(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】朱印札用の札用紙、およびそれを具備した札用紙組
(51)【国際特許分類】
A47G 33/00 20060101AFI20220530BHJP
B42D 15/00 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
A47G33/00 J
B42D15/00 301C
(21)【出願番号】P 2019053785
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2019-04-25
【審判番号】
【審判請求日】2020-10-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519100790
【氏名又は名称】株式会社ろこう
(74)【代理人】
【識別番号】100083437
【氏名又は名称】佐々木 實
(72)【発明者】
【氏名】橋 本 光 央
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】佐々木 芳枝
【審判官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-24074(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/00
B42D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の縦横寸法内に収まる寸法および外郭形状に
設定され、全体を墨および印の吸収が良い紙製のものであって、朱印用空白範囲の余となる範囲だけを、紙の表面を特殊な薬剤でコーティングしてあり、平滑且つ光沢のある
コート紙か、コート紙と同様にコーティングされているが、細かな凹凸状の表面に加工され、光沢がコート紙よりも抑えられたマット
紙かの何れかからなるものにするか、あるいは、朱印用空白範囲相当部分が窓枠状に刳り抜かれ、該刳り抜き孔内に、墨および印の吸収が良い上質紙または和紙の何れか一方が充填または嵌合状に一体化
されてなるもの
にするかの中の何れか
一か、または、それらの組合せからなるものの
中の何れか一とされることにより、朱印用空白範囲とその余となる範囲とが区分けられており、寺名、社名、本尊の名称、本殿の名称の少なくとも何れか一つ、および参拝年月日を夫々墨書きし、朱印を押印する上で適した朱印用空白範囲と、札所毎に特有の画像または特有の文字の少なくとも何れか一方を予めより鮮明且つ多彩な画像表現で印刷表示する上で適したその余の範囲とが区分けされてなるものとしたことを特徴とする朱印札用の札用紙。
【請求項2】
一定の縦横寸法内に収まる寸法および外郭形状に
設定され、全体を墨および印の吸収が良い紙製のものであって、朱印用空白範囲の余となる範囲だけを、紙の表面を特殊な薬剤でコーティングしてあり、平滑且つ光沢のあるコート紙か、コート紙と同様にコーティングされているが、細かな凹凸状の表面に加工され、光沢がコート紙よりも抑えられたマット
紙かの何れかからなるものにするか、あるいは、朱印用空白範囲相当部分が窓枠状に刳り抜かれ、該刳り抜き孔内に、墨および印の吸収が良い上質紙または和紙の何れか一方が充填または嵌合状に一体化
されてなるもの
にするかの中の何れか
一か、または、それらの組合せからなるもの
の中の何れか一とされることにより、朱印用空白範囲とその余となる範囲とが区分けられており、寺名、社名、本尊の名称、本殿の名称の少なくとも何れか一つ、および参拝年月日を夫々墨書きし、朱印を押印する上で適した朱印用空白範囲と、札所毎に特有の画像または特有の文字の少なくとも何れか一方を予めより鮮明且つ多彩な画像表現で印刷表示する上で適したその余の範囲とが区分けされてなる札用紙と成し、該札用紙と同一の寸法、形状に設定され、同札用紙の裏面が積層状に重ね合わせられることとなる表面の中央に、当該札用紙の朱印用空白範囲に対応する形状および面積の記入範囲表示部が、この札用紙の裏面から表面に透視可能な濃色に印刷表示されてなる台紙が、その表面に対し、当該札用紙の裏面に重ね合わせられ、それら台紙および札用紙の上端縁同士、左端縁同士、右端縁同士、下端縁同士の少なくとも何れか一が分離容易に結合され、一綴りにされるようにしてなるもの
とした札用紙組。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、寺院や神社などから参拝者に、参拝や納経などの証として授与される朱印札の技術に関連するものであり、特に、朱印札用の札用紙を製造、提供する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立て、展示および授与に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
西国三十三所霊場詣や四国八十八箇所霊場詣に代表される霊場巡りは、巡礼者が、屏風折りの折り本とされたものや、和綴じとされたものなどの朱印帳や納経帳、集印帳などを持参し、これに寺務所や、社務所の職員や住職、宮司などが、墨書きすると共に、朱印を押印して頂き、訪れた寺社毎に集印しながら巡礼するというのが一般的なものとなっている。
【0003】
こうした集印は、参拝者が、事前に朱印帳や納経帳、集印帳などを文房具店や百貨店などで事前に購入し、持参するか、または、訪れた寺院や神社などで購入する必要があり、例えば、複数の寺院や神社を巡礼中に、朱印帳を忘れてしまい、持参することができなかったような場合には、やむなく新たに朱印帳を購入するなどの対応をしなければならず、本来ならば一冊に纏めて集印できたはずのものが、二冊、三冊と増えてしまい、残念な結果になってしまうことがあった。
