(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】ピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
B65G1/137 E
(21)【出願番号】P 2020130487
(22)【出願日】2020-07-31
(62)【分割の表示】P 2017557863の分割
【原出願日】2016-12-08
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】P 2015249250
(32)【優先日】2015-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】松浦 圭来
(72)【発明者】
【氏名】北川 要
(72)【発明者】
【氏名】山本 眞悟
(72)【発明者】
【氏名】黒川 昌志
(72)【発明者】
【氏名】杉内 創
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-193467(JP,A)
【文献】特開2010-202291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-69/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商品が収納された容器から指定された数の商品を取り出して運搬容器に入れる
ロボットと、
前記ロボットの作業エリアまで前記容器を供給する供給コンベヤと、
前記運搬容器を送り出す搬送手段と、
前記ロボットと前記供給コンベヤとを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記作業エリアに供給された前記容器内の商品数が、前記運搬容器に入れる商品数であるときは、前記供給コンベヤ
を制御して前記商品が収納された前記容器をそのまま前記搬送手段に送り出
し、
前記容器内に一部の商品を残し、前記ロボットを制御して、残りの商品を前記運搬容器に入れる場合は、前記ロボットが、前記容器から前記一部の商品を取り除いてから、前記供給コンベヤを制御することにより、前記残りの商品が入った前記容器を前記運搬容器として前記搬送手段にそのまま送り出す、または、先に前記容器を前記運搬容器として前記搬送手段に送り出してから、前記ロボットを制御して、前記搬送手段上の前記運搬容器から前記一部の商品を取り除かせる、
システム。
【請求項2】
前記ロボットにより取り除かれた前記一部の商品は、退避場所に仮置きされる、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ロボットが前記容器に補充する商品は、前記退避場所に仮置きされた前記商品である、
請求項
2に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、各店舗から注文された種々の商品を保管エリアから注文個数だけ取り出して、取り出された注文商品を配送用の運搬容器に詰めるピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアでは、陳列棚に欠品を出さないようにするため、日々、配送センターから商品が配送される。配送される商品の中でも弁当や惣菜等の商品は、朝、昼、夕刻と一日に複数回配送される。そのため、配送センターには、各店舗の注文商品を番重と言われる運搬容器に詰めて、運搬容器を配送するピッキングシステムが導入されている。
【0003】
典型的なピッキングシステムは、店舗別の運搬容器を搬送するコンベヤと、そのコンベヤに沿って配列された保管棚と、その保管棚に区画・収納された複数種類の商品と、各商品の受注個数を表示する複数の表示器とを備える。コンベヤに載せた各店舗の運搬容器が所定の保管棚に到達すると、その保管棚に到達した店舗の注文商品の表示器が注文個数を表示する。作業者は、表示器を見ながら注文商品を注文個数だけ保管棚から取りし、取り出された商品を当該店舗の運搬容器に詰めていく。そうした作業が各保管棚において終了すると、各店舗の運搬容器は、次の作業者の居る保管棚へ搬送される。こうして、各店舗の運搬容器が各作業者の作業エリアに搬送される度に、注文商品が注文個数だけピッキングされて、店舗毎の運搬容器が完成する(特許文献1参照)。
【0004】
一方、倉庫・物流センター等においては、こうした手動式のピッキングシステムに代えて、ロボットによる自動ピッキングシステムが導入されている。自動ピッキングシステムでは、ロボットが指定商品を保管棚から取り出してコンテナに収めたり、供給ラインから搬送されてきた商品をロボットが保管棚へ収納したりする(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特公平7-45283号公報
【文献】特開平6-92410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の手動式ピッキングシステムでは、各保管棚が複数のゾーンに分割され、各ゾーンには作業者が配置される。各作業者によるピッキングが終了すると、各ゾーンに搬入された店舗別の運搬容器が次のゾーンに搬送される。そのため、各ゾーンに作業者を配置していないと、ピッキング作業は停滞する。早朝や深夜便の配送に間に合わせるために、ピッキング作業を時間外にシフトさせると、忽ち必要な人数の作業者が確保できないという悩みがある。
【0007】
そこで、特許文献2に記載のロボットを配送センターに導入する試みがある。しかし、コンビニエンスストアに日々配送する商品は、例えば、弁当やチルド食品等が多い。このような商品を配送センターで仕分ける場合に、形状の異なる種々の商品を運搬容器内に隙間無く詰めていくためには、高度な知能ロボットを必要とし、設備費も高騰する。そうした理由から、配送センターにおけるピッキング作業は、未だに作業者に頼っているのが現状である。
【0008】
本開示は、こうした現状に鑑みて開発されたもので、簡易なロボットと、知的な作業ができる作業者との協働によって省力化を実現させた新たなピッキングシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一形態に係るピッキングシステムは、商品を種類別にストックする保管エリアから、予め取得された注文情報に規定される注文商品を注文個数だけ取り出し、取り出された注文商品を運搬容器に詰めていくピッキングシステムであって、保管エリアの上流部である上流保管エリアから保管エリアの下流部である下流保管エリアへ運搬容器を搬送する搬送手段と、上流保管エリアから、注文情報に規定される注文商品のうちの一部の注文商品を取り出し、取り出された注文商品を運搬容器に入れるロボットと、下流保管エリアに設けられ、下流保管エリアから作業者が取り出すべき注文商品とその個数を表示する表示器と、運搬容器が上流保管エリアから下流保管エリアに搬送されたとき、ロボットによる取り出しのために用いられた注文情報に規定される注文商品のうち、残りの注文商品の注文個数を表示器に表示させる表示制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一形態に係るピッキングシステムでは、上流保管エリアにロボットによる自動ピッキングラインが設けられ、下流保管エリアに作業者による手動ピッキングラインが設けられる。このため、簡易なロボットと、知的な作業ができる作業者との協働によって省力化を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るピッキングシステムの構成概略図である。
【
図2】
