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特許7080544リファレンス出力システム、リファレンス出力方法及びリファレンス出力プログラム
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  • 特許-リファレンス出力システム、リファレンス出力方法及びリファレンス出力プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】リファレンス出力システム、リファレンス出力方法及びリファレンス出力プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20220530BHJP
【FI】
G06Q40/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018116084
(22)【出願日】2018-06-19
(65)【公開番号】P2019219849
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】593230039
【氏名又は名称】株式会社QUICK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】足立 高徳
(72)【発明者】
【氏名】谷 保明
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0073969(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0125534(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0371329(US,A1)
【文献】登録実用新案第3152512(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
約定情報を記憶する約定情報記憶部と、
ベンチマークを記憶するベンチマーク記憶部と、
取引サーバに接続される制御部とを備えたリファレンス出力システムであって、
前記制御部が、
前記取引サーバから約定情報を取得して、前記約定情報記憶部に記録し、
前記約定情報において、約定時刻に基づいて重み付けしたベンチマークを算出して、ベンチマーク算出時刻に関連付けて、前記ベンチマーク記憶部に記録し、
前記ベンチマーク記憶部から、前記ベンチマーク算出時刻がリファレンス出力時刻の抽出範囲に含まれる複数のベンチマークを取得し、前記複数のベンチマークを用いて、リファレンスを算出することを特徴とするリファレンス出力システム。
【請求項2】
前記制御部が、複数の約定情報の約定価格と約定数量とを乗算して総和した第1総和値を、複数の約定情報の約定数量を総和した第2総和値で除算することにより、前記ベンチマークを算出することを特徴とする請求項1に記載のリファレンス出力システム。
【請求項3】
前記制御部が、前記第1総和値、前記第2総和値の算出においては、前記ベンチマーク算出時刻から約定時刻までの時間差に応じた減衰値を乗算することを特徴とする請求項2に記載のリファレンス出力システム。
【請求項4】
抽出範囲に含まれるベンチマークが、基準数より少ない場合には、前記抽出範囲を拡大することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のリファレンス出力システム。
【請求項5】
前記リファレンスの算出において、前記抽出範囲に含まれる複数のベンチマークの中からランダムに選択したベンチマークを前記リファレンスとして算出することを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のリファレンス出力システム。
【請求項6】
前記リファレンスの算出において、前記抽出範囲に含まれる複数のベンチマークを用いて統計的に算出した値を前記リファレンスとして算出することを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載のリファレンス出力システム。
【請求項7】
約定情報を記憶する約定情報記憶部と、
ベンチマークを記憶するベンチマーク記憶部と、
取引サーバに接続される制御部とを備えたリファレンス出力システムを用いて、リファレンスを出力する方法であって、
前記制御部が、
前記取引サーバから約定情報を取得して、前記約定情報記憶部に記録し、
前記約定情報において、約定時刻に基づいて重み付けしたベンチマークを算出して、ベンチマーク算出時刻に関連付けて、前記ベンチマーク記憶部に記録し、
前記ベンチマーク記憶部から、前記ベンチマーク算出時刻がリファレンス出力時刻の抽出範囲に含まれる複数のベンチマークを取得し、前記複数のベンチマークを用いて、リファレンスを算出することを特徴とするリファレンス出力方法。
【請求項8】
約定情報を記憶する約定情報記憶部と、
ベンチマークを記憶するベンチマーク記憶部と、
取引サーバに接続される制御部とを備えたリファレンス出力システムを用いて、リファレンスを出力するためのプログラムであって、
前記制御部を、
前記取引サーバから約定情報を取得して、前記約定情報記憶部に記録し、
前記約定情報において、約定時刻に基づいて重み付けしたベンチマークを算出して、ベンチマーク算出時刻に関連付けて、前記ベンチマーク記憶部に記録し、
