(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】医療機器用の表示装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/14 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
A61M1/14 110
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017127736
(22)【出願日】2017-06-29
【審査請求日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】10 2016 112 886.4
(32)【優先日】2016-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515143739
【氏名又は名称】ビー.ブラウン アビタム アーゲー
【氏名又は名称原語表記】B. BRAUN AVITUM AG
【住所又は居所原語表記】Schwarzenberger Weg 73-79, 34212 Melsungen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイク ピーターズ
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン ブレガー
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン ブローカー
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ ステンツェル
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0187196(US,A1)
【文献】国際公開第2015/153254(WO,A1)
【文献】特開2004-313324(JP,A)
【文献】特開2016-106740(JP,A)
【文献】特開平07-255027(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0177909(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0313775(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を備える体外血液処理を行うための装置であって、
投影面又は投影板であって、前記体外血液処理を行うための装置に取り付けられ、前記体外血液処理を行うための装置の利用者に見えるように前記投影面/投影板の前面に所定の表示内容を提示するように構成される投影面又は投影板と、
前記体外血液処理を行うための装置上に取り付けられ、前記投影面の背面から前記投影面上に前記所定の表示内容を投影するように構成される投影装置と、
を備え、
前記体外血液処理を行うための装置の少なくとも1つの所定の動作状態を表示するために前記投影面の所定の部分が設けられ、
少なくとも第1の動作状態及び第2の動作状態において、前記投影面の所定の第1の部分及び/又は所定の第2の部分が、前記第1の動作状態及び前記第2の動作状態を異なる色で表示するように制御可能に構成され、
前記投影面は、ヒンジ型結合機構の関節式装置によって、体外血液処理を行うための前記装置の表面部であるテーブルの形をしたモールディング又は高台において、旋回するように関節式に結合され、及び/又は、フレーム機構内でガイドされると共に、前記フレーム機構内で移動可能であり、
前記フレーム機構は、体外血液処理を行うための前記装置と相対して少なくとも高さ方向に固定され、
前記投影面
が、前記体外血液処理を行うための装置の凹み内に少なくとも部分的に挿入可能である
ように、前記関節式装置及び/又は前記フレーム機構は、高さに関して移動可能であるように全体的に構成される、体外血液処理を行うための装置。
【請求項2】
前記投影面は、不透明な材料で形成される半透明の投影面である、請求項1に記載の体外血液処理を行うための装置。
【請求項3】
前記投影面上に配置され、前記利用者の対話をタッチセンス式に検出するように構成される少なくとも1つの対話要素をさらに備える、請求項1
又は2に記載の体外血液処理を行うための装置。
【請求項4】
前記利用者の対話を非接触式に検出するように構成される撮像手段及び/又は光学センサ手段をさらに備える、請求項1
又は2に記載の体外血液処理を行うための装置。
【請求項5】
投影プレーン上で、2Dジェスチャ検出、3Dジェスチャ検出、2D位置検出及び/又は3D位置検出を行うように構成される、請求項1~
