IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大阪シーリング印刷株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】帯掛け包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 11/10 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
B65B11/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019556511
(86)(22)【出願日】2017-12-01
(86)【国際出願番号】 JP2017043273
(87)【国際公開番号】W WO2019106825
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】石塚 昭範
(72)【発明者】
【氏名】岸本 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】柴尾 賢一
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-085955(JP,A)
【文献】登録実用新案第3125847(JP,U)
【文献】特開2014-234173(JP,A)
【文献】特開平08-164911(JP,A)
【文献】特開2002-330692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 11/10
B65B 11/20
B65B 11/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を包装処理位置に向けて搬送する物品搬入機構と、
帯状のフィルム片を、前記包装処理位置にある前記物品の上へ搬送するフィルム片搬送機構と、
前記包装処理位置において、前記物品の上に搬送された前記フィルム片を前記物品に押付けると共に、前記フィルム片の両端側部分を押し下げるフィルム片押付け機構と、
押し下げられた前記フィルム片の両端部を、前記物品の底面に巻き付けて貼着するフィルム片貼着機構と、
前記フィルム片が巻きつけ貼着された前記物品を、前記包装処理位置から搬出する物品搬出機構と、
前記物品搬入機構と前記物品搬出機構との間で、搬送されてきた前記物品を、下方から受止め支持して中継する中継機構と、
を備え、
前記包装処理位置が、前記物品搬入機構と前記物品搬出機構との間に設定されており、
前記中継機構は、前記包装処理位置にある前記物品を、該物品の搬送方向に直交する幅方向の中央部で受止め支持することにより、当該物品は、前記受止め支持状態では、当該物品の幅方向の中央部の下方以外が開放された空間となって、前記物品搬入機構と前記物品搬出機構とのいずれにも支持されない
帯掛け包装装置。
【請求項2】
前記中継機構は、前記物品を搬送する中継用ベルトコンベヤを備えており、
前記中継用ベルトコンベヤは、前記幅方向の前記中央部を支持する幅狭の搬送ベルトを有する、
請求項1に記載の帯掛け包装装置。
【請求項3】
前記物品搬出機構は、搬出用ベルトコンベヤを備えており、
前記中継用ベルトコンベヤは、前記幅狭の前記搬送ベルトが前記搬出用ベルトコンベヤのプーリに巻掛けられて、前記搬出用ベルトコンベヤによって駆動される、
請求項2に記載の帯掛け包装装置。
【請求項4】
前記物品搬入機構は、搬入用ベルトコンベヤを備えており、
前記搬入用ベルトコンベヤと前記中継用ベルトコンベヤとの間には、前記物品を下方から受止め支持する支持板が設けられている、
請求項3に記載の帯掛け包装装置。
【請求項5】
前記フィルム片押付け機構は、自重でフィルム片を物品の上面に押し付ける上面押圧部材と、該上面押圧部材によって前記物品の上面に押し付けられた前記フィルム片の両端側部分を、前記物品の両側面に沿って押し下げる側部押圧部材とを備える、
請求項2ないし4のいずれか一項に記載の帯掛け包装装置。
【請求項6】
前記フィルム片押付け機構は、昇降する支持ブラケットを備え、
前記側部押圧部材は、前記支持ブラケットに連結固定されており、
前記上面押圧部材は、前記支持ブラケットに自重によって上下動可能に支持されており、
前記上面押圧部材は、前記支持ブラケットの下降に伴って前記側部押圧部材より先行して前記物品の上面に接近する、
請求項5に記載の帯掛け包装装置。
【請求項7】
前記フィルム片押付け機構の前記上面押圧部材は、前記フィルム片を、前記物品の上面の前記幅方向の両側に押し付ける、
請求項5に記載の帯掛け包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状のフィルム片を物品に巻掛けて貼着する帯掛け包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記帯掛け包装装置としては、例えば、特許文献1,2に示されているように、フィルム片搬送機構で把持して所定位置まで搬送した帯状のフィルム片を、把持の解除によって物品の上に供給し、その後、物品搬送装置の搬入ベルトと上部搬送ベルトとによって、物品とその上に載置されたフィルム片とを、上下で挟持して包装処理位置まで搬送するようにしたものが本出願人によって提案されている。
【0003】
上記特許文献1の帯掛け包装装置では、図24の概略側面図に示されるように、前記包装処理位置Pが、前記搬入ベルト10の終端と搬出ベルト11の始端との間に設定されている。フィルム片(図示せず)が載置された物品wが、矢符Aで示されるように、搬入ベルト10と上部搬送ベルト12とによって上下で挟持されて包装処理位置Pまで搬送されると、搬出ベルト11及び上部搬送ベルト12による搬送が停止される。
【0004】
この包装処理位置Pの上方には、図25の概略正面図に示されるように、フィルム片fの左右のはみ出し部分を、下方へ押し下げる一対の押付け部材42を有するフィルム片押付け機構が設けられている。また、包装処理位置Pの下方には、左右に移動可能な一対の貼着部材62を有するフィルム片貼着機構が設けられている。
【0005】
搬入ベルト10の終端と搬出ベルト11の始端との間の包装処理位置Pに停止している物品wに対して、図26に示されるように、左右の押付け部材42が降下して、物品wから左右外方にはみ出ているフィルム片fの両端側部分が下方に押され、物品wの両側面に沿って押し下げられる。
【0006】
次いで、図27に示すように、左右の貼着部材62が水平に進出して物品wの下方に入り込む貼着作用位置まで移動する。これによって、物品wより下方にまで垂れ下がっているフィルム片fは、貼着部材62で押されて物品wの底面に巻き掛けられ、フィルム片両端の糊付け部が物品wの底面に弾性的に押圧されて貼着される。
【0007】
フィルム片fの巻き掛け貼着が完了すると、搬出ベルト11及び上部搬送ベルト12による搬送が開始され、帯掛け包装された物品wは搬出される。
