(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】編成列車の車上システム
(51)【国際特許分類】
B60L 15/42 20060101AFI20220530BHJP
B61L 3/12 20060101ALI20220530BHJP
H04W 4/48 20180101ALI20220530BHJP
H04W 24/04 20090101ALI20220530BHJP
【FI】
B60L15/42
B61L3/12 Z
H04W4/48
H04W24/04
(21)【出願番号】P 2016218869
(22)【出願日】2016-11-09
【審査請求日】2019-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 慶一
(72)【発明者】
【氏名】三上 雅俊
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-224802(JP,A)
【文献】特開平05-038005(JP,A)
【文献】特開2008-099515(JP,A)
【文献】米国特許第05805797(US,A)
【文献】国際公開第2012/011164(WO,A1)
【文献】特開2010-258565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 15/42
B61L 3/12
B61L 27/00 - 27/70
H04W 4/42
H04W 24/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
編成列車の一端側車両に設置された運転台が起動された場合、前記一端側車両に設置された第1車上装置が現用設置に及び前記編成車両の他端側車両に設置された第2車上装置が予備装置に設定され、前記他端側車両の運転台が起動された場合、前記第2車上装置が現用装置に及び前記第1車上装置が予備装置に設定され、
前記現用装置及び前記予備装置は、前記編成列車の状態情報及び地上装置から提供される情報を含む複数の情報に基づいて前記編成列車の走行状態を制御するための列車制御情報を生成するように構成され、
前記現用装置が生成した第1列車制御情報及び前記予備装置が生成した第2列車制御情報を入力し、前記第1列車制御情報に基づいて前記編成列車の走行を制御する一方、前記現用装置の異常により前記第1列車制御情報を入力しなかった場合は前記第2列車制御情報に基づいて前記編成列車の走行を制御する列車制御装置を
さらに含む、
編成列車の車上システム。
【請求項2】
前記一端側車両に設置され、前記一端側車両に設置された運転台、前記第1車上装置及び前記他端側車両に設置された前記第2車上装置のそれぞれと通信線を介して接続された第1インターフェース装置と、
前記他端側車両に設置され、前記他端側車両に設置された運転台、前記第2車上装置及び前記一端側車両に設置された前記第1車上装置のそれぞれと通信線を介して接続された第2インターフェース装置と、
をさらに含む、
請求項1に記載の編成列車の車上システム。
【請求項3】
前記第1インターフェース装置は、前記編成列車が前記一端側車両を先頭車両として走行している場合に、前記複数の情報を入力して前記現用装置としての前記第1車上装置及び前記予備装置としての前記第2車上装置に出力すると共に、前記現用装置としての前記第1車上装置が生成した前記第1列車制御情報及び前記予備装置としての前記第2車上装置が生成した前記第2列車制御情報を入力して前記列車制御装置に出力するように構成され、
前記第2インターフェース装置は、前記編成列車が前記他端側車両を先頭車両として走行している場合に、前記複数の情報を入力して前記予備装置としての前記第1車上装置及び前記現用装置としての前記第2車上装置に出力すると共に、前記予備装置としての前記第1車上装置が作成した第2列車制御情報及び前記現用装置としての前記第2車上装置が生成した前記第1列車制御情報を入力して前記列車制御装置に出力するように構成されている、
請求項2に記載の編成列車の車上システム。
【請求項4】
前記第1車上装置、前記第1インターフェース装置、前記第2車上装置及び前記第2インターフェース装置は、パラレル入力をシリアルデータに変換すると共にシリアル入力をパラレルデータに変換するパラレル-シリアル変換部をそれぞれ有し、
