(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】機械式駐車場、機械式駐車場システム
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20220530BHJP
E04H 6/00 20060101ALI20220530BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20220530BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
E04H6/18 601B
E04H6/00 A
G08B25/00 510M
H04N7/18 D
(21)【出願番号】P 2017057885
(22)【出願日】2017-03-23
【審査請求日】2019-08-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 幸央
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-102346(JP,A)
【文献】特開平09-198534(JP,A)
【文献】特開2001-148081(JP,A)
【文献】特開2000-064646(JP,A)
【文献】特開2002-150499(JP,A)
【文献】特開2016-003493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/42
G08B 25/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を格納棚へ格納する機械式駐車場であって、
前記車両を前記格納棚へ格納する安全な動作が確保されていない異常状態に対応する値を検知するセンサと、
前記センサによって前記安全な動作が確保される場所を含む場内映像を撮像する撮像部と、
映像を記録する記録部と、
前記場内映像を連続して記録する連続記録部と、
を備え、
前記記録部は、
前記連続記録部から、前記センサが
前記車両を前記格納棚へ格納する前記安全な動作が確保されていない前記異常状態に対応する値を検知したときの前後の前記場内映像を抜き出して記録することを特徴とする機械式駐車場。
【請求項2】
表示部をさらに備え、
前記センサが異常状態に対応する値を検知した場合、前記表示部には、前記検知時の時刻が表示されることを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車場。
【請求項3】
前記表示部は、駐車場管理者に情報を表示する管理者用モニタであり、
前記センサが異常状態に対応する値を検知した場合、前記管理者用モニタには、前記時刻と前記異常状態が検出されたことを示す情報とが表示されることを特徴とする請求項2に記載の機械式駐車場。
【請求項4】
送信部をさらに備え、
前記センサが前記安全な動作が確保されていない前記異常状態に対応する値を検知した場合、前記送信部は、当該検知時の前後に撮像された前記場内映像である前後の映像を通信ネットワークを介してサーバに送信することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の機械式駐車場。
【請求項5】
請求項4に記載の機械式駐車場と、前記サーバと、を含む機械式駐車場システムであって、
前記センサが前記安全な動作が確保されていない異常状態に対応する値を検知した場合、前記サーバと前記送信部の少なくとも一方は、当該機械式駐車場のサービスマンが所持する情報端末に、前記前後の映像を送信することを特徴とする機械式駐車場システム。
【請求項6】
前記センサが前記安全な動作が確保されていない異常状態に対応する値を検知した場合、前記サーバと前記送信部の少なくとも一方は、前記情報端末に前記検知時の時刻と前記異常状態が検出されたことを示す情報とを送信することを特徴とする請求項5に記載の機械式駐車場システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車場および機械式駐車場システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少ないスペースで多数の車両を効率的に駐車できる駐車場として、機械式駐車場が知られている。機械式駐車場も種々の構造が提供されているが、その1つとしてパレット上に車両を載置し、このパレットを前後或いは左右にレールや溝を利用して移動させることにより、空いているパレットスペースへ運ぶ構成としたパレット式の機械式駐車場が提供されている。また、このパレット式の機械式駐車場にリフト及び立体的な駐車層を組み合わせることにより、より駐車効率を高めた機械式駐車場も提供されている。
例えば、特許文献1には、乗入室の内部に人や車両が進入したことを検知する内部感応センサを備えた機械式駐車場が記載されている。特許文献1に記載の機械式駐車場は、内部感応センサから発信される内部感応信号に応じて所定の場合に警報を発するとともに、機械式駐車場の管理システムに通報するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は機械式駐車場について以下のような認識を得た。乗降室に進入した車両を格納する搬送設備を備える機械式駐車場は、安全な動作を確保するために、搬送機構などの異常を検知するセンサを備えることがある。このセンサが異常状態に対応する異常値を検知した場合には、搬送機構など駐車場設備の動作を停止させ、サービスエンジニアなどのサービスマンに来援を要請することになる。しかし、サービスマンが到着したときには、センサが異常値を検知したときから状況が変化しており、センサが異常値を検知した原因を特定することが困難な場合も考えられる。この原因を特定できない場合には、駐車場の施設を確認するのに時間がかかることがあり、駐車場の利用者にとって不便である。
【0005】
このことから、本発明者は、機械式駐車場には、センサが異常状態に対応する異常値を検知した場合に、その原因の特定を容易にする観点で改善すべき課題があることを認識した。
