(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-26
(45)【発行日】2022-06-03
(54)【発明の名称】蛇口制御装置及びその方法、ならびに蛇口
(51)【国際特許分類】
E03C 1/044 20060101AFI20220527BHJP
E03B 7/07 20060101ALI20220527BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
E03C1/044
E03B7/07 Z
E03C1/042 B
(21)【出願番号】P 2020554849
(86)(22)【出願日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 KR2019004000
(87)【国際公開番号】W WO2019194601
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】10-2018-0039253
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520383452
【氏名又は名称】ザ エスエル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ビョンキュ
(72)【発明者】
【氏名】タク,スンファン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,インホ
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-124519(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0022059(KR,A)
【文献】特表2017-536493(JP,A)
【文献】特許第3780986(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/044
E03B 7/07
E03C 1/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水管及び冷水管にそれぞれ設けられ、温水及び冷水の
温度をそれぞれ測定する第1
温度センサ及び第2
温度センサと、
前記温水管及び前記冷水管にそれぞれ設けられ、温水及び冷水の水圧をそれぞれ測定する第1圧力センサ及び第2圧力センサと、
前記温水及び冷水の吐出口に設けられる第1電子弁及び第2電子弁と、
前記温水管と前記第1電子弁との間に配置されるヒーティング部材と、
前記ヒーティング部材の温水吐出口または前記ヒーティング部材の内部に配置され、前記ヒーティング部材から吐出される温水の温度を測定する第3温度センサと、
蛇口ノブの作動終了時の水平回転角と垂直回転角のうち少なくとも一つを測定する回転センサと、
前記水平回転角と前記垂直回転角のうち少なくとも一つを用いて、前記蛇口ノブの停止位置を定め、前記温水及び冷水の水圧と前記温水及び冷水の温度とを用いて、前記定められた蛇口ノブの停止位置による前記ヒーティング部材の稼動如何と、前記第1電子弁及び第2電子弁の開度とを制御する制御器と、を備え、
前記制御器は、
前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量及び目標温度を算出し、温水の水圧及び冷水の水圧と、温水の温度及び冷水の温度とをモニタリングして、適応的に前記第1電子弁及び第2電子弁の開度を制御するが、
(a)前記第1温度センサによって測定された温水の温度が、前記排出水の目標温度未満である場合、
(a1)前記第3温度センサによって測定された温水の温度が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する前記排出水の目標温度に到逹するまで、前記ヒーティング部材を稼働させ、前記第2電子弁が閉鎖されるように制御するが、前記温水の水圧を用いて算出した前記温水の水量が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量より少なければ、前記第1電子弁が完全に開放されるように制御し、前記温水の水圧を用いて算出した前記温水の水量が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量より大きければ、前記排出水の水量が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量と等しくなるように前記第1電子弁の開度を制御し、
(a2)前記第1温度センサによって測定された温水の温度が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する前記排出水の目標温度に到逹すれば、前記ヒーティング部材の稼動を中断し、前記温水及び冷水の水圧を用いて算出した前記温水及び冷水の水量と、前記第1温度センサ及び第2温度センサによって測定された前記温水及び冷水の温度とに基づいて、前記第1電子弁及び第2電子弁の開度を制御して、前記排出水の水量及び温度が前記目標水量及び目標温度になるようにし、
(b)前記第1温度センサによって測定された温水の温度が、前記排出水の目標温度以上である場合、
(b1)前記温水及び冷水の水圧を用いて算出した前記温水及び冷水の水量と、前記温水及び冷水の温度とに基づいて、前記第1電子弁及び第2電子弁の開度を制御して、前記排出水の水量及び温度が前記目標水量及び目標温度になるようにし、
(b2)前記排出水の水量及び温度が前記目標水量及び目標温度になった状態で、前記第1圧力センサによって測定された温水の水圧と、前記第2圧力センサによって測定された冷水の水圧のうち少なくとも一つが変更すれば、
(b21)温水の水圧と前記冷水の水圧とがいずれも増加した場合、温水の水量及び冷水の水量を低減させて、前記排出水の水量及び温度が、前記排出水の目標水量及び目標温度になるように、前記第1電子弁及び前記第2電子弁の開度を制御し、
(b22)温水の水圧が減少した場合、温水の減少量ほど冷水の水量を増大させるために、前記第2電子弁の開度を制御し、前記ヒーティング部材を稼働させて前記温水の温度を高めるように制御し、
(b23)冷水の水量が減少した場合、減少した冷水の水量ほど温水の水量を低減させるために、前記第1電子弁の開度を制御することを特徴とする蛇口制御装置。
【請求項2】
前記制御器は、前記蛇口ノブの最大水平回転角の中間を、水平回転基準点として設定し、前記蛇口ノブの最下端位置を、垂直回転基準点として設定し、前記水平回転基準点及び前記垂直回転基準点を用いて、前記蛇口ノブの前記水平回転角及び前記垂直回転角を算出することを特徴とする請求項1に記載の蛇口制御装置。
【請求項3】
前記ヒーティング部材は、複数のヒータからなり、前記温水管の流入地点に隣接して設けられたヒータから、順次に稼動されることを特徴とする請求項1に記載の蛇口制御装置。
【請求項4】
前記(b21)ないし前記(b23)は、温水及び冷水の水圧変化による排出水の温度変化量が、前もって設定された基準変化量より大きい場合に行われることを特徴とする請求項1に記載の蛇口制御装置。
【請求項5】
温水管と、
冷水管と、