前記第1インターフェース装置と前記第2車上装置とが第1シリアル通信線で接続されると共に、前記第2インターフェース装置と前記第1車上装置とが第2シリアル通信線で接続されている、請求項3に記載の編成列車の車上システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編成列車の車上システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から列車の安全な運行を実現するため、列車に搭載される車上装置を二重化にすることが行われている。例えば、特許文献1には、1編成の列車に現用系の車上装置と予備系の車上装置とが設けられ、前記現用系の車上装置が故障等した場合に、前記現用系の車上装置から前記予備系の車上装置に自動的に切り替わることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、両方向に走行可能な編成列車、すなわち、一端側の車両を先頭車両として走行すること及び他端側の車両を先頭車両として走行することが可能な編成列車において、車上装置の二重化を実現するためには、通常、前記一端側の車両と前記他端側の車両とのそれぞれに前記現用系の車上装置及び前記予備系の車上装置とが設けられる必要がある。しかし、このような構成ではコストが高くならざるを得ない。
【0005】
そこで、本発明は、コストを抑制しつつ編成列車における車上装置の二重化を実現できる編成列車の車上システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、編成列車の車上システムは、編成列車の一端側車両に設置された運転台が起動された場合、前記一端側車両に設置された車上装置が現用設置に及び前記編成車両の他端側車両に設置された車上装置が予備装置に設定され、前記他端側車両の運転台が起動された場合、前記他端側車両に設置された車上装置が現用装置に及び前記一端側車両に設置された車上装置が予備装置に設定される。前記現用装置及び前記予備装置は、前記編成列車の状態情報及び地上装置から提供される情報を含む複数の情報に基づいて前記編成列車の走行状態を制御するための列車制御情報を生成するように構成され、前記編成列車の車上システムは、前記現用装置が生成した第1列車制御情報及び前記予備装置が生成した第2列車制御情報を入力し、前記第1列車制御情報に基づいて前記編成列車の走行を制御する一方、前記現用装置の異常により前記第1列車制御情報を入力しなかった場合は前記第2列車制御情報に基づいて前記編成列車の走行を制御する列車制御装置をさらに含む。
【発明の効果】
【0007】
前記編成列車の車上システムでは、前記編成列車の走行方向に応じて、前記一端側車両に設置された前記第1車上装置及び前記他端側車両に設置された前記第2車上装置の一方が現用装置に設定され、前記第1車上装置及び前記第2車上装置の他方が予備装置に設定される。このため、前記編成列車の前記一端側車両と前記他端側車両のそれぞれに一つずつ車上装置を設けるだけで前記編成列車における車上装置の二重化を実現できる。この結果、従来に比べて、前記編成列車における車上装置の二重化を実現するためコストが低減する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車上システムの概略構成を示している図である。
【
図2】前記車上システムの動作を説明するための図である。
【
図3】前記車上システムの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車上システムの概略構成を示している。実施形態に係る車上システムは、複数の車両1
1~1
nが連結されてなる編成列車3に適用される。編成列車3は、一端側車両1
1を先頭車両として走行(すなわち、矢印A方向に走行)すること、及び、他端側車両1
nを先頭車両として走行(すなわち、矢印B方向に走行)することが可能であり、一端側車両1
1には運転台5Aが、他端側車両1
nには運転台5Bが設けられている。
【0010】
前記車上システムは、第1車上子11、第2車上子21、第1インターフェース装置(以下「第1I/F装置」という)12、第2インターフェース装置(以下「第2I/F装置」という)22、第1車上装置13、第2車上装置23及び列車制御装置30を含む。第1車上子11、第1I/F装置12及び第1車上装置13は、編成列車3の一端側車両11に設置されている。第2車上子21、第2I/F装置22及び第2車上装置23は、編成列車3の他端側車両1nに設置されている。列車制御装置30は、編成列車3の任意の位置に設定されている。第1I/F装置12は、通信線を介して運転台5A、第1車上子11、第1車上装置13及び列車制御装置30に接続されており、第2I/F装置22は、通信線を介して運転台5B、第2車上子21、第2車上装置23及び列車制御装置30に接続されている。
【0011】