このような課題はパレット式の機械式駐車場に限られず他の種類の機械式駐車場についても生じうる。
【0006】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、センサが異常値を検知した場合に、その原因を特定することが容易な機械式駐車場を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の機械式駐車場は、車両を格納棚へ格納する機械式駐車場であって、本機械式駐車場のあらかじめ定められた値を検知するセンサと、本機械式駐車場の場内映像を撮像する撮像部と、映像を記録する記録部と、を備える。記録部は、センサが異常状態に対応する値を検知したとき、当該検知時に撮像された場内映像を記録する。
【0008】
この態様によると、機械式駐車場において、センサが異常状態に対応する値を検知したとき、記録部は、当該検知時に撮像された場内映像を記録することができる。
【0009】
本発明の別の態様もまた、機械式駐車場である。この機械式駐車場は、車両を格納棚へ格納する機械式駐車場であって、本機械式駐車場のあらかじめ定められた値を検知するセンサと、本機械式駐車場の場内映像を撮像する撮像部と、送信部と、を備える。センサが異常状態に対応する値を検知した場合、送信部は、当該検知時の前後に撮像された場内映像である前後の映像を通信ネットワークを介してサーバに送信する。
【0010】
本発明のさらに別の態様は機械式駐車場システムである。この機械式駐車場システムは、上述の機械式駐車場と、サーバと、を含む機械式駐車場システムであって、サーバと送信部の少なくとも一方は、当該機械式駐車場のサービスマンが所持する情報端末に、前後の映像を送信する。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、センサが異常値を検知した場合に、その原因を特定することが容易な機械式駐車場を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る機械式駐車場の正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る機械式駐車場の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図1の機械式駐車場の乗降室を示す平面図である。
【
図4】
図1の機械式駐車場の乗降室を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る機械式駐車場の表示部の周辺を示す模式図である。
【
図6】第1実施形態に係る機械式駐車場の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第1実施形態に係る機械式駐車場の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図8】第2実施形態に係る機械式駐車場の構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】第2実施形態に係る機械式駐車場の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第2実施形態に係る機械式駐車場の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図11】第3実施形態に係る機械式駐車場システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】第3実施形態に係る機械式駐車場システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者は機械式駐車場について研究し以下のような知見を得た。
乗降室に進入した車両を格納する搬送設備を備える機械式駐車場は、安全な動作を確保するために、乗降室や格納棚で人や物を検知するセンサ、車両のはみ出しなどを検知するセンサ、搬送機構の異常な動作を検知するセンサなど、各種のセンサを備えることがある。このような駐車場では、これらのセンサが異常状態に対応する値(以下、異常値と表記することがある)を検知した場合に、搬送機構など駐車場設備の動作を自動的に停止させることが考えられる。異常値を検知した原因が明確で、且つ、取り除くことが容易な場合は、駐車場の管理者がこれに対処して動作を再開させることができる。
【0015】
また、異常値を検知した原因が明確でない場合や、駐車場の管理者では駐車場の動作を再開させることができない場合には、サービスエンジニアなど駐車場のサービスマンに来援を要請することになる。しかし、サービスマンが到着したときには、センサが異常値を検知したときから状況が変化していることがある。例えば、人や物を検知するセンサが、ネズミや鳥などの小動物を検知したり、車両の屋根から落下した例えば雪の塊を検知したことにより、異常値を検知した場合には、サービスマンが到着したときには、それらは失われ、センサが異常値を検知した原因を特定することは困難である。
【0016】
また、例えば、搬送途中の車両から張出している部分が設備と干渉して、その設備のセンサが異常値を検知することがあり、この場合もサービスマンが到着したときには、状況が変化してセンサが異常値を検知した原因が判明しないことも考えられる。これらの原因が特定できない場合は、駐車場の設備それぞれを詳細に確認する場合が多く、駐車場が使用可能になるまでに多くの作業工数が掛かることも考えられる。
【0017】
このような知見に対応して、本発明者は、駐車場の場内映像を撮像して、センサが異常値を検知したとき、その検知時に撮像された場内映像を自動的に記録することで、異常値を検知した原因を特定する作業が容易になることを見出した。また、その検知時に対応する時刻や異常状態に関する情報を表示させることにより異常値を検知した原因を特定する作業が容易になることを見出した。つまり、記録された場内映像からセンサが異常値を検知したタイミングに対応する部分を観察することにより、センサが異常値を検知した原因が判明しやすくなる。
