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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】洗浄料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20220530BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220530BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20220530BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20220530BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20220530BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20220530BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20220530BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20220530BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/81
A61K8/86
A61Q19/10
A61K8/60
C11D1/04
C11D3/37
C11D1/66
C11D1/90
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017114632
(22)【出願日】2017-06-09
(65)【公開番号】P2018203702
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】丹後 弘隆
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-162708(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0118162(US,A1)
【文献】特開2011-093835(JP,A)
【文献】特開2014-221743(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0019299(US,A1)
【文献】特開2006-348258(JP,A)
【文献】特開2017-095368(JP,A)
【文献】特開2016-008206(JP,A)
【文献】Johnson Soft Wash Extra Care,(ID#)710575,Mintel GNPD,2007年05月,<https://www.gnpd.com>
【文献】Cleansing Milk,(ID#) 3913673,Mintel GNPD,2016年04月,<https://www.gnpd.com>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)~(C)を含有する洗浄料組成物。
(A)炭素数8~24の高級脂肪酸塩
(B)メタクリル酸とエチルアクリレートとの架橋コポリマーのエマルション
(C)モノラウリン酸POE(80)ソルビタン及びモノラウリン酸デカグリセリル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗浄料として、種々の商品が開発されており、特に高級脂肪酸塩を基剤とするものは、洗浄力に優れ、泡立ちが良く、さっぱりとした感触があるため、洗顔料や全身洗浄料等に用いられている。しかし、その強力な洗浄力により、皮膚に必要な皮脂等まで落としてしまい、洗浄後に肌がかさつき、つっぱるといった問題が生じている。
【0003】
洗浄後の肌のかさつきや、つっぱり感の改善のために、ジグリセリンのポリオキシプロピレン付加物と併用した例(特許文献1)、植物エキスと併用した例(特許文献2)があるが、いずれも効果が不十分で、問題を解決するには、至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-116135号公報
【文献】特開平10-88193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、脂肪酸塩を基剤とするにもかかわらず、泡質が良好で、保湿感を有する洗浄料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の(A)~(C)を含有する洗浄料組成物を提供する。
(A)高級脂肪酸塩
(B)メタクリル酸とエチルアクリレートとの架橋コポリマーのエマルション
(C)HLB値が12以上のノニオン界面活性剤、トリメチルグリシン及び高重合度ポリエチレングリコールから選択される1種又は2種以上
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗浄料組成物は、泡立ち、洗浄力、泡質が良好で、保湿感を有しながらもさっぱり感を有するという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0009】
本発明で用いる高級脂肪酸塩を構成する高級脂肪酸としては、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよく、炭素数8~24、特に10~22のものが好ましい。これらの脂肪酸の中でも直鎖飽和脂肪酸を用いることが、好ましい。好ましいものの具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、還元ヤシ油脂肪酸、パーム核脂肪酸などが挙げられる。これらの脂肪酸の中でも、泡立ち、安全性、安定性の面から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸から選択される1種又は2種以上を含有することが好ましく、特にラウリン酸とミリスチン酸とパルミチン酸の3種を用いることが好ましい。これらの高級脂肪酸と塩を形成するアルカリ剤としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノ-2-メチルプロパンジオールなどのアルカノールアミン塩、リジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。これらのうち、特にカリウム、アルギニンが好ましい。
【0010】
また、これらの高級脂肪酸塩は、必ずしも脂肪酸塩として洗浄料組成物に配合する必要はなく、上記高級脂肪酸と塩基とをそれぞれ別個に添加し、組成物中で脂肪酸塩を形成させてもよい。
【0011】
高級脂肪酸塩の配合量は、15~25質量%が好ましい。15質量%未満の配合では十分な洗浄力が得られない場合がある。25質量%を超えて配合すると、結晶の析出や、液状の形態を保てなくなる場合がある。
