示す処方条件情報を取得し、動作実行条件が満たされたときに、外力付与部に、配置部に配置された判定対象の薬剤に対して外力を付与して判定対象の薬剤を動かす外力付与動作を実行させ、動作実行条件には、画像に写った判定対象の薬剤の個数が、処方条件情報から特定される薬剤の数量と異なっている第一動作実行条件、及び、画像に写った判定対象の薬剤の形が、処方条件情報から特定される薬剤の種類に対応した形と異なる第二動作実行条件のうちの少なくとも一方が含まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】

本発明の薬剤判定装置及び薬剤判定方法によれば、判定対象の薬剤の種類等を判定する上で薬剤を動かす必要があるか否かを適切に判断することができる。この結果、薬剤判定の精度及び速度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】

図1】薬剤処方作業の流れを示す図である。
図2】包装袋連続体を示した図である。
図3】本発明の一実施形態に係る薬剤判定装置が有する装置本体の内部構造を示す概略図である。
図4】画像撮影部の撮影範囲と、その範囲内に入っている包装袋連続体の一部分を示す図である。
図5】光照射部が有する複数の発光部を上方から見たときの模式図である。
図6】本発明の一実施形態に係る薬剤判定装置が有する処理装置の構成を示すブロック図である。
図7】判定部による判定フローの大まかな流れを示す図である。
図8】薬剤抽出画像の説明図である。
図9】マスタ画像が登録されたデータベースの説明図である。
図10】本発明の一実施形態に係る薬剤判定装置の動作の流れを示す図である。
図11】第二例の外力付与部を示す模式図である。
図12】第三例の外力付与部を示す模式図である。
図13】第三動作実行条件の説明図である(その1)。
図14】第三動作実行条件の説明図である(その2)。
図15】第四動作実行条件の説明図である。
図16】外力付与の制御フローの流れを示す図である。
図17】変形例に係る薬剤判定装置の装置本体を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】

以下、本発明の薬剤判定装置及び薬剤判定方法について詳細に説明する。

以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明は、そのような実施態様に限定されるものではない。すなわち、以下の実施形態は、本発明の薬剤判定装置及び薬剤判定方法を分かり易く説明するための一例であるが、本発明を限定するものではない。また、当然ながら、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更を行ってもよい。
【0029】

なお、本明細書において、「薬剤」とは、固形物状の薬剤を意味し、具体的には錠剤及びカプセル剤が該当する。
【0030】

<<薬剤処方作業について>>

本発明の一実施形態に係る薬剤判定装置(以下、薬剤判定装置10)について説明するにあたり、先ず、薬剤判定装置10を用いて行われる薬剤処方作業について概説する。薬剤処方作業では、図1に示すように処方箋入力作業、ピッキング作業、自動分包作業、調剤鑑査作業及び処方作業が順に行われる。図1は、薬剤処方作業の流れを示す図である。
【0031】

処方箋入力作業では、処方箋に記載されている処方条件を、薬剤師がコンピュータ(以下、処方条件入力装置50)に入力する。ここで、処方条件とは、患者に対して薬剤を処方するために設定された条件である。入力される処方条件の内容は、例えば、患者の氏名、年齢、処方される薬剤の種類、種類別の処方数量等である。なお、以下の説明では、複数回の服用を前提とし、一服用分の処方数量が同一量であるとする。ただし、これに限定されるものではなく、一服用分のみの薬剤が処方されてもよい。また、一服用分の薬剤の種類及び処方数量が各回で異なってもよい。
【0032】

ピッキング作業では、薬剤師が処方条件に基づき、処方条件に応じた種類の薬剤を、それぞれ処方条件に応じた数量の分だけ薬剤棚55からピッキングする。なお、ピッキング作業については、薬剤師が手作業で行う場合に限らず、公知の自動ピッキング装置が処方条件入力装置50に入力された処方条件に基づき自動的に行ってもよい。
【0033】

また、本実施形態においてピッキングされる薬剤は、いずれも、その表面に識別情報が形成されているものである。「識別情報」とは、薬剤の種類(薬種)を識別するための文字、数字及び記号等であり、刻印あるいは印字によって形成されたものである。なお、本実施形態では、薬剤の表面に識別情報が刻印(凹部加工)によって形成されていることとする。ただし、上記の実施形態に限定されるものではなく、ピッキングされる薬剤の中に識別情報が形成されていないものが含まれていてもよく、また、印字によって識別情報が形成された薬剤が含まれていてもよい。
【0034】

自動分包作業では、ピッキング作業でピッキングされた薬剤を薬剤師が図1に図示の分包機60のトレイにセットし、分包機60がトレイ内の薬剤を自動的に分包する。この際、ピッキングされた薬剤は、一服用分毎にトレイにセットされ、複数の包装袋1のそれぞれに一服用分の薬剤が分包される。包装袋1は、公知の分包袋であり、光透過性を有する包装材である。包装袋1の材料としては、例えば、セロファンとポリエチレンとのラミネートフィルム及びポリエチレンフィルム等が挙げられる。
【0035】

薬剤が分包された複数の包装袋1は、自動分包作業の終了時点において、図2に示すように連続して並んで帯状の包装袋連続体3を構成している。薬剤服用時には、包装袋連続体3から一袋分の包装袋1を切り離し、切り離した包装袋1に包まれた薬剤を服用する。図2は、包装袋連続体3を示した図である。

なお、複数の包装袋1は、自動分包作業の終了時点で包装袋連続体3として連続している場合に限らず、個々に分離していてもよい。
【0036】

また、自動分包作業の終了時点において、包装袋連続体3の一端に位置する包装袋1は、図2に示すように空袋1Aとなっている。空袋1Aは、内部に薬剤が入っていない点を除き、薬剤を包んだ状態の包装袋1と共通している。なお、空袋1Aについては、包装袋連続体3の端以外の場所に設けられていてもよく、また、包装袋連続体3中に空袋1Aが含まれていなくてもよい。
【0037】

調剤鑑査作業では、図1に図示の薬剤判定装置10を用いて、処方される薬剤が正しいかどうかを鑑査する。具体的には、包装袋連続体3中の各包装袋1に包まれた薬剤の種類及び個数(厳密には、種類毎の個数)が、処方箋にて指示された内容どおりであるか否かを鑑査する。
【0038】

処方作業は、患者(処方先)に対して、調剤鑑査作業で正しい(処方箋の内容に従っている)と判断された分包済みの薬剤の処方を行う。このとき、薬剤師は、包装袋連続体3の一端に位置する空袋1Aを取り外し、残った包装袋連続体3を患者に手渡す。
【0039】

<<薬剤判定装置の構成>>

次に、薬剤判定装置10の構成について説明する。

薬剤判定装置10は、調剤鑑査用に用いられ、自動分包作業で包装袋1に包まれた薬剤の種類及び個数(厳密には、種類毎の個数)を判定する。ここで、一つの包装袋1に包まれた(分包された)薬剤は、本発明の「判定対象の薬剤」に相当する。
【0040】

薬剤判定装置10は、図1に示すように、判定対象となる薬剤(詳しくは、各包装袋1に包まれた薬剤)の画像を撮影する機能を有する装置本体11と、装置本体11にて撮影された画像に基づいて調剤鑑査を行う機能を有する処理装置12と、によって構成されている。
【0041】

装置本体11は、図1に図示の筐体13を有し、筐体13内に、図3に図示の搬送部14と配置部15と画像撮影部16と光照射部17とを有する。図3は、装置本体11の内部構造を示す概略図である。また、装置本体11の筐体13には、包装袋連続体3を装置本体11の内部に導入するための導入部13aと、装置本体11の内部に導入された包装袋連続体3を装置本体11の外に排出するための不図示の排出部と、が設けられている。
【0042】

搬送部14は、装置本体11の内部に形成された搬送路18を有し、包装袋連続体3を搬送路18に沿って搬送するものである。導入部13aから装置本体11の内部に導入された包装袋連続体3は、搬送部14の搬送動作により、搬送路18の下流側に向かって移動し、やがて排出部を通過して装置本体11の外に排出される。ここで、「下流側」とは、搬送方向において排出部により近い側を意味し、上流側とは、下流側とは反対側、すなわち、搬送方向において導入部13aにより近い側を意味する。
【0043】

なお、本実施形態において、搬送路18は、水平な経路となっており、搬送部14は、包装袋連続体3の長手方向が搬送路18(すなわち、搬送方向)に沿い、且つ、包装袋連続体3の厚み方向が上下方向(鉛直方向)に沿った状態で搬送する。
【0044】

搬送部14は、図3に示すように、上流側駆動部14Uと下流側駆動部14Dとを有する。上流側駆動部14Uは、配置部15の上流側に配置されており、下流側駆動部14Dは、配置部15の下流側に配置されている。上流側駆動部14U及び下流側駆動部14Dの各々は、上下一対のニップローラ14a、14bと、上下一対のニップローラ14a、14bのうちの一方を回転駆動する不図示のモータと、を有する。上下一対のニップローラ14a、14bは、包装袋連続体3が通れる程度の隙間を空けて並んでおり、ローラ間に包装袋連続体3を挟持した状態で回転する。これにより、包装袋連続体3は、若干のテンション(張力)が掛かった状態で搬送される。
【0045】

また、本実施形態では、上記のモータが断続的に回転することになっている。このため、搬送部14は、間欠的に搬送動作を行うことになる。一回の搬送動作では、包装袋連続体3が搬送方向に沿って所定量だけ移動する。一回の搬送動作における包装袋連続体3の移動量(搬送量)については、後述する処理装置12の制御部21によって設定される。
【0046】

なお、本実施形態の搬送部14は、上記のモータの回転方向を切り換えることにより、搬送方向の上流側及び下流側の双方に搬送することが可能である。搬送の向きについては、処理装置12の制御部21によって設定される。
【0047】