図2は、第一搬送手段と供給コンベヤの配置構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、運搬容器に注文商品を収納する場合の一例を示した説明図である。
【
図4】
図4は、商品取り出しエリアからa商品を取り出して運搬容器C1に入れる説明図である。
【
図5】
図5は、商品取り出しエリアからb商品を取り出して運搬容器C1に入れる説明図である。
【
図6】
図6は、商品取り出しエリアの容器CCを第一搬送手段T1に送り出す説明図である。
【
図7】
図7は、商品取り出しエリアの容器CCからa商品を取り出し、取り出されたa商品を第一搬送手段上の運搬容器C3に入れる説明図である。
【
図8】
図8は、商品取り出しエリアの容器CCからc商品を取り出し、取り出されたc商品を第一搬送手段上の運搬容器C3に入れる説明図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係る自動ピッキングラインの一つのユニットの構成を示す平面図である。
【
図11】
図11は、手動ピッキングラインの一つのユニットの構成を示す外観斜視図である。
【
図12】
図12は、一実施形態に係るピッキングシステムの制御係のブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係るピッキングシステムの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施形態は、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
図1は、一実施形態に係るピッキングシステムの構成概略図である。
図1において、商品Gを種類別にストックする保管エリアAは、上流部の保管エリアである上流保管エリアA1(一点鎖線の領域)と下流部の保管エリアである下流保管エリアA2(一点鎖線の領域)とに分けられる。上流保管エリアA1及び下流保管エリアA2から取り出された商品Gは、番重等の運搬容器Cに収納される。運搬容器Cは、搬送手段Tでもって上流保管エリアA1から下流保管エリアA2へ搬送される。
【0014】
上流保管エリアA1は、ロボットによる自動ピッキングラインとして構成される。上流保管エリアA1には、運搬容器Cを搬送する搬送手段Tと、その搬送手段Tに沿って配置された複数のロボットRBが設けられている。また、各ロボットRBは、注文情報に規定される注文商品のうちの一部の注文商品を上流保管エリアA1から取り出し、取り出された注文商品を搬送手段T上に載置された運搬容器Cに入れていく。注文情報は、注文商品を規定する情報であり、予め取得される。
【0015】
下流保管エリアA2は、作業者Wによる手動ピッキングラインとして構成される。下流保管エリアA2には、商品Gを種類別にストックする保管棚Sが搬送手段Tに沿って配置されている。また、それらの保管棚Sには、どの商品Gを何個取り出すかを作業者Wに知らせる表示器Dが商品Gに対応させて配列されている。そして、運搬容器Cが各作業者Wの作業エリアに搬送されると、表示制御部DCが、各作業エリアに搬入された運搬容器Cに関連付けられた店舗の注文商品の表示器Dに注文個数を表示させる。表示制御部DCは、運搬容器が上流保管エリアA1から下流保管エリアA2に搬送されたとき、ロボットによる取り出しのために用いられた注文情報に規定される注文商品のうち、未だピッキングされていない残りの注文商品の注文個数を表示器Dに表示させる。
【0016】
ロボットRBとしては、多関節ロボットやパラレルリンクロボット等の他、商品Gを持ち上げる把持器Hを回転アームAMや直線往復運動機構MでX,Y,Zの三軸方向に移動させる簡易なロボットを使用することができる。つまり、ロボットRBは、商品を移載する機能を有すればどのようなものを利用しても構わない。したがって、こうしたロボットRBを使用する場合は、上流保管エリアA1には、持ち上げて移動させるだけで運搬容器Cに収納できる商品Gがストックされる。このような商品Gとしては、例えば弁当等である。それ以外の形状が複雑で容器への詰め込みに工夫を要するような商品Gは、作業者により商品Gが詰められる下流保管エリアA2にストックされる。これにより、簡易なロボットであっても、運搬容器Cへの注文商品の詰め込みが可能になる。
【0017】
そして、注文商品が収納された運搬容器Cが自動ピッキングラインから下流の手動ピッキングラインに搬送されると、今度は、作業者Wが表示器Dに表示された個数だけ当該商品Gを保管棚Sから取り出し、取り出された商品Gを運搬容器Cに詰めていく。そのため、ロボットRBでは掴み難い形状の商品G、又は、積み重ねに工夫を要するような商品Gであっても、それらの商品Gを作業者Wにより運搬容器C内に難なく詰めることができる。こうして、ロボットRBによる単純なピッキング作業を前工程で行い、作業者Wによる高度な詰め込み作業を後工程で行うことにより、複雑な形状の商品Gや積み重ねに工夫を要するような商品Gでも、限られた容量の運搬容器C内に効率良く詰めていくことができる。なお、本開示で使用する「ピッキング」とは、所定の場所から商品Gを取り出し、取り出された商品Gを運搬容器C内に入れていく一連の動作をいう。
【0018】
また、このロボットRBは、対象物を捉えてロボットRBの動きを制御する撮像装置を備えていてもよい。この撮像装置は、例えばカメラと画像処理装置とで構成される。ピッキングする前の商品Gが容器CCの中で位置ズレを起していても、ロボットRBは、カメラを用いて位置ズレを起した商品Gを正確に捉えて、正しい姿勢で商品Gを持ち上げて、運搬容器Cの指定された位置に商品Gを並べていく。また、ロボットRBは、運搬容器Cに商品Gを並べるときも、カメラで的確にスペースを捉えて隙間無く商品Gを並べていく。なお、ロボットRBがカメラを用いるときは、商品Gを持ち上げるロボットRBの把持器Hを水平面内で回転できるようにしておく。これにより、ロボットRBは、商品Gの水平方向の向きがずれていても、位置ずれを修正しながら、運搬容器C内に商品Gを並べることができる。さらに、ロボットRBは、カメラを複数台備えてもよい。ロボットRBは、複数台のカメラを用いて、対象物を三次元的に捉えて積み重ねられた商品Gを取り出したり、運搬容器C内で商品Gを積み重ねたりする。あるいは、ロボットRBは、レーザービームを対象物に照射して距離を測定し、その距離情報に基づいて、把持器Hを三次元的に動かすようにしてもよい。
【0019】
こうしたロボットRBによるピッキング作業と作業者によるピッキング作業は、基本的には同期しない。このため、搬送手段Tは、上流保管エリアA1に配置される第一搬送手段T1(
図2参照)と、下流保管エリアA2に配置される第二搬送手段T2とに分けられていてもよい。そして、第一搬送手段T1及び第二搬送手段T2は、それぞれ独立して運転制御されてもよい。
【0020】
第一搬送手段T1は、例えばローラコンベヤやベルトコンベヤであり、第二搬送手段T2は、例えばベルトコンベヤである。また、第一搬送手段T1及び第二搬送手段T2は、これらに代えて、軌道上を走行する台車や運搬車等で構成することもできる。こうした第一搬送手段T1及び第二搬送手段T2を、上流保管エリアA1と下流保管エリアA2とで、それぞれ独立させて運転制御することにより、第一搬送手段T1は、ロボットRBの動きに合わせて運転することができる。さらに、第二搬送手段T2は、作業者Wの動きに合わせてタクト運転することができる。
【0021】
また、第一搬送手段T1には、商品Gが収納された番重等の容器CCを、ロボットRBの商品取り出しエリアに供給する供給コンベヤCVが接続されてもよい。供給コンベヤCVは、ロボットRBによる商品Gの取り出しによって容器CCが空になるとき、又は、その容器CCに収納された商品Gを一店舗からの注文個数の全部又は一部に当てることができるときは、容器CCを第一搬送手段T1に送り出すようにしてもよい。