【0004】
また、不要に朱印帳が増えてしまうのを好まない巡礼者や、はじめから朱印帳を持たない参拝者などの場合には、寺院や神社に備えられている薄い一枚の和紙に朱印を頂くこととなるが、こうして単独で頂く朱印札は、白紙に墨書き、朱印するものとなるから、集印した多数の朱印札は、互いに似通っていて、一般の参拝者には、どの寺院、神社の朱印札なのか見分けるのが困難なものであった。
さらに、一冊の朱印帳に寺院と神社の朱印が混在していたり、宗派の異なる朱印が存在したりしている場合などに、宗教上の理由によって押印を断られてしまうことがあるなど、参拝者の希望どおりに一冊の朱印帳に集印することができない場合があった。
【0005】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、手ぬぐい生地に、仏像模様や円形模様を設けて、そこに当該寺院の仏像図や寺院名を押印することができるようにされた朱印帳となる手ぬぐいや、特許文献1(2)に見られるような、尊格像とそれらの周辺を飾る絵柄とが織り出されてなるタペストリー式織物シートと、前記織物シートに、その尊格像の周辺において表示された、掛軸所蔵者を示す家紋及び名称と、前記織物シートの上端に固着された支持軸と、前記織物シートの下端に固着された巻軸とから構成された掛け軸などが散見されるが、単独で手ぬぐいや掛け軸の独特の形態をなしているような朱印札類は、巡礼先の寺院や神社毎に異なる形状、寸法のものとなることが多く、巡礼者が集印した複数の朱印札に全体的統一感をもって体裁良く保管したり、整然と展示したりするのが難しいという欠点があった。
【0006】
また、特許文献1(3)に示されているように、表紙と、表紙に綴じられその表面に低粘着性の粘着層を有する複数の台紙と、台紙に剥離自在に貼着される透明シートとを備え、台紙と透明シートとの間に朱印札を挟むことができるものとされた朱印帳や、特許文献1(4)に開示されているもののように、おもて表紙とうら表紙と2枚重ねの内紙をパーツとしてなるジャバラ式収集帳であって、パーツとしてのおもて表紙、うら表紙、2枚重ねの内紙に連結手段を備えているジャバラ式収集帳、特許文献1(5)のように、芯に巻かれた連続する1枚の巻き紙が用いられ、その繰り出し外層端部から順次に整然と、1個ずつ同等形態の集中的並記単位として、遍路旅の行き先順序記号とその記号により教示される札所名、並びにその札所毎に由来する詠歌とを何れも墨で筆書きした如き文字によって印刷されたものであると共に、その単位群の隣り合う相互間に札所毎に宝印押捺用又は感想記録用空白が一定な大きさとして画成され、上記順序記号に従って自ずと繰り出し使用できるよう定められた巡礼用の集印巻、特許文献1(6)に示されるような、所定数の用紙を連綴してなる納経帳において、各葉に参拝すべき寺院等の本尊の真言が記載されてなる納経帳などが散見される。
【0007】
前記特許文献1(3)および1(4)に示されているような各種の朱印帳類は、寺院や神社などに備えられている薄い一枚の和紙に頂いた朱印札を集印するのに適しており、参拝者の都合によって自由に、朱印札の配列を差し替えることができるものとなっており、また、前記特許文献1(5)および1(6)に示されているような朱印帳類は、予め、巡礼の順序に従い、札所毎の朱印用の空白範囲が整然と配され、しかも、札所毎に設定された朱印用の空白範囲に隣り合う位置に、札所毎に由来する詠歌や札所毎の本尊の真言などが記載されたものとなっているから、一般的な参拝者にも朱印毎に何れの寺院または神社のものなのかが明確に理解できるという利点を備えているものとなっているが、何れの朱印帳の場合にも、朱印札、または朱印帳の朱印用の空白範囲の中の、何れの位置に墨書きし、朱印するのかが明確に示されておらず、墨書きの位置や朱印を押印する位置などは、各寺務所、社務所の職員や住職、宮司などの任意によって文字や朱印の配置のバランスなどを慎重に考えながら行われなければならないものとなっていて、朱印を発行する作業が大きな負担となってしまう虞があった。
【文献】(1)実用新案登録第3080477号公報 (2)実用新案登録第3066970号公報 (3)実用新案登録第3199278号公報 (4)実用新案登録第3195503号公報 (5)実公昭58-23664号公報 (6)実開平6-52666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種の朱印札は、札所に備えられている札用紙類の素材やデザインなどが札所毎に大きく異なってしまうことが多く、巡礼しながら各札所から頂く朱印札の形状や寸法に統一性をもって整然と整理、集印するのが難しいものとなっており、また、各寺務所、社務所の職員や住職、宮司などが、札用紙類に対して墨書きし、朱印を押印する際には、札用紙類に対する墨書きや朱印の位置などに細かな取り決めが特になされている訳ではないから、墨書きの大きさや配置、および朱印の配置などのバランスを熟慮の上、慎重且つ丁寧に墨書きおよび朱印の押印を行わなければならず、寺院や神社などの各札所の作業負担が大きく、しかも大勢の参拝者が同時に朱印札の授与を希望した場合には、長い待ち時間が発生してしまうという欠点があり、複数の札所の何れを訪れた場合にも、統一された形状および寸法の朱印札を、統一性をもって収集することができる上、各寺務所、社務所の職員や住職、宮司などが、朱印札や朱印帳に墨書きや朱印の押印を行う際の、作業負担を軽減し、作業効率を改善することができる朱印札用の札用紙の構成につき、更なる改善の必要性を痛感するに至ったものである。
【0009】
(発明の目的)
