(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】切り花の保管システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A01G 5/06 20060101AFI20220530BHJP
A01N 3/02 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
A01G5/06
A01N3/02
(21)【出願番号】P 2020157343
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0061333
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0119506
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520333664
【氏名又は名称】リ,チャン フン
【氏名又は名称原語表記】LEE,Chang Hoon
【住所又は居所原語表記】1403-ho,304-dong,36,Baengnyeonsan-ro,Eunpyeong-gu,Seoul,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】リ,チャン フン
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-133188(JP,U)
【文献】国際公開第2008/123357(WO,A1)
【文献】特開平10-033112(JP,A)
【文献】実開平07-013115(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第104812155(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 5/06
H05H 1/24
A01N 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧プラズマ発生装置を利用した切り花の保管システムにおいて、
切り花が保管されるコンテナと、
前記コンテナ内の空気に含まれた水分のうち少なくとも一部を抽出して排出する空気フィルターと、
前記空気フィルターにより、前記水分のうち少なくとも一部が除去された空気から圧縮空気を生成する空気圧縮機と、
前記空気圧縮機から生成される前記圧縮空気をプラズマ放電ガスとして使用して、プラズマ放電を通じて活性種を生成するプラズマ発生装置と
、
前記コンテナ内の空気に含まれた水分量を検出する湿度センサと、
前記コンテナ内の活性種の濃度を検出する活性種センサと、
前記湿度センサが検出した水分量に基づいて、前記空気フィルターを駆動するか否かを制御し、前記活性種センサが検出した活性種の濃度に基づいて、前記空気圧縮機および前記プラズマ発生装置のうち少なくとも1つを駆動するか否かを制御するコントローラとを含む、切り花の保管システム。
【請求項2】
前記プラズマ発生装置は、
前記圧縮空気が供給されるガス供給管と、
前記活性種を含むプラズマガスが吐出されるノズル部とを含む、請求項1に記載の切り花の保管システム。
【請求項3】
前記コンテナ内で前記切り花を収容し、抗菌材料を利用して製造された容器をさらに含む、請求項1に記載の切り花の保管システム。
【請求項4】
前記容器は、銀ナノ粒子が分散含有されたシリカナノ複合体(silica nanocomposite)を含むプラスチックを射出成形して製造される、請求項3に記載の切り花の保管システム。
【請求項5】
大気圧プラズマ発生装置を利用した切り花の保管方法において、
空気フィルターにより、切り花が保管されるコンテナ内の空気に含まれた水分のうち少なくとも一部を抽出して排出するステップと、
空気圧縮機により、前記空気フィルターによって前記水分のうち少なくとも一部が除去された空気から圧縮空気を生成するステップと、
プラズマ発生装置により、前記空気圧縮機から生成される前記圧縮空気をプラズマ放電ガスとして使用して、プラズマ放電を通じて活性種を生成するステップと
、
湿度センサにより、前記コンテナ内の空気に含まれた水分量を検出するステップと、
活性種センサにより、前記コンテナ内の活性種の濃度を検出するステップと、
コントローラにより、前記湿度センサが検出した水分量に基づいて、前記空気フィルターを駆動するか否かを制御するステップと、
前記コントローラにより、前記活性種センサが検出した活性種の濃度に基づいて、前記空気圧縮機および前記プラズマ発生装置のうち少なくとも1つを駆動するか否かを制御するステップとを含む、切り花の保管方法。
【請求項6】
前記プラズマ発生装置により、前記活性種が含まれたプラズマガスを前記コンテナの内部に吐出するステップをさらに含む、請求項
5に記載の切り花の保管方法。
【請求項7】
前記コンテナは、前記切り花を収容し、抗菌材料を利用して製造された容器を含む、請求項