4のいずれか一項に記載の体外血液処理を行うための装置。
【請求項6】
前記利用者が手動で操作可能な少なくとも1つの操作要素が前記投影面内に組み込まれる、請求項1~
5のいずれか一項に記載の体外血液処理を行うための装置。
【請求項7】
第3の動作状態において、前記投影面の所定の第3の部分が、前記第1の動作状態及び前記第2の動作状態の前記色以外の色で前記第3の動作状態を表示するように制御可能に構成され、前記所定の第3の部分が前記所定の第1の部分及び前記所定の第2の部分よりも大きい、請求項1に記載の体外血液処理を行うための装置。
【請求項8】
少なくとも第1の位置検出システム及び第2の位置検出システムによる前記利用者の対話の少なくとも2チャネルの入力評価が設けられる、請求項
3~
5のいずれか一項に記載の体外血液処理を行うための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器、例えば体外血液処理装置/透析装置用の表示装置に関し、とりわけ視野提示手段又はHUD(ヘッドアップディスプレイ)の原理に従って情報を提示するように動作可能であり且つ/又は適合される画面又はモニタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、透析装置等、体外血液処理を行うための機器の分野では、操作装置及び表示装置が、固有のハウジングを有するモニタとして又は機器のハウジングに組み込まれるモニタとして通常構成される。通常提供される画面サイズ、例えば15インチに相当する38.1cmにより、密封するための及び十分なEMC保護のための複雑な手段が要求される。更に、清浄作業を妨げる邪魔な外形がモニタハウジングと画面との間の移行部において生じることが多い。加えて、タッチセンス操作フィールドを含むシステムでは、タッチセンス面領域内のハウジングの平坦度に対する高度な要件が満たされる必要がある。更に、モニタ及びタッチセンス面と前面に対する操作者又は利用者の位置との間の距離が原因で視差誤差が頻繁に生じている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の基礎をなす目的は、上記の欠点を克服し、更に動作状態の表示、対話型操作、及び/又はアラームインジケータの提示を確実にする医療機器用の表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の基礎をなす全般的概念は、体外血液処理を行うための機器内に又はかかる機器にプロジェクタによって照らされる半透明の投影面を配置することである。好ましい投影方向は、操作者又は利用者の影を落とさない方向である。投影面はガラス板、プラスチック材、又は適切な不透明度を有する他の任意の材料とすることができ、自立型及び/又は調節可能、例えば角度調節可能、回転可能、及び/又は高さ調節可能であり得る。投影面上には少なくとも1つの対話型要素を設けることができ、その対話型要素は容量センサ又は抵抗センサシステム(タッチセンス層又はタッチスクリーン)を備え得る。カメラ又は他の任意の光学センサ若しくは容量センサシステムによって操作者又は利用者の対話を評価することができる。例えば、投影プレーン上の例えば操作者又は利用者の指の2Dジェスチャ検出/2D位置検出用の機構、及び/又は3Dジェスチャ検出用の機構を実装することができる。更に、投影面上に又は投影面にキー配列又はハードキー等の操作要素を組み込むことができる。投影面の半透明性により、医療機器の動作状態表示を全面的に見ることができる。アラームの際には、動作状態表示面が他の動作事例に比べて大きいように構成することができ、例えば情報表示領域を囲むことができ、若しくは全情報表示フィールド及び全投影面をそれぞれ照らすことができ、且つ/又は情報表示を重ねることができ、機器上の反射によってシグナリング効果を高めることができる。少なくとも2つの位置検出システム、例えば超音波及びタッチセンス機能に基づく位置検出システム、並びに3Dカメラシステム及び赤外線バリヤグリッドによる赤外線走査に基づく位置検出システムによる評価により、対話又は入力評価の2チャネルシステムを実現することができる。
【0005】
上記の全般的概念と共に、自立型の投影面により、表示装置(モニタ)のエリア内のEMCの影響を受けやすい電子機器及びEMC放射の両方が減り、例えばIP21の下で必要とされる防水性をより容易に保証することができ、ハウジングがないこと、従って角及び/又は縁がないことによって清浄が容易にされ、例えば殺菌剤に対する耐性が高まる。知られている機構内に設けられる薄膜トランジスタディスプレイをなくすため、小さい寸法を有するように適合されるプロジェクタを採用することができ、従って表示画像サイズを容易に変倍できるだけでなく、別個の動作状態表示を消すことができる。全体として製造費が更に低減され、折畳み式の投影面又は設置位置における技術者によるその据付けに関連して、機器の梱包体積がより小さくなり、従って輸送費が更に低減される。
