(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
A63F5/04 614B
(21)【出願番号】P 2019188969
(22)【出願日】2019-10-15
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】特許業務法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市原 聖之
(72)【発明者】
【氏名】谷川 義和
(72)【発明者】
【氏名】菊地 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】片山 慎
(72)【発明者】
【氏名】石井 彰
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊
(72)【発明者】
【氏名】森山 翔太
【審査官】佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-126934(JP,A)
【文献】特開2006-280842(JP,A)
【文献】特開2004-049409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の図柄がそれぞれの表面に配列された複数のリールと、
前記複数のリールのそれぞれを回転駆動し、停止させる際に全相励磁を行う複数のモータと、
内部抽選を行う内部抽選手段と、
前記複数のリールに対応して設けられ、各リールを停止させるための停止操作を検出するストップスイッチと、
前記複数のリールの回転制御を実行すると共に、前記停止操作の検出に基づき有効ライン上に前記リールの複数種類の図柄のうちの1のリールを停止させる停止制御を実行するリール制御手段と、を備え、
前記リール制御手段は、前記停止制御において、
前記複数のリールのうちの1のリールに対応した前記ストップスイッチが前記停止操作を検出した後、
前記1のリールにおける前記停止操作の検出から停止可能な範囲にある所定数の図柄について、前記有効ライン上に停止させた場合の模擬演算を実行し、前記模擬演算の結果に応じて
停止位置を決定し、この停止位置を決定した後、当該リールの全相励磁を確認することなく、回転中である他のリールの停止操作を有効とし、
前記複数のリールの全てについて停止位置を決定した後、前記複数のモータの全てで前記全相励磁が開始されていることを判定する、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外周面に図柄が配列された複数のリールを備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、メダルやパチンコ玉などの遊技媒体に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技媒体を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者の停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数のリールを停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における入賞判定ライン上に表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【0003】
上記のような遊技機にあって、回転しているリールを停止させる際、停止操作の検出が行われる前に内部抽選で当選した役に応じてリールの各図柄に優先順位を付け、一方で滑りコマ数を停止テーブルから取得し、それら優先順位と滑りコマ数とに応じてリールの回転を停止するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように、リールの各図柄に優先順位を付すものは、例えばリールに配列された図柄の個数が20コマや21コマであった場合に、それらの全ての図柄について演算する必要があり、演算時間が長くなるばかりか、遊技に関する制御を行う主制御部において限られた記憶領域(RWM)の容量を圧迫し、他の制御に使用する空き領域を増やすことができないという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、停止制御に関する演算時間を短縮し、かつ他の制御に使用する空き領域を増やすことが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る遊技機は、
複数種類の図柄がそれぞれの表面に配列された複数のリールと、
前記複数のリールのそれぞれを回転駆動し、停止させる際に全相励磁を行う複数のモータと、
内部抽選を行う内部抽選手段と、
前記複数のリールに対応して設けられ、各リールを停止させるための停止操作を検出するストップスイッチと、
前記複数のリールの回転制御を実行すると共に、前記停止操作の検出に基づき有効ライン上に前記リールの複数種類の図柄のうちの1のリールを停止させる停止制御を実行するリール制御手段と、を備え、
前記リール制御手段は、前記停止制御において、
前記複数のリールのうちの1のリールに対応した前記ストップスイッチが前記停止操作を検出した後、
前記1のリールにおける前記停止操作の検出から停止可能な範囲にある所定数の図柄について、前記有効ライン上に停止させた場合の模擬演算を実行し、前記模擬演算の結果に応じて停止位置を決定し、この停止位置を決定した後、当該リールの全相励磁を確認することなく、回転中である他のリールの停止操作を有効とし、
前記複数のリールの全てについて停止位置を決定した後、前記複数のモータの全てで前記全相励磁が開始されていることを判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、停止制御に関する演算時間を短縮することができ、かつ他の制御に使用する空き領域を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態の遊技機の外観構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
【
図3】本発明の実施形態の遊技機の内部抽選テーブルを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態の遊技機の非RT状態において当選可能な小役の当選態様と打順によって入賞可能となる小役とを説明する図である。
【
図5】本発明の実施形態の遊技機のボーナス成立状態において当選可能な小役の当選態様と打順によって入賞可能となる小役とを説明する図である。
【
図6】本発明の実施形態の遊技機におけるリールの図柄配列を説明する図である。
【
図7】本発明の実施形態の遊技機における役の入賞時に有効ライン上に表示される図柄組合せを示す図である。
【
図8】本発明の実施形態の遊技機における役の入賞時に有効ライン上に表示される図柄組合せを示す図である。
【
図9】(A)は、本発明の実施形態の遊技機における遊技状態の状態遷移図、(B)は、有利区間制御手段が制御する非有利区間及び有利区間と、指示機能制御手段が制御する指示機能状態と、に係る遷移図である。
【
図10】本発明の実施形態の遊技機におけるリール制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1.遊技機の構成の概要
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の外観構成を示す斜視図である。本実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
【0012】
本実施形態のスロットマシン1は、収納箱BX、前面上扉UD及び前面下扉DDからなる箱形の筐体内に複数のリールとしての第1リールR1~第3リールR3からなるリールユニット310(
図2参照)が収められている。また、筐体内のリールユニット310の下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット320(
図2参照)が収められている。また、本実施形態のスロットマシン1の筐体内には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板も収められている。
【0013】
図1に示す第1リールR1~第3リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄の何れかが配列されている。
【0014】
前面上扉UDと前面下扉DDとは、個別に開閉可能に設けられている。前面上扉UDには、第1リールR1~第3リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓DWが設けられている。第1リールR1~第3リールR3の停止状態では、第1リールR1~第3リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示窓DWを通じて観察できるようになっている。
【0015】
また、本実施形態のスロットマシン1では、表示窓DWを通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。なお、本実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数がいずれの遊技状態においても3枚に設定されており、規定投入数に相当するメダルが投入されると第1リールR1~第3リールR3の中段によって構成される有効ラインL1が有効化される。
【0016】
そして、遊技結果は、表示窓DW内の有効ラインL1上に停止表示された図柄組合せによって判定され、有効ラインL1上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとしてホッパーユニット320からメダルの払い出し等が行われる。
【0017】
前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数或いは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計或いは獲得数の合計、今回の遊技で当選した役の情報、メダルの払い出しに関係するストップボタンB1~ストップボタンB3の押し方を示唆する情報の表示等の各種遊技情報が表示される。
【0018】
遊技情報表示部DSには、7セグメント表示器から構成される主制御表示装置500が含まれており、規定投入数のメダルが投入されスタートレバーSLが操作された際に、今回の遊技で当選した役の情報である当選情報に基づき作成される制御信号である当選コマンドに対応する表示である報知表示が表示され、報知表示の表示後第1リールR1~第3リールR3が停止した際に、報知表示が終了するとともにメダルの払出数或いは獲得数が表示される。本実施形態のスロットマシン1では、当選コマンドに応じた表示態様で主制御表示装置500の各セグメントが点灯及び消灯する報知表示が実行される。
【0019】
また、主制御表示装置500には、7セグメント表示器のドットであり、後述する有利区間制御手段200A(
図2参照)によって有利区間が開始され、小役の入賞が補助されることでメダルの獲得期待値が1以上となっている場合に点灯する有利区間報知部500Aが設けられている。また、本実施形態のスロットマシン1では、音を用いた演出を行うための音響装置340が前面上扉UDと前面下扉DDとに複数設けられている。音響装置340からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
【0020】
前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うための投入操作手段として、1枚のメダルを投入するシングルベットボタンBT及び規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMB、第1リールR1~第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる開始操作を遊技者に実行させるための遊技開始操作手段としてのスタートレバーSL、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1~第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を遊技者に実行させるための停止操作手段としてのストップボタンB1~ストップボタンB3及びクレジットされたメダルを清算するための清算ボタンBSも設けられている。
【0021】
また、前面下扉DDの下部には、メダル払出口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払出口MOからメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。また、遊技機内にクレジットされたメダルが記憶されている状態で、清算ボタンBSが押下された場合、清算ボタンBSの押下に伴ってホッパーユニット320からクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に相当する枚数のメダルを払い出す清算処理を実行し、メダル払出口MOからメダル受け皿MPへメダルを払い出す。