また、本実施形態では、ローラの回転駆動を利用した搬送機構(すなわち、ローラコンベア)を用いることとしたが、包装袋連続体3を好適に搬送し得るものである限り、他の搬送機構を利用してもよく、例えば、無端状のベルトの上面に包装袋連続体3を載せた状態でベルトを回転駆動させて包装袋連続体3を搬送するベルトコンベアを用いてもよい。
【0048】

配置部15は、判定対象の薬剤が包装袋1に包まれた状態で配置される部分であり、図3に示すように、搬送路18の途中位置に設けられている。配置部15は、矩形枠体状の台であり、包装袋1が一つ載る程度のサイズ(例えば、図4に示すように平面視で包装袋1の外形サイズよりも一回り大きいサイズ)を有する。また、搬送部14による包装袋連続体3の搬送により、包装袋連続体3中、配置部15に配置される包装袋1が順次切り換わる。
【0049】

なお、配置部15に配置された状態にある包装袋1の上面(装置本体11の上側を向く表面、以下同様。)については、その全領域が露出しており、また、包装袋1の下面(装置本体11の上側を向く表面、以下同様。)については、縁部以外の領域が露出している。包装袋1の縁部とは、包装袋1を構成するフィルムシートを二枚重ねて圧着することで形成されたシール部分のことである。
【0050】

画像撮影部16は、配置部15に配置された包装袋1、及び、その包装袋1に包まれた薬剤(すなわち、判定対象の薬剤)の画像を撮影するものである。画像撮影部16は、図3に示すように、複数のカメラとして上下2つのカメラを有する。上側にあるカメラ(以下、第一カメラ16aと言う。)は、配置部15の直上位置に配置されており、配置部15に配置された包装袋1に包まれた薬剤の画像を上方から撮影する。下側のカメラ(以下、第二カメラ16bと言う。)は、配置部15の直下位置に配置されており、配置部15に配置された包装袋1に包まれた薬剤の画像を下方から撮影する。ここで、本実施形態において、「薬剤の画像」とは、包装袋1越しに撮影された薬剤の画像、すなわち包装袋1に入った状態で撮影された薬剤の画像を意味する。
【0051】

本実施形態では、搬送部14による搬送動作が間欠的に行われることになっており、画像撮影部16は、搬送動作の間に、配置部15に配置された包装袋1、及びその包装袋1に包まれた薬剤の画像を撮影する。そして、画像撮影部16は、搬送動作により配置部15に配置される包装袋1が切り換わる都度、配置部15に配置された包装袋1、及びその包装袋1に包まれた薬剤の画像を撮影する。
【0052】

本実施形態において、第一カメラ16aの撮影範囲(画角)は、図4に示すように矩形領域(図4中、破線で示された矩形領域)であり、配置部15に配置された包装袋1の上面の全面と、その両側に位置する包装袋1の上面の一部(厳密には、端部分)と、を撮影可能な範囲と設定されている。換言すると、包装袋連続体3中、第一カメラ16aの撮影範囲内にある部分は、撮影対象部分3xに該当し、その部分には、図4に示すように、少なくとも包装袋3間の切り取り線3yが含まれている。ここで、切り取り線3yは、包装袋連続体3において包装袋3間の境界位置に形成された境界凹部であり、より具体的には破線状の直線溝によって構成され、包装袋連続体3の横幅方向において包装袋連続体3の一端から他端に亘って形成されている。

なお、図4は、画像撮影部16の撮影範囲と、その範囲内に入っている包装袋連続体3の一部分を示す図である。
【0053】

同様に、下側のカメラ16bの撮影範囲(画角)は、矩形領域であり、配置部15に配置された包装袋1の下面のうち、配置部15の内側にあって露出している領域と、その両側に位置する包装袋1の下面の一部(厳密には、端部分)と、を撮影可能な範囲に設定されている。換言すると、包装袋連続体3中、第二カメラ16bの撮影範囲内にある部分は、撮影対象部分3xに該当し、その部分には、少なくとも包装袋1間の切り取り線3yが含まれている。
【0054】

なお、画像撮影部16は、被写体の画像データを取得する機能を有するものであればよく、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等が挙げられるが、これらに限定されない。

また、本実施形態では、画像撮影部16が2台のカメラによって構成されていることとしたが、カメラの台数については、特に限定されるものではなく、1台のみであってもよく、あるいは、3台以上であってもよい。

また、本実施形態では、配置部15を上下に挟む位置にカメラが設置されていることとしたが、カメラの設置位置については、配置部15に配置された包装袋1、及びその包装袋1に包まれた薬剤の画像を良好に撮影し得る位置である限り、任意の位置に設定することが可能である。例えば、カメラを配置部15の上方にのみ、若しくは配置部15の下方にのみ設置してもよい。
【0055】

光照射部17は、画像撮影部16が画像を撮影する際に、配置部15に配置された包装袋1、及びその包装袋1に包まれた薬剤(すなわち、判定対象の薬剤)に対して光を照射するものである。より詳しくは、光照射部17は、包装袋連続体3中、画像撮影部16の撮影範囲内にある部分(すなわち、撮影対象部分3xの表面)に向けて光を照射する。
【0056】

光照射部17は、図5に示すように、複数の発光部を有しており、本実施形態では4つの発光部17a、17b、17c、17dを有する。図5は、光照射部17が有する複数の発光部を上方から見たときの模式図である。4つの発光部17a、17b、17c、17dは、光照射部17が光を照射する際に用いる光源であり、図5に示すように配置部15の四方のそれぞれに配置されている。そして、光照射部17は、4つの発光部17a、17b、17c、17d(複数の発光部)を用いて、互いに異なる方向に光を照射する。
【0057】

具体的に説明すると、2つの発光部17a、17bは、搬送方向において、配置部15から見て互いに反対側の位置に配置されており、互いに反対向きに光を発する。すなわち、一方の発光部17a(以下、第一発光部17aと言う。)は、搬送方向上流側から、搬送方向下流側にある配置部15に向かって光を発する。もう一方の発光部17b(以下、第二発光部17bと言う。)は、搬送方向下流側から、搬送方向上流側にある配置部15に向かって光を発する。
【0058】

4つの発光部17a、17b、17c、17dのうち、残り2つの発光部17c、17dは、搬送方向を横切る方向(以下では、交差方向)において配置部15から見て互いに反対側の位置に配置されており、互いに反対向きに光を発する。すなわち、一方の発光部17c(以下、第三発光部17cと言う。)は、交差方向において一方側から、他方側にある配置部15に向かって光を発する。もう一方の発光部17d(以下、第四発光部17dと言う。)は、交差方向において他方側から、一方側にある配置部15に向かって光を発する。ここで、「交差方向の一方側」とは、例えば、配置部15の交差方向一端に近い側を意味し、「交差方向の他方側」とは、配置部15の交差方向他端側に近い側を意味する。
【0059】

光照射部17は、上記4つの発光部17a、17b、17c、17dの一部又は全部を用いて、配置部15に配置された包装袋1、及びその包装袋1に包まれた薬剤に対して光を照射する。このとき、光照射部17は、図3及び図5から分かるように、配置部15に配置された包装袋1、及びその包装袋1に包まれた薬剤(つまり、撮影対象部分3x)に対して光を斜め方向から照射する。これは、薬剤の表面に対して斜め方向から光を当てた場合、薬剤の表面に形成された識別情報の輪郭(特に、輪郭のうち、光の照射先にあるエッジ部分)を際立たせることができるからである。
【0060】

また、本実施形態では、画像撮影部16が画像を撮影する際に光照射部17が用いる発光部17a、17b、17c、17dを切り換えることが可能である。具体的に説明すると、光照射部17は、4つの発光部17a、17b、17c、17dのうちの一つを用いて光を照射する。光照射部17が一つの発光部から光を照射している間に、画像撮影部16が、配置部15に配置された包装袋1に包まれた薬剤の画像を一回撮影する。その後、光照射部17は、発光部17a、17b、17c、17dのうち、直前に使用していた発光部を別の発光部に切り換え、切り換え後の発光部17a、17b、17c、17dを用いて光を照射する。その間に、画像撮影部16が、配置部15に配置された包装袋1に包まれた薬剤の画像を再度撮影する。
【0061】

以降、同様の手順にて光照射部17が発光部17a、17b、17c、17dを順次切り換え、光照射部17が発光部17a、17b、17c、17dを切り換える度に、画像撮影部16が、配置部15に配置された包装袋1に包まれた薬剤の画像を撮影する。この結果、配置部15に配置された一つの包装袋1に包まれた薬剤に対して、光の照射方向別の画像(つまり、薬剤表面各部における光の反射具合が異なる4つの画像)が撮影されることになる。ただし、これに限定されるものではなく、4つの発光部17a、17b、17c、17dのうちの2~4つが同時に点灯し、光照射部17が、配置部15に配置された一つの包装袋1に包まれた薬剤に対して、2~4方向から同時に光を照射してもよい。
【0062】

なお、光照射部17が光照射用に用いる発光部17a、17b、17c、17dとしては、公知の光源が利用可能であり、点光源、線光源及び面光源のうちのいずれを用いてもよい。具体的には、例えば、LED(Light Emitting Diode)、半導体レーザ(LD:Laser Diode)、及び有機EL(Electro-luminescence)などの電界発光によるもの、ハロゲン電球及び白熱電球などの放射熱によるもの、水銀灯及び蛍光灯などの放電発光によるもの、並びにこれらの光源と導光板又は光ファイバ等の導光部材とを組み合わせたものが利用可能である。
【0063】

また、本実施形態では、光照射部17が4つの発光部17a、17b、17c、17dを有することとしたが、発光部(光源)の台数については特に限定されるものではなく、2つ以上設けられていればよい。