5に記載の切り花の保管方法。
【請求項8】
前記容器は、銀ナノ粒子が分散含有されたシリカナノ複合体を含むプラスチックを射出成形して製造される、請求項
7に記載の切り花の保管方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、切り花の保管システム及び方法に関するもので、より詳細には、大気圧プラズマ発生装置を利用した切り花の保管システム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマは、電子、中性粒子などのイオン化されたガスであり、プラズマガスの一部は、高エネルギーを持っているため、物質の表面を変化させることができる。つまり、プラズマは、他の材料の表面と直接反応したり、弾性衝突によって反応したりすることができる。プラズマ発生装置は、主に圧縮された空気または窒素ガスが高周波数、高電圧の電荷と交差してプラズマを発生させるように構成されたチューブを含む。最近では、低圧または真空プラズマの代わりに大気圧プラズマ装置を利用する場合が増えている。大気圧プラズマ装置の場合、低温工程で多様な材料や基板に適用することができ、真空容器や真空排気装置を必要としないため、処理速度が速く、経済的である。また、大気圧プラズマを利用した蒸着法を利用する場合、付着力が良く、蒸着温度が低くなるため、従来の表面処理工程、半導体工程、ディスプレイ工程において高温加熱に伴う変形や変性を減らすことができるなどの利点を活用して、比較的多様な産業において使用されている。
【0003】
一般的に、医療機器または食品などのバイオ材料の消毒および滅菌処理のために、EO(Ethylene Oxide)ガス、オゾン、低温プラズマなどが使用されることができる。この中でプラズマガスを利用した医療用消毒器は、過酸化水素滅菌方式を使用するが、該当装備の購入と運用に多くのコストとスペースを必要とする問題がある。一方、大気圧プラズマ発生装置は、放電によりオゾンを含む多様な活性種を生成する。これらの活性種は、殺菌、消毒または漂白作用を有するため、各種の物品やバイオ材料に対する殺菌、消毒または空気の浄化に使用されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書において開示される実施例は、プラズマ発生装置と圧縮空気を生成する空気フィルターを利用して、切り花の保管コンテナ内の水分調節と抗菌処理が可能な切り花の保管システムおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例による大気圧プラズマ発生装置を利用した切り花の保管システムは、切り花が保管されるコンテナと、コンテナ内の空気に含まれた水分のうち少なくとも一部を抽出して排出する空気フィルターと、空気フィルターにより水分のうち少なくとも一部が除去された空気から圧縮空気を生成する空気圧縮機と、空気圧縮機から生成される圧縮空気をプラズマ放電ガスとして使用して、プラズマ放電を通じて活性種を生成するプラズマ発生装置と、コンテナ内の空気に含まれた水分量を検出する湿度センサと、コンテナ内の活性種の濃度を検出する活性種センサと、湿度センサが検出した水分量に基づいて、空気フィルターを駆動するか否かを制御し、活性種センサが検出した活性種の濃度に基づいて、空気圧縮機およびプラズマ発生装置のうち少なくとも1つを駆動するか否かを制御するコントローラとを含む。
【0007】
本開示の一実施例による大気圧プラズマ発生装置を利用した切り花の保管方法は、空気フィルターにより、切り花が保管されるコンテナ内の空気に含まれた水分のうち少なくとも一部を抽出して排出するステップと、空気圧縮機により、空気フィルターによって水分のうち少なくとも一部が除去された空気から圧縮空気を生成するステップと、プラズマ発生装置により、空気圧縮機から生成される圧縮空気をプラズマ放電ガスとして使用して、プラズマ放電を通じて活性種を生成するステップと、湿度センサにより、コンテナ内の空気に含まれた水分量を検出するステップと、活性種センサにより、コンテナ内の活性種の濃度を検出するステップと、コントローラにより、湿度センサが検出した水分量に基づいて、空気フィルターを駆動するか否かを制御するステップと、コントローラにより、活性種センサが検出した活性種の濃度に基づいて、空気圧縮機およびプラズマ発生装置のうち少なくとも1つを駆動するか否かを制御するステップとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の多様な実施例によると、切り花が保管されるコンテナ内の空気中に含まれた水分を除去して湿度を一定に維持することにより、切り花の鮮度と保管期間を増加させることができる。
【0009】
また、本開示の多様な実施例によると、切り花が保管されるコンテナ内の空気の湿度を一定に維持すると同時に、殺菌または消毒効果のあるプラズマガスを発生させることにより、切り花の鮮度と保管期間をさらに増加させて切り花の商品性を向上させることができる。