前記ベンチマーク記憶部から、前記ベンチマーク算出時刻がリファレンス出力時刻の抽出範囲に含まれる複数のベンチマークを取得し、前記複数のベンチマークを用いて、リファレンスを算出する手段として機能させることを特徴とするリファレンス出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想通貨等のように、価格変動する財産的価値の基準レート(リファレンス)を算出するためのリファレンス出力システム、リファレンス出力方法及びリファレンス出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
株価など、取引価格が変動する資産について、各種指標を算出する技術が検討されている(例えば、特許文献1を参照)。この文献に記載された技術では、知的資産関連指標を含む企業評価指標を用いて企業を総合的に評価した結果に基づいて客観的な理論株価を算出する。
【0003】
また、ビットコイン(登録商標)等の仮想通貨も資産として取り扱われている。このようなビットコインは、取引所や販売所等において取得することが可能である。更に、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)では、先物取引が行なわれている。取引所での取引はオークション形式が採用されており、買い手と売り手にそれぞれ売買価格を提示してもらい、オーダーブック(板)が形成される。買い手の購入希望価格(ビッド)と、売り手の売却希望価格(アスク、オファー)とをマッチングすることにより、取引が成立(約定)する。
【0004】
このような価格を参照するために、シカゴ・マーカンタイル取引所では、スポット価格指数(リアルタイム指数)としての「BRTI」、ビットコイン参考基準レートとしての「BRR」を提供している(例えば、非特許文献1~3を参照)。BRTIはドル建ての1ビットコインのリアルタイム指数であり、1秒毎に、常時リアルタイムで配信される。BRRは1ビットコインのドル建標準レートであり、毎日グリニッジ標準時間午後4時に算出される。このBRRは、特定の算出対象期間(1時間)の主要ビットコイン取引所の取引フローを集計して算出される。具体的には、1時間枠を、5分ずつの12に区分し、各区分の出来高加重中央値の均等加重平均からBRRを算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2006/095747号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】CME Groupe,CME CFビットコイン参考基準レートとCME CFビットコイン・リアルタイム指数、[online]、CME Groupeホームページ、[平成30年6月8日検索]インターネット、<http://www.cmegroup.com/ja/trading/cf-bitcoin-reference-rate.html>
【文献】CME Groupe,「ビットコイン参考基準レート(BRR)について」、[online]、CME Groupeホームページ、[平成30年6月8日検索]インターネット、<http://www.cmegroup.com/ja/education/courses/introduction-to-bitcoin/introduction-to-bitcoin-reference-rate.html>
【文献】CME Groupe,「CME CF Cryptocurrency Reference Rates」[平成30年6月8日検索]インターネット、<http://www.cmegroup.com/education/bitcoin/bitcoin-reference-rate-methodology.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、基準レートを操作するために、基準レートを算出する時刻において、意図的な指値を行なうことがある。この場合には、意図的な指値によって、基準レートが変動する可能性がある。しかしながら、リアルタイム指数「BRTI」、ビットコイン参考基準レート「BRR」の計算は複雑である。透明性を担保するためには、簡潔明確な計算方法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するリファレンス出力システムは、約定情報を記憶する約定情報記憶部と、ベンチマークを記憶するベンチマーク記憶部と、取引サーバに接続される制御部とを備える。そして、前記制御部が、前記取引サーバから約定情報を取得して、前記約定情報記憶部に記録し、前記約定情報において、約定時刻に基づいて重み付けしたベンチマークを算出して、ベンチマーク算出時刻に関連付けて、前記ベンチマーク記憶部に記録し、前記ベンチマーク記憶部から、前記ベンチマーク算出時刻がリファレンス出力時刻の抽出範囲に含まれる複数のベンチマークを取得し、前記複数のベンチマークを用いて、リファレンスを算出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、価格変動する資産の基準レート(リファレンス)を、効率的かつ的確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のリファレンス出力システムの説明図。
図2】本実施形態のハードウェア構成の説明図。