また、配置部15の周りに4つの発光部17a、17b、17c、17dを配置する代わりに、円環状の発光部を1つ配置してもよい。このような構成であれば、配置部15に対して360度全方位から光を照射することが可能である。
【0064】

装置本体11内には、以上までに述べてきた部分(具体的には、搬送部14と配置部15と画像撮影部16と光照射部17)に加え、図3に図示の外力付与部40が設置されている。外力付与部40の詳細については、後述する。
【0065】

処理装置12は、調剤鑑査を実施するにあたり、一連の情報処理を実行するものであり、本実施形態では、装置本体11に外付けされたパーソナルコンピュータ(PC)によって構成されている。ただし、これに限定されるものではなく、装置本体11に内蔵されたコンピュータによって処理装置12が構成されていてもよい。
【0066】

また、処理装置12は、装置本体11、処方条件入力装置50、及び後述するデータベースサーバ70と通信可能に接続されている。なお、処理装置12と各機器との接続方式については有線接続方式であってもよく、若しくは無線接続方式であってもよい。
【0067】

また、処理装置12は、図6に示すように、制御部21、処方条件情報取得部22、画像取得部23、前処理部24、判定部25及び条件判断部26を有する。図6は、処理装置12の構成を示すブロック図である。これらの各部は、処理装置12が備える不図示のCPU(Central Processing Unit)及びメモリ等のハードウェア機器と、処理装置12に格納された情報処理プログラムとが協働することで実現される。この情報処理プログラムは、同プログラムが記憶されたCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体から読み出して取得してもよく、あるいは、所定のサイトからネットワーク経由でダウンロードして取得してもよい。 なお、本実施形態では、処理装置12の各機能部(具体的には、制御部21、処方条件情報取得部22、画像取得部23、前処理部24、判定部25及び条件判断部26)が一台のパーソナルコンピュータによって構成されているが、これに限定されるものではなく、上記の機能部のうちの一部が一台のパーソナルコンピュータによって構成されており、残りの機能部が別のパーソナルコンピュータによって構成されていてもよい。
【0068】

制御部21は、装置本体11に搭載された駆動制御回路11aを介して装置本体11各部(具体的には、搬送部14、画像撮影部16、光照射部17及び外力付与部40)と電気的に接続されており、装置本体11各部を制御する。より詳しく説明すると、制御部21は、搬送部14の搬送動作に関して、一回の搬送動作における搬送量、搬送の向き、及び搬送動作のタイミング等を制御する。また、制御部21は、画像撮影部16の撮影動作に関して、画像撮影部16が有する2台のカメラ16a、16bの中で使用するカメラ、及び画像撮影のタイミング等を制御する。また、制御部21は、光照射部17の光照射動作に関して、光照射部17が有する4つの発光部17a、17b、17c、17dの中で使用する発光部、及び光照射のタイミング等を制御する。
【0069】

さらに、制御部21は、動作実行条件が満たされたときに、外力付与部40に外力付与動作を実行させる。ここで、外力付与動作とは、配置部15に配置された包装袋1に包まれた薬剤(すなわち、判定対象の薬剤)に対して外力を付与してその薬剤を動かす外力付与部40の動作である。外力付与部40の外力付与動作が実行されることにより、配置部15に配置された包装袋1において薬剤が密集している場合には散開させたり、薬剤が起立している場合には横転させたり、薬剤の位置が所望の範囲から外れている場合には移動させたりすることが可能である。ちなみに、外力付与動作は、配置部15に配置された薬剤又は包装袋1に対して外力を直接付与する場合のみならず、薬剤及び包装袋1には直接接触しないで間接的に外力を付与する場合も含むものとする。

なお、外力付与動作を実行するか否かを判断するために設定された動作実行条件については、後に詳述する。
【0070】

処方条件情報取得部22は、処方条件入力装置50と通信可能に接続されており、処方条件入力装置50と通信することにより、処方条件情報を取得する。ここで、処方条件情報とは、処方条件を示す情報であり、具体的には、薬剤師が処方条件入力装置50に入力した処方条件を示す電子データである。
【0071】

なお、本実施形態では、処方条件入力装置50において処方条件の入力が完了すると、処方条件入力装置50から処方条件情報取得部22に向けて処方条件情報が自動的に送られ、処方条件情報取得部22が上記の処方条件情報を受信することになっている。ただし、これに限定されるものではなく、処方条件情報取得部22から情報送信要求が送られ、この要求を処方条件入力装置50が受け付けた時点で処方条件入力装置50が処方条件情報を送信してもよい。より具体的に説明すると、処方条件を特定するための文字列情報、あるいは二次元バーコード情報が包装袋連続体3の先端部(包装袋連続体3中、最初に装置本体11内に導入される部分)に印刷されており、包装袋連続体3が装置本体11内に導入された際に処方条件情報取得部22が上記の印刷情報を読み取る。その後、処方条件情報取得部22は、読み取った印刷情報に基づき、装置本体11内に導入された包装袋連続体3中の各包装袋1に分包された薬剤に係る処方条件を示す処方条件情報を、処方条件入力装置50に対して要求する。この要求を受け付けた処方条件入力装置50は、要求を解析し、要求に係る処方条件情報を特定し、特定した処方条件情報を処理装置12に向けて送信する。
【0072】

画像取得部23は、画像撮影部16(厳密には、第一カメラ16a及び第二カメラ16b)と接続されており、ネットワークを介して、画像撮影部16が撮影した画像を取得する。ここで、画像取得部23が取得する画像とは、画像データのことであり、具体的には、JPEG(Joint Pthotographic Experts Group)形式、GIF(Graphics Interchange Format)形式、PNG(Portable Network Graphics)形式、TIFF(Tagged

Image File Format)形式、及びBMP(Bitmap Image)形式等の画像データである。
【0073】

なお、画像取得部23は、画像撮影部16が画像を撮影する度、画像撮影部16から画像を取得する。より詳しく説明すると、本実施形態では、前述したように、薬剤が分包された一つの包装袋1につき、画像が撮影条件別に複数回(具体的には8回)撮影されることになっている。したがって、画像取得部23は、各包装袋1及びその包装袋1に包まれた薬剤について、撮影条件別の画像(すなわち、8枚の画像)を取得することになる。また、配置部15に配置される包装袋1が切り換わると、画像撮影部16が新たに画像を撮影条件別に撮影するため、これに伴って、画像取得部23が、新たに撮影された撮影条件別の画像を取得することになる。
【0074】

前処理部24は、画像取得部23が画像撮影部16から取得した画像(つまり、判定対象の薬剤の画像データ)に対して前処理を実行する。前処理とは、画像取得部23が取得した画像に写った薬剤の表面に形成された識別情報を強調するための処理である。
【0075】

具体的に説明すると、本実施形態では、前述したように、一つの包装袋1に包まれた薬剤に対して、画像を光の照射方向を変えて複数回(具体的には、4回)撮影する。ここで、光の照射方向別の画像のそれぞれでは、画像に写った薬剤の表面において光の照度ムラが生じている。こうした光の照度ムラは、薬剤の表面に形成された識別情報を検出及び特定する際に影響を及ぼす。また、光の照度ムラは、光の照射方向に応じて異なる。そこで、前処理部24は、前処理を実行する。前処理では、光の照射方向別に撮影した画像に対して、照射方向に応じた方向のエッジ抽出フィルタであって、各画像に写った識別情報のエッジ(刻印の溝)の画素数に応じたサイズのエッジ抽出フィルタをそれぞれ用いて、照射方向別のエッジ画像を生成し、その後に複数のエッジ画像を合成して合成画像を生成する。エッジ抽出フィルタとしては、ソーベルフィルタ、ラプラシアンフィルタ、及びキャニーフィルタのうちの少なくとも一つを含むことができ、後の判定方法に応じて適宜選択することができる。
【0076】

以上の前処理が実施された画像は、光の照射方向に応じて変化する光の照度ムラが極力排除され、画像に写った薬剤の表面に形成されている識別情報が強調された画像となる。詳しくは、薬剤の表面において、識別情報を示す刻印の溝よりも小さい模様及び傷等の刻印以外の情報を低減し、刻印を抽出することが可能となる。
【0077】

判定部25は、配置部15に配置された包装袋1に包まれた薬剤(すなわち、判定対象の薬剤)の個数及び種類を判定するものである。
【0078】

判定部25によって行われる判定の具体的な手順について、図7を参照しながら説明する。図7は、判定部25による判定フローの大まかな流れを示す図である。判定部25による判定フローでは、図7に示すように、先ず、前処理が実施された画像から、判定対象の薬剤が写っている領域を特定する工程が行われる(S001)。以下では、前処理が実施された画像を「前処理後画像」と呼ぶこととし、前処理後画像の中で薬剤が写っている領域を「薬剤存在領域」と呼ぶこととする。

なお、本実施形態では、前処理を先に実行してから、前処理によって得られた前処理後画像に対して薬剤存在領域特定工程S001、及び後述の画素群抽出工程S002を実施することとしたが、これに限定されるものではない。光の照射方向別に取得した撮影画像のそれぞれに対して薬剤存在領域特定工程S001及び画素群抽出工程S002を実施し、これらの工程が実施された照射方向別の撮影画像(厳密には、後述の薬剤抽出画像X)に対して、前処理を実施する形でもよい。
【0079】

薬剤存在領域特定工程S001では、前処理後画像に対して公知のエッジ抽出処理及びセグメンテーション処理を行い、画像内の薬剤の輪郭を特定する。そして、特定された輪郭に囲まれた領域を薬剤存在領域として特定する。前処理後画像に複数の薬剤が写っている場合には、薬剤の個数だけ薬剤存在領域を特定する。
【0080】