【0006】
詳細には、本目的は、医療機器上に配置され、医療機器の利用者に見えるように所定の表示内容を提示するように構成される投影面を備え、医療機器上に配置され、投影面の背面から投影面上に所定の表示内容を投影するように構成される(発光し、投影面から平行に間隔を空けられる)投影機器を備える、医療機器の表示装置によって実現される。
【0007】
好ましくは、投影面は不透明な材料で構成される半透明の投影面であり、例えばガラス又はプラスチックで構成され得る。ガラスで作られる投影面は、改善された耐ひっかき性及び機器の環境内で生じる物質(清浄剤及び殺菌剤)への耐性を有利に有する。プラスチックで作られる投影面は、向上された破壊強度を有利にもたらし、より軽量であるように設計され得る。
【0008】
好ましくは、投影面及び/又は投影装置は、角度調節可能、回転可能、及び/又は高さ調節可能であるように医療機器/医療機器のハウジング上に配置される。投影装置が調節可能であるように作られる場合、所定の表示内容の投影を維持するために投影面の傾斜、回転、及び/又は高さ調節に追随できるように、投影装置を医療機器/医療機器のハウジングに関節式に結合/装着することができる。
【0009】
好ましくは、表示装置は、投影面上に配置され、利用者の対話をタッチセンス、例えば容量式又は抵抗式に検出するように構成される対話要素をさらに組み込む。このように検出される対話は、所定の更なる処理のために単純な方法で下流の制御ユニット又は信号処理ユニットに有利に伝送することができる。
【0010】
また好ましくは、表示装置は、利用者の対話を非接触式に検出するように構成される撮像手段及び/又は光学センサ手段をさらに備えることができる。有利には、かかる検出は、例えば投影装置に組み込まれる又は別個に配置される統合撮像システム又はカメラシステムによって行われ得る。
【0011】
好ましくは、表示装置は、表示装置又は投影装置の投影プレーン上で、2Dジェスチャ検出、3Dジェスチャ検出、2D位置検出及び/又は3D位置検出を行うように構成される。このようにして、投影によって幾つかの仮想ユーザインタフェースが提示される操作者又は利用者は、仮想ユーザインタフェースに適切にアプローチするときに医療機器と対話できるのに対し、より離れた位置では医療機器の反応はトリガされない。
【0012】
好ましくは、或いは又は加えて、利用者が手動で操作可能な操作要素が投影面内に組み込まれ得る。有利には、少なくとも1つの操作要素を機能的に変更不能であるように構成することができ、即ち所定の機能をその操作要素に永続的に割り当てることができる。或いは、有利には、少なくとも1つの操作要素を機能的に自由に構成可能とすることができ、即ち範囲等を可変の又は一時的な方法で調節する装置により、例えば所定の機能の組内の所定の機能をその操作要素に割り当てることができ得る。操作要素は、操作キー、回転アクチュエータ、回転/押圧アクチュエータ等とすることができる。
【0013】
好ましくは、医療機器の所定の動作状態を表示するために表示装置内で投影面の所定の部分が提供される。
【0014】
更に好ましくは、少なくとも第1の動作状態及び第2の動作状態において、投影面の所定の第1の部分及び/又は第2の部分が、第1の動作状態及び第2の動作状態を異なる色で表示するように制御可能に構成され得、第3の動作状態において、投影面の所定の第3の部分が、第1の動作状態及び第2の動作状態の色以外の色で第3の動作状態を表示するように制御可能に構成され得、所定の第3の部分は所定の第1の部分及び所定の第2の部分よりも大きい。有利には、かかる構成では、所定の第1の部分が投影面の第1の部分領域であり、所定の第2の部分が投影面の第2の部分領域であり、第1の動作状態が医療機器の通常の動作状態であり、第2の動作状態が医療機器の指示/通知動作状態であり、所定の第3の部分が投影面の枠組みの部分領域又は全領域であり、第3の動作状態が医療機器のアラーム状態であり、所定の表示内容の表示に動作状態の表示を重ねることができる。有利には、それぞれの異なる動作状態を表示するための異なる色として、交通信号色である(例えば、通常の又は正常な動作状態用の)緑色、(例えば、医療機器がメッセージ等を出力し、操作者又は利用者の更なる注目を要求する動作状態用の)黄色、及び(例えば、治療過程中に途絶又は重大な状況が生じる場合等のアラーム動作状態用の)赤色を使用することができる。更に有利には、それぞれの部分の位置及び大きさを動作状態、プロセス状態、及び/又は緊急度に応じて可変とすることができ、これは、操作者又は利用者に求められる注目を制御可能にする。例えば、緑色で照らされる部分は、目立たない大きさ且つ目立たない位置で単に確認的であるように設けることができ、黄色で照らされる部分は、緊急度に応じて大きさ及び/又は位置を変えることができるように設けることができ、早急な対策を完全に必要とする赤色で照らされる部分は、枠組み形状内で重ねるように又は全面にわたって重ねるように設けることができる。更に、パラメータ又は緊急度に応じて提供の輝度及び/又は頻度を可変とすることができる。