そこで、この発明は、参拝者が札所番号順の巡礼に拘ることなく、参拝および集印することができる上、朱印帳を持参せず何れの札所を訪れても、互いに統一性をもった形状および寸法の朱印札が授与されるものとなり、しかも、各寺務所、社務所の職員や住職、宮司などが、札用紙に対する墨書きの位置、および朱印の押印位置などを迷うことなく決定し、より速やかに朱印札を作成することができる新たな朱印札用の札用紙技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の朱印札用の札用紙、およびそれを具備した札用紙組を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の 朱印札用の札用紙は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、一定の縦横寸法内に収まる寸法および外郭形状に設定され、全体を墨および印の吸収が良い紙製のものであって、朱印用空白範囲の余となる範囲だけを、紙の表面を特殊な薬剤でコーティングしてあり、平滑且つ光沢のあるコート紙か、コート紙と同様にコーティングされているが、細かな凹凸状の表面に加工され、光沢がコート紙よりも抑えられたマット紙かの何れかからなるものにするか、あるいは、朱印用空白範囲相当部分が窓枠状に刳り抜かれ、該刳り抜き孔内に、墨および印の吸収が良い上質紙または和紙の何れか一方が充填または嵌合状に一体化されてなるものにするかの中の何れか一か、または、それらの組合せからなるものの中の何れか一とされることにより、朱印用空白範囲とその余となる範囲とが区分けられており、寺名、社名、本尊の名称、本殿の名称の少なくとも何れか一つ、および参拝年月日を夫々墨書きし、朱印を押印する上で適した朱印用空白範囲と、札所毎に特有の画像または特有の文字の少なくとも何れか一方を予めより鮮明且つ多彩な画像表現で印刷表示する上で適したその余の範囲とが区分けされてなるものとした構成を要旨とする朱印札用の札用紙である。
【0011】
(関連する発明1)
上記した朱印札用の札用紙に関連し、この発明には、それを利用した札用紙組も包含している。
即ち、この発明の基本をなす札用紙と同様、一定の縦横寸法内に収まる寸法および外郭形状に設定され、全体を墨および印の吸収が良い紙製のものであって、朱印用空白範囲の余となる範囲だけを、紙の表面を特殊な薬剤でコーティングしてあり、平滑且つ光沢のあるコート紙か、コート紙と同様にコーティングされているが、細かな凹凸状の表面に加工され、光沢がコート紙よりも抑えられたマット紙かの何れかからなるものにするか、あるいは、朱印用空白範囲相当部分が窓枠状に刳り抜かれ、該刳り抜き孔内に、墨および印の吸収が良い上質紙または和紙の何れか一方が充填または嵌合状に一体化されてなるものにするかの中の何れか一か、または、それらの組合せからなるものの中の何れか一とされることにより、朱印用空白範囲とその余となる範囲とが区分けられており、寺名、社名、本尊の名称、本殿の名称の少なくとも何れか一つ、および参拝年月日を夫々墨書きし、朱印を押印する上で適した朱印用空白範囲と、札所毎に特有の画像または特有の文字の少なくとも何れか一方を予めより鮮明且つ多彩な画像表現で印刷表示する上で適したその余の範囲とが区分けされてなる札用紙と成し、該札用紙と同一の寸法、形状に設定され、同札用紙の裏面が積層状に重ね合わせられることとなる表面の中央に、当該札用紙の朱印用空白範囲に対応する形状および面積の記入範囲表示部が、この札用紙の裏面から表面に透視可能な濃色に印刷表示されてなる台紙が、その表面に対し、当該札用紙の裏面に重ね合わせられ、それら台紙および札用紙の上端縁同士、左端縁同士、右端縁同士、下端縁同士の少なくとも何れか一が分離容易に結合され、一綴りにされるようにしてなるものとした札用紙組である。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、この発明の朱印札用の札用紙、およびそれを具備した札用紙組によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、巡礼の対象となる寺院や神社などの各札所毎に、予め朱印用空白範囲が設定されていると共に、札所毎に特有の画像、または、特有の文字の少なくとも何れか一方が予め印刷表示された、一定の縦横寸法内に収まる寸法および外郭形状に設定された札用紙を配備して置き、参拝者から朱印札を求められた場合に、札所の職員、住職または宮司などが、文字の配置バランスなどを検討する必要がなく、速やかに朱印用空白範囲に墨書きし、朱印を押印することができ、しかも、誰が墨書き、朱印の押印を行っても、略同様の文字の配置となり、同じ参拝者が、複数の札所の何れを訪れた場合にも、統一された形状および寸法の朱印札を、統一性をもって収印することができる上、各寺務所、社務所の職員や住職、宮司などが、朱印札に墨書きおよび朱印の押印を行う際の、作業負担を大幅に軽減し、作業効率を格段に改善して参拝者の待ち時間を短時間に留めるよう短縮化できるという秀でた特徴が得られるものである。
【0013】
加えて、各札所に配備されることとなる、この発明の朱印札用の札用紙が、国際規格であるISOに規定されたAシリーズのA7サイズないしA3サイズの何れか一の縦横寸法内に収まる寸法および四角形外郭形状に設定されると共に、配備の対象となる全ての寺、社に配備される夫々が、互いに同一の外郭寸法、形状に統一されたものとすることにより、巡礼者が携帯し易い寸法および形状のものとすることができる上、同じ参拝者が、複数箇所の札所を巡礼しながら、集印した場合に、各種形態のファイル型の朱印帳などに統一感をもって集印することが可能となり、しかも、従前までの参拝者が持参した朱印帳に対し、各札所が直接墨書き、朱印の押印を行う従来型のものと異なり、各寺院や神社毎に独立した朱印札を発行するものとなるから、宗教の違いなどの理由などによって朱印帳への朱印の押印を断られてしまうことがなくなり、さらに、札所番号順や巡礼順など、参拝者の望む順序に配列し、複数枚の朱印札を、全体的統一感をもって収集したり、展示したりすることができ、より優れた美観をもって集印し、賞美することができるものになるという特有の効果を発揮するものとなる。
