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特許7080453歯科矯正弾性ゴムの装着時間を監視するためのセンサおよびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】歯科矯正弾性ゴムの装着時間を監視するためのセンサおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61C 7/36 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
A61C7/36
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020517206
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2018075445
(87)【国際公開番号】W WO2019063405
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】17193609.9
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520095197
【氏名又は名称】オトマール クローネンベルク アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クローネンベルク,オトマール
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524504(JP,A)
【文献】国際公開第03/096922(WO,A1)
【文献】米国特許第09180034(US,B1)
【文献】特開2017-047206(JP,A)
【文献】国際公開第2017/149497(WO,A2)
【文献】国際公開第2011/147985(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0004401(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0166157(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
力がセンサ(1)の圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に加えられる時間を測定するために、上顎のマルチブラケット装置(2)の上に、下顎のマルチブラケット装置(3)の上に、前記上顎のアライナ(2´)の上に、および/または前記下顎のアライナ(3´)の上に取り付けられ、マルチブラケット装置(2、3)および/またはアライナ(2´、3´)の歯科矯正弾性バンド(4)の装着時間を監視することができる、センサ(1)であって、
前記マルチブラケット装置が、多数のブラケット(23)を備えており、
前記センサ(1)は、前記圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)と、タイマおよびデータメモリ(12)を持つマイクロコントローラと、を有し、
前記センサ(1)が、
-前記マルチブラケット装置(2、3)および前記ブラケット(23)から独立したセンサであり、
-マルチブラケット装置(2、3)に、および/または前記アライナ(2´、3´)に前記センサ(1)を締結するための締結装置(15)を有し、又は、前記センサ(1)が、前記締結装置(15)の代わりにアライナ(2´、3´)に締結されることができ、
-弾性バンドホルダー(16)および/または弾性バンドガイド(17)を備え、
前記弾性バンド(4)が、前記センサ(1)の前記弾性バンドホルダー(16)に締結されることができ、かつ/または前記弾性バンド(4)が、前記センサ(1)の前記弾性バンドガイド(17)の中に案内されることができ、力が、前記弾性バンド(4)によって前記センサ(1)の前記圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に作用し、前記力が前記センサ(1)に作用する時間を前記タイマが測定し、
前記弾性バンド(4)は、装着時、前記上顎から前記下顎にかけて、前記マルチブラケット装置(2,3)および/またはアライナ(2’、3“)の一方から他方へと、引き伸ばされることができる、
ことを特徴とする、センサ(1)。
【請求項2】
前記センサ(1)が、追加として、ハウジング(13)、電源(14)および/またはデータ送信装置(18)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のセンサ(1)。
【請求項3】
前記データ送信装置(18)が、無線送信機および/またはプラグ接続を備えることを特徴とする、請求項2に記載のセンサ(1)。
【請求項4】
弾性バンド(4)が、
-前記弾性バンドホルダー(16)をブラケット(23)、アーチワイヤ(24)、またはアライナ(2´、3´)に接続するために、前記センサ(1)の前記弾性バンドホルダー(16)に可逆的に締結されることができ、かつ/または
-前記センサ(1)の前記弾性バンドガイド(17)の中に案内されることができ、前記弾性バンド(4)が前記上顎(2)の前記マルチブラケット装置のブラケット(23)から、または前記上顎の前記アライナ(2´)から前記下顎(3)の前記マルチブラケット装置(3)のブラケット(23)に、または前記下顎の前記アライナ(3´)に引き伸ばされると、力が前記圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に加えられる
ことを特徴とする、請求項1から3の少なくとも一項に記載のセンサ(1)。
【請求項5】
前記弾性バンド(4)が、
-前記弾性バンドホルダー(16)に締結される場合に、前記弾性バンド(4)が引き伸ばされると、前記弾性バンドホルダー(16)が、前記センサ(1)の前記圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に力を加え、かつ/または
-前記弾性バンドガイド(17)の中に案内される場合に、前記弾性バンド(4)がまた、ブラケット(23)またはアライナ(2´、3´)上の代わりに、前記センサ(1)の前記弾性バンドホルダー(16)に締結されることができる
ことを特徴とする、請求項4に記載のセンサ(1)。
【請求項6】
前記締結装置(15)が、グロメット、クランプ、ねじ、ワイヤ、弾性バンド、プラグ接続、弾性および/または接着表面を備え、それを用いて、前記センサ(1)が本質的に、任意の所望のマルチブラケット装置(2、3)におよび任意の所望のアライナ(2´、3´)に締結され得ることを特徴とする、請求項1から5の少なくとも一項に記載のセンサ(1)。