【0015】
好ましくは、少なくとも第1の位置検出システム及び第2の位置検出システムによる、利用者による対話の少なくとも2チャネルの入力評価が表示装置内に設けられる。有利には、一部の医療用途で必要とされる評価の2チャネル設計をこの方法で利用できるようにする。有利には、第1の位置検出システムが超音波手段及びタッチセンス手段を含むことができ、第2の位置検出システムが3Dカメラ及び赤外線走査を含み得る。第1の位置検出システム及び/又は第2の位置検出システムは、例えば投影装置に組み込むことができ、又は医療機器に対して適した位置において他の場所に配置することができる。
【0016】
好ましくは、投影面及び投影装置は、表示内容の視野提示用のHUDユニット(ヘッドアップディスプレイユニット)として表示装置内で構成される。
【0017】
好ましくは、医療機器として体外血液処理を行うための機器が上記の形態の表示装置及び適切な発展形態を備える。
【0018】
上記の簡潔な説明は例示に過ぎず、決して限定的ではない。以下、添付図面に関して本発明を好ましい実施形態によって詳細に説明する。別段の定めがない限り、図中では同じ参照番号が同じ構成要素を示し、それらの構成要素について冗長に説明することはない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態による表示装置及び投影装置を含む医療機器の概略図を示す。
【
図2】表示装置の投影面上への表示内容の投影がアクティブにされた、
図1による医療機器の概略図を示す。
【
図3A】キー又はスイッチとして例示する操作要素又は対話要素を含む、投影面の概略図を示す。
【
図3B】医療機器の通常の又は指示動作状態用の動作状態表示を含む、投影面の概略図を示す。
【
図3C】医療機器のアラーム動作状態用の動作状態表示を含む、投影面の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び
図2で単純化され概略的な形態で図示されているように、医療機器10、例えば透析装置等の体外血液処理用装置は本体部分12を含み、本体部分12内で又はそれにおいて、システムによって必要とされる構成要素が内側及び外側に収容される。それぞれの実際の医療機器10のシステムによって必要とされる構成要素はそれ自体知られており、その限りにおいて明示的に図示することも詳細に説明することもしない。医療機器10は、基部18上のころ17によって可動式に構成することができる。
【0021】
この実施形態では、投影面14と投影面14から所定距離に配置されるプロジェクタ又は投影装置16とが医療機器10用の表示装置を形成し、投影面14は、医療機器10上に配置され、且つ医療機器10の利用者に見える方法で所定の表示内容13を提示するように構成され、及び投影装置16は、医療機器10上に均等に配置され、且つ投影面14の背面から投影面上に、及び好ましくは投影面14上に又はそこに位置する投影プレーン上にそれぞれ所定の表示内容13を投影するように構成される。
【0022】
従って、投影面14及び投影装置16を含む医療機器10用の表示装置は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)とも呼ばれる視野提示を含む情報表示手段の原理に基づいて動作する。
【0023】
より正確には、本実施形態の表示装置は、例えば情報取得ユニット及び画像表示制御ユニットを含み得る。画像表示制御ユニットは、光源及び可動式の反射素子を含み得る。光源は光ビームを放つように構成される。表示装置及び表示装置の投影装置16のそれぞれは、表示情報を表示するために投影面14上に光ビームを投影するように構成され、即ち投影面14内に位置するプレーンに焦点が合わせられる。情報取得ユニットは、1つ又は複数のセンサ及び/又は制御ユニットに結合され得、1つのセンサ又は複数のセンサによって検出される測定値若しくは測定データ、並びに/又は制御ユニットによって内部的に生成される例えば治療過程若しくは機器の状態に関するパラメータ及び/若しくは情報を収集することができ、収集済みのデータ及び/又は収集済みの情報を所定の処理に従って処理することができ、処理済みの情報を例えばこれだけに限定されないが画像形式及び/又はテキスト形式で画像表示制御ユニットに出力することができる。情報取得ユニットは、画像表示制御ユニットのためのデータに基づいて表示制御信号を更に提供することができる。画像表示制御ユニットは処理済みの情報を受信し、後者を投影面14上に投影することができ、表示制御信号を更に受信して、例えば可動式の反射素子によって投影面14上の表示情報の位置を決定又は調節することができる。