各実施形態はこのような思索に基づいて案出されたもので、以下にその具体的な構成を説明する。
【0018】
以下、本発明を好適な各実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。各実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において各実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0019】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態は機械式駐車場である。
図1は、第1実施形態に係る機械式駐車場100の正面図である。
図2は、第1実施形態に係る機械式駐車場100の構成の一例を示すブロック図である。
図2は第1実施形態を説明する上で重要ではない要素の一部を省略して表示している。第1実施形態に係る機械式駐車場100は、乗降室12に進入した自動車などの車両20を格納棚14へ格納する。以下、XYZ直交座標系をもとに説明する。X軸方向は水平な左右方向に対応し、Z軸方向は水平な前後方向に対応し、Y軸方向は鉛直な上下方向に対応する。Y軸方向およびZ軸方向はそれぞれX軸方向に直交する。
【0020】
機械式駐車場100は、地上に設けられた建物24の地下に地下3階まで設けられた、いわゆる地下式の機械式駐車場である。機械式駐車場100は、待機室18と、乗降室12と、パレット36と、格納棚14と、を備える。格納棚14は建物24の地下1階~3階それぞれに設けられる駐車室である。
【0021】
機械式駐車場100は、パレットを用いたパレット式の駐車場である。このパレット式の機械式駐車場100は、後述する昇降装置を用いて車両20が搭載された状態のパレット36を昇降させる。機械式駐車場100は、後述する移載装置を使用してパレットを面方向に移動させたりする。これらの動作により、機械式駐車場100は格納棚14に車両20を駐車させるように構成される。なお、パレットを用いることは必須ではない。
【0022】
待機室18は、機械式駐車場100の管理者が待機するために建物24に設けられている。待機室18は、
図1に示すように、乗降室12の近傍に設けられてもよい。待機室18には、後述する記録部46と、表示部48と、操作入力部49と、が設置されてもよい。なお、待機室18が設けられることは必須ではない。
【0023】
(乗降室)
乗降室12は、機械式駐車場100へ車両20を入れたり機械式駐車場100から車両20を取り出したりするために建物24内に設けられている。乗降室12は、建物24内において、例えば昇降路96の上端に設けられる。
【0024】
図3は乗降室12を示す平面図である。
図4は乗降室12を示す斜視図である。これらの図では車両20の記載を省略している。乗降室12は、床面12gと、天井12cと、壁部12wと、乗降室扉16と、出入口12bと、を備える。乗降室12は、床面12gと天井12cの間において4方の壁部12wによって画定された略直方体空間を囲む部屋である。一方の壁部12wに形成された出入口12bには開閉可能な乗降室扉16が設けられる。格納動作をするとき、乗降室12は乗降室扉16によって閉じられる。
【0025】
乗降室12の床面12gには、乗降室12と昇降路とを連通するパレット開口26が設けられている。このパレット開口26の大きさは、パレット36がパレット開口26の周面と干渉することなく通過できるように、平面視でのそのパレットの大きさに十分な量のマージンを加えた大きさとされる。第1実施形態のパレット開口26は、例えば略矩形状を有する。
【0026】
図2~
図4を参照して、第1実施形態に係る機械式駐車場100の構成について説明する。機械式駐車場100は、センサ40と、撮像部44と、記録部46と、連続記録部47と、表示部48と、操作盤28と、制御装置30と、を主に含む。操作盤28は乗降室12の外側に設けられる。制御装置30は乗降室12の内側に設けられる。制御装置30は乗降室12の内側に限られず他の場所に設けられてもよい。
図2に示すように、制御装置30には操作盤28が接続される。
【0027】
(センサ)
次に、センサ40について説明する。センサ40は、機械式駐車場100の各種状態を検知する検知手段として機能する。センサ40は、機械式駐車場100のあらかじめ定められた値を検知する。センサ40は、検知結果40bを制御装置30に出力する。一例として、センサ40は、乗降室12に設けられ、車両20のはみ出しを検知するレーザセンサである。センサ40は、例えば、乗降室12において、パレット36のZ軸に平行な側辺に対応して設けられる。センサ40は、YZ平面に平行な検出面40cをレーザにより走査し、検出面40cを横切る物体がある場合にはその物体からの反射を感知してはみ出しを検知する。センサ40は、パレット36の左右両側に対応してそれぞれひとつずつ設けられる。
【0028】
センサ40は、車両20がはみ出してない定常時には床面12gに対応した正常値40nを検知結果40bとして制御装置30に出力する。センサ40は、車両20がはみ出しているときは正常値40nとは異なる異常値40eを検知結果40bとして制御装置30に出力する。センサ40は、車両20がはみ出していない場合でも、その検知エリアに乗降室12に居残った利用者や置き忘れた荷物などが存在する場合に、正常値40nとは異なる異常値40eを検知して制御装置30に出力する。
【0029】
(撮像部)
次に、撮像部44について説明する。撮像部44は、機械式駐車場100の場内映像42を撮像する映像取得部として機能する。撮像部44は、制御装置30によって制御され、動画または静止画を撮影するカメラを含んで構成することができる。撮像部44は、死角を減らすために複数のカメラを含んでもよい。一例として、撮像部44は、乗降室12を撮像する3つのカメラ44b、44c、44dを含んでいる。カメラ44b、44cは、乗降室12の中心を挟んで対向する2つの隅部12h、12jの天井12c近くに、レンズの光軸44eが斜め下向きに取付けられる。カメラ44dは乗降室12の天井12cの中央部近傍にレンズの光軸44eが下向きに取付けられている。
