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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】動釣合装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 1/38 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
G01M1/38
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020176805
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2021189161
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2020-10-21
(31)【優先権主張番号】109118709
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】511194809
【氏名又は名称】国立中央大学
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】呉 育仁
(72)【発明者】
【氏名】鍾 雲吉
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06826817(US,B1)
【文献】米国特許第05820348(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0035068(US,A1)
【文献】米国特許第05724862(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 1/00-1/38
F16F 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子を有する設備へと応用される動釣合装置であり、前記回転子の両側が、軸線に沿って延伸する回転軸を連接し、前記動釣合装置が動釣合アセンブリ及び複数の減衰粒子を含み、
前記動釣合アセンブリが少なくとも二つの構造ユニットを含み、少なくとも二つの前記構造ユニットが前記回転軸上に分離して設置されることで、前記回転子に従って回転運動を行い、各前記構造ユニットが、前記軸線と垂直である独立平面に対応し、そのうち、各前記構造ユニットが複数個の容置部を含み、複数の前記容置部が、前記軸線を基にして対称的構造の排列を呈し、隣接する前記容置部の間は前記回転軸に平行な円周方向に前記構造ユニットの材料で完全に充填及び隔離され、
複数の前記減衰粒子が、各前記構造ユニットの少なくとも一つの前記容置部に充填されることで、各前記構造ユニットの構造ユニットの質量中心を前記軸線から偏移させ、
これにより、各前記構造ユニットが前記回転子の回転運動に従って慣性力及び慣性モーメントを生じることで、前記回転子の回転運動時において回転子の質量中心が偏移することで生じる慣性力及び慣性モーメントを相殺することで動釣合を達成し、
そのうち、複数の前記減衰粒子が、前記回転子の回転運動に従って、前記容置部内で移動して摩擦及び衝突を生じることで、振動軽減、騒音低減の効果を達成する、動釣合装置。
【請求項2】
複数の前記減衰粒子が、前記構造ユニットの複数の前記容置部の少なくとも一つへと充 填される、請求項1に記載の動釣合装置。
【請求項3】
前記構造ユニットにおいてすでに複数の前記減衰粒子を充填した前記容置部が複数個である場合、複数の前記容置部中には、同じ総質量の複数の前記減衰粒子が備わるものではない、請求項2に記載の動釣合装置。
【請求項4】
前記減衰粒子が塑性材料で製成される、請求項1に記載の動釣合装置。
【請求項5】
前記減衰粒子が中空芯顆粒構造である、請求項1に記載の動釣合装置。
【請求項6】
複数の前記減衰粒子に、異なる寸法または形状を同時に採用することができる、請求項 1に記載の動釣合装置。
【請求項7】
一つの前記構造ユニットが生じる前記慣性力が、前記構造ユニットにおいてすでに複数 の前記減衰粒子を充填した全ての前記容置部が生じる慣性力の総和である、請求項1に記 載の動釣合装置。
【請求項8】
一つの前記容置部が生じる慣性力は、前記容置部内に充填される複数の前記減衰粒子の 総質量、前記回転子の回転運動時の角速度の平方、及び前記構造ユニットが前記回転子に 従って回転運動時を行う際において前記容置部内に充填される複数の前記減衰粒子の、体 心位置から前記軸線までの最短距離の乗積である、請求項7に記載の動釣合装置。
【請求項9】
一つの前記構造ユニットが対応する前記独立平面が、もう一つの前記構造ユニットが対 応する前記独立平面と、実質的に平行である、請求項1に記載の動釣合装置。
【請求項10】
回転子を有する設備へと応用される、動釣合を維持して振動軽減を達成する方法であり 、前記方法がそのステップとして、
前記回転子の回転運動時において回転子の質量中心が偏移することで生じる慣性力及び慣性モーメントを計算することと、