【0012】
本発明で用いるメタクリル酸とエチルアクリレートとの架橋コポリマーのエマルション(アクリレーツコポリマーエマルションと略す場合があります。)は、アルカリで膨潤する水性分散体であり、純分30%のポリマーのエマルションである。かかるアクリレーツコポリマーエマルションとしては、カーボポールアクアSFー1(ノベオン社製)が例示される。
【0013】
アクリレーツコポリマーエマルションの配合量は、他の成分の種類、量、pH等により変動されるべきものであり、所望の粘稠性が得られれば、特に限定されない。架橋コポリマー純分として0.05~1.0質量%程度配合することが好ましい。0.05質量%未満の配合では保湿効果が得られない場合がある。1.0質量%を超えて配合すると、洗い流し後のさっぱり感が得られない場合がある。
【0014】
本発明の洗浄料組成物には上記必須成分に加えて、HLB値が12以上のノニオン界面活性剤、トリメチルグリシン及び高重合度ポリエチレングリコールから選択される1種又は2種以上を配合する。
【0015】
本発明で用いるHLB値が12以上の非イオン性界面活性剤としては、通常の洗浄剤組成物に用いられるものであればいずれでも良い。具体的にはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。
【0016】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸POE(80)ソルビタン(HLB値19.0)、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(HLB値16.9)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(HLB値15.6)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(HLB値14.9)等が挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸ヘキサグリセリル(HLB値14.5)、モノラウリン酸デカグリセリル(HLB値15.5)等が挙げられる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸POE(10)(HLB値12.5)、モノステアリン酸POE(25)(HLB値15.0)等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、POE(9)ラウリルエーテル(HLB値14.5)、POE(10)セチルエーテル(HLB値13.5)、POE(20)フィトステロールエーテル(HLB値15.5)、、POE(30)フィトステロールエーテル(HLB値18.0)等が挙げられる。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、POE(40)硬化ヒマシ油(HLB値12.5)、POE(60)硬化ヒマシ油(HLB値14.0)等が挙げられる。
【0017】
本発明においてはこれらの非イオン性界面活性剤の中でも、モノラウリン酸POE(80)ソルビタン、モノラウリン酸デカグリセリルから選択される1種又は2種を用いることが好ましく。さらに好ましくはモノラウリン酸POE(80)ソルビタンとモノラウリン酸デカグリセリルを併用して用いる。
【0018】
HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤を配合する場合の配合量は、洗浄料組成物全量に対し、0.5~5質量%、好ましくは0.5~2質量%とする。0.5質量%未満の配合ではしっとり感の改善効果が認められない場合がある。2質量%を超えて配合すると、泡立ちが低下する場合がある。
【0019】
本発明に用いるトリメチルグリシンは、通常の洗浄剤組成物に用いられるものであれば特に起源を問わない。トリメチルグリシンを配合する場合の配合量は、洗浄料組成物全量に対し、0.5~10質量%、好ましくは0.5~5質量%が好適である。0.5質量%未満の配合ではしっとり感の改善効果が認められない場合がある。
【0020】
本発明に用いる高重合度ポリエチレングリコールは、平均重合度が20,000~200,000のものが用いられる。市販品としては、例えば、ポリオックスWSR-N-12K、ポリオックスWSR-N-60K、ポリオックスWSR-301、ポリオックスWSR COAGULANT、ポリオックスWSR-303(以上、ユニオンカーバイト社製)、アルコックス E-100(明成化学工業社製)、PEO-8P(住友精化社製)等が挙げられる。高重合度ポリエチレングリコールを配合する場合の配合量は、洗浄料組成物全量に対し、0.01~2質量%、好ましくは0.1~1.5質量%が好適である。。0.1質量%未満の配合ではしっとり感の改善効果が認められない場合がある。
【0021】
本発明の洗浄料には、上述の成分の他に、通常の洗浄料分野等に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、精製水、油剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤等を挙げることができる。
【0022】
本発明の洗浄料は、常法により製造され、固形状、液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、ジェル状、軟膏状等の剤型とすることができる。本発明の効果の点から、適度な粘性を有する液状の剤型をとることが好ましい。また本発明の洗浄料は、皮膚洗浄料、毛髪洗浄料として使用することができ、特に皮膚洗浄料として使用することが好ましい。
【実施例
【0023】
以下に本発明を実施例を用いて説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。
【0024】
本発明の実施例及び比較例の評価方法は下記のとおりである。
【0025】
[評価方法]
専門パネラー3名により、ボディでの使用テストを行い、洗浄料組成物の泡立ち、洗浄力、泡質、保湿感、さっぱり感について、それぞれ絶対評価を行った。評価結果は下記の基準を用いて合議により判定した。
【0026】
[評価基準]泡立ち、洗浄力、泡質
◎:非常に良い
○:良い
△:少し悪い
×:悪い
【0027】
[評価基準]保湿感、さっぱり感
◎:強く感じる
○:少し感じる
△:あまり感じない
×:感じない
【0028】
表1、2に、本発明の実施例及び比較例にかかるボディ用洗浄料の処方を示す。洗浄料は定法に従い調製し、評価に供した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
表1、2に示した通り、本発明の洗浄料は、高級脂肪酸塩特有の泡立ち、洗浄力の良さとさっぱり感はそのままに、泡質、保湿感に優れた使用感であった。