【0030】
場内映像42は、カメラ44b、44c、44dが撮像する3つの場内映像42b、42c、42dを含む。場内映像42b、42c、42dは、それぞれ独立した映像データであってもよいが、合成された1つの映像データであってもよい。撮像部44は、乗降室12を常時撮像するようにしてもよい。あるいは、撮像部44は、駐車場の設備が動作開始してから、動作を停止するまでの間、乗降室12を撮像するようにしてもよい。撮像部44は、撮像結果としての場内映像42を制御装置30に出力する。
【0031】
(記録部)
次に記録部46について説明する。記録部46は、映像データを記録する記録手段として機能する。記録部46は、場内映像42とともに記録した時刻または撮像した時刻を記録するように構成されてもよい。記録部46は、映像を記録できるものであれば特に限定されないが、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの非半導体型記憶装置やフラッシュメモリなどの半導体記憶装置を備えて構成することができる。記録部46は、例えば、制御装置30によって制御されてもよい。記録部46は、制御装置30の制御に基づいて場内映像42の記録を開始、停止することができる。記録部46は、制御装置30の制御に基づいて、記録された場内映像42を出力することができる。特に、記録部46は、センサ40が異常値40eを検知したとき、当該検知時に撮像された場内映像42を記録するように構成されている。
【0032】
より具体的には、記録部46は、センサ40が異常値40eを検知したとき、その検知時から所定の記録期間T1が経過するまでに撮像された場内映像42を記録するように構成されている。記録部46に記録された記録期間T1の映像を部分場内映像42pと表記する。記録期間T1が短すぎると、センサ40が異常値40eを検知した原因の特定をすることができず、記録期間T1が長すぎると必要な記録容量が過大になり、設備が高価になる。記録期間T1は、原因の特定が容易になり、商業的に許容される価格で構成可能な範囲で設定することができる。一例として、記録期間T1は、10秒から180秒の範囲に設定してもよい。記録部46はフラッシュメモリなどの半導体記憶装置を含んでもよい。
【0033】
(連続記録部)
連続記録部47は、場内映像42を連続して記録するように構成されている。連続記録時間が長くなると記録容量が足りなくなるため、所定の記録期間T3以前の記録を消去しながら、新たに記録するようにしている。つまり、連続記録部47は、常に最新の記録期間T3分の場内映像42の連続映像である連続場内映像42cを保持している。記録期間T3が長すぎると必要な記録容量が過大になり、設備が高価になる。記録期間T3は、商業的に許容される価格で構成可能な範囲で設定することができる。記録期間T3は、例えば、8時間から6ヶ月の範囲に設定してもよい。連続記録部47は、HDDなどの非半導体型記憶装置を含んでもよい。連続記録部47と記録部46とは一体の記憶装置の分割された領域として設けられてもよい。
【0034】
(表示部)
次に表示部48について説明する。
図5は、表示部48の周辺を示す模式図である。表示部48は、文字情報や映像情報を画面上に出力する表示手段として機能する。表示部48は、文字情報などを表示可能な装置であれば特に限定はない。表示部48は、駐車場管理者のために情報を表示する管理者用モニタ48mであってもよい。
【0035】
表示部48には、種々の表示原理に基づく表示装置を用いることができる。
図5の例では、表示部48には、液晶モジュールを備えた液晶ディスプレイが用いられている。実施の形態では、表示部48は、キーボードを備えた操作入力部49とともに使用される駐車場管理者用の情報端末50に含まれている。表示部48は、後述する操作盤28に含まれてもよい。
【0036】
表示部48は、例えば、制御装置30によって制御される。表示部48は、制御装置30の制御に基づいて所定の情報を表示することができる。特に、表示部48は、検知時の時刻T0とともに異常状態が検出されたことを示す異常情報40fを表示する。
図5の例では、表示部48には、検知時の時刻T0と、異常情報40fと、サムネイル画像42sと、が表示されている。サムネイル画像42sは、例えば、場内映像42の検知時に撮像された部分の静止画像または、短時間動画であってもよい。
【0037】
(操作盤)
次に操作盤28について説明する。操作盤28は、駐車場の利用者または駐車場の管理者に対するユーザインタフェースとしての機能を有する。操作盤28は、乗降室扉16や移送機構37の動作開始などの操作の入力を受け付けて、操作結果を制御装置30に出力するとともに駐車場の動作状態などの表示をなすタッチパネル(不図示)を備えてもよい。
【0038】
次に制御装置30について説明する。
図2に示す制御装置30の各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0039】
制御装置30は、検知結果取得部30bと、第1映像取得部30cと、第1制御部30dと、表示制御装置30eと、操作結果取得部30fと、操作盤制御部30gと、第2映像取得部30hと、第2制御部30jと、第3映像取得部30kと、第3制御部30mと、移送制御装置30nと、乗降扉制御装置30pと、を含む。
【0040】
検知結果取得部30bは、センサ40の検知結果40bを取得する。第1映像取得部30cは、撮像部44が撮像した場内映像42を取得する。第1制御部30dは、撮像部44を制御して、撮像動作の開始・停止など所定の動作を行わせる。表示制御装置30eは、管理者用の情報端末50の表示部48を制御して、時刻T0、異常情報40f、サムネイル画像42sなど所定の表示を行わせる。操作結果取得部30fは、管理者用の情報端末50の操作入力部49の各操作部の操作に基づきその操作結果を取得する。操作盤制御部30gは、操作盤28から乗降室扉16や移送機構37の動作開始などの操作結果を取得し、駐車場の動作状態などを表示するように操作盤28を制御する。