薬剤存在領域特定工程S001の実施後、判定部25は、前処理後画像を構成する画素群の中から、薬剤存在領域に該当する画素群を抽出する(S002)。抽出された画素群は、図8に示すように、薬剤存在領域を取り囲む矩形(図8中の符号Xが付された矩形領域)をなしている。以下では、抽出された画素群を「薬剤抽出画像X」と呼ぶこととする。なお、薬剤存在領域特定工程S001において複数の薬剤存在領域を特定した場合には、薬剤存在領域別に薬剤抽出画像Xを特定することになる。

ちなみに、図8は、薬剤抽出画像Xの説明図である。なお、図8に図示の画素サイズ(画像に対する画素1つあたりの大きさ)は、図示の都合上、実際の画素サイズよりも大きく描かれている。
【0081】

また、画素群抽出工程S002では、薬剤抽出画像Xのサイズ及び位置を特定する。ここで、薬剤抽出画像Xのサイズは、薬剤抽出画像Xをなす矩形状の画素群の面積であり、図8に図示した二辺の長さd1、d2の積に相当する。
【0082】

また、薬剤抽出画像Xの位置は、基準位置を原点とし、搬送方向及び交差方向を座標軸方向としたときの座標位置であり、具体的には、薬剤抽出画像Xをなす矩形状の画素群の対角線の交点位置であり、図8に図示の点Pの座標に相当する。このように薬剤抽出画像Xの位置を特定することにより、画像撮影部16の撮影範囲(厳密には、第一カメラ16a及び第二カメラ16bのそれぞれの画角)に対する、判定対象の薬剤の撮影位置(配置位置)を特定することが可能となる。なお、本実施形態では、原点とする基準位置は、画像撮影部16(厳密には、第一カメラ16a及び第二カメラ16b)の撮影範囲の中央位置に設定されているが、これに限定されるものではなく、任意の位置に設定してもよい。
【0083】

画素群抽出工程S002の実施後、判定部25は、処方条件情報取得部22を用いて取得した処方条件情報から、処方すべき薬剤の種類を特定し、特定した種類の薬剤のマスタ画像をデータベースDBから読み出す工程を行う(S003)。本工程S003では、処方すべき薬剤の種類が複数ある場合、すなわち、複数種類の薬剤が包装袋1に分包される場合には、種類別にマスタ画像を読み出す。
【0084】

ここで、マスタ画像について説明すると、マスタ画像は、薬剤の種類に対応させて登録された薬剤の画像であり、処方条件情報から特定される種類の薬剤について予め登録された画像である。また、本実施形態において、マスタ画像は、包装袋1に包まれた状態で撮影された薬剤の画像から得られる。また、判定部25による判定が過去に行われたことがある薬剤の種類については、その種類の薬剤を画像撮影部16が過去に撮影した撮影画像(厳密には、薬剤抽出画像X)のうち、マスタ画像に写った薬剤の種類と一致すると判定された薬剤の撮影画像を、新たなマスタ画像として登録することになっている。
【0085】

データベースDBについて説明すると、図9に示すように、データベースDBは、各薬剤のマスタ画像と薬剤の種類とを互いに対応付けて登録したものである。図9は、マスタ画像を登録したデータベースDBの説明図である。
【0086】

また、データベースDBには、マスタ画像のほかに、薬剤名称、薬剤の表面に形成された識別情報、薬剤のサイズとしての平面視サイズ及び厚みが薬剤の種類と対応付けて登録されている。なお、データベースDBに登録される情報については、上記の情報に限定されるものではなく、上記の情報以外の情報が登録されていてもよい。
【0087】

また、本実施形態において、データベースDBは、外部のデータベースサーバ70に設けられており、判定部25は、データベースサーバ70と通信してデータベースDBにアクセスする。ただし、これに限定されるものではなく、データベースDBが処理装置12に設けられてもよく、すなわち、処理装置12内の記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0088】

マスタ画像をデータベースDBから読み出した後、判定部25は、読み出したマスタ画像と、画像撮影部16が撮影した判定対象の薬剤の画像(厳密には、薬剤抽出画像X)とを用いて、判定対象の薬剤の種類及び種類別の個数を判定する(S004)。

具体的に説明すると、判定工程S004では、複数の薬剤抽出画像Xのそれぞれに対して、マスタ画像とのテンプレートマッチングを行い、マスタ画像との間の類似度(相関値)を評価する。類似度の評価方法については、公知のジオメトリックハッシング法又はLLHA(Locally Likely Arrangement Hashing)法が利用可能である。そして、複数の薬剤抽出画像Xのうち、最も類似度が高い画像に写った薬剤の種類が、マスタ画像に写った薬剤の種類と一致すると判定する。
【0089】

以上の手順を、読み出したマスタ画像の分だけ(つまり、処方条件情報取得部22が取得した処方条件情報が示す薬剤の種類の数だけ)繰り返すことにより、判定対象の薬剤のそれぞれについて種類が特定される。その後、判定部25は、種類が特定された薬剤の数をそれぞれ集計し、種類別の個数を計数する。
【0090】

以上までに説明した手順にて、判定部25による判定が行われる。そして、配置部15に配置される包装袋1が切り換わると(すなわち、判定対象の薬剤が変わると)、その度に判定が繰り返し行われる。つまり、配置部15に配置される包装袋1が切り換わり、その包装袋1に包まれた薬剤の画像が取得されると、新たに取得した画像を用いて判定が行われる。なお、包装袋連続体3中の各包装袋1に同一の処方条件で薬剤が分包される場合、2回目以降の判定では、1回目の判定で用いたマスタ画像をそのまま流用できるので、マスタ画像をデータベースDBから読み出す工程S003を省いてもよい。
【0091】

以上までに説明してきた手順により、包装袋連続体3中の各包装袋1(厳密には、空袋1A以外の包装袋1)に包まれた薬剤に対して判定が行われることで、それぞれの包装袋1に薬剤が処方箋の指示どおりに正しく分包されているどうかを鑑査することが可能である。
【0092】

条件判断部26は、動作実行条件が満たされているかを判断するものである。なお、条件判断部26については、後の項で詳しく説明するとする。
【0093】

<<薬剤判定装置の動作>>

次に、薬剤判定装置10の動作について図10を参照しながら説明する。図10は、薬剤判定装置10の動作の流れを示す図である。なお、以下に説明する薬剤判定装置10の動作において、本発明の薬剤判定方法が実現されており、特に、後述する外力付与の制御フロー及びこれに関連する工程(具体的には、処方条件情報の取得S011、搬送動作S013、及び画像撮影工程S015)が、本発明の薬剤判定方法を構成する。
【0094】

先ず、処方箋入力作業において処方条件情報の入力が完了すると、処理装置12の処方条件情報取得部22が、処方条件入力装置50と通信し、入力された処方条件を示す処方条件情報を取得する(S011)。
【0095】

一方で、入力された処方条件(換言すると、処方条件情報取得部22が取得した処方条件情報が示す処方条件)に則って分包機60により自動分包作業が行われると、薬剤を包んだ包装袋1が連なった帯状の包装袋連続体3が作成される。この包装袋連続体3は、装置本体11の筐体13に形成された導入部13aによって、装置本体11内部に導入される(S012)。
【0096】

包装袋連続体3が装置本体11内に導入されると、搬送部14による搬送動作が間欠的に繰り返し行われる(S013)。各搬送動作では、包装袋連続体3を所定量だけ搬送方向下流側に搬送する。包装袋連続体3が搬送方向下流側に搬送されると、やがて、包装袋連続体3中の一つの包装袋1が配置部15に配置される。そして、搬送動作が行われる度に、包装袋連続体3中、配置部15に配置される包装袋1が切り換わる。
【0097】

搬送動作と次の搬送動作との間の期間(つまり、包装袋連続体3の搬送が停止している間)には、光照射部17が、配置部15に配置された包装袋1に包まれた薬剤に対して光を照射する(S014)。その状態で、画像撮影部16が第一カメラ16a及び第二カメラ16bのそれぞれを用いて、配置部15に配置された包装袋1に包まれた画像(すなわち、判定対象の薬剤)を撮影する(S015)。
【0098】

光照射部17による光照射工程S014について詳しく説明すると、光照射部17は、配置部15の周りに配置された4つの発光部17a、17b、17c、17dの一つからから光を照射した後、発光部を順次切り換え(S016、S017)、切換え後の発光部17a、17b、17c、17dから光を再度照射する。つまり、光照射部17は、光の照射方向を順次切り換え、それぞれの方向から光を照射する。そして、画像撮影部16は、判定対象の薬剤の画像を光の照射方向別に撮影する。これにより、配置部15に配置された包装袋1に包まれている薬剤については、計8つ(カメラの台数×光の照射方向の数)の画像が撮影されることになる。
【0099】

なお、上述した光照射工程S014、画像撮影工程S015、及び発光部切換え工程S017は、配置部15に配置されている包装袋1が搬送動作に伴って切り換わる度に繰り返し行われる。
【0100】

撮影された画像は、随時、処理装置12の画像取得部23に伝送される(S018)。その後、画像取得部23が取得した画像に対して、処理装置12の前処理部24によって前処理が実施される(S019)。これにより、薬剤の表面に刻印にて形成された識別情報のエッジが強調された前処理後画像が生成される。
【0101】

一方で、処理装置12の判定部25が、前処理後画像に写った薬剤(すなわち、判定対象の薬剤)に係る処方条件を特定する(S020)。具体的には、S011で取得した処方条件情報から、包装袋連続体3中の各包装袋1に分包された薬剤に対して設定された処方条件(詳しくは、薬剤の種類及び種類別の個数)を特定する。
【0102】

その後、判定部25は、上述した判定フローの手順により、包装袋連続体3中の各包装袋1に分包された薬剤の種類を判定する(S021)。判定フローにおいて、判定部25は、データベースサーバ70のデータベースDBにアクセスし、前工程S020で特定した処方条件(具体的には、薬剤の種類)と対応するマスタ画像を読み出す。そして、判定部25は、前処理後画像とマスタ画像とを用いて、配置部15に配置された包装袋1に包まれた薬剤の種類及び個数を判定する。
【0103】