【0008】
このようにフィルム片fが載置された物品wが、搬入ベルト10の終端と搬出ベルト11の始端とに跨った状態、すなわち、物品wの両側面と底面とが露出した状態で、フィルム片fの両端側部分を下方に押し下げ、押し下げられたフィルム片fの両端部を、物品wの底面に押圧して貼着するので、効率的に帯掛け包装を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2015-74467号公報
【文献】特開2015-85955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の帯掛け包装装置では、物品wとその上に供給されたフィルム片fとを、上下で挟持して包装処理位置Pまで搬送するために、上部搬送ベルト12を必要とし、設備コストが高くつくきらいがあった。
【0011】
そこで、上部搬送ベルト12を省略することが考えられるが、上部搬送ベルト12を無くすと、物品wを上下で挟持して搬送できないために、物品wが、包装処理位置Pである搬入ベルト10の終端と搬出ベルト11の始端と間に至ると、水平な状態を維持できず傾き、物品wの先端部が、前記両ベルト10,11間の間隙に落ち込んで搬送できなくなってしまう。
【0012】
また、搬送方向に沿う長さが短い物品wでは、包装処理位置Pにおいて、搬入ベルト10の終端の上、及び、搬出ベルト11の始端の上に載っている部分が短くなるために、上部搬送ベルト12が無いと、包装処理が完了した後に、搬入ベルト10及び搬出ベルト11を駆動しても、物品wがベルト10,11上でスリップして包装処理位置Pから搬出できない場合がある。
【0013】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、物品を上下で挟持することなく円滑に搬送して、安定した帯掛け包装が行える帯掛け包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0015】
(1)本発明に係る帯掛け包装装置は、物品を包装処理位置に向けて搬送する物品搬入機構と、帯状のフィルム片を、前記包装処理位置にある前記物品の上へ搬送するフィルム片搬送機構と、前記包装処理位置において、前記物品の上に搬送された前記フィルム片を前記物品に押付けると共に、前記フィルム片の両端側部分を押し下げるフィルム片押付け機構と、押し下げられた前記フィルム片の両端部を、前記物品の底面に巻き付けて貼着するフィルム片貼着機構と、前記フィルム片が巻きつけ貼着された前記物品を、前記包装処理位置から搬出する物品搬出機構と、前記物品搬入機構と前記物品搬出機構との間で、搬送されてきた前記物品を、下方から受止め支持して中継する中継機構と、を備え、
前記包装処理位置が、前記物品搬入機構と前記物品搬出機構との間に設定されており、
前記中継機構は、前記包装処理位置にある前記物品を、該物品の搬送方向に直交する幅方向の中央部で受止め支持することにより、当該物品は、前記受止め支持状態では、当該物品の幅方向の中央部の下方以外が開放された空間となって、前記物品搬入機構と前記物品搬出機構とのいずれにも支持されない。
【0016】
本発明の帯掛け包装装置によると、物品搬入機構によって包装処理位置に搬入された物品の上に、フィルム片搬送機構によって、帯状のフィルム片が搬送される。次に、フィルム片押付け機構によって、物品の上に搬送されたフィルム片を物品に押し付けると共に、フィルム片の両端側部分を押し下げ、押し下げられたフィルム片の両端部を、フィルム片貼着機構によって、物品の底面に巻き付けて貼着する。帯掛け包装が完了すると、物品は物品搬出機構によって包装処理位置から搬出される。
【0017】
包装処理位置である、物品搬入機構と物品搬出機構との間では、中継機構によって、搬送される物品が下方から受止め支持されるので、従来のように物品を上下で挟持して搬送しなくても、物品搬入機構によって搬送されてくる物品の先端部が、物品搬入機構と物品搬出機構との間隙に落ち込むことなく、物品搬出機構への乗継が円滑に行われることになる。これによって、物品搬入機構と物品搬出機構との間の包装処理位置において、フィルム片押付け機構及びフィルム片貼着機構による帯掛け包装が行われる。
【0018】
また、物品搬入機構と物品搬出機構との間の中継機構は、物品を、該物品の幅方向の中央部で下方から受止め支持する、すなわち、物品を、その底面の幅方向の中央部で受止め支持するので、物品の底面の幅方向の中央部の下方以外を開放された空間とすることができる。この空間を利用して、フィルム片押付け機構による物品へのフィルム片の押し付け、フィルム片の両端側部分の押し下げ、及び、フィルム片貼着機構による押し下げられたフィルム片の両端部の物品底面への巻き付け貼着の各動作を、中継機構によって妨げられることなく、円滑に行うことができる。
【0019】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記中継機構は、前記物品を搬送する中継用ベルトコンベヤを備えており、前記中継用ベルトコンベヤは、前記幅方向の前記中央部を支持する幅狭の搬送ベルトを有する。
【0020】
この実施態様によると、中継用ベルトコンベヤによって、物品を搬送できるので、搬送方向に沿う長さが短い物品であっても、中継用ベルトコンベヤによって、物品搬入機構と物品搬出機構との間の包装処理位置に円滑に搬入、あるいは、包装処理位置から円滑に搬出することが可能となる。
【0021】
また、中継用ベルトコンベヤの搬送ベルトは、物品の底面の幅方向の中央部を受け止め支持して搬送する幅狭のベルトであるので、包装処理位置にある物品の底面の幅方向の両側部分は露出している。したがって、フィルム片貼着機構によって、フィルム片の両端部を、物品の底面の幅方向の両側部分に巻き付けて貼着する際の動作を妨げることがない。
【0022】
(3)本発明の他の実施態様では、前記物品搬出機構は、搬出用ベルトコンベヤを備えており、前記中継用ベルトコンベヤは、前記幅狭の前記搬送ベルトが前記搬出用ベルトコンベヤのプーリに巻掛けられて、前記搬出用ベルトコンベヤによって駆動される。
【0023】
この実施態様によると、中継機構の中継用ベルトコンベヤを、物品搬出機構の搬出用ベルトコンベヤによって駆動するので、中継用ベルトコンベヤを駆動するための専用の駆動機構が不要となり、構造を簡素化することができる。
【0024】
この実施態様では、中継用ベルトコンベヤの搬送ベルトが、搬出用ベルトコンベヤのプーリに巻掛けられているので、中継用ベルトコンベヤと搬出用ベルトコンベヤとの間には、間隙がなく、搬送方向に連続している。
【0025】
物品には、その底面が平坦ではなく、例えば、物品の幅方向に沿って延びる下方へ突出した突条部を有するものがある。この実施態様によると、中継用ベルトコンベヤと搬出用ベルトコンベヤとの間に間隙がないので、搬送される物品の底面の前記突条部が、中継用ベルトコンベヤと搬出用ベルトコンベヤとの間の間隙に嵌り込むといったことがなく、円滑に搬送される。