【0024】
この実施形態では、投影面14は、例えば散乱ディスク等のように不透明材料から作られる半透明の投影面である。例えば、投影面14は、平面状に形作られ、剛体であるが少なくとも歪みに耐性がある所定の大きさ及び厚さのガラス材料又はプラスチック材料で構成することができ、投影面14内で表示内容13の焦点が合い、操作者又は利用者が判読できるように提示されるように、投影装置16の表示情報の投影の大きさを可変とし、投影面14内のプレーン上に適合させるか又は照射することができる。
【0025】
更に、この実施形態では、投影面14及び必要に応じて投影装置16も角度調節可能、回転可能、及び/又は高さ調節可能であるように構成される。
【0026】
例えば、投影面14は、医療機器10の端面に対して前方及び/又は後方に折畳み可能又は角度調節可能であるように、且つ/又は高さ方向を中心に回転可能であるように等、医療機器10の表面部分、例えばテーブルの形をしたモールディング又は高台15におけるヒンジ型結合機構によって旋回するように関節式に結合され得る。回転角範囲及び/又は傾斜角範囲は、例えば一方で医療機器10の前に立つ人による表示内容13の可読性を依然として与え、他方で保護的な横になる位置又はアイドル位置へと、例えば、テーブル形状のモールディング又は高台における柔らかく覆う凹みへと折り畳むことを可能にする範囲内で与えられ得る。
【0027】
更に例として、投影面14は、例えば所定の傾斜位置において投影面14を医療機器10に関節式に結合する機構の医療機器10の上面に対する上方向及び/又は下方向の高さ調節機能により、その地上の絶対高度を調節可能とすることができる。或いは、例えば投影面14はフレーム機構内でガイドされ得、フレーム機構内で移動可能とすることができ、フレーム機構は医療機器10と相対して少なくとも高さ方向に固定される。修正形態では、上記で例として述べた関節式装置及び/又はフレーム機構を高さに関して移動可能であるように全体的に構成することができ、それにより、投影面14を医療機器10の凹み内に少なくとも部分的に埋め込むか又は挿入することができる。
【0028】
必要に応じて設けられる導体接続をこの目的で関節式装置及び/又はフレーム機構内で被覆することができ、適切な全長においてガイドすることができる。別の修正形態では、分離可能なプラグ接点機構によってかかる導体接続をガイドすることができ、投影面14を全体として脱着可能であるように形成することができ、それにより投影面14が破損した場合にも容易に交換することができ、例えば医療機器10が動作していない状態の際には、投影面14を安全に保護する場所に投影面14を保管することができる。
【0029】
この実施形態では、投影面14上に操作要素又は対話要素32(
図3A参照)を配置することができ、利用者の対話をタッチセンス、例えば容量式又は抵抗式に検出するように構成することができる。対話要素32は、例えば投影装置16によりソフトウェア制御によって表示内容13内に投影されるソフトウェアスイッチとすることができ、その状態又は作動は、好ましくは投影面14上のマルチポイント対応又はマルチタッチ対応のタッチセンス層によって検出され、例えば医療機器のパラメータを変えることを可能にしたり、動作サイクルの開始、停止、一時停止及び時間経過の記録等、医療機器10の制御機能を操作者又は利用者が利用できるようにしたりする。
【0030】
或いは又は加えて、利用者の非接触検出対話のために構成される撮像手段及び/又は光学センサ手段を配置することができる。この場合、タッチセンス層を省くことができ、例えば撮影手段及び/又は撮像手段としてそれ自体知られているカメラ機構による対話が操作者又は利用者の指の位置を検出することができ、入力評価のためにその指の位置を下流の処理手段又は制御手段、例えばマイクロコントローラに導くことができる。
【0031】
この実施形態では、操作者又は利用者の対話又は入力を検出及び評価するための上記の検出手段により、投影装置の投影プレーン上の2D及び/又は3Dジェスチャ検出及び/又は位置検出を行うことができる。具体的には、少なくとも第1の位置検出システム及び第2の位置検出システムによる利用者の対話の少なくとも2チャネルの入力評価を提供することができ、第1の位置検出システムは、例えば超音波手段及びタッチセンス手段を含むことができ、第2の位置検出システムは、例えば3Dカメラ及び赤外線走査を含み得る。
【0032】