そして、一つの包装袋1に包まれた薬剤の種類及び個数が処方条件と合致した場合には(S022でYes)、その後に、以上までに説明してきた搬送動作から判定フローまでの一連の工程S013~S021が再度行われる。すなわち、上流側で隣接する包装袋1が配置部15に配置されるようになり、その包装袋1内の薬剤を判定対象の薬剤として、光照射工程S014、画像撮影工程S015、発光部切換え工程S017、及び判定部25による判定フローが行われる。
【0104】

一方、一つの包装袋1に包まれた薬剤の種類及び個数が処方条件と合致していない場合には(S022でNo)、後述する外力付与制御フローが実施された後(S023)、前述の光照射工程S014まで戻り、上記の手順にて、その後の工程S015~S021が繰り返される。つまり、一つの包装袋1に包まれた薬剤の種類及び個数が処方条件と合致していない場合には、同じ包装袋1が配置部15に配置されたままの状態で、光照射工程S014、画像撮影工程S015、発光部切換え工程S017、及び判定部25による判定フローが繰り返される。
【0105】

以降、包装袋連続体3中のすべての包装袋1について、包装袋1に包まれた薬剤に対する判定が終了するまで、配置部15に配置される包装袋1が切り換わる都度、一連の工程S013~S021が繰り返し実施される(S024)。
【0106】

判定部25は、包装袋連続体3中の各包装袋1に分包された薬剤を判定対象として上記の判定を行い、すべての判定が終了すると、その判定結果を示す文字情報を不図示のディスプレイに表示する(S025)。詳しく説明すると、判定部25は、包装袋連続体3中の各包装袋1に包まれた薬剤の種類についての判定結果を報知するための文字情報をディスプレイに表示する。

なお、ディスプレイに表示する判定結果については、包装袋連続体3中のどの包装袋1に包まれた薬剤に対する判定結果であるかが明瞭に把握できればよく、包装袋1別に切り換えて判定結果を表示してもよく、あるいは、包装袋連続体3中の各包装袋1のそれぞれの判定結果を、包装袋1の位置又は順序と対応付けつつ、まとめて表示してもよい。
【0107】

そして、搬送部14の搬送動作によって包装袋連続体3が装置本体11の筐体13の排出部に到達し、包装袋連続体3の末端側にある包装袋1(搬送方向において最も上流側に位置する包装袋1)が筐体13の外に排出された時点で、薬剤判定装置10の基本動作が終了する。
【0108】

<<外力付与部について>>

次に、薬剤判定装置10の装置本体11が有する外力付与部40について詳細に説明する。外力付与部40は、外力付与動作を実施して、配置部15に配置された包装袋1に包まれた各薬剤(すなわち、判定対象の薬剤)に対して外力を付与し、配置部15に配置された包装袋1内の各薬剤を動かす。この外力付与部40の外力付与動作により、配置部15に配置された包装袋1内の薬剤が包装袋1内で移動したり、姿勢を変えたりする。この結果、配置部15に配置された包装袋1において薬剤が密集している場合には散開するようになり、薬剤が起立している場合には横転するようになり、薬剤の位置が所定の範囲から外れている場合にはその範囲内に向かって移動するようになる。
【0109】

本実施形態に係る外力付与部40は、外力として、配置部15に配置された包装袋1に包まれた薬剤(すなわち、判定対象の薬剤)に対して振動を付与する。振動を付与する外力付与部40としては、例えば、図3に図示の外力付与部40が利用可能である。図3に図示の外力付与部40は、片持ち状態で支持された板バネ41と、板バネ41を振動させる駆動源(不図示)によって構成されている。板バネ41は、配置部15の近傍に配置されており、その自由端部は、配置部15の搬送方向上流側端部の直下に位置している。そして、駆動源が起動して板バネ41の自由端部が振動(上下動)すると、板バネ41の振動が、配置部15を介して包装袋1及びその包装袋1内部の薬剤に伝達される。これにより、判定対象の薬剤に外力としての振動が付与される。この結果、薬剤の位置が変化し、あるいは起立姿勢にある薬剤が横転するようになる。
【0110】

なお、板バネ41の振動の伝達経路については、配置部15を介して包装袋1、及びその包装袋1に包まれた薬剤に伝達されるケースに限定されない。例えば、板バネ41が包装袋1に接した状態で振動し、その振動が、配置部15に配置された包装袋1に直接伝達されてもよい。

また、図3に示す外力付与部40では、板バネ41が一つのみ設けられているが、これに限定されず、板バネ41及び板バネ41を振動させる駆動源が、それぞれ複数個ずつ設けられてもよい。また、板バネ41の配置位置についても、限定されるものではなく、図3に図示の位置(すなわち、配置部15の搬送方向上流側端部の直下位置)以外の位置に配置されてもよい。
【0111】

また、外力付与部40は、板バネ41を用いたものに限定されず、他の例も考えられる。例えば、図11に図示の外力付与部40(以下、第二例の外力付与部40L)も利用可能である。図11は、第二例の外力付与部40Lを示す模式図である。

第二例の外力付与部40Lは、図11に示すように、交差方向に沿って配置された支持軸42と、支持軸42に回転自在に支持されたローラ43と、支持軸42を把持するアーム44と、アーム44を昇降させるための昇降機構45と、昇降機構45を動かしてアーム44を昇降させる不図示の駆動機構を有する。
【0112】

ローラ43は、ゴム若しくはスポンジ等の弾性体からなる外周部を有し、支持軸42と一体的に回転する。図11に図示した第二例の外力付与部40Lでは、ローラ43が配置部15の上方位置に配置されている。また、ローラ43の全長(軸方向における長さ)は、包装袋連続体3の横幅(すなわち、包装袋1の横幅)よりも長くなっている。アーム44は、昇降機構45の機能によって昇降し、通常時には上端位置(図11では破線にて示す位置)にあり、第二例の外力付与部40Lを用いる場合には下端位置(図11では実線にて示す位置)にある。アーム44が上端位置にあるとき、ローラ43は、配置部15よりも上方に位置しており包装袋連続体3から離間している。これに対して、アーム44が下端位置にあるときには、図11に示すように、ローラ43の外周部が包装袋連続体3、特に、配置部15に配置された包装袋1に当接する。このとき、ローラ43の外周部は、交差方向における包装袋1の一端から他端に亘って、その包装袋1と当接する。
【0113】

そして、配置部15に配置された包装袋1にローラ43が当接すると、配置部15に配置された包装袋1の表面全体(ローラ43と対向する上側表面全体)がローラ43と当接するように、搬送部14が包装袋連続体1を搬送する。このとき、ローラ43の外周部は、配置部15に配置された包装袋1を介して、その包装袋1に包まれた薬剤(すなわち、判定対象の薬剤)を押圧する。この結果、判定対象の薬剤に対して外力としての押圧力が付与され、包装袋1内で薬剤が均されるようになる。その後、搬送部14は、搬送した量と同じ量だけ、直前の搬送の向きとは逆向きに包装袋連続体3を搬送する。
【0114】

なお、上述した第二例の外力付与部40Lでは、配置部15に配置された包装袋1に包まれた薬剤に外力(押圧力)を付与するにあたり、包装袋1がローラ43と当接した状態で搬送部14が包装袋連続体3を搬送することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ローラ43自体が、配置部15に配置された包装袋1と当接した状態で搬送方向下流側に移動してもよい。
【0115】

また、図12に図示の外力付与部40(以下、第三例の外力付与部40M)も利用可能である。図12は、第三例の外力付与部40Mを示す模式図である。

第三例の外力付与部40Mは、鉛直方向に沿って配置された軸部46と、軸部46の先端に取り付けられた当接部47と、軸部46に伸縮自在に取り付けられたコイルバネ48と、軸部の先端とは反対側の端部に設けられた鍔状の抜け止め部46aと、軸部46を昇降させるための昇降機構49と、昇降機構49を動かして軸部46を昇降させる不図示の駆動機構を有する。なお、軸部46、当接部47、コイルバネ48、抜け止め部46a及び昇降機構49の組み合わせは、交差方向において一定ピッチ毎に複数組設けられている。
【0116】

当接部47は、ゴムやスポンジ等の柔らかい材質によって構成されている。当接部47は、半球面又は湾曲面となった下面(当接面)を有し、コイルバネ48によって下方に付勢されている。図12に図示した第三例の外力付与部40Mでは、軸部46及び当接部47が配置部15の上方位置に配置されている。軸部46は、昇降機構49の機能によって昇降し、通常時には上端位置(図12では破線にて示す位置)にあり、第三例の外力付与部40Mを用いる場合には下端位置(図12では実線にて示す位置)にある。軸部46が上端位置にあるとき、当接部47は、配置部15よりも上方に位置しており、包装袋連続体3から離間している。これに対して、軸部46が下端位置にあるときには、図12に示すように、当接部47の下面が包装袋連続体3、特に、配置部15に配置された包装袋1と当接する。
【0117】

配置部15に配置された包装袋1に当接部47の下面が当接すると、昇降機構49が、当接部47が包装袋1から僅かに浮く位置まで軸部46をいったん上昇させ、その後、再び軸部46を下降させて当接部47の下面を再び包装袋1と当接させる。このような当接部47の上下移動動作を繰り返しながら、配置部15に配置された包装袋1の表面全体(当接部47と対向する上側表面全体)が当接部47と当接するように、搬送部14が包装袋連続体3を搬送する。このとき、当接部47の下面が、配置部15に配置された包装袋1を介して、その包装袋1に包まれた薬剤(すなわち、判定対象の薬剤)と衝突する。この結果、判定対象の薬剤に対して外力としての衝撃が付与され、包装袋1内で起立している薬剤が横転するようになる。その後、搬送部14は、搬送した量と同じ量だけ、直前の搬送の向きとは逆向きに包装袋連続体3を搬送する。
【0118】