【0026】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記物品搬入機構は、搬入用ベルトコンベヤを備えており、前記搬入用ベルトコンベヤと前記中継用ベルトコンベヤとの間には、前記物品を下方から受止め支持する支持板が設けられている。
【0027】
この実施態様によると、搬入用ベルトコンベヤと中継用ベルトコンベヤとの間には、物品を下方から受止め支持する支持板が設けられているので、底面に突条部を有する物品であっても、支持板によって受止め支持され、搬入用ベルトコンベヤと中継用ベルトコンベヤとの間の間隙に、物品の底面の突条部が嵌り込むのを防止することができる。
【0028】
(5)本発明の一実施態様では、前記フィルム片押付け機構は、自重でフィルム片を物品の上面に押し付ける上面押圧部材と、該上面押圧部材によって前記物品の上面に押し付けられた前記フィルム片の両端側部分を、前記物品の両側面に沿って押し下げる側部押圧部材とを備える。
【0029】
この実施態様によると、物品の上に搬送されたフィルム片は、先ず上面押圧部材の自重で物品の上面に軽く押さえつけられ、波打つことなく物品の上面に沿った状態となる。次いで、物品の上面に押さえつけられたフィルム片の両端側部分が、側部押圧部材によって物品の両側面に沿って押し下げられる。この場合、物品の高さが変わっても自重下降する上面押圧部材による押圧力に変化はなく、押圧力が過大となったり、不足したりすることがない。
【0030】
(6)本発明の好ましい実施態様では、前記フィルム片押付け機構は、昇降する支持ブラケットを備え、前記側部押圧部材は、前記支持ブラケットに連結固定されており、前記上面押圧部材は、前記支持ブラケットに自重によって上下動可能に支持されており、前記上面押圧部材は、前記支持ブラケットの下降に伴って前記側部押圧部材より先行して前記物品の上面に接近する。
【0031】
この実施態様によると、単一の支持ブラケットを昇降させるだけで上面押圧部材を物品の上面に作用させ、その後、側部押圧部材を物品の両側面に沿って作用させることができ、両者を各別に駆動する場合に比べて駆動構造が簡単になる。
【0032】
(7)本発明の他の実施態様では、前記フィルム片押付け機構の前記上面押圧部材は、前記フィルム片を、前記物品の上面の前記幅方向の両側に押し付ける。
【0033】
中継用ベルトコンベヤの搬送ベルトは、物品の底面の中央部を支持して搬送する幅狭のベルトである。このため、この搬送ベルトに受止め支持された物品は、幅方向のバランスが安定しないものになる。しかし、この実施態様によると、フィルム片押付け機構の上面押圧部材が、物品の幅方向の両側において、フィルム片を介して物品を上方から押し付けるので、物品は、底面の中央部、及び、上面の幅方向の両側部分の三箇所による支持状態となり、その姿勢を安定に保持することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、物品搬入機構と物品搬出機構との間で、物品を中継する物品中継機構を備えているので、従来のように物品を上下で挟持して搬送しなくても、物品搬入機構によって搬送されてくる物品の先端部が、物品搬入機構と物品搬出機構との間隙に落ち込むことなく、物品搬出機構への乗継が円滑に行われることになる。
【0035】
また、中継機構は、物品の底面の幅方向の中央部を下方から受止め支持ものであるので、物品の底面の中央部の下方以外の空間を利用して、物品へのフィルム片の押し付け、フィルム片の両端側部分の押し下げ、及び、押し下げられたフィルム片の物品底面への巻き付け貼着の各動作を、円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は本発明の一実施形態の帯掛け包装装置の側面図である。
図2図2図1の帯掛け包装装置の概略平面図である。
図3図3図1の物品搬送機構における物品搬入機構の平面図である。
図4図4図1の物品搬送機構における中継機構を示す側面図である。
図5図5図1の物品搬送機構における中継機構を示す平面図である。
図6図6図1のフィルム片形成部及びフィルム片搬送機構を示す側面図である。
図7図7図1のフィルム片搬送機構の背面図である。
図8図8図1のフィルム片形成部及びフィルム片搬送機構を示す横断平面図である。
図9図9図1のフィルム片押付け機構の正面図である。
図10図10図1のフィルム片押付け機構の側面図である。
図11図11図1のフィルム片押付け機構の平面図である。
図12図12図1のフィルム片貼着機構の正面図である。
図13図13図1のフィルム片貼着機構における駆動構造の一部を示す平面図である。
図14図14図1のフィルム片貼着機構の斜視図である。
図15図15は帯掛け包装工程を示す正面図である。
図16図16は帯掛け包装工程を示す正面図である。
図17図17は帯掛け包装工程を示す正面図である。
図18図18は帯掛け包装工程を示す正面図である。
図19図19は帯掛け包装工程を示す正面図である。
図20図20は帯掛け包装工程を示す正面図である。
図21図21は帯掛け包装工程を示す正面図である。
図22図22は帯掛け包装した物品の斜視図である。
図23図23は他の実施形態の中継機構を示す概略側面図である。
図24図24は従来例の帯掛け包装装置の物品の搬送を示す側面図である。
図25図25は従来例の帯掛け包装工程を示す正面図である。
図26図26は従来例の帯掛け包装工程を示す正面図である。
図27図27は従来例の帯掛け包装工程を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態の帯掛け包装装置の側面図であり、図2は、その概略平面図である。
【0039】
この実施形態の帯掛け包装装置は、例えば、食品等を収納した蓋付きのパック容器などの物品wを帯掛け包装するものである。
【0040】
この帯掛け包装装置は、物品wを載置して図2の矢符Aで示される水平な搬送径路に沿って搬送する物品搬送機構1と、物品搬送径路の途中に設定された包装処理位置Pにおいて搬送されてきた物品wを位置決め保持する物品位置決め機構2と、連続した幅広の原反フィルムFを繰り出し供給するフィルム供給部3と、供給された原反フィルムFに印刷を施す印刷処理部4と、印刷処理された原反フィルムFを一定ピッチで切断して後述の帯状のフィルム片fを形成するフィルム片形成部5と、形成されたフィルム片fを、包装処理位置Pにおいて位置保持された物品wの上に供給するフィルム片搬送機構6と、物品wの上に供給されたフィルム片fの左右中央部を物品wの上面に押し付け、かつ、フィルム片fの両端側部分を下方に押し下げて物品wの両側面に沿って折り下げるフィルム片押付け機構7と、折り下げたフィルム片fの両端部を物品wの底面に巻き掛けて貼着するフィルム片貼着機構8とを備えている。
【0041】