【0022】
図2は、第一搬送手段T1と供給コンベヤCVの配置構成を示した平面図である。
図2では、第一搬送手段T1はローラコンベヤで構成される。そのローラコンベヤの搬送方向Fと直交する方向に複数の供給コンベヤCVが横並びに接続される。そして、各供給コンベヤCVと第一搬送手段T1とに跨る位置に複数基のロボットRBが配列される。なお、
図2では、ロボットRBの把持器Hのみを示している。この把持器Hは、点線で示すように、各ロボットRBの商品取り出しエリア、すなわち、供給コンベヤCVに供給された最前列の容器CCが位置するエリアと、第一搬送手段T1上の運搬容器Cとの間を縦横に移動する。そして、番重等の容器CC内から商品Gを取り出し、取り出された商品Gを運搬容器C内の指定された位置に入れていく。
【0023】
第一搬送手段T1は、搬送中の運搬容器Cを所定位置で停止させるストッパSTと、停止させた運搬容器Cを下流へ送り出す駆動ローラDRとを備えてもよい。第一搬送手段T1の駆動ローラDRによって搬送される運搬容器Cは、指定されたロボットRBの作業エリアに到着すると、ストッパSTによって所定位置で止められる。そして、ロボットRBによる運搬容器C内への商品Gの収納が終わると、停止した駆動ローラDRが回転して、停止していた運搬容器Cを下流へ送り出す。
【0024】
ロボットRBの商品取り出しエリアには、商品Gを収納した容器CCが供給コンベヤCVの搬入端から供給される。そして、ロボットRBによる商品取り出しによってその容器CCが空になれば、その容器CCは、新たな運搬容器Cとして第一搬送手段T1に送り出される。これにより、商品取り出しエリアで空になった容器CCを別途回収する必要がないから、複数の供給コンベヤCVを横並びに詰めて配置することが可能になる。この場合において、商品取り出しエリアに供給される番重等の容器CCは、第一搬送手段T1上の運搬容器Cと同じ容器、又は、少なくとも、その運搬容器Cと上下に重ねることのできる同一サイズの容器としておく。
【0025】
また、一つの店舗が同じ商品Gを複数個注文しているときに、ロボットRBが複数回ピッキングを繰り返すことは、時間の浪費となる。そこで、商品取り出しエリアの容器CC内の商品数が、一店舗からの注文個数の全部又は一部に該当するときは、商品取り出しエリアの容器CCをそのまま第一搬送手段T1に送り出して、商品Gの入った運搬容器Cとする。これにより、同じ商品Gを複数回ピッキングしなくても済むから、ロボットRBによるピッキング回数を減らすことができる。
【0026】
また、第一搬送手段T1に送り出された容器CC内の商品数が、注文個数より若干不足する場合は、商品取り出しエリアに供給された新たな容器CCから不足する数の商品Gを取り出し、取り出された商品Gを第一搬送手段T1上の容器CCに補充すればよい。この逆の場合、例えば商品Gの入った容器CCをそのまま第一搬送手段T1に送り出すと商品数が注文個数よりも若干オーバーするような場合は、ロボットRBがその容器CCから余分な個数の商品Gを持ち上げて退避場所に仮置きする。そして、ロボットRBは、残りの商品Gの入った容器CCを第一搬送手段T1へ送り出す。あるいは、ロボットRBは、第一搬送手段T1へ容器CCを送り出してから、余分な商品Gを持ち上げ、持ち上げた商品Gを退避場所に仮置きしてもよい。そして、退避させた商品Gは、新たに供給された容器CCに戻されるか、又は、次の店舗の運搬容器C内に入れられる。こうして、ピッキングの効率化が図られる。
【0027】
図2では、供給コンベヤCV毎にそれぞれロボットRBを一基配置している。これに代えて、隣接する複数の供給コンベヤCV毎にロボットRBを一基配置してもよい。さらに、設置スペースに余裕のない場所では、第一搬送手段T1と供給コンベヤCVとを上下に重ねた二階建てとしてもよい。二階のラインで集貨した運搬容器Cは、エレベータで一階のラインに下ろしてから、第二搬送手段T2に送り込むようにしてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、ピッキングシステムは、各店舗からの注文情報と、運搬容器C内に注文商品を入れるときの配置情報とに基づいて、注文商品をどの運搬容器のどこに入れるかのピッキング情報をロボットに配信する通信部を備えてもよい。ピッキング情報は、注文商品の収納先の運搬容器及び配置位置を特定するための情報である。ロボットは、受信したピッキング情報に基づいて注文商品を保管エリアから取り出し、取り出された注文商品を指定された運搬容器Cに入れていく。
【0029】
例えば、第一店舗からa商品が3個、b商品が6個注文され、第二店舗からa商品が4個、c商品が2個注文され、それらの商品は、一つの運搬容器Cに6個まで並べることができるとする。そうした場合には、
図1の上位コンピュータUCが、
図3に示すように、一番目の運搬容器C1には、第一店舗用としてa商品を3個、b商品を3個並べる情報を作成する。同様に、上位コンピュータUCは、二番目の運搬容器C2には、b商品の残り3個を並べる情報を作成する。上位コンピュータUCは、三番目の運搬容器C3には、第二店舗用として、a商品を4個、c商品を2個並べる情報を作成する。作成された情報は、通信部CDを介して各ロボットRBに送信される。
【0030】
そして、
図4に示すように、一番目の運搬容器C1がa商品取り出しエリアに到着すると、図示しないロボットは、容器CCからa商品を取り出し、取り出されたa商品を一番目の運搬容器C1内に並べる動作を3回繰り返す。a商品の取り出しが終了すると、一番目の運搬容器C1は、
図5に示すように、次のb商品の取り出しエリアの前に搬送されて停止する。すると、b商品の取り出しエリアの図示しないロボットは、供給コンベヤCV上の容器CCからb商品を取り出し、取り出されたb商品を一番目の運搬容器C1内に並べる動作を3回繰り返す。すると、一番目の運搬容器C1は、満杯になるから、その運搬容器C1は、下流へ送り出される。それとともに、供給コンベヤCV上の容器CC内には、b商品が3個残るから、その容器CCは、
図3の二番目の運搬容器C2として指定される。なお、運搬容器Cの搬送や送り出しは、
図2の駆動ローラDRを個別に駆動することによって行われる。また、運搬容器Cの所定位置での停止は、図示しない光電センサからの信号に基づいて、
図2のストッパSTを上昇させることによって行われる。
【0031】
そして、満杯になった運搬容器C1が下流へ送られると、運搬容器C1と入れ替わるようにb商品が3個残った容器CCが、二番目の運搬容器C2として供給コンベヤCVから第一搬送手段T1に送り込まれる。同時に、a商品が3個残った容器CCは、
図3の三番目の運搬容器C3になることができるから、その容器CCも三番目の運搬容器C3として供給コンベヤCVから第一搬送手段T1に送り込まれる(
図6参照)。そうして、各供給コンベヤCV上の容器CCが第一搬送手段T1に送り込まれると、商品を収納した新たな容器CCが各商品取り出しエリアに供給される。なお、供給コンベヤCVの搬入端には、商品を収納した新たな容器CCが作業者によって適時に補充される。
【0032】
第一搬送手段T1に送り込まれた二番目の運搬容器C2には、既にb商品が3個並んでいる。この状態で自動ピッキングラインにおける第一店舗用のピッキングが終了する場合は、二番目の運搬容器C2は、そのまま下流へ送られる。下流では、既に送られてきた一番目の運搬容器C1が待機している。一番目の運搬容器C1及び二番目の運搬容器C2は、一緒になって第一店舗用の運搬容器Cとして第二搬送手段T2に搬入される。そのとき、配送先の店舗名と店舗コードが印字されたラベルが各運搬容器Cに貼り付けられる。