動釣合アセンブリの少なくとも二つの構造ユニットを、前記回転子を連接する回転軸上に分離して設置し、そのうち、各前記構造ユニットが、前記回転軸の軸線と垂直である独立平面に対応し、且つ各前記構造ユニットが複数個の容置部を含み、複数の前記容置部が、前記軸線を基にして対称的構造の排列を呈し、隣接する前記容置部の間は前記回転軸に平行な円周方向に前記構造ユニットの材料で完全に充填及び隔離されることと、
複数の減衰粒子を、各前記構造ユニットの少なくとも一つの前記容置部に充填することで、各前記構造ユニットの構造ユニットの質量中心を前記軸線から偏移させることと、
これにより、各前記構造ユニットが前記回転子の回転運動に従って慣性力及び慣性モーメントを生じることで、前記回転子の回転運動時において回転子の質量中心が偏移することで生じる慣性力及び慣性モーメントを相殺することで動釣合を達成し、そのうち、複数の前記減衰粒子が、前記回転子の回転運動に従って、前記容置部内で移動して摩擦及び衝突を生じることで、振動軽減、騒音低減の効果を達成することを含む、動釣合を維持して振動軽減を達成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動釣合装置に関し、特に、回転子を有する設備と結合されられる動釣合装置を指す。
【背景技術】
【0002】
モータや圧縮機などの一般的な電機設備では、回転子が持続的に回転運動をすることで、動力の出力や機械駆動といった機能を実行する。この際、回転子の質量中心が、回転子の固定軸線上において保持されることで、回転子の固定軸線を基にした回転運動時における、回転運動の平衡が維持されるべきものだが、回転子本体に構造の欠陥や変形、または部品配備のずれや負荷不均等などの要因があった場合、回転子の質量中心が元々の固定軸線から偏移する現象を引き起こす。回転子が回転運動を始めれば、回転子が質量中心の偏移現象から慣性力及び慣性モーメントを生じ、回転運動の不釣合を発生させる。また、回転子の回転運動の不釣合から振動及び騒音が生じ、回転子の機能、品質に影響が及んでしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、回転子を有する設備と結合されられる動釣合装置を提供して、回転子による回転運動の動釣合効果の改善を達成することである。
【0004】
上記目的を達するために、本発明による動釣合装置は、回転子を有する設備へと応用され、且つ回転子の両側は、軸線に沿って延伸する回転軸を連接する。本発明による動釣合装置は、動釣合アセンブリ及び複数の減衰粒子を含む。動釣合アセンブリは少なくとも二つの構造ユニットを含み、各構造ユニットは、回転子を連接する回転軸上に分離して設置されることで、回転子に従って回転運動を行い、各構造ユニットは、軸線と垂直である独立平面に対応し、そのうち、各構造ユニットは少なくとも一つの容置部を含む。複数の減衰粒子は、各構造ユニットの少なくとも一つの容置部に充填されることで、各構造ユニットの構造ユニットの質量中心を軸線から偏移させる。これにより、各構造ユニットが回転子の回転運動に従って慣性力を生じることで、回転子の回転運動において質量中心が偏移することで生じるもう一方の慣性力を相殺することで動釣合を達成する。そのうち、複数の減衰粒子は、回転子の回転運動に従って、容置部内で移動して摩擦及び衝突を生じることで、振動軽減、騒音低減の効果を達成する。
【0005】
本発明の実施例において、構造ユニットの少なくとも一つの容置部が複数個である場合、複数の前記容置部は、軸線を基にして対称的構造の排列を呈する。
【0006】
本発明の実施例において、複数の減衰粒子は、構造ユニットの複数の前記容置部の少なくとも一つへと充填される。
【0007】
本発明の実施例において、構造ユニットにおいてすでに複数の減衰粒子を充填した容置部が複数個である場合、複数の前記容置部中には、同じ総質量の複数の減衰粒子が備わるものではない。
【0008】
本発明の実施例において、減衰粒子は塑性材料で製成される。
【0009】
本発明の実施例において、減衰粒子は中空芯顆粒構造である。
【0010】
本発明の実施例において、複数の減衰粒子は、異なる寸法または形状を同時に採用することができる。
【0011】
本発明の実施例において、一つの構造ユニットが生じる慣性力は、構造ユニットにおいてすでに複数の減衰粒子を充填した全ての容置部が生じる慣性力の総和である。
【0012】
本発明の実施例において、一つの容置部が生じる慣性力は、容置部内に充填される複数の減衰粒子の総質量、回転子の回転運動時の角速度の平方、及び構造ユニットが回転子に従って回転運動時を行う際において容置部に充填される複数の減衰粒子の、体心位置から前記軸線までの最短距離の乗積である。
【0013】
本発明の実施例において、一つの構造ユニットが対応する独立平面は、もう一つの構造ユニットが対応する独立平面と、実質的に平行である。
【0014】
これにより、本発明による動釣合装置は、回転子の質量中心の偏移状態に基づき、各構造ユニットが相応する一つのまたは複数個の容置部中に、所要の質量の複数の減衰粒子を充填することで、各構造ユニットに質量中心の偏移を生じさせることで、回転子の回転運動時の動釣合効果を達する。これ以外に、複数の減衰粒子が回転子の回転運動に従って移動することで摩擦と衝突を生じるので、振動軽減、騒音低減の効果を達成する。
【0015】
