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  • 特許-ガス置換用ドライルーム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】ガス置換用ドライルーム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20220530BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20220530BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20220530BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20220530BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220530BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220530BHJP
   C01B 21/04 20060101ALN20220530BHJP
【FI】
F24F7/06 B
F24F8/108 100
F24F3/14
B01D53/26 220
H05B33/10
H05B33/14 A
C01B21/04 V
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018132005
(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2019052835
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-09-04
(31)【優先権主張番号】P 2017176261
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390020215
【氏名又は名称】株式会社西部技研
(72)【発明者】
【氏名】西國原 仁美
(72)【発明者】
【氏名】河口 和彦
(72)【発明者】
【氏名】江島 寛明
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 麻由
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-149961(JP,A)
【文献】特開2012-052718(JP,A)
【文献】特開2014-181882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 7/003
F24F 3/14
B01D 53/26
H05B 33/10
H01L 51/50
C01B 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥室の内部に収納された気密容器を設け、前記乾燥室に低露点の乾燥空気を供給し循環させる乾燥空気供給装置と、前記乾燥空気供給装置からの前記乾燥空気を前記乾燥室へ供給する配管と、前記乾燥室の前記乾燥空気を前記乾燥空気供給装置に戻す配管と、前記気密容器内の被処理空気中の酸素除去を行う不活性ガス精製装置と、前記被処理空気中の湿分除去を行う低露点ガス供給装置と、前記気密容器に接続された配管であって前記気密容器に接続された前記配管は二つの分岐経路を有し、前記分岐経路の一つは前記気密容器内の前記被処理空気を前記不活性ガス精製装置に送る経路であり、前記分岐経路のもう一つは前記気密容器内の前記被処理空気を前記低露点ガス供給装置に送る経路であり、さらに前記不活性ガス精製装置によって精製された前記被処理空気を前記低露点ガス供給装置に送る経路と、前記低露点ガス供給装置を出た前記被処理空気を空気浄化フィルタを介して前記気密容器に戻す配管と、前記気密容器内の空気を前記乾燥室の外部に排気する排気路とを備え、前記不活性ガス精製装置では前記被処理空気中の酸素除去を行い、前記低露点ガス供給装置では前記被処理空気中の湿分除去を別々に行うことにより、酸素除去性能と湿分除去性能を任意に調整することができるようにしたことを特徴とするドライルーム。
【請求項2】
気体の流量や循環回数を変える風量調整装置を複数設け、大気ブレーク時には、前記気密容器に接続され前記二つの分岐経路を有する前記配管の途中に設けられた前記風量調整装置としてのバルブ(23)を閉じ、前記低露点ガス供給装置を出た前記被処理空気を前記空気浄化フィルタを介して前記気密容器に戻す前記配管の途中に設けられた前記風量調整装置としてのバルブ(31)を閉じ、前記低露点ガス供給装置を出た前記被処理空気を前記空気浄化フィルタを介して前記気密容器に戻す前記配管の途中に分岐して設けられ、当該分岐の位置は前記低露点ガス供給装置より後であって前記風量調整装置としての前記バルブ(31)より前記低露点ガス供給装置に近く、かつ、前記気密容器内の前記被処理空気を前記低露点ガス供給装置に送る前記経路に接続するように設けられた配管を有し、当該配管の途中に設けられた前記風量調整装置としてのバルブ(30)を開くことにより、前記気密容器と隔離された窒素循環ラインを形成し、前記窒素循環ラインでは窒素濃度が高く低湿度の乾燥空気が循環するようにする一方で、前記気密容器への窒素の供給を停止し、前記乾燥空気供給装置から前記乾燥室へ供給された前記乾燥空気を前記気密容器へ供給する配管を有し、当該配管の途中に設けられた前記風量調整装置としてのバルブ(32)を開き、前記気密容器内の空気を前記乾燥室の外部に排気する前記排気路の途中に設けられた前記風量調整装置としてのバルブ(33)を開き、前記乾燥空気が前記気密容器の上部から前記空気浄化フィルタを介してワンパスで供給されるようにすることにより、前記気密容器の密閉を開放して窒素を空気に置換することを特徴とする請求項1に記載のドライルーム。