蛇口ノブと、
前記温水管の温水流入口及び前記冷水管の冷水流入口に、それぞれ設けられる第1温度センサ及び第2温度センサと、
前記温水管及び前記冷水管に、それぞれ設けられる第1圧力センサ及び第2圧力センサと、
前記温水管の温水吐出口及び前記冷水管の冷水吐出口に、それぞれ設けられる第1電子弁及び第2電子弁と、
前記温水管の温水流入口と前記第1電子弁との間に設けられるヒーティング部材と、
前記ヒーティング部材の温水流出口または前記ヒーティング部材の内部に設けられる第3温度センサと、
前記蛇口ノブの作動終了時の水平回転角と垂直回転角のうち少なくとも一つを測定する回転センサと、
前記水平回転角と前記垂直回転角のうち少なくとも一つを用いて、前記蛇口ノブの停止位置を定め、前記第1温度センサ、前記第2温度センサ、前記第3温度センサ、前記第1圧力センサ、及び前記第2圧力センサによって測定された値に基づいて、前記ヒーティング部材の駆動如何、前記第1電子弁の開度、及び前記第2電子弁の開度を制御する制御
器と、を備え、
前記制御器は、
前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量及び目標温度を算出し、温水の水圧及び冷水の水圧と、温水の温度及び冷水の温度とをモニタリングして、適応的に前記
ヒーティング部材の稼動如何、前記第1電子弁の開度、及び前記第2電子弁の開度を制御するが、
(a)前記第1温度センサによって測定された温水の温度が、前記排出水の目標温度未満である場合、
(a1)前記第3温度センサによって測定された温水の温度が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する前記排出水の目標温度に到逹するまで、前記ヒーティング部材を稼働させ、前記第2電子弁が閉鎖されるように制御するが、前記温水の水圧を用いて算出した前記温水の水量が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量より少なければ、前記第1電子弁が完全に開放されるように制御し、前記温水の水圧を用いて算出した前記温水の水量が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量より大きければ、前記排出水の水量が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量と等しくなるように、前記第1電子弁の開度を制御し、
(a2)前記第1温度センサによって測定された温水の温度が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する前記排出水の目標温度に到逹すれば、前記ヒーティング部材の稼動を中断し、前記温水及び冷水の水圧を用いて算出した前記温水及び冷水の水量と、前記第1温度センサ及び第2温度センサによって測定された前記温水及び冷水の温度とに基づいて、前記第1電子弁及び第2電子弁の開度を制御して、前記排出水の水量及び温度が前記目標水量及び目標温度になるようにし、
(b)前記第1温度センサによって測定された温水の温度が、前記排出水の目標温度以上である場合、
(b1)前記温水及び冷水の水圧を用いて算出した前記温水及び冷水の水量と、前記温水及び冷水の温度とに基づいて、前記第1電子弁及び第2電子弁の開度を制御して、前記排出水の水量及び温度が前記目標水量及び目標温度になるようにし、
(b2)前記排出水の水量及び温度が、前記目標水量及び目標温度になった状態で、前記第1圧力センサによって測定された温水の水圧と、前記第2圧力センサによって測定された冷水の水圧のうち少なくとも一つが変更すれば、
(b21)温水の水圧と前記冷水の水圧とがいずれも増加した場合、温水の水量及び冷水の水量を低減させて、前記排出水の水量及び温度が、前記排出水の目標水量及び目標温度になるように、前記第1電子弁及び前記第2電子弁の開度を制御し、
(b22)温水の水圧が減少した場合、減少した温水の水量ほど冷水の水量を低減させて、前記排出水の温度が前記排出水の目標温度になるように、前記第2電子弁の開度を制御するか、または温水の減少量ほど冷水の水量を増大させるために、前記第2電子弁の開度を制御し、前記ヒーティング部材を稼働させて、前記温水の温度を高めるように制御し、
(b23)冷水の水量が減少した場合、減少した冷水の水量ほど温水の水量を低減させるために、前記第1電子弁の開度を制御することを特徴とする蛇口。
【請求項6】
前記ヒーティング部材は、複数のヒータからなり、前記温水管の流入地点に隣接して設けられたヒータから、順次に稼動されることを特徴とする請求項5に記載の蛇口。
【請求項7】
前記(b21)ないし前記(b23)は、温水及び冷水の水圧変化による排出水の温度変化量が、前もって設定された基準変化量より大きい場合に行われることを特徴とする請求項5に記載の蛇口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動温度調節の可能な蛇口制御装置及びその方法、ならびに蛇口に関する。
【背景技術】
【0002】
シンク台や洗面台などに設けられる蛇口は、冷温水配管から冷温水がそれぞれ供給されるように形成されている本体と、本体に設けられて水の取り締まり及び冷温水の選択を行うレバーと、で構成される。ユーザが、レバーを取って回転または昇降させれば、水を遮断または供給することができ、また供給される水の温度を調節することができる。レバーを開閉させつつ水量を調節すると共に、一つの蛇口金具から温水及び冷水が一緒に出る場合、レバーの回転角度を調節することで水の温度を調節する。
【0003】
蛇口を通じて供給される温水の温度は、個別供給システムである場合には、ボイラーの状態に影響される。例えば、もうボイラーを十分に稼動して温水が確保された状態では、蛇口を動作させると共に温水が供給されるが、ボイラーの稼働したばかりの時点では、最初には冷水が供給され、段々温水の量が多くなりつつ所定温度に到逹する。一方、中央供給システムの場合には、温水供給源から温水の消費場所までの距離、外部気温、水圧、隣接世帯の温水使用如何などに影響される。
【0004】
また、温水給水栓の内部の温度が均一ではない場合、急に高温の水が蛇口を通じて供給されるか、または温水供給の途中で水の温度が変わる場合もよく生じる。このような温水の温度の急激な変化において、ともすれば、高温の湯は皮膚に火傷を負うこともあり、供給される水の温度が瞬間的に冷えることでユーザに不快感を与えることもある。さらには、温水の供給水圧が変わる場合にも、水の温度が変わるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、自動温度調節の可能な蛇口制御装置及びその方法、ならびに蛇口を提供する。
【0006】