【0022】
図2は、本実施形態のスロットマシン1の機能ブロック図である。本実施形態のスロットマシン1は、制御基板としての遊技制御手段10によって制御される。遊技制御手段10は、複数の操作検出手段としてのメダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定変更スイッチ250及びリセットスイッチ260の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット310、ホッパーユニット320、表示装置330、音響装置340及び主制御表示装置500等の出力手段の動作を制御する。
【0023】
また、遊技制御手段10は、設定変更手段100、投入受付手段105、乱数生成手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、演出制御手段180、記憶手段190、有利区間制御手段200A及び指示機能制御手段200Bを含む。遊技制御手段10を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、記憶手段190に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
【0024】
設定変更手段100は、記憶手段190の設定値記憶手段191に記憶されている設定値を変更する制御(設定変更制御)を行う。設定変更手段100は、設定変更スイッチ250がON状態となり設定変更を許可する状態である設定変更許可状態において、設定変更手段100は、電源装置に設けられているリセットスイッチ260からの入力信号を受け付けるごとに、設定値記憶手段191に記憶されている設定値を設定1→設定2・・・設定6→設定1→・・・の順序で循環的に変動させる。また、スロットマシン1では、設定変更許可状態におけるスタートレバーSLの操作により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて設定値記憶手段191に記憶されている設定値を確定させて設定変更許可状態を終了する。本実施形態のスロットマシン1では、設定値記憶手段191において確定された設定値に応じて、内部抽選手段120による内部抽選で当選可能な当選エリアのうち一部の当選エリアの当選確率が変更される。つまり、設定変更手段100は、内部抽選手段120による内部抽選における役の当選確率を変更可能な値である設定値を変更可能に構成されている。
【0025】
なお、本実施形態のスロットマシン1においては、設定変更手段100による設定変更制御が実行された場合に、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及び有利区間制御手段200Aが実行する有利区間に係る制御が初期化されるように構成されており、遊技状態が後述する非リプレイタイム(以下、リプレイタイムを「RT」とも記載)状態に設定され、非有利区間が設定されるように構成されている。このため、スロットマシン1では、指示機能制御手段200Bが設定変更前において指示機能に係る制御についても、初期化されるように構成されている。一方、スロットマシン1においては、遊技制御手段10への電力の供給が遮断(電断)され、その後再度電力の供給が再開された場合、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及び有利区間制御手段200Aが実行する有利区間に係る制御について、電断前の状態から再開されるように構成されている。このため、スロットマシン1においては、指示機能制御手段200Bが実行する指示機能に係る制御についても、電断が発生しその後電力の供給が再開された場合に、電断前の状態が維持されるように構成されている。
【0026】
投入受付手段105は、メダルの投入を受け付ける投入受付期間内において、規定投入数(3枚)に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバーSLに対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。具体的には、メダル投入口MI(
図1参照)にメダルが投入されると、メダル投入スイッチ210が作動することに伴って、投入受付手段105が、規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。また、投入受付手段105は、メダルがクレジットされた状態でシングルベットボタンBT又はマックスベットボタンMBが押下されるベット操作が実行されると、ベットスイッチ220が作動することに伴って、規定投入数を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。
【0027】
なお、本実施形態のスロットマシン1では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技者による遊技の開始操作として受け付けられ、第1リールR1~第3リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、後述する内部抽選手段120が内部抽選を実行する契機となっている。
【0028】
乱数生成手段110は、抽選用の乱数を発生させる手段である。なお、本実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能し得る値も含まれる。
【0029】
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行し、スタートスイッチ230が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理等を行う。
【0030】
抽選テーブル選択処理では、記憶手段190の内部抽選テーブル記憶手段192に格納されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを現在の遊技状態に基づき選択する。各内部抽選テーブルでは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、リプレイ、小役及びボーナスなどの各種の役や不当選(ハズレ)が対応付けられている。
【0031】
なお、以下の記載において、ボーナスとは、入賞することで役物又は役物連続作動装置を作動させる役を意味し、ボーナスが作動とは、ボーナスが入賞し役物又は役物連続作動装置を作動することを意味し、ボーナス状態とは、役物又は役物連続作動装置が作動した状態を意味する。
【0032】
乱数判定処理では、スタートスイッチ230から出力されるスタート信号に基づいて、遊技ごとに乱数生成手段110が生成する乱数(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数を抽選テーブル選択処理で選択した内部抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき役に当選したか否かを判定する。
【0033】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非成立状態(第1のフラグ状態、OFF状態)から成立状態(第2のフラグ状態、ON状態)に設定する。本実施形態のスロットマシン1では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが成立状態に設定される。なお、本実施形態のスロットマシン1では、入賞するまで次回以降の遊技に成立状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に成立状態を持ち越さずに非成立状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)が用意されている。また、抽選フラグの設定情報は、記憶手段190の抽選フラグ記憶手段193に格納される。
【0034】
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへ開始操作を実行することにより作動するスタートスイッチ230からスタート信号が出力されたことに基づいて、第1リールR1~第3リールR3の回転駆動を開始する。また、リール制御手段130は、第1リールR1~第3リールR3の回転状態が、所定速度(例えば、約80rpm)で定常回転する回転状態となった場合に、各リールに対応するストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作されることでストップスイッチ240によって検出される停止操作を有効化する制御を実行する。そして、リール制御手段130は、停止操作を検出したストップスイッチ240からリール停止信号が出力された場合に、停止操作を検出したストップスイッチ240に対応する第1リールR1~第3リールR3の各リールを停止させる制御(リール停止制御)を行う。
【0035】
なお、以下の記載において、リール制御手段130によって第1リールR1~第3リールR3の回転が開始され、遊技者が有効なストップボタンB1~ストップボタンB3をそれぞれ押下操作することについて、最初の押下操作を第1停止操作、2番目の押下操作を第2停止操作、3番目の押下操作を第3停止操作とも記載する。
【0036】
本実施形態のスロットマシン1では、第1リールR1~第3リールR3について、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下された時点から所定の時間としての190msが経過するまでに、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止するようになっている。ここで、ストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合、回転している各リールの停止位置は、各リールの直径及び回転速度より、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに最大で4コマ分回転可能に構成されており、ストップボタンの押下時点で有効ラインL1上に表示されているコマから4コマ回転するまでの計5コマが、有効ラインL1上に図柄を引きこみ可能な範囲(引きこみ範囲)となっている。
【0037】
リール制御手段130は、リール停止制御の実行時において、抽選フラグが成立状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるように、詳しくは後述する模擬演算処理を実行し、回転中のリールを停止させ有効ラインL1上に図柄を表示(以下、リール停止制御によって回転中のリールを停止させて有効ラインL1上に図柄を表示することを「停止表示」とも記載)させる。
【0038】
なお、本実施形態のスロットマシン1において、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補の優先度の求め方は、有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先度を求める方法(個数優先制御)と、小役に予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先度を求める方法(枚数優先制御)とが存在する。ただし、枚数優先制御を実行する場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0039】
入賞判定手段140は、第1リールR1~第3リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段195に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リールR1~第3リールR3のすべてが停止した時点で有効ラインL1上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ラインL1上に表示された図柄組合せによって、ボーナス、リプレイ、小役の入賞の有無を判定(以下、「入賞判定」と記載)できるように入賞判定テーブルが用意されている。
【0040】
また、本実施形態のスロットマシン1では、入賞判定処理における入賞判定手段140の判定結果に基づいて各処理が実行される。入賞役の判定結果に基づき実行される各処理としては、例えば、小役が入賞した場合には払出制御手段150にメダルを払い出させる枚数を決定する処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160に次回の遊技においてメダルを消費せずに実行させる処理を行わせ、ボーナス等の遊技状態を移行させる契機となる役が入賞した場合には遊技状態移行制御手段170に遊技状態を移行させる処理が行われる。
【0041】
払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役ごとに予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、払出装置としてのホッパーユニット320に払い出させる制御を行う。