【請求項3】
前記空気浄化フィルタは、HEPAフィルタ及び/又はULPAフィルタを内蔵したファンフィルタであることを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載のドライルーム。
【請求項4】
前記不活性ガス精製装置が銅及び/又は白金を主成分とする触媒を内蔵した窒素精製機である請求項1から請求項3いずれか一項に記載のドライルーム。
【請求項5】
前記低露点ガス供給装置がデシカント除湿機である請求項1から請求項4いずれか一項に記載のドライルーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELディスプレイ製造装置が設置されたブースなどの低活性ガス濃度(以下、活性ガス濃度を可能な限り0ppmに近づけた濃度のことを「低活性ガス濃度」という)の乾燥室、チャンバ内において、低露点(以下、露点温度が0度以下のことを「低露点」という)の環境下で、比較的短時間で製造装置のメンテナンスや調整などを行なうことができる除湿装置、ガス精製機を含めたガス置換システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置に代わる次世代フラットパネルディスプレイとして期待される有機EL表示装置などに用いられる有機EL素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子や書き込み光源アレイとしての用途が有望視されており、活発な研究開発が進められている。しかし、有機EL素子に用いられる有機発光材料等の有機物質や電極等は水分に弱く空気中の水分で性能や特性が急激に劣化する。従って、これらの開発に伴う実験の際にも、極めて低い露点の空気や、液体窒素を気化させた窒素などの不活性ガスで空気をパージしたブースの中で製造や実験を行う必要がある。
【0003】
また現在、有機ELディスプレー(OLED)の製造には、インクジェット技術などの印刷技術を利用して、液状の有機EL用材料を基板上で均一な薄膜にし、生産効率や性能を高めた素子を作成する技術の開発が行われている。このような製造技術の開発のためには、製造装置の環境を湿度1ppm以下、酸素1ppm以下などの低湿度で低活性ガス濃度にする必要がある。ただし、ブース内において製造装置のメンテナンスや調整などを行なう場合、低湿度の窒素環境を大気環境に戻す(以下、「大気ブレーク」という)必要がある。
【0004】
このとき、通常の大気で窒素環境を置換すると内部にある装置の様々な部品が水分を吸着し、窒素環境に戻す際、部品が吸着した水分を脱着するのに非常に時間がかかっている。
【0005】
この大気ブレークした大気環境から再度窒素環境に戻すための不活性ガス量を最小にし、休止時間を最小限化するため、ガスエンクロージャアセンブリの内部容積を最小限化する技術として特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2015-510254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたものは、ガスエンクロージャをフレーム化し、内部容積をできるだけ小さくすることにより、ガスエンクロージャア内の不活性ガス量を最小にして保守等による休止時間を最小限化するとともに、種々のOLED製造装置の設置面積に適応するように作業空間を最適化できるものであるが、休止中に付随する不活性ガス精製と湿分除去を同時に行うためのガス精製システムも停止しているため、再度、ブース内を低湿度で低アウトガス濃度環境にするための時間が掛かり過ぎるという問題があった。また、ガス精製装置と除湿装置が同一機構内にあり、酸素と水分では精製速度が異なり、酸素の除去と比較して水分の除去に時間がかかるため、同時に除去するのは難しいという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以上のような課題を解決するため、乾燥室内部に気密容器を設け、この気密容器に低活性ガスと低露点ガスを供給するようにし、不活性ガス精製装置と低露点ガス供給装置それぞれ独立して制御できるようにしているため、調整などで気密容器内部に人が入る場合に、低露点空気の供給を維持しながら低活性ガスの供給を停止するようにすると、大気ブレークによる休止時間を大幅に短縮させることができる。つまり水の分子は極性物質であり、低露点に維持する必要のある気密容器に大気を導入すると、気密容器の壁面やフィルタ内部に水分子が付着する。この付着した水分子を排出するために、低露点空気を長時間供給する必要があるが、本発明の場合は低活性ガスの供給を停止した状態で、低露点ガスの供給を維持する事ができ、大気ブレークの後でも速やかに気密容器内の露点を低い状態に到達させることができる。また、低活性ガスとしてボンベに入った窒素ガスであっても、或いは酸素を除去した空気であってもガスの価格が高く、大気ブレークの時間を短縮しないと費用がかさむ。一方で低露点ガスをデシカントロータで作ると費用が掛からないため、低露点ガスの供給を維持しながら低活性ガスの供給を停止してメンテナンスなど行う事で、総費用を低くする事ができる。