【0014】
そして、札用紙の全体が墨および印の吸収が良い上質紙または和紙の何れか一方からなるものとされた、この発明の朱印札用の札用紙は、札用紙それ自体の生産効率が良く、参拝者に授与された場合に、寺院や神社が発行した朱印札としての高い品格を充分に表現することができるものとなり、また、札用紙の表面の朱印用空白範囲が、墨および印の吸収が良い上質紙または和紙の何れか一方からなるものとされた、この発明の朱印札用の札用紙によれば、該札用紙の朱印用空白範囲の余となる範囲が、上質紙や和紙以外の、より印刷に適した素材製のものとすることができるから、より鮮明且つ多彩な画像表現や紙質表現が成されたものとすることが可能になるという特段の効果が得られるものになる。
【0015】
また、札用紙の表面の朱印用空白範囲と既成プリント範囲との境界に沿って境界表示枠が、印刷表記されたものとしてなる、この発明の朱印札用の札用紙によると、該札用紙の単独の状態にあっても、定規類を要さずに、誰でも簡単且つ確実に朱印用空白範囲を目視確認することができるものとなるから、該札用紙が配備された札所の何れの職員、住職または宮司であっても、一定の範囲に墨書きおよび朱印の押印をすることができるものとなり、参拝者に対し、より簡単且つ効率的に一定品質の朱印札の発行ができるものになる。
【0016】
さらに、この発明の朱印札用の札用紙を具備した札用紙組によれば、札用紙の裏面に台紙の表面が接する積層状に重ね合わせ配置されたものとなり、該台紙の表面の記入範囲表示部が、該札用紙の裏面から表面に透けて、該札用紙の表面に実際には印刷されていない朱印用空白範囲が、透視可能に表示されることとなるから、該札用紙の表面に朱印用空白範囲が印刷表示されたものと同様に、該札用紙が配備された札所の何れの職員、住職または宮司であっても、一定の範囲に墨書きおよび朱印の押印をすることができるものとなり、該台紙から離脱された朱印札(札用紙)のみを参拝者に対して、より簡単且つ効率的に発行できるものになり、複数の札所から参拝者に授与された朱印札は、朱印用空白範囲が表示されていないにもかかわらず、互いに統一された朱印用空白範囲内に、墨書きおよび朱印の押印が成され、一定の品質に保たれたものになり、しかも個々の朱印札に札所毎に特有の画像表現、または、特有の文字表現の少なくとも何れか一方がなされたものになる上、複数の朱印札同士が、全体的な統一感と優れた美観とをもって集印できるものになるという格別の効果が得られる。
【0017】
そして、台紙の表面に対し、札用紙の裏面が重ね合わせられ、台紙および札用紙の上端縁同士、左端縁同士、右端縁同士、下端縁同士の少なくとも何れか一が、分離容易に結合され、一綴りとされたものとしてなる、この発明の朱印札用の札用紙を具備した札用紙組によると、台紙と札用紙とが人綴りに一体化されているから、墨書きおよび朱印の押印をする際に、台紙に対して札用紙を位置決めする操作が不要となり、より簡単、迅速且つ正確に朱印札の発行作業を行うことができるという大きな効果を奏するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
札用紙は、巡礼の対象となる霊場や札所である各寺務所、社務所の職員、住職、宮司などが、朱印札の授与を希望する参拝者に対し、参拝、納経の証しとして墨書きおよび朱印の押印を行った上、朱印札として提供可能となる機能を担うものであり、一定の縦横寸法内に収まる寸法および外郭形状に設定されたものとしなければならず、より具体的には、後述する実施例にも示すように、国際規格であるISO 216に規定されたAシリーズのA7サイズないしA3サイズの何れか一の縦横寸法内に収まる寸法および四角形外郭形状に設定されると共に、配備の対象となる全ての霊場や札所に配備される夫々が互いに同一の外郭寸法、形状に統一されてなるものとするのが良い。
【0019】
札用紙の朱印用空白範囲は、札用紙の表面の中央に、寺名、社名、本尊の名称、本殿の名称の少なくとも何れか一つ、および、参拝年月日が墨書きされると共に、朱印が押印されることを可能とする機能を担っており、墨および印の吸収が良い紙製のものとしなければならず、より具体的には、後述する実施例にも示しているように、印の吸収が良い上質紙または和紙の何れか一方からなるものとすべきであり、例えば、朱印用空白範囲を含む札用紙の全体が、印の吸収が良い上質紙または和紙の何れか一方からなるものや、札用紙の朱印用空白範囲のみに、印の吸収が良い上質紙または和紙の何れか一方が積層状に貼着、一体化されたものなどとすることができる外、朱印用空白範囲に相当する中央部分が窓枠状に刳り抜かれた札用紙の刳り抜き孔内に対し、印の吸収が良い上質紙または和紙の何れか一方が充填または嵌合状に一体化されてなるものなどとすることが可能であり、さらにまた、札用紙の表面の朱印用空白範囲と既成プリント範囲との境界に沿って境界表示枠が、印刷表記されたものとすることが可能である。
【0020】
例えば、札用紙の既成プリント範囲が、紙の表面を特殊な薬剤でコーティングしてあり、平滑且つ光沢のあるコート紙、コート紙と同様にコーティングされているが、細かな凹凸状の表面に加工され、光沢がコート紙よりも抑えられたマット紙、および、紙自体に着色や模様などの、特殊な加工が施された特殊紙の何れか一つか、または、それらの組み合わせの何れか一方からなるものとすることができ、より具体的に示すと、札用紙の既成プリント範囲が、光沢紙、アートポスト(商品名)、マットポスト(商品名)、ケント紙(商品名)、ヴァンヌーボ(登録商標)、ハイマッキンレーアート(商品名。ハイマッキンレー:登録商標)、ハイマッキンレーポスト(商品名。ハイマッキンレー:登録商標)、エスプリコートSS(商品名)、ユポ紙(商品名。ユポ:登録商標)、または、クラフト紙(商品名)の何れか一つか、または、それらの組み合わせの何れか一方からなるものとすることができる。