【0033】
一方、三番目の運搬容器C3には、
図6に示すように、既にa商品が3個並んでいる。不足する商品は、a商品1個とc商品2個である。a商品の収納された新たな容器CCが商品取り出しエリアに供給されると、
図7に示すように、図示しないロボットが容器CCからa商品を取り出し、a商品を第一搬送手段T1上の三番目の運搬容器C3に入れる。a商品の収納が終了すると、三番目の運搬容器C3は、第一搬送手段T1によって、c商品の取り出しエリアまで搬送されて停止する。
【0034】
すると、
図8に示すように、図示しないロボットが、商品取り出しエリアの容器CCからc商品を取り出し、取り出されたc商品を三番目の運搬容器C3に並べる動作を2回繰り返す。これにより、三番目の運搬容器C3には、予定された第二店舗用の注文商品が揃う。その状態で自動ピッキングラインにおける第二店舗のピッキングが終了する場合は、その運搬容器C3は、そのまま第二搬送手段T2に送られる。こうして、各ロボットRBは、受信したピッキング情報に基づいて指定された運搬容器Cに注文商品を並べていく。
【0035】
ところで、配送センターには、事前に各店舗からの注文に基づいて生産された弁当等の商品と、その他の注文商品とが持ち込まれる。持ち込まれた商品は、直ちに所定の保管エリアAにストックされる。そのとき、
図1の上位コンピュータUCには、持ち込まれた各容器CCにどの商品が何個収納されているかが登録される。つまり、上位コンピュータUCには、容器CC、商品及び個数が関連付けられて記憶される。
【0036】
図1において、上位コンピュータUCは、各店舗からの注文情報と、運搬容器Cに並べることのできる商品数の情報に基づいて、どの商品をどの運搬容器にどのように配置するかのピッキング情報を作成する。運搬容器Cに並べることのできる商品数の情報は、例えば、a商品~c商品は6個収納可能、d商品は5個収納可能等である。上位コンピュータUCは、作成されたピッキング情報を、通信部CDを介して各ロボットRBに配信する。また、手動ピッキングラインでピッキングする商品についての注文情報は、表示制御部DCに送信される。
【0037】
この表示制御部DCには、どの商品がどの表示器Dに対応しているかが登録されている。表示制御部DCは、上位コンピュータUCから送信された店舗別の注文情報と、第二搬送手段T2に店舗別の運搬容器Cが搬入されるときの順序とに基づいて、各作業エリアに搬入された運搬容器Cがどの店舗のものであるかを特定する。表示制御部DCは、特定した情報に基づいて各作業エリアの運搬容器Cに関連付けられた店舗の注文商品の表示器Dに注文個数を表示する。また表示器Dには、後述の完了ボタンが設けられる。完了ボタンが押下されることにより、当該商品のピッキング完了信号が表示制御部DCに送信される。
【0038】
第一搬送手段T1には、空の運搬容器Cが上流端から適宜搬入される。これらの運搬容器Cは、配送ルートに対応させて、後入れ先出し方式で各店舗の配送順序が決められる。例えば、最初に配送する店舗の運搬容器が最後にトラックに積み込まれるように、運搬容器Cの配送順序が決められる。発送順序に基づいて、第一搬送手段T1に搬入される運搬容器Cが配送先店舗と関連付けられる。例えば、最初の2箱が第一店舗、次の1箱が第二店舗として登録される。さらに、第一搬送手段T1には、空の運搬容器Cの他に、空になった容器CCや、商品Gの入った容器CCが運搬容器Cとして搬入される。そうした容器CCの割り込みも考慮して、各店舗と各運搬容器Cとが関連付けられる。
【0039】
そして、第一店舗の一番目の運搬容器C1が第一搬送手段T1に搬入され、運搬容器C1が指定されたロボットRBの作業エリアに到達すると、ロボットRBは、受信した店舗別のピッキング情報に基づいて容器CCから商品Gを取り出す。ロボットRBは、取り出された商品Gを運搬容器C1内の指定された位置に置いていく。また、ロボットRBは、商品Gが複数個注文されているときは、その動作を複数回繰り返して商品Gを並べていく。その場合に、ロボットRBは、商品Gを上下に重ねることもできる。
【0040】
こうして、一番目の運搬容器C1に注文商品が収納されると、その運搬容器C1は、下流へ送り出される。送り出された運搬容器C1が次の指定されたロボットRBの作業エリアに到達すると、次のロボットRBは、指定された商品をその運搬容器Cの指定された位置に置いていく。また供給コンベヤCV上の容器CCが空になるか、その容器CCに残った商品で一店舗からの注文個数の全部又は一部に当てることができるときは、供給コンベヤCVが駆動されて、商品取り出しエリアの容器CCを第一搬送手段T1に送り出す。こうして、第一搬送手段T1で前後に連なった運搬容器Cに、注文商品が注文個数だけ収納されて、自動ピッキングラインにおける第一店舗用の運搬容器C1が完成する。すると、その運搬容器C1は、駆動ローラDRで送り出されて、下流の第二搬送手段T2の手前で待機する。このとき、各運搬容器には、配送先の店舗名と店舗コードの印字されたラベルが貼付される。
【0041】
図1に戻って、下流保管エリアA2には、第二搬送手段T2に沿って複数の保管棚Sが配置され、それらの保管棚Sには、商品毎に表示器Dが配置されている。しかし、これに代えて、例えば、各作業者Wの作業エリアに、各商品に対応させた指示ランプと、一つの表示器Dとを設け、指示ランプで指示された商品を、表示器Dに表示された注文個数だけピッキングするような構成であってもよい。この場合には、より少ない表示器でピッキングができるから、回転率の悪い商品群に対しては、設備費を抑えることができる。
【0042】
そして、第一店舗用として一まとめにされた運搬容器Cが第一搬送手段T1から第二搬送手段T2に搬入されると、表示制御部DCは、一番目の作業エリアにおいて、第一店舗が注文した商品の表示器Dに注文個数を表示させる。作業者Wは、表示器Dを見ながら表示された商品を注文個数だけ保管棚Sから取りし、取り出された商品を運搬容器Cに収納していく。収納が終了すると、作業者Wは、表示器Dに設けられた完了ボタンを押して、当該商品のピッキング完了を表示制御部DCに知らせる。
【0043】
表示制御部DCは、一番目の作業エリアにおいて、点灯させた全ての表示器Dからピッキング完了信号が送信されると、第二搬送手段T2をタクト運転させて、第一店舗の運搬容器を二番目の作業エリアに搬送する。搬送と同時に、表示制御部DCは、第一搬送手段T1上で待機させていた第二店舗の運搬容器を第二搬送手段T2に搬入させる。それらの運搬容器が一番目と二番目の作業エリアの所定位置に到達した時点で第二搬送手段T2を停止させる。
【0044】
すると、表示制御部DCは、一番目の作業エリアでは、第二店舗が注文した商品の表示器Dに注文個数を表示させ、二番目の作業エリアでは、第一店舗が注文した商品の表示器Dに注文個数を表示させる。そして、一番目の作業エリアの作業者Wは、第二店舗の注文商品をピッキングし、二番目の作業エリアの作業者Wは、第一店舗の注文商品をピッキングする。そして、一番目と二番目の作業エリアのピッキングが全て完了すると、表示制御部DCは、第二搬送手段T2を再びタクト運転させる。
【0045】
こうして、各作業エリアでのピッキングが完了する度に、各作業エリアの運搬容器は、次の作業エリアに一斉にシフトされていく。また、この手動ピッキングラインでは、運搬容器が満杯になると、作業者Wは、上段に設けられたラインから空容器を降ろして第二搬送手段T2上に置いたり、空容器を満杯になった運搬容器の上に重ねたりする。こうして、各作業エリアにおけるピッキングが全て終了すると、店舗毎に一まとめにされた運搬容器は、後入れ先出し方式でトラックに積み込まれる。