なお、上述した第三例の外力付与部40Mでは、配置部15に配置された包装袋1に包まれた薬剤に外力(衝撃)を付与するにあたり、軸部46及び当接部47を上下に往復移動させながら搬送部14が包装袋連続体3を搬送することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、軸部46及び当接部47が上下に往復移動しながら、更に搬送方向に沿って移動してもよい。
【0119】

外力付与部40については、更なる変形例として第四例が考えられる。第四例の外力付与部40は、既出の搬送部14によって構成されている。具体的に説明すると、搬送部14は、外力付与動作として、搬送方向下流側に所定量だけ包装袋連続体3を搬送する動作と、搬送方向上流側に所定量だけ包装袋連続体3を戻す動作と、を交互に繰り返す。このときの各搬送動作における搬送量は、僅かな搬送量に設定されている。このような搬送方向上流側及び下流側の交互の搬送により、配置部15に配置された包装袋1が、搬送方向に沿って揺動する。この結果、配置部15に配置された包装袋1に包まれた薬剤(判定対象の薬剤)に対して外力としての揺動が付与され、包装袋1内で薬剤が均されるようになる。
【0120】

以上までに外力付与部40について幾つかの構成例を挙げて説明した。すなわち、本実施形態では、配置部15に配置された包装袋1に包まれた薬剤に対して振動、揺動、衝撃及び押圧力のうちのいずれか一つを外力として付与する外力付与部40を説明した。ただし、外力付与部40については、上記の構成例に限定されるものではない。外力付与部40としては、上記の構成例のほかに、配置部15に配置された包装袋1を叩くもの、撫でるもの、振るもの、及び擦るもの等、包装袋1内において薬剤を動かし得るものであれば、制限なく利用可能である。また、外力付与部40については、上述した構成例のいずれか一つを単独で用いてもよく、あるいは、上述した構成例の幾つかを組み合わせて用いてもよい。
【0121】

<<外力付与部を動作させるための条件について>>

次に、上述した外力付与部40に外力付与動作を実行させるための条件、すなわち、動作実行条件について説明する。

外力付与部40は、薬剤判定装置10の処理装置12が有する制御部21によって制御され、制御部21は、動作実行条件が満たされると、外力付与動作を外力付与部40に実行させる。
【0122】

より具体的に説明すると、薬剤判定装置10の処理装置12には、図6に示すように、動作実行条件が満たされているかを判断する条件判断部26が備わっている。そして、動作実行条件の動作実行条件が満たされていると条件判断部26が判断すると、制御部21が、条件判断部26による判断結果が得られた時点で配置部15に配置されている包装袋1内の判定対象の薬剤に対して外力を付与する外力付与動作を、外力付与部40に実行させる。
【0123】

条件判断部26について説明すると、配置部15に配置された包装袋1に包まれた薬剤

(すなわち、判定対象の薬剤)の種類及び個数が合致していないと判定部25が判定したとき、条件判断部26は、動作実行条件が満たされているかを判断する。動作実行条件の成否判断については、その判断時点で配置部15に配置されている包装袋1内の薬剤(すなわち、判定対象の薬剤)を対象として行われる。
【0124】

条件判断部26は、動作実行条件成否の判断時点で配置部15に配置されている包装袋1及びその包装袋1に包まれた薬剤について取得した画像を用いて、動作実行条件が満たされているかを判断する。ここで、条件判断部26が用いる画像は、画像取得部23が取得した画像、及び前処理部24が前処理を実行して得られた前処理後画像である。
【0125】

ここで、動作実行条件について説明すると、本実施形態では、動作実行条件に、下記の第一動作実行条件~第五動作実行条件が含まれている。以下では、各動作実行条件の内容と、各動作実行条件の成否の判断方法について説明することとする。
【0126】

(第一動作実行条件)

第一動作実行条件は、その成否判断時点で配置部15に配置されている包装袋1の撮影画像に写っている薬剤、すなわち、判定対象の薬剤の個数が、処方条件情報から特定される薬剤の数量(具体的には、包装袋1内に分包される数量)と異なっている、より詳しくは、処方条件情報から特定される薬剤の数量よりも少ないという条件である。例えば、包装袋1内で薬剤が重なり合って、一つの薬剤が他の薬剤の下に潜り込んで隠れている場合には、第一動作実行条件が満たされ得る。
【0127】

条件判断部26は、配置部15に配置されている包装袋1の画像、厳密には前処理後画像を用いて、第一動作実行条件の成否を判断する。より詳しく説明すると、条件判断部26は、判定フローの薬剤存在領域特定工程S001及び画素群抽出工程S002によって前処理後画像から抽出された薬剤画像(すなわち、薬剤抽出画像X)を計数する。条件判断部26は、抽出された薬剤抽出画像Xの数と、処方条件情報から特定される薬剤の数量とを比較する。そして、薬剤抽出画像Xが処方条件情報から特定される薬剤の数量よりも少ない場合、条件判断部26は、第一動作実行条件が満たされていると判断する。なお、第一動作実行条件の成否を判断するにあたり、条件判断部26は、判定部25による判定の結果を利用することができ、より詳しくは、判定部25が判定フローにおいて計数した種類別の薬剤の個数を援用することができる。
【0128】

(第二動作実行条件)

第二動作実行条件は、その成否判断時点で配置部15に配置されている包装袋1の撮影画像に写っている薬剤、すなわち、判定対象の薬剤の形状が、処方条件情報から特定される薬剤の種類に対応した形と異なっているという条件である。

より具体的に説明すると、第二動作実行条件は、画像撮影部16が撮影した画像に写った判定対象の薬剤の形が、処方条件情報から特定される薬剤の種類と対応したマスタ画像に写った薬剤の形と異なるという条件である。ここで、マスタ画像に写った薬剤の形とは、マスタ画像中から薬剤を切り出す際の矩形(つまり、薬剤を囲む矩形)の形状であり、円形の薬剤が通常の状態にあれば、薬剤の形が正方形となり、その薬剤が起立していれば長方形になる。そして、例えば、円形の薬剤が包装袋1内で起立しているために、その薬剤の形が通常状態の形とは異なった形、すなわち、薬剤が起立しているために長方形になっている場合には、第二動作実行条件が満たされ得る。なお、薬剤の形が正方形であるか長方形であるかの判断については、公知の形状判定技術が利用可能であり、例えば、薬剤の形である矩形の各辺を測定することで判定可能である。
【0129】

条件判断部26は、配置部15に配置されている包装袋1の画像、厳密には前処理後画像を用いて、第二動作実行条件の成否を判断する。より詳しく説明すると、条件判断部26は、判定フローの薬剤存在領域特定工程S001及び画素群抽出工程S002によって前処理後画像中から抽出された薬剤画像(すなわち、薬剤抽出画像X)と、マスタ画像読出し工程S003で読み出したマスタ画像とを用い、それぞれの画像に写った薬剤の外形形状が互いに異なっているかどうかを判断する。この際、条件判断部26は、判定部25による判定の結果を利用することができ、より詳しくは、判定部25がテンプレートマッチングにより評価した類似度(相関値)を援用することができる。

そして、薬剤抽出画像Xに写った薬剤の外形形状がマスタ画像に写った薬剤の外形形状と異なっている場合、条件判断部26は、第二動作実行条件が満たされていると判断する。
【0130】

(第三動作実行条件)

第三動作実行条件は、判定対象の薬剤として複数の薬剤が配置部15に配置されており、且つ、光照射部17が光を照射する際の照射方向において複数の薬剤のうちの一つの薬剤と他の薬剤とが互いに隣り合っている条件である。

より具体的に説明すると、第三動作実行条件は、複数の薬剤が配置部15に配置されており(換言すると、配置部15に配置された包装袋1内に複数の薬剤が存在し)、且つ、一つの薬剤よりも厚みが大きい他の薬剤が光照射部17から照射された光を遮る位置に配置された状態で、一つの薬剤と他の薬剤とが光の照射方向において互いに隣り合っているという条件である。
【0131】

以下、図13及び図14を参照しながら、第三動作実行条件について分かり易く説明する。図13及び図14は、第三動作実行条件の説明図であり、図13は、包装袋1に包装された薬剤を上方から見た図であり、図14は、包装袋1に包装された薬剤の模式的な断面を示す図である。

なお、以下では、包装袋1に三種類の薬剤F1、F2、F3が分包されているケースを具体例に挙げることする。また、三種類の薬剤F1、F2、F3のそれぞれの平面視サイズがS1、S2、S3であることとし、それぞれの厚みがd1、d2、d3であることとし、これらの値が下記の関係式(1)及び(2)を満たしていることとする。

S3<S2<S1 (1)

d3<d2<d1 (2)
【0132】

図13に図示のケースでは、光の照射方向(図13中、記号G1が付された方向)において薬剤F3(一つの薬剤に相当)が薬剤F1(他の薬剤に相当)と隣り合っている。ここで、薬剤F1の厚みは、薬剤F3の厚みよりも大きい。また、薬剤F1は、光の照射方向G1において光の照射源(すなわち、発光部17a)に近い位置にある。したがって、図14に示すように、薬剤F1は、薬剤F3から見て、光照射部17が照射する光を遮る位置に存在することになる。このような状況にあると、第三動作条件が満たされることになる。

なお、光を遮る位置とは、図14に示すように、隣り合う薬剤(光を遮られる薬剤)よりも光の照射源の近くにあり、且つ、光照射部17が照射する光の光路(図14中、破線にて示す)に掛かる位置のことである。
【0133】