【請求項7】
請求項1から6の少なくとも一項に記載のセンサ(1)を備えるマルチブラケット装置(2、3)および/またはアライナ(2´、3´)、前記上顎のマルチブラケット装置またはアライナ(2、2´)、および前記下顎のマルチブラケット装置またはアライナ(3、3´)、および弾性バンド(4)および外部の読取装置についての歯科矯正弾性バンドの装着時間を監視するためのシステム(5)であって、前記マルチブラケット装置(2、3)が、それぞれの場合に多数のブラケット(23)および1つのアーチワイヤ(24)を備え、
前記弾性バンド(4)は、装着時、前記上顎から前記下顎にかけて、前記マルチブラケット装置(2,3)および/またはアライナ(2’、3“)の一方から他方へと、引き伸ばされる、システム(5)。
【請求項8】
請求項1から6の少なくとも一項に記載の前記センサ(1)の前記締結装置(15)が、マルチブラケット装置(2、3)の少なくとも1つのブラケット(23)および/または前記アーチワイヤ(24)、および/または締結手段を用いてアライナ(2´、3´)に接続され得ることを特徴とする、請求項7に記載のシステム(5)。
【請求項9】
締結手段が、ワイヤ、ねじ、クランプ、弾性バンド、弾性ゴム、プラスチック、および/または接着剤または接着剤の組み合わせを備えることを特徴とする、請求項8に記載のシステム(5)。
【請求項10】
請求項1から6の少なくとも一項に記載の前記センサ(1)が、マルチブラケット装置(2、3)に締結される場合に、
-前記同じマルチブラケット装置(2、3)の2つのブラケット(23)の間に配置され、かつ/または
-前記同じマルチブラケット装置(2、3)の少なくとも1つのブラケット(23)の上を延在する
ことを特徴とする、請求項7から9の少なくとも一項に記載のシステム(5)。
【請求項11】
請求項1から4の少なくとも一項に記載の前記センサ(1)が、アライナ(2´、3´)に締結される場合に、
-前記アライナ(2´、3´)の横方向外部領域に配置され、かつ/または
-前記同じアライナ(2´、3´)の少なくとも1つの歯冠の上に延在する
ことを特徴とする、請求項7から9の少なくとも一項に記載のシステム(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科矯正弾性バンドの装着時間を監視するためのセンサおよびシステム、装着時間を監視するための方法、ならびにセンサおよびシステムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
歯の位置ずれは、通常、歯列矯正具として知られているものによって矯正される。一方では、着脱自在の装具、すなわち、患者自身によって容易に取り外され、置き換えられ得るタイプの装具、たとえばアライナがある。他方では、歯科療法士によってのみ歯に固定され、再び取り外され得る固定装具として知られているもの、マルチブラケット装置として知られているものがある。
【0003】
下顎に対する上顎の位置を調整するために、多くの場合装具矯正中に、固定装具にまたはアライナに締結される弾性バンドが使用される。この関連で、通常、マルチブラケット装置および/またはアライナは、それぞれ上顎および下顎に固定される。マルチブラケット装置およびアライナは、弾性バンドが容易に可逆的に締結され得る手段を有する。歯および顎の位置を調整するために、通常、弾性バンドは、上顎のブラケットまたはアライナに、および下顎のブラケットまたはアライナに取り付けられる。顎間力、すなわち上顎と下顎との間の力が、弾性バンドにより生成され、これらの力は、歯および顎の位置の調整に必要である。
【0004】
通常、このタイプの弾性バンドは、患者によって容易に取り外され、再び取り付けられ得る。所望の調整を得るために、弾性バンドは療法士の指示に基づいて、通常1日あたり6時間を超える時間の間、装着されることが重要である。
【0005】
治療の成功を監視するために、患者は、定期的な検査を受けなければならない。この関連で、弾性バンドを持つ装具を使用しているにもかかわらず、全くまたは僅かな治療の進行しか観察され得ない場合がある。そのような場合、療法士は、これが医学的根拠のためかどうか、または患者が必要とされる最小装着時間を厳守していないのかどうか分からない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、弾性バンドの装着時間に関する客観的な、したがって患者から独立したデータを得るために、歯科矯正治療中に固定装具またはアライナに締結され、装具矯正中に下顎に対する上顎の位置を調整するように使用される弾性バンドの装着時間を測定し、文書で記録することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、この目的は、力がセンサ(1)の圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に加えられる時間を測定するために、上顎のマルチブラケット装置(2)に、下顎のマルチブラケット装置(3)に、上顎のアライナ(2´)に、および/または下顎のアライナ(3´)に締結するためのセンサ(1)であり、したがって、マルチブラケット装置(2、3)および/またはアライナ(2´、3´)の歯科矯正弾性バンド(4)の装着時間が監視されることができ、マルチブラケット装置が、圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)を備える複数のブラケット(23)、タイマおよびデータメモリ(12)を持つマイクロコントローラを有するセンサ(1)であって、センサ(1)が、
-マルチブラケット装置(2、3)およびブラケット(23)から独立したセンサであり、
-マルチブラケット装置(2、3)に、および/またはアライナ(2´、3´)にセンサ(1)を締結するための締結装置(15)を有し、センサ(1)がまた、締結装置(15)の代わりにアライナ(2´、3´)に締結されることができ、かつ
-弾性バンドホルダー(16)および/または弾性バンドガイド(17)を備え、
弾性バンド(4)が、センサ(1)の弾性バンドホルダー(16)に締結されることができ、かつ/または弾性バンド(4)が、センサ(1)の弾性バンドガイド(17)の中に案内されることができ、したがって、力が、弾性バンド(4)によってセンサ(1)の圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に作用し、力がセンサ(1)に作用する時間をタイマが測定する、センサ(1)によって達成された。
【0008】
