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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】連続製袋包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 61/02 20060101AFI20220530BHJP
   B65B 9/207 20120101ALI20220530BHJP
【FI】
B65B61/02
B65B9/207
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018051966
(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2019163070
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】古屋 直樹
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-358767(JP,A)
【文献】特許第5908974(JP,B2)
【文献】特開平04-112055(JP,A)
【文献】特開2010-235159(JP,A)
【文献】国際公開第2013/164985(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 61/02
B65B 9/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを連続的に搬送しながら所定の位置で前記フィルムにシールを行って製袋する連続製袋包装機において、
一製袋サイクル中に前記フィルムの送り速度を変えるフィルム搬送部と、
搬送中の前記フィルムに印字する印字部と、
製袋する袋の情報を取得する袋情報取得部と、
製袋の各動作のタイミングを表示する表示部と、
前記袋の情報に基づいて前記袋を製袋するサイクルの各時点における前記フィルムの送り速度を計算し、印字に適した印字タイミングと前記各動作のタイミングと前記表示部に同時に図示提示する印字タイミング提示部と、
を備える、
連続製袋包装機。
【請求項2】
前記印字タイミング提示部は、前記印字タイミングを入力する入力画面を介して入力された値が適しているか否かを、前記入力画面に表示する、
請求項1に記載の連続製袋包装機。
【請求項3】
前記印字タイミング提示部は、前記袋の情報から前記袋を製袋するサイクルの各時点における前記フィルムの送り速度を計算し、さらに前記印字部の追従能力から印字可能な加減速範囲を計算し、適切な前記印字タイミングを判断する、
請求項1又は請求項2に記載の連続製袋包装機。
【請求項4】
前記印字タイミング提示部は、製袋能力、袋の長さ、横シールの時間をパラメータとして、前記フィルムの送り速度を演算する、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の連続製袋包装機。
【請求項5】
前記印字タイミング提示部は、前記印字部に採用されるプリンタを選択する選択画面を有し、前記選択画面において選択したプリンタに応じて印字可能な加減速範囲を決定する、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の連続製袋包装機。
【請求項6】
前記袋に付されたレジマークを検知するレジマーク検知センサをさらに備え、
前記袋の情報には、レジマークからの距離が印字位置データとして含まれている、
請求項に記載の連続製袋包装機。
【請求項7】
前記印字タイミング提示部は、前記印字タイミングを演算する演算部である、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の連続製袋包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムを連続的に搬送しながら、フォーマでチューブ状に成形し、そのチューブの下端に形成された袋内に物品を充填した後、その袋の上部開口部とそれに続く後続袋の底とに同時に横シールを施して上下の袋の境目を分離する、いわゆる連続製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムが連続的に搬送される連続製袋包装機では、フィルムへの印字は、例えば、特許文献1(特開平6-127533号公報)に開示されているような、印字されたフィルムを一旦保畜することによってフィルムが引っ張られても印字間隔が不規則にならないようにする方法、又は特許文献2(特開平8-217039号公報)に開示されているような、フィルムの搬送速度に同期させて印字速度を追従させる方法が採られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記いずれの方法においても、フィルムの印字位置が決められているので、印字位置と印字に適したフィルムの送り速度とを考慮した最適の印字タイミングは、トライ・アンド・エラーを繰り返して調整されている。