また、本発明は、温水または冷水の供給水圧が変わっても、排出される温度を一定に維持するように、自動調節できる蛇口第語装置及びその方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、温水または冷水の供給水圧が変わっても、排出される温度を一定に維持するように、自動調節できる蛇口を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、自動温度調節の可能な蛇口制御装置が提供される。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、温水管及び冷水管に設けられて、温水及び冷水の水圧をそれぞれ測定する第1圧力センサ及び第2圧力センサと、前記温水管及び前記冷水管に設けられて、温水及び冷水の温度をそれぞれ測定する第1温度センサ及び第2温度センサと、前記温水及び冷水の吐出口に設けられる第1電子弁及び第2電子弁と、前記温水管と前記第1電子弁との間に配置されるヒーティング部材と、蛇口ノブの作動終了時の水平回転角と垂直回転角のうち少なくとも一つを測定する回転センサと、前記水平回転角と前記垂直回転角のうち少なくとも一つを用いて前記蛇口ノブの停止位置を定め、前記温水及び冷水の水圧と前記温水及び冷水の温度とを用いて、前記定められている蛇口ノブの停止位置による前記ヒーティング部材の稼動如何及び前記第1電子弁及び第2電子弁の開度を制御する制御器と、を備える蛇口制御装置が提供される。
【0010】
前記制御器は、前記蛇口ノブの最大水平回転角の中間を水平回転基準点として設定し、前記蛇口ノブの最下端位置を垂直回転基準点として設定し、前記水平回転基準点及び前記垂直回転基準点を用いて、前記蛇口ノブの前記水平回転角及び前記垂直回転角を算出する。
【0011】
前記制御器は、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量及び目標温度を算出し、前記温水及び冷水の水圧を用いて算出した前記温水及び冷水の水量と、前記温水及び冷水の温度とに基づいて、前記第1電子弁及び第2電子弁の開度を制御し、前記排出水の水量及び温度が、前記目標水量及び目標温度になるようにする。
【0012】
前記制御器は、前記第1温度センサによって測定された温水の温度が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する前記排出水の目標温度より高い場合、前記蛇口ノブの停止位置に対応する前記排出水の目標水量、前記温水の温度、前記冷水の温度、前記温水の水量及び前記冷水の水量を用いて冷水の増加量を計算し、前記冷水の増加量ほど温水の減少量を設定するが、前記冷水の増加量及び前記温水の減少量を反映して、前記第1電子弁及び前記第2電子弁の開度を制御する。
【0013】
前記ヒーティング部材の内部に位置し、かつ温度を測定するための第3温度センサをさらに備え、前記制御器は、前記第1温度センサによって測定された温水の温度が前記排出水の目標温度の未満である場合、前記第3温度センサによって測定された温水の温度が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する前記排出水の目標温度に到逹するまで、前記ヒーティング部材を稼働させ、かつ前記第2電子弁は閉鎖されるように制御するが、前記温水の水圧を用いて算出した前記温水の水量が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量より少なければ、前記第1電子弁は完全に開放するように制御し、前記温水の水圧を用いて算出した前記温水の水量が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量より大きければ、前記排出水の水量が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量と等しくなるように、前記第1電子弁は開放情報を制御し、前記第1温度センサによって測定された温水の温度が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する前記排出水の目標温度に到逹すれば、前記ヒーティング部材の稼動を中断し、前記温水及び冷水の水圧を用いて算出した前記温水及び冷水の水量と、前記第1温度センサ及び第2温度センサによって測定された前記温水及び冷水の温度とに基づいて、前記第1電子弁及び第2電子弁の開度を制御し、前記排出水の水量及び温度が前記目標水量及び目標温度になるように制御する。
【0014】
前記制御器は、前記温水の水圧及び冷水の水圧を用いて、前記温水の水量及び前記冷水の水量をモニタリングするが、前記温水の水量及び前記冷水の水量がいずれも増加した場合、前記排出水の水量を維持するために、増加した温水の水量及び冷水の水量ほど前記温水の水量及び前記冷水の水量を低減させるために、前記第1電子弁及び前記第2電子弁の開度を制御し、前記温水の水量が減少した場合、前記排出水の温度を維持するために、前記減少した温水の水量ほど前記冷水の水量が減少するように、第2電子弁の開度を制御し、前記冷水の水量が減少した場合、前記排出水の温度を維持するために、前記減少した冷水の水量ほど前記温水の水量を低減させるように、前記第2電子弁の開度を制御する。
【0015】
前記制御器は、前記温水の水圧及び冷水の水圧を用いて、前記温水の水量及び前記冷水の水量をモニタリングするが、前記温水の水量が減少した場合、前記排出水の水量を維持するために、前記温水の水量が減少したほど冷水の水量が増加するように、前記第2電子弁の開度を制御し、前記排出水の温度を維持するために、前記排出水の温度に相応して前記ヒーティング部材を稼働させるように制御する。
【0016】
前記温水または冷水の水圧が変わる場合に、水圧変化量による前記排出水の温度変化量を算出して、前記第1電子弁及び第2電子弁の開度を制御する。
【0017】
前記ヒーティング部材は、複数のヒータからなり、前記温水管の流入地点に隣接して設けられたヒータから順次に稼動される。
【0018】
本発明の他の実施形態によれば、温水管及び冷水管の吐出口にそれぞれ設けられる第1及び第2電子弁と、前記温水管と前記第1電子弁との間に設けられるヒーティング部材と、を制御する蛇口制御装置として、プロセッサと、前記プロセッサに連結されるメモリと、を備え、前記メモリは、回転センサによって測定された蛇口ノブの水平回転角及び垂直回転角を用いて、前記蛇口ノブの停止位置を定め、前記温水管内の温水の水圧及び温度、前記冷水管内の冷水の水圧及び温度を用いて、前記ヒーティング部材の稼動如何及び前記第1及び第2電子弁の開度を定めるようにする、前記プロセッサによって実行可能なプログラム命令語を保存する蛇口制御装置が提供される。
【0019】