【0046】
なお、自動ピッキングラインにおいて、同一店舗の注文商品が複数の運搬容器に跨って収納され、複数の運搬容器が縦列に連なって第二搬送手段T2に送られてくる場合、手動ピッキングラインの限られた作業エリアに運搬容器が収まらないおそれがある。この場合、隣の作業エリアにある他の店舗の運搬容器と混同する可能性が出てくる。
【0047】
そこで、一実施形態では、第一搬送手段T1と第二搬送手段T2との間に、縦列の運搬容器を鉛直方向に積み重ねる段積み装置SKを設けてもよい。これにより、運搬容器が積み重ねられて店舗別に一まとめにされるから、作業者の作業エリアが狭くてもピッキングミスを防止することができる。
【0048】
この段積み装置SKは、例えば、運搬容器を持ち上げ、それによって形成された下方のスペースに後続の運搬容器を潜り込ませ、その上に持ち上げた運搬容器を降ろして重ねるものである。
【0049】
また、このピッキングシステムでは、ロボットが故障等して停止すると、忽ちライン全体のピッキング作業が停止してしまう。こうした場合に備えて、一実施形態では、下流保管エリアA2に、ロボットによりピッキングされる予定の商品(ロボット用商品)を一時的に収納する補助エリアAEを設けてもよい。表示制御部DCは、ロボットの停止時に、補助エリアAEの表示器Dにロボット用商品の注文個数を表示させてもよい。
【0050】
これにより、ロボットが停止したとしても、ロボット用商品が容器CCごと、補助エリアAEに移動することができる。そして、表示制御部DCは、補助エリアAEの表示器Dにロボット用商品の注文個数を表示させることができる。作業者は補助エリアAEの表示器Dを確認しながら、表示された個数の商品を容器CCから取り出し、取り出された商品を当該店舗の運搬容器に入れていくことができる。したがって、ロボットが故障しても、ピッキングを停滞させずに作業を続けることができる。
【0051】
図9及び
図10は、自動ピッキングラインの一つのユニットUの実施形態を示す。自動ピッキングラインは、ユニットUのローラコンベヤ20を軸にして、複数のユニットUを縦列接続することにより、増設できる。
【0052】
図9及び
図10において、一つのユニットUは、上下二段に構成される。各段には、ロボットRBと、運搬容器Cを搬送するローラコンベヤ20と、商品の入った容器CCをロボットRBの商品取り出しエリアに供給するローラコンベヤ30とが備えられている。ローラコンベヤ20は、
図1及び
図2の第一搬送手段T1に相当し、ローラコンベヤ30は、同じく
図1及び
図2の供給コンベヤCVに相当する。そして。ローラコンベヤ20及びローラコンベヤ30は、上段・下段の何れにおいても同じ構成である。以下の説明では、一方の段についてのみ説明する。
【0053】
ロボットRBは、
図10に示すように、吸着ヘッド11及び直線往復運動機構12、13、14を備える。吸着ヘッド11は、その先端に吸着パッドが装備され、把持器Hとして機能する。直線往復運動機構12、13、14は、吸着ヘッド11をX,Y,Zの三軸方向に移動させる。また、このロボットRBには、始点と終点との位置情報が与えられる。ロボットRBは、位置情報に基づいて、吸着ヘッド11を容器CC上方の始点位置に移動させる。そして、ロボットRBは、吸着ヘッド11を所定距離下降させて商品を吸着した後、吸着させた商品を所定高さまで持ち上げる。続いて、ロボットRBは、吸着ヘッド11を運搬容器Cまで移動させてから、運搬容器C直上の終点位置で吸着ヘッド11を下降して、商品を吸着ヘッド11から開放するようになっている。そして、この始点・終点の位置情報を与えるのが、制御部100の通信部CDから各ロボットRBに送信されるピッキング情報である。
【0054】
吸着ヘッド11の水平方向の移動範囲は、
図9の点線で囲む領域Eであって、ローラコンベヤ20上の二つの運搬容器Cと、運搬容器Cと直交する方向に並んだ各ローラコンベヤ30上の二つの容器CCとに跨る範囲に設定されている。また、上記領域E内のローラコンベヤ30上の、二つの容器CCのあるエリアを、ロボットRBの商品取り出しエリアとしている。また、二つの容器CCの間に挟まれたエリアEEを、ロボットRBが持ち上げた商品を一時的に退避させておく仮置き場所としている。
【0055】
この吸着ヘッド11は、先端に吸引パッドを装着し、商品Gと接するタイミングでその吸引パッドを負圧に制御して、商品Gを吸着しながら持ち上げる。また、商品Gを所定距離下降させると、吸引パッドの負圧を解除して、商品Gを運搬容器Cの所定位置に置くようになっている。そして、この吸着ヘッド11は、
図10に示すように、積み重ねられた容器CCの一段目から最上段まで移動可能である。初期位置は、一段目の容器CCの上面から僅かに浮かせた位置に設定される。このような初期位置の設定により、一段目の容器CCがロボットRBの商品取り出しエリアに搬入されるときに、初期位置に位置する吸着ヘッド11と一段目の容器CCとが干渉しないようになっている。また、吸着ヘッド11は、水平面内で回転できるように、Z軸回りに回転するように構成される。商品の水平面内での向きが乱れている場合には、吸着ヘッド11は、吸着した商品を水平面内で回転させることにより、正常な姿勢に戻して運搬容器C内に入れるように構成されている。
【0056】
運搬容器Cを搬送するローラコンベヤ20は、同一構成のローラコンベヤ20が縦列に接続可能である。運搬容器Cを停止させる所定位置には、ローラコンベヤ20の搬送面から出没する昇降板21が設けられている。この昇降板21は、後述の制御部100によって昇降されるもので、
図2のストッパSTに相当する。そして、上昇させた昇降板21に運搬容器Cを当てることにより、乱れた姿勢の運搬容器Cを矯正しつつ、運搬容器Cを所定位置で停止させるようになっている。
【0057】
また、ローラコンベヤ20には、各昇降板21の間に駆動ローラDRが設けられる。各駆動ローラDRは、各昇降板21と同様、後述の制御部100によって各々独立して駆動制御されるようになっている。また、各駆動ローラDRは、隣接する複数の従動ローラとベルトで連結される。駆動ローラDRが回転すると、各昇降板21間の従動ローラも同じ方向に一斉に回転するようになっている。
【0058】
昇降板21は、容器CCがローラコンベヤ30から縦方向のローラコンベヤ20上に送り出される位置より若干下流側に設けられている。容器CCがローラコンベヤ30からローラコンベヤ20へ送り出されるときに、その容器CCがしばしば姿勢を乱すことがある。その容器CCがローラコンベヤ20上に送り出された直後に、対応する位置の駆動ローラDRを所定時間回転させることにより、容器CCを昇降板21に当てて容器CCの姿勢を正しながら、昇降板21の位置で停止させることができる。したがって、吸着ヘッド11の移動範囲も、ローラコンベヤ20上で少しずれた位置で停止するエリアをカバーできる範囲に設定されている。
【0059】
ロボットRBの商品取り出しエリアに容器CCを供給するローラコンベヤ30にも、個別に駆動する同様な構成の駆動ローラDR1~DR3が設けられている。ローラコンベヤ20に近い駆動ローラDR1は、容器CCをローラコンベヤ20に送り出すときに駆動される。駆動ローラDR1より上流の駆動ローラDR2は、段積みされた一段目の容器CCをロボットRBの商品取り出しエリアに送り出すときに駆動される。最上流の駆動ローラDR3は、段積みされた容器CCを後述の段バラシ装置40に送り出すときに駆動される。
【0060】
また、ローラコンベヤ30の排出端と、後述の段バラシ装置40の出口と入口には、ローラコンベヤ30の搬送面から出没する昇降板31~33がそれぞれ設けられている。これらの昇降板31~33は、