【0004】
本発明の課題は、オペレータが容易に最適な印字タイミングを設定することができる連続製袋包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る連続製袋包装機は、フィルムを連続的に搬送しながら所定の位置でフィルムにシールを行って製袋する連続製袋包装機において、一製袋サイクル中にフィルムの送り速度を変えるフィルム搬送部と、搬送中のフィルムに印字する印字部と、製袋する袋の情報を取得する袋情報取得部と、製袋の各動作のタイミングを表示する表示部と、印字タイミング提示部とを備えている。印字タイミング提示部は、袋の情報に基づいて袋を製袋するサイクルの各時点におけるフィルムの送り速度を計算し、印字に適した印字タイミングと各動作のタイミングと表示部に同時に図示提示する。
【0006】
この連続製袋包装機では、オペレータが、印字タイミングに関する情報に基づいて印字タイミングを設定することができるので、トライ・アンド・エラーの回数が減少し、生産性も向上する。
【0007】
また、この連続製袋包装機では、オペレータが表示画面から印字タイミングを目視することができるので、使い勝手がよい。
【0008】
本発明の第観点に係る連続製袋包装機は、第1観点に係る連続製袋包装機であって、印字タイミング提示部が、印字タイミングを入力する入力画面を介して入力された値が適しているか否かを、当該入力画面に表示する。
【0009】
この連続製袋包装機では、オペレータが、設定した印字タイミングの適否を目視しながら修正することができるので、使い勝手がよい。
【0010】
本発明の第観点に係る連続製袋包装機は、第1観点又は観点に係る連続製袋包装機であって、印字タイミング提示部が、さらに印字部の追従能力から印字可能な加減速範囲を計算し、適切な印字タイミングを判断する。
【0011】
この連続製袋包装機では、フィルム送りの速度、及び印字部の追従能力の双方に基づいて判断された印字タイミングであるので、信頼性が高い。
【0012】
本発明の第観点に係る連続製袋包装機は、第1観点から第観点のいずれか1つに係る連続製袋包装機であって、印字タイミング提示部が、製袋能力、袋の長さ、横シールの時間をパラメータとして、フィルムの送り速度を演算する。
【0013】
この連続製袋包装機では、製袋能力、袋の長さ、横シールの時間は、必要十分なパラメータであり、精度の高い送り速度を演算することができる。
【0014】
本発明の第観点に係る連続製袋包装機は、第1観点から第観点のいずれか1つに係る連続製袋包装機であって、印字タイミング提示部が、印字部に採用されるプリンタを選択する選択画面を有し、選択画面において選択したプリンタに応じて印字可能な加減速範囲を決定する。
【0015】
この連続製袋包装機では、オペレータが加減速範囲を決定する手間が省けるので、使い勝手がよい。
【0016】
本発明の第観点に係る連続製袋包装機は、第観点に係る連続製袋包装機であって、袋に付されたレジマークを検知するレジマーク検知センサをさらに備えている。袋の情報には、レジマークからの距離が印字位置データとして含まれている。
【0017】
この連続製袋包装機では、レジマークからの距離が印字タイミングの決定因子となり、基準ができるので、印字位置をイメージしながら設定することができる。ここで、「レジマークからの距離」とは、レジマーク検知センサがレジマークを検知してからのフィルムの搬送距離である。また、「印字位置をイメージしながら設定することができる」とは、印字タイミングを気にせず(入力画面に表示されているイメージを見ながら)印字位置を調整することができる、という意味である。さらに、「印字位置の調整」とは、入力画面に表示される印字箇所の「鉛直位置」を調整することである。
【0018】