なお、以下の説明においては、便宜上、物品wの搬送方向Aの上手(図1図2の左方)を前方、搬送方向Aの下手(図1,2の右方)を後方、搬送方向Aと水平に直交する方向を左右方向と呼称する。
【0042】
前記物品搬送機構1は、物品wを載置して後方の包装処理位置Pまで水平搬送する物品搬入機構1Aと、包装処理位置Pで帯掛け包装処理が済んだ物品wを、後方に水平搬送する物品搬出機構1Bとを備えている。この物品搬送機構1では、物品搬入径路と物品搬出径路とが一直線状に連なっている。
【0043】
物品搬入機構1Aは、モータ駆動される後方の駆動プーリ10と前方の従動プーリ11とに亘って幅広の搬送ベルト12を巻き掛けてなる搬入用のベルトコンベヤを備えている。物品搬出機構1Bは、モータ駆動される後方の駆動プーリ13と前方の従動プーリ14とに亘って幅広の搬送ベルト15を巻き掛けてなる搬出用のベルトコンベヤを備えている。
【0044】
物品搬入機構1Aのベルトコンベヤの終端と物品搬出機構1Bのベルトコンベヤの始端とは、フィルム片fの前後幅よりも大きい間隔をもって対向され、この間隔に包装処理位置Pが設定されている。この包装処理位置Pで物品wに対して帯掛け包装処理が行われる。
【0045】
この実施形態では、物品wを上下で挟持することなく円滑に搬送して、安定した帯掛け包装が行えるように、物品搬送機構1は、物品搬入機構1Aと物品搬出機構1Bとの間に配備された中継機構1Cを備えている。
【0046】
図4は、この中継機構1Cを示す側面図であり、図5は、その平面図である。
【0047】
この実施形態の中継機構1Cは、物品搬出機構1Bの従動プーリ14を駆動プーリとして、前方の従動プーリ16と下方のテンションプーリ17に亘って幅狭の搬送ベルト18を三点張りに巻き掛けてなる中継用のベルトコンベヤを備えている。
【0048】
ここで、物品搬出機構1Bの搬送ベルト15は、左右中央において分割されており、左右の分割ベルトが、従動プーリ14のガイド溝14aにそれぞれ係合されて左右方向の位置決めがなされている。これによって、左右の分割ベルトの間に、所定の小間隔が形成されている。そして、この左右中央の小間隔において、従動プーリ14に、中継機構1Cの幅狭の搬送ベルト18が巻き掛けられている。中継機構1Cの搬送ベルト18は、従動プーリ14のガイド溝14b、従動プーリ16のガイド溝16a及び、テンションプーリ17のガイド溝17aに係合されて、左右に位置決めされている。
【0049】
このように中継機構1Cの幅狭の搬送ベルト18は、左右中央に設けられ、ワークwの底面の左右の中央部を、下方から受止め支持して搬送する。この搬送ベルト18は、物品wの底面を支持する外周面が、左右に扁平なものとなっており、この扁平な外周面によって、物品wを支持する。
【0050】
この幅狭の搬送ベルト18の幅N1は、後述の図20の帯掛け包装工程を示す正面図に示される、ワークwに巻き掛けた状態におけるフィルム片fの両端間の距離L1を用いて、次のように規定することができる。
(搬送ベルト18の幅N1)≦(ワークwに巻き掛けた状態におけるフィルム片fの両端間の距離L1)
搬送ベルト18の幅N1の最大幅が、ワークwに巻き掛けた状態におけるフィルム片fの両端間の距離L1であれば、本発明の「フィルム片貼着機構」によって、フィルムfを、ワークwに貼り付ける際に、物品wの底面において、フィルム片fが巻掛けられない部分を、搬送ベルト18で支持することができる。
【0051】
あるいは、搬送ベルト18の幅N1は、前記距離L1、及び、図20に示されるロール状の貼着部材81の直径D1を用いて、次のように規定することができる。
【0052】
(搬送ベルト18の幅N1)≦(ワークwに巻き掛けた状態におけるフィルム片fの両端間の距離L1)-(貼着部材81の直径D1)
本発明の「フィルム片貼着機構」が、本実施形態のように、一対のロール状の貼着部材81を備え、各貼着部材81の直径をD1とする。この場合、各貼着部材81を、物品wの底面に巻掛けられたフィルム片fの両端にそれぞれ当接させた状態では、各貼着部材81は、フィルム片fの両端からそれぞれ半径(D1/2)分、合わせて直径(D1)分だけ、フィルム片fが巻掛けられていない内側の領域にはみ出すことになる。
【0053】
フィルム片fが巻掛けられていない内側の領域の幅は、ワークwに巻き掛けた状態におけるフィルム片fの両端間の距離L1であるので、搬送ベルト18の幅N1の最大幅は、前記距離L1から貼着部材81の直径(D1)分を減じた距離、すなわち、(ワークwに巻き掛けた状態におけるフィルム片fの両端間の距離L1)-(貼着部材81の直径D1)となる。
【0054】
このように規定することによって、各貼着部材81が、物品wの底面にフィルム片fを巻掛けて貼着する際に、各貼着部材81が、フィルム片fの両端までそれぞれ移動してきても、ワークwを支持する搬送ベルト18が邪魔になることがない。
【0055】
搬送ベルト18の幅N1は、ワークwを支持する観点からは広いほどよいのであるが、左右の幅の広いフィルム片f、したがって、ワークwに巻き掛けた状態におけるフィルム片fの両端間の距離L1が小さいフィルム片fにもできる限り対応するのが好ましい。このため、搬送ベルト18の幅N1の上限値は、好ましくは10mmであり、より好ましくは8mmである。
【0056】
また、搬送ベルト18の幅N1の下限値は、ワークwを支持する観点から、好ましくは5mmであり、より好ましくは6mmである。
【0057】
したがって、搬送ベルト18の幅N1は、好ましくは10~5mmであり、より好ましくは8~6mmである。
【0058】
上記のように、中継機構1Cの中継用のベルトコンベヤの搬送ベルト18は、物品搬出機構1Bの搬出用のベルトコンベヤの従動プーリ14を駆動プーリとして巻掛けられているので、中継用のベルトコンベヤは、搬出用のベルトコンベヤによって駆動されることになる。
【0059】
これによって、中継機構1C専用の駆動機構が不要となり、その分、構造を簡素化することができる。
【0060】
物品wには、その底面が平坦ではなく、例えば、物品wの幅方向、すなわち、左右方向に沿って延びる下方へ突出した突条部を有するものがある。このような底面に突条部を有する物品wでは、前方の搬送ベルトから後方の搬送ベルトに乗継ぐ際に、前記突条部が、前記両ベルトの間の間隙に嵌り込んで、円滑な搬送ができない場合がある。
【0061】
この実施形態では、中継機構1Cの搬送ベルト18は、物品搬出機構1Bの従動プーリ14に巻掛けられているので、中継機構1Cの搬送ベルト18と物品搬出機構1Bの搬送ベルト15とは、前後方向に連続することになる。
【0062】
これによって、前記突条部を有する物品wであっても、物品wの突条部が、前後の搬送ベルトの間の間隙に嵌り込むといったことがなく、円滑に搬送される。
【0063】