また、本発明によるセンサ(1)を備えるマルチブラケット装置(2、3)および/またはアライナ(2´、3´)、上顎のマルチブラケット装置またはアライナ(2、2´)、および下顎のマルチブラケット装置またはアライナ(3、3´)、ならびに弾性バンド(4)および外部の読取装置のための歯科矯正弾性バンドの装着時間を監視するためのシステム(5)であって、マルチブラケット装置(2、3)が、それぞれの場合に複数のブラケット(23)および1本のアーチワイヤ(24)を備える、システム(5)が請求される。
【0009】
加えて、本発明によるシステム(5)を用いて、マルチブラケット装置(2、3)および/またはアライナ(2´、3´)上の歯科矯正弾性バンド(4)の装着時間を監視する方法であって、
i)本発明によるセンサ(1)が、マルチブラケット装置(2、3)および/またはアライナ(2´、3´)に締結され、
ii)弾性バンド(4)が、マルチブラケット装置(2、3)からおよび/またはアライナ(2´、3´)から他のマルチブラケット装置(2、3)および/またはアライナ(2´、3´)に引き伸ばされ、弾性バンド(4)が、弾性バンドホルダー(16)に締結され、かつ/または弾性バンド(4)が、弾性バンドガイド(17)の中に案内され、したがって、力が、弾性バンド(4)によってセンサ(1)の圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に作用し、
iii)タイマを用いて、少なくとも圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に力を加えるための時間が測定され、マイクロコントローラ(12)のデータメモリに記憶され、
iv)マイクロコントローラ(12)のデータメモリに記憶されたデータが、読取装置を用いて読み出される方法が請求される。
【0010】
また、力がセンサ(1)の圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に作用する時間、およびしたがって装着時間を測定するための、マルチブラケット装置(2、3)およびアライナ(2´、3´)上の歯科矯正弾性バンドの装着時間を監視するための、かつ/または弾性バンド(4)によって加えられる力、特に装着時間に応じて加えられる力を測定するための、本発明によるセンサ(1)の、本発明によるシステム(5)の、および本発明による方法の使用が請求される。
【0011】
本発明によるセンサ(1)、本発明によるシステム(5)、本発明による方法、および本発明による使用は、驚くべきことに複数の利点を示す。したがって、患者が弾性バンドを装着する時間、すなわち患者による弾性バンドの装着時間、およびしたがってまた、矯正力が歯および上顎および下顎に加えられる時間が、容易に測定され得る。このようにして、療法士は、もはや患者の言うことに頼る必要はなく、本発明を使って、力がセンサ(11)に加えられる時間を測定することによって歯科矯正弾性バンド(4)の装着時間を評価し確認するための中立的な手段を有する。
【0012】
次に、本発明によるセンサ(1)の、および本発明によるシステム(5)の非限定的な好ましい実施形態が、添付の図面を使って説明されることになる。それらは、範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、説明の一部を形成するものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】例示として、本発明によるセンサ(1)の非限定的な実施形態を示す図である。ハウジング(13)の中央において、回路基板(フェイントパターニング)があり、それに、例示として、タイマおよびデータメモリ(12)を持つマイクロコントローラ、電源(14)としてのバッテリー、データ送信装置(18)としての送信機、ならびに圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)が接続される。タイマおよびデータメモリ(12)を持つマイクロコントローラ、電源(14)、データ送信装置(18)、および圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)は、所望の情報が交換されることができ、個々の構成要素への電源が確保されることになるように、回路基板を介して一緒に接続される。弾性バンド(4)は、センサ(1)の弾性バンドホルダー(16)に取り付けられる。次に、これは、センサ(1)が締結される一方のマルチブラケット装置(2、3)から、他方のマルチブラケット装置(2、3)のブラケット(23)の小さなフックの方向-矢印で示されている-に延在する。次に、弾性バンドが2つのマルチブラケット装置(2、3)の間で正しく引き伸ばされるならば、張力が、センサ(1)の弾性バンドホルダー(16)に加えられる。弾性バンドホルダー(16)の隅に支点を持つ弾性バンドホルダー(16)のL形状の構成により、次に、圧力がセンサ(11)に生じる。この圧力は、-オン/オフスイッチのように-タイマを起動し、その結果、弾性バンドが圧力を加える時間が測定される。測定された情報は、データメモリ12に記憶され、任意選択的にさらに処理される。 弾性バンドホルダー(16)の反対側のハウジング(13)の外側に、センサ(1)がマルチブラケット装置(2、3)に固定され得るセンサ(1)の締結装置(15)として働くグロメットがある。
図2】例示として、本発明によるセンサ(1)の非限定的な実施形態を示す図である。ハウジング(13)の内部に、タイマおよびデータメモリ12を持つマイクロコントローラ、電源(14)、データ送信装置(18)、ならびに圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)がある。これらは、所望の情報が交換されることができ、個々の構成要素への電源が確保されることになるように、回路基板(フェイントパターニング)を介して一緒に接続される。 ハウジング(13)の外側面に、センサ(1)がマルチブラケット装置(2、3)に固定され得るセンサ(1)の締結装置(15)としてグロメットがある。 締結装置(15)と反対側にあるハウジング(13)の側面に、センサ(1)の弾性バンドガイド(17)が配置され-例示としておよび断面で示されている-、その中に、弾性バンド(4)が位置し、圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に圧力を加える。センサ(11)の感度を高めるために、例示として、これは、ハウジング(13)の寸法をやや超えて延在し、したがって弾性バンド(4)は、ややより大きな圧力をセンサ(11)に加えることができる。この関連で、弾性バンド(4)は、通常、それぞれのブラケット(23)に、特にブラケット(23)の、上顎のマルチブラケット装置(2)の、および下顎のマルチブラケット装置(3)の小さなフックに締結される(図示せず)。