本発明は更に、回転子を有する設備へと応用される、動釣合を維持して振動軽減を達成する方法を含む。この方法は、回転子の回転運動において質量中心が偏移することで生じる慣性力及び慣性モーメントを計算することと、各構造ユニットを、回転子を連接する回転軸上に分離して設置し、そのうち、各構造ユニットが、回転軸の軸線と垂直である独立平面に対応し、且つ各構造ユニットが少なくとも一つの容置部を含むことと、複数の減衰粒子を、各構造ユニットの少なくとも一つの容置部に充填することで、各構造ユニットの構造ユニットの質量中心を軸線から偏移させることとを含む。これにより、各構造ユニットが回転子の回転運動に従って慣性力及び慣性モーメントを生じることで、回転子の回転運動において質量中心が偏移することで生じる慣性力及び慣性モーメントを相殺することで動釣合を達成する。そのうち、複数の減衰粒子は、回転子の回転運動に従って、容置部内で移動して摩擦及び衝突を生じることで、振動軽減、騒音低減の効果を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による動釣合装置が回転子と結合し回転した際の様子を示す図である。
図2】本発明による動釣合装置の第一構造ユニットが回転した際に慣性力を生じた様子を示す図である。
図3】本発明による動釣合装置にそれぞれ実験群C及び統制群A、Bの構造ユニットを応用した際の断面図である。
図4】本発明による動釣合装置における実験群C及び統制群A、Bの回転子の質量中心の径方向加速度の時間域の結果についての比較図である。
図5】本発明による動釣合装置における実験群C及び統制群A、Bの回転子の質量中心の径方向変位の軌跡についての比較図である。
図6】本発明による動釣合装置の第一構造ユニットの別の実施例を示す図である。
図7】本発明による動釣合装置の第一構造ユニットの更に別の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明が開示する各実施態様や実施例は、本考案を制限するものではない。当業者は、本発明の保護範囲を逸脱しない前提において、諸般の修飾を通じた実施が可能である。下に、明細書及び特許請求の範囲を通じ、本発明による実施例の特徴を更に詳しく説明する。
【0018】
本発明の要素の個数は、特に記載がある場合を除き、一つまたは少なくとも一つであり 、且つ複数である場合を含むことを理解されたい。
【0019】
本発明においてユニットや構造等の要素に用いられる「第一」、「第二」等の用語も同様に、本発明の実施例記載の利便性のためであり、比較的にあるいは潜在的に重要な技術的特徴における数量や空間、時間上の関係を指示又は暗示するものではなく、「第一」、「第二」等の特徴を有する要素は、明示的にあるいは内在的に、一つの、または更に多くの場合を包括する。
【0020】
本発明における「含む」や「備える」またそれらに類似する用語は、排他的ではない包括物を網羅することを意味する。例えば、複数の要素を含むユニットや構造、製品、装置は、本文に記載される要素に限らず、明確な記載がないが当該ユニットや構造、製品、装置が通常有しうる他の要素を包括することも出来る。
【0021】
本発明による動釣合装置は、例えば電動機やモータといった、回転子を有する設備に応用でき、またこれらの設備への応用に限定されるものではない。前記回転子は、偏心質量を有する回転子であり、且つ回転子の両側は軸線に沿って延伸する回転軸を連接する。本発明による動釣合装置の設置によって、回転子が偏心質量により回転運動時に生じる慣性力及び慣性モーメントを相殺し、動釣合を達成することができる。
【0022】
図1、即ち本発明による動釣合装置が回転子と結合し回転した際の様子を示す図を参照されたい。図1に示すように、本発明による動釣合装置100は、動釣合アセンブリ及び複数の減衰粒子130を含む。前記動釣合アセンブリは少なくとも二つの構造ユニットを含み、各構造ユニットは、それぞれを独立した個体として設置することができ、または、少なくとも二つの構造ユニットは、連接ユニットを通じてそれぞれを連接して一体的なユニットとして設置することもでき(ただし、相隣する二つの構造ユニット間には間隔距離が設けられるべきで、また連接ユニットによる連接のみとなる)、即ち異なる設計ニーズに応じて適宜変化させられる。本発明の技術的特徴を説明する以下の実施例において、少なくとも二つの前記構造ユニットは、各自が独立する第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120のみを含み、またこの構造ユニットの設置数は異なる設計ニーズに応じて適宜調整されるもので、本実施例に限定されない。また、以下の実施例において、第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120は、回転子300の両側の回転軸310上に、分け隔てて設置及び連接され、これにより、回転子300が第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120の間に位置する。但し、前述した構造ユニットの設置位置も異なる設計ニーズに応じて適宜調整されるもので、例えば第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120を、回転子300の任意の一つの側の回転軸310上に、同時に設置及び連接することも可能であり、本実施例に限定されない。
