(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】水準器ホルダー
(51)【国際特許分類】
G01C 9/26 20060101AFI20220530BHJP
B25H 3/00 20060101ALN20220530BHJP
【FI】
G01C9/26
B25H3/00 Z
(21)【出願番号】P 2018086762
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】591006634
【氏名又は名称】株式会社エビス
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(74)【代理人】
【識別番号】100201237
【氏名又は名称】吉井 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】丸山 清
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0137200(US,A1)
【文献】特開2017-1132(JP,A)
【文献】登録実用新案第3163381(JP,U)
【文献】米国特許第5477997(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 9/00-9/36
G01B 3/10-3/1094
B25H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が装着する腰ベルトに取り付けられる取付部に、水平度又は垂直度を測定するための水準器を着脱自在に保持可能な保持部が設けられている水準器ホルダーであって、前記保持部は、正面開口部を介して前記水準器の一端部を挿入してこの一端部を押し付ける受底部と、この受底部に前記水準器の一端部を押し付けながら前記正面開口部を介して倒し回動挿入してこの水準器が介在される保持側部とを備えた収納部で構成され、この収納部に前記倒し回動挿入されて収納される前記水準器に係止する係止部が前記保持側部に設けられていることを特徴とする水準器ホルダー。
【請求項2】
前記保持側部に可動自在な係止爪部が設けられて、この係止爪部が前記係止部として構成され、前記収納部の前記正面開口部から前記水準器が倒し回動挿入されて前記保持側部間に押し込み挿入される際に、前記係止爪部を外側へ可動させると共に、この係止爪部が戻り付勢により前記水準器に係止して水準器が収納保持されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の水準器ホルダー。
【請求項3】
前記保持側部に、外側へ撓み可動自在な可動片が切り出し形成され、この可動片に前記係止部が設けられていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の水準器ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が腰ベルトに掛止め装着して使用する水準器ホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水準器を携帯できるツールホルダーとしては、従来、実用新案登録第3098305号(特許文献1)に示されるものがある。
【0003】
この特許文献1を簡単に説明すると、作業者が装着する腰ベルトに取付け可能な取付部に、ツールを掛止め可能なカラビナが付設されて成る汎用のツールホルダーであり、シャックルなどの掛止部を具備する水準器であれば、掛止部をカラビナに掛止めて携帯することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように、水準器も掛止めて携帯可能な汎用ツールホルダーは従来から実施されているが、水準器専用設計の携帯用ホルダーはこれまでにない。
【0006】
また、特許文献1のような汎用ツールホルダーは、シャックルなどの掛止部を具備する水準器しか利用できなかった。
【0007】
本発明は、この点、水準器専用であって、シャックルなどの掛止部を具備しない水準器であっても簡易操作により容易に保持できる実用性に優れた水準器ホルダーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