本発明の第観点に係る連続製袋包装機は、第1観点から第観点のいずれか1つに係る連続製袋包装機であって、印字タイミング提示部が、印字タイミングを演算する演算部である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る連続製袋包装機では、オペレータが、印字タイミングに関する情報に基づいて印字タイミングを設定することができるので、トライ・アンド・エラーの回数が減少し、生産性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る連続製袋包装機の要部説明図。
図2】横シール装置の構成概略図。
図3】製袋包装機の制御ブロック図。
図4】Dモーションの動作説明図。
図5】チューブ状フィルムの搬送速度とシールジョーの角速度のタイミングチャート。
図6A】設定された印字タイミングを表示する入力・表示手段の表示画面であって、印字タイミングが適切なものを表示した表示画面。
図6B】設定された印字タイミングを表示する入力・表示手段の表示画面であって、印字タイミングが不適切なものを表示した表示画面。
図7A】データコードの設定画面であって、トリガー・ポイントが適切なものを表示した設定画面。
図7B】データコードの設定画面であって、トリガー・ポイントが不適切なものを表示した設定画面。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0022】
(1)連続製袋包装機1の全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る連続製袋包装機の要部説明図を示す。図1において、連続製袋包装機1は、シリンダ3と、フォーマ4と、搬送手段5と、縦シール装置6と、横シール装置7とを備えている。シリンダ3は、上部ホッパ2の下部開口部に連結される。
【0023】
フォーマ4は、そのシリンダ3の外周に帯状フィルムが通る間隔を開けて巻かれている。搬送手段5は、左右一対であり、シリンダ3に巻かれたチューブ状フィルムTを吸引しながらそれを下方へ搬送する。
【0024】
縦シール装置6は、シリンダ3に巻かれたチューブ状フィルムTの両側縁を互いに熱溶着する。横シール装置7は、縦シール装置6の下方に配置されている。なお、図1において、縦シール装置6が配置された側を前側とし、紙面と直交する方向を左右方向とする。
【0025】
(2)詳細構成
(2-1)シリンダ3及びフォーマ4
フォーマ4は、帯状フィルムをガイドロール41の下から自身の表面を通らせてシリンダ3に巻き付けチューブ状に成形する。シリンダ3及びフォーマ4は、チューブ状フィルムTの両側縁をシリンダ3の前側で重ね合わせる。重ね合わせ部分の上から縦シール装置6によって加圧加熱されることにより、チューブ状フィルムTの合わせ目が縦シールされる。
【0026】
(2-2)搬送手段5
搬送手段5は、チューブ状フィルムTと接する側に開口部が設けられた負圧チャンバの周りを穴開きベルトが周回することにより、チューブ状フィルムTを吸引しながら下方へ搬送する。
【0027】
また、搬送手段5は、チューブ状フィルムTの左右両側に、そのチューブ状フィルムTを左右から挟み込むように、互いに対向させて設けられている。
【0028】
(2-3)縦シール装置6
縦シール装置6では、ヒータ61の回りを金属ベルト62が矢印方向に周回する。金属ベルト62は、シリンダ3に巻かれたチューブ状フィルムTの両側縁をシリンダ3に押し付けながら連続的に加熱溶着して、チューブ状フィルムTの合わせ目に縦シールを施す。
【0029】
(2-4)横シール装置7
横シール装置7は、前後一対のシールジョー71を圧接離反させながらチューブ状フィルムTに水平方向の横シールを施して、下端の袋bの上部開口部と、それに続く後続袋の下部を同時に横シールした後、その境目をカットする。
【0030】
横シール装置7は、一対のシールジョー71と、旋回アーム72と、往復運動機構8とを有している。一対のシールジョー71は、前後方向に対向配置されている。旋回アーム72は、各シールジョー71を互いに内向きに旋回させる。また、後述の往復運動機構8は、各旋回アーム72の回転軸73を互いに近接離反させる。
【0031】
(2-4-1)シールジョー71
図2は、横シール装置7の平面図を示したものである。図2において、前後一対のシールジョー71は、ベース部材74にそれぞれ取り付けられる。各ベース部材74の両端は、左右の旋回アーム72の各先端部に軸72aを介して回動自在に取り付けられている。
【0032】
(2-4-2)旋回アーム72
左側の旋回アーム72の各回転軸73は、左側の前後の軸受部81にそれぞれ取り付けられている。右側の旋回アーム72の各回転軸73は、右側の前後の軸受部82にそれぞれ取り付けられている。
【0033】
