(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】ローラチェーン
(51)【国際特許分類】
B65G 17/38 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
B65G17/38 J
(21)【出願番号】P 2021138978
(22)【出願日】2021-08-27
【審査請求日】2021-08-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000240938
【氏名又は名称】片山チエン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】片山 惠嗣
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-156114(JP,U)
【文献】特開2007-153559(JP,A)
【文献】実公平05-011212(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する二枚の内リンクプレート(5,5)と、
前記内リンクプレート(5,5)間を結ぶ筒状の支軸(4)と、
前記支軸(4)内にそれぞれ挿通されるピン(7)と、
前記内リンクプレート(5,5)の外側にそれぞれ配置され前記ピン(7)の両端に固定される外リンクプレート(8,8)と、
前記内リンクプレート(5,5)間で前記支軸(4)の外周に相対回転可能に挿通される筒状のブッシュ(12)と、
前記ブッシュ(12)の外周に
一体に設けられた搬送ローラ(11)と、
前記搬送ローラ(11)の軸方向両側において前記ブッシュ(12)の外周に取り付けられる走行ローラ(13)と、
を備え、
前記走行ローラ(13)は、軸方向で前記搬送ローラ(11)と対向する一端面に凸部(13g、13h)が設けられ、
前記搬送ローラ(11)は、軸方向の両端面に前記走行ローラ(13)の他端部が挿入不能、かつ前記凸部(13g、13h)が挿入可能な凹部(11d)が設けられており、
前記走行ローラ(13)が、前記凸部(13g,13h)を前記搬送ローラ(11)の前記凹部(11d)に挿入した状態で、前記ブッシュ(12)の外周に相対回転可能に挿通され
、
前記凸部(13g,13h)は、前記走行ローラ(13)を軸方向逆向きに組み付けた場合に前記内リンクプレート(5,5)が前記支軸(4)に組み付けできない形状であるローラチェーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品搬送用のコンベヤ等に使用されるローラチェーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から物品搬送用のローラコンベヤに使用されているローラチェーンとして、例えば、特許文献1に記載の増速ローラチェーンがある。
【0003】
このローラチェーンは、
図13に示すように、搬送物である物品をチェーンの走行速度よりも早い速度で搬送できるように、大径の搬送ローラ1を回転可能に保持する支軸4に、その搬送ローラ1を軸方向両側から挾むように小径の走行ローラ3を取り付けている。
【0004】
支軸4の両端はそれぞれ左右一対の内リンクプレート5,5の孔5a,5aに支持されており、対向する二枚の内リンクプレート5,5間を二本の支軸4,4が結んで矩形の枠状に構成されている。また、支軸4内にはピン7が挿通され、このピン7の両端が左右一対の外リンクプレート8,8の孔8a,8aに挿通されている。さらに、ピン7の両端は外リンクプレート8の外側で素材の塑性変形によりカシメられて、あるいは、ピン7の両端に止め輪が装着されて、外リンクプレート8に抜け止めされている。
【0005】
この構造で内外リンクプレート5,8が長手方向に順次連結される。ピン7と支軸4とが軸周り相対回転することにより、内外リンクプレート5,8同士が支軸4の軸周りに屈曲するようになる。そして、長手状に連結されたチェーンの長手方向両端部同士が連結されて、環状のローラチェーンを構成する。ローラチェーンの使用状態では、走行ローラ3が固定のレール上に載置され、ローラチェーンを長手方向へ走行させると走行ローラ3が軸周り回転する。搬送物は、回転する搬送ローラ1上を長手方向に移動していく。