【0010】
また、本開示の多様な実施例によると、抗菌材料で製造された切り花の容器に保存剤を収容することにより、保存剤の抗菌および消毒が可能で切り花の鮮度と保管期間を増加させることができる。
【0011】
本開示の効果は、上述した効果に制限されず、上述されていない他の効果は、請求の範囲の記載から当業者に明確に理解され得るだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施例に係る大気圧プラズマ発生装置を利用した切り花の保管システムの概略図である。
【
図2】本開示の他の実施例による大気圧プラズマ発生装置を利用した切り花の保管システムの概略図である。
【
図3】本開示の一実施例に係るプラズマ発生装置を概略的に示した斜視図である。
【
図4】本開示の一実施例に係る切り花の保管トレイの断面図である。
【
図5】本開示の一実施例に係る大気圧プラズマ発生装置を利用した切り花の保管方法のフローチャートである。
【
図6】本開示の他の実施例に係る大気圧プラズマ発生装置を利用した切り花の保管方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<発明の概要>
【0014】
一実施例によると、プラズマ発生装置は、圧縮空気が供給されるガス供給管、活性種を含むプラズマガスが吐出されるノズル部を含む。
【0015】
一実施例によると、切り花の保管システムは、コンテナ内で切り花を収容し、抗菌材料を利用して製造された容器をさらに含む。
【0016】
一実施例によると、容器は、銀ナノ粒子が分散含有されたシリカナノ複合体(silica nanocomposite)を含むプラスチックを射出成形して製造される。
【0017】
一実施例によると、切り花の保管システムは、コンテナ内の空気に含まれた水分量を検出する湿度センサ、コンテナ内の活性種の濃度を検出する活性種センサ、および湿度センサが検出した水分量に基づいて、空気フィルターを駆動するか否かを制御し、活性種センサが検出した活性種の濃度に基づいて、空気圧縮機およびプラズマ発生装置のうち少なくとも1つを駆動するか否かを制御するコントローラをさらに含む。
【0018】
一実施例によると、切り花の保管方法は、プラズマ発生装置により活性種を含むプラズマガスをコンテナ内部に吐出するステップをさらに含む。
【0019】
一実施例によると、切り花の保管方法は、コンテナは切り花を収容し、抗菌材料を利用して製造された容器をさらに含む。
【0020】
一実施例によると、容器は、銀ナノ粒子が分散含有されたシリカナノ複合体を含むプラスチックを射出成形して製造される。
【0021】
一実施例によると、切り花の保管方法は、湿度センサによりコンテナ内の空気に含まれる水分量を検出するステップ、活性種センサによりコンテナ内の活性種の濃度を検出するステップ、コントローラにより湿度センサが検出した水分量に基づいて空気フィルターを駆動するか否かを制御するステップ、およびコントローラにより活性種センサが検出した活性種の濃度に基づいて、空気圧縮機とプラズマ発生装置のうち少なくとも1つを駆動するか否かを制御するステップをさらに含む。
【0022】
<発明の詳細な説明>
【0023】
以下では、本開示の実施のための具体的な内容を添付された図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の説明において、本開示の要旨を不必要に曖昧にする恐れがある場合には、広く知られている機能や構成に関する具体的説明は省略することにする。
【0024】
添付された図面において、同一または対応する構成要素には同一の参照符号が付与されている。また、以下の実施例の説明において、同一または対応する構成要素を重複して記述することが省略されることができる。しかし、構成要素に関する記述が省略されても、そのような構成要素がある実施例に含まれないものと意図されるものではない。
【0025】
本開示において使用される用語について簡単に説明し、開示された実施例について具体的に説明する。本明細書において使用される用語は、本開示における機能を考慮しながら可能な限り現在広く使用される一般的な用語を選択したが、これは関連分野に携わる技術者の意図または判例、新しい技術の出現などによって変わることができる。また、特定の場合は出願人が任意に選定した用語もあり、この場合、該当する発明の説明部分で詳細にその意味を記載する。したがって、本開示において使用される用語は、単純な用語の名称ではなく、その用語が有する意味と本開示の全般にわたる内容に基づいて定義されるべきである。
【0026】
本開示において単数の表現は、文脈上明らかに単数であると特定しない限り、複数の表現を含む。また、複数の表現は、文脈上明らかに複数であると特定しない限り、単数の表現を含む。
【0027】
本開示においてある部分がある構成要素を含むとするとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことが可能であることを意味する。