【0042】
ホッパーユニット320は、払出制御手段150によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニット320には、メダルを1枚払い出すごとに作動する払出メダル検出スイッチ325が備えられている。払出制御手段150は、払出メダル検出スイッチ325からの入力信号に基づいて、ホッパーユニット320から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお、メダルのクレジットが許可されている場合には、ホッパーユニット320によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段190のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0043】
リプレイ処理手段160は、入賞判定手段140により有効ラインL1上に後述する複数種類のリプレイ役のうち何れかのリプレイの入賞を示す図柄組合せが停止表示されたと判定され、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関してメダルの投入を要さずに遊技を実行可能にする準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち、本実施形態のスロットマシン1では、リプレイが入賞した場合、規定投入数分のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインL1を設定した状態で、次回のスタートレバーSLに対する開始操作を待機する。
【0044】
遊技状態移行制御手段170は、複数の遊技状態の間で遊技状態を移行させる処理と、ボーナスの作動及び終了に係る処理と、を行う。ここで、各遊技状態の移行条件は、1つの条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち何れか1つの条件が成立したこと、或いは複数の予め定められた条件のすべてが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0045】
演出制御手段180は、演出データ記憶手段196に記憶されている演出データに基づいて、例えば、音響装置340を用いて行う音響演出等、遊技に関する演出に係る制御を行う。具体的には、メダルの投入、シングルベットボタンBT、マックスベットボタンMB、スタートレバーSL、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対する操作等への遊技者によるスロットマシン1の各構成の操作時や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生時に、ランプ及びLEDの点灯或いは点滅、音響装置340からの音の出力、スタートスイッチ230からスタート信号が出力された状態で第1リールR1~第3リールR3の回転開始を遅延させる第1リールR1~第3リールR3を用いた演出等を実行することにより、遊技を盛り上げる演出や、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。
【0046】
また、演出制御手段180は、各演出状態に基づく演出を演出装置300を構成する各構成に実行させる。なお、本実施形態において、演出制御手段180は、乱数を用いる抽選処理ごとに、乱数生成手段110の乱数格納領域から乱数を取得し、演出抽選テーブル記憶手段197に記憶されている複数の演出抽選テーブルのうち、各抽選処理に必要な演出抽選テーブルを用いて各抽選処理を実行する。
【0047】
有利区間制御手段200Aは、特定役の入賞を補助する入賞補助制御を実行可能な遊技が実行される期間である有利期間(有利区間)と、入賞補助制御が実行されない遊技が実行される期間である非有利期間(非有利区間)と、の間での移行に係る制御を実行する。
【0048】
有利区間制御手段200Aは、有利区間を終了する条件が成立した際に、有利区間を終了し次ゲームから非有利区間を開始するとともに、有利区間内において設定した各種フラグ、数値等を初期化する処理である終了処理を実行する。また、有利区間制御手段200Aは、有利区間を開始し、かつ入賞補助制御が実行されることで、メダルの獲得期待値が1以上となる場合に有利区間報知部500Aを点灯させる。このため、有利区間制御手段200Aは、有利区間を開始している場合であっても、後述する指示機能制御手段200Bによって入賞補助制御が実行されない指示機能状態である場合には、有利区間報知部500Aを消灯可能に構成されている。
【0049】
指示機能制御手段200Bは、有利区間制御手段200Aによって有利区間が開始されている場合に、特定役の入賞を補助する指示機能の作動に係る処理(入賞補助制御)と、入賞補助制御を実行可能な状態であるAT状態を含む複数の指示機能状態の間での指示機能状態の移行に係る処理等の指示機能の作動に係る処理以外の処理(指示機能処理)と、を含む指示機能に係る制御(アシストタイム制御)を行う。本実施形態のスロットマシン1では、指示機能制御手段200Bによるアシストタイム制御において用いるプログラムデータやデータテーブル、カウンタ、ON状態又はOFF状態にセットする各種フラグについて、記憶手段190の指示機能制御データ記憶手段199に記憶されている。本実施形態において、指示機能制御手段200Bは、指示機能状態が入賞補助制御を実行可能な状態である場合に、指示機能作動処理として、内部抽選手段120に当選した当選エリアに応じてそれぞれ異なる当選コマンドを作成させ、作成させた当選コマンドを主制御表示装置500に送信させることで、内部抽選で当選した当選エリアがいずれの当選エリアであるかを報知し、遊技者にストップボタンB1~ストップボタンB3の操作方法を指示する機能(指示機能)である報知表示が主制御表示装置500に実行される制御である入賞補助制御を実行可能となるように構成されている。
【0050】
2.本実施形態における遊技機が備える構成
次に、
図3~
図9を参照して、本実施形態におけるスロットマシン1が備える各構成の詳細について説明する。
【0051】
<内部抽選手段>
図3、本実施形態のスロットマシン1における各遊技状態で選択される内部抽選テーブルである内部抽選テーブルA~内部抽選テーブルCを示す図である。内部抽選テーブルAは、遊技状態が非RT状態である場合に選択される。内部抽選テーブルAでは、小役に当選する当選エリアと、リプレイに当選する当選エリアと、本実施形態においてボーナスとして用意されている第1種特別役物に係る役物連続作動装置としてのレギュラービッグボーナス(以下、レギュラービッグボーナスを「RBB」とも記載)であるRBBに当選する当選エリア「RBB」と、ボーナス及び小役に当選する当選エリア「RBB&全1枚役」と、に乱数が対応付けられている。
【0052】
内部抽選テーブルBは、RBBが成立状態に設定されたことによって移行される遊技状態であるボーナス成立状態である場合に選択される。内部抽選テーブルBは、内部抽選テーブルAにおいて小役に対応付けられていた乱数が小役に対応付けられており、内部抽選テーブルAにおいてリプレイに対応付けられていた乱数がリプレイに対応付けられており、内部抽選テーブルAにおいてボーナスのうちRBBにのみ当選する当選エリア「RBB」に対応付けられていた乱数がリプレイに対応付けられており、RBBと全1枚役とが重複当選する当選エリア「RBB&全1枚役」に対応付けられていた乱数が小役の当選エリア「全1枚役」に対応付けられている。
【0053】
内部抽選テーブルCは、RBBが作動した場合に移行される遊技状態であるRBB作動状態において選択される。内部抽選テーブルCは、小役の当選確率について、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBのいずれの内部抽選テーブルにおいて設定されている小役の当選確率よりも高くなるように設定されている。内部抽選テーブルA~内部抽選テーブルCにおける小役の当選確率やリプレイの当選確率の詳細については、後述する。
【0054】
図4は、遊技状態が非RT状態である場合において当選可能な当選エリアのうち小役のみを含む当選エリアと各打順において入賞可能となる小役とを示す図である。
図4に示すように、本実施形態のスロットマシン1では、内部抽選で当選した場合に入賞可能な小役(以下、「入賞役」と記載)として、ベルA~ベルF、1枚役A~1枚役P、チェリー及びスイカが用意されており、複数種類の入賞役が重複して当選する小役の当選エリア(当選態様)として、当選エリア「打順ベル1」~「打順ベル12」と、当選エリア「全小役」と、当選エリア「全1枚役」と、が設定されている。
【0055】
ここで、「打順」とは、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対して押下操作を実行する順番を意味する。
図4に示すように、第1打順としての打順1は、ストップボタンB1→ストップボタンB2→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される、いわゆる順押しと称される打順である。また、第2打順としての打順2は、ストップボタンB1→ストップボタンB3→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される、いわゆるハサミ打ちと称される打順である。また、第3打順としての打順3は、ストップボタンB2→ストップボタンB1→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される打順である。また、第4打順としての打順4は、ストップボタンB2→ストップボタンB3→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される打順である。また、第5打順としての打順5は、ストップボタンB3→ストップボタンB1→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される打順である。また、第6打順としての打順6は、ストップボタンB3→ストップボタンB2→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される、いわゆる逆押しと称される打順である。
【0056】
当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」は、それぞれ
図4に示す打順に対応する入賞役が入賞可能となる。なお、以下の記載において、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時にベルA~ベルFを入賞可能な打順を正解打順とも記載し、正解打順とは異なる打順を不正解打順とも記載する。また、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」は、それぞれ重複当選する小役の組合せが異なるように構成されている。
【0057】
当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時において、スロットマシン1では、ストップボタンB1~ストップボタンB3が正解打順で押下操作された場合、リール制御手段130によるリール停止制御として枚数優先制御が実行され、ベルA~ベルFが確実に入賞する。また、スロットマシン1では、ストップボタンB1~ストップボタンB3が正解打順と第1停止操作のみ共通する不正解打順(例えば、当選エリア「打順ベル1」の当選時における打順2)で押下操作された場合、第2停止操作の実行時にリール制御手段130による停止制御テーブルを用いたリール停止制御が実行され、1/2の確率で1枚役A~1枚役Lが入賞する。そして、スロットマシン1では、ストップボタンB1~ストップボタンB3が第1停止操作から正解打順とは異なる不正解打順(例えば、当選エリア「打順ベル1」の当選時における打順3~打順6の何れか)で押下操作された場合、リール制御手段130によるリール停止制御として個数優先制御が実行され、1/4の確率で1枚役A、1枚役B、1枚役M、1枚役N、1枚役O、1枚役Pが入賞する。なお、1枚役A~1枚役Pは、ストップボタンB1~ストップボタンB3の押下タイミングが適切な場合には確実に入賞し、ストップボタンB1~ストップボタンB3の押下タイミングが1枚役A~1枚役Pを入賞させることができないタイミングであった場合には、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)となる。より詳しくは後述する。
【0058】
当選エリア「チェリー」は、チェリーに当選し、ストップボタンB1の押下タイミングが適切な場合にチェリーを入賞可能に構成されており、ストップボタンB1の押下タイミングがチェリーを入賞させることができないタイミングであった場合には、いずれの役も入賞しない取りこぼし(非入賞)となる。当選エリア「スイカ」は、スイカに当選し、打順及び押下タイミングによらずスイカが入賞可能に構成されている。なお、本実施形態の内部抽選手段120は、小役を含む各当選態様の当選確率について、当選エリア「スイカ」に当選する確率が、他の小役を含む当選態様の何れかに当選する確率よりも低い確率となる、いわゆるレア役として構成されている。