図3】例示として、本発明によるセンサ(1)のもう1つの非限定的な実施形態を示す図である。図2に示される図と同様に、弾性バンド(4)は、弾性バンドガイド(17)を通して案内され、ここでしかし、弾性バンド(4)は、センサ(1)の弾性バンドホルダー(16)に締結され、弾性バンドガイド(17)内で他のマルチブラケット装置のブラケット(23)に案内され、そこで、弾性バンド(4)は、小さなフックに締結される。 図2と同様にして、圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)は、ハウジング(13)の寸法をやや超えて延在し、したがって弾性バンド(4)は、ややより大きな圧力をセンサ(11)に加えることができる。より大きな圧力が測定されるとすぐに、これは、圧力が除去されるまで、すなわち弾性バンド(4)が取り外されるまでタイマを起動する。このようにして、力がセンサ(1)の圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に加えられる時間が測定され、その結果、マルチブラケット装置(2、3)および/またはアライナ(2´、3´)の歯科矯正弾性バンドの装着時間が監視され得る。
図4】各々が本発明によるセンサ(1)のない複数の異なるブラケット(23)を持つ、現在使用されている上顎のマルチブラケット装置(2)および下顎のマルチブラケット装置(3)を示しており、したがって従来技術を示す図である。アーチワイヤ(24)と一緒に接続されるブラケット(23)の幾つかは、たとえば弾性バンド(4)が締結され得る小さなフックを有する。弾性バンド(4)は、食べたり歯を掃除するより前に取り外されることが有利である。この関連で、食後および歯を掃除した後、療法の成功に必要な力を生成するために、弾性バンド(4)はブラケット(23)の小さなフックに再締結されることが重要である。しかし、現在広く使用されているこのシステムを用いることは、弾性バンドが実際に装着されているかどうかを確認することが行われ得ないことを意味する。
図5】例示として、上顎のマルチブラケット装置(2)に、およびしたがってブラケット(23)および/またはアーチワイヤ(24)に締結される、本発明によるセンサ(1)を備える本発明によるシステム(5)を示す図である。センサ(1)は、たとえば、およそ2本の歯に沿って延在し、それに対応してまた、2つのブラケット(23)を覆う。センサ(1)は、弾性バンド(4)が締結される弾性バンドホルダー(16)を備える。弾性バンド(4)は、下顎のマルチブラケット装置(3)まで続き、そこでこれは、ブラケット(23)の小さなフックに取り付けられる。また、センサ(1)は、もちろん下顎のマルチブラケット装置(3)にも締結され得る。弾性バンド(4)が弾性バンドホルダー(16)によって引き伸ばされると、圧力が、センサ(1)に配置された圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に加えられる。このようにして、センサ(1)においては、時間が少なくともタイマで測定され、センサ(1)のマイクロコントローラ(12)のデータメモリに記憶される。例示として、タイマは、ソフトウェアの形でマイクロコントローラに組み入れられており、別個に示されていない。次いで、療法士による次の検査中に、マイクロコントローラ(12)のデータメモリに記憶されたデータは、通常、センサ(1)に組み入れられているデータ送信装置(18)を介して読取装置(図示せず)によって読み出され、次いで評価され得る。 弾性バンド(4)が装着されていないか、または必要なだけ装着されていないならば、この場合下顎に対する上顎の位置に関して全く調整がないかまたは僅かな調整しかない。しかし、これは、弾性バンド(4)がセンサ(1)にいかなる圧力も加えないので、本発明によるセンサ(1)およびシステム(5)、本発明による方法、ならびに本発明による使用によって療法士によって単独で客観的に確証され得る。
図6】上顎のアライナ(2´)および下顎のアライナ(3´)を備える、本発明によるシステム(5)を示す図である。アライナは、歯の周囲に配置され、歯茎に隣接し、より細い線で表されている。本発明によるセンサ(1)は、例示として、上顎のアライナ(2´)に締結され、およそ2つの歯に沿って延在する。センサ(1)は、弾性バンド(4)が締結される弾性バンドホルダー(16)を備える。弾性バンド(4)は、下顎のアライナ(3´)まで続き、そしてそこで、この実施形態においては、これはボタンに締結される。このタイプのボタンは、当業者に知られており、通常、歯に直接接着され、その結果、アライナ(3´)は、この位置に凹部を有する。代替として、弾性バンドは、たとえば、アライナ(3´)に導入されるノッチに締結され得る。もちろん、センサ(1)はまた、下顎のアライナ(3´)に固定されることができ、ボタンまたは凹部は、上顎のアライナ(2´)に固定され得る。弾性バンド(4)が引き伸ばされると、次に圧力が、弾性バンドホルダー(16)によってセンサ(1)に配置される圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に加えられる。このようにして、センサ(1)においては、時間が、少なくともタイマによって測定され、センサ(1)のマイクロコントローラ(12)のデータメモリに記憶される。定期的に、たとえば療法士による次の検査中に、データメモリ(12)に記憶されたデータは次に、読取装置(図示せず)を用いて、通常、センサ(1)に組み入れられるデータ送信装置(18)を介して読み出されることができ、次いで評価され得る。このようにして、簡単な方法で、弾性バンド(4)の装着時間が決定され得る。これは、特に装着時間が不十分な場合、-したがって治療結果が不十分な場合に極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