本発明の他の態様によれば、温水管及び冷水管にそれぞれ設けられて温水及び冷水の水圧をそれぞれ測定する第1圧力センサ及び第2圧力センサと、前記温水管及び前記冷水管にそれぞれ設けられて温水及び冷水の温度をそれぞれ測定する第1温度センサ及び第2温度センサと、前記温水及び冷水の吐出口に設けられる第1電子弁及び第2電子弁と、前記温水管と前記第1電子弁との間に配置されるヒーティング部材と、前記ヒーティング部材の温水吐出口または前記ヒーティング部材の内部に配置され、前記ヒーティング部材から吐出される温水の温度を測定する第3温度センサと、蛇口ノブの作動終了時の水平回転角と垂直回転角のうち少なくとも一つを測定する回転センサと、前記水平回転角と前記垂直回転角のうち少なくとも一つを用いて前記蛇口ノブの停止位置を定め、前記温水及び冷水の水圧と前記温水及び冷水の温度とを用いて、前記定められた蛇口ノブの停止位置による前記ヒーティング部材の稼動如何と、前記第1電子弁及び第2電子弁の開度とを制御する制御器と、を備え、前記制御器は、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量及び目標温度を算出し、温水の水圧及び冷水の水圧と温水の温度及び冷水の温度とをモニタリングして、適応的に前記第1電子弁及び第2電子弁の開度を制御するが、(a)前記第1温度センサによって測定された温水の温度が前記排出水の目標温度未満である場合、(a1)前記第3温度センサによって測定された温水の温度が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する前記排出水の目標温度に到逹するまで、前記ヒーティング部材を稼働させ、前記第2電子弁が閉鎖されるように制御するが、前記温水の水圧を用いて算出した前記温水の水量が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量より少なければ、前記第1電子弁が完全に開放されるように制御し、前記温水の水圧を用いて算出した前記温水の水量が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量より大きければ、前記排出水の水量が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量と等しくなるように前記第1電子弁の開度を制御し、(a2)前記第1温度センサによって測定された温水の温度が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する前記排出水の目標温度に到逹すれば、前記ヒーティング部材の稼動を中断し、前記温水及び冷水の水圧を用いて算出した前記温水及び冷水の水量と、前記第1温度センサ及び第2温度センサによって測定された前記温水及び冷水の温度とに基づいて、前記第1電子弁及び第2電子弁の開度を制御して、前記排出水の水量及び温度が前記目標水量及び目標温度になるようにし、(b)前記第1温度センサによって測定された温水の温度が前記排出水の目標温度以上である場合、(b1)前記温水及び冷水の水圧を用いて算出した前記温水及び冷水の水量と、前記温水及び冷水の温度とに基づいて、前記第1電子弁及び第2電子弁の開度を制御して、前記排出水の水量及び温度が前記目標水量及び目標温度になるようにし、(b2)前記排出水の水量及び温度が前記目標水量及び目標温度になった状態で、前記第1圧力センサによって測定された温水の水圧と、前記第2圧力センサによって測定された冷水の水圧のうち少なくとも一つが変更すれば、(b21)温水の水圧と前記冷水の水圧とがいずれも増加した場合、温水の水量及び冷水の水量を低減させて、前記排出水の水量及び温度が前記排出水の目標水量及び目標温度になるように、前記第1電子弁及び前記第2電子弁の開度を制御し、(b22)温水の水圧が減少した場合、減少した温水の水量ほど冷水の水量を低減させて、前記排出水の温度が前記排出水の目標温度になるように、前記第2電子弁の開度を制御するか、または温水の減少量ほど冷水の水量を増大させるために、前記第2電子弁の開度を制御し、前記ヒーティング部材を稼働させて前記温水の温度を高めるように制御し、(b23)冷水の水量が減少した場合、減少した冷水の水量ほど温水の水量を低減させるために、前記第1電子弁の開度を制御することを特徴とする蛇口制御装置が提供される。
【0020】
本発明の他の態様によれば、自動温度調節の可能な蛇口制御方法が提供される。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、(a)温水管及び冷水管にそれぞれ設けられたそれぞれの圧力センサから測定された温水及び冷水の水圧を用いて、温水及び冷水の水量を算出する段階と、(b)回転センサで測定された蛇口ノブの水平回転角及び垂直回転角を用いて、前記蛇口ノブの現在停止位置を定める段階と、(c)前記蛇口ノブの現在停止位置による排出水の目標水量及び目標温度を算出する段階と、(d)前記排出水の温度及び水量が前記排出水の目標水量及び目標温度と等しくなるように、前記温水及び冷水の水量と、前記温水管及び前記冷水管に設けられたそれぞれの温度センサから測定された温水及び冷水の温度とを用いて、前記温水管及び冷水管の吐出口に設けられた第1電子弁及び第2電子弁の開度を制御する段階と、を含む蛇口の制御方法が提供される。
【0022】
本発明の他の態様によれば、温水管と、冷水管と、蛇口ノブと、前記温水管の温水流入口及び前記冷水管の冷水流入口にそれぞれ設けられる第1温度センサ及び第2温度センサと、前記温水管及び前記冷水管にそれぞれ設けられる第1圧力センサ及び第2圧力センサと、前記温水管の温水吐出口及び前記冷水管の冷水吐出口にそれぞれ設けられる第1電子弁及び第2電子弁と、前記温水管の温水流入口と前記第1電子弁との間に設けられるヒーティング部材と、前記ヒーティング部材の温水流出口または前記ヒーティング部材の内部に設けられる第3温度センサと、前記蛇口ノブの作動終了時の水平回転角と垂直回転角のうち少なくとも一つを測定する回転センサと、前記水平回転角と前記垂直回転角のうち少なくとも一つを用いて前記蛇口ノブの停止位置を定め、前記第1温度センサ、前記第2温度センサ、前記第3温度センサ、前記第1圧力センサ、及び前記第2圧力センサによって測定された値に基づいて、前記ヒーティング部材の駆動如何、前記第1電子弁の開度及び前記第2電子弁の開度を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量及び目標温度を算出し、温水の水圧及び冷水の水圧と、温水の温度及び冷水の温度とをモニタリングして、適応的に前記ヒータの稼動如何、前記第1電子弁の開度、及び前記第2電子弁の開度を制御するが、(a)前記第1温度センサによって測定された温水の温度が前記排出水の目標温度未満である場合、(a1)前記第3温度センサによって測定された温水の温度が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する前記排出水の目標温度に到逹するまで前記ヒーティング部材を稼働させ、前記第2電子弁が閉鎖されるように制御するが、前記温水の水圧を用いて算出した前記温水の水量が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量より少なければ、前記第1電子弁が完全に開放されるように制御し、前記温水の水圧を用いて算出した前記温水の水量が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量より大きければ、前記排出水の水量が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する排出水の目標水量と等しくなるように前記第1電子弁の開度を制御し、(a2)前記第1温度センサによって測定された温水の温度が、前記蛇口ノブの停止位置に対応する前記排出水の目標温度に到逹すれば、前記ヒーティング部材の稼動を中断し、前記温水及び冷水の水圧を用いて算出した前記温水及び冷水の水量と、前記第1温度センサ及び第2温度センサによって測定された前記温水及び冷水の温度とに基づいて、前記第1電子弁及び第2電子弁の開度を制御して、前記排出水の水量及び温度が