【0023】
前記回転軸310は、軸線Lに沿って直線で延伸する。ここで言う軸線Lとは、本発明による動釣合装置100、回転子300及び回転軸310が静止状態において対応する平衡の軸線として定義されるもので、これにより、動釣合装置100、回転子300及び回転軸310が静態的平衡を保つことができる。回転軸310が軸線Lを基に回転運動する際、第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120は、回転子300に従って、同様に軸線Lを基に回転運動する。理論上は、回転子300及び回転軸310が元々生じ得る質量中心の偏移により、回転子300及び回転軸310の回転運動開始時において、回転子300及び回転軸310は、前記軸線Lとは異なるもう一本の動態的軸線に沿って回転運動をし、これにより回転運動が平衡でない現象を生じ得る。本発明による動釣合装置100の設置によって、回転子300及び回転軸310が元々生じ得る質量中心の偏移を相殺し、これにより、回転子300及び回転軸310が回転運動する際に沿う前記動態的軸線を、可能な限り前記軸線Lに近づけ、更に前記軸線Lと重ね合わせることで、動釣合効果の改善を達成する。これに基づき、以下の実施例では、本発明による動釣合装置100の設置後における、図1に示す軸線Lを、回転子300の動態的軸線に近づいた状態、または前記動態的軸線と重なり合った状態にあるものと見なす。
【0024】
本発明の一実施例において、第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120は、それぞれ同様の構造設計を採用する。図1に示すように、第一構造ユニット110は円盤状に類似する構造であり、且つ軸線Lは第一構造ユニット110の中心部位を通過し(第一構造ユニット110は、回転軸310を貫通させる貫通孔を設置できる)、これにより、第一構造ユニット110の全体は、軸線Lを基にして対称的構造を呈する。回転軸310に設置される第一構造ユニット110は、実質的に軸線Lと垂直である独立平面P1に対応する。即ち、第一構造ユニット110の全体は、大まかには独立平面P1上に位置する。同様に、第二構造ユニット120は円盤状に類似する構造であり、且つ軸線Lは第二構造ユニット120の中心部位を通過し(第二構造ユニット120は、回転軸310を貫通させる貫通孔を設置できる)、これにより、第二構造ユニット120の全体は、軸線Lを基にして対称的構造を呈する。回転軸310に設置される第二構造ユニット120は、実質的に軸線Lと垂直である独立平面P2に対応する。即ち、第二構造ユニット120の全体は、大まかには独立平面P2上に位置する。設計上は、第一構造ユニット110が対応する独立平面P1は、実質的に、第二構造ユニット120が対応する独立平面P2と平行である。また、構造ユニットの数量が二個以上である時、任意の二つの構造ユニットが対応する独立平面も互いに平行となる。
【0025】
本実施例において、第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120の外輪郭は円形であり、そして本発明はこれに限定されない。第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120の外輪郭は、多辺形、または軸線Lを基にして対称的構造を呈することができるその他の相応的な外形設計を採用することができる。ただし、本発明の設計はニーズに応じて異なるもので、第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120は、例えば扇形や、錘形、その他不規則形状といった、軸線Lを基にして非対称的構造を呈することができる外形設計を採用することもできる。この他にも、第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120の構造の寸法は、ニーズに応じて変化させられる。
【0026】
第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120は、例えば金属や木材、石材、塑性材料、類似の特性を備えるその他材料といった、変形しにくい剛性材料で製成することもでき、また本発明はこれらに限定されない。
【0027】
第一構造ユニット110は、少なくとも一つの第一容置部111を含み、且つ第二構造ユニット120は、少なくとも一つの第二容置部121を含む。本発明の実施例において、第一構造ユニット110の少なくとも一つの第一容置部111は複数個であり、複数の前記第一容置部111は、軸線Lを基にして対称的構造の排列を呈して、且つ複数の前記第一容置部111は同様の寸法を有する。同様に、第二構造ユニット120の少なくとも一つの第二容置部121は複数個であり、複数の前記第二容置部121は、軸線Lを基にして対称的構造を呈し、且つ複数の前記第二容置部121は同様の寸法を有し、また本発明はこれに限定されない。例えば、異なる設計ニーズにより、各構造ユニットが複数個の容置部を設置する際、複数個の容置部は、軸線を基にして非対称的構造の排列を呈するように、及び/または、同時に異なる寸法を有するようにすることができる。
【0028】