作業者Wが装着する腰ベルト1に取り付けられる取付部2に、水平度又は垂直度を測定するための水準器3を着脱自在に保持可能な保持部4が設けられている水準器ホルダーAであって、前記保持部4は、正面開口部11を介して前記水準器3の一端部を挿入してこの一端部を押し付ける受底部12と、この受底部12に前記水準器3の一端部を押し付けながら前記正面開口部11を介して倒し回動挿入してこの水準器3が介在される保持側部13とを備えた収納部4で構成され、この収納部4に前記倒し回動挿入されて収納される前記水準器3に係止する係止部14が前記保持側部13に設けられていることを特徴とする水準器ホルダーに係るものである。
【0010】
また、前記保持側部13に可動自在な係止爪部14が設けられて、この係止爪部14が前記係止部14として構成され、前記収納部4の前記正面開口部11から前記水準器3が倒し回動挿入されて前記保持側部13間に押し込み挿入される際に、前記係止爪部14を外側へ可動させると共に、この係止爪部14が戻り付勢により前記水準器3に係止して水準器3が収納保持されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の水準器ホルダーに係るものである。
【0011】
また、前記保持側部13に、外側へ撓み可動自在な可動片24が切り出し形成され、この可動片24に前記係止部14が設けられていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の水準器ホルダーに係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のように構成したから、水準器の一端部を保持部に挿入してこの一端部を受底部に押し付けながら正面開口部を介して倒し回動挿入するだけの簡易な一連操作のうちに水準器を保持部に収納係止保持でき、シャックルなどの掛止部を具備していない水準器であっても保持部に容易に保持できる極めて実用性に優れた水準器ホルダーとなる。
【0013】
また、請求項2,3記載の発明においては、水準器の一端部を受底部に押し付けながら正面開口部を介して倒し回動挿入した際に水準器に係止して水準器を保持部(収納部)に収納保持する係止部を、簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成の水準器ホルダーとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本実施例の保持部に水準器を収納しようとする様子を示す斜視図である。
【
図3】本実施例の保持部に水準器を収納しようとする状態から、保持部に水準器が収納保持された状態に至るまでの作動を示す説明平面図である。
【
図4】本実施例の使用状態を示す概略説明斜視図である。
【
図5】本実施例の使用状態を示す説明側面図である。
【
図6】
図4,
図5の使用状態から、閉止用穴部より落下防止コードの連結環を外してベルト掛部の下部開放部を開いた状態を示す説明側面図である。
【
図7】本実施例の保持部に対して、その上部開口部から水準器をスライド挿入収納しようとする様子を示す説明正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0016】
本発明の水準器ホルダーAは、取付部2を介して作業者Wが装着している腰ベルト1に取付けできる。そして、水準器ホルダーAの保持部4に水準器3を着脱自在に保持して水準器3を携帯可能である。
【0017】
また、水準器ホルダーAの保持部4について具体的に説明すると、正面開口部11を介して水準器3の一端部を挿入してこの一端部を押し付ける受底部12と、この受底部12に水準器3の一端部を押し付けながら前記正面開口部11を介して倒し回動挿入してこの水準器3が介在される保持側部13とを備えた収納部4で構成され、さらにこの収納部4に前記倒し回動挿入されて収納される水準器3に係止する係止部14が前記保持側部13に設けられたものとなっている。
【0018】
このように構成されている保持部4への水準器3の保持の仕方は、前記正面開口部11を介して水準器3の一端部を挿入し、この水準器3の一端部を前記受底部12に押し付けながら前記正面開口部11を介して倒し回動挿入すると、保持側部13に水準器3が介在されると共に、水準器3に係止部14が係止して保持部4(収納部4)に水準器3が収納された状態で保持される。
【0019】
従って、上記のような簡易な一連の操作によって水準器3を保持部4に収納係止保持でき、また、従来の汎用ツールホルダーのように掛止部を掛止めて保持する構成でないので、掛止部(シャックルなど)を具備していない水準器3であっても保持部4に保持して携帯可能である。
【実施例】
【0020】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0021】
本実施例の水準器ホルダーAは、作業者Wが装着する腰ベルト1に取り付けられる取付部2に、水準器3を着脱自在に保持可能な保持部4が設けられている。