図3】本実施形態の情報記憶部の説明図であって、(a)は約定情報記憶部、(b)はベンチマーク記憶部、(c)リファレンス記憶部の説明図。
図4】本実施形態の処理手順の説明図であって、(a)はベンチマーク算出処理、(b)はリファレンス算出処理の説明図。
図5】本実施形態の価格変動の説明図であって、(a)は実際の価格、(b)は算出したベンチマークの時間推移の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化したリファレンス出力システムの一実施形態を図1図5に従って説明する。本実施形態では、仮想通貨(ビットコイン)の基準レート(リファレンス)を算出する場合を想定する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態では、取引所サーバ10、管理サーバ20、ユーザ端末30を用いる。
(ハードウェア構成)
図2を用いて、各システム(10,20,30)を構成する情報処理装置H10のハードウェア構成を説明する。情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶部H14、プロセッサH15を備える。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアにより実現することも可能である。
【0013】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースカードや無線インタフェース等である。
【0014】
入力装置H12は、利用者等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイ等である。
記憶部H14は、各システム(10,20,30)の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶部H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0015】
プロセッサH15は、記憶部H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、各システム(10,20,30)における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各サービスのための各種プロセスを実行する。
【0016】
(システム機能)
次に、図1図3を用いて、各システム(10,20,30)の機能を説明する。
図1に示すように、本実施形態では、ユーザ端末30、管理サーバ20を用いる。
取引所サーバ10は、仮想通貨について、売り手と買い手との取引を仲介するコンピュータシステム(取引サーバ)である。この取引所サーバ10は、仮想通貨について、買い手の購入希望価格、売り手の売却希望価格に関する情報を管理する。本実施形態では、希望価格として円建てを用いる。更に、取引所サーバ10は、買い手と売り手との間で取引が成立した場合の約定価格に関する情報を管理する。
【0017】
ユーザ端末30は、リファレンスを利用するユーザが用いるコンピュータ端末である。ユーザ端末30は、制御部、出力部、入力部を備える。制御部は、各種アプリケーションを実行する。出力部は、ディスプレイにより構成され、各種情報の出力を行なう。入力部は、キーボードやポインティングデバイスにより構成され、ユーザによって入力された指示を取得する。
【0018】
管理サーバ20は、ビットコインについてベンチマークやリファレンスを算出するコンピュータシステムである。この管理サーバ20は、制御部21、約定情報記憶部22、ベンチマーク記憶部23、リファレンス記憶部24を備えている。
【0019】
制御部21は、制御手段(CPU、RAM、ROM等)を備え、後述する処理(情報取得段階、ベンチマーク計算段階、リファレンス計算段階、情報配信段階の各処理)を行なう。このためのリファレンス出力プログラムを実行することにより、制御部21は、情報取得部211、ベンチマーク計算部212、リファレンス計算部213、情報配信部214として機能する。
【0020】
情報取得部211は、取引所サーバ10から約定情報を取得する処理を実行する。
ベンチマーク計算部212は、約定情報に基づいてベンチマークを算出する処理を実行する。このベンチマーク計算部212は、ベンチマークを算出するための計算式(後述)を記憶する。
【0021】
リファレンス計算部213は、ベンチマークに基づいてリファレンスを算出する処理を実行する。このリファレンス計算部213は、リファレンスを算出する基準時刻、ベンチマークを抽出するためのウィンドウ(抽出範囲)を決める初期値(c0)に関する情報、ウィンドウの妥当性を判定するための基準数に関する情報を保持している。リファレンスの算出方法については後述する。
情報配信部214は、算出したリファレンスを配信する処理を実行する。
【0022】
図3(a)に示すように、約定情報記憶部22には、ビットコインについて約定された取引についての約定管理レコード220が記録される。約定管理レコード220は、取引所サーバ10から約定情報を取得した場合に記録される。この約定管理レコード220には、約定日時、約定価格、約定量に関する情報が記録される。
【0023】
約定日時データ領域には、取引約定が行なわれた年月日及び時刻に関するデータが記録される。
約定価格、約定量の各データ領域には、取引約定が行なわれた価格と数量に関するデータが記録される。