前記目標水量及び目標温度になるようにし、(b)前記第1温度センサによって測定された温水の温度が前記排出水の目標温度以上である場合、(b1)前記温水及び冷水の水圧を用いて算出した前記温水及び冷水の水量と、前記温水及び冷水の温度とに基づいて、前記第1電子弁及び第2電子弁の開度を制御して、前記排出水の水量及び温度が前記目標水量及び目標温度になるようにし、(b2)前記排出水の水量及び温度が前記目標水量及び目標温度になった状態で、前記第1圧力センサによって測定された温水の水圧と、前記第2圧力センサによって測定された冷水の水圧のうち少なくとも一つが変更すれば、(b21)温水の水圧と前記冷水の水圧とがいずれも増加した場合、温水の水量及び冷水の水量を低減させて、前記排出水の水量及び温度が前記排出水の目標水量及び目標温度になるように、前記第1電子弁及び前記第2電子弁の開度を制御し、(b22)温水の水圧が減少した場合、減少した温水の水量ほど冷水の水量を低減させて、前記排出水の温度が前記排出水の目標温度になるように、前記第2電子弁の開度を制御するか、または温水の減少量ほど冷水の水量を増大させるために、前記第2電子弁の開度を制御し、前記ヒーティング部材を稼働させて前記温水の温度を高めるように制御し、(b23)冷水の水量が減少した場合、減少した冷水の水量ほど温水の水量を低減させるために、前記第1電子弁の開度を制御することを特徴とする蛇口が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態による自動温度調節の可能な蛇口制御装置及びその方法、ならびに蛇口を提供することで、温水または冷水の供給水圧が変わっても、排出される温度を一定に維持するように自動調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態による蛇口制御装置の構成を示す図面である。
【
図2】本発明の一実施形態による蛇口の制御方法を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態による蛇口ノブの水平回転角及び垂直回転角を説明するために示す図面である。
【
図4】本発明の一実施形態による蛇口ノブの水平回転角及び垂直回転角を説明するために示す図面である。
【
図5】本発明の一実施形態による蛇口制御装置が弁を制御する方法を説明するフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態による温水及び冷水の水量変化による、第1電子弁及び第2電子弁の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書で使用される単数の表現は、文脈上明らかに別の方法で示さない限り、複数の表現を含んでいる。本明細書で、“構成される”または“含む”などの用語は、明細書上に記載の多くの構成要素、または多くの段階を必ずいずれも含むと解釈されてはいけず、そのうち一部の構成要素または一部の段階は含まれないこともあり、またはさらなる構成要素または段階をさらに含むことができると解釈されねばならない。また、明細書に記載の“…部”、“モジュール”などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアまたはソフトウェアで具現されるか、またはハードウェアとソフトウェアとの結合で具現される。
【0026】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態による蛇口制御装置の構成を示す図面である。
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による蛇口制御装置100は、ヒーティング部材110と、複数の圧力センサ115a及び115bと、複数の温度センサ120aないし120cと、回転センサ125と、複数の電子弁130a及び130bと、制御器135と、を備えて構成される。
【0028】
ヒーティング部材110は、給水管の一部に位置し、制御器135の制御によってオンまたはオフされる。例えば、ヒーティング部材110は、
図1に示したように、温水管1と蛇口3との間に設けられる。
【0029】
図1では、ヒーティング部材110が一つであると示されているが、ヒーティング部材110は複数設けられてもよい。ヒーティング部材110が複数である場合、制御器135は、給水管に沿ってヒーティング部材110が順次に温度を高めるように制御する。また、複数のヒーティング部材110は、一つの装置に区分された形態に構成されてもよく、分離されたヒーティング部材の形態に提供されてもよい。複数のヒーティング部材110が備えられる場合に、温水の流入地点に近いヒータから順次に駆動して温水の温度を順次に上昇させることが望ましい。これを通じて温水に対する精密な温度制御が可能になるという利点がある。例えば、蛇口ノブの垂直及び水平回転量によって要求される温水の温度が38゜Cであると仮定する時、ヒータに初めて流入される温水の温度が25゜Cであれば、最初のヒータが温水の温度を35゜Cに上昇させ、二番目のヒータが温水の温度を38゜Cに上昇させるように制御する。
【0030】
圧力センサ115a及び115bは、給水管(温水管1及び冷水管2)の水圧を測定する。
【0031】
図1に示されたように、温水管1及び冷水管2にそれぞれ圧力センサ115a及び115bを備えることで、温水管1及び冷水管2の水圧をそれぞれ測定する。以下、温水管1に設けられた圧力センサを、第1圧力センサ115aと総称し、冷水管2に設けられた圧力センサを、第2圧力センサ115bと総称して説明する。
【0032】
第1圧力センサ115a及び第2圧力センサ115bは、温水管1及び冷水管2の水圧を測定し、測定された値(以下では、測定値と称する)を制御器135に出力する。また、第1圧力センサ115aは、ヒーティング部材110に温水が流れ込む温水流入点に設けられる。
【0033】
温度センサ120aないし120cは、給水管(温水管1及び冷水管2)の温度を測定する。
【0034】
第1温度センサ120aは、ヒーティング部材110に温水が流れ込む温水の流入口に設けられて、温水管1を通じて供給される温水の温度(以下、温水の温度と称する)を測定する。また、第2温度センサ120bは冷水管2に設けられ、冷水管2を通じて供給される冷水の温度(以下、冷水の温度と称する)を測定する。
【0035】
第1温度センサ120a及び第2温度センサ120bによって測定された温水の温度及び冷水の温度は、制御器135に出力される。
【0036】
また、ヒーティング部材110を通過した温水の温度を測定するための第3温度センサ120cが、ヒーティング部材110から温水が流出される流出口またはヒーティング部材110の内部に備えられてもよい。第3温度センサ120cも、測定された温水の温度を制御器135に出力する。
【0037】
回転センサ125は、蛇口内に設けられ、蛇口ノブの水平回転角及び垂直回転角を測定するための構成である。
【0038】
電子弁130a及び130bは、蛇口に供給される温水または冷水の水量を調節するための構成である。電子弁130a及び130bは、制御器135の制御によって蛇口に供給される湯水の水量を調節する。電子弁130a及び130bは、制御器135の制御によって開閉される。