センサ(1)がマルチブラケット装置(2、3)におよび/またはアライナ(2´、3´)に締結される場合、弾性バンド(4)は、-これが装着されると-上顎から下顎へ、したがって一方のマルチブラケット装置から他方のマルチブラケット装置(2、3)へ引き伸ばされ得る。また、これは、アライナ(2´、3´)の場合も同様である。このようにして、弾性バンド(4)は、センサ(1)の弾性バンドホルダー(16)におよび/またはセンサ(1)の弾性バンドガイド(17)に締結され得る。これは、弾性バンド(4)がセンサ(1)の圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に力を加えることを意味する。特に弾性バンド(4)によってその上に力が圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に作用する時間が、タイマによって測定され、次いで、その上に力がセンサ(1)の圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に作用する時間が確証され得る。言い換えれば、弾性バンド(4)が圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に力を加えるとすぐに、この場合-オン/オフスイッチのように-、弾性バンド(4)が取り外され、それ以上力がセンサ(11)に加えられなくなるまで、タイマを用いて時間が測定される。次いで、タイマもまた停止され、完了した時間が測定されている。いくつかの時間が次々に測定される場合、これらは、合計され得る。
【0015】
本発明によるセンサ(1)はブラケット(23)に組み入れられない-したがってブラケットから独立している-ので、センサ(1)は、本質的に、任意のマルチブラケット装置(2、3)に、および任意のアライナ(2´、3´)に締結され得る。言い換えれば、本発明によるセンサ(1)は、任意の製造業者からの任意のマルチブラケット装置(2、3)または任意のアライナ(2´、3´)の任意の適切な位置に容易に締結され得る。このようにして、本発明によるシステム(5)は、有利なことに、1つまたはごく一部の製造業者からのマルチブラケット装置(2,3)に限定されず、任意のマルチブラケット装置(2,3)を受け入れることができる。
【0016】
加えて、センサ(1)はまた、個々のブラケット(23)よりも大きな寸法を有することができ、その結果、堅牢であり、たとえばバッテリーのおよび無線モジュールのサイズについてさえこれに寄せられる要求のすべてに応じることができるセンサ(1)が製造され得る。したがって、たとえば、センサ(1)のサイズは、ブラケット(23)の場合のように1つの歯面に限定されず、センサは、問題なく同じ顎の2つ以上の歯面の上に延在することができる。
【0017】
有利なことに、-また一般に-食事をして、歯を掃除するより前に、弾性バンド(4)は取り外される。この関連で、食後および歯を掃除した後、弾性バンド(4)は療法の成功に必要な力を生成するためにブラケット(23)の小さなフックに再締結されることが重要である。
【0018】
国際特許第03/096922号パンフレットは、固定された歯科矯正装置を歯に固締するための歯科矯正ブラケットを説明している。ブラケットは、固締されるべきブラケット基部およびブラケット留め具を備え、センサ手段が、ブラケット基部とブラケット留め具との間に配置される。このようにして、歯に加えられる力、圧力、および/または回転モーメントが検出され、客観的に測定される。これは、最適な治療結果を得るために、最適な力および回転モーメントが患者の歯に作用することになるように歯科正装置が設定され得ることを意味する。この関連で、統合されたセンサを持つブラケットが説明される。しかし、任意のマルチブラケット装置に締結され得るブラケットから独立したセンサは、言及されていない。加えて、弾性バンドによる顎間力の測定は、言及もされずまた示唆もされない。
【0019】
国際特許第2001/147985号パンフレットは、電源、口腔内装置が使用のために口内に配置されるときを検出するための検出器、測定データを記録するためのペン、および測定データを送信するためのトランスポンダーを備える口腔内装置の正しい使用を監視するためのシステムを説明している。監視システムは、特に睡眠時無呼吸およびいびきを弱くする場合に、患者または患者のグループの特定の特性に向けて設定され得る。このシステムは、歯の位置ずれの矯正に適していない。また、マルチブラケット装置、アライナ、およびまた弾性バンドは、言及されていない。
【0020】
米国特許第9180034(B)号明細書は、体重管理を支援するための装置および方法を説明している。この事について、装置は、対向する大臼歯の間の患者の口に導入される。その目的は、咀嚼に対する抵抗を高めることであり、その結果、食物の消費が抑制される。この装置は、弾性バンド、磁石、ショックアブソーバ、それらの組み合わせ、ならびに咀嚼の力および頻度を検出するためのセンサを包含することができる。このシステムは、歯の位置ずれの矯正には適していない。加えて、マルチブラケット装置、アライナ、およびタイマは言及されておらず、いかなる時間も測定されない。
【0021】
米国特許出願第2006/0166157(A)号明細書は、歯科矯正装置が正しく配置されるときを検出するセンサ、センサの出力を処理しコンプライアンスデータを生成するプロセッサ、ならびにデータを記憶するための記憶装置を備える歯科矯正コンプライアンスモニターを開示している。このシステムは、1つの顎のみに関し、歯科矯正装置が正しく装着されているかどうかを確認することを目的としている。したがって、下顎に対する上顎の位置を調整すること、または弾性バンドが装着されているかどうかを監視することに適していない。加えて、上顎および下顎のマルチブラケット装置およびアライナ、ならびに歯科矯正弾性バンドは、言及されておらず、いかなる顎間力も測定されない。
【0022】
本発明によれば、用語「マルチブラケット装置(2、3)」-固定装具とも呼ばれる-は、複数の-通常は異なる-ブラケット(23)およびアーチワイヤ(24)から本質的に成る固定式歯科矯正装置を意味すると理解されるべきである。ブラケット(23)は、療法士によって少なくとも1つの顎の複数の歯の外側に接合される。次に、治療アーチワイヤとも呼ばれるアーチワイヤ(24)が、ブラケット(23)に沿って案内される。治療の過程において、アーチワイヤ(24)は、数回交換され、各新しいアーチワイヤ(24)は、寸法および剛性の増加があり、その結果、歯が動かされる。ブラケット(23)およびアーチワイヤ(24)を持つこの種のマルチブラケット装置は、当業者に知られており、市販されている。
【0023】
本発明によれば、用語「ブラケット(23)」は、マルチブラケット装置の製造に使用され得るすべてのタイプのブラケットを意味すると理解されるべきである。ブラケット(23)のそれぞれのタイプおよび形状は、矯正されなければならない歯および位置に応じて個々に選択される。したがって、ブラケット(23)はまた、弾性バンドを締結するための小さなフックを有することができる。本発明によれば、用語「ブラケット(23)」はまた、チューブまたはストリップを包含する。ブラケットは、鋼、特にステンレス鋼、セラミック、またはプラスチックから作られ得る。適切なブラケットは、当業者に知られており、市販されている。