【0041】
第2映像取得部30hは、連続記録部47が記録した連続場内映像42cを取得する。第2制御部30jは、連続記録部47を制御して、撮像部44から取得した場内映像42を記録させる。第2制御部30jは、連続記録部47に、撮影時刻を付加した場内映像42を記録させるようにしてもよい。第3映像取得部30kは、記録部46が記録した部分場内映像42pを取得する。第3制御部30mは、連続場内映像42cから部分場内映像42pを取得する。第3制御部30mは、記録部46を制御して、その部分場内映像42pを記録部46に記録させる。移送制御装置30nは、乗降室12と格納棚14との間で車両20を移送して格納または搬出するように移送機構37を制御する。乗降扉制御装置30pは、乗降室12を開閉するように乗降室扉16を制御する。
【0042】
次に、
図1を参照して、第1実施形態の機械式駐車場100のその他の構成を説明する。機械式駐車場100は、移送機構37をさらに備える。移送機構37は、車両20を載せたパレット36を乗降室12と格納棚14との間で移送して格納または搬出する機構である。移送機構37は第1移載装置38と、第2移載装置39と、複数(例えば、2本または4本)のマスト90と、リフトフレーム88と、昇降装置94と、を含む。第2移載装置39は複数設けられる。1階~3階の格納棚14はそれぞれ複数(例えば、10)の駐車スペースを含む。それら複数の駐車スペースは、平面視した場合に移載方向(図のX軸方向)に5行、移載方向と実質的に直交する交差方向(図のZ軸方向)に2列のマトリクス状に配列される。駐車スペースはパレットと共に車両20が駐車されうる格納棚内の一つの駐車領域(駐車の1単位)である。1階~3階の格納棚14それぞれは、格納棚の床を画定するフレーム80を含む。それぞれのフレーム80には第2移載装置39が固定される。
【0043】
各マスト90は断面が略矩形の昇降路96の隅に設けられる支柱である。リフトフレーム88は、平面視で略矩形状に形成され、複数のマスト90に昇降自在に支持される。リフトフレーム88の上部には第1移載装置38が搭載される。昇降装置94は昇降路96に沿ってリフトフレーム88を昇降させる。第1移載装置38の上部にはパレットが搭載される。第1移載装置38は、移載方向にパレットを移動可能に構成される。パレット36はいずれも平板状の部材である。パレット36の車両20が搭載される上面すなわち車両20搭載面は略矩形である。パレット36は画一的な大きさを有する。
【0044】
(動作)
次に、以上のように構成された機械式駐車場100の動作の一例について説明する。
図6は、第1実施形態に係る機械式駐車場100の動作の一例を示すフローチャートである。
図6は、センサ40が異常値40eを検知したとき、その検知時に撮像された場内映像を記録部46に記録するとともに、その検知した時刻T0と異常情報40fとを表示部48に表示する処理S200を示している。
図7は、機械式駐車場100の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図7は、機械式駐車場100において部分場内映像42pを取得する動作を示している。
【0045】
処理S200を開始すると、制御装置30は、センサ40から検知結果を取得する(ステップS202)。検知結果を取得した制御装置30は、その検知結果が異常値40eであるか否かを判定する(ステップS204)。検知結果が異常値40eでなく正常値40nである場合(ステップS204のN)、制御装置30は、処理をステップS202の先頭に戻し、ステップS202~S204を繰り返す。検知結果が異常値40eである場合(ステップS204のY)、制御装置30は、異常値40eを検知した時刻T0を取得する(ステップS206)。
【0046】
時刻T0を取得した制御装置30は、
図7に示すように、撮像部44から場内映像42の取得を開始する(ステップS208)。制御装置30は、取得した場内映像42を保持する。場内映像42の取得を開始した制御装置30は、時刻T0から記録期間T1を経過したか否かを判定する(ステップS210)。記録期間T1を経過していない場合(ステップS210のN)、制御装置30は、処理をステップS210の先頭に戻し、ステップS210を繰り返す。この間、制御装置30は、撮像部44から場内映像42の取得を継続する。記録期間T1を経過した場合(ステップS210のY)、制御装置30は、
図7に示すように、場内映像42の取得を終了する(ステップS212)。
【0047】
場内映像42の取得を終了した制御装置30は、時刻T0から記録期間T1が経過するまでに取得した部分場内映像42pを記録部46に記録させる(ステップS214)。この際、部分場内映像42pには時刻T0を付加して記録部46に記録させる。場内映像42を記録させた制御装置30は、表示部48に時刻T0と異常情報40fとを表示させる(ステップS216)。この際、制御装置30は、時刻T0に撮像された場内映像42の一部を静止画像または短時間動画に変換し、サムネイル画像42sとして、表示部48に表示させるようにしてもよい(
図5も参照)。ステップS216を実行した制御装置30は、処理S200を終了する。
【0048】
なお、この処理S200はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを削除したり、ステップの順序を変更したりすることも可能である。
【0049】
次に、このように構成された第1実施形態の機械式駐車場100の作用・効果を説明する。
【0050】