【0028】
本明細書において「Aおよび/またはB」の記載は、A、またはB、またはAおよびBを意味する。
【0029】
本開示の実施例を詳述する前に、図面の上側は、その図面に図示された構成の「上部」または「上側」、その下側は、「下部」または「下側」と称することができる。また、図において図示された構成の上部と下部の間、または上部と下部を除いた残りの部分は、「側部」または「側面」と称することができる。これらの「上部」、「上側」などのような相対的な用語は、図面に図示された構成間の関係を説明するために使用することができ、本開示は、そのような用語によって限定されない。
【0030】
本開示の実施例において図面の左側は、その図面に図示された構成の「左」または「左側」、その右側は、「右」または「右側」と称することができる。これらの「左」、「左側」などのような相対的な用語は、図面に図示された構成間の関係を説明するために使用されることができ、本開示は、そのような用語によって限定されない。
【0031】
本開示において、ある構造物の内部空間に向かう方向を「内側」、開放された外部空間に突出された方向を「外側」と称することができる。これらの「内側」、「外側」などのような相対的な用語は、図面に図示された構成間の関係を説明するために使用されることができ、本開示は、そのような用語によって限定されない。
【0032】
本明細書において、ある部分が他の部分と連結されているとするとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の構成を介在して連結されている場合も含む。
【0033】
本開示において、用語「部(partまたはportion)」または「モジュール(module)」は、機械的またはハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、またはこれらの組み合わせを意味し、「部」または「モジュール」は、特定の役割や機能を遂行するために構成されることができる。しかしながら「部」または「モジュール」は、機械的構成要素またはハードウェアまたはソフトウェアに限定される意味ではない。「部」または「モジュール」は、アドレッシングできる格納媒体にあるように構成されることもでき、1つまたはそれ以上のプロセッサを実行させるように構成されることもできる。したがって、一例として「部」または「モジュール」は、ソフトウェア構成要素、オブジェクト指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素およびタスク構成要素のような構成要素と、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイおよび変数を含む。本開示において説明される構成要素と「部」または「モジュール」は、その内部で提供される機能がより少ない数の構成要素および「部」または「モジュール」に結合されたり、追加の構成要素と「部」または「モジュール」にさらに分離されたりすることができる。
【0034】
本開示において、「システム」は、1つ以上のプラズマ発生装置、空気圧縮機、空気フィルター、コンピューティングデバイス、コンテナなどを含む機械的な装置または電子機械的な装置を意味することができるが、これに限定されるものではない。
【0035】
開示された実施例の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付される図面と共に後述されている実施例を参照すると明確になるだろう。しかし、本開示は、以下において開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現されることができ、単に本実施例は、本開示が完全であるようにし、本開示が通常の技術者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるだけのものである。
【0036】
図1は、本開示の一実施例に係る大気圧プラズマ発生装置を利用した切り花の保管システム(100)の概略図である。
【0037】
図示されたように、切り花の保管システム(100)は、1つ以上の切り花(cut-flower)(150)が保管されるコンテナ(110)、コンテナ(110)内の空気に含まれた水分のうち少なくとも一部を抽出して排出する空気フィルター(120)、空気フィルター(120)により水分の少なくとも一部が除去された空気から圧縮空気を生成する空気圧縮機(130)、および空気圧縮機(130)から生成される圧縮空気をプラズマ放電ガスとして使用し、プラズマ放電を通じて活性種を生成するプラズマ発生装置(140)を含むことができる。
【0038】
コンテナ(110)は、切り花(150)が生産地から購買者に伝達されるまでに一定期間保管または配送される用途に使用されることができる。したがって、コンテナ(110)は、固定された場所に設置されたり、車両や船舶などのような運送装備に着脱可能に構成されたりすることができる。