【0024】
本発明によれば、用語「アライナ(2´、3´)」は、歯のそれぞれの位置決めのために個々に製造される透明なプラスチックストリップを意味すると理解されるべきである。通常、アライナは透明であり、外側からほとんど気づかれない場合もある。必要に応じて、一般に、弾性バンドホルダーをアライナに取り付け、または製造中に弾性バンドホルダーをアライナに組み入れることができる。このために、たとえば、ノッチが、アライナ(2 ´、3´)に導入され得る。代替として、締結手段、たとえばボタンが、歯に直接接合されることもあり、その結果、アライナ(3´)は、この位置に凹部を有する。ボタンなどの適切な締結手段は、当業者に知られており、市販されている。固定式マルチブラケット装置と対照的に、アライナは、患者によって取り出されることができ、すなわち、それらは着脱自在である。
【0025】
本発明によれば、用語「弾性バンド(4)」は、歯科医が上顎および/または下顎に力を加えるためにマルチブラケット装置(2、3)またはアライナ(2´、3´)と共に使用する任意の適切な手段を意味する。この関連で、弾性バンド(4)はまた、ゴム以外の材料から作られ得る。通常、弾性バンド(4)は、力を加えることによって可逆的に引き伸ばされ得るゴムストリップである。特に好ましくは、弾性バンド(4)は、ゴムリングから成る、すなわち、リングの形のゴムの短片から成る。弾性バンド(4)を使って、上顎のマルチブラケット装置(2)またはアライナ(2´)は、下顎のマルチブラケット装置(3)またはアライナ(3´)に接続される。この関連で、弾性バンド(4)は、ブラケット(23)に、アーチワイヤ(24)に、歯に、アライナ(2´、3´)に組み入れられる小さなフックに、および/またはセンサ(1)に、特にセンサ(1)の弾性バンドホルダー(16)に締結されることが好ましい。
センサ(1)
【0026】
本発明によるセンサ(1)は、力がセンサ(1)の圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に加えられる時間を測定するために、上顎のマルチブラケット装置(2)に、下顎のマルチブラケット装置(3)に、上顎のアライナ(2´)にかつ/または下顎のアライナー(3´)に締結するのに特に適しており、その結果、固定式マルチブラケット装置(2、3)および/または着脱自在のアライナー(2´、3´)の歯科矯正弾性バンド(4)の装着時間が監視され、すなわち測定され記憶され得る。加えて、センサ(1)はまた、たとえば、装着時間に応じて-弾性バンド(4)によって加えられる力、すなわち圧縮力、引張力および/または剪断力の測定に使用され得る。時間は、センサに組み入れられたタイマで測定される。1つまたは2つ以上のセンサ(1)が、同時に患者ごとに使用され得る。
【0027】
本発明によるセンサ(1)は、マルチブラケット装置(2、3)およびブラケット(23)から独立したセンサであり、すなわち、センサ(1)は、マルチブラケット装置(2、3)、ブラケット(23)またはアライナー(2´、3´)と相互に作用しない。センサ(1)は、圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)、タイマおよびデータメモリ(12)を持つマイクロコントローラ、センサ(1)をマルチブラケット装置(2、3)にかつ/またはアライナ(2´、3´)に締結するための締結装置(15)、ならびに弾性バンドホルダー(16)および/または弾性バンドガイド(17)を備える。この関連で、弾性バンド(4)は、センサ(1)の弾性バンドホルダー(16)に締結されることができ、かつ/または弾性バンド(4)は、センサ(1)の弾性バンドガイド(17)に案内されることができ、その結果、弾性バンド(4)によって、力が、センサ(1)の圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に加えられ得る。このようにして、圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)、ならびにセンサ(1)の弾性バンドホルダー(16)および/または弾性バンドガイド(17)の両方は、弾性バンド(4)が装着されると、弾性バンド(4)によって加えられる力が圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に伝達されることになるように配置される。加えて、弾性バンドホルダー(16)は、通常、弾性バンドを締結するための少なくとも1つの手段、たとえば小さなフックを備える。
【0028】
タイマは、力がセンサ(1)に加えられる時間を測定する。この関連で、タイマは、ソフトウェアまたはハードウェアとして製造され得る。適切なタイマは、適切な選択を行うことができる当業者に知られている。
【0029】
締結装置(15)の代わりに、センサ(1)はまた、特にアライナ内に接合されかつ/または配置される、すなわち着座されるアライナ(2´、3´)に締結され得る。したがって、センサ(1)は、センサ(1)がアライナ(2´、3´)へまたはそれに固定されることになるように、アライナ(2´、3´)のプラスチックによって閉じ込められることもある。この実施形態は、有利なことに、アライナ(2´、3´)の製造中に実装される。代替として、療法士、たとえば歯科医は、たとえば接着剤を用いてかつ/または圧することによって-センサ(1)をアライナ(2´、3´)に対してまたはアライナ(2´、3´)の中に締結することもある。このようにして、センサ(1)は、アライナ(2´、3´)から独立しており、センサ(1)は、アライナ(2´、3´)と相互に作用しない。
【0030】
センサ(1)のデータメモリおよびタイマ(12)を持つマイクロコントローラは、マイクロコントローラ(12)のデータメモリへの行き来をする圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)で検出されたデータの入力および読み出しを可能にし、とりわけ監視する。通常、ソフトウェアまたはハードウェアの形のタイマは、マイクロコントローラの周波数を使って制御され得る。加えて、マイクロコントローラを使って、コンピュータ計算操作が、検出されかつ/または記憶されたデータを用いて実行され得る。この関連で、マイクロコントローラは、圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)および/またはデータメモリの一部であってもよい。代替または追加として、マイクロコントローラ(12)はまた、別個の構成要素、すなわちデータメモリから独立した構成要素としてセンサ(1)に存在することができる。しかし、本発明によれば、それらは、それらが1つの構成要素からまたは複数の構成要素から成るかどうかに関係なく、タイマおよびデータメモリ(12)を持つマイクロコントローラとして、データメモリ(12)を持つマイクロコントローラとして、あるいは実際に、マイクロコントローラ(12)またはデータメモリ(12)のみとして一緒に言及される。