【0059】
当選エリア「全小役」は、ベルA~ベルF、1枚役A~1枚役P、チェリー、スイカのすべての小役に当選し、打順及び押下タイミングによらずベルDが入賞可能に構成されている。当選エリア「全1枚役」は、1枚役A~1枚役Pのすべての1枚役に当選し、打順及び押下タイミングによらず1枚役A~1枚役Dの何れかが入賞可能に構成されている。
【0060】
図5は、遊技状態がボーナス成立状態である場合において当選可能な当選エリアのうち小役のみを含む当選エリアと各打順において入賞可能となる小役とを示す図である。
図5に示すように、ボーナス成立状態においては、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル6」について、正解打順が2種類割り当てられるようにリール制御手段130によるリール停止制御が変更される。これにより、スロットマシン1では、非RT状態よりもボーナス成立状態である場合の方が、ベルA~ベルCに入賞する確率が高まり、メダルの払い出しの期待値が高くなる。
【0061】
ここで、本実施形態のスロットマシン1では、持越可能フラグが対応付けられる役としては、RBBがあり、小役及びリプレイは、持越不可フラグに対応付けられている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、内部抽選でRBBを含む当選エリアに当選すると、当選したRBBの抽選フラグの成立状態を、RBBが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき、内部抽選手段120は、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技でも、小役及びリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているRBBの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを成立状態に設定する。
【0062】
<図柄の配列>
図6は、本実施形態のスロットマシン1における第1リールR1~第3リールR3の周面に配列された各図柄を示す図である。本実施形態では、
図6に示すように、第1リールR1~第3リールR3の外周面に、赤7図柄「赤7」、BAR図柄「BAR」、リプレイ図柄「RP」、ベルA図柄「BLA」、ベルB図柄「BLB」、チェリー図柄「CH」、スイカA図柄「WMA」、スイカB図柄「WMB」、ブランクA図柄「BKA」及びブランクB図柄「BKB」が配列されている。また、第1リールR1~第3リールR3の周面には、それぞれ20コマの図柄が配列されている。
【0063】
<リール制御手段>
本実施形態のスロットマシン1では、いずれの遊技状態である場合にも、リール停止制御において有効ラインL1上に停止させる役の優先順序が「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められている。
【0064】
<ボーナス、シフト役、小役の入賞図柄組合せと小役の配当>
図7、
図8は、本実施形態のスロットマシン1が有するボーナス、小役及びリプレイの入賞図柄組合せ及び小役の配当を示す図である。
図7に示すように、RBBの入賞図柄組合せは、「WMB-RP-BAR(BKB)」である。
図6に示すように、第1リールR1には、スイカB図柄「WMB」が停止番号19番のコマに配置されており、第3リールR3には、BAR図柄「BAR」が停止番号9番のコマに配置され、ブランクB図柄「BKB」が停止番号19番のコマに配置されている。
【0065】
上述したように、本実施形態のリール制御手段130は、リール停止制御において、ストップボタンの押下時点で有効ラインL1上に表示されているコマから4コマ回転するまでの計5コマが、有効ラインL1上に図柄を引きこみ可能な範囲(引きこみ範囲)となっており、例えば、第1リールR1のスイカB図柄「WMB」を有効ラインL1上に停止表示する場合には、停止番号15番のスイカA図柄「WMA」~停止番号19番のスイカB図柄「WMB」が有効ラインL1上に回転表示されているタイミングでストップボタンB1が押下操作される必要がある。
【0066】
このため、RBBは、ストップボタンB1とストップボタンB3との押下タイミングが適切である場合に入賞し、ストップボタンB1又はストップボタンB3の押下タイミングが適切ではない場合には、RBBが入賞しないように構成されている。
【0067】
ベルA~ベルFの配当は、規定投入数(3枚)よりも多い枚数の払出数(例えば8枚)に設定されている。また、1枚役A~1枚役Pの配当は、規定投入数よりも少ない枚数の払出数(例えば1枚)に設定されている。また、チェリーの配当は、規定投入数よりも少ない枚数の払出数(例えば2枚)に設定されている。また、スイカの配当は、規定投入数と同数の払出数(例えば3枚)に設定されている。
【0068】
リプレイAの入賞図柄組合せは、「RP-RP-RP」である。
図6に示すように、第1リールR1~第3リールR3のそれぞれの周面には、4コマ以内の間隔でリプレイ図柄「RP」が配列されているため、ストップボタンB1~ストップボタンB3の押下タイミングによらずリール制御手段130によるリール停止制御によってリプレイ図柄「RP」が有効ラインL1上に停止表示される。
【0069】
リプレイBの入賞図柄組合せは、「赤7(BLA,BLB)-赤7(RP)-赤7」である。
図6に示すように、第1リールR1の周面には、4コマ以内の間隔で赤7図柄「赤7」と、ベルA図柄「BLA」と、ベルB図柄「BLB」と、の何れかが配列されている。一方、第3リールR3の周面には、赤7図柄「赤7」が停止番号4番のコマに配置されており、停止番号0番のスイカA図柄「WMA」~停止番号4番の赤7図柄「赤7」が有効ラインL1上に回転表示されているタイミングでストップボタンB3が押下操作された場合に、赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に停止表示可能となる。
【0070】
なお、本実施形態のスロットマシン1においては、リプレイBについて、当選エリア「レアリプレイ」の当選時にのみ当選可能であるとともに、リプレイAと重複して当選するように構成されている。このため、スロットマシン1では、第1停止操作がストップボタンB3に実行され、かつストップボタンB3の押下タイミングが停止番号0番のスイカA図柄「WMA」~停止番号4番の赤7図柄「赤7」が有効ラインL1上に回転表示されているタイミングである場合にリプレイBを入賞可能となり、それ以外の打順及び押下タイミングでストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作された場合には、リプレイAの入賞図柄組合せ「RP-RP-RP」が有効ラインL1上に停止表示される。
【0071】
図4、
図6~
図8を参照して、正解打順である場合にベルA~ベルFが入賞し、第1停止操作のみが正解打順と重複する不正解打順である場合に1/2の確率で1枚役A~1枚役Lが入賞し、第1停止操作から正解打順とは異なる不正解打順である場合に1/4の確率で1枚役A、1枚役B、1枚役M、1枚役N、1枚役O、1枚役Pが入賞する構成について、遊技状態が非RT状態である場合における当選エリア「打順ベル1」の当選時を例に説明する。
【0072】
当選エリア「打順ベル1」の当選時において、スロットマシン1では、ベルAと、1枚役Aと、1枚役Dと、1枚役Mと、1枚役Oと、に重複当選する。まず、打順1でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作される場合について説明する。第1停止操作としてストップボタンB1が押下操作された場合、リール制御手段130は、リプレイ図柄「RP」を有効ラインL1上に停止表示すれば入賞時に8枚の払い出しがなされるベルAを入賞可能となり、ベルA図柄「BLA」又はブランクA図柄「BKA」を有効ラインL1上に停止表示すれば入賞時に1枚の払い出しがなされる1枚役M又は1枚役Oを入賞可能となる。
図6に示すように、第1リールR1の周面には、4コマ以内の間隔でリプレイ図柄「RP」が配列されているため、ストップボタンB1の押下タイミングによらずリール制御手段130による枚数優先制御によってリプレイ図柄「RP」が有効ラインL1上に停止表示される。
【0073】
第2停止操作としてストップボタンB2が押下操作された場合、リール制御手段130は、スイカA図柄「WMA」を有効ラインL1上に停止表示すれば入賞時に8枚の払い出しがなされるベルAを入賞可能となり、スイカB図柄「WMB」を有効ラインL1上に停止表示すれば入賞時に8枚の払い出しがなされるベルAを入賞可能となり、赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に停止表示すれば入賞時に1枚の払い出しがなされる1枚役Aを入賞可能となり、ブランクA図柄「BKA」を有効ラインL1上に停止表示すれば入賞時に1枚の払い出しがなされる1枚役Aを入賞可能となり、BAR図柄「BAR」を有効ラインL1上に停止表示すれば入賞時に1枚の払い出しがなされる1枚役Dを入賞可能となり、ブランクB図柄「BKB」を有効ラインL1上に停止表示すれば入賞時に1枚の払い出しがなされる1枚役Dを入賞可能となる。
図6に示すように、第2リールR2の周面には、4コマ以内の間隔でスイカA図柄「WMA」又はスイカB図柄「WMB」が配列されているため、ストップボタンB2の押下タイミングによらずリール制御手段130による枚数優先制御によってスイカA図柄「WMA」又はスイカB図柄「WMB」が有効ラインL1上に停止表示される。
【0074】
そして、
図6に示すように、第3リールR3の周面には、4コマ以内の間隔でリプレイ図柄「RP」が配列されているため、第3停止操作がストップボタンB3にされると、ストップボタンB3の押下タイミングによらずリール制御手段130によるリール停止制御によってリプレイ図柄「RP」が有効ラインL1上に停止表示され、ベルAの入賞図柄組合せ「RP-WMA(WMB)-RP」が停止表示される。
【0075】
次に、打順2でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作される場合について説明する。第2停止操作としてストップボタンB3が押下操作された場合、リール制御手段130は、リプレイ図柄「RP」を有効ラインL1上に停止表示すれば、ベルAの入賞図柄組合せ「RP-WMA-RP」、「RP-WMB-RP」の2個の入賞図柄組合せを有効ラインL1上に停止表示可能となり、赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に停止表示すれば、1枚役Aの入賞図柄組合せ「RP-赤7-赤7」、「RP-BKA-赤7」の2個の入賞図柄組合せを有効ラインL1上に停止表示可能となり、ベルA図柄「BLA」を有効ラインL1上に停止表示すれば、1枚役Aの入賞図柄組合せ「RP-赤7-BLA」、「RP-BKA-BLA」の2個の入賞図柄組合せを有効ラインL1上に停止表示可能となり、ベルB図柄「BLB」を有効ラインL1上に停止表示すれば、1枚役Dの入賞図柄組合せ「RP-BAR-BLB」、「RP-BKB-BLB」の2個の入賞図柄組合せを有効ラインL1上に停止表示可能となり、ブランクA図柄「BKA」を有効ラインL1上に停止表示すれば、1枚役Dの入賞図柄組合せ「RP-BAR-BKA」、「RP-BKB-BKA」の2個の入賞図柄組合せを有効ラインL1上に停止表示可能となる。
【0076】
リール制御手段130は、ベルAと、1枚役Aと、1枚役Dと、で有効ラインL1上に表示可能な入賞図柄組合せの数が同一であることから、個数優先制御によってベルAと、1枚役Aと、1枚役Dと、との間に優先順位を付けられないため、停止制御テーブル記憶手段194に記憶されている停止制御テーブルによって、有効ラインL1上に入賞図柄組合せとして1枚役Aの第3リールR3の図柄である赤7図柄「赤7」と、ベルA図柄「BLA」と、1枚役Dの第3リールR3の図柄であるベルB図柄「BLB」と、ブランクA図柄「BKA」と、の何れかを表示するリール停止制御を実行する。
【0077】
図6に示すように、第3リールR3には、ベルA図柄「BLA」が停止番号1番、停止番号6番のコマに配置され、赤7図柄「赤7」が停止番号4番のコマに配置され、ベルB図柄「BLB」が停止番号11番、停止番号16番のコマに配置され、ブランクA図柄「BKA」が停止番号14番のコマに配置されている。このため、リール制御手段130は、ストップボタンB3の押下タイミングが停止番号17番のリプレイ図柄「RP」~停止番号19番のブランクB図柄「BKB」、停止番号0番のスイカA図柄「WMA」~停止番号6番のベルA図柄「BLA」が有効ラインL1上に回転表示されているタイミングである場合に、1枚役Aの入賞図柄組合せを構成する赤7図柄「赤7」又はベルA図柄「BLA」を有効ラインL1上に停止表示し、停止番号7番のリプレイ図柄「RP」~停止番号16番のベルB図柄「BLB」が有効ラインL1上に回転表示されているタイミングである場合に、1枚役Dの入賞図柄組合せを構成するベルB図柄「BLB」又はブランクA図柄「BKA」を有効ラインL1上に停止表示する。