更なる代替形態として又は加えて、利用者が手動で操作することができる少なくとも1つの操作キー34を投影面14及び/又は投影装置16上に組み込むことができる(
図3A参照)。少なくとも1つの操作キー34は、例えば機能的に変更不能であるように構成される、即ち例えば医療機器10又は投影装置16において所定の機能を絶えずトリガするハードウェアキー(ハードキー)の形態で提供することができ、又は同等の意味で例えばソフトウェアによるプログラム依存の若しくは動作サイクル依存の割当てにより、機能キーの態様で機能的に自由に構成され得る。
【0033】
更に、この実施形態では、投影面14の所定の部分が医療機器10の所定の動作状態を表示するために提供され、かかる部分は、例えば投影面14上で様々な動作状態を様々な色で強調表示し、そのようにして操作者又は利用者のそれぞれの注意を引くように構成される。
【0034】
修正形態では、このために投影装置16が動作状態表示部分(不図示)を含むことができ、動作状態表示部分は第2の又は二次(副)投影装置を形成するように適合され得、表示情報の投影を担う表示情報投影部分と別個に又はかかる表示情報投影部分に加えて設けられ得、例えばマイクロコントローラによって制御されるとき、色によって表示情報と明確に区別可能な投影面14の少なくとも1つの領域内に好ましくは平面の要素を表示し、挿入し、又は表示情報に重ねるように構成され得、平面要素の光強度、点滅頻度(点滅光表現)、大きさ、形状、及び/又は位置は、関連する動作状態及び/又はかかる表示によって伝送される動作状態情報の緊急度に応じて可変とすることができる(
図3A~
図3C参照)。
【0035】
例えば、いわゆる交通信号色を利用する構成は、問題のない正常な動作状態(通常動作状態)を知らせる第1の動作状態表示36を緑色で、第1の大きさ及び/又は形状で、並びに投影面内のむしろ目立たない位置であり得る第1の位置に表し、重大ではないが少なくとも操作者又は利用者による注目及び/若しくは場合により対話を必要とする第2の動作状態(指示動作状態)、又は治療周期中のプロセスを知らせる第2の動作状態表示37を黄色で、第1の大きさ以上の第2の大きさ及び/又は第1の形状と区別可能であるように適合される第2の形状で、並びに投影面内のより目立つ位置であり得る第2の位置に表し、重大であり少なくとも操作者又は利用者による迅速な対話を必要とする第3の動作状態(アラーム状態)又は治療周期中のプロセスを知らせる第3の動作状態表示38を赤色で、第1の大きさ及び第2の大きさよりも大きい第3の大きさ及び/又は第1の形状及び第2の形状と区別可能であるように適合される第3の形状で、並びに投影面内のより目立つ位置であり得る第3の位置に表すものであり得る。この実施形態では、例えば、第1の動作状態表示36が丸い緑色の点(
図3A)で表され、第2の動作状態表示37が丸い緑色の点よりも大きい黄色の四角形で表され、第3の動作状態表示38が投影面14を囲む赤枠で表される。
【0036】
即ち、この実施形態では、少なくとも第1の動作状態及び第2の動作状態において、投影面14の所定の第1の部分が第1の動作状態及び第2の動作状態を異なる色で表示するように制御可能に構成され、且つ第3の動作状態において、投影面14の所定の第2の部分が第3の動作状態を第1の動作状態及び第2の動作状態と比べて異なる色で表示するように制御可能に構成され、所定の第2の部分は好ましくは所定の第1の部分よりも大きく、所定の第1の部分は投影面14の第1の部分領域とすることができ、第1の動作状態は医療機器10の通常の動作状態とすることができ、第2の動作状態は医療機器10の指示動作状態とすることができ、所定の第2の部分は投影面14の枠組みの部分領域又は全領域とすることができ、第3の動作状態は医療機器10のアラーム状態とすることができ、動作状態の表示は所定の表示内容13の表示に重ねられるように適合される。
【0037】
この実施形態の別の修正形態では、タッチセンス対話要素32(
図3A参照)を第1の部分、第2の部分、及び/又は第3の部分と組み合わせることができ、それにより例えば投影装置の動作状態表示部分又はその目的で配置される医療機器10の別の制御手段が、動作状態表示を生成又は実行するとき、投影面14上の適切な位置においてタッチセンス対話要素32を同時に確立し、ユーザ入力のためにそのタッチセンス対話要素32をアクティブにする。
【0038】
このようにして操作者又は利用者は、動作状態表示に直接反応する、例えば指示メッセージ又は警告メッセージ(黄色)をリセットし、又はアラーム状態(赤色)において緊急停止をトリガすることができる。後者の場合、医療機器10を緊急停止させ又はその安全な動作サイクルに移行するために、第3の動作状態表示の(赤色の)第3の部分内の任意の点を触れることで十分とすることができ、それにより、この場合、操作者又は利用者の反応時間を有利に短縮することができる。