また、一端側車両11に設置された第1I/F装置12と他端側車両1nに設置された第2車上装置23とは通信線7Aを介して接続され、他端側車両2nに設置された第2I/F装置22と一端側車両21に設置された第1車上装置13とは通信線7Bを介して接続されている。本実施形態において、第1I/F装置12、第1車上装置13、第2I/F装置22及び第2車上装置23は、パラレル入力をシリアルデータに変換すると共にシリアル入力をパラレルデータに変換するパラレル-シリアル変換部12a、13a、22a、23aをそれぞれ有している。そのため、通信線7A、7Bは、シリアル通信線で構成されている。
【0012】
第1車上子11及び第2車上子21は、編成列車3の走行路50に設置された地上子51を介して地上装置52から提供される情報(以下「地上側情報」という)を受信可能に構成されている。第1I/F装置12及び第2I/F装置22は、情報やデータの入出力処理を行う。第1車上装置13及び第2車上装置23は、第1I/F装置12又は第2I/F装置22から出力される複数の情報を入力して編成列車3の走行状態を制御するための情報(以下「列車制御情報」という)を生成する。列車制御装置30は、第1車上装置13又は第2車上装置23が生成した前記列車制御情報に基づいて編成列車3の走行状態を制御する。
【0013】
そして、本実施形態に係る車上システムにおいては、編成列車3の走行方向に応じて、第1車上装置13及び第2車上装置23の一方が現用装置(換言すれば、メイン車上装置)に設定され、第1車上装置13及び第2車上装置23の他方が前記現用装置の異常時等に前記現用装置に代替する予備装置(換言すれば、サブ車上装置)に設定されるように構成されている。
【0014】
次に、
図2、
図3を参照して前記車上システムの具体的な動作について、(1)編成列車3が一端側車両1
1を先頭車両として走行(すなわち、矢印A方向に走行)している場合と、(2)編成列車3が他端側車両1
nを先頭車両として走行(すなわち、矢印B方向に走行)している場合とに分けて説明する。
【0015】
(1)編成列車3が一端側車両1
1を先頭車両として走行している場合(
図2)
この場合、先頭車両である一端側車両1
1に設置された第1車上装置13が前記現用装置(メイン車上装置)に設定され、後尾車両となる他端側車両1
nに設置された第2車上装置23が前記予備装置(サブ車上装置)に設定される。例えば、前記車上システムは、一端側車両1
1に設置された運転台5Aが起動すると、第1車上装置13を前記現用装置に設定し、第2車上装置23を前記予備装置に設定するように構成され得る。
【0016】
編成列車3の走行中、第1車上子11は、地上子51上を通過するたびに地上子51を介して前記地上側情報を受信し、受信した前記地上側情報を第1I/F装置12に出力する。前記地上側情報は、制限速度情報及び走行可能距離の少なくとも一方を含む。また、編成列車3の走行中、第1I/F装置12は、運転台5Aから提供される編成列車3の状態情報(以下「列車状態情報」という)を継続的に入力する。前記列車状態情報は、編成列車3の走行速度や編成列車3の位置などを含む。すなわち、編成列車3が矢印A方向に走行している場合、第1I/F装置12には、地上装置52から提供される前記地上側情報と、運転台5Aから提供される前記列車状態情報とが入力される。
【0017】
第1I/F装置12は、前記地上側情報及び前記列車状態情報を入力すると、入力した前記地上側情報及び前記列車状態情報をそのまま第1車上装置13に出力すると共に、入力した地上装置52及び前記列車状態情報をシリアルデータ(以下「第1シリアルデータ」という)に変換し、前記第1シリアルデータを通信線7Aを介して第2車上装置23に出力する。
【0018】
第1車上装置13は、第1I/F装置12から出力された前記地上側情報及び前記列車状態情報を入力すると、入力した前記地上側情報及び前記列車情報に基づいて列車制御情報を生成する。そして、第1車上装置13は、生成した列車制御情報を第1I/F装置12に出力する。前記列車制御情報は、編成列車3の走行状態を制御する情報であり、ブレーキ指令や自動運転時の加減速指令などの各種指令を含む。
【0019】
第2車上装置23は、第1I/F装置12から出力された前記第1シリアルデータを入力すると、入力した前記第1シリアルデータをパラレル情報に変換し、変換後の情報である前記地上側情報及び前記列車状態情報に基づいて、前記各種指令を含む前記列車制御情報を生成する。そして、第2車上装置23は、生成した前記列車制御情報をシリアルデータ(以下「第2シリアルデータ」という)に変換し、前記第2シリアルデータを通信線7Aを介して第1I/F装置12に出力する。
【0020】
ここで、第1車上装置13が入力する前記地上側情報及び前記列車状態情報と、第2車上装置23が入力する前記第1シリアルデータとは、形態は異なるが同内容の情報(すなわち、共通情報)である。また、第1車上装置13と第2車上装置23とは、前記共通情報に基づいて前記列車制御情報を生成するという同内容の処理(すなわち、共通処理)を行っている。したがって、第1車上装置13が生成した前記列車制御情報と前記第2車上装置23が生成した前記列車制御情報とは同じである。