一方、物品搬入機構1Aの搬送ベルト12の終端と、中継機構1Cの搬送ベルト18の始端との間には、図4に示されるように間隙があるが、この実施形態では、両搬送ベルト12,18間には、物品wを下方から受け止め支持する固定の支持板19が配置されている。この支持板19は、図5に示されるように、物品搬入機構1Aの搬送ベルト12の終端の上方に位置して左右方向の延びていると共に、中継機構1Cの搬送ベルト18の始端を、左右両側から挟むように後方へ延びる一対の支持片19aが形成されている。この支持板19によって、物品搬入機構1Aの搬送ベルト12と中継機構1Cの搬送ベルト18とは、前後方向に連続することになる。
【0064】
これによって、底面に左右に延びる下方へ突出した突条部を有する物品wであっても、物品wの突条部が、前後の搬送ベルト12,18の間の間隙に嵌り込むといったことがなく、円滑に搬送される。
【0065】
また、前後長さが短い物品wでは、物品搬入機構1Aの搬送ベルト12の終端と物品搬出機構1Bの搬送ベルト15の始端との間の包装処理位置Pにあるときに、搬送ベルト12の終端上、及び、搬送ベルト15の始端の上に載っている部分が短くなる。
【0066】
このような前後長さの短い物品wでは、中継機構1Cが無ければ、包装処理が完了した後に、搬送ベルト12,15を駆動しても、物品wがベルト12,15上でスリップして包装処理位置Pから搬出できないことがあるが、本実施形態では、中継機構1Cの中継用のベルトコンベヤによって物品wを確実に搬出することができる。
【0067】
図3に示すように、物品搬入機構1Aの搬入用のベルトコンベヤ上には、物品wを左右から案内する搬送ガイド21a,21bが配備されている。左右の搬送ガイド21a,21bは、左右の固定枠22に亘って水平に支持した前後のガイド軸23に沿って左右にスライド移動可能な可動枠24a,24bに、連結支持されている。また、左右の固定枠22に亘って水平に支持した操作軸25には、リード角が相反する左ネジ軸部25aと右ネジ軸部25bとが備えられている。これら左ネジ軸部25aと右ネジ軸部25bに前記可動枠24a,24bがそれぞれ螺合挿通されている。左右方向の一端側に設けられたハンドル25aを持って操作軸25を正逆に回転操作し、左右の可動枠24a,24bを互いに逆向きにネジ送り移動させることで、搬送ガイド21a,21bを、物品wの横幅に合わせて互いに接近移動、あるいは、離反移動させることができる。
【0068】
搬送ガイド21a,21b及び可動枠24a,24bは、搬送径路の後部において前後に分断されている。この分断された空隙部位に、左右搬送ガイド21a,21bの間に形成された搬送径路に、横側方から出退される牽制ストッパ28が配備されている。また、牽制ストッパ28を出退駆動するエアシリンダなどのアクチュエータ27が、分割された後部の可動枠24a´,24b´に装備されている。この牽制ストッパ28は、先行する物品wが後方の包装処理位置Pにおいて帯掛け包装処理されている間、後続の物品wを待機牽制するために用いられる。
【0069】
物品搬入機構1Aの終端と物品搬出機構1Bの始端との間の包装処理位置Pの上方には、図1に示すように、フィルム片押付け機構7が、また、包装処理位置Pの下方には、フィルム片貼着機構8がそれぞれ配備されている。
【0070】
図10に示すように、物品位置決め機構2は、フィルム片押付け機構7における後述する駆動ケース60の後部に装着されている。物品位置決め機構2は、物品搬出機構1Bの上方において、エアシリンダなどのアクチュエータ29によって駆動昇降される位置決めストッパ30を備えている。
【0071】
この位置決めストッパ30は、アクチュエータ29との連結基部から前方に水平に延出され、物品wを受け止める前端部が下方に屈折されている。この位置決めストッパ30が下降して物品搬送径路に突入することで、包装処理位置Pまで搬送されてきた物品wの搬送方向先端部を受止め、物品wをその前後向き姿勢を当接規制しながら位置保持する。また、位置決めストッパ30が上昇して物品搬送経路から離脱することで、物品wの後方への移動を許容する。
【0072】
なお、位置決めストッパ30を昇降するアクチュエータ29は、上下のガイド軸31に沿って前後移動可能に支持されると共に、前後水平に支持したネジ軸32に螺合されている。また、ネジ軸32は、左右水平に支持した操作軸33にベベルギヤ連動されている。図11の平面図に示される装置前面の操作ハンドル33aを回動操作して、操作軸33を正逆に回動することで、アクチュエータ29を前後にネジ送り移動させることができる。これによって、位置決めした物品wの前後中央部が、包装処理位置Pに合致するように、物品wの前後長さに対応して位置決めストッパ30を前後に位置調節するようになっている。
【0073】
図1図2に示すように、前記フィルム供給部3には、原反ロールRを左右水平に支持するロール支軸35が水平片持ち状に配備されている。原反ロールRから繰り出された原反フィルムFが、所定の走行径路で印刷処理部4に導かれる。なお、フィルム供給部3の上方で、予備の原反ロールR´を保管しておくことができるようになっている。
【0074】
詳細な構造は図示されていないが、印刷処理部4には、サーマルプリンタが内装されている。このサーマルプリンタによって、原反フィルムFの上面所定位置に、物品wに収納した内容物の種類、使用材料、消費期限、商品価格、バーコード、など、予め入力設定された各種情報が、フィルム長手方向に一定ピッチで印刷されるようになっている。
【0075】
図6図8に示すように、フィルム片形成部5には、モータ駆動される2本の送りローラ36a,36bが、前後2列に亘って左右水平に軸支されると共に、各送りローラ36a,36bの上方には、押えローラ37a,37bがそれぞれ遊転自在に対向配置されている。フィルム片形成部5では、原反フィルムFを、送りローラ36a,36bと押えローラ37a,37bとで上下から挟持して搬送する。また、フィルム片形成部5におけるフィルム搬送径路は、図6に示されるように、側面視で後方下方に向けて傾斜されている。
【0076】
前後の送りローラ36a,36bの中間下方には、原反フィルムFより幅広のカッタ38が、エアシリンダなどのアクチュエータ39によって昇降可能に配備されている。このカッタ38がフィルム走行径路を越えて上昇することで、前後二箇所で上下から挟持された原反フィルムFが、前後の挟持箇所の中間で切断されて帯状のフィルム片fが形成されるようになっている。
【0077】
なお、原反フィルムFには、切断用のミシン目m(図8参照)が、フィルム片fの前後幅に相当するピッチで形成されている。フィルム走行径路の下方に退入しているカッタ38の直上に、ミシン目mが位置したことを光学センサなどで検知して送りローラ36a,36bによるフィルム送りを停止する。その後、カッタ38を上昇させてフィルム切断処理が実行されるように、フィルム位置検知、送りローラ駆動制御、および、カッタ昇降制御が連動される。
【0078】
前方の送りローラ36aの周速よりも後方の送りローラ36bの周速を若干速く設定しておくと、カッタ38が作用する前後ローラ間のフィルム部分が適度に緊張される。これによって、カッタ突き上げによるフィルム切断を的確に行うことができる。