第1実施形態の機械式駐車場100は、車両20を格納棚14へ格納する機械式駐車場であって、機械式駐車場100のあらかじめ定められた値を検知するセンサ40と、機械式駐車場100の場内映像42を撮像する撮像部44と、映像を記録する記録部46と、を備え、記録部46は、センサ40が異常状態に対応する値である異常値40eを検知したとき、当該検知時に撮像された場内映像42を記録する。この構成によれば、センサ40が異常値40eを検知した時刻T0に撮像された場内映像42を確認することによって、駐車場管理者やサービスマンは容易に事態を確認することができる。この結果、センサ40が異常値40eを検知した原因の特定が容易になり、その原因を早期に解消することが可能になる。
【0051】
第1実施形態の機械式駐車場100は、表示部48をさらに備え、センサ40が異常状態に対応する値である異常値40eを検知した場合、表示部48には、検知時の時刻T0が表示される。この構成によれば、センサ40が異常値40eを検知した時刻T0が表示されるため、この時刻T0を手がかりに、場内映像42を確認することができる。場内映像42の時刻T0に対応する部分を確認することによって、駐車場管理者およびサービスマンは容易に事態を確認することができる。
【0052】
第1実施形態の機械式駐車場100では、表示部48は、駐車場管理者に情報を表示する管理者用モニタ48mであり、センサ40が異常状態に対応する値である異常値40eを検知した場合、管理者用モニタ48mには、時刻T0と異常状態が検出されたことを示す異常情報40fとが表示される。この構成によれば、センサ40が異常値40eを検知した場合に、管理者用モニタ48mである表示部48に時刻T0と異常状態が検出されたことを示す異常情報40fとが表示されるため、駐車場管理者およびサービスマンは容易に事態を確認することができる。
【0053】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態は機械式駐車場である。
図8は、第2実施形態に係る機械式駐車場102の構成の一例を示すブロック図である。第2実施形態に係る機械式駐車場102は、第1実施形態に係る機械式駐車場100に対して、制御装置30に代えて制御装置32が設けられ、送信部52をさらに備えている点で相違し、その他の構成は同様である。したがって、重複する説明を省き送信部52について重点的に説明する。機械式駐車場102の機械式駐車場100と共通する構成については上述の説明を参照することができる。
【0054】
制御装置32は、制御装置30に対して送信制御部30sを含む点で相違し、その他の構成は同様である。送信制御部30sは送信部52を制御する。送信部52は、制御装置32に制御されて、あらかじめ定められた情報を通信ネットワーク54を介してサーバ56に送信する。機械式駐車場102では、送信部52は、センサ40が異常値40eを検知したとき、当該検知時の前後に撮像された場内映像である前後の映像42mを、通信ネットワーク54を介して接続されたサーバ56に送信するように構成されている。
【0055】
通信ネットワーク54は、例えば、コンピュータ機器や情報機器などの相互データ通信を可能とするネットワークである。通信ネットワーク54は、例えば、ピア・ツー・ピアアーキテクチャを用いて相互接続するものであってもよい。通信ネットワーク54は、例えば、限られた範囲内を相互接続するLAN(Local Area Network)であってもよく、インターネットなど広範囲に相互接続可能なネットワークであってもよい。送信部52は、例えば、有線または無線によって通信ネットワーク54に接続されてもよい。
【0056】
サーバ56は、例えば、通信ネットワーク54上で、情報ファイルを共有するために設置されるファイルサーバであってもよい。サーバ56は、送信部52から送信された場内映像42を保持して情報ファイルとして共有することができる。共有された情報ファイルは、通信ネットワーク54に接続された情報端末からアクセスすることができる。したがって、検知時の前後に撮像された場内映像である前後の映像42mを、サーバ56に送信して保持させることによって、機械式駐車場102から離れた場所に設置された情報端末から前後の映像42mを閲覧することが可能になる。前後の映像42mは、例えば、連続場内映像42cから抜き出して取得することができる。サーバ56は、駐車場と同じ建物24に設置されてもよく、別の建物に設置されてもよい。
【0057】
(動作)
次に、以上のように構成された機械式駐車場102の動作の一例について説明する。
図9は、第2実施形態に係る機械式駐車場102の動作の一例を示すフローチャートである。
図9は、センサ40が異常値40eを検知したとき、その検知時の前後に撮像された前後の映像42mをサーバ56に送信するとともに、その検知時刻と、異常値40eとを表示部48に表示する処理S230を示している。
図10は、機械式駐車場102の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図10は、機械式駐車場102において前後の映像42mを取得する動作を示している。
【0058】
処理S230を開始すると、制御装置30は、センサ40から検知結果を取得する(ステップS232)。検知結果を取得した制御装置30は、その検知結果が異常値40eであるか否かを判定する(ステップS234)。検知結果が異常値40eでなく正常値40nである場合(ステップS234のN)、制御装置30は、処理をステップS232の先頭に戻し、ステップS232~S234を繰り返す。検知結果が異常値40eである場合(ステップS234のY)、制御装置30は、異常値40eを検知した時刻T0を取得する(ステップS236)。
【0059】
時刻T0を取得した制御装置30は、
図10に示すように、連続記録部47から前後の映像42mを取得する(ステップS238)。制御装置30は、取得した前後の映像42mを一旦保持する。ステップS238において、時刻T0以降の場内映像は撮像部44からでも取得可能であるが、時刻T0以前の場内映像は過去の情報なので取得することはできない。このため、機械式駐車場102では、連続記録部47に記録されている連続場内映像42cから対応部分を切り取って前後の映像42mを取得している。特に、機械式駐車場102では、時刻T0から記録期間T2遡った過去のタイミングから、時刻T0から記録期間T1を経過するまでの前後の映像42mを取得している。前後の映像42mには時刻T0以前の場内映像が含まれているので、センサ40が異常値40eを検知した原因を容易に発見することが可能になる。原因特定を容易にする観点から、記録期間T2は、例えば、10秒から180秒の範囲に設定してもよい。