【0006】
また、例えば、
図14(a)(b)に示すように、搬送ローラ1をその軸心に挿通される筒状のブッシュ2と一体に形成し、搬送ローラ1の両端面から突出するブッシュ2の両端部の外周にそれぞれ走行ローラ3を軸周り回転自在に挿通したタイプのローラチェーンもある。なお、搬送ローラ1の両端面には、軽量化のために環状の凹部1aが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のローラチェーンでは、
図13に示すように、搬送ローラ1、走行ローラ3、支軸4、内リンクプレート5、外リンクプレート8を組み付けて、それを長手方向へ順次連結していき、ローラチェーンを組み立てている。しかし、従来から、部品点数、部品種別が極端に多く、且つ、複雑な作業を伴うローラチェーンの組立工程においては、その途中で搬送ローラ1の軸方向両側に走行ローラ3を組み付ける際に、その走行ローラ3を誤って軸方向逆向きに組み立ててしまうような事態(以下、「誤組み」と称する。)が発生する場合がある。走行ローラ3は、軸方向に対して非対称の形状であり、通常は、搬送ローラ1側に向く面に外径側へ突出するフランジを有する場合が多い。
【0009】
このような誤組みが発生すると、ローラチェーンを分解して再度部品を組み付ける必要があるので、作業時間や作業コストの面で多大な影響がある。また、ローラチェーンを大量に組み立てる作業環境下では、誤組みを完全に防止するのは、逆に作業工程の増加や作業時間の延長に繋がり、コスト高にも影響する。
【0010】
そこで、この発明の課題は、ローラチェーンにおいて、搬送ローラの軸方向両側に取り付けられる走行ローラの誤組みを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、この発明は、対向する二枚の内リンクプレートと、前記内リンクプレート間を結ぶ筒状の支軸と、前記支軸内にそれぞれ挿通されるピンと、前記内リンクプレートの外側にそれぞれ配置され前記ピンの両端に固定される外リンクプレートと、前記内リンクプレート間で前記支軸の外周に相対回転可能に挿通される筒状のブッシュと、前記ブッシュの外周に取り付けられる搬送ローラと、前記搬送ローラの軸方向両側において前記ブッシュの外周に取り付けられる走行ローラと、を備え、前記走行ローラは、軸方向で前記搬送ローラと対向する一端面に凸部が設けられ、前記搬送ローラは、軸方向の両端面に前記走行ローラの他端部が挿入不能、かつ前記凸部が挿入可能な凹部が設けられており、前記走行ローラが、前記凸部を前記搬送ローラの前記凹部に挿入した状態で、前記ブッシュの外周に相対回転可能に挿通されているローラチェーンの構成を採用した。
【0012】
また、この発明は、上記とは別に、対向する二枚の内リンクプレートと、前記内リンクプレート間を結ぶ筒状の支軸と、前記支軸内にそれぞれ挿通されるピンと、前記内リンクプレートの外側にそれぞれ配置され前記ピンの両端に固定される外リンクプレートと、前記内リンクプレート間で前記支軸の外周に相対回転可能に挿通される筒状のブッシュと、前記ブッシュの外周に取り付けられる搬送ローラと、前記搬送ローラの軸方向両側において前記ブッシュの外周に取り付けられる走行ローラと、を備え、前記ブッシュは、その軸方向中央の搬送ローラ支持部の位置で2つのブッシュ片に分割され、前記各走行ローラは、軸方向で前記搬送ローラと対向する一端面から前記ブッシュ片を突出させた状態で、前記ブッシュ片と一体化されており、前記各ブッシュ片が、前記搬送ローラの内周に相対回転可能に挿入されているローラチェーンの構成を採用した。
【0013】