【0079】
また、フィルム片形成部5のフィルム送出し側には、切断形成されて後下がりの傾斜姿勢で送り出されてきたフィルム片fを、そのままの傾斜姿勢で載置支持する受け板40が配備されている。この受け板40は、フィルム片fの左右長さよりも短い横幅に形成されており、送り出されてきたフィルム片fの両端部が受け板40から左右にはみ出た状態で支持される。
【0080】
図6図8に、フィルム片搬送機構6の詳細な構造が示されている。
【0081】
このフィルム片搬送機構6は、物品搬送径路の横脇に立設されたフレーム板41に装着支持されている。フィルム片搬送機構6は、フレーム板41に左右水平な軸心xを中心に往復駆動回動される回動部材42、この回動部材42に横向き水平の片持ち状に連結された中空の支持枠43、この支持枠43から下方に向けて延出された左右一対の支持アーム44、および、各支持アーム44の下部に装備されたフィルム片保持機構の一例であるチャック機構45、等を備えている。
【0082】
回動部材42に一体連結した支軸46が、フレーム板41に貫通支持され、フレーム板背部に突出された支軸46が、フレーム板41の背部に装備された減速機付きモータ47に伝動ベルト48を介して巻き掛け連動されている。そして、モータ47の正逆回動に伴って、チャック機構45が、上方のフィルム片受取り位置と下方のフィルム片供給位置とに亘って、前記軸心xを中心とする円弧軌跡sに沿って移動されるようになっている。
【0083】
左右のチャック機構45は、左右の各支持アーム44の先端部内側に互いに内向きに対向して装備されている。チャック機構45は、揺動開閉する一対の把持爪49と、内装した電磁ソレノイドあるいはモータなどのアクチュエータによって、前記把持爪49を駆動開閉する駆動ケース50とを備えている。そして、回動部材42を上方に向けて回動させて、チャック機構45をフィルム片形成部5の背部に接近したフィルム片受取り位置に移動させる。これによって、フィルム片形成部5の受け板40上に、後方斜め下方に向かう傾斜姿勢で支持されたフィルム片fの両端部を、左右のチャック機構45の把持爪49で把持することができる。
【0084】
また、回動部材42を下方に向けて回動させてチャック機構45を直下方のフィルム片供給位置にまで移動させ、チャック機構45の把持爪49を開放作動させることで、把持したフィルム片fを包装処理位置Pにある物品wの上で開放するようになっている。
【0085】
ここで、チャック機構45がフィルム片受取り位置にある時には、一対の把持爪49による挟持面がフィルム片形成部5の受け板40上にあるフィルム片fの姿勢と同じ後ろ下がりの傾斜姿勢にある。また、チャック機構45がフィルム片供給位置にある時には、一対の把持爪49による挟持面が前後方向に水平な姿勢にあり、把持爪49の開放によって放出されたフィルム片fは、前後方向に水平な姿勢を保って物品wの上面に供給される。
【0086】
チャック機構45の把持爪49の開放作動、すなわち、フィルム片fの把持の解除は、フィルム片押付け機構7の後述の上面押圧部材63が、包装処理位置Pにある物品wの上に供給されたフィルム片fを、物品wの上面に押さえつけた後に行われる。したがって、フィルム片搬送機構6によって物品wの上に供給されたフィルム片fは、フィルム片押付け機構7の上面押圧部材63によって物品wの上面の所定の位置に押さえつけられた状態で、開放されることになる。
【0087】
なお、回動部材42には、検出片57が取り付けられると共に、フレーム板41に取付けた支持板58には、検出片57によって光路が遮られる光センサ59が装着されている。回動部材42の回動が光センサ59によって検知されてモータ47の制御がなされ、チャック機構45の作動範囲及び停止位置が制御されるようになっている。
【0088】
フィルム片fの裏面両端部には、糊付け部n(図8参照)が備えられている。この糊付け部nを避けて端部より少し内側箇所をチャック機構45で挟持するために、上下の把持爪49は、先端部が挟持箇所となる鉤形に形成されている。これによって、閉じた把持爪49における挟持箇所の内奥部に、フィルム片fの端部が入り込む空間が形成されるようになっている。また、横幅の異なった各種仕様のフィルム片fに対応するために、チャック機構45の左右位置を調節する必要がある。このため、次のように構成されている。
【0089】
すなわち、図8に示すように、回動部材42から横向き水平に片持ち支持された支持枠43には、一本の操作軸51が支持枠43全長に亘って左右水平に支持されると共に、操作軸51の前後に位置して一対のガイド軸52が左右2組配備されて左右水平に支持されている。支持アーム44を連結した可動枠53にガイド軸52が挿通されて、各可動枠53が5ガイド軸52に沿って左右移動可能に案内支持されると共に、各可動枠53に操作軸51が螺合挿通されている。
【0090】
操作軸51は、リード角が相反する左ネジ軸部51aと右ネジ軸部51bとを備えると共に、その一端に備えたハンドル51cで回動操作可能となっている。そして、左ネジ軸部51aと右ネジ軸部51bがそれぞれ左右の各可動枠53に螺合挿通され、操作軸51を正逆に回動操作することで、左右の可動枠53を同量ずつ互いに接近あるいは離反移動させて、左右のチャック機構44の間隔を変更することができるよう構成されている。これによって、フィルム片fの左右長さに対応して好適な位置を把持することができるようになっている。
【0091】
なお、フィルム片搬送機構6が装着された前記フレーム板41は、装置フレーム54(図2参照)に前後一対の縦レール55を介して昇降可能に案内支持されている。上端のハンドル56aを操作してネジ軸56を正逆に可動することで、フレーム板41をネジ送り昇降することができる。これによって、フィルム片搬送機構6におけるフィルム片供給位置の高さを物品wの高さに応じて調節することができるようになっている。また、印刷処理部4とフィルム片形成部5もフレーム板41に支持されている。フレーム板41の高さ変更に拘わらず、フィルム片形成部5とフィルム片搬送機構6との相対位置に変化はなく、フィルム片形成部5からのフィルム片受取りを所期のように行うことができる。
【0092】
包装処理位置Pの上方に配備された前記フィルム片押付け機構7の詳細な構造が、図9図11に示されている。
【0093】
このフィルム片押付け機構7には、フレーム板41に連結した駆動ケース60、内装した駆動手段によって駆動ケース60の下方において昇降される左右一対の支持アーム61、支持アーム61の前端部に連結した支持ブラケット62、及び、この支持ブラケット62に装着支持した上面押圧部材63と側部押圧部材64、等が備えられている。
【0094】
上面押圧部材63は、包装処理位置Pにある物品wの上に供給されたフィルム片fを物品上面に押さえつけるものであり、扁平な板状に形成されている。
【0095】