本発明の実施例において、第一容置部111は、第一構造ユニット110の側の表面から、もう一つの側の表面へと貫通する貫通孔とすることができ、または、第一構造ユニット110の側の表面から、もう一つの側へ向かって凹陥する止まり穴とすることができる。更に、前記止まり穴または貫通孔の設計に従って、各第一容置部111を、一つまたは複数個のカバー体と合わせることで、前記止まり穴または貫通孔の開口箇所を封蓋することができる。同様に、第二容置部121は、第二構造ユニット120の側の表面から、もう一つの側へ向かって凹陥する止まり穴とすることができ、または、第二構造ユニット120の側の表面から、もう一つの側の表面へと貫通する貫通孔とすることができる。更に、前記止まり穴または貫通孔の設計に従って、各第二容置部121を、一つまたは複数個のカバー体と合わせることで、前記止まり穴または貫通孔の開口箇所を封蓋することができる。本実施例において、第一容置部111及び第二容置部121は円孔構造を採用しているが、本発明はこれに限定されず、例えば各第一容置部111及び各第二容置部121がその他の多辺形または任意の外形による、孔洞或いは凹槽構造を採用することもできる。
【0029】
これ以外に、第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120の構造の寸法は、ニーズに応じて変化させられ、例えば、本実施例における第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120の直径は、回転軸310の直径に近い程度まで縮減するか、または直接に回転軸310の局部を第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120とすることができる。この際、各第一容置部111及び各第二容置部121は、回転軸310の表面から軸線Lに向かって凹陥する孔洞或いは凹槽構造とすることができる。
【0030】
本発明の実施例において、各第一容置部111または各第二容置部121は、更に仕切り板などの分離パーツを通じて、複数個の容置区域へと分離することで、異なる使用ニーズに応じることができる。分離パーツの設置によって各容置部内の接触面積が増加するので、複数の減衰粒子130が更に、容置部の壁面や分離パーツとの接触による変形及び衝突を生じやすくなり、結果として、回転子から伝達された振動エネルギの減衰粒子130による消耗を効率的に行える。
【0031】
複数の減衰粒子130は、第一構造ユニット110の少なくとも一つの第一容置部111及び第二構造ユニット120の少なくとも一つの第二容置部121において充填される。この充填される複数の減衰粒子130の総質量を制御する、及びその位置を制御する(即ち、異なる容置部を選択する)ことで、第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120の構造ユニットの質量中心の位置をそれぞれ調整する。第一構造ユニット110を例に取れば、前述したように、本実施例では、第一構造ユニット110は軸線Lを基にして対称的構造を呈し、且つ第一構造ユニット110の複数個の第一容置部111は軸線Lを基にして対称的構造の排列を呈するため、第一構造ユニット110の構造ユニットの質量中心の位置は大まかには軸線L上に位置する。これに基づいて、複数の減衰粒子130を、第一構造ユニット110の複数個の第一容置部111のうち少なくとも一つへと充填するように選択した場合、第一構造ユニット110の構造ユニットの質量中心を軸線Lから偏移させる。
【0032】
複数の減衰粒子130を充填することの目的は、第一構造ユニット110の構造ユニットの質量中心を軸線Lから偏移させることなので、本発明では異なるニーズに応じて、単一の第一容置部111のみに複数の減衰粒子130を充填するか、或いは多数の第一容置部111に対し、それぞれ総質量が完全に同じではない複数の減衰粒子130を充填するか等を選択できる。更に説明すれば、第一構造ユニット110における、すでに複数の減衰粒子130を充填した第一容置部111が複数個である場合、すでに複数の減衰粒子130を充填した該複数個の第一容置部111中には、それぞれ総質量が同じである複数の減衰粒子130が備わるというわけではない(即ち、すでに複数の減衰粒子130を充填した該複数個の第一容置部111中には、少なくとも二種またはそれ以上の総質量である複数の減衰粒子130が含まれる)。複数の減衰粒子130が該複数個の第一容置部111中で質量分布の差異を生じることで、第一構造ユニット110の構造ユニットの質量中心が軸線Lで保持される状況を防ぐ。同じく、第二構造ユニット120にも同様の方法を採用して、第二構造ユニット120の構造ユニットの質量中心を軸線Lから偏移させる。
【0033】
本実施例では、複数の減衰粒子130を容置部が満タンになるまで充填はしておらず、即ち、容置部に複数の減衰粒子130を充填した後に一定の空間が残されることで、複数の減衰粒子130が回転子に従って回転運動する際に、容置部内で自由に移動できるようにし、且つ複数の減衰粒子130間で衝突と摩擦を生じさせる。但し、設計ニーズに応じた変化が可能で、複数の減衰粒子130を容置部が満タンになるまで充填することで、複数の減衰粒子130が回転子に従って回転運動する際に、容置部内で互いに衝突や摩擦、押圧による変形等をさせるようにしてもよい。