また、各ベース部材74の両端上部には、連結ロッド75,75が挿通されたリニアベアリング76がそれぞれ取り付けられている。これにより、旋回アーム72が回転軸73の周りに互いに内向きに旋回しても、ベース部材74とそれに連結されたシールジョー71が水平姿勢に維持される。
【0034】
(2-4-3)往復運動機構8
往復運動機構8は、前側の左の軸受部81と、同じく前側の右の軸受部82と、外側フレーム83と、後側の左の軸受部81と、後側の右の軸受部82と、内側フレーム84と、ターンバックル85と、サーボモータM3とを有している。
【0035】
外側フレーム83は、左右の軸受部81を互いに連結する平面視コの字状の部材である。内側フレーム84は、左右の軸受部81,82を互いに連結する平面視コの字状の部材である。
【0036】
ターンバックル85は、これら各フレーム83,84のそれぞれの連結部83a,84a間に取り付け、各フレーム83,84を互いに近接離反させる。サーボモータM3は、そのターンバックル85を正転・逆転させる。
【0037】
サーボモータM3が、ターンバックル85を正転・逆転させ、各フレーム83,84を互いに近接離反させると同時に、各フレーム83,84に連結された前後一対の軸受部81,82並びにそこに組み込まれた前後一対の回転軸73と旋回アーム72を互いに近接離反させて、シールジョー71にD字型の運動軌跡を描かせる。
【0038】
前側の左右の軸受部81,82と、これらを連結するコの字状の外側フレーム83は、図示しない本体フレームにスライド自在に取り付けられ、後側の左右の軸受部81,82は、外側フレーム83に対してスライド自在に取り付けられている。
【0039】
4本の回転軸73の内、右側の回転軸73には、シュミットカップリング86の出力軸が連結され、そのカップリング86の入力軸には、一対の噛み合いギヤ87の回転軸が連結されている。また、一方のギヤ87は、サーボモ-タM2に連結されて、各ギヤ87が互いに内向きに回転するようになっている。
【0040】
なお、シュミットカップリング86は、動力伝達機構であって、この伝達機能により、軸受部82が互いに近接離反しても旋回アーム72に一定の回転トルクが伝達される。
【0041】
(2-5)制御手段9
図3は、本実施形態に係る連続製袋包装機1の制御ブロック図である。また、図4は、Dモーションの動作説明図である。さらに、図5は、チューブ状フィルムの搬送速度とシールジョーの角速度のタイミングチャートである。
【0042】
図3図4及び図5において、連続製袋包装機1全体を制御する制御手段9は、マイクロコンピュータで構成されており、そこにタッチパネルで構成された入力・表示手段10と、チューブ状フィルムTを搬送する搬送手段5と、縦シール装置6と、横シール装置7とがそれぞれ接続されている。
【0043】
入力・表示手段10から、例えば、運転速度(bpm;袋数/分)、袋長さ(mm)などの袋情報、シール時間(m秒)等が入力されると、制御手段9は、横シール装置7の機械的な制約条件と、旋回アーム用モータであるサーボモータM2の負荷特性とを考慮しながら、シール時のチューブ状フィルムTの搬送速度と、B~C区間の直線距離、角速度ω1、A~B区間の角速度、C~D区間の角速度、D~A区間の角速度ω2とを演算部91で算出する。
【0044】
すなわち、運転速度が決まれば、一対のシールジョー71の1回転に要する時間(図4に示す1サイクル時間)が決まり、チューブ状フィルムTの平均搬送速度V1(図2参照)も決まる。
【0045】
チューブ状フィルムTのB~C区間の搬送速度V2が決まれば、それに伴ってC~B区間の搬送速度V0と、V0からV1まで立ち上げるときの加速度と、V1からV0まで減速するときの減速度が決まるから、演算部91は、それらを制御パラメータとして搬送手段5のドライバ51と縦シール装置6のドライバ63とに転送する。縦シール装置6にも転送するのは、金属ベルト62の搬送速度をチューブ状フィルムTの搬送速度に同期させるためである。
【0046】
また、B~C区間においては、シールジョー71が等速で降下するから、演算部91は、シールジョー71を一定距離だけ降下させたときの微小単位時間毎の旋回アーム72の角速度と、回転軸73の水平移動距離と速度とを求め、それらをB~C区間における旋回アーム用モータであるサーボモータM2の制御パラメータとして、また、回転軸移動用モータであるサーボモータM3の制御パラメータとして記憶する。
【0047】