【0078】
第2停止操作が実行されることで、スロットマシン1では、入賞可能となる役が1枚役A又は1枚役Dに限定される。そして、1枚役Aの入賞図柄組合せと1枚役Dの入賞図柄組合せとは、第2リールR2に配列された図柄について、引き込み可能となる範囲がそれぞれ重複しない10コマ(1枚役Aは停止番号0番~停止番号4番、停止番号10番~停止番号14番の10コマで、1枚役Dは停止番号5番~停止番号9番、停止番号15番~停止番号19番の10コマ)に設定されていることから、ストップボタンB2の押下タイミングが、第2停止操作までに確定された入賞可能な1枚役A又は1枚役Dの入賞図柄組合せを含む20コマ中10コマの範囲内である場合に1枚役A又は1枚役Dが入賞し、それ以外のタイミングである場合に取りこぼし(非入賞)となる。
【0079】
このような構成であることから、スロットマシン1では、非RT状態における当選エリア「打順ベル1」の当選時において、打順2で押下操作された場合、ストップボタンB2の押下タイミングが20コマ中10コマの範囲内である場合に1枚役A又は1枚役Dが入賞、つまり1/2の確率で1枚役A又は1枚役Dが入賞する。
【0080】
次に、打順5でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作される場合について説明する。第1停止操作としてストップボタンB3が押下操作された場合、リール制御手段130は、リプレイ図柄「RP」を有効ラインL1上に停止表示すれば、ベルAの入賞図柄組合せ「RP-WMA-RP」、「RP-WMB-RP」の2個の入賞図柄組合せを有効ラインL1上に停止表示可能となり、赤7図柄「赤7」を有効ラインL1上に停止表示すれば、1枚役Aの入賞図柄組合せ「RP-赤7-赤7」、「RP-BKA-赤7」と、1枚役Mの入賞図柄組合せ「BLA-CH-赤7」、「BKA-CH-赤7」と、の4個の入賞図柄組合せを有効ラインL1上に停止表示可能となり、ベルA図柄「BLA」を有効ラインL1上に停止表示すれば、1枚役Aの入賞図柄組合せ「RP-赤7-BLA」、「RP-BKA-BLA」と、1枚役Mの入賞図柄組合せ「BLA-CH-BLA」、「BKA-CH-BLA」と、の4個の入賞図柄組合せを有効ラインL1上に停止表示可能となり、チェリー図柄「CH」を有効ラインL1上に停止表示すれば、1枚役Oの入賞図柄組合せ「BLA-BKA-CH」、「BKA-BKA-CH」、「BLA-赤7-CH」、「BKA-赤7-CH」の4個の入賞図柄組合せを有効ラインL1上に停止表示可能となる。
【0081】
リール制御手段130は、個数優先制御を実行して赤7図柄「赤7」と、ベルA図柄「BLA」と、チェリー図柄「CH」と、の何れかを停止表示すると決定する。そして、リール制御手段130は、赤7図柄「赤7」と、ベルA図柄「BLA」と、チェリー図柄「CH」と、で有効ラインL1上に表示可能な入賞図柄組合せの数が同一であることから、個数優先制御によって赤7図柄「赤7」と、ベルA図柄「BLA」と、チェリー図柄「CH」と、との間に優先順位を付けられないため、停止制御テーブル記憶手段194に記憶されている停止制御テーブルによって、有効ラインL1上に入賞図柄組合せとしてチェリー図柄「CH」を表示するリール停止制御を実行する。
【0082】
第1停止操作が実行されることで、スロットマシン1では、入賞可能となる役が1枚役Oに限定される。そして、1枚役Oの入賞図柄組合せは、第1リールR1に配列された図柄について、引き込み可能となる範囲が10コマ(停止番号0番、停止番号1番、停止番号9番~停止番号13番、停止番号17番~停止番号19番の10コマ)に設定され、第2リールR2に配列された図柄について、引き込み可能となる範囲が10コマ(停止番号0番~停止番号4番、停止番号10番~停止番号14番の10コマ)に設定されていることから、ストップボタンB1の押下タイミングが、1枚役Oの入賞図柄組合せを含む20コマ中10コマの範囲内であり、かつストップボタンB2の押下タイミングが、1枚役Oの入賞図柄組合せを含む20コマ中10コマの範囲内である場合に1枚役Oが入賞し、それ以外のタイミングである場合に取りこぼし(非入賞)となる。
【0083】
このような構成であることから、スロットマシン1では、非RT状態における当選エリア「打順ベル1」の当選時において、打順5で押下操作された場合、ストップボタンB1とストップボタンB2とのそれぞれ押下タイミングが20コマ中10コマの範囲内である場合に1枚役Oが入賞、つまり1/4の確率で1枚役Oが入賞する。
【0084】
このような構成により、本実施形態のスロットマシン1では、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」において、正解打順である場合にベルA~ベルFが入賞し、正解打順と第1停止操作のみ共通する不正解打順である場合に、1/2の確率で1枚役A~1枚役Lが入賞し、第1停止操作から正解打順とは異なる不正解打順である場合に、1/4の確率で1枚役A、1枚役B、1枚役M、1枚役N、1枚役O、1枚役Pが入賞する。また、スロットマシン1では、非RT状態において正解打順と第1停止操作のみ共通する不正解打順に設定されていた打順であっても、遊技状態がボーナス成立状態である場合には、停止制御テーブルを用いたリール停止制御から枚数優先制御に切り換わることで、ベルA~ベルCが入賞する。
【0085】
<遊技状態移行制御手段>
図9(A)は、本実施形態の遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態の移行に係る制御において、各遊技状態から移行可能な遊技状態を示す状態遷移図である。
【0086】
図9(A)に示すように、非RT状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態(初期遊技状態、通常遊技状態)であり、ボーナスが作動及び成立していない非ボーナス状態となっている。非RT状態において、遊技状態移行制御手段170は、内部抽選手段120に内部抽選テーブルAを用いた内部抽選を実行させる。
図3に示すように、内部抽選テーブルAでは、リプレイとして当選エリア「通常リプレイ」と、当選エリア「レアリプレイ」と、に乱数が対応付けられており、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されている。
【0087】
なお、
図3に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、非RT状態において、小役、リプレイ、ボーナス又は小役及びボーナスの何れかに当選する内部抽選を実行するように構成されており、内部抽選テーブルAにおいては、ハズレ(不当選)に対応付けられた乱数が存在しないように構成されている。
【0088】
ボーナス成立状態は、非RT状態における内部抽選で当選エリア「RBB」に当選し、RBBが成立状態に設定された場合に移行する遊技状態である。ボーナス成立状態において、遊技状態移行制御手段170は、内部抽選手段120に内部抽選テーブルBを用いた内部抽選を実行させる。
図3に示すように、内部抽選テーブルBでは、リプレイとして当選エリア「通常リプレイ」と、当選エリア「レアリプレイ」と、に乱数が対応付けられており、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されている。
【0089】
なお、本実施形態のスロットマシン1は、非RT状態において当選エリア「RBB」に対応付けられていた乱数について、当選エリア「通常リプレイ」に対応付けることで、ボーナス成立状態におけるリプレイの当選確率が非RT状態よりも僅かに高くなるように構成されている。
【0090】
RBB作動状態は、RBBが入賞することで移行される遊技状態(ボーナス状態)である。RBB作動状態において、遊技状態移行制御手段170は、払い出されたメダルの合計数によって作動しているRBBの終了条件が成立したかを判定し、予め定められた所定の払出数(例えば、200枚)を超えるメダルが払い出された場合に、RBBの作動を終了させることでボーナス状態を終了させて、遊技状態を非ボーナス状態へ移行させる。RBB作動状態において、遊技状態移行制御手段170は、内部抽選手段120に内部抽選テーブルCを用いた内部抽選を実行させる。
図3に示すように、内部抽選テーブルCでは、すべての小役に当選する当選エリア「JAC1」と、すべての1枚役に当選する当選エリア「JAC2」と、に乱数が対応付けられている。
【0091】
なお、本実施形態のスロットマシン1は、RBBが作動するRBB作動状態において、RBBの非作動時である非RBB作動状態である場合よりもすべての小役の当選確率が上昇するとともに、何れかの小役に当選する確率も上昇するように構成されている。また、スロットマシン1は、RBB作動状態において、規定投入数よりも多い配当が設定されているベルA~ベルFを含む当選エリアの当選確率が、非RBB作動状態においてベルA~ベルFの少なくとも1つを含む当選エリアの当選確率よりも低くなっている。このため、本実施形態のスロットマシン1は、RBB作動状態について、メダルの獲得率の期待値が100%未満となっている。
【0092】
<有利区間制御手段と指示機能制御手段>
図9(B)は、本実施形態の有利区間制御手段200Aによって制御される区間(期間)と、指示機能制御手段200Bによって制御される指示機能状態と、についての詳細を示す状態遷移図である。
【0093】
図9(B)に示すように、非有利区間は、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく指示機能制御手段200Bによる指示機能に係る制御が実行されない期間である。有利区間制御手段200Aは、非有利区間内における遊技において、内部抽選手段120による内部抽選で当選した当選エリアと、遊技が開始された際の遊技状態と、に基づき、非有利区間を終了し有利区間を開始するか否かを決定する抽選である有利区間抽選を実行する。
【0094】
有利区間抽選において、有利区間制御手段200Aは、まず、記憶手段190のうち有利区間に係るデータを記憶している有利区間制御データ記憶手段198から、複数の乱数のそれぞれに対して「有利区間の開始」、「ハズレ(不当選)」が対応付けられているデータテーブルである有利区間移行抽選テーブルを取得する。そして、有利区間制御手段200Aは、乱数生成手段110から乱数を取得し、取得した乱数を有利区間移行抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき、有利区間を開始するか否かを決定する。なお、有利区間制御データ記憶手段198には、有利区間制御手段200Aが有利区間内において実行する所定の制御処理でON状態又はOFF状態にセットする各種フラグも格納されている。なお、有利区間制御手段200Aは、内部抽選で当選した当選エリアの当選確率と、有利区間抽選における「有利区間の開始」の当選確率と、を乗算した確率について、1/17500以上となるように有利区間抽選を実行する。
【0095】
有利区間において、指示機能制御手段200Bは、指示機能に係る状態(指示機能状態)として、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時に入賞補助制御が実行されない非AT状態と、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時に入賞補助制御が実行されるAT状態と、を有している。指示機能制御手段200Bは、指示機能制御データ記憶手段199に記憶されている各種抽選テーブルを参照し、各指示機能状態に応じた抽選に係る処理を実行する。
【0096】
有利区間において、指示機能制御手段200Bは、指示機能に係る状態(指示機能状態)として、通常非AT状態と、チャンスゾーン(CZ)状態と、AT状態と、有している。指示機能制御手段200Bは、指示機能制御データ記憶手段199に記憶されている各種抽選テーブルを参照し、各指示機能状態に応じた抽選に係る処理を実行する。
【0097】
通常非AT状態は、有利区間制御手段200Aによって有利区間が開始され、かつ他の指示機能状態に移行していない場合に設定される、複数種類の指示機能状態の中で通常状態に相当する指示機能状態(通常指示機能状態)である。通常非AT状態において、指示機能制御手段200Bは、内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合に、指示機能状態をCZ状態に移行するか否かを決定するCZ抽選を実行する。また、通常非AT状態において、指示機能制御手段200Bは、内部抽選で当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に、指示機能状態をAT状態に移行するか否かを決定する通常時AT抽選を実行する。
【0098】
指示機能制御手段200Bは、内部抽選で当選した当選エリアの当選確率と、CZ抽選における「CZ状態への移行」の当選確率と、を乗算した確率について、1/17500以上となるようにCZ抽選を実行する。また、指示機能制御手段200Bは、内部抽選で当選した当選エリアの当選確率と、通常時AT抽選における「AT状態への移行」の当選確率と、を乗算した確率について、1/17500以上となるように通常時AT抽選を実行する。