【0039】
また、コンテナ(110)内には、切り花(150)が据置される支持部(160)が1つ以上配置されることができる。支持部(160)は、切り花(150)が据置および保管されるように構成されることができる。一実施例において、支持部(160)は、内部が空いているボックス形態であって、切り花(150)が支持部(160)の内側に挿入され得る複数の貫通孔を含むことができる。
【0040】
切り花の保管システム(100)は、コンテナ(110)の一側面に空気フィルター(120)が連結され、コンテナ(110)内の空気が空気フィルター(120)に流入され得るように構成されることができる。空気フィルター(120)は、コンテナ(110)から流入された空気中に含まれた水分の少なくとも一部を除去するように構成されることができる。このような構成により、コンテナ(110)内の空気が一定の湿度を有するように管理されることができる。一実施例において、空気フィルター(120)は、冷却式または乾燥式除湿機を含むことができる。例えば、乾燥式除湿機は、多孔性物質であるシリカゲル(silica gel)、アルミナゲル(alumina gel)、モレキュラーシーブ(molecular sieves)のような吸湿剤を利用して空気中に含まれた水分を吸着するように構成されることができる。他の例において、冷却式除湿機は、空気を、ファンを利用して吸い取った後、冷媒を利用した冷却装置を通過させることにより、温度が低くなり露点に到達した空気が水に変化する特性を利用するように構成されることができる。
【0041】
空気フィルター(120)により水分が除去された空気は、空気圧縮機(130)に流入されることができる。空気圧縮機(130)は、流入された空気を一定の圧力に圧縮してプラズマ発生装置(140)に提供することができる。一実施例において、空気圧縮機(130)は、往復式(reciprocating or piston type)、スクリュー式(rotary screw type)、またはターボ式(turbo or centrifugal type)圧縮機を含むことができるが、これに限定されるものではなく、プラズマ発生装置(140)が要求する一定の圧力の空気を提供できるように適切な容量を有する任意の種類の圧縮機を含むことができる。
【0042】
プラズマ発生装置(140)は、流入された圧縮空気をプラズマ放電ガスとして使用し、プラズマ放電を通じてオゾン(O3)を含む活性種を生成することができる。一実施例において、プラズマ発生装置(140)は、大気圧プラズマ発生装置であることができる。プラズマ発生装置(140)により生成された活性種を含むプラズマガスは、コンテナ(110)内部に付着されたノズル部(142)を介してコンテナ内部に吐出されることができる。このように吐出された活性種を含むプラズマガスによってコンテナ(110)内部の空気中に含まれている有害菌や有害物質が除去され、これにより、切り花(150)の鮮度や保管期間が増加されることができる。
【0043】
図2は、本開示の他の実施例に係る大気圧プラズマ発生装置を利用した切り花の保管システム(200)の概略図である。
図2に開示された構成のうち
図1と対応する構成については説明を省略する。
【0044】
図示されたように、切り花の保管システム(200)は、コンテナ(110)、空気フィルター(120)、空気圧縮機(130)、プラズマ発生装置(140)、コンテナ(110)内に設置される湿度センサ(220)と活性種センサ(240)およびコンテナ(110)内の空気が一定の湿度と活性種の濃度を有するように空気フィルター(120)、空気圧縮機(130)とプラズマ発生装置(140)のうち1つ以上を制御するコントローラ(260)を含むことができる。切り花の保管システム(200)では、湿度センサ(220)および/または活性種センサ(240)から信号を受信したコントローラ(260)が空気フィルター(120)、空気圧縮機(130)および/またはプラズマ発生装置(140)を制御することにより、コンテナ(110)内部の空気の湿度および活性種の濃度を一定数値の範囲内に維持させることができる。
【0045】
一実施例において、湿度センサ(220)は、コンテナ(110)内部に設置されることができる。コンテナ(110)内部に設置された湿度センサ(220)は、コンテナ(110)内部の空気の水分量または湿度を検出するように構成されることができる。例えば、湿度センサ(220)は、湿度に応じて電気的な信号を出力できる電気抵抗式または電気容量式湿度センサを含むことができるが、これに限定されるものではない。湿度センサ(220)は、コンテナ(110)内部の空気の水分量または湿度が一定数値の範囲内に維持されているかをリアルタイムに確認する役割を遂行することができる。湿度センサ(220)は、コンテナ(110)内部の空気に含まれた水分量または湿度によって決定される電気的な信号をコントローラ(260)に伝達することができる。