さらに、演算部91は、旋回アーム72のC~D区間の角加速度、D~A区間の角速度、A~B区間の角減速度を求め、得られたこれらの制御パラメータや角速度を旋回アーム用モータであるサーボモータM2のドライバ77に転送する。また、回転軸移動用モータであるサーボモータM3の制御パラメータについては、これを回転軸移動用モータであるサーボモータM3のドライバ78に転送する。
【0048】
(3)連続製袋包装機1の動作
次に、この実施形態に係る連続製袋包装機1の動作を図面に基づいて説明する。オペレータは、図3の入力・表示手段10を操作して、連続製袋包装機1を運転待機状態に設定する。
【0049】
この状態では、縦シール装置6がチューブ状フィルムTから離れた位置に待機するとともに、ヒータ61が加熱されて設定温度に維持される。
【0050】
また、搬送手段5は、チューブ状フィルムTの側面に密着した状態で待機し、横シール装置7のシールジョー71は、ホームポジションに移動して待機するとともに、加熱されて設定温度に維持される。
【0051】
続いて、入力・表示手段10から運転速度、袋長さ、シール時間等が入力されると、制御手段9は、演算部91を使って制御パラメータや角速度を算出し、それらを各ドライバ51、63、77、78に転送してセットする。
【0052】
そして、入力・表示手段10に表示された図示しない運転キーが操作されると、縦シール装置6の金属ベルト62がチューブ状フィルムTに密着し、続いて、金属ベルト62と搬送手段5のプルダウンベルトが同期して回転し始める。
【0053】
そして、ホームポジションに待機したシールジョー71は、互いに内向きに旋回しながら、設定された制御パラメータや角速度に基づいて、図4に示すD字型の移動軌跡を描いていく。
【0054】
その際、搬送手段5と金属ベルト62は、B~C区間に入る直前の助走区間において加速しながらB~C区間で速い搬送速度V2となり、その搬送速度V2でチューブ状フィルムTを設定されたシール時間だけ搬送していく。
【0055】
そして、B~C区間を過ぎると、遅い速度V0まで減速し、その速度V0になれば、それを所定時間維持していく。
【0056】
こうして、シールジョー71は、D字型の運動軌跡を描きながら、チューブ状フィルムTの下端部に形成された袋bに横シールを施していく。
【0057】
(4)印字タイミングの設定
印字タイミングの設定は、連続製袋包装機1を稼動させる前に、入力・表示手段10を介して行われる。また、演算部91は、印字タイミングの演算を行い、入力・表示手段10を介して印字タイミングを提示する。したがって、演算部91は、印字タイミングの演算部と印字タイミング提示部とを兼ねている。
【0058】
(4-1)印字タイミングの表示
図6A及び図6Bは、設定された印字タイミングを表示する入力・表示手段10の表示画面10aであり、図6Aは印字タイミングが適切なものを表示し、図6Bは印字タイミングが不適切なものを表示している。
【0059】
図6Aおいて、表示画面10aの正面視右コーナーにある3つの枠は、左から運転速度、袋の横幅、及び袋の長さを示している。
【0060】
運転速度は、1分間当たりの製袋数が表示され単位はbpmである。袋の横幅は、横シールが施される方向の幅寸法であり、単位はmmである。袋の長さは、チューブ状フィルムTの搬送方向の長さであり、単位はmmである。
【0061】
表示画面10aの中段には各動作のタイミングチャートが表示されており、横は1サイクルを100%としてサイクル比率でタイミングを表示している。
【0062】
縦は動作の名称を示している。動作は、上から順に、「商品投下ポイント」、「シャッターポイント」、「フィルム送り」、「データコーダ」、及び「横シール動作」が表示されている。
【0063】
「商品投下ポイント」は、上部ホッパ2に商品が投下される時点を示している。「シャッターポイント」とは、チューブ状フィルムTの横シール予定箇所の上方を横シール前に閉じる時点をいう。シャッター動作は、シールジョー71がチューブ状フィルムTを横シールするときに内容物を挟んだ状態とならないように、横シール前に行われる。
【0064】
「フィルム送り」は、チューブ状フィルムTが搬送されている状態を示すが、本実施形態は連続製袋包装機であるので、全サイクルにおいてフィルム送り状態である。
【0065】
「データコーダ」は、印字タイミングを設定することができる範囲、すなわち、印字タイミング許容範囲を示している。印字部であるプリンタ11は、ヘッドを移動させて、搬送されるチューブ状フィルムTに印字することができるが、プリンタ11によってフィルム送り速度の推奨値が異なる。
【0066】