【0034】
本発明の実施例において、減衰粒子130は、例えば金属や塑性材料、その他類似の特性を有する材料といった、変形しにくい剛性材料を採用して製成することができる。複数の減衰粒子130による摩擦及び衝突の面積を増加させるために、減衰粒子130は、例えばゴムやシリコン、その他類似の特性を有する材料といった、変形が可能な弾性材料を採用して製成することもできる。この他、異なる使用ニーズに応じて、減衰粒子130には中実芯顆粒構造または中空芯顆粒構造を採用することができる。本発明の実施例において、複数の減衰粒子130は、同時に異なる寸法または/及び形状を有することができ、また本発明はこれに限定されない。例えば、複数の減衰粒子130は、同様の寸法または/及び形状を有する粒子の組合せで構成することもできる。
【0035】
下に、図1に示す実施例を用いて、本発明による動釣合装置1の応用例を説明する。はじめに、回転子300を有する設備に対し、まずコンピュータや、関連する測量機器やその他装置を通じて、ハードウェアまたはソフトウェアにより回転子300の質量中心の位置を計算することで、回転子300の質量中心が偏移した状態にあるか否かを判断する。この質量中心の偏移とは、回転子300自身を考慮する以外にも、回転子300を連接する回転軸310、回転軸310の支持や定位に用いる軸接続部、そしてその他付属のパーツ等の構成要素が有する総質量中心の偏移を、更に総合的に考慮できる。もし質量中心が偏移した状態にあれば、回転子300が回転運動時において質量中心の偏移により生じる慣性力及び慣性モーメントを、計算またはシミュレーションする。そして、取得した慣性力及び慣性モーメント等の関連する数値に基づき、本発明による動釣合装置100の第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120の、回転子300と連接する回転軸310上における設置位置をそれぞれ算出することで、第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120を実際に回転軸310上に配備するのに役立たせる(例えば本実施例において、第一構造ユニット110は、回転子300と回転軸310の一端の軸接続部との間に設置され、第二構造ユニット120は、回転子300と回転軸310のもう一方の一端の軸接続部との間に設置されるもので、そして各構造ユニットの設置位置は、本実施例に制限されるものではない)。
【0036】
続いて、前述の取得した慣性力及び慣性モーメント等の関連する数値に基づき、本発明による動釣合装置100の第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120がそれぞれ生じ得る慣性力及び慣性モーメントを算出することで、第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120の構造ユニットの質量中心が軸線Lから偏移する、偏移位置及び所要の質量数値を推算する。第一構造ユニット110を例に取れば、取得した第一構造ユニット110の構造ユニットの質量中心の偏移位置及び所要の質量数値に基づき、第一構造ユニット110に対応する位置の、一つまたは複数個の第一容置部111に対し、それぞれ相応する質量の複数の減衰粒子130を充填する。そして、充填された複数の減衰粒子130の質量を通じて、第一構造ユニット110が必要とする質量数値を調整し、並びに第一構造ユニット110の構造ユニットの質量中心を、所要の偏移位置まで移動させる。同じく、第二構造ユニット120に対しても同様の方式を採用して、第二構造ユニット120が必要とする質量数値を調整し、並びに第二構造ユニット120の構造ユニットの質量中心を、所要の偏移位置まで移動させる。注意をされたい事として、回転軸上に各構造ユニットを取り付ける際、例えばC型止め輪といった、相応する固定パーツや定位パーツを用いて、構造ユニットを回転軸上へ緊密に結合させることが求められる。よって、各構造ユニットが対応して生じる及び慣性力及び慣性モーメントを計算する際、前記固定パーツや定位パーツが各構造ユニットの質量中心に対し生じる偏移の影響を合わせて考慮して上で、各構造ユニットの構造ユニットの質量中心についての精確な偏移位置及び所要の質量数値を更に取得することが推奨される。
【0037】
これに基づき、本発明による動釣合装置1を、偏心質量を有する回転子300の設備に対し設置する。その際、回転子300が回転運動する時、第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120は、回転子300に従って同時に回転運動を行い、且つ、前述の構造ユニットの質量中心を偏移させる設計を通じ、慣性力及び慣性モーメントを生じることで、回転子300が回転時にその質量中心の偏移により生じる慣性力及び慣性モーメントを相殺し、回転子300の回転運動時の動釣合を達成することができる。この他、第一構造ユニット110及び第二構造ユニット120は回転子300の回転運動時において、第一容置部111及び第二容置部121内に充填された複数の減衰粒子130が、回転により生じる遠心分離によって、各容置部内における軸線Lから離れている区域(例えば図1または図2において、複数の減衰粒子130が描出されている位置及びその状態)へと集中的に移動し、並びに複数の減衰粒子130との間で摩擦及び衝突を生じさせ、これにより、回転子300の回転運動時の振動エネルギ及び騒音の生成を消耗させることで、振動軽減、騒音低減の効果を達成する。