【0021】
第1I/F装置12は、第1車上装置13から出力された前記列車制御情報と第2車上装置23から出力された前記第2シリアルデータとを入力する。第1I/F装置12は、第1車上装置13から出力された前記列車制御情報を入力すると、入力した前記列車制御情報を列車制御装置30に出力する。また、第1I/F装置12は、第2車上装置23から出力された前記第2シリアルデータを入力すると、入力した前記第2シリアルデータをパラレル情報に変換し、変換後の情報である前記列車制御情報を列車制御装置30に出力する。つまり、列車制御装置30には、第1車上装置13が生成した前記列車制御情報と第2車上装置23が生成した前記列車制御情報とが入力される。
【0022】
そして、列車制御装置30は、前記現用装置に設定された第1車上装置13が生成した前記列車制御情報を入力した場合には、前記第1車上装置13が生成した前記列車制御情報に基づいて編成列車3の走行状態を制御する。すなわち、列車制御装置30は、前記列車制御情報に含まれた前記各種指令に基づいて編成列車3のブレーキ装置やモータを制御する。一方、列車制御装置30は、第1車上装置13が生成した前記列車制御情報を入力しなかった場合には、前記予備装置に設定された第2車上装置23が生成した前記列車制御情報に基づいて編成列車3の走行状態を制御する。したがって、例えば前記現用装置に設定された第1車上装置13に異常が生じた場合には、第1車上装置13の機能が前記予備装置に設定された第2車上装置23によってバックアップされ得る。つまり、車上装置の二重化が実現される。
【0023】
(2)編成列車3が他端側車両1
nを先頭車両として走行している場合(
図3)
この場合、先頭車両である他端側車両1
nに設置された第2車上装置23が前記現用装置(メイン車上装置)に設定され、後尾車両となる一端側車両1
1に設置された第1車上装置13は前記予備装置(サブ車上装置)に設定される。例えば、前記車上システムは、他端側車両1
nに設置された運転台5Bが起動すると、第2車上装置23を前記現用装置に設定し、第1車上装置13を前記予備装置に設定するように構成され得る。
【0024】
編成列車3の走行中、第2車上子21は、地上子51上を通過するたびに地上子51を介して前記地上側情報を受信し、受信した前記地上側情報を第2I/F装置22に出力する。また、編成列車3の走行中、第2I/F装置22は、運転台5Bから提供される前記列車状態情報を継続的に入力する。すなわち、編成列車3が矢印B方向に走行している場合、第2I/F装置22には、地上装置52から提供される前記地上側情報と、運転台5Bから提供される前記列車状態情報とが入力される。
【0025】
第2I/F装置22は、前記地上側情報及び前記列車状態情報を入力すると、入力した前記地上側情報及び前記列車状態情報を前記現用装置に設定された第2車上装置23に出力すると共に、入力した地上装置52及び前記列車状態情報をシリアルデータ(以下「第3シリアルデータ」という)に変換し、前記第3シリアルデータを通信線7Bを介して前記予備装置に設定された第1車上装置13に出力する。
【0026】
第2車上装置23は、第2I/F装置22から出力された前記地上側情報及び前記列車状態情報を入力すると、入力した前記地上側情報及び前記列車情報に基づいて列車制御情報を生成する。そして、第2車上装置23は、生成した列車制御情報を第2I/F装置22に出力する。
【0027】
第1車上装置13は、第2I/F装置22から出力された前記第3シリアルデータを入力すると、入力した前記第3シリアルデータをパラレル情報に変換し、変換後の情報である前記地上側情報及び前記列車状態情報に基づいて前記列車制御情報を生成する。そして、第2車上装置23は、生成した前記列車制御情報をシリアルデータ(以下「第4シリアルデータ」という)に変換し、前記第4シリアルデータを通信線7Bを介して第2I/F装置22に出力する。
【0028】
ここで、第2車上装置23が入力する前記地上側情報及び前記列車状態情報と第1車上装置13が入力する前記第3シリアルデータとは同内容の情報であり、第1車上装置13と第2車上装置23とは前記共通情報に基づいて前記列車制御情報を生成する。したがって、第1車上装置13が生成した前記列車制御情報と前記第2車上装置23が生成した前記列車制御情報とは同じである。
【0029】
第2I/F装置22は、第2車上装置23から出力された前記列車制御情報と第1車上装置13から出力された前記第3シリアルデータとを入力する。第2I/F装置22は、第2車上装置23から出力された前記列車制御情報を入力すると、入力した前記列車制御情報を列車制御装置30に出力する。また、第2I/F装置22は、第1車上装置13から出力された前記第4シリアルデータを入力すると、入力した前記第4シリアルデータをパラレル情報に変換し、変換後の情報である前記列車制御情報を列車制御装置30に出力する。つまり、列車制御装置30には、第1車上装置13が生成した前記列車制御情報と第2車上装置23が生成した前記列車制御情報とが入力される。