さらに、運転速度によってフィルム送り速度も異なるので、フィルム送り速度が、使用するプリンタ11の推奨値から外れているときは、適正な印字をすることができない。それゆえ、オペレータは、データコーダの枠におけるハイライトされている領域内に印字タイミングを設定することが求められる。
【0067】
(4-1-1)印字タイミングが適切な場合
図6Aに示すように、印字タイミングの設定が適正な場合は、印字タイミングを示す帯がデータコーダのハイライト領域に表示される。しかし、印字タイミングの設定が不適切な場合は、印字タイミングを示す帯がデータコーダのハイライト領域の外に表示される。
【0068】
データコーダの下方には、横シール動作のタイミングが示されている。シールジョー71の閉動作、シール動作、開動作それぞれのタイミングが目視できるように表示されている。
【0069】
図6Aでは、データコーダ内の印字タイミングが、横シール動作の時間範囲内に収まっていることを認識することができる。シールジョー71は、横シールをするために、その速度をフィルム送り速度に一致させるので、印字タイミングはフィルム送り速度が等速となるシール動作の期間であることがわかる。
【0070】
なお、図6Aの横シール動作の表示枠のさらに下側の枠には、印字開始位置と印字時間比率が表示されている。印字開始位置は、1サイクル期間を100%として1サイクルの始点からの遅れ時間比率で表示される。また、印字時間は、1サイクルの期間に対する印字されている時間の比率で表示される。
【0071】
例えば、図6Aでは、1サイクルの始点からサイクル比率にして55%遅れた位置から開始され、サイクル比率にして20%の期間で印字されている。
【0072】
(4-1-2)印字タイミングが不適切場合
参考までに、印字タイミングが不適切な場合を示す図6Bと比較すると、データコーダのハイライト領域の外側に印字タイミングを示す帯が表示されている。そして、印字開始位置と印字時間比率を見ると、1サイクルの始点からサイクル比率にして101%遅れた位置から開始され、サイクル比率にして20%の期間で印字されている。
【0073】
この期間は、図5に示すように、横シール時のシールジョーの速度とフィルム送り速度とを一致させるため、シールジョーは減速し、フィルム送りは加速している期間であり、印字には不適切な期間である。
【0074】
この場合は、表示画面10aの最下段の枠に、「データコード・エラーの可能性があります。」、「トリガー・ポイントを確認して下さい。」のメッセージが表示される。トリガー・ポイントの確認方法について以下に説明する。
【0075】
(4-2)データコーダの設定
図6A及び図6Bの表示画面10aの下から2段目の枠の左には「戻り・キー」、右には「データコーダ・キー」が設けられている。戻り・キーは、前画面へ戻りたいときに使用するキーである。
【0076】
データコーダ・キーは、データコードを設定する画面に切り替えるためのキーであり、トリガー・ポイントを変更して、印字タイミングの設定を変更する際にも、このデータコーダ・キーを押して、画面をデータコーダの設定画面へ切り替える。
【0077】
(4-2-1)トリガー・ポイントが適切な場合
図7A及び図7Bは、データコードの設定画面であり、図7Aはトリガー・ポイントが適切なものを表示し、図7Bはトリガー・ポイントが不適切なものを表示している。図7Aにおいて、中央にフィルムが図示され、フィルム図の左横に印字位置の座標を表す「水平位置」及び「鉛直位置」が表示されている。印字位置の座標は、フィルムの左端からの水平距離と、下端からの鉛直距離とで設定されている。
【0078】
フィルム図の右側には、印字位置のレジマークからの距離を示す「トリガー・ポイント」が表示されている。トリガー・ポイントに記載されている数字は、レジマークからの距離を示している。
【0079】
例えば、図7Aでは、トリガー・ポイントは160mmであるが、これは、レジマークから160mmの位置が印字開位置であることを意味している。レジマーク自体は、袋に予め付されており、フォーマ4の下流側且つプリンタ11の上流側に配置されているレジマーク検知センサ12によって検知されると、そこからフィルム送り方向の下流側に160mm進んだ位置に印字が開始される。
【0080】
(4-2-2)トリガー・ポイントが不適切な場合
参考までに、トリガー・ポイントが不適切な場合を示す図7Bと比較すると、トリガー・ポイントは70mmに設定されている。この場合、この期間は、図5に示すように、横シール時のシールジョーの速度とフィルム送り速度とを一致させるため、シールジョー71は減速し、フィルム送りは加速している期間であり、印字には不適切な期間である。