【0039】
制御器135は、
図1に示された蛇口制御装置100の内部構成(例えば、ヒーティング部材110、複数の圧力センサ115a及び115b、複数の温度センサ120aないし120c、複数の電子弁130a及び130b)を制御する。
【0040】
また、制御器135は、それぞれのセンサを通じて獲得された温水の温度、冷水の温度、水圧、蛇口作動ノブの上下及び左右回転量のうち少なくとも一つに基づいて、ヒーティング部材110のオン/オフを制御し、電子弁(第1電子弁130a及び第2電子弁130b)の開閉及び開度を制御する。
【0041】
このために、制御器135は、
図1には示されてはいないが、メモリ及びプロセッサを備える。メモリには、
図2ないし
図6を参照して説明されるそれぞれの方法を行うための命令語が保存される。また、プロセッサは、メモリに保存された命令語を実行する。これらの詳細な動作は、
図2ないし
図6を参照して下記で説明する。
【0042】
図2は、本発明の一実施形態による蛇口の制御方法を示すフローチャートであり、
図3及び
図4は、本発明の一実施形態による蛇口ノブの水平回転角及び垂直回転角を説明するために示す図面である。
【0043】
段階210で、蛇口制御装置100は、温水管1及び冷水管2に位置している各圧力センサ115a及び115bで測定された水圧を用いて、温水及び冷水の水量を算出する。
【0044】
例えば、水圧による水量は、数式(1)及び数式(2)を用いて導出される。
【0045】
【数1】
ここで、Pは、水圧(kg/m
2)を示し、rは、水の密度(温度によって異なるが、本明細書では1000kg/m
3と設定する)を示し、Vは、流速(m/s)を示し、gは、重力加速度(9.8/m
2)を示す。
【0046】
【数2】
ここで、Qは、水量を示し、Aは、管の断面積を示す。
【0047】
数式(1)及び(2)によって数式(3)が導出される。
【0048】
【数3】
ここで、K=A√(2g/r)であり、重力加速度、水の密度、及び管の断面積が一定であると仮定すれば、Kは定数になるので、水圧は、水量の二乗に比例するということが分かる。
【0049】
例えば、管の内径が15mmであり、水の密度が1000kg/m3であり、重力加速度が9.8/m2である時、K=0.000024738になる。よって、通常の出水水圧が3.0kg/cm2である時の水量は、0.004283m3/sになる。
【0050】
よって、第1圧力センサ及び第2圧力センサによって測定された水圧が、それぞれAkg/m2及びBkg/m2であり、AがBより小さな場合に、温水及び冷水の水量比はA:B/Aになる。今後温水及び冷水の水量と、水量比とを算出する。
【0051】
言い換えれば、蛇口制御装置100は、第1圧力センサ115a及び第2圧力センサ115bによって測定された温水の水圧及び冷水の水圧を用いて、それぞれ温水及び冷水の水量と、水量比とを算出する。
【0052】
段階215で、蛇口制御装置100は、蛇口ノブの停止位置を検出する。
【0053】
例えば、蛇口制御装置100は、蛇口ノブの以前停止位置(以前作動の終了時点の水平及び垂直回転量)及び現在移動量(水平及び垂直の回転量)に基づいて、蛇口ノブの停止位置を検出する。
【0054】
図3を参照して、蛇口ノブの水平回転量は、蛇口ノブが最左側に回転した時の角度を0゜に設定し、最右側に回転した時の角度をθ
Hmax゜に設定すると仮定する。この時、蛇口ノブが中央に位置する場合に、蛇口ノブの角度は0.5θ
Hmax゜である。すなわち、蛇口ノブの水平回転角が0゜ないし90゜である時、蛇口ノブが中央に位置する場合に、角度は45゜になる。
【0055】
また、
図4を参照して、蛇口ノブの垂直回転量について説明する。蛇口ノブの垂直回転量は、蛇口ノブが最下端に位置する時の角度を0゜に設定し、最上側(上端)に位置している時の角度をθ
Vmax゜に設定する。例えば、蛇口ノブの垂直回転量は、0゜ないし45゜の範囲で設定される。
【0056】
蛇口ノブの以前停止位置及び現在移動量に基づいて停止位置を算出すれば、経時的に誤差が益々大きくなるという問題が生じる。よって、蛇口制御装置100は、蛇口ノブの水平回転角は、中間角度(0.5θHmax゜)を水平基準角と設定し、垂直回転角は、蛇口ノブが最下端に位置している状態である0゜を垂直基準角と設定した後、蛇口ノブが水平基準角及び垂直基準角に位置すれば、蛇口ノブの移動量を初期化する。そして、初期化された蛇口ノブの移動量に基づいて、蛇口ノブの垂直及び水平回転量を測定して蛇口ノブの現在移動量を算出することで、誤差を最小化する。
【0057】
また、蛇口制御装置100は、蛇口ノブが停止した時点から一定時間(例えば、1秒)の経過時点に検出された停止位置を、最終位置と確定する。
【0058】
段階220で、蛇口制御装置100は、温水の温度、冷水の温度、温水及び冷水の供給水量に基づいて、蛇口ノブの最終位置に当たる排出水の温度及び水量を算出する。
【0059】
例えば、排出水の温度は、数式(4)を用いて算出される。
【0060】
【数4】
ここで、Tは、排出水の温度を示し、T
Hは、温水の温度を示し、T
Lは、冷水の温度を示し、Q
Hmaxは、温水の最大供給水量を示し、Q
Lmaxは、冷水の最大供給水量を示し、θ
Hは、水平回転角を示し、θ
Hmaxは、蛇口ノブの最大水平回転角を示す。
【0061】
温水及び冷水の水量は、数式(5)及び(6)を用いて算出される。
【0062】
【数5】
ここで、Q
Hは、温水の水量を示し、θ
Vは、蛇口ノブの垂直回転角を示し、θ
Vmaxは、蛇口ノブの最大垂直回転角を示す。
【0063】
【0064】
数式(5)及び数式(6)を用いて、温水の水量及び冷水の水量をそれぞれ算出した後、これを合算して、蛇口ノブから排出される排出水の水量を最終的に導出する。
【0065】
段階225で、蛇口制御装置100は、算出された排出水の温度及び水量を用いて、第1電子弁及び第2電子弁の開度を算出する。
【0066】
例えば、第1電子弁及び第2電子弁の開度は、数式(7)及び数式(8)を用いて算出される。
【0067】
【数7】
ここで、O
θLは、蛇口ノブを通じて排出される排出水の温度が目標の供給温度である時の、温水の最大供給水量対比蛇口ノブの水平回転量による第1電子弁の開放の割合を示す。
【0068】
【数8】
ここで、O
θLは、蛇口ノブを通じて排出される排出水の温度が目標の供給温度である時の、冷水の最大供給水量対比蛇口ノブの水平回転量による第2電子弁の開放の割合を示す。O
θH及びO
θLは、弁の全面開放の時に1に設定される。
【0069】
例えば、蛇口ノブの水平回転角及び垂直回転角が、それぞれ30゜及び20゜であり、蛇口ノブの最大水平回転角及び最大垂直回転角が、それぞれ90゜及び45゜であり、温水及び冷水の最大供給水量が、それぞれ0.0002m3/s及び0.0003m3/sであり、温水及び冷水の温度が、それぞれ40゜C及び20゜Cであれば、温水の水量は0.000059m3/sであり、冷水の水量は0.000044m3/sに導出される。このような場合、排出水の温度は31.46゜Cであり、排出水の水量は0.000103m3/sに算出される。よって、第1電子弁130a及び第2電子弁130bの開度は、それぞれ0.295(29.5%)及び0.147(14.7%)に算出される。