【0022】
ここで、本実施例の水準器3を簡単に説明すると、
図2,
図7に示すように、やや厚みのある横長方形板状の器体15に、この器体15の外部から視認可能な複数の測定用気泡管16が設けられている。
【0023】
また、この水準器3は、器体15の表裏板面と直交する長手方向の一側面部が測定用基準底部17として構成され、この測定用基準底部17を測定物にあてがうことで水平度,垂直度及び斜度を測定可能に構成されている(水平度,垂直度及び斜度を測定可能な前記測定用気泡管16を具備している。)。
【0024】
また、この器体15の長手方向の両端部には、既存のカラビナタイプの工具ホルダーに掛止めたり、落下防止コード8の連結環9を掛止めたりすることが可能なシャックル18が設けられている。
【0025】
また、図示した落下防止コード8について簡単に説明すると、伸縮可能な合成樹脂製のコード部19の両端部に連結環9が設けられているものが採用されている(
図4参照)。
【0026】
以下、本実施例を具体的に説明する。
【0027】
本実施例の水準器ホルダーAの取付部2は、前記腰ベルト1に掛止めて取付可能なベルト掛部2に構成されている。
【0028】
このベルト掛部2は、例えば合成樹脂製であって、
図1,
図2,
図5,
図6に示すように、上部に折り返し部を有し下部が開放する側面視逆U字状の板状体に構成(一体成形)され、下部開放部5から前記腰ベルト1が挿入されるようにして腰ベルト1に上方から掛止可能に構成されている。
【0029】
また、このベルト掛部2の前後の遊離下端部には、双方にリング状突片20が設けられ(一体成形され)ていて、この前後双方のリング状突片20の穴部6が近接若しくは重合(図面は近接)されることによって閉止用穴部7が形成されるように構成されている(
図1参照)。尚、リング状突片20を設けることなく、ベルト掛部2の前後の遊離下端部の双方に貫通穴を形成してこの貫通穴が前記穴部6として構成されていても良い。
【0030】
また、ベルト掛部2は、常態で前記閉止用穴部7が形成される側面視逆U字形態(前後の穴部6が近接配設する形態)に構成されていて、前後の遊離下端部を互いに離反するように撓ませる(弾性変形させる)ことで、前記下部開放部5を広く開くことができるように構成されている。
【0031】
また、このベルト掛部2には、その前後の内面の双方に、このベルト掛部2を前記腰ベルト1に掛止めた際にこの腰ベルト1の下方に位置して腰ベルト1からの抜脱を阻止する抜脱阻止用突起部10が設けられている。
【0032】
更に詳しくは、ベルト掛部2の前後の対向内面の双方に、その横幅いっぱいに表出する横長凸条10が設けられ(一体成形され)ていて、この横長凸条10が前記抜脱阻止用突起部10として構成されている。
【0033】
また、ベルト掛部2の後側(作業者Wに沿わせる側)の内面に設けられている抜脱阻止用突起部10は、ベルト掛部2の前側の内面に設けられている抜止阻止用突起部10より上方に配置されており、前記腰ベルト1に掛止められたこのベルト掛部2の遊離下端部を互いに離間するように撓ませて前記下部開放部5を開くことにより、前記腰ベルト1を前記上下の抜脱阻止用突起部10が乗り越えるようにして前記下部開放部5から抜脱させることができてこのベルト掛部2を前記腰ベルト1から外すことができるように構成されている(
図6参照)。尚、この抜脱阻止用突起部10は、ベルト掛部2の前後の内面のいずれか一方にだけ設けられていても良い。
【0034】
本実施例は、前記保持部4に水準器3を保持した際、この水準器3のシャックル18に一端の連結環9が連結されて水準器3に装着されている前記落下防止コード8の他端の連結環9を前記閉止用穴部7に連結することにより、前記ベルト掛部2の前記下部開放部5が閉止状態となって前記抜脱阻止用突起部10が前記腰ベルト1より上方へ移動できず、本水準器ホルダーAの腰ベルト1からの抜脱が阻止されるように構成されており(
図4,
図5参照)、閉止用穴部7から落下防止コード8の他端の連結環9の連結を外し、前記腰ベルト1に掛止められたこのベルト掛部2の遊離下端部を互いに離間するように撓ませて前記下部開放部5を開くことにより、前記腰ベルト1を前記抜脱阻止用突起部10が乗り越えるようにして前記下部開放部5から抜脱させることができて、このベルト掛部2を前記腰ベルト1から外すことができるように構成されている(
図6参照)。
【0035】
本実施例の水準器ホルダーAの保持部4は、前記ベルト掛部2とは別部品で構成されてベルト掛部2に取付けられている。
【0036】