【0021】
札用紙の既成プリント範囲は、札用紙の表面の朱印用空白範囲の余となる範囲に、寺院や神社毎に因んだ特有の画像、または、特有の文字の少なくとも何れか一方が予め印刷表示されたものとなる機能を分担するものであり、モノクロ表示、カラー表示、ホログラム表示などの何れか一つか、または、それらの組み合わせからなるものとすることが可能であり、オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、シルク印刷、ホログラム印刷、版画、シールやステッカー類の印刷物の貼着などの何れか一つか、または、それらの組み合わせからなるものとすることが可能であり、例えば、札用紙の表面の朱印用空白範囲の余となる範囲に、清水寺の舞台、東大寺の大仏、日光東照宮の陽明門や三猿、厳島神社の大鳥居、鹿苑寺の舎利殿(金閣)、東山慈照寺の観音殿(銀閣)、興福寺の千手観音、浅草寺の聖観世音菩薩、成田山の不動明王、その他の建築物や像、人物、動物、人工物、景色、植物、自然物、その他の絵または写真などの画像が、該朱印用空白範囲に対してバランス良く配されるようプリントされたものとすることができ、後述する実施例にも示している通り、札用紙の表面の朱印用空白範囲の余となる範囲に、例えば、日光東照宮の眠り猫および雀を模した画像がプリントされたものとすることができる。
【0022】
札用紙の既成プリント範囲にプリントされた文字は、寺院や神社毎に因んだ特有の真言、梵字、種子、サポン、詠歌、霊場の札番号、祭事名などがプリント表示されたものとなる機能を分担し、札用紙の表面の朱印用空白範囲の余となる範囲に、バランス良く配されるようプリントされたものとするべきであり、モノクロ表示、カラー表示、ホログラム表示などの何れか一つか、または、それらの組み合わせからなるものとすることが可能であり、オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、シルク印刷、ホログラム印刷、シールやステッカー類の印刷物の貼着などの何れか一つか、または、それらの組み合わせからなるものとすることが可能である。
【0023】
札用紙組は、この発明の基本をなす朱印札用の札用紙の表面に対し、朱印用空白範囲を表示する印刷を施すことなく、該札用紙とは別の別紙類との組み合わせから、寺院や神社にて、該札用紙の表面の中央の朱印用空白範囲内に対し、墨書きおよび朱印を押印される際に、該札用紙の表面の中央に朱印用空白範囲を明確に表示可能とする機能を担うものであり、この発明の基本をなす朱印札用の札用紙と同一の寸法および外郭形状に設定され、札用紙の裏面が積層状に重ね合わせられることとなる表面の中央に、札用紙の朱印用空白範囲に対応する形状および面積の記入範囲表示部が、札用紙の裏面から表面に透視可能な濃色にて印刷表示された台紙が、この発明の基本をなす朱印札用の札用紙と組み合わせられてなるものとしなければならず、より具体的なものとして示すならば、後述する実施例にも示しているように、該台紙が、札用紙の裏面が積層状に重ね合わせられることとなる表面に、札用紙の既成プリント範囲に表示された画像の輪郭、または、文字の輪郭の少なくとも何れか一方に対応する位置合わせ用の輪郭表示部が、札用紙の裏面から表面に透視可能な濃色にて印刷表示されたものとすることが可能であり、さらに具体的には、該台紙の輪郭表示部が、モノクロ表示、カラー表示の何れか一方か、または、それらの組み合わせからなるものとすることが可能であり、オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、シルク印刷、版画などの何れかとすることが可能である。
【0024】
台紙の記入範囲表示部は、台紙の表面に札用紙の裏面が重ね合わせられた場合に、札用紙の表面に対し、札用紙の裏面から表面に透視可能な朱印用空白範囲を表示可能とする機能を分担し、札用紙の裏面に、台紙の表面が重なり合うよう積層状の配置とされた場合に、記入範囲表示部の濃色の印刷表示が、札用紙を透して同札用紙の表面に可視化可能となるものとしなければならず、札用紙の厚みを透かして明確に見ることができる程度に、充分な濃さに印刷表示されたものとすべきであり、記入範囲表示部の全面が濃色面状に表示されたものか、または、記入範囲表示部の外周囲(札用紙の朱印用空白範囲と既成プリント範囲との境目となる枠線)のみが、濃色枠線状に表示されたものかの少なくとも何れか一方とすることができ、少なくとも記入範囲表示部、望ましくは台紙の表面の全体が、墨書きおよび押印の邪魔にならない程度の平滑面状に形成されたものとすべきであり、さらに具体的には、オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、シルク印刷、ホログラム印刷、版画、シールやステッカー類の印刷物の貼着などの何れかとすることが可能である。
【0025】