図12の制御部100によってそれぞれ個別に駆動制御される。すなわち、排出端の昇降板31は、段バラシ装置40から送り出される容器CCをローラコンベヤ30の手前で停止させるときに上昇し、その容器CCをローラコンベヤ20に送り出すときに下降する。また、段バラシ装置40出口の昇降板32は、段積みされた容器CCから一段目の容器CCを抜き取って商品取り出しエリアに送り出すときに下降し、段積みされた容器CCが段バラシ装置40に送り込まれるときに上昇する。また、入口の昇降板33は、段積みされた容器CCを段バラシ装置40に送り込むときに下降し、それ以外のときは上昇する。これにより、搬入端に置かれた段積みされた容器CCを手で押しても、段積みされた容器CCは、段バラシ装置40に搬入されないようになっている。
【0061】
段バラシ装置40は、容器CC上面のフランジを掴んだり、フランジの下に侵入して容器CCを持ち上げたりする爪部材と、その爪部材を昇降させる昇降機構とを備えた周知構成である。そして、段積みされた容器CCの一段目を抜き取るときは、爪部材で二段目の容器CCを挟んで昇降機構が二段目から上の容器CCを持ち上げる。続いて、駆動ローラDR2が駆動して一段目の容器CCを商品取り出しエリアに送り出す。そうして一段目の容器CCが抜けると、昇降機構は、持ち上げた容器CCを降ろして、爪部材を開放させる。この動作を繰り返すことにより、段積みされた容器CCは、下段の容器CCから順次抜き取られていく。
【0062】
こうして駆動ローラDR~DR3や昇降板21、31~33は、
図12の制御部100によって駆動制御される。この制御部100には、吸着ヘッド11の移動範囲である領域Eと、その領域E内における各容器CCの正常な停止位置と、各運搬容器Cの正常な停止位置とがそれぞれ座標として登録されている。したがって、容器CCや運搬容器Cが位置ズレを起していないときは、ロボットRBの吸着ヘッド11は、前述のピッキング情報に基づいて、容器CC内の指定された位置で商品を持ち上げ、持ち上げられた商品を運搬容器Cまで搬送してから、運搬容器C内の指定された位置で商品を降ろすように動作する。
【0063】
また、ロボットRBには、運搬容器Cや容器CC、そこに収納された商品Gの位置を捉えてロボットRBの移動量を制御する撮像装置CMが備えられている。この撮像装置CMは、カメラと画像処理装置で構成され、カメラで捉えた吸着ヘッド11の移動範囲である領域Eは、画像上において、不動のエリアとして特定されている。そして、カメラで捉えた運搬容器C又は容器CCの画像上の位置が所定位置からずれていれば、ロボットRBは、吸着ヘッド11をそのズレ量に対応する量だけ水平方向に移動させて補正する。同様に、カメラで捕らえた商品の位置がずれていれば、ロボットRBは、そのズレ量に対応する量だけ吸着ヘッド11を水平方向に移動させて補正する。これにより、運搬容器C、容器CC又はそこに収納された商品が所定位置からズレていても、吸着ヘッド11は、そのズレを補正しながら商品を持ち上げ、商品を運搬容器C内の指定された位置に入れていくことができる。
【0064】
なお、この実施形態では、カメラをロボット10の作業エリア全体が俯瞰できる定点位置に取り付けているが、それに代えて、カメラを吸着ヘッド11に取り付けてもよい。また、カメラを定点位置に取り付けるときは、カメラを首振り機構等で移動させて、吸着ヘッド11が移動しても、死角が生じないようにしている。また、これに代えて、カメラを複数台設けて、対象物を三次元的に捉えるようにすることもできる。さらに、この実施形態では、自動ピッキングラインを上段と下段に設けているので、二階のラインでピッキングされた各店舗の運搬容器Cは、図示しないエレベータを介して下段のローラコンベヤ20上に降ろすようになっている。
【0065】
図11は、手動ピッキングラインの一つのユニットの実施形態を示した外観斜視図である。この一つのユニットをベルトコンベヤ50に沿って横並びに接続することにより、手動ピッキングラインが増設できるようになっている。また、保管棚Sを対向配置し、保管棚S間にベルトコンベヤ50を配置する構成であってもよい。なお、このベルトコンベヤ50は、
図1の第二搬送手段T2に相当するものである。
【0066】
図11において、保管棚Sは、上下三段の傾斜棚60と、各傾斜棚60の前面上部に横並びに配列された複数の表示器Dと、各表示器Dの隣に配置された完了ボタン61とを備える。各表示器Dに対応する傾斜棚60には、各表示器Dと関連付けられた商品が図示しない容器に収納された状態で並べられる。そして、商品を収納した容器が空になれば、空の容器を運搬容器Cとして利用し、空の容器を傾斜棚60から取り除けば、傾斜棚60の後方に待機させていた容器が作業者側にスライドするようになっている。したがって、傾斜棚60は、ローラコンベヤで構成され、その先端には、図示しないストッパが設けられている。
【0067】
なお、ベルトコンベヤ50の上段には、空の運搬容器を供給する図示しない供給ラインが設けられる。ベルトコンベヤ50上の運搬容器Cが満杯になると、その供給ラインから空の運搬容器Cを降ろし、空の運搬容器Cを満杯になった運搬容器Cの横に置いたり、その上に重ねたりする。
【0068】
表示器Dは、セグメントタイプの表示器で構成され、表示制御部DCの制御により、注文個数を表示する。そして、一人の作業者Wは、例えば、横三列、上下三段の表示器Dで囲まれたエリアを担当し、そのエリアの表示器Dに表示された商品を、表示された個数だけ取り出し、取り出された商品をベルトコンベヤ50上の運搬容器C内に入れて、完了ボタン61を押す。すると、表示制御部DCは、その商品のピッキングが完了したと認識して、その商品の表示器Dを消す。これにより、点灯した表示器Dが順次消えていくから、作業者Wは、ピッキングした商品と、ピッキングしていない商品を簡単に見分けることができる。
【0069】
図12は、この実施形態に係るピッキングシステムの制御系のブロック線図を示したものである。この図において、段積み装置SK並びに上位コンピュータUCと通信部CDの機能は、既に説明しているので、ここでは、制御部100と表示制御部DCについて説明する。
【0070】
制御部100は、コンピュータで構成され、内蔵のプログラムを実行することにより、上位コンピュータUCから受け取った各店舗の注文情報と、各容器CC内の商品Gの収納情報とに基づいて、店舗別の運搬容器Cが各ロボットRBに到達する度に、各ロボットRBにピッキング情報を送信して、ピッキング動作させるとともに、ローラコンベヤ30や昇降板21、31~33、駆動ローラDR,DR1~DR3、段バラシ装置40等を駆動制御して、全体の動きを統合する。
【0071】
具体的には、例えば
図4において、一番目の運搬容器C1が上流から送られてくると、制御部100は、a商品に対応するエリアのストッパST(
図9では昇降板21)を上昇させる。そして、運搬容器C1がストッパSTに当たると、対応する駆動ローラDRを停止させて運搬容器C1をa商品に対応する位置で停止させる。続いて、制御部100は、a商品をピッキングするロボットRBに、その運搬容器C1についてのピッキング情報を与える。すると、ロボットRBは、受け取ったピッキング情報に基づいて、容器CC内のa商品を持ち上げては、a商品を運搬容器C1内に入れていく。a商品の収納が終了すると、制御部100は、運搬容器C1を停止させたストッパSTを下降させるとともに、停止させていた駆動ローラDR(