【0070】
また、前述した一例のような条件で、温水の最大供給温度が45゜Cであり、冷水の最大供給温度が20゜Cである場合、蛇口ノブを通じて排出される排出水の温度は34.32゜Cに算出され、これを、正常状態での蛇口ノブ回転量による排出水目標温度と設定する。
【0071】
例えば、蛇口ノブの水平回転角及び垂直回転角が、それぞれ30゜及び20゜であり、蛇口ノブの最大水平回転角及び最大垂直回転角が、それぞれ90゜及び45゜であり、温水及び冷水の最大供給水量が、それぞれ0.0002m3/s及び0.0003m3/sであり、温水及び冷水の温度が、それぞれ40゜C及び20゜Cであれば、排出水の温度を、目標温度である34.32゜Cに合わせるために必要な温水の増加量ΔQは、0.00001475m3/sに導出される。冷水の減少量は温水の増加量と等しいため、0.00001475m3/sになる。よって、温水及び冷水の水量は、それぞれ0.00007375m3/s及び0.00002925m3/sに算出される。これによって、第1電子弁及び第2電子弁の開度(OH及びOL)は、それぞれ0.36875(36.875%)及び0.0975(9.75%)に算出される。
【0072】
しかし、もし、第1温度センサによって測定された温水の温度が排出水の温度未満である場合、段階530で、蛇口制御装置100は、第3温度センサで測定された温水の温度が、蛇口ノブの水平回転角に対応する排出水の目標温度になるまで、ヒーティング部材110が稼動されるように制御し、第1電子弁130aは完全に開放されるように制御し、第2電子弁130bは閉鎖されるように制御する。
【0073】
以上の実施形態は、蛇口ノブの垂直及び水平回転量に基づいて、排出水の目標温度及び排出水の目標水量を算出する構成を持っている。これとは異なって、本発明による蛇口制御装置100は、蛇口ノブの代りに蛇口ノブの垂直及び水平回転量に対応する情報を、別途の入力装置を通じてユーザから入力される。さらに、蛇口ノブの垂直及び水平回転量に対応する情報の代りに、ユーザの希望する排出水の温度及び水量を、ユーザから入力されてもよい。この時、別途の入力装置は、スマートフォン、入力装置及び出力装置を備える制御パネルなどになる。スマートフォンが入力装置として使われる場合、スマートフォンには、本発明による蛇口制御装置100を制御するためのアプリが設けられることが望ましい。制御パネルの出力装置には、冷水の温度、温水の温度、冷水の水量、温水の水量、排出水の温度、排出水の水量などが、ユーザの選択または設定状態によって選択的に表示される。また、制御パネルの入力装置は、タッチスクリーン、音声認識装置、ボタン入力装置などの形態を持つ。この場合、本発明による蛇口制御装置100は、入力装置及び出力装置とデータを送受信するための通信部を備え、ブルートゥースモジュール、ワイファイモジュールなどを備える有線または無線通信の可能な装置が、通信部として採択される。
【0074】
段階535で、蛇口制御装置100は、ヒーティング部材110の稼動後に、第1温度センサ120aで測定された温水の温度が排出水の目標温度に到逹するかどうかを判断する。
【0075】
温水の温度が排出水の目標温度に到逹する場合、段階540で、蛇口制御装置100は、ヒーティング部材110の稼動を中止するように制御する。次いで、段階510に進む。
【0076】
図6は、本発明の一実施形態による温水及び冷水の水量変化による、第1電子弁及び第2電子弁の制御方法を示すフローチャートである。以下では、蛇口制御装置100が、温水及び冷水の水量変化をモニタリングした後、温水及び冷水の水量変化によって、第1電子弁130a及び第2電子弁130bの開度を制御する方法について説明する。
【0077】
段階610で、蛇口制御装置100は、温水及び冷水の水量が増加したかどうかを判断する。
【0078】
もし、温水及び冷水の水量が増加した場合、段階615で、蛇口制御装置100は、排出水の水量を維持するために、増加した水量ほど温水及び冷水の水量を低減させるように、第1電子弁及び第2電子弁を制御する。
【0079】
例えば、温水及び冷水の水量が、正常状態での水量に比べてそれぞれ20%及び10%増加したと仮定すれば、蛇口制御装置100は、温水及び冷水の水量を、その増加分である20%及び10%ほど低減させるように、第1電子弁130a及び第2電子弁130bの開度を調節するように制御する。
【0080】
しかし、もし、温水及び冷水の水量が増加しない場合、段階620で、蛇口制御装置100は、温水及び冷水の水量がいずれも減少したかどうかを判断する。
【0081】
もし、温水及び冷水の水量が減少しない場合、段階625で、蛇口制御装置100は、温水の水量が減少したかどうかを判断する。
【0082】
もし、温水の水量が減少した場合、段階630で、蛇口制御装置100は、温水の水量が減少したほど冷水の水量を低減させるために、第2電子弁130bの開度を制御する。蛇口制御装置100は、蛇口3から排出される排出水の水量を低減させて排出水の温度を維持するために、第2電子弁130bの開度を算出する。すなわち、温水の水量が、正常状態での水量に比べて10%減少すれば、冷水の水量を10%低減させるように、第2電子弁130bの開度を算出する。
【0083】
他の例を挙げれば、蛇口制御装置100は、蛇口3から排出される排出水の水量を維持しつつ排出水の温度を維持するために、温水の減少量ほど冷水の水量を増大させ、ヒーティング部材110が稼動されるように制御する。
【0084】
この時、蛇口制御装置100は、温水の減少量によるヒーティング部材110の温水の加熱温度を、数式(10)を用いて計算する。ここで、温水の加熱温度は、ヒーティング部材110の内部に位置するか、またはヒーティング部材110を通過した温水の温度を測定する第3温度センサによって測定された温度である。
【0085】
【数9】
ここで、T’
Hは、ヒーティング部材110による温水の加熱温度を示し、ΔQは、温水の減少量を示し、Q
Tは、水平回転角がθ
H゜である時の排出水の水量を示し、T
TθHは、水平回転角がθ
H゜である時の、正常状態での排出水の温度を示し、Q
Hは、正常状態での温水の水量を示し、Q
Lは、正常状態での冷水の水量を示し、T
Lは、冷水の温度を示す。
【0086】
次いで、温水の水量が増加すれば、蛇口制御装置100は、正常状態に到逹するまで、数式(10)によって、ヒーティング部材110の温度を低めつつ冷水量を低減させるために、第2電子弁130bを制御する。
【0087】
段階625の判断結果、温水の水量が減少しない場合、段階635で、蛇口制御装置100は、冷水の水量が減少したかどうかを判断する。
【0088】
もし、冷水の水量が減少した場合、段階640で、蛇口制御装置100は、冷水の水量が減少したほど温水の水量を低減させるために、第1電子弁130aの開度を制御する。
【0089】
冷水量が減少した場合、ヒーティング部材110を稼働させることでは問題を解決できないため、排出水の水量を低減させつつ排出水の温度を維持するために、蛇口制御装置100は、第1電子弁130aの開度を制御する。
【0090】
例えば、冷水の水量が正常状態での水量に比べて10%減少すれば、温水の水量も10%減少するように、第1電子弁130aの開度を制御する。