台紙の輪郭表示部は、該台紙に対して札用紙を正確に重ね合わせ、正確に位置合わせ可能とする機能を担っていて、札用紙の裏面が積層状に重ね合わせられることとなる台紙の表面に対し、札用紙の既成プリント範囲に表示された画像の輪郭、または、文字の輪郭の少なくとも何れか一方に対応する位置合わせ用の輪郭表示部が、札用紙の裏面から表面に透視可能な濃色にて印刷表示されたものとしなければならず、札用紙の厚みを透かして見ることができる、充分な濃さに印刷表示されたものとするのが良く、札用紙の既成プリント範囲に表示された画像の輪郭内または文字の輪郭内の全体に対応する濃色面状に表示されたものか、または、札用紙の既成プリント範囲に表示された画像の輪郭または文字の輪郭の周囲縁に沿って濃色枠線状に表示されたものかの何れか一方とすることができ、望ましくは台紙の表面の全体が、墨書きおよび押印に適した平滑面状に形成されたものとするのが良く、より具体的には、オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、シルク印刷、ホログラム印刷、版画、シールやステッカー類の印刷物の貼着などの何れかとすることが可能である。
そして、台紙に対する札用紙の重ね合わせおよび位置決め操作の煩わしさを解消するよう、台紙の表面に対し、札用紙の裏面が重ね合わせられ、台紙および札用紙の上端縁同士、左端縁同士、右端縁同士、下端縁同士の少なくとも何れか一が、分離容易に結合され、一綴りとされたものとすることができる。
【0026】
後述する実施例には示していないが、札用紙組は、札用紙と同一の寸法、形状に設定され、札用紙の表面に対し、積層状に重ね合わせられることとなる中央に、札用紙の朱印用空白範囲に対応する形状および面積の記入範囲規制窓が厚み方向に貫通されたものとしてなる保護紙が、この発明の基本をなす朱印札用の札用紙に添付されてなるものとすることが可能であり、より具体的に示すと、札用紙と同一の寸法および外郭形状に設定され、札用紙の表面に対し、積層状に重ね合わせられることとなる中央に、札用紙の朱印用空白範囲に対応する形状および面積の記入範囲規制窓が厚み方向に貫通されたものとしてなると共に、札用紙の表面に積層状に重ね合わせられた場合に、札用紙の既成プリント範囲に表示された画像の輪郭、または、文字の輪郭の少なくとも何れか一方に対応する位置合わせ用の輪郭窓が、札用紙の表面を直接視認可能とするよう開口されてなる保護紙が、この発明の基本をなす朱印札用の札用紙に添付されてなるものとし、墨書きおよび朱印の押印をする際に、札用紙の表面の朱印用空白範囲(既成プリント範囲に表示された画像または文字)を除く範囲が、保護紙によって保護され、汚損による作成ミスを未然に防止可能なものとすることができる。
【0027】
さらに、前記保護紙の裏面に対し、この発明の札用紙の表面が重ね合わせられ、保護紙および札用紙の上端縁同士、左端縁同士、右端縁同士、下端縁同士の少なくとも何れか一が、分離容易に結合され、一綴りとされたものとしてなる、この発明の基本をなす朱印札用の札用紙を具備した札用紙組とすることが可能である。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図面は、この発明の
朱印札用の札用紙、およびそれを具備した札用紙組の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【
図1】朱印用空白範囲を示す境界表示枠が印刷された札用紙の表面を示す正面図である。
【
図2】朱印用空白範囲に墨書きされた札用紙の表面を示す正面図である。
【
図3】朱印が押印された朱印札(札用紙)の表面を示す正面図である。
【
図4】朱印札が丸筒に納められる状態を示す斜視図である。
【
図5】朱印札が額縁に納められる状態を示す斜視図である。
【
図7】朱印札が屏風型朱印ファイルに納められる状態を示す斜視図である。
【
図8】屏風型朱印ファイルに納められた朱印札を示す斜視図である。
【
図9】札用紙組の札用紙の表面を示す正面図である。
【
図10】札用紙組の台紙の表面を示す正面図である。
【
図11】台紙に札用紙が積層された札用紙組を示す正面図である。
【
図12】墨書きされた札用紙組を示す正面図である。
【
図13】朱印が押印された朱印札(札用紙組)の表面を示す正面図である。
【
図14】朱印用空白範囲や既成プリント範囲の配置が異なる札用紙組の他の例を示す正面図である。
【
図15】横長の長方形状とされた札用紙組の他の例を示す正面図である。
【
図16】正方形状とされた用紙組の他の例を示す正面図である。
【実施例1】
【0029】
図1ないし
図3に示す事例は一定の縦横寸法内に収まる寸法および外郭形状に設定され、表面10の中央に、墨および印の吸収が良い紙製であって、寺名、社名、本尊の名称、本殿の名称の少なくとも何れか一つ、および、参拝年月日が墨書き21されると共に、朱印22が押印されることとなる朱印用空白範囲2が設定された札用紙1であり、該札用紙1の表面10の朱印用空白範囲2の余となる範囲に、寺院や神社毎に因んだ特有の画像30、または、特有の文字の少なくとも何れか一方が予め印刷表示された既成プリント範囲3が設けられてなる、この
発明の札用紙における代表的な一実施例を示すものである。
【0030】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の朱印札8用の札用紙1は、その全体が墨および印の吸収が良い和紙からなり、国際規格であるISO 216に規定されたAシリーズのA7サイズないしA3サイズの何れか一の縦横寸法内に収まる寸法および四角形外郭形状に設定されており、より具体的には、例えば、横幅約220mm、縦約500mmの和紙からなり、同札用紙1の表面の中央には、朱印用空白範囲2が、横幅が約130mm、縦約175mmに設定された、金色や黄色、オレンジ色などの黄系色の太線などの境界表示枠20のカラープリントによって表示および区画されたものとされている。
【0031】