図9参照)を駆動させて、a商品の入った運搬容器C1を次のc商品の取り出しエリアに送り出す。同時に、制御部100は、次のb商品に対応するエリアのストッパSTを上昇させる。そして、運搬容器C1がそのストッパSTに当たると、対応する次の駆動ローラDRを停止させて、運搬容器C1をその位置で静止させる。そして、前述と同様に、制御部100は、b商品をピッキングするロボットRBに、その運搬容器C1についてのピッキング情報を与えてピッキングさせる。
【0072】
こうして、制御部100は、運搬容器Cの搬入順序に基づいて、ローラコンベヤ20での運搬容器Cの搬送と停止を行いながら、各ロボットRBにピッキング情報を与えてピッキングさせる。また、ローラコンベヤ30上の容器CCを運搬容器Cとしてローラコンベヤ20に送り込むときは、制御部100は、ローラコンベヤ20の上流側の駆動ローラDRを停止させた状態で、昇降板31を下降させ、駆動ローラDR1を駆動させてローラコンベヤ30上の容器CCをローラコンベヤ20に送り込む。容器CCが送り込まれると、制御部100は、ローラコンベヤ30の昇降板31と、ローラコンベヤ20の昇降板21とを上昇させる。続いて、制御部100は、送り出された容器CC直下の駆動ローラDRを駆動させて容器CCを昇降板21に当てた後、駆動ローラDRを停止させる。これにより、水平方向の姿勢が乱れた容器CCは、昇降板21に当たって矯正され、その状態で静止する。このようにして、制御部100は容器CCをローラコンベヤ30からローラコンベヤ20へ送り込む。
【0073】
表示制御部DCもコンピュータで構成され、上位コンピュータUCから受け取った各店舗の注文情報と、ベルトコンベヤ50に搬入される運搬容器Cの店舗情報とに基づいて各表示器Dを表示させるとともに、ベルトコンベヤ50をタクト運転する。
【0074】
例えば、ベルトコンベヤ50に搬入される運搬容器Cは、上位コンピュータUCから送られた配送順序によって、どの運搬容器Cがどの店舗のものであるかが予め決められている。表示制御部DCは、店舗別の一群の運搬容器Cがベルトコンベヤ50に搬入される度に、その運搬容器Cの店舗を特定する。表示制御部DCは、特定した店舗に基づいて、その運搬容器Cが位置する作業エリアおいて、特定した店舗が注文した商品の表示器Dに注文個数を表示させる。そうして、各作業エリアで表示された全ての表示器Dからピッキング完了信号が送られてきた場合、表示制御部DCは、ベルトコンベヤ50をタクト運転させて、各作業エリアの店舗別の運搬容器Cを次の作業エリアにシフトさせるように制御する。
【0075】
以上の実施形態では、予め決められた配送順序に基づいて、手動ピッキングラインに送り込まれる一まとめの運搬容器がどの店舗のものであるかを特定している。しかし、より正確を期すために、運搬容器Cに貼付された店舗コードをバーコードスキャナーで読み込み、読み込み結果に基づいて、手動ピッキングラインに搬入される運搬容器の店舗を特定するようにしてもよい。
【0076】
また
図10において、商品の入った、積み重ねられた容器CCは、ローラコンベヤ30の搬入端(後方)から補充される。その際、商品が間違っていると、誤配送になるだけでなく、ロボットRBによるピッキングミスを誘発させる可能性もある。そこで、各ローラコンベヤ30の搬入端に、ゲートとバーコードスキャナーとを設け、バーコードスキャナーで、容器CC内の商品に貼付されたラベルから商品コードを読み取り、読み取った商品コードと予め設定された商品コードとが一致すれば、ゲートが開き、不一致であればアラームを鳴らしてゲートが開かないように構成しておくと、人為的なミスを防ぐことができる。
【0077】
次に、制御部100の動作の一例を説明する。スタート直後は、第一搬送手段T1としてのローラコンベヤ20には、運搬容器Cが搬入されておらず、ロボットRBの吸着ヘッド11も、初期位置で停止し、その直下のローラコンベヤ30には、容器CCが供給されていない状態である。
【0078】
この状態において、補充用の作業者が、容器CC内の商品Gに貼付されたラベルのバーコードをスキャナーで読み取ると、その商品に対応するローラコンベヤ30の図示しないゲートが開き、ゲートから商品Gの入った容器CCを積み重ねた状態で搬入する。そして、ゲートを閉めると、制御部100は、ゲート閉を合図に段バラシ装置40に容器CCが無いことを確認し、昇降板33を下げ、昇降板32を上げて、駆動ローラDR2、DR2を駆動させて、積み重ねられた容器CCを段バラシ装置40に送り込み停止させる。こうした作業を繰り返して、各ローラコンベヤ30に積み重ねられた容器CCを前後二列に供給し終わると、作業者の操作によって、あるいは、制御部100が各ローラコンベヤ30への容器補充の完了を確認することによって、制御部100がシステムを始動させる。
【0079】
すると、制御部100は、最上流のローラコンベヤ20を駆動させて運搬容器Cを搬入し、各ローラコンベヤ30の段バラシ装置40と昇降板32,31、駆動ローラDR2,DR1を作動させて、1段目の容器CCを段バラシ装置40からローラコンベヤ30の商品取り出しエリアに送り込む。そして、制御部100は、最初の運搬容器Cが注文商品のロボットRBの作業エリアに到達すると、その作業エリアの昇降板21を作動させて運搬容器Cを停止させ、続いて、ロボットRBにピッキング情報を送信する。すると、ロボットRBは、商品取り出しエリアに搬送された容器CCから商品Gを取り出し、取り出された商品Gを運搬容器C内に入れる。商品Gの収容が終了すると、ロボットRBは、制御部100に完了信号を送信する。
【0080】
こうして、ロボットRBによるピッキングが終了すると、運搬容器Cは、次の商品の取り出しエリアまで搬送される。搬送される運搬容器Cと入れ替わるように、次の運搬容器CがロボットRBの作業エリアに送られてくる。その運搬容器Cにも同じ商品Gを詰める必要がある場合は、制御部100は、ロボットRBにその運搬容器Cに対するピッキング情報を送信する。すると、ロボットRBは、前述と同様にして、容器CCから商品Gを取り出し、取り出された商品Gを運搬容器Cに入れていく。
【0081】
なお、ローラコンベヤ20上の前後の運搬容器Cが異なる店舗の運搬容器である場合は、制御部100は、商品取り出しエリアにある、商品の入った容器CCをそのままローラコンベヤ20に送り出すことができるか否かをチェックする。制御部100は、商品の入った容器CCをそのままローラコンベヤ20に送り出すことができるときは、ロボットRBを動作させずに、昇降板31を下げ、駆動ローラDR1を駆動させて、ローラコンベヤ30の商品取り出しエリアにある容器CCをそのままローラコンベヤ20に送り出す。こうして自動ピッキングラインにおいて、ロボットRBによるピッキングが行われる。
【0082】
次に、何れかのロボットRBが故障して、自動ピッキングラインが停止したときの回復措置について説明する。
【0083】
何れかのロボットRBが故障すると、制御部100には、そのロボットRBからエラー信号が送られてくる。制御部100は、エラー信号を受けとると直ちに自動ピッキングラインを一時的に休止させて、故障したラインの商品を手動ピッキングラインに移動させるか否かを問うメッセージを、制御部100に接続された図示しない表示器に表示させる。
【0084】
そして、作業者がそのメッセージを見て、故障ラインの商品を手動ピッキングラインに移す操作を行うと、制御部100は、故障したラインの商品に関する受注データの中から、ピッキングが未完了の受注データを編集し、編集された受注データを手動ピッキングラインの表示制御部DCに送信する。
【0085】
一方、作業者は、故障ラインの商品を容器CCごと、保管棚Sの一角に設けた補助エリアAEに移動させる。そして、表示制御部DCに接続された図示しない操作部を操作して、補助エリアAEへの商品の収納完了を表示制御部DCに知らせる。すると、制御部100は、自動ピッキングラインの運転を再開して、故障ラインの商品が抜けた状態で、各店舗に対するピッキングを続行していく。