【0099】
また、指示機能制御手段200Bは、通常非AT状態において、有利区間を開始してから1200ゲームの遊技が実行された場合と、有利区間を開始してから最もメダルを消費した後に2000枚のメダルを遊技者が獲得した場合と、に、指示機能状態を通常非AT状態からCZ状態に移行させる。
【0100】
CZ状態は、通常非AT状態から移行可能な指示機能状態である。CZ状態において、指示機能制御手段200Bは、CZ状態の開始時に指示機能制御データ記憶手段199のCZ終了判定カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する値(例えば、10ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、CZ終了判定カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。指示機能制御手段200Bは、CZ状態において10ゲームの遊技が実行されるまでの間、毎ゲームAT状態の実行を決定するか否かを抽選するAT抽選を実行するように構成されており、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合にのみ通常時AT抽選が実行される通常非AT状態よりもAT状態に移行しやすい状態となっている。
【0101】
CZ状態において、指示機能制御手段200Bは、内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、に、他の当選エリアに当選した場合に実行するAT抽選よりも「AT状態への移行」に当選する確率が高い特別AT抽選を実行する。
【0102】
CZ状態において10ゲームの遊技が実行されるまでにAT抽選又は特別AT抽選で「AT状態への移行」に当選した場合、指示機能制御手段200Bは、CZ状態の開始から10ゲームの遊技が実行された後に指示機能状態をCZ状態からAT状態に移行する。一方、CZ状態において10ゲームの遊技が実行されるまでにAT抽選又は特別AT抽選で「AT状態への移行」に当選しなかった場合、指示機能制御手段200Bは、CZ状態の開始から10ゲームの遊技が実行された後に指示機能状態をCZ状態から非AT状態に移行する。なお、指示機能制御手段200Bは、CZ状態におけるAT抽選又は特別AT抽選において「AT状態への移行」に当選した遊技において、指示機能状態をCZ状態からAT状態に移行するように構成されていてもよい。また、指示機能制御手段200Bは、CZ状態において、有利区間を開始してから1210ゲームの遊技が実行された場合と、有利区間を開始してから最もメダルを消費した後に2010枚のメダルを遊技者が獲得した場合と、に、指示機能状態をCZ状態からAT状態に移行させる。
【0103】
AT状態は、通常非AT状態又はCZ状態においてAT状態への移行条件が成立することで移行する指示機能状態である。AT状態において、指示機能制御手段200Bは、内部抽選手段120による内部抽選において、
図4及び
図5に示したストップボタンB1~ストップボタンB3の打順によって入賞役が変化する当選エリアに当選したことに基づき入賞補助制御を実行可能に構成されている。ここで、入賞補助制御によって入賞する確率が上がる役(特定の役)は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時のベルA~ベルFである。
【0104】
なお、指示機能制御手段200Bによって入賞補助制御が実行されている場合、演出制御手段180は、内部抽選手段120から送信される当選コマンドに基づき、特定の役の入賞を補助する演出である入賞補助演出を実行する。例えば、演出制御手段180は、内部抽選で当選エリア「打順ベル1」に当選したことを示す当選コマンドが内部抽選手段120から送信された場合、演出装置300によって第1打順が正解打順であることを報知する入賞補助演出を実行する。
【0105】
指示機能制御手段200Bは、AT状態を開始した場合に、AT状態において実行された遊技回数を計数するカウンタであるAT状態遊技回数カウンタ(不図示)に、AT状態で実行可能な遊技回数に相当する初期値をセットし、1回の遊技が実行されるごとに1ゲームに相当する値「1」でAT状態遊技回数カウンタの記憶値を減算するデクリメント更新を実行する。本実施形態において、指示機能制御手段200Bは、遊技状態が非RT状態である状態で有利区間が開始された場合、AT状態遊技回数カウンタに初期値として値「50」をセットする。
【0106】
また、本実施形態において、指示機能制御手段200Bは、内部抽選手段120による内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、に、指示機能に係る制御として、AT状態遊技回数カウンタの記憶値に抽選により決定された値を加算するか否かを決定することで、AT状態が継続する期間を加算(上乗せ)するか否かを決定する上乗せ抽選を実行する。
【0107】
AT状態においてAT状態遊技回数カウンタの記憶値が値「0」になった場合、つまり、AT状態が終了した場合、有利区間制御手段200Aは、通常終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了して非有利区間に制御するとともに、終了処理を実行する。終了処理が実行されることで、スロットマシン1では、有利区間制御データ記憶手段198に含まれる有利区間中に更新されたデータ(例えば有利区間ゲーム数カウンタの記憶値等)や、指示機能制御データ記憶手段199に含まれる有利区間中に更新されたデータ(例えば、AT状態遊技回数カウンタの記憶値等)等の有利区間における各種制御処理で用いた情報がすべて初期化される。
【0108】
また、有利区間制御手段200Aは、AT状態においてAT状態遊技回数カウンタの記憶値が値「0」になっていない場合であっても、1500ゲームの遊技が実行された場合、つまり有利区間ゲーム数カウンタの記憶値が値「1500」になった場合、又は有利区間において最もメダルを消費した時点から2400枚のメダルを遊技者が獲得した場合、つまり有利区間差枚数カウンタの記憶値が最も低い値(最下点)であった時点から値「2400」になった場合に、有利区間を終了させる条件として特定終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了させて次ゲームから非有利区間を開始する終了処理を実行する。この場合も、スロットマシン1では、終了処理において、有利区間制御データ記憶手段198に含まれる有利区間中に更新されたデータや、指示機能制御データ記憶手段199に含まれる有利区間中に更新されたデータ等の有利区間における各種制御処理で用いた情報がすべて初期化される。
【0109】
3.リール制御の詳細
ついで、本実施形態のスロットマシン1におけるリール制御の詳細について
図10を用いて説明する。本制御を開始すると、まず、規定投入数のメダルが投入されている状態でスタートレバーSLが押下されると、上述したように内部抽選手段120が内部抽選を行って当選した役を決定し、つまり有効ラインL1上に停止させる図柄組合せを決定する(S1)。また、このように停止させる図柄組合せが決定されると、その図柄組合せに基づき各図柄の図柄コード等をRAMに設定する(S2)。なお、この図柄コードの設定に際しては、各種のフラグの格納領域等もRAMに設定する。
【0110】
続いて、リール制御手段130は、第1リールR1~第3リールR3の回転を開始する回転制御を実行すると共に、ストップボタンB1~ストップボタンB3に内蔵されたLED等のランプの点灯制御を実行する(S3)。この点灯制御は、ストップボタンB1~ストップボタンB3を例えば赤色又は青色に点灯させる制御であり、赤色ではストップボタンB1~ストップボタンB3の操作が無効であることを示し、青色ではストップボタンB1~ストップボタンB3の操作が有効であることを示す。従って、第1リールR1~第3リールR3の回転が定常回転となるまでストップボタンB1~ストップボタンB3のランプは赤色のままであり、第1リールR1~第3リールR3の回転が定常回転に達すると青色に制御され、遊技者がストップボタンB1~ストップボタンB3による停止操作が可能であることを示す。なお、上記点灯制御においては赤色と青色を用いているが、遊技者がストップボタンの操作が有効であるか無効であるかが分かればよいため、どのような色であってもよく、或いは点灯と消灯でもよく、つまり点灯状態に変化があればよい。
【0111】
そして、リール制御手段130は、ストップボタンB1~ストップボタンB3の何れかが押圧される停止操作があるまで待機し(S4のNO)、ストップスイッチ240によりストップボタンB1~ストップボタンB3の何れかに対する停止操作を検出すると(S4のYES)、ステップS5に進む。
【0112】
なお、本実施形態のスロットマシン1においては、ステップS3~ステップS11までの制御を1つのリールの停止制御として行う仕様であり、同時に3つのストップボタンB1~ストップボタンB3が押圧可能となるように構成されていないが、ステップS3~ステップS11までの制御の実行時間が数ミリ秒であるため、例えば遊技者が手を横移動させながら連続的に3つのストップボタンB1~ストップボタンB3を押圧する、所謂スライドプッシュを行っても、第1リールR1~第3リールR3の停止制御を行うことが可能となっている。
【0113】
一般的には、ステップS10とステップS11との間に、ストップボタンが押下されたリールが停止するまで(全相励磁が開始されるまで)待機する処理が入ることで、1つのリールの停止後に次のリールのストップボタンが有効にされるが、本実施形態では、そのような待機の処理を削除することで、所謂スライドプッシュを可能とするものである。換言すると、ストップボタンB1~ストップボタンB3のうちの1つが停止操作されて当該リールが停止するまでの間(190ms以内)に、ストップボタンB1~ストップボタンB3のうちの他の1つにおける停止操作が数ミリ秒で有効にされる。従って、上述したように各リールにおいて停止操作から最大で4コマ分回転可能であるため、例えば第1ストップボタンB1が押下されてから4コマ分の回転中に、ストップボタンB2が押下されて0コマ~3コマ分の回転で停止する場合、後からストップボタンB2が押下された第2リールR2が第1リールR1よりも先に停止することもあり得る。
【0114】
上記ステップS4において停止操作があったことを検出すると、まず、主制御部である遊技制御手段10の演算における割込み処理を禁止する割込み禁止処理を実行する(S5)。即ち、主制御部のROMにおいては、遊技に関する処理の制御プログラムが記述された使用領域と、不正監視処理、サブコマンド送信処理、断電退避処理等の処理の制御プログラムが記述された別領域とが設けられており、使用領域の制御プログラムの実行中に別領域の制御プログラムの処理による割込み処理が発生すると、遊技に関する処理が影響を受けて支障が生じる虞があるため、割込み禁止処理を実行するものである。なお、この割込み禁止処理を行うと、別領域の制御プログラムの実行が不能となり、特に停電の発生時における断電退避の遅れを防止するために、割込み禁止処理から後述の割込み許可処理を行うまでの期間として2ms程度に抑える必要がある。
【0115】
続いて、リール制御手段130は、第1リールR1~第3リールR3のうち、停止操作があったリールを停止リールとして設定する処理を行う(S6)。ところで、第1リールR1~第3リールR3には、それぞれのリールを区別するための回胴ビットが割り当てられており、例えば第1リールR1には回胴ビット「0001B」が、第2リールR2には回胴ビット「0010B」が、第3リールR3には回胴ビット「0100B」が割り当てられている。しかしながら、主制御部におけるリール制御手段130がリール制御を実行する上で第1リールR1~第3リールR3を区別するためには、十進数で第1リールR1が「0」、第2リールR2が「1」、第3リールR3が「2」であればよく、2進数では第1リールR1がリール区別値「00」、第2リールR2がリール区別値「01」、第3リールR3がリール区別値「10」であればよい。そのため、回胴ビット上位2桁目から4桁目までの値に対してオフセット処理、つまり「0001B」のうちの「001」をオフセット処理で「00」に、「0010B」のうちの「010」をオフセット処理で「01」に、「0100B」のうちの「100」をオフセット処理で「10」に変換することで、データ容量の削減が可能となる。要するに、このステップS6においては、第1リールR1~第3リールR3の何れかの1つの停止操作があった回胴ビットを取得した際に、オフセット処理を行ってリール区別値を生成し、それを主制御部のRWMに格納して以下の処理(S7~S11)でリールを区別する際に使用する。
【0116】