そして、該札用紙1の表面の朱印用空白範囲2の余となる範囲は、既成プリント範囲3とされ、同既成プリント範囲3の該朱印用空白範囲2の右下角付近に、その一部が、朱印用空白範囲2に僅かに重なるよう、5羽の雀の画像31が、鮮やかな色彩でカラープリントされ、さらに、該札用紙1の表面の左下隅に、眠り猫の画像32が、鮮やかな色彩を伴ってプリントされたものとされた上、該札用紙1の表面の朱印用空白範囲2の余となる範囲であって、しかも既成プリント範囲3全体の5羽の雀の画像31、および、眠り猫の画像32の余となる範囲には、具体的には図示していないが、蓮唐草模様33が、淡い薄い桃色の背景色に、淡い緑灰色の蓮の葉および蓮の蔓、淡く僅かに濃い桃色や淡く僅かに濃い黄色の蓮の花が、背景模様として全体に淡い色彩をもってプリント表示され、既成プリント範囲3の全体に何れかの画像30(31,32,33)が印刷されたものとなっている。
【0032】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の朱印札8用の札用紙1は、
図1ないし
図8に示すように、巡礼の対象となる寺院の寺務所や神社の社務所などの夫々に、この発明の基本をなす札用紙1の複数枚が備えられ、各札用紙1は、その既成プリント範囲3に各寺院や神社毎に異なり、しかも夫々の寺院や神社に因んだ特有の画像30(31,32)が印刷表示されたものとされており、朱印札8を求める参拝者が訪れた場合に、各寺院の寺務所や神社の社務所の職員や住職、宮司などによって該札用紙1に墨書き21および朱印22の押印が行われることとなり、例えば、
図1ないし
図3に示すように、札用紙1の境界表示枠20によって明確に示された朱印用空白範囲2内に、右上配置の参拝、中央に配置された○○○○宮、左がわ配置の参拝年月日の夫々の配置やバランスなどを一切迷うこと無く、速やかに墨書き21することが可能となり、墨書き21が乾燥した後に、朱印22が押印されて完成されたものとなり、大勢の参拝者が一斉に朱印札8を希望した場合にも、札所に因んだ特有の画像30(31,32)を有し、美観に優れた朱印札8をより迅速且つ効率的に授与することが可能となる。
【0033】
参拝者が、授与された朱印札8を持ち運ぶ場合には、
図4に示すように、筒状に丸め、この発明の札用紙1の筒状に丸めた場合の筒型外郭寸法が収納可能な内径および長さに設定された丸筒90に収めたり、
図5および
図6に示すように、この発明の札用紙1の外郭寸法が収まる内部寸法の額縁91に納めたり、
図7および
図8に示すように、屏風状に折り畳むことができ、両端に固い表紙が設けられ、屏風型の朱印帳のように形成され、頁毎に、この発明の札用紙1の外郭寸法が収まる内部寸法の透明な有底封筒状とされたフォルダ部が設けられた屏風型集印ファイル92の、透明な有底封筒状とされたフォルダ部に対し、授与された朱印札8を差し替え自在に納めたりして持ち運ぶことが可能な外、図示していない和綴り本型の頁毎に、この発明の札用紙1の外郭寸法が収まる内部寸法の透明な有底封筒状とされたフォルダ部を有する朱印帳のような形態の本型ファイルや、図示していないフォト・アルバム型であって、各頁がこの発明の札用紙1の外郭寸法より僅かに大きな外郭寸法に設定された硬質な台紙からなり、各頁の全面に貼り付け、剥離を繰り返し行える弱粘着フィルムが貼着され、台紙に重ねられた朱印札8の表面に、該弱粘着フィルムが被着された状態に納めることが可能なものとされた朱印帳のような形態のフォト・アルバム型ファイルなどに納めて持ち運ぶことが可能であり、さらにまた、図示していない掛け軸型であって、上下となる両端に水平な棒が設けられた帯布の前面に、この発明の札用紙1の外郭寸法より僅かに大きな外郭寸法に設定された四角形透明シートの左右縁および底部縁が有底封筒状をなすよう貼着され、フォルダ部とされた掛け軸型のファイルに納めて持ち運ぶことが可能であり、この発明の札用紙1を用いて発行された朱印札8を収納可能なこうした各種のファイル9類は、この発明の札用紙1が備え置かれる寺院の寺務所や神社の社務所などの各札所、または、その他の文房具店や百貨店などにて陳列、販売されるものとすることが可能である。
【実施例2】
【0034】
図9ないし
図13に示す事例は、国際規格であるISO 216に規定されたAシリーズのA7サイズないしA3サイズの何れか一の縦横寸法内に収まる寸法および外郭形状に設定され、表面の中央に、墨および印の吸収が良い紙製であって、寺名、社名、本尊の名称、本殿の名称の少なくとも何れか一つ、および、参拝年月日が墨書きされると共に、朱印22が押印されることとなる朱印用空白範囲2が設定された札用紙1であり、該札用紙1の表面10の朱印用空白範囲2の余となる範囲に、寺院や神社毎に因んだ特有の画像30、または、特有の文字の少なくとも何れか一方が予め印刷表示された既成プリント範囲3が設けられてなる、この発明の朱印札8用の札用紙1に対し、該札用紙1の裏面11が積層状に重ね合わせられることとなる表面50の中央に記入範囲表示部6が、該札用紙1の裏面11から表面10に透視可能な濃色に印刷表示されたものとしてなる台紙5が添付されたものとしてなる、この発明の基本をなす朱印札8用の札用紙1を具備した札用紙組における代表的な他の実施例を示すものである。
【0035】
札用紙組4の札用紙1は、前記実施例1に示されたものと基本的に同一の構造のものとされているが、蓮唐草模様33が朱印用空白範囲2および既成プリント範囲3を含む該札用紙1の表面の全面の背景柄としてプリントされたものとすることが可能である外、蓮唐草模様33が全く設けられていないもの、または、朱印用空白範囲2の周囲の既成プリント範囲3に印刷された蓮唐草模様33が、朱印用空白範囲2に向かうに従って次第に薄くなり、朱印用空白範囲2に達する付近で白紙状に消えた状態にプリントされたものなどとすることができる。
【0036】