上面押圧部材61の前後には一対のガイド軸65が立設されると共に、前後中央には牽制軸66が立設されている。これらガイド軸65及び牽制軸66が、支持ブラケット62に対して上下スライド可能に挿通され、上面押圧部材63が、自重でスライド下降可能となっている。また、牽制軸66の上方突出端には、下降阻止カラー67が固着され、下降阻止カラー67が支持ブラケット62の上面に当接するまで上面押圧部材63が自重下降できるようになっている。
【0096】
側部押圧部材64は、フィルム片fの左右はみ出し部分を下方に押し下げ、物品wの左右両側面に沿って折り下げるものである。この側部押圧部材64は、下向きに屈折した内面を備えたブロック状に形成され、支持ブラケット62の下方に連結されている。
【0097】
前部に支持ブラケット62を連結した支持アーム61の後部は、前後一対のスライド支軸69の下端に連結されている。スライド支軸69は、駆動ケース60の下部に左右移動可能に配備された可動台70に、上下スライド可能に挿通支持されると共に、スライド支軸69の上端が可動ブロック71に連結されている。
【0098】
また、駆動ケース60の上部には、減速機付きモータ72によって左右水平の支点y周りに回動されるクランクアーム73が装備されている。このクランクアーム73の遊端部に、作動リンク74の上端が枢支連結されている。この作動リンク74の下端に、昇降作動軸75が左右水平に貫通固定されている。そして、この昇降作動軸75に、左右の前記可動ブロック71が左右にスライド移動可能に遊嵌支持されている。
【0099】
従って、クランクアーム73が支点y周りに回動することで昇降作動軸75が上下移動し、昇降作動軸75に支持された可動ブロック71、スライド軸69、及び、支持アーム61が一体に上下移動され、支持アーム61の前端部に支持ブラケット62を介して装着した上面押圧部材63と側部押圧部材64が一定のストロークで昇降される。
【0100】
左右の上面押圧部材63と側部押圧部材64は、物品wの左右横幅に応じてその間隔を調節できるようになっている。すなわち、駆動ケース60の下部には前後一対のガイド軸76と操作軸77とが左右水平に支持されている。ガイド軸76が、左右の各可動台70に挿通されて、各可動台70が、ガイド軸76沿って左右移動可能に案内支持されると共に、各可動台70に操作軸77が螺合挿通されている。
【0101】
操作軸77には、左ネジ軸部77aと右ネジ軸部77bとが備えられると共に、その一端に備えたハンドル77cで回動操作可能となっている。そして、左ネジ軸部77aと右ネジ軸部77bが、それぞれ左右の各可動台71に螺合貫通され、操作軸77を正逆に回動操作することで、左右の可動台71を互いに接近あるいは互いに離反移動させて、左右の上面押圧部材63と側部押圧部材64の間隔を変更調節することができるよう構成されている。
【0102】
また、フィルム片押付け機構7の駆動ケース60もフレーム板41に装着されている。フレーム板41を上下調節することで、印刷処理部4、フィルム片形成部5、及び、フィルム片搬送機構6と同様に、フィルム片押付け機構7を物品wの高さに対応した高さに調節することができる。また、フレーム板41の上下調節によって物品位置決め機構2も上下動し、位置決めストッパ30の高さが調節されることになる。
【0103】
包装処理位置Pの下方に配備された前記フィルム片貼着機構8の詳細な構造が図12図14に示されている。
【0104】
このフィルム片貼着機構8は、物品搬入機構1Aの後端と物品搬出機構1Bの始端との間に形成された空間の下方に配備された支持フレーム80に装備されている。このフィルム片貼着機構8は、左右移動および昇降可能に配備された左右一対の貼着部材81と、これを左右移動させる駆動部とを備えている。
【0105】
各貼着部材81は、周面を適度の弾性を有するゴムやスポンジで囲んだ弾性ローラで構成されている。この貼着部材81は、エアシリンダや電磁ソレノイドなどのアクチュエータ82によって昇降される支持ブラケット83に遊転自在に装着されている。また、支持フレーム80の上部には、支持台84を介して前後一対のガイド軸85が左右2組固定配備されている。各組のガイド軸85には、左右スライド可能に可動台86がそれぞれ装備され、各可動台86に前記アクチュエーアタ82が支持されている。
【0106】
左右の各可動台86から下方に延出された支軸86aが、支持台84に形成した左右長孔87を挿通して下方に延出されている。支持フレーム80の左右中心には縦支点z周りに回動可能に駆動アーム88が配備されている。この駆動アーム88の両端と前記支軸86aが、押引きリンク89を介して枢支連結されている。また、駆動アーム88自体は、支持フレーム80の下方に配備された減速機付きモータ90に、クランクリンク機構91を介して連動されている。駆動アーム88が180度より小さい所定角度で往復揺動されることで、左右の可動台86が、所定のストロークLで互いに接近移動、及び、離反移動するようになっている。
【0107】
そして、可動台86が互いに離反した待機位置にある時、左右の各貼着部材81は、物品wの載置搬送レベルに相当する貼着作用高さに上昇されている。可動台86が互いに接近した貼着作用位置にある時には、各貼着部材81が物品wの下方に入り込んで、物品wの底面に適度の圧力で弾性接触するようになっている。
【0108】
本実施形態に係る帯掛け包装装置は以上のように構成されており、以下、その帯掛け包装処理工程を、図15図21を参照しながら説明する。
【0109】
(1)物品搬入機構1Aによって物品wが包装処理位置Pに達する前に、フィルム片搬送機構6のチャック機構45が、前方上方のフィルム片受取り位置でフィルム片fの両端部近くを把持爪49によって把持して待機している。また、物品搬出機構1B上の物品位置決め機構2における位置決めストッパ30が下降作動している。
【0110】
物品搬入機構1Aによって搬送される物品wが所定位置を通過したことが光学センサなどによって検知されると、支持アーム44が後方の斜め下方に揺動移動してチャック機構45が、下方のフィルム片供給位置に移動する。チャック機構45が下方のフィルム片供給位置に達する直前に、搬送されてきた物品wが、位置決めストッパ30で受止められる。これによって、物品wが包装処理位置Pに位置決め保持され、物品搬出機構1B及び中継機構1Cの各ベルトコンベヤによる物品wの搬送が一時停止される。また、先行する物品wが所定位置を通過したことが光学センサなどで検知されると、物品搬入機構1Aの牽制ストッパ28が物品搬送径路に突出し、搬送されてくる後続の物品wの後方への移動が阻止される。
【0111】