【0038】
下に、図1中の第一構造ユニット110に基づき、質量中心の偏移により慣性力及び慣 性モーメントを生じる際の原理を説明する。図2、即ち本発明による動釣合装置の第一構 造ユニットが回転した際に慣性力を生じた様子を示す図を参照すれば、本実施例において、第一構造ユニット110は計6個の第一容置部111を含み、複数の前記第一容置部111は第一構造ユニット110の中心部位の軸線Lを基にして対称的構造の環状の排列を呈する。さらに言えば、隣接する前記容置部の間は前記回転軸に平行な円周方向に前記構造ユニットの材料で完全に充填及び隔離される。前述したように、第一構造ユニット110が対応して生じる慣性力及び慣性モーメントを算出し、これに基づき複数の前記第一容置部111内にそれぞれ複数の減衰粒子130を充填し、且つこの際、すでに複数の減衰粒子130を充填した複数の前記第一容置部111中には、それぞれ総質量が同じである複数の減衰粒子130が備わるというわけではない(図2に示すように、複数の前記第一容置部111中は、二種の総質量である複数の減衰粒子130が含まれる)。ゆえに、各第一容置部111内に充填される複数の減衰粒子130の総質量は、完全に同じではないために質量分布の差異を生じることで、構造ユニットの質量中心の偏移効果を達する。
【0039】
図2に示すように、本実施例において、第一構造ユニット110が回転子に従って回転運動すると、すでに複数の減衰粒子130を充填した各第一容置部111は、複数の減衰粒子130を通じて慣性力を生じる。ここで言う慣性力とは、第一容置部111内に充填される複数の減衰粒子130の総質量、回転運動時の角速度の平方、及び充填される複数の減衰粒子130の体心位置Vから軸線Lまでの最短距離の乗積である。前記体心位置Vとは、第一構造ユニット110が回転子に従って回転運動する際、複数の減衰粒子130が回転により生ずる遠心力によって、第一容置部111内における軸線Lから離れている区域へと集中的に移動し、これによりこの時に集中した複数の減衰粒子130の体積によって反映される体心位置Vを言う。複数の減衰粒子130は、容置部が満タンになるまで充填はしていないので、前記複数の減衰粒子130の体心位置Vから軸線Lまでの最短距離は、必ず、第一容置部111の中心位置Oから軸線Lまでの最短距離よりも大きいものとなる。上述の内容に基づけば、複数の減衰粒子130を充填したそれぞれの第一容置部111に対し、生じ得る慣性力を別個に算出することができる。
【0040】
よって、第一構造ユニット110が生じる慣性力Fは、第一構造ユニット110におけるすでに複数の減衰粒子130を充填した全ての第一容置部111が生じる慣性力の総和であると理解できる。よって、複数の減衰粒子130を充填したそれぞれの第一容置部111に対し、生じる慣性力を別個に算出した後、数学のベクトル方程式を通じて総和を計算することで、第一構造ユニット110が構造ユニットの質量中心M箇所で生じる慣性力Fを獲得できる。ゆえに、各第一容置部111内ごとに、充填される複数の減衰粒子130の総質量がそれぞれ異なることから、第一構造ユニット110の構造ユニットの質量中心Mの位置、及びそれが生じる慣性力Fの大きさを変化させることができ、結果として所望の動釣合を達することが可能となる。同じ原理をもって、第二構造ユニット120にも同様の方法を採用した調整が行える。
【0041】
下では、図1、及び図3乃至図5を合わせて参照されたい。図3は、本発明による動釣合装置の実験群C及び統制群A、Bに構造ユニットを採用した際の断面図である。図4は、本発明による動釣合装置における実験群C及び統制群A、Bの回転子の質量中心の径方向加速度の時間域の結果についての比較図である。図5は、本発明による動釣合装置における実験群C及び統制群A、Bの回転子の質量中心の径方向変位の軌跡についての比較図である。以下の実験では、図1に示す通りの偏心質量を有する回転子300に、本発明による動釣合装置の第一構造ユニット110及び動釣合装置の第二構造ユニット120を結合したものを基礎装置として採用し、また複数の減衰粒子130を変数とする。図1及び図3に示すように(そのうち、図3は第一構造ユニット110のみを例として表示しており、第二構造ユニット120にも同様の設計を採用するものとする)、まず、第一構造ユニット110の全ての第一容置部111及び第二構造ユニット120の全ての第二容置部121内の、いずれにも減衰粒子130が充填されないことを条件として統制群Aを定義し、次に、第一構造ユニット110の全ての第一容置部111及び第二構造ユニット120の全ての第二容置部121内に、いずれも同じ総質量の複数の減衰粒子130を充填することを条件として統制群Bを定義し、そして、第一構造ユニット110の全ての第一容置部111及び第二構造ユニット120の全ての第二容置部121内に、完全に同じではない総質量の複数の減衰粒子130を充填することを条件として実験群Cを定義することで、回転子の回転運動時における、回転子の質量中心の径方向加速度及び変位の数値をシミュレーション並びに計測する。