上記のいずれかの構成によれば、ローラチェーン組立作業において支軸にローラユニットを組み付ける際に、走行ローラを軸方向逆向きに組み付けると、走行ローラと一体化されたブッシュ片または走行ローラの凸部が軸方向外側に突出するので、ローラチェーン組立作業の初期において、内リンクプレートが組み付けられず、走行ローラの組付方向の手直しが行われることになる。このため、組立後のローラチェーンにおける走行ローラの誤組みの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、上述のように、ローラチェーンにおいて、走行ローラの誤組みを簡単かつ確実に防止することができる。したがって、ローラチェーン組立後の走行ローラの誤組みによる分解、再組立をなくすことができ、ローラチェーンの組立作業全体における作業時間や作業コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の第1の実施形態を示すローラユニットの斜視図
【
図3】
図1のローラユニットを用いたローラチェーンの断面図
【
図6】
図3に対応して一方の走行ローラが軸方向逆向きに組み付けられた状態を示す断面図
【
図7】この発明の第2の実施形態を示すローラユニットの斜視図
【
図9】
図7のローラユニットを用いたローラチェーンの断面図
【
図10】
図9に対応して一方の走行ローラが軸方向逆向きに組み付けられた状態を示す断面図
【
図11】
図7のローラユニットの変形例を示す断面図
【
図12】
図11に対応して一方の走行ローラが軸方向逆向きに組み付けられた状態を示す断面図
【
図14】他の従来例のローラチェーンの搬送ローラ及び走行ローラを示し、(a)は分解斜視図、(b)は断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の実施形態を
図1~
図12に基づいて説明する。この実施形態は、搬送物である各種物品をチェーンの走行速度よりも早い速度で搬送できるようにする増速ローラチェーン(以下、単にローラチェーンと称する。)、及び、そのローラチェーンに用いられるローラユニットに関するものである。
図1~
図5は第1の実施形態を示す。
【0017】
ローラチェーンの構成は、
図3~
図5に示すように、対向する二枚の内リンクプレート5,5と、内リンクプレート5,5間を結ぶ筒状の支軸4と、支軸4内にそれぞれ挿通されるピン7と、内リンクプレート5,5の外側にそれぞれ配置されピン7の両端に固定される外リンクプレート8,8と、内リンクプレート5,5間で支軸4の外周に取り付けられるローラユニット10とを備えている。
【0018】
ローラユニット10は、
図1、
図3に示すように、内リンクプレート5,5間で支軸4の外周に相対回転可能に挿通される筒状のブッシュ12と、ブッシュ12の外周に取り付けられる搬送ローラ11と、搬送ローラ11の軸方向両側においてブッシュ12の外周に取り付けられる走行ローラ13とを備えている。
【0019】
ブッシュ12は、
図2、
図3に示すように、その軸方向中央部が搬送ローラ11を取り付けられる搬送ローラ支持部12bとなっている。搬送ローラ支持部12bの外周は円筒面である。そして、その搬送ローラ支持部12bの軸方向中央で2つのブッシュ片12a,12aに分割されており、各ブッシュ片12aがそれぞれ後述するように走行ローラ13と一体に形成されている。
【0020】
搬送ローラ11は、
図2、
図3に示すように、その軸心にブッシュ12を挿通するための孔11aを有する環状部材である。搬送ローラ11の外周11bは、搬送物に接する円筒面である。また、搬送ローラ11の軸方向両側の端面11c,11cは、それぞれ軸方向に直交する面方向を有するフラット面である。軸方向両側の端面11cには、軽量化のために、軸周り全周に亘る環状の凹部11dが設けられている。孔11a内にブッシュ12の搬送ローラ支持部12bが挿通されるようになっている。ここで、孔11aの内周は円筒面であり、孔11aの内周の円筒面と搬送ローラ支持部12bの外周の円筒面との間に微小な隙間を介在している。このため、搬送ローラ11はブッシュ12に対して軸周り相対回転可能である。
【0021】
走行ローラ13は、
図2、
図3に示すように、その軸心にブッシュ片12aを挿通し、軸方向で搬送ローラ11と対向する一端面13cからブッシュ片12aの搬送ローラ支持部12bを突出させた状態で、ブッシュ片12aと一体に形成されている環状部材である。走行ローラ13の外周13bは、搬送ローラ11の外周よりも小径の円筒面であり、固定のレール6に接するようになっている。その外周13bの円筒面の一端部には、外径側へ突出するフランジ部13fが設けられている。また、走行ローラ13の一端面13cは、軸方向に直交する面方向を有するフラット面である。