(2)上記のように、物品wが包装処理位置Pに位置決め停止され、図15に示すように、フィルム片fを把持したチャック機構45が、フィルム片供給位置に達すると、フィルム片押付け機構7が起動される。フィルム片押付け機構7の支持ブラケット62の初期下降作動に基づいて、先ず、図16に示すように、上面押圧部材63がフィルム片fの左右二箇所に接触し、その自重によって、フィルム片fを物品wの上部の縁に軽く押し付ける。この押し付けがされると、チャック機構45の把持爪49によるフィルム片fの把持が解除される。これによって、包装処理位置Pの物品wの前後中央付近の上面に、上面押圧部材63によってフィルム片fが、その両端側部分を自由にして押し付けられた状態となる。
【0112】
このようにフィルム片押付け機構7は、上面押圧部材63の自重によって、フィルム片fを物品wの上面に軽く押し付けることができるので、例えば、物品wの高さによって、物品wに対する押圧力が過大になったり、押圧力が不足するといったことがなく、一定の押圧力でフィルム片fを物品wの上面に押し付けることができる。
【0113】
前後に短い物品wでは、中継機構1Cの搬送ベルト18が幅狭であるので、搬送ベルト18上の物品wは、幅方向にバランスが安定しないものになる。しかし、図16に示すように、フィルム片押付け機構7の上面押圧部材63が、フィルム片fの左右を物品wの上面に押し付け、チャック機構45の把持爪49によるフィルム片fの把持が解除された状態では、物品wは、底面中央部の搬送ベルト18及び上面左右の上面押圧部材63の三箇所で支持されるので、その姿勢を安定に保持するこどができる。この安定に保持された姿勢で、その後の包装処理を行うことができる。
【0114】
(3)支持ブラケット62の下降作動に伴って、図17に示すように、上面押圧部材63の自重によって、物品wの上にフィルム片fを押し付けたまま側部押圧部材64が下降する。これによって、左右の側部押圧部材64のみが一定位置まで下降され、物品wから左右外方にはみ出ているフィルム片fの両端側部分が下方に押され、図18に示すように、物品wの両肩部及び両側面に沿って押し下げられる。
【0115】
同時に、把持爪49によるフィルム片fの把持を解除したチャック機構45の支持アーム44は、前方上方へ揺動してフィルム片受取り位置に戻る。なお、物品搬入機構1Aによって搬送される物品wが所定位置を通過したことが光学センサなどによって検知されると、フィルム片形成部5が作動して、1枚のフィルム片fが受け板40上に送り出される。
【0116】
(4)次いで、図19図20に示すように、フィルム片貼着機構8が起動され、物品搬送径路の下方において横外方に待機していた左右の貼着部材81が水平に進出して物品wの下方に入り込む貼着作用位置まで移動する。これによって、物品wより下方にまで垂れ下がっているフィルム片fは、貼着部材81で押されて物品wの底面にまで巻き掛けられ、フィルム片両端の糊付け部nが物品wの底面に弾性的に押圧されて貼着される。
【0117】
中継機構1Cの搬送ベルト18は、図20に示すように、左右の貼着部材81が、物品wの下方の貼着作用位置に移動してフィルム片fの両側部分を、物品wの底面に貼着する際の妨げとならないような狭い幅となっている。
【0118】
(5)次に、フィルム片fの巻掛け貼着が完了すると、図21に示すように、アクチュエータ82が短縮作動して貼着部材81が少し下げられて物品wの底面から離され、その後、貼着したフィルム片fに触れることなく横外方に後退移動し、待機位置においてアクチュエータ82が伸長作動して貼着部材81が元の高さまで復帰上昇される。
【0119】
(6)また、巻掛け貼着の完了に伴って、物品搬出機構1B上の位置決めストッパ30が上昇退避すると共に、フィルム片押付け機構7が上昇復帰し、帯掛け包装された物品w(図22参照)は、物品搬出機構1B及び中継機構1Cの各ベルトコンベヤによる物品wの搬送が再開されて後方に搬出されてゆく。同時に、物品搬入機構1Aの牽制ストッパ28が、物品搬送径路から退出し、後続の物品wを、後方の包装処理位置Pへ搬送する。物品搬出機構1B上の位置決めストッパ30は、帯掛け包装された物品wが通過すると、再び下降作動される。
【0120】
以上のようにして、1回の帯掛け包装が完了し、新たな物品wの搬入ごとに上記工程が繰り返される。
【0121】
本実施形態によれば、包装処理位置Pである、物品搬入機構1Aと物品搬出機構1Bとの間では、中継機構1Cによって、搬送される物品wを下方から受止め支持して搬送できるので、従来のように物品を上下で挟持して搬送しなくても、物品搬入機構1Aによって搬送されてくる物品wの先端部が、物品搬入機構1Aと物品搬出機構1Bとの間隙に落ち込むことなく、物品搬出機構1Bへの乗継が円滑に行われることになる。したがって、上記図24図27に示される従来例のような上部搬送ベルト12を設ける必要がない。
【0122】
中継装置1Cの中継用ベルトコンベヤによって、物品wを搬送できるので、前後長さの短い物品でwあっても、中継用ベルトコンベヤによって、包装処理位置Pに円滑に搬入し、あるいは、包装処理位置Pから円滑に搬出することができる。
【0123】
また、中継装置1Cの搬送ベルト18は、物品wの底面の幅方向の中央部を受け止め支持して搬送する幅狭のベルトであるので、フィルム片貼着機構8の貼着部材81が、物品wの下方を移動してフィルム片fの両端部を、物品wの底面に巻き付けて貼着する際の動作を妨げることがない。
【0124】
[他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0125】
(1)中継機構1Cを物品搬出機構1Bとは独立して駆動するようにしてもよい。この場合、帯掛け包装処理中は、中継機構1Cの中継用のベルトコンベヤを停止させ、包装処理が終了すると、中継機構1Cの中継用のベルトコンベヤと物品搬出機構1Bの搬出用のベルトコンベヤとを同調して駆動制御するようにしてもよい。
【0126】
(2)物品搬入機構1Aの搬入用のベルトコンベヤの終端と物品搬出機構1Bの搬出用のベルトコンベヤの始端との間隔よりも十分大きい前後長さの物品wのみを包装対象とするような場合には、物品wは、物品搬入機構1Aの搬入用のベルトコンベヤの終端と物品搬出機構1Bの搬出用のベルトコンベヤの始端とに亘って支持されて帯掛け包装処理を受けることになる。この場合、中継用のベルトコンベヤに代えて、図23に示すように、落ち込み防止用の幅の狭い中継支持台95からなる中継装置1C1を、物品搬入機構1Aの搬送ベルト10の終端と、物品搬出機構1B1の搬送ベルト15の始端との間隔の左右中央部位に固定配備してもよい。
【0127】
(3)物品搬入機構1A及び物品搬出機構1Bは、多数本の幅狭の搬送ベルトを搬送幅方向に小さい間隔をもって並列配備したものであってもよい。
【符号の説明】
【0128】
1A 物品搬入機構
1B 物品搬出機構
1C 中継機構
2 物品位置決め機構
6 フィルム片搬送機構
7 フィルム片押付け機構
8 フィルム片貼着機構
18 搬送ベルト
62 支持ブラケット
63 上面押圧部材
64 側部押圧部材
f フィルム片
P 包装処理位置
w 物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27