【0042】
図4に示すように、実験データから下のことが分かる。統制群Aの質量中心の径方向加速度は、およそ2~14.5m/sの間となり、且つ数値変化がかなり大きく不安定であった。統制群Bの質量中心の径方向加速度は、およそ1~8.5m/sの間となり、且つ数値変化が大きめで、やや不安定であった。実験群Cの質量中心の径方向加速度は、およそ3m/s以下で維持された。このことからわかるように、各構造ユニットの複数の前記容置部内に、総質量が異なる複数の減衰粒子130を充填すると、各構造ユニットの構造ユニットの質量中心の偏移により、回転子の質量中心の偏移が生じる慣性力及び慣性モーメントを相殺した後、回転子の質量中心の径方向加速度の数値が顕著に減少し、効果的に回転子の回転運動時における動釣合が維持される。
【0043】
また図5に示すように、実験データから下のことが分かる。統制群A及び統制群Bの質量中心の径方向変位はおよそ350~400nmの間となり、実験群Cの質量中心の径方向変位はおよそ40~80nmの間となった。このことからわかるように、各構造ユニットの複数の前記容置部内に、総質量が異なる複数の減衰粒子130を充填すると、各構造ユニットの構造ユニットの質量中心の偏移により、回転子の質量中心の偏移が生じる慣性力及び慣性モーメントを相殺した後、回転子の質量中心の径方向変位の数値が顕著に減少し、効果的に回転子の回転運動時における動釣合が維持される。
【0044】
続いて、図6、即ち本発明による動釣合装置の第一構造ユニットの別の実施例を示す図を参照する。図6に示すように、本実施例において、第一構造ユニット110の全体は、回転軸310の軸線Lを基にして対称的構造を呈する。第一構造ユニット110の中心部位は、回転軸310を貫通させる貫通孔112を備えることで、回転軸310上に設置される。第一構造ユニット110は、単一の第一容置部111のみを含み、且つ第一容置部111の外形は、貫通孔112を円心として形成される環状空間の部分的な区域に基づいている。要するに、第一容置部111の貫通孔112に最接近する側と、貫通孔112から最も離れた側は、貫通孔112を円心とした円弧状の側辺を共に形成する。複数の減衰粒子130が第一容置部111に充填することで、第一構造ユニット110の構造ユニットの偏移位置及び総質量を、予め設定した水準まで来させた後、前述した第一容置部111の外形を通じて、回転子の回転運動ルートに更に順応させたうえで、複数の減衰粒子130の比較的大きな衝突面積を提供し、振動軽減、騒音低減の効果を達成する。勿論、異なる設計をニーズによる変化が可能で、本実施例の第一構造ユニット110は複数個の第一容置部111の設置が可能で、且つ各第一容置部111の設置位置は任意調整でき、例えば、各第一容置部111の貫通孔112からの最短距離が異なる形態にしてもよい。
【0045】
そして、図7、即ち本発明による動釣合装置の第一構造ユニットの更に別の実施例を示す図を参照する。図7に示すように、本実施例において、第一構造ユニット110の全体は、回転軸310の軸線Lを基にして非対称的構造を呈する。第一構造ユニット110は、回転軸310を貫通させる貫通孔112を備えることで、回転軸310上に設置される。第一構造ユニット110は、単一の第一容置部111のみを含み、且つ第一容置部111及び第一構造ユニット110の主な構造が、貫通孔112とは異なるもう一方の側に集中的に設置されることで、第一構造ユニット110の外輪郭が指輪状の構造を形成する。ここでは、第一容置部111に円孔構造を採用したうえで、複数の減衰粒子130が第一容置部111に充填されることで、第一構造ユニット110の構造ユニットの質量中心の偏移位置及び総質量を、予め設定した水準まで来させた後、第一構造ユニット110を簡易な差し込み方式にすることで、回転軸310上の予め設定した位置へと機動的に取りつけ、回転子を備える各種設備への広範な応用を達成する。
【0046】
この他、本発明による動釣合装置は、製造と組み立ての容易さ、体積の小ささ、元々の構造を変動させる程度の小ささ、そして製造コストの少なさといった利点を備える。
【0047】
以上をまとめれば、本発明による動釣合装置は、回転子の質量中心の偏移状態に基づき、各構造ユニットに相応する一つのまたは複数個の容置部に、所要の質量による複数の減衰粒子130を充填することで、各構造ユニットに質量中心の偏移を生じさせて、回転子が回転運動する際の動釣合を達成する。これ以外に、複数の減衰粒子が回転子の回転運動に従って移動することで摩擦と衝突を生じるので、振動軽減、騒音低減の効果を達成する。
【0048】
発明は当業者であれば諸般の修飾が可能であるが、いずれも後付の特許請求の範囲の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
100 動釣合装置
110 第一構造ユニット
111 第一容置部
112 貫通孔
120 第二構造ユニット
121 第二容置部
130 減衰粒子
300 回転子
310 回転軸
L 軸線
P1 独立平面
P2 独立平面
M 構造ユニットの質量中心
V 体心位置
O 中心位置
F 慣性力
A 統制群
B 統制群
C 実験群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7