【0031】
好ましい実施形態においては、センサ(1)は、センサ(1)に、特にデータメモリ(12)に、すなわちたとえばコンピュータになどのもう1つの媒体にまた記憶されている測定データを読み出すために、ハウジング(13)、電源(14)、特にバッテリー、および/またはデータ送信装置(18)を追加として備える。この関連で、データ送信装置(18)は、無線送信機および/またはプラグ接続を備える。データの読み出しは、たとえば患者によって定期的に-たとえば毎日-規則正しく行われることができ、かつ/または無線送信によって自動的に行われ得る。しかし、多くの場合、読み出しは、療法士によって定期検査中に行われることが好ましい。読み出しは、たとえば、無線によって、NFC、RFIDおよび/またはBluetooth(登録商標)によって、かつ/またはプラグ接続によって外部の読取装置に送信され得る。この関連で、センサ(1)は、マルチブラケット装置に(2、3)またはアライナ(2´、3´)に締結したままであることができ、あるいは、これは、読み出しのために取り外されることができ、次いで任意選択的に、マルチブラケット装置(2、3)にまたはアライナ(2´、3´)に再接続され得る。
【0032】
センサ(1)のさらに好ましい実施形態においては、弾性バンド(4)は、弾性バンドホルダー(16)をブラケット(23)、アーチワイヤ(24)、またはアライナ(2´、3´)に接続するために、センサ(1)の弾性バンドホルダー(16)に可逆的に締結され得る。この関連で、弾性バンド(4)が任意選択的に-特に好ましくは-引き伸ばされると、弾性バンドホルダー(16)は、センサ(1)の圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に力を加え、その結果、センサ(1)において、少なくともこの力が加えられる時間が測定され、記憶される。非限定的な実施形態が、図1に示されている。代替として-または組み合わさって-、弾性バンド(4)は、センサ(1)の弾性バンドガイド(17)に案内されることができ、その結果、弾性バンド(4)が上顎のマルチブラケット装置(2)の1つのブラケット(23)から、または上顎のアライナ(2´)から下顎のマルチブラケット装置(3)のブラケット(23)に、または下顎のアライナ(3´)に引き伸ばされると、力が圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に加えられる。このタイプの典型的な配置が、図2に示されている。この関連で、任意選択的に、特に好ましくは、ブラケット(23)またはアライナ(2´、3´)に締結される代わりに、弾性バンド(4)はまた、図3でお分かりのように、センサ(1)の弾性バンドホルダー(16)に締結され得る。
【0033】
好ましい実施形態においては、締結装置(15)は、グロメット、クランプ、ねじ、ワイヤ、弾性バンド、プラグ接続、弾性および/または接着面を備え、それによって、センサ(1)は、本質的に任意の所望のマルチブラケット装置(2、3)におよび任意の所望のアライナ(2´、3´)に締結され得る。当業者は、このタイプの締結手段および締結のタイプを承知しているであろうし、それらによって、本発明によるセンサ(1)をマルチブラケット装置(2、3)におよびアライナ(2´、3´)に正確かつ適切に取り付けることができるであろう。
【0034】
システム(5)
本発明によるシステム(5)は、特に、マルチブラケット装置(2、3)および/またはアライナ(2´、3´)の歯科矯正弾性バンドの装着時間を監視するため、すなわち測定し記憶するためのものである。驚くべきことに、本発明によるシステムにおいては、任意の製造業者によるブラケット、マルチブラケット装置、アライナ、および弾性バンドが、それらが歯科矯正用途に適している限り使用され得る。センサ(1)を備えるシステム(5)はまた、装着時間に応じて-弾性バンド(4)によって加えられる力を測定するのに使用され得る。
【0035】
システム(5)は、本発明によるセンサ(1)、上顎のマルチブラケット装置またはアライナ(2、2´)および下顎のマルチブラケット装置またはアライナ(3、3´)、ならびに弾性バンド(4)および外部の読取装置を備え、マルチブラケット装置(2、3)はそれぞれ、複数のブラケット(23)およびアーチワイヤ(24)を備える。この関連で、患者ごとに、患者の上顎または下顎に締結される1つのセンサ(1)で十分な場合もある。しかしまた、患者に2つ以上のセンサ(1)、通常、用いられる弾性バンド(4)ごとに1つのセンサ(1)を使用することができる。必要ならば、また、上顎にも下顎にもセンサ(1)を取り付けることができる。この関連で、上顎のマルチブラケット装置またはアライナ(2、2´)の、または下顎のマルチブラケット装置またはアライナ(3、3´)の少なくとも1つのブラケット(23)は、弾性バンドを締結するための装置、特に小さなフックを備えることが有利である。
【0036】
システム(5)においては、センサ(1)は、センサ(1)に通常は堅固に接続される締結装置(15)によって、任意のマルチブラケット装置(2、3)または任意のアライナ(2´、3´)の1つまたは複数のブラケット(23)に締結され得る。また、センサ(1)は追加として-または単に-アーチワイヤ(24)に締結されることができる。代替的に-または組合わさって-これはまた、1つまたは複数の歯に締結され得る。
【0037】
システム(5)の好ましい実施形態においては、センサ(1)の締結装置(15)は、マルチブラケット装置(2、3)の少なくとも1つのブラケット(23)および/またはアーチワイヤ(24)、および/または締結手段を用いてアライナ(2´、3´)に接続され得る。
【0038】
センサ(1)の締結装置(15)をマルチブラケット装置(2、3)におよび/またはアライナ(2´、3´)に締結するための適切な-および多くの場合好ましい-締結手段には、ワイヤ、ねじ、クランプ、弾性バンド、弾性ゴム、プラスチック、および/または接着剤、または接着剤の組み合わせがある。この関連で、通常、締結手段は、適切な締結を得るためにセンサ(1)の締結装置(15)に適合される。当業者は、どの締結手段が特定の用途に適しているか、どの締結手段がどの締結装置(15)と最適に組み合わされ得るかを承知しているであろう。加えて、センサ(1)がアライナに締結される場合、センサへのアライナ(2´、3´)の製造中にセンサ(1)を直接に接続することもできる。