【0081】
この場合は、表示画面10aの最下段の枠に、「データコード・エラーの可能性があります。」、「トリガー・ポイントを確認して下さい。」のメッセージが表示される。
【0082】
オペレータは、エラーを解消するために、トリガー・ポイントを変更する。トリガー・ポイントが適切になれば、印字タイミングが適切となり、タイミングチャート表示画面に戻れば、図6Aに示すような、印字タイミングを示す帯がデータコーダのハイライト領域に表示された画面となる。
【0083】
(5)特徴
(5-1)
連続製袋包装機では、オペレータが、印字タイミングに関する情報に基づいて印字タイミングを設定することができるので、トライ・アンド・エラーの回数が減少し、生産性も向上する。
【0084】
(5-2)
印字タイミング提示部として機能する演算部91が、製袋の各動作のタイミングを表示する入力・表示手段10の表示画面10aを介して印字タイミングを表示するので、オペレータが表示画面10aから印字タイミングを目視することができるので、使い勝手がよい。
【0085】
(5-3)
オペレータは、入力・表示手段10から入力した値が適しているか否かを、設定した印字タイミングの適否を目視しながら修正することができるので、使い勝手がよい。
【0086】
(5-4)
印字タイミング提示部として機能する演算部91が、入力・表示手段10を介して取得した袋の情報から袋を製袋するサイクルの各時点におけるフィルムの送り速度を計算し、さらにプリンタ11の追従能力から印字可能な加減速範囲を計算し、適切な印字タイミングを判断する。フィルム送りの速度、及びプリンタの追従能力の双方に基づいて判断された印字タイミングは信頼性が高い。
【0087】
(5-5)
印字タイミング提示部として機能する演算部91が製袋能力、袋の長さ、横シールの時間をパラメータとして、フィルムの送り速度を演算するので、精度の高い送り速度を演算することができる。
【0088】
(5-6)
印字タイミング提示部として機能する演算部91が、プリンタ選択画面でもある入力・表示手段10の表示画面10aを介して選択されたプリンタ11に応じて、印字可能な加減速範囲を決定する。それゆえ、オペレータは加減速範囲を決定する手間が省けるので、使い勝手がよい。
【0089】
(5-7)
袋に付されたレジマークを検知するレジマーク検知センサ12をさらに備えており、袋の情報には、レジマークからの距離が印字位置データとして含まれているので、レジマークからの距離が印字タイミングの決定因子となり、基準ができるので、印字位置をイメージしながら設定することができる。
【0090】
ここで、「レジマークからの距離」とは、レジマーク検知センサ12がレジマークを検知してからのチューブ状フィルムTの搬送距離である。
【0091】
また、「印字位置をイメージしながら設定することができる」とは、印字タイミングを気にせず、データコードの設定画面として表示画面10aに表示されているイメージを見ながら、印字位置を調整することができる(印字タイミングは、表示画面10aに表示されているトリガー・ポイントを変更することによって変更することが可能である)。
【0092】
さらに、「印字位置の調整」とは、印字箇所の鉛直位置を自動又は手動でたぐりローラ(図示していないが、フォーマ4の上流側に位置するローラである)を動かすことによって調整することであり、調整結果は、データコードの設定画面として表示画面10aに表示されている「鉛直位置」で確認することができる。
【0093】
(6)その他の構成
上記実施形態では、シールジョー71がDモーションを行ないながら横シールすることを前提に説明をした。しかし、それに限定されるものではなく、横シールは回転円弧ジョーによるロータリーシールでもよく、又はシールジョーがボックスモーションを行いながら横シールをしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 連続製袋包装機
5 搬送手段(フィルム搬送部)
10 入力・表示手段(袋情報取得部)
10a 表示画面(入力画面、選択画面)
11 プリンタ(印字部)
12 レジマーク検知センサ
91 演算部(印字タイミング提示部)
T チューブ状フィルム(フィルム)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【文献】特開平6-127533号公報
【文献】特開平8-217039号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B