【0022】
また、一体形成された走行ローラ13とブッシュ片12aは、
図1~
図3に示すように、ブッシュ片12aの搬送ローラ支持部12bが搬送ローラ11の内周に相対回転可能に挿入され、走行ローラ13の一端面13cが搬送ローラ11の端面11cに摺接する状態で、搬送ローラ11とともにローラユニット10として支軸4に組み付けられるようになっている。
【0023】
そして、ローラチェーンの使用状態では、
図3に示すように、走行ローラ13が固定のレール6上に載置され、ローラチェーンを長手方向へ走行させると、走行ローラ13が軸周り回転して、搬送物が回転する搬送ローラ11上を長手方向に移動していくようになっている。
【0024】
ここで、ブッシュ12及び走行ローラ13を構成する樹脂素材は、この実施形態ではポリアセタールコポリマー(polyacetal polyoxy methylene/POM)を採用しているが、これ以外にも種々のエンジニアプラスチックを採用することができる。一方、搬送ローラ11を構成する樹脂素材としては、ナイロン(PA66)を採用している。
【0025】
次に、このローラチェーンの組み立て方法について説明する。ローラチェーンを組み立てる際には、まず、ローラユニット10のブッシュ12内に筒状の支軸4を挿通し(第1工程)、支軸4の軸方向両端にそれぞれ内リンクプレート5,5を取り付ける(第2工程)。
【0026】
ここで、筒状の支軸4は、対向する二枚の内リンクプレート5,5間を結ぶように二本並列して設けられており、各内リンクプレート5には、それぞれ対の孔5a,5aが設けられている。そして、上記第2工程では、対向する二枚の内リンクプレート5,5間を結ぶ二本の支軸4のうち、一方の支軸4の一端を、一側の内リンクプレート5に形成した孔5aに圧入して不動に固定する。また、その他端を、対側の内リンクプレート5に形成した孔5aに圧入して不動に固定する。なお、第1工程と第2工程とは密接に連携しているので、例えば、第2工程の一部作業(支軸4の一端を孔5aに圧入する作業等)を行った後に、第1工程の作業(ブッシュ12内に支軸4を挿通する作業)を行い、その後、残りの第2工程の作業(支軸4の他端を孔5aに挿入する作業等)を行ってもよい。
【0027】
続いて、支軸4内にピン7を挿通し(第3工程)、内リンクプレート5,5の外側でピン7の軸方向両端にそれぞれ外リンクプレート8,8を取り付ける(第4工程)。その第4工程では、ピン7が左右一対の外リンクプレート8,8に掛け渡されて、各外リンクプレート8の孔8a内に挿通されたピン7の軸方向両端が、外リンクプレート8の外側でカシメられて、ピン7が外リンクプレート8に対して抜け止めされる。
【0028】
このような作業をローラチェーンの長手方向に沿って順次行っていき、所定の長さのローラチェーンが組み立てられる。なお、ローラチェーンの使用時には、長手状に連結されたローラチェーンの長手方向両端部同士が連結されて、環状のローラチェーンが構成される。
【0029】
この発明の第1の実施形態では、上述のように、ローラユニット10として、搬送ローラ11と、搬送ローラ支持部12bの位置で2つのブッシュ片12a,12aに分割された筒状のブッシュ12と、各ブッシュ片12aのそれぞれと一体に形成された対の走行ローラ13,13とを備え、ブッシュ片12aの搬送ローラ支持部12bを搬送ローラ11の内周に挿入する構成のものを採用している。
【0030】
このため、
図6に示すように、ローラチェーン組立作業において、第1工程で支軸4にローラユニット10を組み付ける際に、仮に走行ローラ13が軸方向逆向きに組み付けられると、走行ローラ13と一体化されたブッシュ片12aの搬送ローラ支持部12bが軸方向外側に突出した形態となるので、第2工程において内リンクプレート5が支軸4に組み付けられず、走行ローラ13の組付方向の手直しが行われることになる。これにより、組立後のローラチェーンにおける走行ローラ13の誤組みの発生を確実に防止することができる。