【0086】
一方、手動ピッキングラインには、最初は、故障のない状態でピッキングされた各店舗の運搬容器が順次搬入され、続いて、故障ラインの商品が抜けた状態の各店舗の運搬容器が搬入される。表示制御部DCは、制御部100から送信されたデータにより、どの店舗の運搬容器から故障ラインの商品が抜けているかが特定できる。このため、表示制御部DCは、その店舗の運搬容器が補助エリアAEに到達すると、表示制御部DCは、その店舗の当該商品の注文個数を表示器Dに表示する。作業者は、表示器Dを見てピッキングを行い、終了すれば、完了ボタン61を押す。そうした作業を、後続の各店舗について繰り返すことにより、ロボットが故障しても、ピッキングを停滞させずに作業を続けることができる。
【0087】
以上、本実施形態に係るピッキングシステムでは、ロボットでは扱い難い商品や積み重ねに工夫を要するような商品は、手動ピッキングラインにおいて、作業者により運搬容器内に詰められる。よって、単純作業を行うロボットと、高度な詰め込み作業ができる作業者との協働によって、少人数でありながら、従来通りのピッキング作業を行うことができる。したがって、作業者の確保が難しい時期や時間帯であっても、所定時間内でピッキングを終えることができるから、コンビニエンスストア等への配送を遅延させることはない。また、安価なロボットの導入で済むから、自動化の設備投資を抑えることもできる。さらに、比較的重たい商品等をロボットにピッキングさせることにより、作業者の負担を軽減することもできる。
【0088】
さらに、本実施形態に係るピッキングシステムでは、ロボットが商品を取り出すことによって空になった容器を、運搬容器の搬送ラインに送り込んで運搬容器として使用するので、その容器を回収する回収ラインが不要となり、ロボットの作業エリアを広く確保することができる。また、容器に残った商品で一店舗からの注文個数の全部又は一部に当てることができるときは、その容器を運搬容器の搬送ラインに送り込んでその容器を運搬容器としても使用するので、ロボットによるピッキング回数を減らして、効率化を図ることができる。
【0089】
また、ロボットが停止したときは、ロボットが担当する商品を補助エリアに移して作業者が商品をピッキングすることができるので、ロボットが故障しても、ピッキングを停滞させずに作業を続けることができる効果がある。
【0090】
以上、本開示の一実施形態を説明したが、本開示は、これに限定されるものではなく、その他の構成も採用可能である。例えば、軌道上を走行する台車に運搬容器を載せ、そこにピッキングした商品を詰めていくようにする。この場合には、一つの台車を一つの店舗に割り当て、その台車が到達したエリアの表示器に当該店舗の注文商品の注文個数を表示させてピッキングするように構成してもよい。そうすれば、長い直線ラインを組むことができない場所でも、本開示に係るピッキングシステムを導入することができる。また、台車の搬送順序が配送順序と違っていても、台車に割り当てられた店舗のコードを読み取ることにより、柔軟に対応させることもできる。
【0091】
さらには、前記台車にロボットと運搬容器を搭載し、そのロボットでピッキングした商品を運搬容器に詰めていくようにしてもよい。その場合には、台車で満杯になった運搬容器は、下流の手動ピッキングエリアに移し替え、空になった台車は、再び上流に戻って別な店舗の運搬容器を載せて、そこに注文商品を詰めていくようにする。
【0092】
また、ピッキングシステムでは、店舗に関連付けられていない運搬容器を用いてもよい。
【0093】
また、ピッキングシステムでは、ロボットの故障による停止以外の要因で、ライン全体のピッキング作業が停止してしまうことがある。例えば、ロボットと協働して動作する機器が故障した場合には、ライン全体のピッキング作業が停止する。ロボットと協働して動作する機器の具体的な一例としては、段バラシ装置40である。つまり、段バラシ装置40が故障した場合には、ロボットによりロボット用商品を運搬容器Cに移送できない。このような場合、上記実施形態で説明した補助エリアAEへロボット用商品を移動させてもよい。そして、表示制御部DCは、ロボットによりロボット用商品を運搬容器Cに移送できない場合、補助エリアAEの表示器Dにロボット用商品の注文個数を表示させてもよい。これにより、ロボットの故障だけでなく、段バラシ装置40の故障にも対応することができる。
【0094】
[条項1]
商品を種類別にストックする保管エリアから、予め取得された注文情報に規定される注文商品を注文個数だけ取り出し、取り出された前記注文商品を運搬容器に詰めていくピッキングシステムであって、
前記保管エリアの上流部である上流保管エリアから前記保管エリアの下流部である下流保管エリアへ前記運搬容器を搬送する搬送手段と、
前記上流保管エリアから、前記注文情報に規定される前記注文商品のうちの一部の前記注文商品を取り出し、取り出された前記注文商品を前記運搬容器に入れるロボットと、
前記下流保管エリアに設けられ、前記下流保管エリアから作業者が取り出すべき前記注文商品とその個数を表示する表示器と、
前記運搬容器が前記上流保管エリアから前記下流保管エリアに搬送されたとき、前記ロボットによる取り出しのために用いられた前記注文情報に規定される前記注文商品のうち、残りの前記注文商品の注文個数を前記表示器に表示させる表示制御部と、
を備えるピッキングシステム。
[条項2]
前記ロボットは、対象物を捉えて前記ロボットの動きを制御する撮像装置を備える条項1に記載のピッキングシステム。
[条項3]
前記搬送手段は、前記上流保管エリアに配置される第一搬送手段と、前記下流保管エリアに配置される第二搬送手段とに分けられ、前記第一搬送手段及び前記第二搬送手段は、それぞれ独立して運転制御される条項1に記載のピッキングシステム。
[条項4]
前記第一搬送手段は、搬送中の前記運搬容器を所定位置で停止させるストッパと、停止させた前記運搬容器を下流へ送り出す駆動ローラとを備える条項3に記載のピッキングシステム。
[条項5]
前記第一搬送手段には、前記商品が収納された容器を、前記ロボットの商品取り出しエリアに供給する供給コンベヤが接続され、
前記供給コンベヤは、前記ロボットによる前記商品の取り出しによって前記容器が空になるとき、又は、前記容器に収納された前記商品を一店舗からの注文個数の全部又は一部に当てることができるときは、前記容器を前記第一搬送手段に送り出す条項3又は4に記載のピッキングシステム。
[条項6]
各店舗からの前記注文情報と、前記運搬容器内に前記注文商品を入れるときの配置情報とに基づいて、前記注文商品をどの運搬容器のどこに入れるかのピッキング情報を前記ロボットに配信する通信部を備え、前記ロボットは、受信した前記ピッキング情報に基づいて、前記注文商品を前記保管エリアから取り出し、取り出された前記注文商品を指定された前記運搬容器に入れる条項1又は2に記載のピッキングシステム。
[条項7]
前記下流保管エリアに、前記ロボットによりピッキングされる予定の前記商品であるロボット用商品を一時的に収納する補助エリアを設け、前記表示制御部は、前記ロボットにより前記ロボット用商品を前記運搬容器に移送できない場合、前記補助エリアの前記表示器に前記ロボット用商品の注文個数を表示させる条項1に記載のピッキングシステム。
【符号の説明】
【0095】
G…商品、A…保管エリア、C…運搬容器、T…搬送手段、RB…ロボット、D…表示器、DC…表示制御部、CM…撮像装置、A1…上流保管エリア、A2…下流保管エリア、T1…第一搬送手段、T2…第二搬送手段、CC…容器、CV…供給コンベヤ、CD…通信部、AE…補助エリア。