【0046】
一実施例において、活性種センサ(240)は、コンテナ(110)内部に設置されることができる。コンテナ(110)内部に設置された活性種センサ(240)は、コンテナ(110)内部の空気の活性種(例えば、O3、Nxなど)の濃度を検出するように構成されることができる。例えば、活性種センサ(240)は、気体状態の活性種の吸着または脱着により電気伝導度が変化して電気的な信号を出力できる化学センサを含むことができるが、これに限定されるものではない。活性種センサ(240)は、コンテナ(110)内部の空気の活性種の濃度が基準値以上の濃度で維持されているかをリアルタイムに確認する役割を遂行することができる。活性種センサ(240)は、コンテナ(110)内部の空気に含まれた活性種の存在有無または活性種の濃度によって決定される電気的な信号をコントローラ(260)に伝達することができる。
【0047】
コントローラ(260)は、湿度センサ(220)および/または活性種センサ(240)から送信される電気的な信号の入力を受け、コンテナ(110)内部の空気に含まれた湿気および/または活性種の濃度が基準値以上または未満であるかを決定することができる。このように決定されるコンテナ(110)内部の湿度または活性種の濃度により、コントローラ(260)は、空気フィルター(120)、空気圧縮機(130)およびプラズマ発生装置(140)のうち1つ以上の駆動時間および強度などを制御することができる。例えば、コントローラ(260)は、湿度センサ(220)の電気的な信号に基づいて、コンテナ(110)内部の空気の湿度が基準値以上に該当すると決定する場合、空気フィルター(120)を稼動させたり、空気フィルター(120)の駆動時間および/または強度を上方調整したりすることができる。また、コントローラ(260)は、活性種センサ(240)の電気的な信号に基づいて、コンテナ(110)内部の空気の活性種濃度が基準値以下に該当すると決定する場合、空気圧縮機(130)および/またはプラズマ発生装置(140)を稼動させたり、空気圧縮機(130)および/またはプラズマ発生装置(140)の駆動時間および/または強度を上方調整したりすることができる。
【0048】
一実施例において、以上で説明したようなコントローラ(260)による空気フィルター(120)の動作制御と、コントローラ(260)による空気圧縮機(130)および/またはプラズマ発生装置(140)の動作制御は、順次的に実行されることができる。例えば、コントローラ(260)は、空気フィルター(120)の動作制御を実行した後、空気圧縮機(130)および/またはプラズマ発生装置(140)の動作制御を実行することができ、このような2段階の動作制御を繰り返すことができる。他の実施例において、コントローラ(260)による空気フィルター(120)の動作制御と、コントローラ(260)による空気圧縮機(130)および/またはプラズマ発生装置(140)の動作制御は、並列的に同時に実行されることができる。さらに他の実施例において、コントローラ(260)による空気フィルター(120)の動作制御と、コントローラ(260)による空気圧縮機(130)および/またはプラズマ発生装置(140)の動作制御のうちいずれか1つだけ実行されることもできる。
【0049】
以上で説明したような、コントローラ(260)による空気フィルター(120)の動作制御と、コントローラ(260)による空気圧縮機(130)および/またはプラズマ発生装置(140)の動作制御により、コンテナ(110)内部の空気中に含まれる水分および活性種の濃度が適切な範囲内に維持され、切り花(150)の鮮度と保管期間が増加されることができる。
【0050】
図3は、本開示の一実施例に係るプラズマ発生装置(300)を概略的に示した斜視図である。
図3に図示されたプラズマ発生装置(300)は、例えば、
図1および
図2に図示された切り花の保管システム(100、200)のプラズマ発生装置(140)として使用されることができる。
【0051】
一実施例において、プラズマ発生装置(300)は、大気圧プラズマ発生装置であることができる。この場合、プラズマ発生装置(300)は、通常常温/常圧の環境で駆動され得るように、ジェネレータ、高電圧変圧器、プラズマ放電を発生させる電極などを含むことができる。具体的に、プラズマ発生装置(300)は、プラズマが吐出されるノズル部(320)、一側でノズル部(320)が脱着され、他側で動作ガス(または圧縮空気)が供給されるガス供給管(図示せず)、高電圧変圧器(図示せず)に連結されるケーブルなどが脱着されるボディ部(340)を含むことができる。
【0052】
一実施例において、高電圧変圧器により発生された高周波高電圧は、ボディ部(340)の内部に設置された電極に印加され、印加された電圧により電極間に電気アーク形態の高周波放電が発生される。このようにボディ部(340)の内部に電気アークが発生された状態で動作ガスが電気アークと接触し、プラズマ状態に変換される。ボディ部(340)で生成されたプラズマビームは、ノズル部(320)の開口を介して吐出される。