ちなみに、図13に図示のケースでは、光の照射方向(図13中、記号G2が付された方向)において薬剤F2が薬剤F3と隣り合っており、薬剤F2の厚みが薬剤F3の厚みよりも大きく、薬剤F2は、光の照射方向G2において光の照射源(すなわち、発光部17c)に近い位置にある。したがって、薬剤F2は、薬剤F3から見て、光照射部17が照射する光を遮る位置に存在することになる。すなわち、図13に図示のケースでは、光の照射方向において互いに隣り合う薬剤同士の組み合わせが複数存在していることになる。
【0134】

条件判断部26は、配置部15に配置されている包装袋1の画像、厳密には、画像撮影部16が光の照射方向別に撮影した画像を用いて、第三動作実行条件の成否を判断する。具体的に説明すると、条件判断部26は、光の照射方向別の撮影画像のそれぞれにおいて、薬剤間の位置関係を特定し、厚みがより大きい薬剤が、光の照射方向において発光部17a、17b、17c、17d(厳密には、画像撮影時に光を発していた発光部)に近い位置にて、厚みがより小さい薬剤と隣り合っているかどうかを判定する。
【0135】

より詳しく説明すると、条件判断部26は、画像撮影時に光を照射した方向(換言すると、4つの発光部17a、17b、17c、17dのうちのいずれかを用いたか)を特定し、特定した光の照射方向において互いに隣り合った複数の薬剤が撮影画像中に存在するか否かを確認する。確認の結果、光の照射方向において互いに隣り合った複数の薬剤が存在する場合、これらの薬剤の厚みの大小関係を特定する。

薬剤の厚みの大小関係を特定する手順について説明すると、条件判断部26は、撮影画像を解析することで、互いに隣り合う複数の薬剤の各々の平面視サイズを特定する。また、条件判断部26は、特定した各薬剤の平面視サイズと、処方条件情報取得部22が取得した処方条件情報とに基づいて、互いに隣り合う複数の薬剤の各々の厚みを特定する。具体的に説明すると、条件判断部26は、データベースサーバ70からデータベースDBを読み出し、そのデータベースDBから、処方条件情報取得部22が取得した処方条件情報が示す薬剤の種類と対応する薬剤の平面視サイズ及び厚みを特定する。条件判断部26は、互いに隣り合う複数の薬剤の各々について、特定した平面視サイズと対応する厚みを割り出す。例えば、図9に図示のデータベースDBを利用した場合、平面視サイズS1である薬剤の厚みについては、種類がF1であると想定される薬剤の厚み(すなわち、h1)であることになる。
【0136】

以上の手順により、条件判断部26は、互いに隣り合う複数の薬剤の各々の厚みを特定した後、厚みがより大きい薬剤が、光の照射方向において発光部17a、17b、17c、17d(厳密には、画像撮影時に光を発していた発光部)に近い位置にて、厚みがより小さい薬剤と隣り合っているかどうかを判断する。そして、厚みがより大きい薬剤が、光の照射方向において発光部17a、17b、17c、17dに近い位置にて、厚みがより小さい薬剤と隣り合っていると判断した場合、条件判断部26は、第三動作実行条件が満たされていると判断する。
【0137】

なお、本実施形態では、上記のように、厚みがより大きい薬剤が、光の照射方向において発光部17a、17b、17c、17dに近い位置にて、厚みがより小さい薬剤と隣り合っている場合に、第三動作実行条件が満たされていると判断することとした。ただし、これに限定されるものではなく、厚みの大小に関係なく、複数の薬剤が光の照射方向において互いに隣り合っている場合に第三動作実行条件が満たされていると判断してもよい。
【0138】

(第四動作実行条件)

第四動作実行条件は、撮影画像に写った判定対象の薬剤の、配置部15における配置位置が、予め決められた領域内の位置であるという条件である。ここで、予め決められた領域は、光の照射方向において光照射部17の発光部17a、17b、17c、17dからの距離が閾値以上となった領域である。

より具体的に説明すると、第四動作実行条件は、画像撮影部16が撮影した画像に写った判定対象の薬剤の配置位置が、そのときに光を発していた一つの発光部17a、17b、17c、17dから閾値以上離れているという条件である。例えば、図15に示すように、配置部15に配置された包装袋1内の薬剤の一つ(図15中の薬剤F1)が、画像撮影時において、その時点で光を照射する発光部17aから閾値以上離れている場合には、第四動作実行条件が満たされることになる。図15は、第四動作実行条件についての説明図である。なお、説明の都合上、図15では、包装袋1に包まれている薬剤を一つのみ図示している。
【0139】

条件判断部26は、配置部15に配置されている包装袋1の画像、厳密には、画像撮影部16が光の照射方向別に撮影した画像を用いる第四動作実行条件の成否を判断する。具体的には、条件判断部26は、判定フローの薬剤存在領域特定工程S001及び画素群抽出工程S002と同様の手順により、照射方向別の撮影画像の各々の薬剤画像(薬剤が写った画素群)を抽出する。また、条件判断部26は、抽出した薬剤画像に写った薬剤の、配置部15における配置位置(厳密には、基準位置に対する薬剤の中央の座標位置)を特定する。さらに、条件判断部26は、その時点で光を発する発光部17a、17b、17c、17dの発光面(配置部15に向いている面)の中央の座標位置を特定する。分かり易く説明すると、図15に図示のケースでは、発光部17aの発光面の中央位置として座標C1の位置を特定し、薬剤F1の配置位置として座標C2の位置を特定する。
【0140】

その後、条件判断部26は、特定した二つの座標位置の間の距離(図15では記号gaと表記された距離)を算出し、算出した距離gaが閾値以上であるかどうかを判断する。

ここで、閾値は、処理装置12のメモリに予め記憶された値であり、具体的には、発光部17a、17b、17c、17dから光を照射したときの照度がその管理値を下回るときの距離gaが、閾値として記憶されている。

条件判断部26は、第四動作実行条件の成否を判断するにあたってメモリから閾値を読み出し、算出した距離gaが閾値以上である場合に、第四動作実行条件が満たされていると判断する。

なお、閾値については、4つの発光部17a、17b、17c、17dの間で同一の(共通の)値となっていてもよく、あるいは、発光部17a、17b、17c、17d毎に異なっていてもよい。
【0141】

(第五動作実行条件)

第五動作実行条件は、画像撮影部16が撮影した画像に写った薬剤(すなわち、判定対象の薬剤)の姿勢が、その薬剤の表面に形成された識別情報が画像撮影部16の撮影範囲(厳密には、第一カメラ16a及び第二カメラ16bの各々の撮影範囲)から外れている姿勢になっているという条件である。

より詳しく説明すると、第五動作実行条件は、画像に写った判定対象の薬剤の姿勢が、その表面に形成された識別情報が第一カメラ16a及び第二カメラ16bの各々の撮影範囲から外れている姿勢になっているという条件である。例えば、円柱形の薬剤の表面(外周面)に識別情報が形成されており、薬剤の外周面中、識別情報が形成されている部分が側方を向いており、第一カメラ16a及び第二カメラ16bのうち、いずれの撮影範囲からも外れている場合には、第五動作実行条件が満たされ得る。
【0142】

条件判断部26は、配置部15に配置されている包装袋1の画像、厳密には、前処理後画像を用いて、第五動作実行条件の成否を判断する。具体的には、条件判断部26は、前述した判定フローの薬剤存在領域特定工程S001及び画素群抽出工程S002によって前処理後画像中から抽出された薬剤画像(すなわち、薬剤抽出画像X)と、マスタ画像読出し工程S003で読み出したマスタ画像とを用いる。条件判断部26は、薬剤抽出画像Xに写った薬剤と、マスタ画像に写った薬剤とを照合し、読み出したマスタ画像に写った薬剤の識別情報が薬剤抽出画像Xに写っているか否かを判断する。そして、読み出したマスタ画像に写った薬剤の識別情報のいずれもが薬剤抽出画像Xに写っていない場合、条件判断部26は、第五動作実行条件が満たされていると判断する。
【0143】

以上までに、本実施形態にて動作実行条件として第一~第五動作実行条件について説明してきたが、動作実行条件には、第一動作実行条件及び第二動作実行条件のうちの少なくとも一方が含まれていればよく、上述した五つの条件の中で採用しない条件があってもよく、若しくは、上述した五つの条件以外の条件が追加されてもよい。
【0144】

<<外力付与の制御フロー>>

次に、制御部21が上述した動作実行条件の成否に基づいて外力付与部40を制御するフロー(以下、制御フロー)について、図16を参照しながら説明する。図16は、外力付与の制御フローの流れを示す図である。

本実施形態において、制御部21は、上述した五つの動作実行条件のうちのいずれか一つが成立した場合、外力付与部40に外力付与動作を実行させる。より詳しく説明すると、搬送部14の搬送動作が停止し、包装袋連続体3中の一つの包装袋1が配置部15に配置されている間に、条件判断部26が上述した手順により各動作実行条件の成否を判断する(S041、S043、S044、S046及びS047)。
【0145】

第一動作実行条件が満たされていると条件判断部26が判断した場合(S041でYes)、制御部21は、外力付与部40に外力付与動作を所定時間実行させる(S042)。その後、制御フローは、終了する。
【0146】

一方、第一動作実行条件が満たされていないと条件判断部26が判断した場合(S041でNo)、次に第二動作実行条件の成否が判断され(S043)、第二動作実行条件が満たされていると条件判断部26が判断した場合(S043でNo)、制御部21は、外力付与部40に外力付与動作を所定時間実行させる(S042)。その後、制御フローは終了する。
【0147】

また、第二動作実行条件が満たされていない場合、次に第三動作実行条件の成否が判断される(S044)。そして、第三動作実行条件が満たされていると判断した場合(S044でYes)、条件判断部26は、各画像撮影時に光の照射方向において互いに隣り合う一つの薬剤と他の薬剤との組み合わせが複数存在しているか否かを、さらに判断する(S045)。上記の組み合わせが複数存在していると条件判断部26が判断した場合(S045でYes)、制御部21は、外力付与部40に外力付与動作を所定時間実行させる