【0039】
本発明によるシステム(5)の好ましい実施形態においては、本発明によるセンサ(1)は、これがマルチブラケット装置(2、3)に締結される場合に、i)同じマルチブラケット装置(2、3)の2つのブラケット(23)の間に配置され、かつ/またはii)同じマルチブラケット装置(2、3)の少なくとも1つのブラケット(23)の上に、好ましくは少なくとも2つのブラケット(23)の上に延在する。
【0040】
本発明によるシステム(5)のもう1つの好ましい実施形態においては、本発明によるセンサ(1)は、これがアライナ(2´、3´)に締結される場合に、i)アライナ(2´、3´)の横方向外部領域に配置され、かつ/または同じアライナ(2´、3´)の少なくとも1つの歯冠の上に延在する。
【0041】
方法
本発明による方法は、特に、本発明によるシステム(5)を用いてマルチブラケット装置(2、3)および/またはアライナ(2´、3´)上の歯科矯正弾性バンド(4)の装着時間を監視するのに、すなわち測定し記憶するのに適している。加えて、この方法はまた、たとえば、装着時間に応じて-弾性バンド(4)によって加えられる力を測定するために使用され得る。
【0042】
本発明による方法の第1のステップi)においては、本発明によるセンサ(1)は、-上述のように-通常、締結装置(15)によって締結手段を使ってマルチブラケット装置(2、3)におよび/またはアライナ(2´、3´)に締結される。この関連で、センサ(1)をマルチブラケット装置(2,3)に締結することは、マルチブラケット装置が歯に締結された後に行われる。センサ(1)をアライナ(2´、3´)に締結することは、アライナ(2´、3´)の製造中または製造後に行われ得る。アライナ(2´、3´)の製造に続いて、センサ(1)がアライナ(2´、3´)に締結されるならば、この場合アライナ(2´、3)へのセンサ(1)の締結は、口の外部で、または口の内部で直接行われ得る。すべての場合において、このステップは、療法士によって実行される。
【0043】
本発明による方法の第2のステップii)においては、弾性バンド(4)は、一方のマルチブラケット装置(2、3)からおよび/またはアライナ(2´、3´)から他方のマルチブラケット装置(2、3)および/またはアライナ(2´、3´)に引き伸ばされ、その結果、弾性バンド(4)は、センサ(1)の弾性バンドホルダー(16)に締結され、かつ/または弾性バンド(4)は、センサ(1)の弾性バンドガイド(17)に案内され、したがって、力が、弾性バンド(4)によってセンサ(1)の圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に作用する。このステップは、まず第1に療法士によってステップi)の直後に実行され、次いで、定期的に、すなわち通常は1日に数回、患者自身によって実行される。
【0044】
本発明による方法のさらなるステップiii)においては、タイマを用いて、圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に加えられる力の少なくとも時間が、すなわち弾性バンド(4)によって生成される力が圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に加えられる時間が測定される。この関連で、タイマによって測定された時間は、センサ(1)のマイクロコントローラ(12)のデータメモリに記憶される。したがって、このステップは、弾性バンド(4)がマルチブラケット装置(2、3)におよび/またはアライナ(2´、3´)に締結される場合に常に実行される。
【0045】
本発明による方法のさらなるステップiv)においては、センサ(1)のマイクロコントローラ(12)のデータメモリに記憶されたデータが、読取装置を用いて読み出される。この関連で、特定の読取装置が、たとえば、本方法のこのステップのために最適化された読取装置として使用され得る。代替として、コンピュータおよび/またはスマートフォンなどの携帯電話が、センサ(1)のデータメモリ(12)からデータを読み出すことができる読取装置として使用され得る。この関連で、データの読み出しは、通常、当業者によく知られている通常の方法を用いて行われる。通常、このステップは、療法士による検査中および調整後に実行される。代替として-またはそれに加えて-データの読み出しはまた、より短い時間間隔で、たとえば毎日行われ得る。この関連で、データは、無線で、かつインターネットを用いて任意選択的に読取装置に送信されることが好ましい。読取装置は、たとえば、療法士の診療所および/または別の場所、たとえば中央の場所に配置されることができ、そこから照合されたデータが個々の療法士の診療所に送信される。
【0046】
本発明による方法の好ましい実施形態においては、センサ(1)のデータメモリ(12)に記憶されたデータは、特にNFC、RFID、および/またはBluetooth(登録商標)によって、かつ/またはプラグ接続によって、すなわちケーブル接続によって外部の読取装置に無線で送信され、任意選択的に記憶され、さらに処理され、かつ/または印刷される。
【0047】
使用
本発明によるセンサ(1)、本発明によるシステム(5)、および本発明による方法は、歯科矯正装置、特に上顎および下顎のマルチブラケット装置(2、3)およびアライナ(2´、3´)での使用に適している。
【0048】
特に好ましい用途は、マルチブラケット装置(2、3)およびアライナ(2´、3´)上の歯科矯正弾性バンドの装着時間を監視し、-したがって測定し記憶するために-かつ/または弾性バンド(4)によって加えられる力を測定するために、力がセンサ(1)の圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)に作用する時間、したがって装着時間を測定することを含む。
【0049】
センサ(1)、システム(5)、および方法はまた、-特に装着時間を監視することに加えて-弾性バンド(4)によって加えられる力の測定するために、特に装着時間に応じて加えられる力を測定するために使用され得る。
【符号の説明】
【0050】
1 センサ
2 上顎のマルチブラケット装置
3 下顎のマルチブラケット装置
2´ 上顎のアライナ
3´ 下顎のアライナ
4 弾性バンド
5 システム
11 圧縮力、引張力および/または剪断力センサ(11)
12 タイマおよびデータメモリを持つマイクロコントローラ
13 ハウジング
14 電源
15 締結装置
16 弾性バンドホルダー
17 弾性バンドガイド
18 データ送信装置
23 複数のブラケット
24 アーチワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6