札用紙組4の台紙5は、札用紙1と同一の寸法および外郭形状に設定され、該札用紙1の裏面11が積層状に重ね合わせられることとなる表面50の中央に、該札用紙1の朱印用空白範囲2に対応する形状および面積の記入範囲表示部6が、該札用紙1の裏面11から表面10に透視可能な例えば黒色や灰色、紫色、茶色、黄色、緑色、赤色などの濃色の図示しない四角形枠線、または、
図10中に斜線で示す四角面にて印刷表示されると共に、該札用紙1の裏面11が積層状に重ね合わせられることとなる表面50に、該札用紙1の既成プリント範囲3に表示された画像30(31,32)の輪郭に対応する位置合わせ用の輪郭表示部7が、同
図10中に示すように、白抜き実線輪郭(7)、または、図示しない塗り潰し面によって該札用紙1の裏面11から表面10に透視可能な濃色にて印刷表示されたものとなり、さらに、台紙5は、その表面50に対し、札用紙1の裏面11が重ね合わせられ、台紙5および該札用紙1の上端縁同士が、剥離された場合に、糊または熱熔着の場合の樹脂成分などの接着成分が、台紙5がわに残り、札用紙1がわに残らないよう、台紙5がわに強く接着され、札用紙1が台紙5から分離容易となる状態に貼着、結合され、一綴りとされたものとなっている。
【0037】
また、
図14ないし
図16に示すように、札用紙組4の札用紙1および台紙5の形状は、例えば、縦の長方形状、横の長方形状、正方形状、または、図示していない円形状や長円形状、三角形状、台形状、菱形形状、将棋型形状、その他の形状などとすることが可能であり、さらに、台紙5には、輪郭表示部7が設けられておらず、記入範囲表示部6のみが設けられたものとすることができる。
【0038】
(実施例2の作用・効果)
この発明の札用紙組4は、巡礼の対象となる寺院の寺務所や神社の社務所などの夫々に、札用紙1および台紙5の1枚ずつの上端縁同士が、剥離容易な一綴りとされ、該札用紙組4の複数が、札所である各寺院の寺務所や神社の社務所などに備えられたものとされ、該札用紙組4に綴じられた、この発明の基本をなす札用紙1の表面10には、
図9に示すように、その朱印用空白範囲2が印刷表示されておらず、また、その既成プリント範囲3に各寺院や神社毎に異なり、しかも夫々の寺院や神社に因んだ特有の画像30(31,32)が印刷表示されたものとされている。
【0039】
そして、朱印札8を求める参拝者が訪れた場合に、各寺院の寺務所や神社の社務所の職員や住職、宮司などによって該札用紙1に墨書き21および朱印22の押印が行われることとなるが、台紙5と札用紙1とが一綴りとされた札用紙組4は、
図10に示す、該台紙5の表面50の記入範囲表示部6が、
図11に示すように、札用紙1の裏面11から表面10に透視可能なものとなっているから、札用紙1に設定されてはいるが印刷表示されていない朱印用空白範囲2を、正確に把握することが可能となり、該記入範囲表示部6を透かし見ながら、
図12に示すように、札用紙1の表面10の印刷表示されていない朱印用空白範囲2内に、右上配置の参拝、中央に配置された○○○○宮、左がわ配置の参拝年月日の夫々の配置やバランスなどを一切迷うこと無く、速やかに墨書き21することが可能となり、墨書き21が乾燥した後に、
図13に示すように、朱印22が押印された上、札用紙1から台紙5を剥離して完成されたものとなり、前記実施例1に示した札用紙1と同様に、大勢の参拝者が一斉に朱印札8を希望した場合にも、美観に優れた朱印札8をより迅速且つ効率的に授与することが可能となる。
【0040】
さらに、
図14ないし
図16に示すように、札用紙1および台紙5の形状や、札用紙1の朱印用空白範囲2および既成プリント範囲3(画像30や図示しない文字)の範囲、および、該札用紙1に重ね合わせられる台紙5の記入範囲表示部6および(
図14ないし
図16の実施例には設けられていない輪郭表示部7)などの配置などを、札所毎、または、同一の札所において様々に異なる外郭形状、外郭寸法および画像30や文字の配置に設定されたものなどが多彩に展開され、参拝者の好みや希望に応じて自由に、夫々の形状、寸法毎に統一感をもって集印することが可能なものとすることができる。
【0041】
(結 び)
叙述の如く、この発明の朱印札用の札用紙、およびそれを具備した札用紙組は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からのもののように、参拝者が持参した朱印帳や、寺院や神社などの札所に備えられている薄い一枚の和紙に朱印を頂くのとは全く異なり、複数箇所の札所の何れかからも、互いに統一感をもって集印可能な朱印札が授与されるものとすることができるから、複数の札所を巡礼しながら、集印する参拝者にとって格別の付加価値が付与されるものとなる上、札所となる各寺務所や社務所の職員や住職、宮司など、朱印札を発行する人々の、作業負担を大幅に軽減すると共に、朱印札の授与作業を格段に効率化することができるから、複数の札所を巡りながらより迅速に、札所毎により個性的且つ美観をもった朱印札の発行を期待する参拝者、および、海外からの観光客の増加などによって今後の朱印札の発行数の増加が見込まれ、より効率的な朱印札の発行技術の提供を希望する寺院や神社などは勿論のこと、こうした多忙を極める札所に札用紙を提供する製紙業界、および、札用紙や朱印帳などを製造販売する文房具業界などにおいても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0042】
1 札用紙
10 同 表面
11 同 裏面
2 朱印用空白範囲
20 同 境界表示枠
21 同 墨書き
22 同 朱印
3 既成プリント範囲
30 同 画像
31 同 5羽の雀の画像
32 同 眠り猫の画像
33 同 蓮唐草模様
4 札用紙組
5 台紙
50 同 表面
6 記入範囲表示部
7 輪郭表示部
8 朱印札
9 朱印札用のファイル
90 同 丸筒
91 同 額縁
92 同 屏風型朱印ファイル