【0039】
代替形態として又は加えて、関連する動作状態表示を出力するときにアクティブにすることができ、アクティブ時、生じた動作状態に対する操作者又は利用者の反応として2D及び/又は3D位置検出及び/又はジェスチャ検出によって検出される特定のジェスチャを予め定めておくことができる。この場合、例えばアラーム状態内での所定の手の動き又は互いに対する両手の位置が、医療機器10の緊急停止又は安全な動作状態への移行を引き起こし得るのに対し、非アラーム状態内では、同じ手の動き又は手の位置が医療機器10のいかなる反応も引き起こさない。
【0040】
従って、全体として、この実施形態では、投影面14及び投影装置16が、投影面14上に投影しようとする表示情報(表示内容13)の視野提示用のHUDユニットとしてこのように上記の通りに構成され、それにより、透析装置等の体外血液処理を行うための装置の機能部分又は機能部品を(受動的に及び/又は対話式に)形成し得る。
【0041】
上記で説明したように、医療機器10用の表示装置は、医療機器10上に配置され、且つ医療機器10の利用者に見える方法で所定の表示内容13を提示するように構成される投影面14と、医療機器10上に配置され、且つ投影面14の背面から投影面14上に所定の表示内容13を投影するように構成される投影装置16とを含む。投影面14及び投影装置16は、表示内容13の視野提示用のHUDユニットとして構成され、及び医療機器10は、かかる表示装置を含む体外血液処理を行うための機器であり得る。
【0042】
上記では本発明を好ましい実施形態によって説明してきた。説明した好ましい実施形態の詳細は本発明をそのようなものとして限定せず、当業者にとって明らかな方法で様々な変更形態、修正形態、及び/又は均等物をもたらすことができ、従って、その全てが添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の保護範囲に含まれることが理解されるであろう。
以下の項目は、本出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
医療機器の表示装置であって、
投影面又は投影板であって、前記医療機器に取り付けられ、前記医療機器の利用者に見えるように前記投影面/投影板の前面に所定の表示内容を提示するように構成される投影面又は投影板と、
前記医療機器上に取り付けられ、前記投影面の背面から前記投影面上に前記所定の表示内容を投影するように構成される投影装置と、
を備え、
前記医療機器の少なくとも1つの所定の動作状態を表示するために前記投影面の所定の部分が設けられ、少なくとも第1の動作状態及び第2の動作状態において、前記投影面の所定の第1の部分及び/又は所定の第2の部分が、前記第1の動作状態及び前記第2の動作状態を異なる色で表示するように制御可能に構成されることを特徴とする、表示装置。
(項目2)
前記投影面は、不透明な材料で形成される半透明の投影面である、項目1に記載の表示装置。
(項目3)
少なくとも前記投影面は、角度調節可能、回転可能、及び/又は高さ調節可能であるように構成される、項目1又は2に記載の表示装置。
(項目4)
前記投影面上に配置され、前記利用者の対話をタッチセンス式に検出するように構成される少なくとも1つの対話要素をさらに備える、項目1~3のいずれか一項に記載の表示装置。
(項目5)
前記利用者の対話を非接触式に検出するように構成される撮像手段及び/又は光学センサ手段をさらに備える、項目1~4のいずれか一項に記載の表示装置。
(項目6)
投影プレーン上で、2Dジェスチャ検出、3Dジェスチャ検出、2D位置検出及び/又は3D位置検出を行うように構成される、項目1~5のいずれか一項に記載の表示装置。
(項目7)
前記利用者が手動で操作可能な少なくとも1つの操作要素が前記投影面内に組み込まれる、項目1~6のいずれか一項に記載の表示装置。
(項目8)
第3の動作状態において、前記投影面の所定の第3の部分が、前記第1の動作状態及び前記第2の動作状態の前記色以外の色で前記第3の動作状態を表示するように制御可能に構成され、前記所定の第3の部分が前記所定の第1の部分及び前記所定の第2の部分よりも大きい、項目1に記載の表示装置。
(項目9)
少なくとも第1の位置検出システム及び第2の位置検出システムによる前記利用者の対話の少なくとも2チャネルの入力評価が設けられる、項目4~6のいずれか一項に記載の表示装置。
(項目10)
前記投影面及び前記投影装置は、前記表示内容の視野提示用のヘッドアップディスプレイユニットとして構成される、項目1~9のいずれか一項に記載の表示装置。
(項目11)
項目1~10のいずれか一項に記載の表示装置を備える、体外血液処理を行うための機器。