(S042)。その後、制御フローは終了する。
【0148】

一方、上記の組み合わせが一つのみ存在していると条件判断部26が判断した場合(S045でNo)には、制御部21は、外力付与部40に外力付与動作を実施させない。その代わりに、画像撮影部16が光の照射方向別に撮影した画像のうち、複数の薬剤が互いに隣り合う方向と同じ方向に光を照射して撮影した画像を不採用とし、残りの画像を用いて薬剤種類の判定等を行うことになる。ただし、これに限定されるものではなく、上記の組み合わせが一つのみである場合にも、外力付与動作を実施させてもよい。
【0149】

第三動作実行条件が満たされていない場合、又は、第三動作実行条件が満たさせているものの、光の照射方向において互いに隣り合う薬剤同士の組み合わせが複数存在していない場合、次に第四動作実行条件の成否が判断される(S046)。第四動作実行条件が満たされていると条件判断部26が判断した場合(S046でYes)、制御部21は、外力付与部40に外力付与動作を所定時間実行させる(S042)。その後、制御フローは終了する。
【0150】

第四動作実行条件が満たされていない場合、次に第五動作実行条件の成否が判断される(S047)。第五動作実行条件が満たされていると条件判断部26が判断した場合(S047)、制御部21は、外力付与部40に外力付与動作を所定時間実行させる(S048)。外力付与動作の実行後にはステップS047に戻り、条件判断部26による第五動作実行条件の成否の判断が再び行われる(S047)。
【0151】

そして、再度の判断において第五動作実行条件が依然として満たされていると判断された場合、制御部21は、外力付与部40に外力付与動作を再度実行させる(S048)。このように本実施形態では、外力付与部40に外力付与動作を実行させた後に第五動作実行条件が満たされているとき、制御部21は、外力付与部40に外力付与動作を繰り返し実行させる。これにより、配置部15に配置されている包装袋1内の薬剤の姿勢が、その薬剤の表面に形成された識別情報が画像撮影部16の撮影範囲内に入る姿勢となるまで、薬剤に対して外力を繰り返し付与することが可能となる。
【0152】

そして、第五動作実行条件が解除されると(不成立となると)、その時点で制御フローが終了する。
【0153】

なお、制御フローが終了した後には、図6に示すように、その時点で配置部15に配置されている包装袋1及びその内部に包まれた薬剤に対して、光照射工程S014、画像撮影工程S015、発光部切換え工程S017、及び判定部25による判定フローが繰り返される。つまり、本実施形態では、判定対象の薬剤の種類及び個数が処方条件と合致していないと判定されたとき、動作実行条件の成否を判断し、動作実行条件が満たされた場合には外力付与動作を実行し、その後に再度の判定を行うことになっている。

なお、判定の繰り返し回数については、制限(上限)を設けてもよく、制限(上限)を設けた場合には、判定回数が上限に達したときに、判定対象の薬剤を新たな薬剤に切り換えて(すなわち、配置部15に配置される包装袋1を切り換えて)、次の判定を行うとよい。
【0154】

<<本実施形態に係る薬剤判定装置の有効性について>>

本実施形態に係る薬剤判定装置10は、以上までに説明してきたように、判定対象の薬剤(具体的には、配置部15に配置されている包装袋1内の薬剤)の種類等を判定する際に、上述の第一~第五動作実行条件の成否を判断する。そして、いずれかの動作実行条件が成立した場合には、判定対象の薬剤に対して外力を付与して、その薬剤を均したり、移動させたり、若しくは、その薬剤の姿勢を変えさせたりする。
【0155】

以上のように、本実施形態に係る薬剤判定装置10によれば、判定対象の薬剤について具体的な状況に基づいて外力付与の要否を決めることになっている。ここで、具体的な状況とは、判定対象の薬剤の個数及び種類、判定対象の薬剤の画像を撮影する際の光の照射方向、及び照射される光を遮る物(他の薬剤)の存在、光を発する発光部17a、17b、17c、17dからの距離、並びに、画像撮影時における薬剤の姿勢(分かり易くは、薬剤の表面中、識別情報が形成された部分が向いている向き)等である。
【0156】

上記の点において、本実施形態に係る薬剤判定装置10は、薬剤の分布状況のみに基づいて外力付与の要否を決める特許文献1に記載の薬剤判定装置とは異なり、特許文献1に記載の薬剤判定装置よりも外力付与の要否を的確に判断することが可能である。つまり、本実施形態に係る薬剤判定装置10は、具体的な状況を踏まえて(詳しくは、各動作実行条件の成否の判断結果に応じて)、必要な場合に外力を判定対象の薬剤に対して付与することができる。その分、本実施形態に係る薬剤判定装置10によれば、特許文献1に記載の薬剤判定装置と比べて、判定精度及び判定速度を向上させることが可能となる。
【0157】

<<その他の実施形態>>

以上までに本発明の薬剤判定装置及び薬剤判定方法について、具体的な一例を挙げて説明してきたが、上記の実施形態は、あくまでも一例であり、他の実施形態も考えられる。例えば、上記の実施形態では、包装袋1に包まれた薬剤の種類等を判定することとしたが、これに限定されるものではなく、判定対象の薬剤が包装袋1に包まれていない状態、例えば、未包装状態の薬剤が配置部15に配置されて判定に供されてもよい。このようなケース(以下、変形例)は、例えば、患者が薬剤を持参した際に、その薬剤が処方箋通りの内容及び数量となっているかを判定(鑑定)する場合が該当する。
【0158】

変形例に係る薬剤判定装置の装置本体について説明すると、図17に示すように、変形例に係る薬剤判定装置の装置本体11xは、包装袋1に包まれておらず露出した状態の薬剤を配置する配置部15xを有する。この配置部15xは、未包装で露出状態にある薬剤を載せる透明又は半透明の台(例えば、シャーレのような受け皿状の台)によって構成される。一方、変形例では、包装袋連続体3を搬送する必要がないため、変形例に係る薬剤判定装置の装置本体11xには、搬送部14に相当する機器が設けられていない。

なお、図17は、変形例に係る薬剤判定装置の装置本体11xが有する装置本体の内部構造を示す概略図である。
【0159】

そして、変形例では、配置部15xの上方及び下方に配置されたカメラ(すなわち、第一カメラ16a及び第二カメラ16b)により、配置部15x上にある薬剤の画像を撮影する。このとき、配置部15xの周りに配置された複数の発光部17a、17b、17c、17dの各々が順次切り替わって光を照射する。したがって、変形例においても、配置部15x上に配置された判定対象の薬剤の画像を光の照射方向別に撮影する。
【0160】

その後、上記の実施形態と同様の手順により、配置部15x上に配置された薬剤の種類及び個数を判定し、薬剤の種類及び個数が処方条件(例えば、判定対象の薬剤を持参した患者が当該薬剤を処方された際に提示された処方箋の内容)と合致するかを判定する。また、薬剤の種類及び個数が処方条件と合致しない場合には、上述の第一~第五動作実行条件の成否を判定する。そして、いずれかの動作実行条件が成立している場合、外力付与部40が外力付与動作を実施する。変形例では、外力付与部40として、配置部15xを構成する台を振動させる機構等が利用可能である。外力付与動作の実施後には、再度、光の照射方向を切り替えて配置部15x上の薬剤の画像を撮影し、以降、上記と同様の手順により薬剤判定を繰り返す。

以上のように変形例では、未包装状態の薬剤を配置部15x上に載せて判定を行う。そして、変形例においても、上記の実施形態と同様、判定対象の薬剤を動かす必要がある場合には外力付与動作を実施し、この結果、薬剤判定の精度及び速度を向上させることができる。なお、変形例に係る薬剤判定装置は、未包装状態の薬剤を判定する場合だけではなく、包装袋連続体3ではない個別の包装袋1(一つのみの包装袋1)に入っている薬剤を判定する場合にも利用可能である。
【0161】

また、上記の実施形態では、包装袋1内に複数の薬剤が分包されていて、これらの薬剤

(複数の薬剤)が判定対象の薬剤となるケースを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。包装袋1内に分包される薬剤の個数は、任意に設定することが可能であり、1つのみであってもよく、あるいは、2つ以上であってもよい。
【0162】

また、上記の実施形態では、搬送部14の搬送動作間の期間中(すなわち、搬送動作の停止期間中)において、判定部25による判定フローの実施直後に、条件判断部26が各動作実行条件の成否を判断することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、判定部25による判定フローが実施される前段階で条件判断部26が動作実行条件の成否を判断し、動作実行条件が満たされていれば、その時点で外力付与部40に外力付与動作を実行させてもよい。
【符号の説明】
【0163】

1 包装袋

1A 空袋

3 包装袋連続体

3x 撮影対象部分

3y 切り取り線

10 薬剤判定装置

11,11x 装置本体

11a 駆動制御回路

12 処理装置

13 筐体

13a 導入部

14 搬送部

14a,14b ニップローラ

14D 下流側駆動部

14U 上流側駆動部

15,15x 配置部

16 画像撮影部

16a 第一カメラ

16b 第二カメラ

17 光照射部

17a 第一発光部

17b 第二発光部

17c 第三発光部

17d 第四発光部

18 搬送路

21 制御部

22 処方条件情報取得部

23 画像取得部

24 前処理部

25 判定部

26 条件判断部

40 外力付与部

40L 第二例の外力付与部

40M 第三例の外力付与部

41 板バネ

42 支持軸

43 ローラ

44 アーム

45 昇降機構

46 軸部

46a 抜け止め部

47 当接部

48 コイルバネ

49 昇降機構

50 処方条件入力装置

55 薬剤棚

60 分包機

70 データベースサーバ

DB データベース

G1,G2 光の照射方向

F1,F2,F3 薬剤

X 薬剤抽出画像

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17