【0060】
ステップS238を実行した制御装置30は、取得した前後の映像42mを通信ネットワーク54を介してサーバ56に送信する(ステップS240)。前後の映像42mを送信した制御装置30は、取得した前後の映像42mを記録部46に記録させる(ステップS242)。ステップS242を実行した制御装置30は、表示部48に時刻T0と異常情報40fとを表示させる(ステップS244)。この際、制御装置30は、前後の映像42mの一部を静止画像または短時間動画に変換し、サムネイル画像42sとして、表示部48に表示させるようにしてもよい(
図5も参照)。ステップS244を実行した制御装置30は、処理S230を終了する。
【0061】
なお、この処理S230はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを削除したり、ステップの順序を変更したりすることも可能である。
【0062】
第2実施形態の機械式駐車場102は、第1実施形態の機械式駐車場100と同様の作用・効果を奏する。加えて、第2実施形態の機械式駐車場102は以下の作用・効果を奏する。
【0063】
第2実施形態の機械式駐車場102は、車両20を格納棚14へ格納する機械式駐車場であって、機械式駐車場102のあらかじめ定められた値を検知するセンサ40と、機械式駐車場102の場内映像42を撮像する撮像部44と、送信部52と、を備え、センサ40が異常状態に対応する値である異常値40eを検知した場合、送信部52は、当該検知時の前後に撮像された場内映像である前後の映像42mを通信ネットワーク54を介してサーバ56に送信する。この構成によれば、検知時の前後に撮像された場内映像である前後の映像42mを、サーバ56に送信して保持させることによって、機械式駐車場102から離れた場所に設置された情報端末から前後の映像42mを閲覧することが可能になる。例えば、遠隔地にいるサービスマンが、サーバ56にアクセスすることによって、センサ40が異常値40eを検知した時刻T0の前後の映像42mを確認することができる。
【0064】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態は機械式駐車場システムである。
図11は、第3実施形態に係る機械式駐車場システム104の構成の一例を示すブロック図である。機械式駐車場システムは、第2実施形態の機械式駐車場102と、サーバ56と、を含んでいる。センサ40が異常値40eを検知した場合、サーバ56と送信部52の少なくとも一方は、機械式駐車場102のサービスマンが所持する情報端末58に、前後の映像42mを送信する。
【0065】
情報端末58は、例えば、業務中のサービスマンが所持可能な携帯型の情報端末であってもよい。情報端末58は、例えば、操作入力と情報表示とが可能なタッチパネルを有することが望ましい。情報端末58は、例えば、無線通信機能とパソコンの機能とを含み、無線電波54cによって通信ネットワーク54に接続可能なタブレット型やスマートフォン型の端末であってもよい。情報端末58は、無線送受信機54bを介して、サーバ56や機械式駐車場102と、情報ファイルの送受信をすることができる。
【0066】
無線送受信機54bは通信ネットワーク54に接続されている。無線送受信機54bとしては、無線電波54cにより情報ファイルの送受信が可能であれば特に限定は無い。無線送受信機54bとしては、イントラネットに接続される場合は、例えば、無線LANルータを含むアクセスポイントを用いることができる。無線送受信機54bは、インターネットに接続される公衆無線LANサービスのアクセスポイントや、携帯電話会社が提供するデータ通信ネットワークの基地局であってもよい。
【0067】
以上のように構成された機械式駐車場システム104の動作の一例について説明する。
図12は、第3実施形態に係る機械式駐車場システム104の動作の一例を示すフローチャートである。
図12は、センサ40が異常値40eを検知したとき、その検知時の前後に撮像された前後の映像42mをサービスマンが所持する情報端末58に送信するとともに、その検知した時刻T0と異常情報40fとを情報端末58に表示させる処理S260を示している。
【0068】
処理S260を開始すると、制御装置30は、センサ40から検知結果を取得する(ステップS262)。検知結果を取得した制御装置30は、その検知結果が異常値40eであるか否かを判定する(ステップS264)。検知結果が異常値40eでなく正常値40nである場合(ステップS264のN)、制御装置30は、処理をステップS262の先頭に戻し、ステップS262~S264を繰り返す。検知結果が異常値40eである場合(ステップS264のY)、制御装置30は、異常値40eを検知した時刻T0を取得する(ステップS266)。
【0069】
時刻T0を取得した制御装置30は、連続記録部47から前後の映像42mを取得する(ステップS268)。制御装置30は、取得した前後の映像42mを一旦保持する。機械式駐車場システム104では、時刻T0から記録期間T2遡った過去のタイミングから、時刻T0から記録期間T1を経過するまでの前後の映像42mを取得している(
図10も参照)。
【0070】
ステップS268を実行した制御装置30は、取得した前後の映像42mを、通信ネットワーク54を介してサーバ56に送信する(ステップS270)。前後の映像42mを送信した制御装置30は、取得した前後の映像42mを、通信ネットワーク54を介してサービスマンが所持する情報端末58に送信する(ステップS272)。ステップS272を実行した制御装置30は、情報端末58に異常情報40fと時刻T0とを表示させる(ステップS274)。この際、制御装置30は、前後の映像42mの一部を静止画像または短時間動画に変換し、サムネイル画像42sとして、情報端末58に表示させるようにしてもよい(