【0024】
図3(b)に示すように、ベンチマーク記憶部23には、リファレンスを算出するためのベンチマーク管理レコード230が記録される。ベンチマーク管理レコード230は、ベンチマーク計算部212がベンチマークを算出した場合に記録される。このベンチマーク管理レコード230には、算出日時、ベンチマークに関する情報が記録される。
【0025】
算出日時データ領域には、ベンチマークを算出した年月日及び時刻に関するデータが記録される。本実施形態では、取引約定が行なわれた場合にベンチマークを算出するものとする。このため、算出日時として約定日時が記録される。
ベンチマークデータ領域には、算出したベンチマーク(RTB)に関するデータが記録される。
【0026】
図3(c)に示すように、リファレンス記憶部24には、算出したリファレンスについてのリファレンス管理レコード240が記録される。リファレンス管理レコード240は、リファレンス計算部213がリファレンスを算出した場合に記録される。このリファレンス管理レコード240には、算出日、リファレンスに関する情報が記録される。
【0027】
算出日データ領域には、リファレンスを算出した年月日に関するデータが記録される。
リファレンスデータ領域には、仮想通貨の基準レート(リファレンス)に関するデータが記録される。
【0028】
<処理手順の概要>
図4を用いて、処理手順の概要を説明する。
(ベンチマーク算出処理)
図4(a)を用いて、ベンチマーク算出処理を説明する。
まず、管理サーバ20の制御部21は、約定情報の取得処理を実行する(ステップS1-1)。具体的には、制御部21の情報取得部211は、取引所サーバ10から、仮想通貨の約定情報を取得する。この約定情報には、約定日時、約定価格及び約定量が含まれる。そして、情報取得部211は、取得した約定情報を記録した約定管理レコード220を生成し、約定情報記憶部22に記録する。
【0029】
そして、管理サーバ20の制御部21は、ベンチマークの計算処理を実行する(ステップS1-2)。具体的には、制御部21のベンチマーク計算部212は、所定期間に約定された約定管理レコード220を、約定情報記憶部22から抽出する。そして、ベンチマーク計算部212は、式(1)を用いて、ベンチマーク(RTB)を算出する。ここで、「Pi」は約定価格、「Si」は約定量、「t」は算出日時、「ti」は約定日時、「λ」は正の定数である。この「λ」は、ベンチマーク算出時刻から遠い約定時刻の約定情報に対して減衰値を算出するために用いる。この式(1)の分子には、時間で重み付けを行なった約定量と約定価格との乗算値の総和値(第1総和値)を用いる。一方、式(1)の分母には、時間で重み付けを行なった約定量の総和値(第2総和値)を用いる。
【0030】
次に、管理サーバ20の制御部21は、ベンチマークの登録処理を実行する(ステップS1-3)。具体的には、制御部21のベンチマーク計算部212は、算出したベンチマークを記録したベンチマーク管理レコード230を生成し、ベンチマーク記憶部23に記録する。
【0031】
図5(a)は、横軸に時刻、縦軸に約定価格を示すことにより約定価格の時間推移を示している。例えば、時刻「415000」あたりには、急峻な約定価格の取引が示されている。図5(b)は、図5(a)と同じ時刻範囲のベンチマークの時間推移を示している。約定価格の時間推移と共通した波形になっているが、時刻「415000」あたりのベンチマークは、約定価格に対して緩やかになっている。すなわち、ベンチマークは、急峻な変化を丸めながら、約定価格の時間推移と類似した波形を保つことにより、約定価格の時間推移を反映した波形となっている。
【0032】
(リファレンス算出処理)
次に、図4(b)を用いて、リファレンス算出処理を説明する。この処理は、所定時刻に実行される。所定時刻としては、リファレンスを算出する基準時刻(リファレンス出力時刻として、例えば、午後4時)から所定時間が経過した時刻を用いる。
【0033】
まず、管理サーバ20の制御部21は、ウィンドウ内のベンチマークの取得処理を実行する(ステップS2-1)。具体的には、制御部21のリファレンス計算部213は、時間幅(c)の抽出範囲のウィンドウ(時刻〔t-c〕~時刻〔t+c〕)に含まれるベンチマーク管理レコード230を、ベンチマーク記憶部23から取得する。なお、最初のウィンドウの設定では、時間幅の初期値(c=c0)を用いる。
【0034】
次に、管理サーバ20の制御部21は、ウィンドウは適切かどうかについての判定処理を実行する(ステップS2-2)。具体的には、制御部21のリファレンス計算部213は、取得したベンチマーク管理レコード230のレコード数をカウントする。そして、カウントしたレコード数が基準数以上の場合には、ウィンドウは適切と判定する。一方、レコード数が基準数未満の場合には、ウィンドウは適切でないと判定する。
【0035】
ウィンドウは適切でないと判定した場合(ステップS2-2において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、ウィンドウの拡大処理を実行する(ステップS2-3)。具体的には、制御部21のリファレンス計算部213は、ウィンドウの時間範囲を広げる。例えば、現在のウィンドウ(c)に対して、所定の時間幅「α」を加算した新たなウィンドウ(時刻〔t-c-α〕~時刻〔t+c+α〕)を設定する。そして、リファレンス計算部213は、ウィンドウ内のベンチマークの取得処理(ステップS2-1)以降の処理を繰り返す。