なお、本実施形態のスロットマシン1は、第1リールR1~第3リールR3の3つのリールを備えたものであるが、近年、4つのリール(第4リール)を備えた遊技機も提案されている。この場合、第4リールの回胴ビット「1000B」をそのままオフセット処理すると、2進数で「100」となってしまい、十進数で「4」となってしまうため、第1リールR1が「0」、第2リールR2が「1」、第3リールR3が「2」、第4リールが「4」となって、飛び番号となるため制御性が良好でなくなる虞がある。そのため、4つのリールを備えた遊技機の場合は、第4リールが十進数で「3」(2進数で「11」)となるように、デクリメント処理が必要となる。この場合、以下の処理(S7~S11)でリール区別値が必要となる度にオフセット処理を実行していると、リール区別値を保存しておく容量は削減できるものの、毎回デクリメント処理が発生することになって、デクリメント処理に必要な容量(例えば4バイト)を毎回準備することになり、反対に容量が増加することになる。しかしながら、本実施形態のように、ステップS6で一度だけオフセット処理を実行して2バイトのリール区別値を記憶し、以下の処理(S7~S11)で使用することで、オフセット処理の度に生じるデクリメント処理に必要な容量を削減できる。要するに、最初にオフセット処理を一度だけ実行してリール区別値を保存しておく手法は、特に4つのリールを備えた遊技機に有効な手法でもある。
【0117】
また、リール制御手段130は、ステップS6の停止リールの設定において、ストップボタンB1~ストップボタンB3の何れのストップボタンが停止操作されたかに応じて、停止操作が実行済みであることを示す停止回胴ビットを設定する。即ち、従来は停止操作があったリールについて回胴回転中フラグをオン設定し、そのリールの停止(ステッピングモータの全相励磁)を検出すると、オフ設定し、その間は他のリールの停止操作を無効にすると共にストップボタンの点灯制御も無効の点灯制御(赤色に制御)をしていた。しかしながら、このような回胴回転中フラグの制御に必要なデータ容量が生じるばかりか、リールの停止を検出するまで他のリールの停止操作を無効にしてしまうため、上述したスライドプッシュを可能にするためには回胴回転中フラグが邪魔になるという問題があった。そのため、本実施形態においては、停止操作を検出した段階で、そのリールに対して停止回胴ビットを設定し、そのリールに対する停止操作を無効にするだけの処理を実行する。これにより、データ容量の削減が可能となると共にスライドプッシュを可能とすることができる。
【0118】
以上、ステップS6の処理をまとめると、例えば3つの第1リールR1~第3リールR3が回転中に第1停止としてストップボタンB1が遊技者により停止操作されたとすると、回胴ビット「0001B」のオフセット処理を実行してリール区別値「00」を設定し、その第1リールR1に関して停止回胴ビットを設定することになる。
【0119】
ついで、リール制御手段130は、ストップスイッチ240によってストップボタンB1~ストップボタンB3の停止操作を検出した際のリールの位置を押下位置として取得し(S7)、そして、その押下位置から190msが経過するまでにリールの回転を停止するため、押下位置から5図柄分について、仮に有効ラインL1上にその図柄を停止した場合の模擬演算処理(つまり5コマ分のシミュレーション)を実行する(S8)。
【0120】
ここで、例えば第1リールR1に関してストップボタンB1により第1停止操作を行った際を一例として、具体例を説明する。例えば遊技状態がボーナス成立状態(
図9(A)参照)であって、内部抽選において当選エリア「打順ベル1」(
図5参照)に当選していると、当選役として「ボーナス」、「ベルA」、「1枚役A」、「1枚役D」、「1枚役M」、「1枚役O」が当選(成立)していることになる。この状態で、第1リールR1~第3リールR3が回転中に第1停止としてストップボタンB1が停止番号「3」が有効ラインL1上にあるタイミングで停止操作があったとすると、ストップボタンB1の押下位置として停止番号「3」が取得される(S7)。
【0121】
すると、リール制御手段130は、模擬演算処理を開始し、まず、停止番号「3」の図柄である「赤7図柄(赤7)」が第1リールR1の停止図柄とした場合、リプレイ、小役、及びボーナスのうち、
図7及び
図8に示すように「1枚役E」、「1枚役F」、「1枚役I」、「1枚役J」、「リプレイB」が成立する図柄組合せの一部であって、これらの役が成立する可能性を模擬演算する。次に、停止番号「2」の図柄である「リプレイ図柄(RP)」が第1リールR1の停止図柄とした場合、リプレイ、小役、及びボーナスのうち、
図7及び
図8に示すように「ベルA」、「ベルD」、「1枚役A」、「1枚役B」、「1枚役C」、「1枚役D」、「リプレイA」が成立する図柄組合せの一部であって、これらの役が成立する可能性を模擬演算する。
【0122】
さらに、停止番号「1」の図柄である「ベルA図柄(BLA)」が第1リールR1の停止図柄とした場合、リプレイ、小役、及びボーナスのうち、
図7及び
図8に示すように「ベルE」、「1枚役M」、「1枚役N」、「1枚役O」、「1枚役P」、「スイカ」、「リプレイB」が成立する図柄組合せの一部であって、これらの役が成立する可能性を模擬演算する。続けて、停止番号「0」の図柄である「スイカA図柄(WMA)」が第1リールR1の停止図柄とした場合、リプレイ、小役、及びボーナスのうち、
図7及び
図8に示すように「ベルB」、「ベルC」、「ベルF」が成立する図柄組合せの一部であって、これらの役が成立する可能性を模擬演算する。そして、停止番号「19」の図柄である「スイカB図柄(WMB)」が第1リールR1の停止図柄とした場合、リプレイ、小役、及びボーナスのうち、
図7及び
図8に示すように「RBB」、「RB1」、「RB2」、「チェリー」が成立する図柄組合せの一部であって、これらの役が成立する可能性を模擬演算する。
【0123】
ついで、これらの5図柄について成立する役の図柄組合せの可能性と、内部抽選の結果で当選(成立)している「ボーナス」、「ベルA」、「1枚役A」、「1枚役B」、「1枚役C」、「1枚役D」、「1枚役M」、「1枚役O」とを比較する。停止番号「3」の「赤7図柄(赤7)」では現在当選している役は成立せず、停止番号「2」の「リプレイ図柄(RP)」では「ベルA」、「1枚役A」、「1枚役D」が成立し、停止番号「1」の「ベルA図柄(BLA)」では「1枚役M」、「1枚役O」が成立し、停止番号「0」の「スイカA図柄(WMA)」では現在当選している役は成立せず、停止番号「19」の「スイカB図柄(WMB)」では「ボーナス」が成立することを模擬演算する。なお、これらの5図柄を模擬演算する場合には、不当表示、つまり何れの役も成立せず、かつ同じ図柄(例えば赤7図柄やBAR図柄)が表示窓DW内に一直線上に並ぶような表示にならないことも確認する。
【0124】
そして、本実施形態においては、リプレイ、小役、及びボーナスの順で優先度が高く設定されているため、有効ラインL1上に停止させる優先度として、有効ラインL1上に停止させる優先度として、当選エリア「打順ベル1」の正解打順であって上述の「枚数優先制御」又は「個数優先制御」(若しくは両方)に従うことから、停止番号「2」の「リプレイ図柄(RP)」の優先度が高く設定され、停止番号「1」の「ベルA図柄(BLA)」、停止番号「19」の「スイカB図柄(WMB)」、停止番号「3」の「赤7図柄(赤7)」及び停止番号「0」の「スイカA図柄(WMA)」の優先度が低く設定されることから、有効ラインL1上に停止させる停止位置としては優先度が一番高い停止番号「2」の「リプレイ図柄(RP)」に決定され、その図柄が有効ラインL1上に停止するように処理される(S9)。続けて、割込み処理を許可する割込み許可処理を行い(S10)、つまり上記ステップS5で設定した割込み禁止処理を解除する。
【0125】
なお、リール制御手段130は、上記停止処理において第1リールR1の不図示のステッピングモータに図柄番号「2」のインデックスに相当する位置で全相励磁を例えば200msかける信号を出力する。この全相励磁の信号出力は、領域外のプログラムにより、つまり割込み処理によって実行される。
【0126】
続いて、リール制御手段130は、停止処理していない他のリールがあるか否かを上記回胴停止ビットに基づき判定し(S11)、まだ停止処理していないリールがある場合は(S11のYES)、ステップS3に戻る。ここでは、例えば第1リールR1について停止処理が完了し、第2リールR2及び第3リールR3について停止処理が完了していないので、上記回胴停止ビットに基づきストップボタンB1のランプを赤色に、ストップボタンB2及びストップボタンB3のランプを青色に点灯制御し(S3)、次のストップボタンによる停止操作があるまで待機する(S4のNO)。
【0127】
ここで、例えば第2リールR2に関してストップボタンB2により第2停止操作を行った際を一例として、具体例を説明する。ストップスイッチ240によってストップボタンB2の停止操作が検出されると(S4のYES)、上述したように割込み禁止処理を行い(S5)、第2リールR2のオフセット処理や停止回胴ビットの設定を行う停止リールの設定を行って(S6)、ストップボタンB2の押下位置を取得する(S7)。例えばストップボタンB2が停止番号「7」が有効ラインL1上にあるタイミングで停止操作があったとすると、ストップボタンB2の押下位置として停止番号「7」が取得される。
【0128】
すると、リール制御手段130は、模擬演算処理を開始し、まず、停止番号「7」の図柄である「スイカA図柄(WMA)」が第2リールR2の停止図柄とした場合、リプレイ、小役、及びボーナスのうち、
図7及び
図8に示すように「ベルA」、「スイカ」が成立する図柄組合せの一部であって、これらの役が成立する可能性を模擬演算する。次に、停止番号「6」の図柄である「ベルA図柄(BLA)」が第2リールR2の停止図柄とした場合、リプレイ、小役、及びボーナスのうち、
図7及び
図8に示すように「ベルB」、「ベルD」、「ベルE」、「ベルF」、「1枚役E」、「1枚役F」、「1枚役G」、「1枚役H」が成立する図柄組合せの一部であって、これらの役が成立する可能性を模擬演算する。
【0129】
さらに、停止番号「5」の図柄である「リプレイ図柄(RP)」が第2リールR2の停止図柄とした場合、リプレイ、小役、及びボーナスのうち、
図7及び
図8に示すように「RBB」、「ベルC」、「リプレイA」、「リプレイB」が成立する図柄組合せの一部であって、これらの役が成立する可能性を模擬演算する。続けて、停止番号「4」の図柄である「赤7図柄(赤7)」が第2リールR2の停止図柄とした場合、リプレイ、小役、及びボーナスのうち、
図7及び
図8に示すように「1枚役A」、「1枚役B」、「1枚役I」、「1枚役K」、「1枚役O」、「リプレイB」が成立する図柄組合せの一部であって、これらの役が成立する可能性を模擬演算する。そして、停止番号「3」の図柄である「チェリー図柄(CH)」が第2リールR2の停止図柄とした場合、リプレイ、小役、及びボーナスのうち、
図7及び
図8に示すように「1枚役M」、「1枚役N」、「チェリー」が成立する図柄組合せの一部であって、これらの役が成立する可能性を模擬演算する。
【0130】
ついで、これらの5図柄について成立する役の図柄組合せの可能性と、内部抽選の結果で当選(成立)している「ボーナス」、「ベルA」、「1枚役A」、「1枚役D」、「1枚役M」、「1枚役O」と、既に第1リールR1で停止している図柄番号「2」の「リプレイ図柄(RP)」とを比較する。停止番号「7」の「スイカA図柄(WMA)」では「ベルA」が成立し、停止番号「6」の「ベルA図柄(BLA)」では「ベルD」が成立するが現在当選している役が成立せず、停止番号「5」の「リプレイ図柄(RP)」では「リプレイA」が成立するが現在当選している役が成立せず、停止番号「4」の「赤7図柄(赤7)」では「1枚役A」、「1枚役B」が成立しかつ現在当選している「1枚役A」が成立し、停止番号「3」の「チェリー図柄(CH)」では役が成立しないことを模擬演算する。なお、これらの5図柄を模擬演算する場合には、不当表示、つまり何れの役も成立せず、かつ同じ図柄(例えば赤7図柄やBAR図柄)が表示窓DW内に一直線上に並ぶような表示にならないことも確認する。
【0131】
そして、本実施形態においては、リプレイ、小役、及びボーナスの順で優先度が高く設定されているため、有効ラインL1上に停止させる優先度として、当選エリア「打順ベル1」の正解打順であって上述の「枚数優先制御」に従うことから、停止番号「7」の「スイカA図柄(WMA)」、停止番号「4」の「赤7図柄(赤7)」、停止番号「5」の「リプレイ図柄(RP)」、停止番号「6」の「ベルA図柄(BLA)」、停止番号「3」の「チェリー図柄(CH)」、の順となることから、有効ラインL1上に停止させる停止位置としては優先度が一番高い停止番号「7」の「スイカA図柄(WMA)」に決定され、その図柄が有効ラインL1上に停止するように処理される(S9)。続けて、割込み処理を許可する割込み許可処理を行い(S10)、つまり上記ステップS5で設定した割込み禁止処理を解除する。また、リール制御手段130は、上記停止処理において第2リールR2の不図示のステッピングモータに図柄番号「7」のインデックスに相当する位置で全相励磁を例えば200msかける信号を出力する。
【0132】
続いて、リール制御手段130は、停止処理していない他のリールがあるか否かを上記回胴停止ビットに基づき判定し(S11)、まだ停止処理していないリールがある場合は(S11のYES)、ステップS3に戻る。ここでは、例えば第1リールR1及び第2リールR2について停止処理が完了し、第3リールR3について停止処理が完了していないので、上記回胴停止ビットに基づきストップボタンB1及びストップボタンB2のランプを赤色に、ストップボタンB3のランプを青色に点灯制御し(S3)、次のストップボタンによる停止操作があるまで待機する(S4のNO)。