図11も参照)。ステップS274を実行した制御装置30は、処理S260を終了する。
【0071】
なお、この処理S260はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを削除したり、ステップの順序を変更したりすることも可能である。
【0072】
上述の説明では、ステップS272にて、前後の映像42mが制御装置30の送信部52から情報端末58に送信される例について説明したが、これに限定されない。前後の映像42mは、サーバ56から情報端末58に送信されてもよい。一例として、サーバ56は、情報端末58からのリクエストに応じて、前後の映像42mを情報端末58に送信してもよい。
【0073】
第3実施形態の機械式駐車場システム104は、第2実施形態の機械式駐車場102と同様の作用・効果を奏する。加えて、第3実施形態の機械式駐車場システム104は以下の作用・効果を奏する。
【0074】
第3実施形態の機械式駐車場システム104は、機械式駐車場102と、サーバ56と、を含む機械式駐車場システムであって、センサ40が異常状態に対応する値である異常値40eを検知した場合、サーバ56と送信部52の少なくとも一方は、機械式駐車場102のサービスマンが所持する情報端末58に、前後の映像42mを送信する。この構成によれば、検知時の前後に撮像された場内映像である前後の映像42mを、サービスマンが所持する情報端末58に送信することによって、遠隔地にいるサービスマンが、センサ40が異常値40eを検知した時刻T0の前後の映像42mを確認することができる。
【0075】
第3実施形態の機械式駐車場システム104では、センサ40が異常状態に対応する値である異常値40eを検知した場合、サーバ56と送信部52の少なくとも一方は、情報端末58に検知時の時刻T0と異常状態が検出されたことを示す異常情報40fとを送信する。この構成によれば、サービスマンが所持する情報端末58に時刻T0と異常情報40fとを送信することによって、遠隔地にいるサービスマンが、センサ40が異常値40eを検知した時刻T0と、異常情報40fと、を確認することができる。
【0076】
以上、本発明のいくつかの実施形態をもとに説明した。これらの各実施形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0077】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、各実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。各実施形態と重複する説明を適宜省略し、各実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0078】
(第1変形例)
各実施形態では、機械式駐車場がパレットを用いたパレット式の駐車場である例について説明したがこれに限られない。機械式駐車場は例えば、スラットコンベア式などパレットを用いない駐車場であってもよく、櫛歯のすれ違いによって車両20をエレベータや格納棚に受け渡す方式であってもよい。
【0079】
(第2変形例)
各実施形態では、車両20を入出庫する乗降室が共用される例について説明したがこれに限定されない。例えば、入庫用の乗降室と出庫用の乗降室とが別々に設けられてもよい。また、乗降室の入口と出口が出入口として共用される例について説明したがこれに限定されない。入口と出口とが別々に設けられてもよい。
【0080】
(第3変形例)
各実施形態では、撮像部44の場内映像42から取得した部分場内映像42pを記録部46に記録する例について説明したがこれに限定されない。連続記録部47に記録した連続映像から取得した部分場内映像を記録部46に記録するようにしてもよい。
【0081】
(第4変形例)
各実施形態では、センサ40が車両20のはみ出しを検知するセンサである例について説明したがこれに限定されない。センサ40は、例えば、乗降室や格納棚で人や物を検知するセンサや、搬送機構の異常な動作を検知するセンサなど、他の種類のセンサであってもよい。
【0082】
(第5変形例)
各実施形態では、制御装置の各部がひとつの制御装置内にまとめて配置される例について説明したがこれに限定されない。制御装置は複数に分けられてそれぞれ異なった場所に配置されてもよい。例えば、検知結果取得部30bと、第1映像取得部30cと、第1制御部30dと、第2映像取得部30hと、第2制御部30jと、第3映像取得部30kと、第3制御部30mと、は待機室18に配置された制御装置に設けられてもよい。また、表示制御装置30eと、操作結果取得部30fと、操作盤制御部30gと、移送制御装置30nと、乗降扉制御装置30pとは乗降室12に配置された制御装置に設けられてもよい。
【0083】
(その他の変形例)
各実施形態では、センサ40が乗降室12に設けられる例について説明したがこれに限定されない。センサ40は格納棚14や昇降路96に設けられてもよい。
各実施形態では、撮像部44が乗降室12に設けられる例について説明したがこれに限定されない。撮像部44は格納棚14や昇降路96に設けられてもよい。
各実施形態では、撮像部44が3台のカメラを含む例について説明したがこれに限定されない。撮像部44は、2台以下または4台以上のカメラを含んでもよい。
【0084】
上述の変形例それぞれは各実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【符号の説明】
【0085】
12・・乗降室、 14・・格納棚、 16・・乗降室扉、 20・・車両、 30・・制御装置、 40・・センサ、 42・・場内映像、 44・・撮像部、 46・・記録部、 48・・表示部、 49・・操作入力部、 50・・情報端末、 52・・送信部、 54・・通信ネットワーク、 56・・サーバ、 58・・情報端末、 100・・機械式駐車場。