【0036】
一方、ウィンドウは適切と判定した場合(ステップS2-2において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、複数のベンチマークからリファレンスの算出処理を実行する(ステップS2-4)。具体的には、制御部21のリファレンス計算部213は、ウィンドウに含まれるベンチマーク管理レコード230に記録されたベンチマークをランダムに特定する。そして、リファレンス計算部213は、特定したベンチマークを基準レート(リファレンス)として用いる。
【0037】
次に、管理サーバ20の制御部21は、リファレンスの出力処理を実行する(ステップS2-5)。具体的には、制御部21のリファレンス計算部213は、特定したリファレンスを年月日と関連付けたリファレンス管理レコード240を生成し、リファレンス記憶部24に記録する。そして、情報配信部214は、ユーザ端末30からの要求に応じて、リファレンス記憶部24に記録されたリファレンスをユーザ端末30に送信する。
【0038】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、ベンチマーク(RTB)の計算処理を実行する(ステップS1-2)。約定価格を用いることにより、約定されていないビッドやオファーによる作為的な値を排除することができる。この場合、ベンチマークの算出時刻に対して、周囲の時刻の取引約定に重み付けを付けた総和値を用いる。これにより、約定価格を考慮しながら、異常値の影響を抑制して、リアルタイムで仮想通貨のリファレンスを算出することができる。
【0039】
(2)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、ウィンドウ内のベンチマークの取得処理(ステップS2-1)、ウィンドウは適切かどうかについての判定処理(ステップS2-2)を実行する。ウィンドウは適切でないと判定した場合(ステップS2-2において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、ウィンドウの拡大処理を実行する(ステップS2-3)。これにより、基準時刻に対して、所定数のベンチマークを用いて、リファレンスを算出することができる。
【0040】
(3)本実施形態では、ウィンドウは適切と判定した場合(ステップS2-2において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、複数のベンチマークからリファレンスの算出処理を実行する(ステップS2-4)。ここでは、複数のベンチマークにおいて、ランダムに選択した値をリファレンスとして用いる。これにより、基準時刻に対して、作為的な約定取引を行なった場合にも、この取引の影響を抑制することができる。その結果、作為的な約定取引を行なうモチベーションを低下させることができる。
【0041】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、ベンチマーク(RTB)の計算処理を実行する(ステップS1-2)。この場合、ベンチマーク計算部212は、式(1)を用いて、ベンチマークを算出する。ベンチマークの計算方法は、式(1)を用いる方法に限定されるものではない。約定日時の約定価格を反映し、異常値を抑制したベンチマークを算出できる方法であればよい。
【0042】
・上記実施形態では、ウィンドウは適切でないと判定した場合(ステップS2-2において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、ウィンドウの拡大処理を実行する(ステップS2-3)。ウィンドウが適切でない場合の対応方法は、ウィンドウの拡大に限定されるものではない。例えば、約定数が不足している場合には、購入希望価格、売却希望価格を用いるようにしてもよい。この場合には、管理サーバ20の制御部21は、取引所サーバ10から、基準時刻から所定範囲の購入希望価格、売却希望価格に関する情報を取得する。そして、制御部21は、希望価格の統計値を算出して、リファレンスを算出するためのベンチマークの一部として利用する。
【0043】
・上記実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、複数のベンチマークからリファレンスの算出処理を実行する(ステップS2-4)。ここでは、複数のベンチマークの中でランダムに選択した値をリファレンスとして算出する。リファレンスの算出方法は、作為的な価格を排除できるものであれば、ランダムに選択する方法に限定されるものではない。例えば、ベンチマークの中央値(統計値)を用いてもよい。また、複数のリファレンスの算出方法を状況に応じて使い分けて、併用してもよい。例えば、ベンチマークの変動が基準値よりも小さい場合と、ベンチマークの変動が基準値よりも大きい場合とで、異なるリファレンスの算出方法を用いてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10…取引所サーバ、20…管理サーバ、21…制御部、211…情報取得部、212…ベンチマーク計算部、213…リファレンス計算部、214…情報配信部、22…約定情報記憶部、23…ベンチマーク記憶部、24…リファレンス記憶部、30…ユーザ端末。
図1
図2
図3
図4
図5