【0053】
図4は、本開示の一実施例に係る切り花の保管トレイ(420)の断面図である。
図4に図示された切り花の保管トレイ(420)は、例えば、
図1及び
図2に図示されたコンテナ(110)内部に設置された支持部(160)として使用されることができる。
【0054】
コンテナ(例えば、
図1の図面符号110)内には、切り花の保管トレイ(420)が1つ以上配置されることができる。切り花の保管トレイ(420)は、切り花(150)が据置および保管されるように構成されることができる。図示されたように、切り花の保管トレイ(420)は、断面が四角形のボックス形状を有することができるが、これに限定されない。
【0055】
一実施例において、切り花の保管トレイ(420)は、切り花(150)の鮮度を維持するための栄養と水分を含む保存剤を収容している複数の切り花容器(440)を含むことができる。花の鮮度のために保存剤に注入される栄養分により、切り花容器(440)内には細菌が繁殖することができる。細菌が繁殖した保存剤に収容された切り花(150)は、鮮度と保管期間が急激に減少することができる。このような問題点を解決するために、切り花容器(440)は、銀ナノ材料などの抗菌材料を用いて製造されることができる。例えば、切り花容器(440)は、銀ナノ粒子が分散含有されたシリカナノ複合体を含むプラスチックを射出して成形されることができる。抗菌材料で製造された切り花容器(440)に保存剤を収容することにより、保存剤の抗菌および消毒が可能になる。
【0056】
図5は、本開示の一実施例に係る大気圧プラズマ発生装置を利用した切り花の保管方法(500)のフローチャートである。
【0057】
切り花の保管方法(500)は、空気フィルターにより、切り花が保管されるコンテナ内の空気に含まれた水分のうち少なくとも一部を抽出して排出するステップで開始されることができる(S520)。一実施例において、
図1を参照すると、コンテナ(110)の一側面には空気フィルター(120)が連結され、コンテナ(110)内の空気が空気フィルター(120)に流入され得るように構成されることができる。空気フィルター(120)は、コンテナ(110)から流入された空気中に含まれた水分の少なくとも一部を除去するように構成されることができる。このような構成により、コンテナ(110)内の空気が一定の湿度を有するように管理されることができる。
【0058】
次に、空気圧縮機により、空気フィルターによって水分のうち少なくとも一部が除去された空気から圧縮空気を生成することができる(S540)。一実施例において、
図1を参照すると、空気フィルター(120)により水分が除去された空気は、空気圧縮機(130)に流入されることができる。空気圧縮機(130)は、流入された空気を一定の圧力に圧縮してプラズマ発生装置(140)に提供することができる。
【0059】
プラズマ発生装置により、空気圧縮機から生成される圧縮空気をプラズマ放電ガスとして使用して、プラズマ放電を通じて活性種を生成することができる(S560)。一実施例において、
図1を参照すると、プラズマ発生装置(140)は、流入された圧縮空気をプラズマ放電ガスとして使用して、プラズマ放電を通じてオゾン(O
3)を含む活性種を生成することができる。プラズマ発生装置(140)により生成された活性種を含むプラズマガスは、コンテナ(110)内部に付着されたノズル部(142)を介してコンテナ(110)内部に吐出されることができる。このように吐出された活性種を含むプラズマガスにより、コンテナ(110)内部の空気中に含まれた有害菌または有害物質が除去され、これにより切り花(150)の鮮度や保管期間が増加されることができる。
【0060】
さらに、コンテナ内に複数の切り花容器を収容するように準備し、該当の切り花容器に切り花の鮮度を維持するための栄養分と水分を含む保存剤を収容することができる。この場合、切り花容器は、銀ナノ粒子が分散含有されたシリカナノ複合体を含むプラスチックを射出して成形されることができる。
【0061】
図6は、本開示の他の実施例に係る大気圧プラズマ発生装置を利用した切り花の保管方法(600)のフローチャートである。
【0062】
切り花の保管方法(600)は、水分センサがコンテナ内の空気に含まれた水分量を検出するステップで開始されることができる(S610)。一実施例において、
図2を参照すると、コンテナ(110)内部に設置されている湿度センサ(220)は、コンテナ(110)内部の空気に含まれた水分量または湿度を検出することができる。また、湿度センサ(220)は、コンテナ(110)内部の空気に含まれた水分量または湿度によって決定される電気的な信号をコントローラ(260)に伝達することができる。
【0063】
コントローラは、検出された水分量が基準値以上であるかを決定することができる(S620)。一実施例において、