【0009】
また、通常は水分と酸素を除去する機構は同一装置内にあるため、水分除去装置と酸素除去装置に流れる気体の流量が同一となるが、これを別々の機器とすることでそれぞれの流量を自由に変えることができるため、低湿度と低活性ガス濃度の両方を同時に実現するような最適な運転条件で低活性ガス濃度のドライルームを作ることができるようになった。
【発明の効果】
【0010】
本発明のガス置換用ドライルームは前述の如く構成したもので、大気ブレーク中も容器内上部に設置されたHEPAフィルタやULPAフィルタなどの空気浄化フィルタから循環させることなく一方向(以下「ワンパス」という)で低露点空気を供給することにより、最も水分を保持しやすいフィルタが水分を保持しないようにして、メンテナンスや保守、段取り替え等を実施する。また、容器の循環路に不活性ガス精製装置とデシカント除湿機を直列に設置し、その循環路と切り離した循環路を別途設け、大気ブレーク中に別途設けた循環路を循環させることにより、循環空気が大気環境に近づかないようにした。このようにすることにより、容器の大気ブレーク後の大気環境から、低湿度で低活性ガス濃度な環境へ戻す復帰時間を大幅に短縮することができた。さらに、この除湿装置と不活性ガス精製装置に流れる気体の流量をそれぞれ個別に制御することにより、容易に短時間で低湿度、低活性ガス濃度な環境へ最適化できるようなドライルームとすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本発明のドライルームの実施例1におけるフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。本実施形態では、内部を低露点、低活性ガス濃度で清浄に保つ必要のある容器のガス置換除湿装置およびガス置換方法として、インクジェット技術などの印刷技術を利用した有機ELディスプレー(OLED)の製造あるいは研究開発装置の容器を例に説明する。なお、本発明は、有機ELディスプレー(OLED)の製造あるいは研究開発装置に限らず、保管空間内を低露点、低活性ガス濃度で清浄に保つ必要のある、リチウムイオン電池材料や半導体分野を開発するために用いるグローブボックスなどの収納容器、または閉鎖空間に対しても用いることができる。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明のガス置換用ドライルームの実施例1について図1に沿って詳細に説明する。1は内部を低露点、低活性ガス濃度で清浄に保つ必要のある気密性容器であり、有機ELディスプレー(OLED)の製造や研究開発に用いる製造装置2を収納しており、内部にガス循環路4及びHEPAフィルタやULPAフィルタなどの空気浄化フィルタ3を有している。なお、空気浄化フィルタ3については、複数のファンフィルタユニットとしてもよい。容器1には配管Aにより窒素ガスと除湿機38からの乾燥空気が供給される。
【0014】
容器1内の被処理空気は、配管Bを通って不活性ガス精製装置としての窒素精製機40に送られ、被処理空気中の活性ガスである酸素が除去される。5は窒素精製用の触媒容器で、銅触媒や白金触媒などが収納されており、触媒が破過した場合、窒素ガスと水素ガスを流しながらヒータ6で温度を上げて触媒を再生する。7は窒素精製機40に被処理空気を送るためのポンプで、精製された被処理空気は、冷却器8を通って送風機9によって低露点ガス供給装置としてのデシカント除湿機39に送られる。なお、本実施例では、銅触媒や白金触媒などの触媒としたが、これらに限定されるものではなく、銅及び/又は白金を主成分とする他の触媒を用いてもよい。
【0015】
11はデシカント除湿機39用のハニカムロータで処理ゾーン12、パージゾーン13、再生ゾーン14に分割されている。17はハニカムロータを回転駆動させるためのギヤードモータなどのロータ駆動モータである。処理ゾーン12には被処理空気がプレクーラ10を通って送風機9で供給される。被処理空気の一部は、処理ゾーン12の前で分岐され、パージゾーン13を通った後、再生ヒータ36を通って再生ゾーン14へ送られる。再生ゾーン14を出た空気は冷却器15で冷却され、ハニカムロータから脱着した再生空気中の湿分から凝縮した水がドレンとして除去され送風機9の前に戻される。デシカント除湿機39を出た被処理空気は、必要に応じてアフターヒータ16で温められて、配管Dを通って容器1に戻される。なお、窒素ガス供給設備に余力がある場合は、デシカント除湿機39を気密性のある部屋内に設置し、その部屋へ窒素ガスを供給するようにして、デシカント除湿機39からの活性ガス侵入を抑制するような構成としてもよい。
【0016】
34は容器1を収納している気密性の乾燥室で、調整などの場合に人が入れる大きさであり、配管Gから乾燥空気供給装置37からの乾燥空気が供給され、配管Hから乾燥室34の空気が乾燥空気供給装置37に戻される。なお、配管Eは容器1内の空気を乾燥室34外へ排気するための排気路である。なお、本実施例では、パージゾーン13を有するハニカムロータ11を使用したが、これに限定されるものではなく、処理ゾーンと再生ゾーンに2分割されたハニカムロータを使った構成としてもよい。
【0017】