【0133】
ここで、例えば第3リールR3に関してストップボタンB3により第3停止操作を行った際を一例として、具体例を説明する。ストップスイッチ240によってストップボタンB3の停止操作が検出されると(S4のYES)、上述したように割込み禁止処理を行い(S5)、第3リールR3のオフセット処理や停止回胴ビットの設定を行う停止リールの設定を行って(S6)、ストップボタンB3の押下位置を取得する(S7)。例えばストップボタンB3が停止番号「9」が有効ラインL1上にあるタイミングで停止操作があったとすると、ストップボタンB3の押下位置として停止番号「9」が取得される。
【0134】
すると、リール制御手段130は、模擬演算処理を開始し、まず、停止番号「9」の図柄である「BAR図柄(BAR)」が第3リールR3の停止図柄とした場合、リプレイ、小役、及びボーナスのうち、
図7及び
図8に示すように「RBB」、「RB1」、「1枚役F」、「1枚役H」、「スイカ」が成立する図柄組合せの一部であって、これらの役が成立する可能性を模擬演算する。次に、停止番号「8」の図柄である「チェリー図柄(CH)」が第3リールR3の停止図柄とした場合、リプレイ、小役、及びボーナスのうち、
図7及び
図8に示すように「1枚役O」、「1枚役P」、「チェリー」が成立する図柄組合せの一部であって、これらの役が成立する可能性を模擬演算する。
【0135】
さらに、停止番号「7」の図柄である「リプレイ図柄(RP)」が第3リールR3の停止図柄とした場合、リプレイ、小役、及びボーナスのうち、
図7及び
図8に示すように「ベルA」、「ベルB」、「リプレイA」が成立する図柄組合せの一部であって、これらの役が成立する可能性を模擬演算する。続けて、停止番号「6」の図柄である「ベルA図柄(BLA)」が第3リールR3の停止図柄とした場合、リプレイ、小役、及びボーナスのうち、
図7及び
図8に示すように「ベルE」、「1枚役A」、「1枚役C」、「1枚役M」が成立する図柄組合せの一部であって、これらの役が成立する可能性を模擬演算する。そして、停止番号「5」の図柄である「スイカA図柄(WMA)」が第3リールR3の停止図柄とした場合、リプレイ、小役、及びボーナスのうち、
図7及び
図8に示すように「ベルC」、「ベルD」、「ベルF」、「1枚役I」、「1枚役J」、「1枚役K」、「1枚役L」が成立する図柄組合せの一部であって、これらの役が成立する可能性を模擬演算する。
【0136】
ついで、これらの5図柄について成立する役の図柄組合せの可能性と、内部抽選の結果で当選(成立)している「ボーナス」、「ベルA」、「1枚役A」、「1枚役D」、「1枚役M」、「1枚役O」と、既に第1リールR1で停止している図柄番号「2」の「リプレイ図柄(RP)」と、既に第2リールR2で停止している図柄番号「7」の「スイカA図柄(WMA)」とを比較する。停止番号「9」の「BAR図柄(BAR)」では役が成立せず、停止番号「8」の「チェリー図柄(CH)」では役が成立せず、停止番号「7」の「リプレイ図柄(RP)」では現在当選している「ベルA」が成立し、停止番号「6」の「ベルA図柄(BLA)」では役が成立せず、停止番号「5」の「スイカA図柄(WMA)」では役が成立しないことを模擬演算する。
【0137】
なお、これらの5図柄を模擬演算する場合には、不当表示、つまり何れの役も成立せず、かつ同じ図柄(例えば赤7図柄やBAR図柄)が表示窓DW内に一直線上に並ぶような表示にならないことも確認する。また、この第3停止操作では、全てのリールが停止することから、停止禁止となる図柄組合せが有効ラインL1上(表示窓DW)に表示されないことも確認する。この停止禁止となる図柄組合せとは、例えばRB1に当選していないのにRB1の図柄組合せが有効ラインL1上(表示窓DW)に表示されること等、誤った遊技の進行を生じてしまう図柄組合せのことを指し、つまり遊技の進行に重大なエラーを生じてしまうような図柄組合せが有効ラインL1上(表示窓DW)に停止することを禁止する目的で停止禁止の図柄組合せの全てに関して検索を行って、最終的に有効ラインL1上に停止させる図柄を確認する。
【0138】
そして、本実施形態においては、リプレイ、小役、及びボーナスの順で優先度が高く設定されているため、有効ラインL1上に停止させる優先度として、当選エリア「打順ベル1」の正解打順であって上述の「枚数優先制御」が選択されることから、停止番号「7」の「リプレイ図柄(RP)」の優先度が高く設定され、その他の停止番号「9」の「BAR図柄(BAR)」、停止番号「8」の「チェリー図柄(CH)」、停止番号「6」の「ベルA図柄(BLA)」、停止番号「5」の「スイカA図柄(WMA)」の優先度が低く設定されることから、有効ラインL1上に停止させる停止位置としては優先度が一番高い停止番号「7」の「リプレイ図柄(RP)」に決定され、その図柄が有効ラインL1上に停止するように処理される(S9)。続けて、割込み処理を許可する割込み許可処理を行い(S10)、つまり上記ステップS5で設定した割込み禁止処理を解除する。また、リール制御手段130は、上記停止処理において第3リールR3の不図示のステッピングモータに図柄番号「7」のインデックスに相当する位置で全相励磁を例えば200msかける信号を出力する。
【0139】
ついで、リール制御手段130は、停止処理していない他のリールがあるか否かを上記回胴停止ビットに基づき判定し(S11)、全てのリールが停止している場合は(S11のNO)、全てのリールにおける各ステッピングモータにおいて全相励磁(全リールの全相励磁)が開始されているか否かを判定し(S12)、全リールの全相励磁が開始されていない場合は待機し(S12のNO)、その後、全リールの全相励磁が開始されていることを確認して(S12のYES)、本制御を終了する。
【0140】
以上のように、従来は停止操作がある前に各リールの全ての図柄(例えば20図柄分)が停止した場合の模擬演算をステップS2~ステップS4の間或いはステップS10とステップS11との間に行っていたが、本実施形態のようにストップボタンの停止操作を検出した後に押下位置から5図柄分だけの模擬演算を行うことで、リール停止制御に関する演算時間を短縮でき、かつデータ容量を削減することができて、他の制御に使用する空き容量を増やすことができる。
【0141】
なお、従来は例えばステップS10とステップS11との間で、停止操作があったリールが停止(全相励磁が開始)されたか否かを判定していたが、本実施形態のようにステップS12において全リールが停止(全相励磁が開始)されたか否かを判定することで、リールの本数分実行していた判定処理を、1回だけに削減することができている。これにより、第1停止操作又は第2停止操作の後に次の停止操作を検出可能にするまでの処理時間を短縮でき、上述のスライドプッシュを可能にすることに寄与している。
【0142】
4.本実施形態のまとめ
本発明に係る遊技機(1)は、
複数種類の図柄がそれぞれの表面に配列された複数のリール(R1,R2,R3)と、
内部抽選を行う内部抽選手段(120)と、
前記複数のリール(R1,R2,R3)に対応して設けられ、各リールを停止させるための停止操作を検出するストップスイッチ(240)と、
前記複数のリール(R1,R2,R3)の回転制御を実行すると共に、前記停止操作の検出に基づき有効ライン(L1)上に前記リールの複数種類の図柄のうちの1のリールを停止させる停止制御を実行するリール制御手段(130)と、を備え、
前記リール制御手段(130)は、前記停止制御において、前記複数のリール(R1,R2,R3)のうちの1のリールに対応した前記ストップスイッチ(240)が前記停止操作を検出した後、前記1のリールにおける前記停止操作の検出から停止可能な範囲にある所定数の図柄(例えば5図柄分)について、前記有効ライン(L1)上に停止させた場合の模擬演算を実行し、前記模擬演算の結果に応じて前記1のリールを停止させることを特徴とする。
【0143】
これにより、停止操作を検出する前にリールの複数種類の図柄の全てについて模擬演算を行う場合に比して、リール停止制御に関する演算時間を短縮でき、かつデータ容量を削減することができて、他の制御に使用する空き容量を増やすことができる。
【0144】
また、本発明に係る遊技機(1)は、
前記有効ラインは、3本以下であることを特徴とする。
【0145】
これにより、割込み禁止処理を行ってから割込み許可処理を行うまでの約2msの間に、5図柄分についての模擬演算を終えることができる。
【0146】
また、本発明に係る遊技機(1)は、
前記複数のリールを識別するための回胴ビットをオフセットして主制御部のメモリに格納するリール区別値を生成するオフセット処理を、各前記リールの停止操作があった際に実行しておくことを特徴とする。
【0147】
これにより、主制御部がリールを区別することが必要な度に、毎回オフセット処理を行うことを不要とし、データ容量の削減が可能となると共に、演算時間の短縮を図ることができる。
【0148】
また、本発明に係る遊技機(1)は、
前記停止操作がされた場合に、前記停止操作が実行済みであることを示す停止回胴ビットを設定することを特徴とする。
【0149】
これにより、例えば停止操作があった際にそのリールについて回胴回転中フラグをオン設定し、そのリールの停止を検出した際に回胴回転中フラグをオフ設定する場合は、リールの停止を検出するまで他のリールの停止操作を無効にしてしまう問題があったが、この問題を解決することができ、回胴回転中フラグを無くした分、データ容量の削減が可能となると共に、スライドプッシュを可能とすることができる。
【0150】
5.他の実施形態の可能性
なお、以上説明した本実施形態においては、各リールに配列された図柄の数が20図柄(20コマ)であるものについて説明したが、これに限らず、とのような数の図柄が配列されたものであっても構わない。特に各リールに配列された図柄の数が例えば16図柄(16コマ)のように少ない場合は、1図柄の大きさが大きくなるため、所定の時間である190msが経過するまでに停止可能な範囲にある所定数の図柄が例えば4図柄分となり、模擬演算にかかる時間がさらに短縮されることになる。
【0151】
また、本実施形態においては、第2種特別役物(CB(チャレンジボーナス))や第2種特別役物の連続作動(CBB(チャレンジビッグボーナス))を搭載していないものについて説明したが、これらCBやCBBを搭載しているものでも構わない。これらCBやCBBが作動した場合は、停止操作を検出してから所定の時間である75msが経過するまでに停止可能な範囲にある所定数の図柄が例えば2図柄分となる。この際、模擬演算としては、2図柄分を演算すれば足りるが、CBやCBBが非作動の場合は、上記所定の時間が190msとなって5図柄分を演算することに変わりがないので、同じプログラムを使用して模擬演算を行い、CBやCBBの作動中にあっては、停止不能となる3図柄分の模擬演算を使用しないプログラムを追加することも考えられる。
【0152】
また、本実施形態においては、指示機能状態を実行するものを説明したが、これに限らず、例えばボーナス状態でメダルを増加させる所謂Aタイプのスロットマシンであってもよく、つまりどのような遊技状態を実行するような遊技機であっても構わない。
【0153】
また、本実施形態においては、有効ラインが1本であるものについて説明したが、これに限らず、有効ラインが2本以上のものであっても構わない。但し、3つのリールを有しかつ有効ラインが1本である場合は1回の模擬演算に約0.38msの時間がかかり、2本である場合は1回の模擬演算に約0.98msの時間がかかり、3本である場合は1回の模擬演算に約1.89msがかかるという実験結果があるため、割込み禁止処理を2ms以内に終わらせることが好ましい関係上、有効ラインの本数は3本以下、好ましくは2本以下であるといえる。
【0154】
また、本実施形態においては、第1リールR1~第3リールR3の3つのリールを備えたものについて説明したが、これに限らず、4つのリールを備えたものであっても構わない。但し、模擬演算はリールの数が増えると図柄組合せが増え、演算時間が長くなるので、有効ラインの本数は2本以下、好ましくは1本にすることが考えられる。
【0155】
また、本実施形態においては、
図10に示すリール制御にあって、ステップS8で停止可能な図柄について、図柄組合せに基づき役が成立する可能性を模擬演算し、その模擬演算の結果からステップS9で優先度の順に有効ラインL1上に停止させる図柄(つまりリールを停止させる位置)を決定するものについて説明したが、ステップS8における模擬演算で優先度まで演算し、その演算された優先度に応じて有効ラインL1上に停止させる図柄(つまりリールを停止させる位置)を決定するものであってもよい。要するに、模擬演算の結果に基づきリールを停止させるものであれば、どのような演算手法であっても構わない。
【符号の説明】
【0156】
1…遊技機(スロットマシン)
120…内部抽選手段
130…リール制御手段
240…ストップスイッチ
L1…有効ライン
R1…リール(第1リール)
R2…リール(第2リール)
R3…リール(第3リール)