【0031】
なお、図示は省略するが、この第1の実施形態においては、走行ローラ13とブッシュ片12aを別体で形成し、走行ローラ13の内周にブッシュ片12aの搬送ローラ支持部12bを除く部位を圧入して一体化するようにしてもよい。
【0032】
この発明の第2の実施形態を
図7~
図9に示す。発明の主たる構成は第1の実施形態と同様であるので、以下、その差異を中心に説明する。
【0033】
第2の実施形態のローラユニット10は、搬送ローラ11とブッシュ12とが一体に形成されており、走行ローラ13は軸方向で搬送ローラ11と対向する一端面の内周部に環状の凸部13gが設けられている。また、その搬送ローラ11の軸方向の両端面に設けられる環状の凹部11dは、軽量化を図るとともに走行ローラ13の誤組みを防止するために、走行ローラ13の他端部が挿入不能、かつ走行ローラ13の凸部13gが挿入可能なものとされている。そして、走行ローラ13が、その凸部13gを搬送ローラ11の凹部11dに挿入した状態で、搬送ローラ11の両端面から突出するブッシュ12の両端部の外周に相対回転可能に挿通されている。
【0034】
この第2の実施形態でも、
図10に示すように、ローラチェーン組立作業の第1工程で、仮に走行ローラ13が支軸4に軸方向逆向きに組み付けられると、走行ローラ13の凸部13gが軸方向外側に突出した形態となるので、第2工程において、内リンクプレート5が支軸4に組み付けられず、走行ローラ13の組付方向の手直しが行われることになり、走行ローラ13の誤組みの発生を確実に防止することができる。
【0035】
図11は搬送ローラ11の凹部11d及び走行ローラ13の変形例を示す。この変形例では、搬送ローラ11の両端面の凹部11dを外径側へ移して径方向に広げるとともに、走行ローラ13の一端面に、周方向の1箇所から突出して外周縁から内周縁近傍まで径方向に延びる凸部13hを設けている。このようにしても、
図12に示すように、仮に走行ローラ13が支軸4に軸方向逆向きに組み付けられると、内リンクプレート5が支軸4に組み付けられなくなるので、
図7~
図9の例と同様に、走行ローラ13の誤組みを防止できる。
【0036】
なお、図示は省略するが、この第2の実施形態においては、搬送ローラ11とブッシュ12を別体で形成し、搬送ローラ11の内周にブッシュ12の搬送ローラ支持部12bを圧入して一体化するようにしてもよい。
【0037】
また、上記の変形例をさらに変形して、搬送ローラ11の両端面の凹部11dを周方向に沿って断続的に、あるいは、周方向の1箇所のみに設けるようにすることもできる。ただし、搬送ローラ11の軽量化の点では、搬送ローラ11の凹部11dは全周に亘って連続的に設けることが望ましい。
【0038】
この発明は、上記各実施形態のような増速ローラチェーン以外の各種のローラチェーンにも、もちろん適用が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 搬送ローラ
2 ブッシュ
3 走行ローラ
4 支軸
5 内リンクプレート
6 レール
7 ピン
8 外リンクプレート
10 ローラユニット
11 搬送ローラ
11d 凹部
12 ブッシュ
12a ブッシュ片
12b 搬送ローラ支持部
13 走行ローラ
13g,13h 凸部
【要約】
【課題】ローラチェーンにおいて、搬送ローラの軸方向両側に取り付けられる走行ローラの誤組みを防止する。
【解決手段】対向する二枚の内リンクプレート5,5が支軸4で結ばれ、支軸4内に挿通されるピン7の両端に外リンクプレート8,8が固定され、支軸4の外周に相対回転可能に挿通されるブッシュ12の外周に、搬送ローラ11と2つの走行ローラ13が取り付けられるローラチェーンであって、走行ローラ13は、軸方向で搬送ローラ11と対向する一端面に凸部13gが設けられ、搬送ローラ11は、ブッシュ12と一体に形成され、軸方向の両端面に走行ローラ13の他端部が挿入不能、かつ凸部13gが挿入可能な凹部11dが設けられており、走行ローラ13が、凸部13gを搬送ローラ11の凹部11dに挿入した状態で、ブッシュ12の外周に相対回転可能に挿通されているローラチェーンとした。
【選択図】
図9