以上の構成の本発明のガス置換用ドライルームの動作をまず、容器1の窒素置換及び循環運転について説明する。バルブ18、19、21、22、23、24、25、27、28、29、30、31、33、35を開き、配管Aより窒素ガスと乾燥空気を容器1に送る。容器1内の酸素濃度が100ppm以下に低下したら、バルブ30、33、35を閉じて、窒素精製機40とデシカント除湿機39及び配管Gから低露点の乾燥空気を乾燥室34に供給するため、乾燥空気を循環させる乾燥空気供給装置37の運転を開始する。なお、必要に応じてバルブ24、25を調整することにより、容器1から配管Bを通って循環する空気の窒素精製機40へ行く風量と直接デシカント除湿機39へ行く風量を調節する。例えば、酸素濃度1ppm以下、水分濃度1ppm以下などの規定の濃度になるまで循環を続け、その後、製造装置2の運転を開始しOLEDの製造や研究開発のための試験を開始する。
【0018】
本実施例1では、容器1への窒素の供給を配管Aから行なっているが、これに限定されるものではなく、窒素精製機40の入口から供給するようにしてもよく、窒素精製機40とデシカント除湿機39の間から供給するようにしてもよい。
【0019】
次に容器1のメンテナンス、段取り替え、調整などを行なうための大気ブレークについて説明する。バルブ18、19、21、23、31を閉じ、バルブ30、32、33を開けることにより容器1と配管Bから配管Dまでの窒素循環ラインを隔離する。容器1の密閉を開放し、配管Aから乾燥空気を容器1の上部から入れることで、窒素を空気に置換する。また、配管Fのバルブ32も開いて、配管Gを経由して乾燥空気供給装置37から供給される低露点の乾燥空気が容器1の上部からワンパスで供給されるようにすることにより、大量の空気を一度に安全に供給できるため、窒素と空気の置換スピードを大幅に短縮できる。容器1の中で最も湿分を保持しやすい空気浄化フィルタ3の上部から、容器1内部を循環させることなくワンパスで乾燥空気を供給することで、内部で人が作業しても湿分は容器1内に残らず外に排出される。なお、配管Fと配管Gを接続させ、バルブ操作などで乾燥室34に供給する低露点の乾燥空気を直接、容器1の上部から全量供給するようにしてもよい。
【0020】
窒素循環ラインではバルブ30を開けることにより、循環路としての配管Cを空気が通るため、窒素濃度が高く低湿度の乾燥空気が循環することとなる。なお、窒素精製機40の触媒容器5内にある触媒を再生する場合は、バルブ35を開いて、窒素精製機40をバイパスさせてデシカント除湿機39へ空気を送り循環させる。このように除湿装置と酸素除去装置を分割してバルブを操作することにより、それぞれの装置に流れる気体の流量や循環回数を変えることで最適な運転環境を整えることができる。なお、バルブについては、これに限定されるものではなく、ダンパやVAV(Variable Air Volume)などの風量調整装置を用いてもよい。
【0021】
本実施例1では、一台の窒素精製機40を用いたが、二台以上複数台の窒素精製機を並列に設置し、一台の窒素精製機の触媒を再生している間、他の窒素精製機において窒素精製処理を行なうような構成としてもよい。
【0022】
また、デシカント除湿機39の内部に窒素精製機能を有する機構を搭載させ、一体型の装置として、窒素精製機40を無くすような構成としてもよい。この場合、循環路やバイパス路などを設けることにより、容器1内の湿度と不活性ガス濃度を個別に調整できるようにして、低活性ガス濃度で低露点の環境を作ることが可能となるようにする。このようにすることにより、実施例1より省スペースなガス置換システムとすることが可能となり、配管や設置工事などに掛かるイニシャルコストを抑えることが可能となる。
【0023】
このように内部を低露点、低活性ガス濃度で清浄に保つ必要のある気密性容器1を低露点の乾燥空気を供給する乾燥室34で覆うことにより、外部からの湿分侵入を最小限に抑えることが可能となる。また、特許文献1のような酸素除去と湿分除去を一台のガス精製システムで行なう従来技術と異なり、酸素除去を窒素精製機40で行ない、湿分除去をデシカント除湿機39で別々に行うことにより、酸素除去性能と湿分除去性能を任意に調整することが可能になるため、装置最適化や装置の管理が行いやすくなった。
【0024】
以上のことにより、容器1の大気ブレーク後の大気環境から内部を低露点、低活性ガス濃度で清浄な環境に戻すまでの復帰時間を従来技術の1/5~1/10に短縮することができた。また、容器1内を容易に低湿度で低活性ガス濃度に最適化できるようなガス置換システムを実現できた。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、保管空間内を低露点、低活性ガス濃度で清浄に保つ必要のある、リチウムイオン電池材料等を開発するために用いるグローブボックスなどの収納容器に対しても用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 容器
2 製造装置
3 空気浄化フィルタ
4 ガス循環路
5 触媒容器
6 ヒータ
7 ポンプ
8 冷却器
9 送風機
10 プレクーラ
11 ハニカムロータ
12 処理ゾーン
13 パージゾーン
14 再生ゾーン
15 冷却器
16 アフターヒータ
17 ロータ駆動モータ
18、19、21、22、23、24、25、27、28、29、30、31、32、33、35 バルブ
20、26 流量計
34 乾燥室
36 再生ヒータ
37 乾燥空気供給装置
38 除湿機
39 デシカント除湿機
40 窒素精製機
図1