【0030】
そして、列車制御装置30は、前記現用装置に設定された第2車上装置23が生成した前記列車制御情報を入力した場合には、前記第2車上装置23が生成した前記列車制御情報に基づいて編成列車3の走行状態を制御する。一方、列車制御装置30は、第2車上装置23が生成した前記列車制御情報を入力しなかった場合には、前記予備装置に設定された第1車上装置13が生成した前記列車制御情報に基づいて編成列車3の走行状態を制御する。したがって、例えば前記現用装置に設定された第2車上装置23に異常が生じた場合には、第2車上装置23の機能が前記予備装置に設定された第1車上装置13によってバックアップされ得る。つまり、車上装置の二重化が実現される。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係る車上システムによれば、編成列車3の一端側車両11に一つの車上装置13を設けると共に他端側車両1nに一つの車上装置23を設けるだけで、編成列車3が一端側車両11を先頭車両として走行する場合と編成列車3が他端側車両1nを先頭車両として走行する場合のいずれにおいても、車上装置の二重化が実現され得る。このため、従来に比べて、編成列車における車上装置の二重化を実現するためコストが低減する。
【0032】
また、本実施形態に係る車上システムにおいて、第1I/F装置12、第1車上装置13、第2I/F装置22及び第2車上装置23は、パラレル-シリアル変換部12a、13a、22a、23aをそれぞれ有している。そして、一端側車両11に設置された第1I/F装置12と他端側車両1nに設置された第2車上装置23とを接続する通信線7Aと、他端側車両1nに設置された第2I/F装置22と他端側車両1nに設置された第1車上装置13とを接続する通信線7Bとがシリアル通信線で構成されている。このため、一端側車両11と他端側車両1nとの間をつなぐ通信線の数が少なくて済み、前記車上システムのコストがさらに抑制される。
【0033】
なお、上述の実施形態においては、前記地上側情報を第1車上子11、第2車上子21によって受信しているが、これに限られるものではない。第1車上子11及び第2車上子21に代えて又は加えて第1車上無線機及び第2車上無線機が設けられてもよい。この場合、走行路50に沿って複数の沿線無線機が設置され、前記第1車上無線機及び前記第2車上無線機は、前記沿線無線機を介して前記地上側情報を受信し、受信した前記地上側情報を第1I/F装置12又は第2I/F装置22に出力するように構成され得る。あるいは、前記第1車上無線機及び前記第2車上無線機は、前記沿線無線機を介して前記地上側情報を受信し、受信した前記地上側情報を第1I/F装置12又は第2I/F装置22に出力すると共に、第1車上子11及び第2車上子21は、絶対位置確定用地上子から絶対位置情報を受信し、受信した絶対位置情報を第1I/F装置12又は第2I/F装置22に出力するように構成され得る。
【0034】
また、上述の実施形態において、編成列車3が一端側車両11を先頭車両として走行している場合、前記予備装置に設定された第2車上装置23が生成した前記列車制御情報は第1I/F装置12を介して列車制御装置30に出力されている。しかし、これに限られるものではなく、第2車上装置23が生成した前記列車制御情報は、第2I/F装置22を介して列車制御装置30に出力されてもよい。この場合、第2車上装置23は、生成した前記列車制御情報をシリアルデータに変換することなく第2I/F装置22に出力することが可能である。同様に、編成列車3が一端側車両1nを先頭車両として走行している場合、前記予備装置に設定された第1車上装置13が生成した前記列車制御情報は第2I/F装置22を介して列車制御装置30に出力されている。しかし、これに限られるものではなく、第1車上装置13が生成した前記列車制御情報は、第1I/F装置12を介して列車制御装置30に出力されてもよい。この場合、第1車上装置13は、生成した前記列車制御情報をシリアルデータに変換することなく第1I/F装置12に出力することが可能である。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
11~1n…車両
3…編成列車
5A,5B…運転台
7A、7B…シリアル通信線
11…第1車上子
12…第1インターフェース装置
13…第1車上装置
21…第2車上子
22…第2インターフェース装置
23…第2車上装置
30…列車制御装置
50…走行路
51…地上子
52…地上装置