また、この保持部4は、正面開口部11を介して前記水準器3の一端部を挿入してこの一端部を押し付ける受底部12と、この受底部12に前記水準器3の一端部を押し付けながら前記正面開口部11を介して水準器3の一端部を支点に倒し回動挿入してこの水準器3が介在される保持側部13とを備えた収納部4で構成されている。
【0037】
具体的には、保持体4は、例えば合成樹脂製であって、
図1~
図3に示すように、前記水準器3の器体15の表裏板面のいずれか一面を沿設させる縦長方形板状の背側部21(背板部)と、この背側部21の左右両端部から背側部21の板面と直交する前方に突設して,水準器3の前記測定用基準底部17とこの測定用基準底部17の反対側面とを沿設させながら水準器3を介在させる側板部13とから成る平面視コ字状体に構成(一体成形)されており、この左右の側板部13が前記保持側部13として構成され、左右の保持側部13の突出先端(前端)間の開口部が前記正面開口部11として構成され、左右の保持側部13の上端間の開口部が上部開口部22として構成されている。
【0038】
また、この左右の保持側部13は、前記水準器3の板厚方向の寸法より大きい前方突出幅寸法を有して、この左右の保持側部13間に水準器3を挿入し介在(収納)させると、左右の保持側部13の突出先端が水準器3の前側の板面より前方にまで突出配設して、水準器3の保護機能をも発揮するように構成されている。
【0039】
また、さらにこの左右の保持側部13は、夫々の下端が対向内側に直角に折曲された形状に構成(一体成形)されていて、この折曲下端部の上面が前記受底部12として構成されている。即ち、本実施例の受底部12は、左右二箇所に設けられて、この二箇所の受底部12で水準器3の長手方向の一端部を支持して左右の保持側部13間に介在収納可能に構成され、この際左右の受底部12間に空間部を有することにより、図示したような端部にシャックル18を具備する水準器3も、この空間部でシャックル18を逃げつつ水準器3端部を支持可能となるように構成されている。
【0040】
また、
図2,
図3に示すように、この受底部12に支持した水準器3の一端部を支点にして、水準器3を前記収納部4に前記倒し回動挿入した際(水準器3を左右の保持側部13間に介在させた際)に、この水準器3の外面に係止する係止部14が前記保持側部13に設けられている。
【0041】
具体的には、左右の前記保持側部13に可動自在な係止爪部14が設けられ、この係止爪部14が前記係止部14として構成されていて、前記収納部4の前記正面開口部11から前記水準器3が倒し回動挿入されて前記保持側部13間に押し込み挿入される際に、前記係止爪部14が、水準器3の保持側部13内面と向かい合う外面に接することで外側へ可動させられ、水準器3が前記背側部21に近接若しくは当接状態となるまで押し込まれると、この係止爪部14が水準器3の保持側部13内面と向かい合う外面を乗り越えて後述する可動片24の戻り付勢により前記水準器3の前側の板面の上部寄り左右端部に係止し、これによって水準器3が収納保持されるように構成されている(
図3参照)。
【0042】
即ち、水準器3の一端部を保持部4に挿入してこの一端部を受底部12に押し付けながら正面開口部11を介して倒し回動挿入するだけの簡易な一連操作のうちに水準器3を保持部4に収納保持でき、この収納保持状態から水準器3を上方へスライド移動させることで、前記上部開口部22から水準器3を容易に取り外すことができるように構成されている。
【0043】
更に詳しくは、
図1,
図2に示すように、左右の前記保持側部13の上側寄りに、この各保持側部13にコ字状の切込み23を形成することによって前側が保持側部13に対し内外方向に撓み可動可能な可動片24が切り出し形成され、さらにこの可動片24の可動先端(前端)が
図1,
図3に示すような爪形状に形成されて、この先端爪形部が前記係止爪部14として構成されている。
【0044】
また、この保持部4には、前記上部開口部22から(上方から)水準器3を作業者Wが手でスライド挿入して保持することも可能であり(
図7参照)、この際、水準器3のスライドをガイドするガイド凸条25が、左右の前記保持側部13の対向内側面と、前記背側部21の正面開口部11側の前面とに多数並設状態に設けられ(一体成形され)ている。
【0045】
また、本実施例の保持部4の前記ベルト掛部2への取付構造は、前記背側部21の後面が前記ベルト掛部2の前側遊離板部の前面に重合状態に付設されている。
【0046】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0047】
1 腰ベルト
2 取付部
3 水準器
4 保持部・収納部
11 正面開口部
12 受底部
13 保持側部
14 係止部・係止爪部
24 可動片
A 水準器ホルダー
W 作業者