図2を参照すると、コントローラ(260)は、湿度センサ(220)の電気的な信号に基づいて、コンテナ(110)内部の空気の水分量または湿度が基準値以上に該当するかを決定することができる。
【0064】
ステップ(S620)で検出された水分量が基準値以上であると決定されると、コントローラは、空気フィルターを稼動し、コンテナ内部の空気中の水分を抽出することができる(S630)。一実施例において、
図2を参照すると、コントローラ(260)が、湿度センサ(220)の電気的な信号に基づいて、コンテナ(110)内部の空気の湿度が基準値以上に該当すると決定すると、空気フィルター(120)を稼動させたり、空気フィルター(120)の駆動時間および/または強度を上方調整したりすることができる。このように空気フィルター(120)は、コンテナ(110)から流入された空気中に含まれた水分の少なくとも一部を除去することにより、コンテナ(110)内の空気が一定の湿度を有するように管理することができる。
【0065】
次に、活性種センサがコンテナ内の空気に含まれた活性種の濃度を検出することができる(S640)。一実施例において、
図2を参照すると、コンテナ(110)内部に設置されている活性種センサ(240)は、コンテナ(110)内部の空気に含まれた活性種の存在有無または活性種の濃度によって決定される電気的な信号をコントローラ(260)に伝達することができる。
【0066】
コントローラは、検出された活性種の濃度が基準値以下であるかを決定することができる(S650)。一実施例において、
図2を参照すると、コントローラ(260)は、活性種センサ(240)の電気的な信号に基づいて、コンテナ(110)内部の空気の活性種濃度が基準値以下に該当するかを決定することができる。
【0067】
ステップ(S650)で検出された活性種の濃度が基準値以下であると決定されると、コントローラが空気圧縮機およびプラズマ発生装置のうち少なくとも1つを稼動して、コンテナ内に活性種を生成することができる(S660)。一実施例において、
図2を参照すると、コントローラ(260)は、活性種センサ(240)の電気的な信号に基づいて、コンテナ(110)内部の空気の活性種濃度が基準値以下に該当すると決定すると、空気圧縮機(130)および/またはプラズマ発生装置(140)を稼動させたり、空気圧縮機(130)および/またはプラズマ発生装置(140)の駆動時間および/または強度を上方調整したりすることができる。このように吐出された活性種を含むプラズマガスによって、コンテナ(110)内部の空気中に含まれた有害菌または有害物質が除去され、これにより、切り花(150)の鮮度や保管期間が増加されることができる。
【0068】
一実施例において、以上で説明したようなコントローラによる空気フィルターの動作制御ステップ(S610~S630)と、コントローラによる空気圧縮機および/またはプラズマ発生装置の動作制御ステップ(S640~S660)は、順次的に実行されることができる。例えば、ステップ(S610~S630)を実行した後は、ステップ(S640~S660)を実行することができ、これらのステップを繰り返し実行することができる。他の実施例において、コントローラによる空気フィルターの動作制御ステップ(S610~S630)と、コントローラによる空気圧縮機および/またはプラズマ発生装置の動作制御ステップ(S640~S660)は、並列的に同時に実行されることができる。さらに他の実施例において、コントローラによる空気フィルターの動作制御ステップ(S610~S630)と、コントローラによる空気圧縮機および/またはプラズマ発生装置の動作制御ステップ(S640~S660)のうちいずれか1つだけ実行されることもできる。
【0069】
さらに、コンテナ内に複数の切り花容器を収容するように準備し、該当の切り花容器に切り花の鮮度を維持するための栄養分と水分を含む保存剤を収容することができる。この場合、切り花容器は、銀ナノ粒子が分散含有されたシリカナノ複合体を含むプラスチックを射出して成形されることができる。
【0070】
上述した本発明の好ましい実施例は、例示の目的のために開示されたものであり、本発明に対して通常の知識を有する当業者であれば、本発明の思想と範囲内で多様な修正、変更および付加が可能であり、このような修正、変更および付加は、特許請求の範囲に属するものと見なければならならない。
【0071】
本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、多様な置換、変形及び変更が可能であるため、本発明は、前述した実施例及び添付された図面によって限定されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
100:切り花の保管システム
110:コンテナ
120:空気フィルター
130:空気圧縮機
140:プラズマ発生装置
150:切り花
160:支持部
420:切り花の保管トレイ
440:切り花容器