【0091】
段階620に戻って、段階620の判断結果、もし温水及び冷水の水量が減少した場合、段階645で、蛇口制御装置100は、温水量の低減比が冷水量の低減比より大きいかどうかを判断する。
【0092】
もし、温水量の低減比が冷水量の低減比より大きい場合、段階630に進む。しかし、もし、温水量の低減比が冷水量の低減比より小さな場合、段階640に進む。
【0093】
図6には別途に示されていないが、段階615、段階630及び段階640以後に段階610に進み、温水及び冷水の水量変化を持続的にモニタリングしつつ、第1電子弁130a及び第2電子弁130bの開度を制御する。
【0094】
温水の水量及び冷水の水量による第1電子弁130a及び第2電子弁130bの開度を導出した方法自体は、既に
図2で説明したものと同じため、これについての詳細な説明がなくても、温水の水量及び冷水の水量変化による第1電子弁130a及び第2電子弁130bの開度は、
図2で説明したものと同じ方法によって算出されると理解されねばならない。
【0095】
一方、以上で説明したような、温水及び冷水の水量変化、温水及び冷水の水圧変化などによる弁の制御の時、それぞれの変化に即刻で対応する場合に、過度に弁の開度を調節せねばならない問題が発生する恐れがある。これを防止するために、蛇口ノブの回転量による排出水の温度が定常状態に到逹した後、温水及び冷水の温度が変わるか、または水量が変化しても、その変化による排出水の温度が、定常状態の排出水の温度に比べて、前もって定めた基準変化量(例えば、±3゜C)より大きいか、または温水及び冷水の水量変化量が、前もって定めた基準変化量(例えば、±10%の水量変化)より大きい場合に限って、弁を制御することが望ましい。このように弁を制御すれば、前述した実施形態で、蛇口ノブの水平回転角及び垂直回転角がそれぞれ30゜及び20゜である時の、排出水の温度である31.46゜Cと、該蛇口ノブの回転角に対する定常状態の排出水の温度である34.32゜Cとの差が3゜Cより小さいため、弁をそのまま維持させる。さらに、温水及び冷水の水圧変化は、結果的に排出水の水温に影響を及ぼすため、温水または冷水の水圧が変わる場合に、水圧変化量による温度変化量を計算して、弁の制御如何を定める。
【0096】
一方、温水及び冷水の水圧変化の程度が大きい場合には、排出水の水量が過渡に減少する問題が発生する恐れがある。よって、排出水の水量を、蛇口ノブの水平回転角及び垂直回転角に対応する目標水量に維持させるための制御が求められる。これを、温水及び冷水の最大供給水量がそれぞれ0.0002m3/s及び0.0003m3/sであり、温水及び冷水の最大供給温度がそれぞれ45゜C及び20゜Cである状況を、例として挙げて説明する。このような状況で、現在温水及び冷水の水量は、最大供給水量ほど供給されており、温水及び冷水の温度も最大供給温度ほど供給されており、蛇口ノブの水平回転角及び垂直回転角がいずれも45゜に設定されたならば、排出水の水量は0.00025m3/sであり、排出水の温度は30゜Cになる。
【0097】
このような状態で、他の場所で水を使えば、温水及び冷水の水量が減少する。この時、温水及び冷水がいずれも半分以上大きく減少すれば(すなわち、温水及び冷水の水量が、それぞれ0.0001m3/s及び0.00015m3/s未満に供給される場合)、排出水の水量は、目標水量である0.00025m3/sより少なくなる。この場合には、可能な排出水の目標水量に近づくように、第1電子弁130a及び第2電子弁130bの開度を制御するが、温水の低減割合が冷水の低減割合より大きくなって、排出水の目標温度に及ばない場合には、ヒータを駆動して排出水の目標温度を合わせるように制御する。
【0098】
これとは異なって、温水及び冷水の水量の和が排出水の目標水量より大きいか、または同じ場合には、次のように制御する。
【0099】
温水の減少量が冷水の減少量より大きい場合(例えば、温水の供給水量は0.00006m3/sであり、冷水の供給水量は0.0002m3/s)には、排出水の目標水量を供給する。この場合には、温水及び冷水の水量が、それぞれ0.00006m3/s及び0.00019m3/sになるように、第1電子弁130a及び第2電子弁130bの開度を制御し、ヒータを駆動して温水を61.67゜Cに加熱して、排出水の温度が目標温度である30゜Cになるように制御する。これとは異なって、温水の減少量が冷水の減少量より小さな場合(例えば、温水の供給水量は0.00016m3/sであり、冷水の供給水量は0.0001m3/s)には、排出水の目標水量を供給する。しかし、排出水の目標水量に合わせるために、温水及び冷水の水量を、それぞれ0.00015m3/s及び0.0001m3/sになるように、第1電子弁130a及び第2電子弁130bの開度を制御すれば、排出水の温度が、目標温度である30゜Cを超える36.8゜Cになる。よって、この場合には、温水及び冷水が、それぞれ0.000067m3/s及び0.0001m3/sになるように、第1電子弁130a及び第2電子弁130bの開度を制御することが望ましく、このように制御すれば、排出水の温度は30゜Cになり、水量は0.000167m3/sになる。
【0100】
一方、本発明による蛇口制御装置は、季節またはユーザ毎に排出水の目標温度を別々に設定する。例えば、同じユーザが、30゜Cの排出水を、夏にはちょっと熱いと感じる一方、冬にはちょっと冷たいと感じることがある。よって、ユーザ・フレンドリーな制御のために、排出水の目標温度を季節に応じて適応的に設定することが望ましい。例えば、蛇口ノブの水平回転量に対する排出水の目標温度を、夏には10%低減させ、冬には10%増大させる。もちろん、このような制御は、季節に応じてのみ行われるものではなく、屋外の温度または蛇口のある場所の温度に基づいて行われてもよい。例えば、蛇口のある場所の温度が、特定の設定温度(例えば、30゜C)より低ければ、蛇口ノブの水平回転量に対する排出水の目標温度を10%増大させ、設定温度より高ければ、排出水の目標温度を10%増大させる。このような制御は、別途の入力装置を通じてユーザから蛇口ノブの回転情報が入力されるか、または排出水の目標温度及び水量が直接入力される場合にも、同じく適用される。さらに、別途の入力装置を通じてユーザから蛇口ノブの回転情報が入力されるか、または排出水の目標温度及び水量が直接入力される場合に、ユーザ毎に排出水の目標温度を別々に設定する。すなわち、それぞれのユーザ毎に好む排出水の温度及び水量を樹立して分析することで、同じ蛇口ノブの回転量に対する排出水の目標温度及び目標水量をユーザ毎に別々に制御する。この時、入力装置がスマートフォンである場合には、スマートフォンからユーザの情報を自動で提供されることで、ユーザに関する情報を容易に把握できる。これとは異なって、制御パネルが入力装置として使われる場合には、制御パネルを通じてユーザを設定する。
【0101】
以上、実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、下記の特許請求の範囲に記載の本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更できるということが理解できるであろう。